(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
熱可塑性樹脂フィルムが、ポリオレフィン系樹脂および官能基含有ポリオレフィン系樹脂の何れかの少なくとも一種を含むことを特徴とする請求項1に記載の静電吸着シート。
誘電体フィルムが、ポリオレフィン系樹脂、官能基含有ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂および熱可塑性ポリエステル系樹脂の何れかの少なくとも一種を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の静電吸着シート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の静電吸着シートは、帯電処理を施した熱可塑性樹脂フィルムを含む支持体層(A)の少なくとも一方の面に、誘電体フィルムを含む保護層(B)を静電吸着により積層した積層体、または熱可塑性樹脂フィルムを含む支持体層(A)の少なくとも一方の面に、帯電処理を施した誘電体フィルムを含む保護層(B)を静電吸着により積層した積層体からなるものである。
本発明の静電吸着シートは、その少なくとも一方の面に配置した保護層(B)により静電気が帯びにくいものであるが、保護層(B)を剥離した支持体層(A)は静電気によりそれ自身が被着体に静電吸着可能である。中でも、支持体層(A)の両面に保護層(B)を積層した態様では、両面の保護層(B)を剥離した支持体層(A)は非粘着性の印刷物等を静電吸着可能であり、またその反対側の面は被着体に対しても静電吸着可能である。 以下、本発明の静電吸着シートを構成する各部材について詳細に説明する。
【0012】
[支持体層(A)]
静電吸着シートを構成する支持体層(A)は、その少なくとも一方の面に静電吸着能を有し、好ましくはその両面に静電吸着能力を有しており、例えば一方の片面に非粘着性の印刷物等を、他方の片面に被着体を、静電吸着によりそれぞれを結合して両者間に介在することで、所謂両面粘着シートのように被着体上に印刷物等を貼着することができる。このようにして得られる表示物は、その表示内容、寸法、形状、表示方式に応じて、シール、ラベル、サイン、ポスター、広告等の表示物として使用できる。
支持体層(A)は、その静電吸着により印刷物等を種々の被着体に貼り付け表示することが可能である。また表示使用時には、静電吸着力が高く、静電吸着力の持続性も充分であり、長期に亘り印刷物等を表示使用することができ、且つ使用後は容易に剥がすことができるという特徴を有する。またその静電吸着力は、湿度に影響され難いという特徴を有する。
【0013】
支持体層(A)は、詳細は後述する熱可塑性樹脂フィルムを含む層であり、これに帯電処理を施して得ることができる。支持体層(A)は、熱可塑性樹脂フィルム単体を支持体層(A)としても良いし、熱可塑性樹脂フィルムを2枚以上貼り合わせて支持体層(A)としても良い。
熱可塑性樹脂フィルム単体を支持体層(A)とする場合には、熱可塑性樹脂フィルムの片面に帯電処理を施した後に、その面に保護層(B)を設けて静電吸着シートとしても良く、熱可塑性樹脂フィルムの両面に帯電処理を施した後に、その両面に保護層(B)を設けて静電吸着シートとしても良く、また熱可塑性樹脂フィルムの片面に帯電処理を施した後に、その処理面に保護層(B)を設け、静電吸着積層体を一旦作製し、次いで積層体の熱可塑性樹脂フィルム側の面に帯電処理を施して、その処理面に保護層(B)を設けて静電吸着シートとしても良い。
【0014】
また、保護層(B)の片面に帯電処理を施した後に、熱可塑性樹脂フィルムに積層して熱可塑性樹脂フィルム単体を支持体層(A)とする積層体とすることもできる。この方法により、支持体層(A)の片面に保護層(B)が積層した態様、支持体層(A)の両面に保護層(B)が積層した態様が得られる。さらに、予め支持体層(A)の片面に保護層(B)を積層した、静電吸着積層体を準備しておき、別に用意した保護層(B)を、その片面に帯電処理を施した後に、前記静電吸着積層体の熱可塑性樹脂フィルム側の面に静電吸着させることで、支持体層(A)の両面に保護層(B)が積層した積層体が得られる。
熱可塑性樹脂フィルムを2枚以上貼り合わせた積層体も熱可塑性樹脂フィルム単体と同様に支持体層(A)として用いることができる。
【0015】
一方、熱可塑性樹脂フィルムを2枚貼り合わせて支持体層(A)とする場合には、熱可塑性樹脂フィルムの片面に帯電処理を施した後に、その処理面に保護層(B)を積層するか、熱可塑性樹脂フィルムの片面に、帯電処理を施した保護層(B)の処理面側を積層するかをして、熱可塑性樹脂フィルム/保護層(B)よりなる静電吸着積層体を一旦作製し、次いで2体の静電吸着積層体の熱可塑性樹脂フィルム面同士を、接着剤を介して貼り合わせて得ることができる。この場合、得られた「熱可塑性樹脂フィルム/接着剤/熱可塑性樹脂フィルム」部分が支持体層(A)となる。
また、熱可塑性樹脂フィルムを2枚以上貼り合わせて支持体層(A)とする場合には、熱可塑性樹脂フィルムの片面に帯電処理を施した後にその処理面に保護層(B)を積層するか、熱可塑性樹脂フィルムの片面に、帯電処理を施した保護層(B)の処理面側を積層するかをして、熱可塑性樹脂フィルム/保護層(B)よりなる静電吸着積層体を一旦作製し、次いで他の熱可塑性樹脂フィルムと静電吸着積層体の熱可塑性樹脂フィルム面を、接着剤を介して貼り合わせ、次いで他の熱可塑性樹脂フィルム面ともう1体の静電吸着積層体の熱可塑性樹脂フィルム面を、接着剤を介して貼り合わせて得ることができる。この場合、得られた「熱可塑性樹脂フィルム/接着剤/他の熱可塑性樹脂フィルム/接着剤/熱可塑性樹脂フィルム」部分が支持体層(A)となる。
【0016】
支持体層(A)は、その両面に静電吸着能を具備させるために、帯電処理を施し易く、且つ帯電処理による電荷を内部に保持し易い構造であることが好ましい。
支持体層(A)における帯電処理の施し易さおよび電荷の保持性能は、表面抵抗率により整理することができる。支持体層(A)における後述の方法で測定した表面抵抗率は、表面および裏面の両面とも、1×10
13〜9×10
17Ωの範囲であることが好ましい。該表面抵抗率は、5×10
13〜9×10
16Ωの範囲であることがより好ましく、1×10
14〜9×10
15Ωの範囲であることが更に好ましい。
【0017】
表面抵抗率が1×10
13Ω未満のものは、帯電処理を施す際に与えた電荷が表面を伝って逃げ易く、帯電処理が施し難い傾向がある。また、支持体層(A)に一旦与えた電荷が同表面を伝って外部(大気中など)に逃げ易く、支持体層(A)が長期間電荷を保持できずに、静電吸着力が低下し易くなる傾向がある。
一方、表面抵抗率が9×10
17Ωを超えるものは、性能上問題ない筈であるが、現在公知の物質を使用してこの様な高絶縁性の表面を形成することは困難であり、実現できたとしても高コストとなることから実現化が困難である。
このような表面抵抗率を有する支持体層(A)は、これを構成する熱可塑性樹脂フィルムの選定、および後述するコート層(C)など熱可塑性樹脂フィルムへの表面処理の有無により達成できる。
そのため熱可塑性樹脂フィルム単体を支持体層(A)とする場合には、熱可塑性樹脂フィルム自体に帯電防止等の処理を行わずに、その両面の表面抵抗率を1×10
13〜9×10
17Ωの範囲とすることが好ましい。
【0018】
しかしながら、熱可塑性樹脂フィルムを2枚以上貼り合わせて支持体層(A)とする場合には、熱可塑性樹脂フィルムは一方の片面の表面抵抗率を1×10
13〜9×10
17Ωの範囲とし、他方の片面には帯電防止の処理を行い、帯電防止性能を持たせることによって他方の面の表面抵抗率を下げることで、熱可塑性樹脂フィルムに帯電処理を施した後に、保護層(B)を貼合積層して静電吸着積層体を作製するまでの加工工程において、フィルムへの埃等の付着やフィルムのロールへの貼り付きなどを効果的に防止することが可能となり、生産性をより高めることが可能となることから、本発明の静電吸着シートの製造において好適なものとなる。
熱可塑性樹脂フィルムに帯電防止性能を付与する手法としては、熱可塑性樹脂フィルムに帯電防止剤を練り込む手法や、熱可塑性樹脂フィルムの片面に後述するコート層(C)を設ける手法がある。熱可塑性樹脂フィルムに帯電防止剤を練り込む場合は、コロナ放電表面処理やフレーム表面処理を行わないと帯電防止効果が発現しない場合があり、特に延伸されたフィルムは、表面処理の処理面と未処理面で帯電防止効果が大きく異なる場合がある。この現象を利用して片面に帯電防止性能を有する熱可塑性樹脂フィルムを形成することも可能である。
【0019】
また支持体層(A)は、被着体が壁やロッカー等のように不透明なものである場合には、透明であっても不透明であっても良いが、被着体がガラス板や、アクリル板、ポリカーボネート板等のように透明な板状物などである場合には、透明性が高いほうが適している。例えば表示に用いる印刷物が両面印刷物であり、支持体層(A)および被着体が透明である場合には、印刷物の支持体層(A)に接する側の印刷面も支持体層(A)および被着体を介して視認することが可能となる。
従って本発明の静電吸着シートにおける支持体層(A)は透明または半透明であることが好ましい。係る透明性の指標として、支持体層(A)の全光線透過率は、60〜100%であることが好ましく、70〜100%であることがより好ましく、80〜100%であることが特に好ましい。全光線透過率が60%以上であれば、支持体層(A)面側に印刷絵柄を向けて貼り付けた場合に印刷物の画像や情報の視認性が良好であり、ガラス板、アクリル板やポリカーボネート板などの透明な被着体に貼り付けた印刷物の視認性が良好である。
また、本発明の効果を損ねない範囲で、支持体層(A)自体が印刷情報を有していてもよい。
【0020】
このような高い透明性は、これを構成する熱可塑性樹脂フィルムの選定、および該熱可塑性樹脂中への無機微細粉末や有機フィラーの含有量等により達成できる。
また支持体層(A)は、その厚みが20〜500μmの範囲であることが好ましい。該厚みは、30〜400μmの範囲であることがより好ましく、40〜300μmの範囲であることが特に好ましい。支持体層(A)の厚みが20μm未満では、該層(A)の機械的強度が弱くなり、印刷物を貼り付ける際、または被着体に貼り付ける際にシワが入り易く、上手く貼着できずに外観が劣る傾向がある。逆に500μmを超えてしまうと支持体層(A)の自重が大きくなり、静電吸着力では自重を保持できず被着体から落下してしまう傾向がある。
【0021】
[熱可塑性樹脂フィルム]
熱可塑性樹脂フィルムは、支持体層(A)を構成するものであって、直接帯電処理を施すことや、帯電処理を施した誘電体フィルムに接して誘電されることによって内部に電荷を保持し、その静電吸着力によって支持体層(A)の静電吸着を可能にするものである。
熱可塑性樹脂フィルムは熱可塑性樹脂を含む。特に絶縁性の優れた熱可塑性樹脂を使用することにより、そのフィルムは内部に蓄積した電荷を保持しやすくなり好ましい。
熱可塑性樹脂フィルムに用いる熱可塑性樹脂は、絶縁性があり内部に電荷を保持できる限り、その種類は特に制限されない。そのような熱可塑性樹脂としては、例えば、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、プロピレン系樹脂、ポリメチル−1−ペンテン等のポリオレフィン系樹脂;エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、マレイン酸変性ポリエチレン、マレイン酸変性ポリプロピレン等の官能基含有ポリオレフィン系樹脂;ナイロン−6、ナイロン−6,6等のポリアミド系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、またはポリブチレンサクシネート、ポリ乳酸等の脂肪族ポリエステルやそれらの共重合体等の熱可塑性ポリエステル系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;アタクティックポリスチレン、シンジオタクティックポリスチレン等のポリスチレン系樹脂などを使用することができる。これらの熱可塑性樹脂の中でも、絶縁性と加工性に優れるポリオレフィン系樹脂、官能基含有ポリオレフィン系樹脂を用いることが好ましい。
【0022】
