(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6363494
(24)【登録日】2018年7月6日
(45)【発行日】2018年7月25日
(54)【発明の名称】回転式操作機構および該機構を用いたカメラコントロールユニット
(51)【国際特許分類】
G05G 1/10 20060101AFI20180712BHJP
G05G 1/08 20060101ALI20180712BHJP
G05G 5/03 20080401ALI20180712BHJP
【FI】
G05G1/10 B
G05G1/08 E
G05G5/03 B
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-260579(P2014-260579)
(22)【出願日】2014年12月24日
(65)【公開番号】特開2016-122259(P2016-122259A)
(43)【公開日】2016年7月7日
【審査請求日】2017年11月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000209751
【氏名又は名称】池上通信機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩本 貴之
【審査官】
前田 浩
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭61−126322(JP,U)
【文献】
特開昭59−186013(JP,A)
【文献】
実開昭63−151024(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05G 1/10
G05G 1/08
G05G 5/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラコントロールユニットに用いられる回転型のポテンショメータの回転角を調整するための回転式操作機構であって、
回転操作が可能なつまみと、
該つまみに連結された一端と前記ポテンショメータに連結される他端とをつなぐシャフトと、
前記シャフトと一体に設けられ、前記シャフトの軸方向に交差する方向に外向きに張り出す張り出し部と、
前記シャフトとは別体に設けられ、前記張り出し部と前記軸方向において対向する対向部と、
前記張り出し部と前記対向部との間に配置されたばねと、
操作に応じ、前記張り出し部と前記対向部との間の前記軸方向の距離を変化させることで前記ばねの変形量を変化させることにより、前記つまみの操作トルクを調節する調節部と、
を備えたことを特徴とする回転式操作機構。
【請求項2】
前記シャフトと同心に配され、且つ前記シャフトとは独立して回転することで前記軸方向に変位可能となるように支持された調節リングを備え、該調節リングは、前記軸方向距離を変化させる回転操作を受容する外周面を前記調節部として有するとともに、前記張り出し部と対向する面を前記対向部として有することを特徴とする請求項1に記載の回転式操作機構。
【請求項3】
前記ばねが波形ばね座金であることを特徴とする請求項1または2に記載の回転式操作機構。
【請求項4】
前記つまみの回転可能な範囲に設定された回転位置においてクリックを発生するクリック発生部をさらに備えたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の回転式操作機構。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の回転式操作機構を備えたことを特徴とするカメラコントロールユニット。
【請求項6】
前記ポテンショメータがテレビカメラの絞りを調整するために用いられるものであることを特徴とする請求項5に記載のカメラコントロールユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転式操作機構および該機構を用いたカメラコントロールユニットに関し、特に放送局のスタジオ等で使用されるテレビカメラを操作するカメラコントロールユニットに用いて好適な回転式操作機構の改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
放送局のスタジオ等で使用されるテレビカメラは、カメラマンによりフォーカスや画角の直接的な調整が行われながら操作される。一方、テレビカメラは、ケーブルを介して接続されたカメラコントロールユニットにより、カメラパラメータの調整(被写体像を分光したRGBの各信号についてのレベル調整、ペデスタルの調整、および絞り(アイリス)の調整など)が行われながら遠隔操作される。
【0003】
一般に、1台のテレビカメラには1人のカメラマンが配置されて撮影作業を行う一方、副調整室に控えたビデオエンジニアと称されるオペレータが複数台のテレビカメラのカメラパラメータの調整を行うことが多い。つまり、1人のオペレータが複数台のカメラコントロールユニットの操作を担当しなければならない状況が多いのである。かかる状況下、カメラコントロールユニットには高い操作性が要望されることになる。特にカメラコントロールユニットにおいて最も頻繁に調整されるアイリスの調整を行うための操作部は、オペレータにとって使い易いもの、とりわけ好ましい操作力を呈するものであることが強く望ましい。