ポリオレフィン系樹脂のより具体的な例としては、エチレン、プロピレン、ブチレン、ヘキセン、オクテン、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、メチル−1−ペンテンなどのオレフィン類の単独重合体、及びこれらオレフィン類2種類以上からなる共重合体が挙げられる。
更にこれらポリオレフィン系樹脂の中でも、プロピレン系樹脂が、絶縁性、電荷保持性、加工性、機械的強度、コストなどの面から好ましく用いられる。プロピレン系樹脂としては、アイソタクティックないしはシンジオタクティック及び種々の程度の立体規則性を示すポリプロピレン(プロピレン単独重合体)や、プロピレンを主成分とし、これとエチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィンとを共重合させたプロピレン系共重合体を、主成分として使用することが好ましい。プロピレン系共重合体は、プロピレンを主に含む2元系重合体でも3元系以上の重合体でもよく、またランダム共重合体でもブロック共重合体でもよい。またプロピレン系樹脂には、プロピレン単独重合体よりも融点が低い樹脂を配合して使用することも可能である。そのような融点が低い樹脂としては高密度ないしは低密度のポリエチレンを例示することができる。
【0023】
官能基含有ポリオレフィン系樹脂のより具体的な例としては、前記オレフィン類と共重合可能な官能基含有モノマーとの共重合体が挙げられる。かかる官能基含有モノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレンなどのスチレン類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプロン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、ブチル安息香酸ビニル、シクロヘキサンカルボン酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル類(或いは共重合後にこれらカルボン酸ビニルエステル類を鹸化して得られるビニルアルコール);アクリル酸、メタクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸及びそれらのエステル類;(メタ)アクリルアミド、N−メタロール(メタ)アクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミド類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、シクロペンチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、フェニルビニルエーテルなどのビニルエーテル類が挙げられる。これら官能基含有モノマーの中から必要に応じ1種類もしくは2種類以上を適宜選択し共重合したものを用いることができる。
【0024】
またこれらのポリオレフィン系樹脂及び官能基含有ポリオレフィン系樹脂は、その絶縁性や帯電圧の調整のため、グラフト変性物を必要に応じて使用することもできる。
樹脂のグラフト変性には公知の手法を用いることができる。具体的には、不飽和カルボン酸またはその誘導体によるグラフト変性を挙げられる。該不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸等を挙げられる。また上記不飽和カルボン酸の誘導体としては、酸無水物、エステル、アミド、イミド、金属塩等を挙げられる。
具体的には、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、マレイン酸モノエチルエステル、マレイン酸ジエチルエステル、フマル酸モノメチルエステル、フマル酸ジメチルエステル、イタコン酸モノメチルエステル、イタコン酸ジエチルエステル、(メタ)アクリルアミド、マレイン酸モノアミド、マレイン酸ジアミド、マレイン酸−N−モノエチルアミド、マレイン酸−N,N−ジエチルアミド、マレイン酸−N−モノブチルアミド、マレイン酸−N,N−ジブチルアミド、フマル酸モノアミド、フマル酸ジアミド、フマル酸−N−モノエチルアミド、フマル酸−N,N−ジエチルアミド、フマル酸−N−モノブチルアミド、フマル酸−N,N−ジブチルアミド、マレイミド、N−ブチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、(メタ)アクリル酸ナトリウム、(メタ)アクリル酸カリウム等を挙げられる。
【0025】
グラフト変性物は、グラフトモノマーをポリオレフィン系樹脂及び官能基含有ポリオレフィン系樹脂に対して、通常0.005〜10質量%、好ましくは0.01〜5質量%用いてグラフト変性したものを使用し得る。
熱可塑性樹脂フィルムに用いる熱可塑性樹脂としては、上記の熱可塑性樹脂の中から1種を選択して単独で使用してもよいし、2種以上を選択して組み合わせて使用してもよい。
また熱可塑性樹脂フィルムには、上記の支持体層(A)の透明性を損なわない程度に、無機微細粉末および有機フィラーの少なくとも一方を添加したものであっても良い。無機微細粉末または有機フィラーの添加により、フィルムの誘電率を調整することや、熱可塑性樹脂シート同士を貼り付きにくくすることができる。また、後述の延伸工程との組合せにより内部に空孔を形成することが容易となり、熱可塑性樹脂フィルムの軽量化が可能となる。
【0026】
無機微細粉末としては、例えば、炭酸カルシウム、焼成クレイ、シリカ、けいそう土、白土、タルク、酸化チタン、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、アルミナ、ゼオライト、マイカ、セリサイト、ベントナイト、セピオライト、バーミキュライト、ドロマイト、ワラストナイト、ガラスファイバーなどを使用することができる。無機微細粉末を添加する場合には、レーザー回折による粒度分布計で測定した平均粒径が通常は0.01〜15μm、好ましくは0.1〜5μmのものを使用する。
有機フィラーを添加する場合には、熱可塑性樹脂フィルムの主成分である熱可塑性樹脂とは異なる種類の樹脂を選択することが好ましい。例えば、熱可塑性樹脂がポリオレフィン系樹脂である場合には、有機フィラーとして、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ナイロン−6、ナイロン−6,6、環状ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリメタクリレート等の重合体であって、ポリオレフィン系樹脂の融点よりも高い融点(例えば170〜300℃)ないしは高いガラス転移温度(例えば170〜280℃)を有し、かつ非相溶のものを使用することができる。
【0027】
これら無機微細粉末または有機フィラーの熱可塑性樹脂フィルム中への配合量は、総量として、0〜3質量%であることが好ましく、0〜1質量%であることがより好ましく、意図的に添加しないことが特に好ましい。配合量が3質量%以下であれば、上記の全光線透過率を達成しやすく、透明な被着体を介した画像視認性が良好である。
更に熱可塑性樹脂フィルムには、必要に応じて、熱安定剤(酸化防止剤)、光安定剤、分散剤、滑剤、核剤などを添加することができる。熱安定剤を添加する場合は、通常0.001〜1質量%の範囲内で添加する。具体的には、立体障害フェノール系、リン系、アミン系等の安定剤などを使用することができる。光安定剤を使用する場合は、通常0.001〜1質量%の範囲内で使用する。具体的には、立体障害アミン系やベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系の光安定剤などを使用することができる。分散剤や滑剤は、例えば無機微細粉末を分散させる目的で使用する。使用量は通常0.01〜4質量%の範囲内にする。具体的には、シランカップリング剤、オレイン酸やステアリン酸等の高級脂肪酸、金属石鹸、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸ないしはそれらの塩等を使用することができる。
【0028】
[多層化]
熱可塑性樹脂フィルムは、単層構造であってもよく、2層構造、3層以上の多層構造のものであってもよい。熱可塑性樹脂フィルムは多層化により耐電圧性能の向上や、筆記性、耐擦過性、2次加工適性等の様々な機能の付加が可能となる。熱可塑性樹脂フィルムを多層構造にする場合には、公知の種々の方法が使用できるが、具体例としては、フィードブロック、マルチマニホールドを使用した多層ダイス方式と、複数のダイスを使用する押出しラミネーション方式等がある。また、多層ダイスと押出しラミネーションを組み合わせて使用することも可能である。
【0029】
[延伸]
熱可塑性樹脂フィルムは、少なくとも1軸方向に延伸された延伸樹脂フィルムを含むことが好ましい。延伸により得られる熱可塑性樹脂延伸フィルムは、軽量な薄膜であり、厚みの均一性に優れているため面方向に均一で帯電によるムラのない静電吸着力を達成しやすい。熱可塑性樹脂フィルムが多層構造である場合には、これを構成する各層の延伸軸数は、1軸/1軸、1軸/2軸、2軸/1軸、1軸/1軸/2軸、1軸/2軸/1軸、2軸/1軸/1軸、1軸/2軸/2軸、2軸/2軸/1軸、2軸/2軸/2軸であっても良い。
【0030】
熱可塑性樹脂フィルムの延伸は、通常用いられる種々の方法のいずれかまたはその組合せによって行うことができる。具体的な延伸方法としては、ロール群の周速差を利用した縦延伸、テンターオーブンを使用した横延伸、縦延伸と横延伸を組み合わせた逐次2軸延伸、圧延、テンターオーブンとリニアモーターの組み合わせによる同時2軸延伸、テンターオーブンとパンタグラフの組み合わせによる同時2軸延伸などを挙げられる。また、インフレーションフィルムの延伸方法としては、チューブラー法による同時2軸延伸を挙げられる。
【0031】
延伸の倍率は、特に限定されず、熱可塑性樹脂フィルムに用いる熱可塑性樹脂の特性および得られる熱可塑性樹脂フィルムの物性等を考慮して適宜決定する。例えば、熱可塑性樹脂としてプロピレン単独重合体ないしはその共重合体を使用し、これを一方向に延伸する場合の延伸倍率は、通常1.2〜12倍、好ましくは2〜10倍であり、2軸延伸の場合には面積倍率で通常1.5〜60倍、好ましくは4〜50倍である。その他の熱可塑性樹脂を使用しこれを一方向に延伸する場合の延伸倍率は通常1.2〜10倍、好ましくは2〜5倍であり、2軸延伸の場合には面積倍率で、通常1.5〜20倍、好ましくは4〜12倍である。
【0032】
延伸の温度は、熱可塑性樹脂フィルムに主に用いる熱可塑性樹脂のガラス転移点温度以上から結晶部の融点以下の熱可塑性樹脂の延伸に好適な公知の温度範囲内で適宜決定する。具体的には、熱可塑性樹脂フィルムの熱可塑性樹脂がプロピレン単独重合体(融点155〜167℃)の場合は100〜166℃、高密度ポリエチレン(融点121〜136℃)の場合は70〜135℃であり、融点より1〜70℃低い温度である。また延伸の速度は、20〜350m/分にするのが好ましい。
【0033】
熱可塑性樹脂フィルムが前述する無機微細粉末または有機フィラーを含み、且つ延伸されたものであれば、フィルム内部に微細な空孔が形成される場合がある。しかしながらこの空孔は熱可塑性樹脂フィルムの光線透過率を著しく阻害するものである。そのため熱可塑性樹脂フィルムの次式(1)で算出される空孔率は、0〜10%とすることが好ましく、0〜5%とすることがより好ましい。空孔率が10%を超えると空孔による光拡散効果により、熱可塑性樹脂フィルムの光線透過率の低下を招き、望ましい全光線透過率を有する支持体層(A)を得ることが困難となる傾向がある。
【0034】
【数1】
(式(1)中、ρ
0は熱可塑性樹脂フィルムの真密度を示し、ρは熱可塑性樹脂フィルムの密度を示す)
【0035】
上記式(1)における熱可塑性樹脂フィルムの真密度は、該熱可塑性樹脂フィルムを加熱圧縮してフィルムの空孔を取り除いた後に状態調整したサンプルの密度を測定して求める。
具体的には、熱可塑性樹脂フィルムに使用している熱可塑性樹脂の融点あるいはガラス転移点温度よりも10〜150℃高い温度に設定した圧縮成形機を用いて、3MPa以上の圧力で3分間以上圧縮した後、25℃以下に設定した圧縮成形機で3MPaの圧力で3分間以上冷却して熱可塑性樹脂フィルムの空孔を取り除き、熱可塑性樹脂フィルムに使用している熱可塑性樹脂の融点あるいはガラス転移点温度よりも10℃〜70℃低い温度に設定したオーブンを用いて24時間以上状態調整した後、23℃、相対湿度50%の環境で24時間以上状態調整を行い、JIS−K−7112:1999に記載されている方法により密度を測定する。
【0036】
上記式(1)における熱可塑性樹脂フィルムの密度は、熱可塑性樹脂フィルムを10cm×10cmサイズに打ち抜き重量を測定することにより得られた坪量Wf(g/cm
2)とJIS−K−7130:1999に記載の定圧厚さ測定器を用いて測定した厚みTf(cm)を用い、下記の計算式によって求める。
ρ=Wf/Tf
ρ :熱可塑性樹脂フィルムの密度(g/cm
3)
Wf:熱可塑性樹脂フィルムの坪量(g/cm
2)
Tf:熱可塑性樹脂フィルムの厚み(cm)
熱可塑性樹脂フィルムが前述する無機微細粉末または有機フィラーを含み、且つ延伸されたものである場合には、延伸の温度を熱可塑性樹脂の融点近傍まで上げるなどの対応を取ることで、熱可塑性樹脂フィルム中の空孔の形成を低減させることができる。
【0037】
[保護層(B)]
静電吸着シートを構成する保護層(B)は、支持体層(A)の静電吸着力または自身の静電吸着力により支持体層(A)の片面若しくは両面に積層するものであり、支持体層(A)の使用時には感圧粘着ラベルの剥離紙の如く除去される。
保護層(B)は、静電吸着シートを印刷物の表示等に使用するまでの間、内部から外部への電荷の流出を堰き止めるものであり、且つ静電吸着シート内部の静電吸着力が外部に発現することなく静電吸着シートを取扱い易くするものである。
【0038】
そのため保護層(B)は誘電体フィルムを含むものであり、支持体層(A)に接する面が誘電体よりなり、支持体層(A)または自身の静電吸着力によって支持体層(A)に積層可能としている。一方、保護層(B)のもう片面は、帯電防止性能を有することが好ましい。保護層(B)は、その片面に帯電防止性能を有することにより、支持体層(A)の両面に保護層(B)を設けた静電吸着シートは、その両面に帯電防止性能を有するようになる。その結果、積層体である静電吸着シートは外部に静電吸着力を発現せずに、静電吸着シートの運送、保管、印刷などの取扱時に周囲への貼り付きやシート同士の貼り付き等のトラブルが発生し難く、ハンドリング性が良好なものとなる。
【0039】
従って保護層(B)は、支持体層(A)を使用する際には感圧粘着ラベルにおける剥離紙と同様に取り除かれるものであるが、その前段階において支持体層(A)の高い静電吸着力を保護しながら、静電吸着シートの印刷等の取り扱いを容易とするものである。
静電吸着シートにおける保護層(B)の支持体層(A)と接しない側の面(外面)には、感圧粘着ラベルにおける剥離紙と同様に着色や印刷を施すことができる。一方、保護層(B)の支持体層(A)と接する側の面(内面)には、静電吸着性能を有している。このため、静電吸着シートから剥離した保護層(B)は単体で被着体に吸着可能である。この点において感圧粘着ラベルにおける剥離紙とは性質が異なる。この性質により、印刷情報を有する保護層(B)を掲示物として使用することも可能である。
【0040】
保護層(B)は、単層構造でもよく、2層以上からなる多層構造でも良い。前述の通り保護層(B)は、その片面が支持体層(A)と接触して静電吸着可能であり、またその反対面が帯電防止性能を持つように構成すると好ましいことから、多層構造とすることが好ましい。
保護層(B)は、支持体層(A)と接する面は支持体層(A)からの電荷の移動を少なくする観点から絶縁性が優れている誘電体フィルムを含むものであるが、保護層(B)を多層構造とする場合、他方の面は帯電防止性能の付与を考慮して、紙、合成紙、組成の異なる樹脂フィルム、織布、不織布、或いは帯電防止コート層などの公知の素材が適宜選択され、積層することができる。保護層(B)は支持体層(A)の両面に積層するものである場合は、1組の保護層(B)は同一の組成や構造を有するものでも良く、異なる組成や構造を有するものでも良い。
また保護層(B)の誘電体フィルム側の面は、これに直接帯電処理を施して静電吸着力を持たせ、その静電吸着力のより無処理の熱可塑性樹脂フィルムに貼り合せて静電吸着シートとすることも可能である。この場合、支持体層(A)側が保護層(B)の電荷により誘電され、静電吸着力を帯びるものになる。
【0041】
[誘電体フィルム]
誘電体フィルムの例としては、前述の熱可塑性樹脂フィルムで例示したポリオレフィン系樹脂、官能基含有ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、熱可塑性ポリエステル系樹脂等からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂を含むフィルムが挙げられる。
誘電体フィルムの例としては、前述の熱可塑性樹脂フィルムで例示した高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、プロピレン系樹脂、ポリメチル−1−ペンテン等のポリオレフィン系樹脂;エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、マレイン酸変性ポリエチレン、マレイン酸変性ポリプロピレン等の官能基含有ポリオレフィン系樹脂;ナイロン−6、ナイロン−6,6等のポリアミド系樹脂;ポリエチレンテレフタレートやその共重合体、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンサクシネート、ポリ乳酸等の脂肪族ポリエステルを含む熱可塑性ポリエステル系樹脂;ポリカーボネート、アタクティックポリスチレン、シンジオタクティックポリスチレン等の熱可塑性樹脂のフィルムや、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂のフィルムを挙げられる。これらの中でも成形性の優れたポリオレフィン系樹脂、官能機含有ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、熱可塑性ポリエステル系樹脂等のフィルムを用いることが好ましい。
【0042】
保護層(B)は、支持体層(A)の電荷が外部に逃げないように封じこめる役割を担っている。この電荷を封じ込める能力は、比誘電率で整理することができる。誘電体フィルムにおける比誘電率は、好ましくは1.1〜5.0、より好ましくは1.2〜4.0、更に好ましくは1.5〜3.0の範囲である。誘電体フィルムの比誘電率が5.0を超えると、支持体層(A)が電荷を長期間保持できずに、静電吸着力が低下し易くなる傾向がある。一方、比誘電率が1.1未満のものは性能上問題ない筈であるが、空気(真空)の比誘電率よりも低くなる為、このような素材は現在の技術上、入手が困難である。
このような比誘電率は、誘電体フィルムが前述の熱可塑性樹脂フィルムから構成されることや、内部に空隙を形成する加工などにより、所望の範囲を達成することができる。
【0043】
また保護層(B)における支持体層(A)と接する面、即ち誘電体フィルム側の面は、電荷の移動を少なくする観点から、支持体層(A)と同様にその表面抵抗率が高いほど好ましい。具体的には保護層(B)の支持体層(A)と接する面の表面抵抗率は1×10
13〜9×10
17Ωの範囲であることが好ましい。該表面抵抗率は、5×10
13〜9×10
16Ωの範囲であることがより好ましく、1×10
14〜9×10
15Ωの範囲であることが更に好ましい。表面抵抗率が1×10
13Ω未満の場合には、支持体層(A)の電荷が該表面を伝って外部に逃げ易く、支持体層(A)が電荷を長期間保持できずに、静電吸着力が低下し易くなる傾向がある。一方、9×10
17Ωを超えるものは、性能上問題ない筈であるが、現在公知の物質を使用してこの様な高絶縁性の表面を形成することは困難であり、実現できたとしても高コストとなることから実現化が困難である。
【0044】
一方、保護層(B)はその片面に帯電防止性能を有することが好ましい。保護層(B)への帯電防止性能の付与は、後述するコート層(C)を設ける方法や、導電性塗料を塗工して導電層を設ける方法や、直接蒸着、転写蒸着、蒸着フィルムのラミネート等により金属薄膜を設ける方法や、保護層(B)を構成する素材に帯電防止処理した紙、合成紙、樹脂フィルム、織布、不織布や、帯電防止剤を練り込んだ樹脂フィルムを用いてこれを積層する方法などが挙げられる。
帯電防止剤を練り込んだ樹脂フィルムを用いる様態においては、同フィルム面にコロナ放電表面処理やフレーム表面処理を行わないと帯電防止効果が発現しない場合があり、特に延伸フィルムでは表面処理の処理面と未処理面とでは帯電防止効果が大きく異なる場合がある。この現象を利用して、帯電防止剤を練り込んだ熱可塑性樹脂フィルムを延伸したものを誘電体フィルムとし、この片面にコロナ放電等の表面処理を行うことで、単層構造ながら片面に帯電防止性能を有する保護層(B)を形成することも可能である。
【0045】
上記方法により、保護層(B)における支持体層(A)と接しない面、即ち静電吸着シートの外層にくる面、の表面抵抗率は、1×10
-1〜9×10
12Ωの範囲内とすることが好ましく、1×10
0〜9×10
12Ωの範囲とすることがより好ましい。保護層(B)の支持体層(A)と接しない面の表面抵抗率が9×10
12Ωを超えてしまうと、帯電防止性能が充分ではなく、静電吸着シートの周囲への貼り付きやシート同士の貼り付き等のトラブルが発生し易くハンドリング性が劣るものとなり、本発明の所期の性能が得られにくい傾向がある。一方、表面抵抗率が1×10
-1Ωを下回る場合は、静電吸着シートとして性能上問題ない筈であるが、現在公知の物質を使用してこの様な高導電性の表面を形成することは困難であり、実現できたとしても高コストとなることから実現化が困難である。
【0046】
[コート層(C)]
静電吸着シートを構成する熱可塑性樹脂フィルムや誘電体フィルムには、その片面にコート層(C)を設けることが好ましい。熱可塑性樹脂フィルムの片面にコート層(C)を設けたものを用いて静電吸着積層体を一旦作製し、次いで2体の静電吸着積層体のコート層(C)同士を、接着剤を介して貼り合わせて、2枚の熱可塑性樹脂フィルムから構成される支持体層(A)を得ることができる。また、誘電体フィルムの片面にコート層(C)を設けたものを用いて保護層(B)とすることができる。
コート層(C)は、熱可塑性樹脂フィルムや誘電体フィルムに帯電防止性能を付与する為に用いられる。コート層(C)はその組成として、帯電防止剤0.1〜100質量%と、高分子バインダー0〜99.9質量%と、顔料粒子0〜70質量%とを含むことが好ましい。コート層(C)は、これら成分を含む塗工剤として、熱可塑性樹脂フィルムや誘電体フィルム上に直接塗工により設けるか、或いは予め別のフィルム上に塗工してコート層(C)を形成しておき、これを熱可塑性樹脂フィルムや誘電体フィルムにラミネートすることで設けることができる。
【0047】
帯電防止剤は、コート層(C)に帯電防止性能を付与するために添加するものである。具体的には、ステアリン酸モノグリセリド、アルキルジエタノールアミン、ソルビタンモノラウレート、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、アルキルジフェニルエーテルスルフォン酸塩などに代表される低分子量有機化合物系の帯電防止剤;ITO(インジウムドープド酸化錫)、ATO(アンチモンドープド酸化錫)、グラファイトウィスカなどに代表される導電性無機充填剤;ポリチオフェン、ポリピロイル、ポリアニリンなどの分子鎖内のパイ電子により導電性を発揮するいわゆる電子導電性ポリマー;ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンジアミン等の非イオン性ポリマー系の帯電防止剤;ポリビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ポリジメチルアミノエチルメタクリレート四級化物等の第四級アンモニウム塩型共重合体;アルキレンオキシド基および/または水酸基含有ポリマーへのアルカリ金属イオン添加物等のアルカリ金属塩含有ポリマーに代表される帯電防止機能を有するポリマー;などが挙げられる。
【0048】