【0004】
アイリス調整用の操作機構には、操作レバー(ジョイスティック)式のものや、回転操作式のつまみを用いたものがあり、操作力に関しては前者に関するものとして特許文献1に記載されたものがある。同文献には、回転基軸を軸中心として操作レバーを傾動させることにより制御量を設定するジョイスティック装置において、操作力すなわち操作レバーのトルク調節をする必要がなく、且つ操作レバーのトルクの経時変化がなく、設定されたトルクが維持することを目的として、回転基軸にスペーサ部材とウエーブワッシャ(波形ばね座金)とを挿通し、回転基軸の端部に設けた円板状蓋体により該ウエーブワッシャを押圧して設定したスラスト圧によって、操作レバーのトルクを設定する構成が開示されている。
【0005】
しかし一人で複数台のカメラコントロールユニットを操作しなければならず、特に頻繁なアイリス調整を行うことが要求されるオペレータからは、自身の使い易さや好みに応じて操作力を容易に設定できる構成が要望されていた。
【0006】
上記した特許文献1が目的とするところは、操作レバーのトルク調節を不要とすること、且つ設定されたトルクが維持することであって、操作力をオペレータの所望に応じて可変とすることは考慮されていない。また、同文献に開示された技術は、操作レバーを用いた傾動操作式の機構に適したものであって、つまみを用いた回転操作式の機構に適した構成は開示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−338327号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
よって本発明は、カメラコントロールユニットに用いて好適な回転式操作機構において、操作力すなわち回転式のつまみを操作する際の操作トルクを、簡単な構成で容易に調節できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そのために、本発明は、カメラコントロールユニットに用いられる回転型のポテンショメータの回転角を調整するための回転式操作機構であって、回転操作が可能なつまみと、該つまみに連結された一端と前記ポテンショメータに連結される他端とをつなぐシャフトと、前記シャフトと一体に設けられ、前記シャフトの軸方向に交差する方向に外向きに張り出す張り出し部と、前記シャフトとは別体に設けられ、前記張り出し部と前記軸方向において対向する対向部と、前記張り出し部と前記対向部との間に配置されたばねと、操作に応じ、前記張り出し部と前記対向部との間の前記軸方向の距離を変化させることで前記ばねの変形量を変化させることにより、前記つまみの操作トルクを調節する調節部と、を備える。
【0010】
また、本発明は、上記回転式操作機構を備えるカメラコントロールユニットに存する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、回転式のつまみを操作する際の操作トルクを、簡単な構成で容易に調節できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明を適用可能なカメラコントロールユニットの概略構成を示す模式的斜視図である。
【
図2】
図1に示したカメラコントロールユニットの上面図である。
【
図3】
図1のカメラコントロールユニットに組み込まれた、本発明の一実施形態に係る回転式操作機構を
図1のIII方向から示す側面図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る回転式操作機構を独立して示す斜視図である。
【
図5】
図4の回転式操作機構をV−V線に沿って破断して示す斜視図である。
【
図6】
図5の破断面をVI方向から見て示す断面図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る回転式操作機構のうち、トルク調節部およびクリック発生部を説明するための斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明を詳細に説明する。
(1)カメラコントロールユニットの概要
まず、
図1〜
図3を用いてカメラコントロールユニットの概要を説明する。
図1および
図2は、それぞれ、本発明を適用可能なカメラコントロールユニットの概略構成を示す模式的斜視図および上面図である。全体を符号1で示すカメラコントロールユニットは、その上面である操作パネル面10に、オペレータの操作を受容する各種の操作部およびオペレータに対し視覚的に情報を提示する各種の表示部を有している。すなわち、
図2に示すように、操作パネル面10には、公知の各部であるカメラ機能操作部20、ディスプレイ/メニュー操作部30、各種機能の選択操作部40、RGBゲインおよびペデスタル調整用のつまみ部50、アイリス/ペデスタル制御部60およびステータス表示部70などが配置されている。
【0014】
アイリス調整用の回転式操作機構100は、カメラコントロールユニット1の操作パネル面10にアイリス/ペデスタル制御部60の一部として配置されたアイリス調整つまみ101と、これに同心に配置されたクリック位置設定ホイール151を有している。図示の例では、アイリス調整つまみ101およびクリック位置設定ホイール151は、オペレータから見て操作パネル面10の手前右側に配置され、つまみ部50等に配される他の調整つまみより大径のものとして示されている。しかしオペレータにとって操作がし易いものであれば、それらの配設位置、形状および寸法は適宜定め得るものである。