これらの帯電防止剤はそれぞれに特性がある。例えば、低分子量有機化合物系の帯電防止剤は、環境湿度に帯電防止性能が大きく影響されやすく、最表面にブリードアウトしやすい特徴がある。帯電防止剤のブリードアウトにより、当該熱可塑性樹脂フィルムや誘電体フィルムの静電吸着力が低下する場合がある。またブリードアウトした帯電防止剤が他方フィルムの表面へ転移して帯電防止性能が発現してしまい、結果的に安定した静電吸着力を有する支持体層(A)が得られない場合がある。
導電性無機充填剤は、少量の添加では充填剤同士が接触しないため帯電防止効果が充分に得られない場合がある。また導電性無機充填剤は、充填剤同士が接触しあう程度の量を添加するとバインダー量が著しく少なくなる為、コート層(C)の凝集力が低下し、熱可塑性樹脂フィルムへの接着力の低下や、保護層(B)の表面強度の低下が発生する場合がある。
【0049】
電子導電性ポリマーは、共役系に由来する着色により一般的には黒色、緑色、或いは青灰色の着色が有り、これを用いれば優れた帯電防止効果は得られるものの、くすんだ色の支持体層(A)や保護層(B)となり印刷物の掲示用途には適さない場合がある。
帯電防止機能を有するポリマーは、帯電防止性能が安定しており、他方フィルムの表面への転移性も小さく、着色も殆ど無いことから本発明の静電吸着シートに用いるコート層(C)を構成する帯電防止剤として好ましい。中でも第四級アンモニウム塩型共重合体やアルカリ金属塩含有ポリマーは、帯電防止性能が良好であり、環境湿度の帯電防止性能への影響が小さい為、より好ましい。
コート層(C)は、必要に応じて高分子バインダーを含んでいても良い。該高分子バインダーはその凝集力によって、コート層(C)とこれを設ける熱可塑性樹脂フィルムや誘電体フィルムとの間に良好な密着性を持たせることができる。また、熱可塑性樹脂フィルムを2枚以上貼り合わせて支持体層(A)とする場合には、貼り合わせに用いる接着剤との密着性を向上させることができる。
【0050】
高分子バインダーとしては、ラジカル重合系高分子、縮合系高分子、天然系高分子等が挙げられる。
ラジカル重合系高分子の具体例としては、アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸エステル共重合体、アクリル酸アミド−アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸アミド−アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体、オキサゾリン基含有アクリル酸エステル系重合体等の(メタ)アクリル酸エステル系重合体;ポリアクリルアミドの誘導体;ポリビニルピロリドン;酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体等の酢酸ビニル系樹脂;塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニリデン樹脂、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体樹脂等の塩化ビニル系樹脂;塩素化エチレン樹脂、塩素化プロピレン樹脂等のハロゲン化ポリオレフィン;アクリルニトリル−ブタジエンースチレン共重合体、スチレン−アクリル共重合体樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、アクリルニトリル−ブタジエン共重合体等;ブチラール樹脂等が挙げられる。
【0051】
縮合系高分子の具体例としては、ポリエチレンイミン、炭素数1〜12のアルキル変性ポリエチレンイミン、ポリ(エチレンイミン−尿素)、ポリ(エチレンイミン−尿素)のエチレンイミン付加物、ポリアミンポリアミド、ポリアミンポリアミドのエチレンイミン付加物、およびポリアミンポリアミドのエピクロルヒドリン付加物等のポリエチレンイミン系重合体;ポリエチレングリコール等のポリアルキレングリコール;ウレタン樹脂;ポリエーテル樹脂;ポリエステル樹脂;尿素樹脂;シリコーン樹脂等が挙げられる。
天然系高分子の具体例としては、テルペン樹脂;石油樹脂;酢酸セルロース樹脂、ニトロセルロース樹脂等のセルロース系樹脂;などが挙げられる。
【0052】
これらの高分子バインダーは、いずれか1種を単独で使用してもよいし、2種類以上を混合して使用してもよい。これらの高分子バインダーは、有機溶剤または水に希釈または分散した様態で用いることができる。これらの中でも、ポリエチレンイミン系重合体;ポリエーテルウレタン、ポリエステルポリウレタン、アクリルウレタンなどのウレタン樹脂;若しくは(メタ)アクリル酸エステル系共重合体が、前述の帯電防止機能を有するポリマーとの相性(相溶性)がよく、混溶して塗料とした際に安定しており、塗工しやすく好ましい。
コート層(C)には、必要に応じて、顔料粒子を添加しても良い。顔料粒子の添加によりその表面凹凸付与によるブロッキング防止等の性能向上、紫外線反射材として耐光性や耐候性等の性能付与を図ることができる。これらは求める性能を考慮し適宜選択して使用するものであり、コート層(C)は、顔料粒子を含んでいても良く、含まなくても良い。
【0053】
顔料粒子としては、公知の有機ないし無機の微細粒子が使用できる。具体的な例としては、酸化ケイ素、炭酸カルシウム、焼成クレイ、酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、珪藻土、アクリル粒子、スチレン粒子、ポリエチレン粒子、ポリプロピレン粒子等を使用することができる。顔料粒子の粒子径は、好ましくは20μm以下のものであり、より好ましくは15μm以下のものであり、更に好ましくは3μm以下のものである。顔料粒子の粒子径が20μmを超えると形成したコート層(C)から顔料粒子が脱落しやすくなり粉吹き現象が発生する。コート層(C)中の顔料粒子含有量は、好ましくは0〜70質量%であり、より好ましくは0〜60質量%であり、更に好ましくは0〜50質量%である。顔料粒子の含有量が70質量%を超えると、相対してバインダー樹脂量が不足して、コート層(C)の凝集力不足が発生し、熱可塑性樹脂フィルムへの接着力が低下して熱可塑性樹脂フィルム同士を貼り合せる場合に剥離したり、保護層(B)の表面強度が低下して顔料粒子の脱落による粉吹き現象が発生したりする場合がある。
【0054】
コート層(C)は、上記成分を含む塗工液を調製し、熱可塑性樹脂フィルムや誘電体フィルム上に塗工し、これを乾燥、固化させて塗工層として設けることが可能である。塗工には、従来公知の手法や装置を利用することができる。
またコート層(C)は、熱可塑性樹脂フィルムや誘電体フィルム上にラミネートにより設けることも可能である。この場合はあらかじめコート層(C)を設けた別のフィルムを作成し、熱可塑性樹脂フィルムや誘電体フィルム上にこれをラミネート加工すればよい。ラミネート加工は、通常のドライラミネート、または溶融ラミネート等の手法により行うことができる。
熱可塑性樹脂フィルムや誘電体フィルムへのコート層(C)の設置は、後述する帯電処理を実施する前に行うことが好ましい。コート層(C)の持つ帯電防止性能により、帯電処理後であっても支持体層(A)や保護層(B)の静電吸着力が抑制され、その取扱いが簡便になる。
【0055】
コート層(C)は、熱可塑性樹脂フィルムや誘電体フィルムの片面に帯電防止性能を付与するものである。具体的には、コート層(C)表面の表面抵抗率は1×10
-1〜9×10
12Ω、好ましくは1×10
3〜9×10
11Ω、更に好ましくは1×10
6〜9×10
10Ωの範囲内に調整する。
コート層(C)の表面抵抗率が9×10
12Ωを超えてしまうと静電吸着積層体や静電吸着シートが持つ静電吸着力を充分に抑止できずに、静電吸着積層体同士の貼合加工の際にロールへの貼り付きやシート同士の貼り付き等のトラブルが発生し易い傾向があり、静電吸着シート同士の貼り付き等のトラブルが発生し易い傾向がある。一方、表面抵抗率が1×10
-1Ωを下回る様な高導電性を有するコート層(C)を形成することは技術的に困難であり、形成できたとしても、支持体層(A)の全光線透過率が低くなり支持体層(A)に貼り付けた印刷絵柄の視認性が劣るものとなる恐れがある。また支持体層(A)の静電吸着力が損なわれる恐れもある。
【0056】
コート層(C)の厚みは、0.01〜50μmであることが好ましく、0.05〜30μmであることがより好ましく、0.1〜10μmであることが更に好ましく、0.3〜8μmであることが特に好ましい。厚みが0.01μmに満たない場合には、コート層(C)の均一性を維持することが難しく、安定した帯電防止性能が得られない場合がある。一方50μmを超える場合には、これを熱可塑性樹脂フィルムに設けると、支持体層(A)の静電吸着力や光線透過率が損なわれる傾向があり、また支持体層(A)が重くなりその静電吸着力では自重を支えることができず剥れ落ちやすくなる傾向があり、また支持体層(A)と保護層(B)間の静電吸着力が低下しやすくなる可能性がある。
【0057】
[帯電処理]
本発明の静電吸着シートは、支持体層(A)の熱可塑性樹脂フィルム面および保護層(B)の誘電体フィルム面の少なくとも一方に帯電処理を施し、次いで両者を静電吸着力によって貼合して、(A)/(B)乃至(B)/(A)/(B)の積層体としたものである。
また本発明の静電吸着シートは、支持体層(A)の熱可塑性樹脂フィルム面および保護層(B)の誘電体フィルム面の少なくとも一方に帯電処理を施し、熱可塑性樹脂フィルム面と誘電体フィルム面とを接触させて静電吸着させた静電吸着積層体を一旦作成し、1組の静電吸着積層体の熱可塑性樹脂フィルム同士を接着剤で貼合して(B)/(A)/(B)の積層体としたものでも良い。
【0058】
帯電処理は、熱可塑性樹脂フィルムや誘電体フィルムの内部に電荷を注入することで、これに静電吸着力を持たせるために実施する。
帯電処理は、公知の種々の方法に従って行なうことができる。処理方法としては、例えば、同フィルムを成形した後、同フィルムの表面にコロナ放電やパルス状高電圧を加える方法(エレクトロエレクトレット化法)や、同フィルムの両面を誘電体で保持し、両面に直流高電圧を加える方法(エレクトロエレクトレット化法)や、同フィルムにγ線や電子線等の電離放射線を照射してエレクトレット化する方法(ラジオエレクトレット化法)などが挙げられる。
【0059】
該フィルムへの帯電処理は、好ましくは上記コロナ放電や高電圧を加える方法(エレクトロエレクトレット化法)により行うことが好ましい。エレクトロエレクトレット化法の好ましい例としては、直流高圧電源に繋がった印加電極とアース電極の間に、フィルムを固定して電圧をかける方法(バッチ式、
図9、10参照)や、フィルムを通過させて電圧をかける方法(連続式、
図11〜13参照)が挙げられる。本手法を用いる場合には、主電極(印加電極)に針状のものを等間隔で多数配置した針状印加電極13、16、19、25や、金属ワイヤー(ワイヤー状印加電極)15、18を使用し、対電極(アース電極)に平坦な金属板14や金属ロール17、26を使用することが好ましい。
【0060】
熱可塑性樹脂フィルムの片面にコート層(C)を設けたものや、保護層(B)のようにその片面に帯電防止性能を有している場合には、同表面へのコロナ放電等の帯電処理は、与えた電荷が周囲に散逸してしまう可能性が高く効果的ではない。帯電防止性能を有している面がアース側(金属板14や金属ロール17、26)に接している場合は、特にこのような問題は生じない。
静電吸着シートを構成する支持体層(A)または保護層(B)は、帯電処理後に除電処理を行うことも可能である。除電処理を行なうことにより過剰な帯電を除去して断裁工程、印刷工程等の加工工程でのトラブルを回避することが可能となる。係る除電処理には、電圧印加式除電器(イオナイザ)や自己放電式除電器など公知の手法を用いることができる。これら一般的な除電器は、表面の電荷の除去はできるが、熱可塑性樹脂フィルムまたは誘電体フィルムの内部に蓄積した電荷までは除去できない。したがって除電処理により、支持体層(A)の静電吸着力が大きく損なわれることはない。
【0061】
[静電吸着積層体]
前述の通り静電吸着シートは、熱可塑性樹脂フィルムと保護層(B)とを静電吸着により積層して静電吸着積層体として作成した後に、この2体を接着剤を介して貼り合わせたものでも良い。
静電吸着積層体は、これを構成する熱可塑性樹脂フィルムの帯電防止性能が無い(表面抵抗率が1×10
13〜9×10
17Ωである)面に帯電処理を施し、その面に保護層(B)の誘電体フィルム面を静電吸着により積層したもの、或いは保護層(B)の誘電体フィルム面に帯電処理を施し、その面に熱可塑性樹脂フィルムの帯電防止性能が無い面を静電吸着により積層したものである。
両者の積層は、例えば、
図14に示すように、熱可塑性樹脂フィルムを長尺の巻き取りロール(21)とし、これを巻き出しながら電極(25、26)間を通過させて帯電処理を行い、別に保護層(B)を長尺の巻き取りロール(22)としたものを巻き出し、両者を圧着ロール(29)で加圧接着すれば静電吸着積層体が得られる。
【0062】
また、
図14における電荷注入装置及びその付帯装置を2組使用することにより、1パスで保護層(B)/支持体層(A)/保護層(B)の構成の静電吸着積層体を製造することができる。具体的には、支持体層(A)の片面に1段目の電荷注入を行った後に保護層(B)を積層し、続いて該積層体の支持体層(A)の面に2段目の電荷注入を行った後に保護層(B)を積層して静電吸着積層体が得られる。この時1段目及び/又は2段目の電荷注入を、支持体層(A)表面ではなく、保護層(B)表面に行ってもよい。また、支持体層(A)と保護層(B)の積層は、順次行ってもよく、同時に行ってもよい。その他、本発明を超えない範囲で静電吸着積層体の製造方法を改変することを妨げない。
【0063】
[接着剤]
静電吸着シートを2体の静電吸着積層体を接着して得る場合には、静電吸着積層体同士を接着するために接着剤を用いる。
接着剤としては、水系接着剤、溶剤系接着剤あるいはホットメルト型接着剤等の接着剤を用いることができる。これらの接着剤を一方の静電吸着積層体の熱可塑性樹脂フィルム面上に塗工、散布、溶融押出ラミネート等の手法により設けて、もう一方の静電吸着積層体の熱可塑性樹脂フィルム面をウェットラミネート、ドライラミネートあるいは溶融押出ラミネートする等の通常の手法により2体の接着を行うことができる。または熱融着性フィルムを介して熱可塑性樹脂フィルム同士の接着を行うこともできる。
これらの手法のなかでも、熱可塑性樹脂フィルム同士の接着強度が優れ、得られた支持体層(A)の透明性が優れることから、ドライラミネート法が好ましい。
【0064】
ドライラミネートを行う場合の接着剤としては、例えば、エーテル樹脂、エステル樹脂、ウレタン樹脂、ウリア樹脂、アクリル樹脂、アミド樹脂、エポキシ樹脂等からなる群より選択された樹脂成分を、従来公知の溶剤を用いてその相の中に溶解、分散、乳濁分散、希釈して、流動性を有し塗工を可能とした、溶液型やエマルジョン型の様態の液状の接着剤を挙げることができる。
エーテル樹脂の例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ビスフェノールA等の低分子量ポリオールを開始剤として用いて、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、テトラヒドロフラン等のオキシラン化合物を重合させることにより得られるポリエーテルポリオール、より具体的には、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。
【0065】
エステル樹脂の例としては、多塩基酸と多価アルコールの脱水反応物が挙げられる。多塩基酸としては、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸などが挙げられる。多塩基酸としては、その誘導体であるイソフタル酸ジメチルエステル、テレフタル酸ジメチルエステルを用いることもできる。多価アルコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、トリメチロールプロパン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、水素化ビスフェノールA、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2,4−トリメチルペンタン1,3−ジオール、ポリエチレングリコールなどが挙げられる。エステル樹脂は、前述の多塩基酸を単独あるいは2種以上使用し、且つ前述の多価アルコールを単独あるいは2種以上使用して、これらを脱水重合することで得られる。
【0066】
ウレタン樹脂の例としては、前述の多価アルコール、エーテル樹脂、及びエステル樹脂の少なくとも一種を、イソシアネート化合物の縮合反応物が挙げられる。イソシアネート化合物としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4−ジイソシアネート−1−1−メチルシクロヘキサン、ジイソシアネートシクロブタン、テトラメチレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ジメチルジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、ドデカンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネートまたはイソホロンジイソシアネート等の脂肪族イソシアネート;トリレン−2,4−ジイソシアネート、トリレン−2,6−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、3−メチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、m−もしくはp−フェニレンジイソシアネート、o−、m−もしくはp−キシリレンジイソシアネート、クロロフェニレン−2,4−ジイソシアネート、ナフタリン−1,5−ジイソシアネート、ジフェニル−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニル−1,3,5−トリイソプロピルベンゼン−2,4−ジイソシアネート、カーボジイミド変性ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート等の芳香族イソシアネート;ジフェニルエーテルジイソシアネート等のイソシアネートモノマー類等が挙げられる。さらにウレタン樹脂の分子量を上げると共に、接着力や安定性などの種々の性能を付与するために、多価アルコールで変性したポリイソシアネート化合物を使用することもできる。
【0067】
ウリア樹脂の例としては、前述のイソシアネート化合物と、アミン化合物の縮合反応物が挙げられる。アミン化合物としては、エチレンジアミン、1,2−プロピレンジアミン、1,3−プロピレンジアミン、1,4−ブタンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン等の脂肪族アミン;イソホロンジアミン、ジシクロヘキシルメタンジアミン、メチルシクロヘキサンジアミン、イソプロピリデンビス−4−シクロヘキシルジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン等の脂環式アミン;ピペラジン、メチルピペラジン、アミノエチルピペラジン等の複素環式アミン等が挙げられる。
【0068】
アクリル樹脂の例としては、有機過酸化物を重合開始剤として、アクリル化合物を重合したものが挙げられる。アクリル化合物としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリルニトリル、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸グリシジル等が挙げられる。アクリル樹脂はこれらを単独あるいは2種以上使用し重合することで得られる。
アミド樹脂の例としては、前述の多塩基酸と前述のアミン化合物の縮合反応物が挙げられる。
【0069】
エポキシ樹脂の例としては、多価フェノール類とエピハロヒドリン及び低分子量エポキシ化合物の少なくとも一方を反応して得られるポリグリシジルエーテルの単独縮合反応物や、多価フェノール類と前述のエーテル樹脂、エステル樹脂、ウレタン樹脂、ウリア樹脂、アクリル樹脂、アミド樹脂との縮合反応によって得られる縮合反応物が挙げられる。
多価フェノール類の具体的な例としては、ビスフェノールA(2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン)、ビスフェノールB(2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン)、ビスフェノールE(2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン)、ビスフェノールS(2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルプロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−2−フェニルエタン、ビフェノール、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン等のビスフェノール類が挙げられる。
【0070】
これら接着剤層の塗工は、ダイコーター、バーコーター、コンマコーター、リップコーター、ロールコーター、ロッドコーター、カーテンコーター、グラビアコーター、スプレーコーター、ブレードコーター、リバースコーター、エアーナイフコーター、スライドホッパー等により行われる。その後必要によりスムージングを行い、乾燥工程を経て、接着剤層が形成される。
【0071】
静電吸着シートは、一方の静電吸着積層体の熱可塑性樹脂フィルム面に前述の接着剤を前述の塗工方法で塗工し、乾燥させて接着剤層とし、次いで接着剤層ともう一方の静電吸着積層体の熱可塑性樹脂フィルム面を積層し、圧着ロール(ニップロール)で加圧接着することで得ることができる。
接着剤を塗工で設ける場合の接着剤層の厚みは、乾燥後に、好ましくは0.1〜100μm、より好ましくは0.2〜50μm、さらに好ましくは0.5〜25μmである。接着剤層の厚みが0.1μm以上であれば、塗工ムラにより部分的に接着剤が無い箇所が発性することなく、均一で十分な接着力が得られる。一方100μm以下であれば、接着剤層による光線透過率の低下が少なく支持体層(A)を介して印刷物等を見た場合の視認性が優れたものとなる。
【0072】
また、静電吸着シートをホットメルト型接着剤を使用し溶融押出ラミネートの手法により得る場合は、一方の静電吸着積層体の熱可塑性樹脂フィルム面上に、後述のホットメルト型接着剤をダイより溶融フィルム状に押し出してラミネートし、次いで溶融フィルムともう一方の静電吸着積層体の熱可塑性樹脂フィルム面を積層し、圧着ロールで加圧接着することで得られる。
溶融押出ラミネートを行う場合のホットメルト型接着剤としては、低密度ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン系樹脂;エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体の金属塩(例えばサーリン(登録商標));塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等のハロゲン化ポリオレフィン系樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリブチラール系樹脂;ウレタン系樹脂などが挙げられる。
【0073】
[印刷]
本発明の静電吸着シートは、保護層(B)の支持体層(A)と接しない側の面(外面)に印刷を施すことが可能である。係る印刷としては、オフセット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、レタープレス印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷、感熱記録印刷、熱転写印刷、電子写真印刷などの従来公知の手法を用いることが可能であるが、デザインやサイズの変更が容易であるオフセット印刷、インクジェット印刷が好ましい。さらに印刷インキとしては、油性インキ、水性インキ並びにUVインキが使用可能であるが、乾燥速度が速いUVインキの使用が好ましい。
また、静電吸着シートを構成する支持体層(A)自体、および保護層(B)の支持体層(A)と接する側の面(内面)に本発明の効果を妨げない範囲で印刷を施してもよい。これらの印刷は、帯電処理の前に行うか、積層により得られた静電吸着シートに対して行うことが好ましい。
【0074】
[静電吸着シート]
静電吸着シートより全ての保護層(B)を剥離して得た支持体(A)の任意の一方の面を表側とし、他方の面を裏側としたとき、後述の方法で測定された表側の表面電位(kV)と裏側の表面電位(kV)との積が負の値を示すことが好ましい。支持体(A)に含まれる熱可塑性樹脂フィルムそれ自身は絶縁性であり、その片方の表面に帯電処理を施して電荷が蓄積されると、誘電効果によって反対側の面には極性が異なる電荷が蓄積されるためであり、支持体(A)が積層構造であってもそれは変わらない。静電吸着力の観点から、前記の積は−0.07〜−4.00(kV
2)がより好ましく、−0.30〜−3.00(kV
2)がさらに好ましく、−0.60〜−2.00(kV
2)が特に好ましい。表面電位の積が−0.07(kV
2)以下であれば、本発明の目的とする静電吸着力が得られやすい。一方、−4.00(kV
2)以下の支持体(A)を得ることは技術的には困難である。
【0075】
[表示物]
本発明の静電吸着シートの支持体層(A)は、
図18〜21に示すように、その片方の面に印刷物を貼り付けることによりシール、ラベル、サイン、ポスター、広告等の表示物として使用することができる。この表示物は、粘着剤等を用いずに静電吸着力によって被着体に貼着可能であることから、空気溜りが発生しにくいという利点がある。また同表示物は使用時には静電吸着力が高く、静電吸着力の持続性も充分で長期に亘り被着体上に表示使用することができ、且つ使用後は容易に剥がして印刷物と支持体層(A)を分離することもできる。
また、保護層(B)表面に印刷を施した場合には、支持体層(A)使用時に剥がされた保護層(B)にも静電吸着力が残っていることから、別途これを表示物として使用することも可能である。
【0076】
表示物の例としては、POP(ポスター、ステッカー、ディスプレイ等)、店舗案内(パンフレット、会社案内、品書き、メニュー等)、下敷き(ランチマット、テーブルマット、文房具用品等)、マニュアル(職務、作業、操作等の各種マニュアル、工程表、時間割等)、チャート類(海図、天気図、図表、罫線表等)、カタログ、地図(海図、路線図、屋外用地図等)、店頭価格表、登山ガイド、料理のレシピ、案内板(売り場案内、方向・行き先案内等)、スケジュール表、ロードサイン(葬式・住宅展示場所等)、室名札、校内記録表、表示板(立ち入り禁止、林道作業等)、区画杭、表札、カレンダー(画像入り)、マウスパッド、包装資材(包装紙、箱、袋等)、コースター等を例示することができ、何れも利用可能である。特に、屋内使用を前提とした用途に好適に用いることができる。
【実施例】
【0077】
[評価方法]
(厚み)
本発明における厚みは、JIS−K−7130に準拠し、定圧厚さ測定器((株)テクロック製、商品名:PG−01J)を用いて測定した。
形成した熱可塑性樹脂フィルムが多層構造である場合に、各層の厚みは、測定対象試料を液体窒素にて−60℃以下の温度に冷却し、ガラス板上に置いた試料に対してカミソリ刃(シック・ジャパン(株)製、商品名:プロラインブレード)を直角に当て切断し断面測定用の試料を作成し、得られた試料を走査型電子顕微鏡(日本電子(株)製、商品名:JSM−6490)を使用して断面観察を行い、組成外観から熱可塑性樹脂組成物ごとの境界線を判別して、熱可塑性樹脂フィルム全体の厚みと観察される層厚み比率を乗算して求めた。
【0078】
(表面抵抗率)
本発明における表面抵抗率は、温度23℃、相対湿度50%の条件下で、表面抵抗率が1×10
7Ω以上の場合は、JIS−K−6911に準拠し、2重リング法の電極を用いて測定した。表面抵抗率が1×10
7Ω未満の場合は、JIS−K−7194に準拠し、4端針により測定することによって測定した。
【0079】
(比誘電率)
本発明における誘電体フィルムの比誘電率は、Agilent Technologies社製の「4192A LF IMPEDANCE ANALYZER」を使用し、温度23℃、相対湿度50%の条件下で、直径38mmの主電極と直径56mmの対電極との間に電極直径より大きい試料を表面抵抗率が高い面が主電極側になる様に挟み込み、5Vの電圧を印加し、10Hz〜1MHzの範囲の周波数で測定し、周波数100Hzの測定値を代表値とした。
【0080】
(全光線透過率)
本発明における支持体層(A)の全光線透過率は、JIS−K−7105に準拠し、温度23℃、相対湿度50%の条件下で測定した。全光線透過率の測定には日本電色工業社製の「ヘーズメーター NDH2000」を使用した。
【0081】
(表面電位)
本発明の静電吸着シートから全ての保護層(B)を除去して得た支持体層(A)の表面電位は、15cm×15cmのサイズにした静電吸着シートを温度23℃、相対湿度50%の条件下で24時間以上状態調整した後、支持体層(A)から保護層(B)を剥がして、
図16に示すように、アースが設置された金属板42上に支持体層(A)41を置き、表面電位計43(トレックジャパン(株)製、Model370)を用いて支持体層(A)41と表面電位計43の距離が2mmになる様に設置して測定計44により測定した。
表面電位の測定は任意の一方の面(表面若しくは表側と表記)を測定した後、同一サンプルの表裏を反転して金属版上に置き、他方の面(裏面若しくは裏側と表記)の測定を実施した。又、測定値は
図17に示すように9点の測定箇所45における測定の平均値を用いた。
【0082】
以下に、調製例、製造例、実施例、比較例および試験例を用いて、本発明を更に具体的に説明する。
以下に示す材料、使用量、割合、操作等は、本発明の精神から逸脱しない限り適宜変更することができる。
したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例に制限されるものではない。
【0083】
[調製例]
以下の実施例、比較例で用いるコート層(C)を構成する各成分を下記の手順で調製して得た。
[帯電防止機能を有するポリマー(i)の調製例]
ポリエチレングリコールモノメタクリレート(日本油脂(株)製、商品名:ブレンマーPE−350)100質量部、過塩素酸リチウム(和光純薬工業(株)製、試薬)20質量部、ヒドロキノン(和光純薬工業(株)製、試薬)1質量部、およびプロピレングリコールモノエチルエーテル(和光純薬工業(株)製、試薬)400質量部を、攪拌装置、還流冷却管(コンデンサー)、温度計、及び滴下ロートを装着した四つ口フラスコに導入し、系内を窒素置換し、60℃で40時間反応させた。該反応物にステアリルメタクリレート(和光純薬工業(株)製、試薬)5質量部、n−ブチルメタクリレート(和光純薬工業(株)製、試薬)5質量部、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)(和光純薬工業(株)製、試薬)1質量部を添加し、80℃で3時間重合反応した後、プロピレングリコールモノエチルエーテルを添加して固形分を20質量%に調整し、質量平均分子量約30万、固形分中のリチウム濃度0.6質量%のアルカリ金属塩含有ポリマーからなる帯電防止機能を有するポリマー(i)の溶液を得た。
【0084】
[帯電防止機能を有するポリマー(ii)の調製例]
N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート(三菱ガス化学(株)製)35質量部、エチルメタクリレート(和光純薬工業(株)製、試薬)20質量部、シクロヘキシルメタクリレート(和光純薬工業(株)製、試薬)20質量部、ステアリルメタクリレート(和光純薬工業(株)製、試薬)25質量部、エチルアルコール150質量部と、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)(和光純薬工業(株)製、試薬)1質量部を、攪拌装置、還流冷却管(コンデンサー)、温度計、及び滴下ロートを備えた四つ口フラスコに導入し、系内を窒素置換し、窒素気流下にて80℃の温度で6時間重合反応を行なった。次いで3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドの50質量%水溶液85質量部(和光純薬工業(株)製、試薬)を加え、更に80℃の温度で15時間反応させた後、水を滴下しながらエチルアルコールを留去し、最終固形分として20質量%の第四級アンモニウム塩型共重合体からなる帯電防止機能を有するポリマー(ii)の溶液を得た。
【0085】
[高分子バインダー(iii)の調製例]
2−ヒドロキシエチルメタクリレート(和光純薬工業(株)製、試薬)15質量部、メチルメタクリレート(和光純薬工業(株)製、試薬)50質量部、エチルアクリレート(和光純薬工業(株)製、試薬)35質量部、およびトルエン(和光純薬工業(株)製、試薬)100質量部を、攪拌機、環流冷却管、温度計、及び滴下ロートを装着した四つ口フラスコに仕込み、窒素置換後、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)(和光純薬工業(株)製、試薬)0.6質量部を開始剤として導入し80℃で4時間重合させた。得られた溶液は、水酸基価65の水酸基含有メタクリル酸エステル重合体の50%トルエン溶液であった。次いで、この溶液100質量部に、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体(新第1塩ビ(株)製、商品名:ZEST C150ML)20%メチルエチルケトン溶液を30質量部加え、メチルエチルケトン(和光純薬工業(株)製、試薬)を添加して固形分を20質量%に調整し、高分子バインダー(iii)の溶液を得た。
【0086】
[高分子バインダー(iv)の調製例]
攪拌機、環流冷却器、温度計および窒素ガス導入口を備えた四つ口フラスコに、ポリエチレンイミン(日本触媒(株)製、商品名:エポミン P−1000)25質量%水溶液100質量部、1−クロロブタン(和光純薬工業(株)製、試薬)10質量部、およびプロピレングリコールモノメチルエーテル(和光純薬工業(株)製、試薬)10質量部を導入して窒素気流下で攪拌し、80℃の温度で20時間変性反応を行い、次いでこの溶液に水を添加して固形分を20質量%に調整し、高分子バインダー(iv)の溶液を得た。
【0087】
[高分子バインダー(v)の調製例]
市販のポリアミド・エピクロロヒドリン樹脂(星光PMC(株)製、商品名:WS4024、固形分濃度:25質量%)水溶液を用い、これを高分子バインダー(v)の溶液とした。
以下の実施例、比較例で用いるコート層(C)を構成する塗工溶液を下記の手順で調製して得た。
【0088】
[塗工溶液の調製例1]
常温下、メチルエチルケトンをカウレスミキサーにて静かに攪拌しながら、これに表1に記載の顔料粒子のそれぞれ計量したものを少しずつ加え、固形分濃度20質量%になるように調整した後、カウレスミキサーの回転数を上げて30分間攪拌し顔料分散液を作成した。
次いでカウレスミキサーの回転数を落とし、この顔料分散液に、上記調製例に記載の高分子バインダー(iii)の溶液、帯電防止機能を有するポリマー(i)の溶液、および表1に記載の硬化剤の溶液(酢酸エチルにて固形分20質量%に希釈したもの)をこの順に、表1に記載した配合割合となるように添加し、そのまま20分間攪拌して混合し、その後100メッシュのフィルターを通して粗粒径物の除去を行い、次いでこの溶液にメチルエチルケトンを添加して固形分濃度が20質量%となる様に希釈し、塗工溶液を得た。
【0089】
[塗工溶液の調整例2]
常温下、攪拌機を備えた容器中に、上記調製例に記載の高分子バインダー(iv)の溶液、高分子バインダー(v)溶液、および帯電防止機能を有するポリマー(ii)の溶液をこの順に、表1に記載した配合割合となるように添加し、次いで水を加えて固形分濃度が3質量%となる様に希釈し、そのまま20分間攪拌して混合し、塗工溶液を得た。
【0090】
【表1】
【0091】
[熱可塑性樹脂組成物a〜eの調製例]
以下の熱可塑性樹脂フィルムの製造例で使用する熱可塑性樹脂組成物を表2にまとめて示す。表2に記載した使用原料および配合割合の混合物を、210℃に設定した2軸混練機にて溶融混練し、次いで230℃に設定した押出機にてストランド状に押し出し、冷却後にストランドカッターにて切断して熱可塑性樹脂組成物のペレットを作成し、以降の製造例で使用した。
【0092】
【表2】
【0093】
[熱可塑性樹脂フィルムの製造例1]
熱可塑性樹脂組成物aを230℃に設定した押出機にて溶融混練した後、250℃に設定した押出ダイに供給し、シート状に押し出し、これを冷却装置により60℃まで冷却して無延伸シートを得た。この無延伸シートを、150℃に加熱し、ロール群の周速差を利用して縦方向(MD)に5倍延伸した。次いで、この5倍延伸シートを、60℃まで冷却し、テンターオーブンを用いて再び約155℃に加熱して横方向(TD)に8倍延伸した後、更に160℃に調整した熱セットゾーンにより熱処理を行った。その後60℃まで冷却し、耳部をスリットした後、この2軸延伸フィルムの片面にコロナ放電による表面処理を施し、厚み12μmの2軸延伸樹脂フィルムを得て、これを製造例1の熱可塑性樹脂フィルムとした。
【0094】
[熱可塑性樹脂フィルムの製造例2〜4]
製造例1において、押出ダイに供給する樹脂量を変更すること以外は製造例1と同様にして、表3に記載の厚みの2軸延伸樹脂フィルムを得て、これを製造例2〜4の熱可塑性樹脂フィルムとした。
【0095】
[熱可塑性樹脂フィルムの製造例5]
熱可塑性樹脂組成物bと熱可塑性樹脂組成物aとを、230℃に設定した3台の押出機にてそれぞれ溶融混練した後、250℃に設定した押出ダイに供給し、ダイ内で積層してシート状に押し出し、これを冷却装置により60℃まで冷却して無延伸シートを得た。この無延伸シートを150℃に加熱して縦方向に5倍延伸した。次いで、この5倍延伸シートを、60℃まで冷却し、テンターオーブンを用いて再び約155℃に加熱して横方向に8倍延伸した後、160℃に調整した熱セットゾーンにより熱処理を行った。その後60℃に冷却し、耳部をスリットした後、この2軸延伸フィルムの片面にコロナ放電による表面処理を施し、厚みが49μm、空孔率が5%、3層構造〔各層樹脂組成(a/b/a)、各層厚み(2μm/47μm/2μm)、各層延伸軸数(2軸/2軸/2軸)〕の2軸延伸樹脂フィルムを得て、これを製造例5の熱可塑性樹脂フィルムとした。
【0096】
[熱可塑性樹脂フィルムの製造例6]
熱可塑性樹脂組成物cと熱可塑性樹脂組成物aとを、230℃に設定した3台の押出機にてそれぞれ溶融混練した後、250℃に設定した押出ダイに供給し、ダイ内で積層してシート状に押し出し、これを冷却装置により60℃まで冷却して無延伸シートを得た。この無延伸シートを150℃に加熱して縦方向に5倍延伸した。次いで、この5倍延伸シートを、60℃まで冷却し、テンターオーブンを用いて再び約155℃に加熱して横方向に8倍延伸した後、160℃に調整した熱セットゾーンにより熱処理を行った。その後60℃に冷却し、耳部をスリットした後、この2軸延伸フィルムの片面にコロナ放電による表面処理を施し、厚みが45μm、空孔率が0%、3層構造〔各層樹脂組成(a/c/a)、各層厚み(2μm/41μm/2μm)、各層延伸軸数(2軸/2軸/2軸)〕の2軸延伸樹脂フィルムを得て、これを製造例6の熱可塑性樹脂フィルムとした。
【0097】
[熱可塑性樹脂フィルムの製造例7]
両面にコロナ放電による表面処理を施したこと以外は、製造例6と同様に製造して、これを製造例7の熱可塑性樹脂フィルムとした。
【0098】
[熱可塑性樹脂フィルムの製造例8]
熱可塑性樹脂組成物aを、230℃に設定した押出機にて溶融混練した後、250℃に設定した押出ダイに供給し、シート状に押し出し、これを冷却装置により60℃まで冷却して無延伸シートを得た。この無延伸シートを、150℃に加熱し、ロール群の周速差を利用して縦方向に5倍延伸した。次いで、この5倍延伸シートを、60℃まで冷却し、テンターオーブンを用いて再び約155℃に加熱して横方向に8倍延伸した後、更に160℃に調整した熱セットゾーンにより熱処理を行った。その後60℃まで冷却し、耳部をスリットした後、この2軸延伸フィルムの片面にコロナ放電による表面処理を施し、更に同処理面に調製例1の塗工溶液を、乾燥後の厚みが2μmになる様に塗工して、片面にコート層(C)を有する厚み37μm、空孔率が0%の2軸延伸樹脂フィルムを得て、これを製造例8の熱可塑性樹脂フィルムとした。
【0099】
[熱可塑性樹脂フィルムの製造例9]
熱可塑性樹脂組成物aを、230℃に設定した押出機にて溶融混練した後、250℃に設定した押出ダイに供給し、シート状に押し出し、これを冷却装置により60℃まで冷却して無延伸シートを得た。この無延伸シートを、150℃に加熱し、ロール群の周速差を利用して縦方向に5倍延伸した。次いで、この5倍延伸シートを60℃まで冷却し、テンターオーブンを用いて再び約155℃に加熱して横方向に8倍延伸した後、更に160℃に調整した熱セットゾーンにより熱処理を行った。その後60℃まで冷却し、耳部をスリットした後、この2軸延伸フィルムの片面にコロナ放電による表面処理を施し、更に該処理面に調製例2の塗工溶液を乾燥後の厚みが0.1μmになる様に塗工して、片面にコート層(C)を有する厚み42.1μm、空孔率が0%の2軸延伸樹脂フィルムを得て、該フィルムを製造例9の熱可塑性樹脂フィルムとした。
【0100】
[熱可塑性樹脂フィルムの製造例10]
コロナ放電処理を施さないこと以外は、製造例2と同様にして、これを製造例10の熱可塑性樹脂フィルムとした。
各製造例で得た熱可塑性樹脂フィルムの表面抵抗率を表3にまとめて示す。
【0101】
【表3】
【0102】
[積層体型支持体層(A)の製造例A]
製造例1で得られた熱可塑性樹脂フィルムのロールを2組用意し、一方の熱可塑性樹脂フィルムのコロナ放電処理を行った面に接着剤(東洋モートン(株)製、商品名:TM−329と商品名:CAT−18Bの等量混合液を33質量%に酢酸エチルで希釈したもの)を乾燥後の塗工量が2g/m
2(厚みとして約2μm)となる様にグラビアコーターで60m/minの速度で塗工し、40℃のオーブンで10秒間乾燥した後に、他方の熱可塑性樹脂フィルムのコロナ放電処理を行った面を貼り合わせて、両者を圧着ロールで圧着し、製造例Aの積層体型支持体層(A)を得た。
【0103】
[積層体型支持体層(A)の製造例B〜H]
上記製造例Aにおいて、表4に示す熱可塑性樹脂フィルムの組み合わせに変更したこと以外は製造例Aと同様にして製造例B〜Hの積層体型支持体層(A)を得た。いずれの製造例においても貼りあわせ後の表面はコロナ放電処理を行っていない熱可塑性樹脂フィルム面である。
【0104】
【表4】
【0105】
[保護層(B)の製造例I]
市販の2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱樹脂(株)製、商品名:ダイヤホイル O300、厚み:100μm)を用いてこれを誘電体フィルムとし、この片面に導電性塗料(大日精化工業(株)製、商品名:ネオコンコート 565DR2)を乾燥後の固形分量が2g/m
2(厚みとして約2μm)となるように塗工して、片面にコート層(C)を有する保護層(B)を得た。
【0106】
[保護層(B)の製造例II]
市販のコロナ放電処理した2軸延伸ポリプロピレンフィルム(東洋紡績(株)製、商品名:P2102、厚み:50μm)を用いてこれを誘電体フィルムとし、このコロナ放電表面処理面に、調製例1で調製した塗工溶液を乾燥後の固形分量が2g/m
2(厚みとして約2μm)となるように塗工し、片面にコート層(C)を有する保護層(B)を得た。
【0107】
[保護層(B)の製造例III]
市販の2軸延伸ポリプロピレンフィルム(フタムラ化学(株)製、商品名:FOP−K、厚み:50μm)を用いてこれを誘電体フィルムとし、このコロナ放電表面処理面にポリウレタン系接着剤(東洋モートン(株)製、商品名:TM−329と商品名:CAT−8Bの等量混合液)を固形分量が3g/m
2(厚みとして約3μm)となるように塗工し、乾燥後にアルミ蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルム(尾池工業(株)製、商品名:テトライトPC、厚み:12μm)のアルミ蒸着面が外側となるようにドライラミネートして、片面に金属薄膜を有する保護層(B)を得た。
【0108】
[保護層(B)の製造例IV]
熱可塑性樹脂組成物dを230℃に設定した押出機にて溶融混練した後、250℃に設定した押出ダイに供給しシート状に押し出し、これを冷却装置により60℃まで冷却して無延伸シートを得た。
この無延伸シートを140℃に加熱し、ロール群の周速差を利用して縦方向に5倍延伸した。次いで可塑性樹脂組成物eを250℃に設定した2台の押出機にて溶融混練した後、シート状に押し出して上で調製した5倍延伸シートの両面にそれぞれに積層し、3層構造の積層シートを得た。次いで、この積層シートを60℃まで冷却し、テンターオーブンを用いて再び約150℃に加熱して横方向に8倍延伸した後、更に160℃まで加熱して熱処理を行った。
【0109】
その後60℃まで冷却し、耳部をスリットした後、この2軸延伸フィルムの両面にコロナ放電による表面処理を施し、更に同処理面に調整例2の塗工溶液を乾燥後の厚みが0.1μmになる様に塗工して、肉厚が60μm、空孔率が32%、3層構造〔各層樹脂組成(e/d/e)、各層厚み(15μm/30μm/15μm)、各層延伸軸数(1軸/2軸/1軸)〕の延伸ポリプロピレンフィルムを得た。
この延伸ポリプロピレンフィルムを用いてこれを誘電体フィルムとし、裏面にポリウレタン系接着剤(東洋モートン(株)製、商品名:TM−329と商品名:CAT−18Bの等量混合液)を固形分量が3g/m
2となるように塗工し、乾燥後に片面にコロナ放電による表面処理を施した2軸延伸ポリプロピレンフィルム(東洋紡(株)製、商品名:P2102、厚み:20μm)の表面処理面が接着面となるようにドライラミネートして、片面にコート層(C)を有する保護層(B)を得た。
【0110】
[保護層(B)の製造例V]
市販の2軸延伸ポリプロピレンフィルム(フタムラ化学(株)製、商品名:FOP−K、厚み:50μm)を用いてこれを誘電体フィルムとし、これをそのまま保護層(B)とした。
各製造例で得た保護層(B)の物性(厚み、誘電体フィルムの比誘電率、表面抵抗率)を表5にまとめて示す。
【0111】
【表5】
【0112】
[実施例1]
図14に示す装置を用い、製造例2で得た支持体層(A)を、ロール(21)より巻き出し、該支持体層(A)熱可塑性樹脂フィルム面(未処理面)に、直流式のコロナ放電による電荷注入処理を実施した。電荷注入処理の条件としては、
図14中の針状印加電極(25)とロール状アース電極(26)の距離を1cm、放電電圧を13kVに設定した。
一方、製造例Iで得た保護層(B)をロール(22)より巻き出し、上記で電荷注入処理を実施した熱可塑性樹脂フィルムの電荷注入面と、保護層(B)の誘電体フィルム側の面が接するように積層し、両者を圧着ロール(29)で加圧した後、これを巻取って実施例1の静電吸着シートを得た。
【0113】
[実施例2]
実施例1において、製造例2で得た支持体層(A)の代わりに、製造例IIで得た保護層(B)をロール(21)より巻き出したこと、支持体層(A)の熱可塑性樹脂フィルム面ではなく、保護層(B)の誘電体フィルム面に電荷注入処理を実施したこと、該電荷注入処理時の放電電圧を15kVに設定したこと、および製造例Iの保護層(B)の代わりに製造例3で得た支持体層(A)をロール(22)より巻き出したこと以外は実施例1と同様にして、実施例2の静電吸着シートを得た。
【0114】
[実施例3]
実施例2において、製造例IIの保護層(B)の代わりに製造例IVの保護層(B)を使用したこと、製造例3で得た支持体層(A)の代わりに、製造例4で得た支持体層(A)を使用したこと以外は、実施例2と同様にして実施例3の静電吸着シートを得た。
[実施例4]
実施例1において、製造例2で得た支持体層(A)の代わりに、製造例10で得た支持体層(A)を使用したこと、電荷注入処理時の放電電圧を14kVに設定したこと、製造例Iの保護層(B)の代わりに製造例IIIの保護層(B)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして実施例4の静電吸着シートを得た。
【0115】
[実施例5]
図14に示す装置を用い、実施例1で得られた静電吸着シートを、ロール(21)より巻き出し、該静電吸着シートの熱可塑性樹脂フィルム面(未処理面)に、直流式のコロナ放電による電荷注入処理を実施した。電荷注入処理の条件としては、
図14中の針状印加電極(25)とロール状アース電極(26)の距離を1cm、放電電圧を20kVに設定した。
一方、製造例Iで得た保護層(B)をロール(22)より巻き出し、上記で電荷注入処理を実施した静電吸着シートの熱可塑性樹脂フィルム面(電荷注入面)と、保護層(B)の誘電体フィルム側の面が接するように積層し、両者を圧着ロール(29)で加圧した後、これを巻取って実施例5の静電吸着シートを得た。
【0116】
[実施例6]
実施例5において、実施例1で得られた静電吸着シートの代わりに、製造例IIで得た保護層(B)をロール(21)より巻き出したこと、静電吸着シートの熱可塑性樹脂フィルム面ではなく、保護層(B)の誘電体フィルム面に電荷注入処理を実施したこと、該電荷注入処理時の放電電圧を15kVに設定したこと、製造例Iの保護層(B)の代わりに実施例2で得た静電吸着シートをロール(22)より巻き出したこと以外は実施例5と同様にして、実施例6の静電吸着シートを得た。
[実施例7]
実施例6において、実施例2で得た静電吸着シートの代わりに実施例3で得られた静電吸着シートを用いたこと、電荷注入処理時の放電電圧を15kVに設定したこと以外は実施例6と同様にして、実施例7の静電吸着シートを得た。
【0117】
[実施例8]
図14に示す装置を用い、製造例10で得た支持体層(A)をロール(21)より巻きだし、その片面に、直流式のコロナ放電による電荷注入処理を実施した。電荷注入処理の条件として、
図14中の針状印加電極(25)とロール状アース電極(26)の距離を1cm、放電電圧を14kVに設定した。
一方、製造例IIIで得た保護層(B)をロール(22)より巻き出し、上記で電荷注入処理を実施した支持体層(A)の熱可塑性樹脂フィルム面(電荷注入面)と、保護層(B)の誘電体フィルム側の面が接するように積層し、両者を圧着ロール(29)で加圧した後、これを巻き取って静電吸着積層体とした。
【0118】
次いで上記の静電吸着積層体を同装置の巻きだし側(ロール(21))に再びセットしてこれを巻き出し、上記静電吸着積層体の熱可塑性樹脂フィルム面(未処理面)に、直流式のコロナ放電による電荷注入処理を実施した。電荷注入処理の条件は、放電電圧を17kVに設定したこと以外は上記と同様とした。
一方、製造例Iで得た保護層(B)をロール(22)より巻き出し、上記で電荷注入処理を実施した静電吸着積層体の熱可塑性樹脂フィルム面と、保護層(B)の誘電体フィルム側の面が接するように積層し、両者を圧着ロール(29)で加圧した後、これを巻き取って実施例8の静電吸着シートとした。
【0119】
[実施例9]
実施例1において、製造例2で得た支持体層(A)の代わりに製造例Aで得られた積層体型の支持体層(A)を用いたこと、電荷注入処理時の放電電圧を10kVに設定したこと以外は実施例1と同様にして、実施例9の静電吸着シートを得た。
[実施例10]
実施例2において、製造例3で得た支持体層(A)の代わりに製造例Bで得られた積層体型の支持体層(A)を用いたこと、電荷注入処理時の放電電圧を19kVに設定したこと以外は実施例2と同様にして、実施例10の静電吸着シートを得た。
[実施例11]
実施例3において、製造例4で得た支持体層(A)の代わりに製造例Cで得られた積層体型の支持体層(A)を用いたこと以外は実施例3と同様にして、実施例11の静電吸着シートを得た。
【0120】
[実施例12〜16]
実施例9において、製造例3で得た支持体層(A)、保護層(B)、及び電荷注入処理時の放電電圧をそれぞれ表6記載の通りに設定したこと以外は実施例9と同様にして、実施例12〜16の静電吸着シートを得た。
【0121】
[実施例17]
実施例2において、製造例3で得た支持体層(A)の代わりに製造例1で得た支持体層(A)を用いたこと以外は実施例2と同様にして静電吸着積層体を得た。
上記静電吸着積層体を2組用意し、一方の静電吸着積層体の熱可塑性樹脂フィルム面(コロナ放電処理面)に接着剤(東洋モートン(株)製、商品名:TM−329と商品名:CAT−18Bの等量混合液を33質量%に酢酸エチルで希釈したもの)を乾燥後の塗工量が2g/m
2(厚みとして約2μm)となる様にグラビアコーターで60m/minの速度で塗工し、40℃のオーブンで10秒間乾燥した後に、他方の静電吸着積層体の熱可塑性樹脂フィルム面(コロナ放電処理面)を貼り合わせて、両者を圧着ロールで圧着し、実施例17の静電吸着シートを得た。
【0122】
[実施例18]
実施例1において、製造例Iで得た保護層(B)の代わりに製造例IIで得た保護層(B)を用いたこと以外は実施例1と同様にして静電吸着積層体を得た。
上記静電吸着積層体を2組用意し、一方の静電吸着積層体の熱可塑性樹脂フィルム面(コロナ放電処理面)に接着剤(東洋モートン(株)製、商品名:TM−329と商品名:CAT−18Bの等量混合液を33質量%に酢酸エチルで希釈したもの)を乾燥後の塗工量が2g/m
2(厚みとして約2μm)となる様にグラビアコーターで60m/minの速度で塗工し、40℃のオーブンで10秒間乾燥した後に、他方の静電吸着積層体の熱可塑性樹脂フィルム面(コロナ放電処理面)を貼り合わせて、両者を圧着ロールで圧着し、実施例18の静電吸着シートを得た。
【0123】
[実施例19〜23]
実施例18において、静電吸着積層体における支持体層(A)と保護層(B)の組み合わせを表6に示すものに変更したこと以外は実施例18と同様にして実施例19〜23の静電吸着シートを得た。
[実施例24、25]
実施例18において、静電吸着積層における支持体層(A)と保護層(B)の組み合わせを表6に示すものに変更したことにより、表側の静電吸着積層と裏側の静電吸着積層が異なる組み合わせになったこと以外は実施例18と同様にして実施例24、25の静電吸着シートを得た。
【0124】
[実施例26]
実施例12で得られた静電吸着シートを
図14に示す装置の巻き出し側(ロール(21))にセットしてこれを巻き出し、上記静電吸着シートの熱可塑性樹脂フィルム面(未処理面)に、直流式のコロナ放電による電荷注入処理を実施した。電荷注入処理の条件として、
図14中の針状印加電極(25)とロール状アース電極(26)の距離を1cm、放電電圧を20kVに設定した。
一方、製造例IIで得た保護層(B)をロール(22)より巻き出し、上記で電荷注入処理を実施した静電吸着シートの熱可塑性樹脂フィルム面と、保護層(B)の誘電体フィルム側の面が接するように積層し、両者を圧着ロール(29)で加圧した後、これを巻き取って実施例26の静電吸着シートとした。
【0125】
[比較例1、2]
実施例18において、静電吸着積層体における支持体層(A)と保護層(B)の組み合わせを表6に示すものに変更したこと以外は実施例18と同様にしたが、比較例1、2では静電吸着力を発現せず静電吸着シートが得られず、比較例2では搬送ロールに巻きつき、機械が停止したため、連続的に静電吸着シートが得られなかった。
【0126】
本発明の実施例1〜26および比較例1、2で用いた支持体層(A)と保護層(B)の組み合わせ、加工条件ならびに得られた静電吸着シートより保護層(B)を除去した支持体層(A)の物性および下記試験例に基づく評価結果を表6にまとめて示す。
【0127】
【表6】
【0128】
[試験例]
(ブロッキング)
各実施例、比較例で得た静電吸着シートを、250mm×350mmのサイズにギロチン断裁機にて断裁し、50組の束を作製した。これを温度23℃、相対湿度50%の雰囲気下で1日間保管した後、同雰囲気下で作成した束の上から順に1組ずつ静電吸着シートを10組手で取り出し、下の静電吸着シートとの剥離性および支持体層(A)と保護層(B)間の浮き剥がれの有無を下記の基準で評価した。
○ : 良好 剥離が軽く、10組全てに浮き剥がれは発生せず。
△ : やや良好 剥離は重いが、10組全てに浮き剥がれは発生せず。
× : 不良 剥離が重く、浮き剥がれの発生したシートがある。
【0129】
(静電吸着力)
各実施例、比較例で得た静電吸着シートを、200mm×220mmのサイズにギロチン断裁機にて断裁し、これを温度23℃、相対湿度50%の雰囲気下で1日間保管した後、同雰囲気下で、静電吸着シートの保護層(B)を剥離して、得られた支持体層(A)を
図15に示す静電吸着力測定装置のガラス板32上に、吸着面積が200mm×200mmとなり支持体層(A)31の下端20mm幅分がはみ出す様に貼り付け、次いで支持体層(A)31の下端分にクリップ34を取り付け、釣り糸35を取り付けた10gの分銅36を1つずつクリップ34に追加して行き、支持体層(A)31がガラス板32より滑り落ちた時の分銅36の重さから静電吸着力を平米当りに換算して求めて、以下の基準で評価した。
○ : 良好 吸着力が5000g/m
2以上
△ : やや良好 吸着力が500g/m
2以上、5000g/m
2未満
× : 不良 吸着力が1000g/m
2未満
【0130】
(表示物の吸着性)
A4サイズのインクジェット用紙((株)ユポ・コーポレーション製、商品名:XAB1020)の印字面にインクジェットプリンタ(セイコーエプソン(株)製、商品名:PM−G860)を用いてJIS−X−9204のN7RGB.TIFの絵柄を印刷して印刷物54とした。
次いで各実施例、比較例で得た静電吸着シートを、250mm×350mmのサイズにギロチン断裁機にて断裁し、これを温度23℃、相対湿度50%の雰囲気下で1日間保管した後、同雰囲気下で、表面の保護層(B)55を剥離して前記印刷物54の印刷面を支持体層(A)53に接する様に貼り付け、次いで裏面の保護層(B)55を剥離して支持体層(A)53をガラス板52に貼り付けて
図21に示す表示物51とした。
印刷物を保持した支持体層(A)をガラス板に貼り付ける際の吸着性を、その貼り易さから以下の基準で評価した。
○ : 良好 貼り易く、ズレやシワなどは生じない。
△ : やや良好 貼り難いが、ズレやシワなどは生じない。
× : 不良 印刷物が落下する。
【0131】
(視認性)
前述の吸着性評価で使用した表示物において、ガラス板の反対面(表示物を貼り付けていない面)側から印刷物の印刷絵柄の視認性を以下の基準で評価した。
良好 元の絵柄と遜色なく精細に視認できる。
やや良好 若干白く濁っているが、細かい絵柄も視認できる。
不良 細かい絵柄はぼやけて視認できない。
その結果、実施例1〜19および実施例22〜26の様態のものは、何れも視認性が良好であった。しかし、実施例20および21の様態のものは、被着体を介した視認性が劣り、不良であった。これは当該実施例の支持体層(A)の全光線透過率が60〜100%の範囲にないために起きたものと考えられる。しかしながらこのような様態のものも、被着体が壁など不透明であり、被着体を介した視認を前提としなければ静電吸着シートとして問題なく使用できるものである。
【0132】
表6から明らかなとおり、帯電処理を施した熱可塑性樹脂フィルムを含む支持体層(A)の少なくとも一方の両面に、誘電体フィルムを含む保護層(B)を、静電吸着により積層した、実施例1、4、5、9、12〜16、18〜26の静電吸着シートおよび、熱可塑性樹脂フィルムを含む支持体層(A)の少なくとも一方の両面に、帯電処理を施した誘電体フィルムを含む保護層(B)を、静電吸着により積層した実施例2、3、6、7、10、11、17の静電吸着シートは所定の静電吸着力を有していた。
また、帯電処理を施した熱可塑性樹脂フィルムを含む支持体層(A)の一方の面に、誘電体フィルムを含む保護層(B)を静電吸着により積層する事と、帯電処理を施した誘電体フィルム(B)を、熱可塑性樹脂フィルムを含む支持体層(A)に静電吸着により積層する事とを組み合わせた実施例8の静電吸着シートも所定の静電吸着力を有していた。
なお、実施例1〜4、9〜16のように、静電吸着シートの片面にのみ保護層(B)を設けたものであっても、該シートから保護層(B)を除去した支持体層(A)は、その両面に静電吸着力を有していた。
【0133】
一方、比較例1のシートは、帯電処理を施した熱可塑性樹脂フィルムを含む支持体層(A)の両面に、誘電体フィルムを含む保護層(B)を積層しようとしたものの、静電吸着による積層はできなかった。これは、支持体層(A)の両面の表面抵抗率がそれぞれ1×10
13〜9×10
17Ωの範囲にないために起きたものと考えられる。
また、比較例2のシートは、シートが機械に巻きつくために連続的に生産できず、シート化してもブロッキングを惹起した。これは、静電吸着シートの両表面に存在する保護層(B)の、支持体層(A)と接しない面の表面抵抗率が1×10
-1〜9×10
12Ωの範囲にないために起きたものと考えられる。