【0015】
アイリス調整つまみ101およびクリック位置設定ホイール151に接続される回転式操作機構100の構成要素は操作パネル面10の裏側の、カメラコントロールユニット1の筐体80の内部に収容され、通常はカバー82によって隠されている。カバー82はねじ84によって取り外し可能に筐体80に取り付けられ、カバー82を取り外すことによってトルク調節リング120を露出させることが可能である。なお、このカバー82はかかる形態のものに限られない。例えばヒンジにより筐体80に回動可能に取り付けられる一側部を有したドアなど、適宜の形態のものを採用できる。
【0016】
図1のIII方向から見たアイリス調整用の回転式操作機構100の側面図(
図3)に示すように、トルク調節リング120がアイリス調整つまみ101と同軸に設けられ、これを回転させることでアイリス調整つまみ101の操作力すなわち操作トルクを調節することが可能である。すなわち、トルク調節リング120を
図3において矢印Lで示す方向、または矢印Rで示す方向に回転させることで、操作トルクを強く、または弱く調節することが可能である。また、
図3に示すように、筐体80には、オペレータに向き合う面から見て、トルク調節リング120の回転方向と操作トルクの調節との対応付けを明示するための表示88が設けられていてもよい。かかる表示88は、筐体80の表面に直接形成されたものでもよいし、筐体80の表面に貼着された印刷物の形態であってもよい。
【0017】
(2)回転式操作機構
次に、
図4〜
図7を用いてアイリス調整用の回転式操作機構100の本来的な主要部、トルク調節部およびクリック位置調節部を説明する。
【0018】
(2.1)回転式操作機構の主要部
回転式操作機構100は、アイリス調整つまみ101の回転操作に応じてアイリス調整を行うために、操作パネル面10ないしは筐体80に接続された支持具86により固定支持された主要部を有している。当該主要部は、
図5および
図6に最もよく示されるように、円柱形状のアイリス調整つまみ101に直結されて軸方向に延在するシャフト105と、シャフト105と一体に回転するように連結される回転型のポテンショメータ110のシャフト115と、を有する。ポテンショメータ110は、シャフト115の回転角に応じて分圧された電圧を出力し、この出力はテレビカメラの絞り(アイリス)に対応付けられている。従って、アイリス調整つまみ101の回転操作がシャフト105および115を介してポテンショメータ110に伝達されることで、アイリス調整を行うことができる。
【0019】
(2.2)トルク調節部
シャフト105、例えばそのポテンショメータ110の側に位置する端部には、シャフト105の軸方向に交差する方向に外向きに張り出す環状フランジの形態の張り出し部107が形成され、これにトルク調節部が干渉することで、操作トルクを調節することが可能である。トルク調節部は、トルク調節リング120、トルク調節のための付勢力を発生する波形ばね座金130および支持具86に固定されたリング支持部材140を有する。
【0020】
トルク調節リング120は、軸方向長さの短い中空の円筒状部材として形成されており、オペレータの回転操作を受容するローレット122付きの外周面と、シャフト105の張り出し部と対向する面をなす内向きフランジ124が設けられた上端と、雌ねじ126が内周面に設けられた下端と、を有している。内向きフランジ124が設けられた上端の中心には干渉なくシャフト105を挿通できる開口部が形成されており、従ってトルク調節リング120はシャフト105と同心に配置され、且つシャフト105とは独立して回転可能である。波形ばね座金130は、トルク調節リング120の内向きフランジ124と、アイリス調整つまみ101に連結されたシャフト105の端部の張り出し部107との間に配置される。すなわち、波形ばね座金130は、一端(
図6における下面)において張り出し部107に当接し、他端(
図6における上面)において内向きフランジ124に当接する。支持具86に固定されるリング支持部材140は、開放された上端と、ポテンショメータ110のシャフト115を干渉なく挿通できる開口部が形成された下端と、トルク調節リング120の雌ねじ126と螺合する雄ねじ146(
図7参照)が形成された外周面と、有している。
【0021】
本実施形態において、シャフト105ないし張り出し部107およびリング支持部材140の軸方向位置は固定されている。従って、調節部となるトルク調節リング120の外周面を回転操作することで、トルク調節リング120は軸方向に固定されたリング支持部材140に対して昇降(軸方向に変位)する。この昇降に伴って、シャフト105の張り出し部107と、対向部となるトルク調節リング120の内向きフランジ124との軸方向距離が変化し、波形ばね座金130の変形量すなわち圧縮状態が変わる。すると、シャフト105の張り出し部107に作用する荷重が変わるので、アイリス調整つまみ101を回転させるときの摩擦力ひいては操作トルク調節を行うことが可能となる。よってオペレータは、単にカバー82を開放し、これによって露出するトルク調節リング120を操作するだけで、所望の操作トルクを容易に得ることが可能となる。
【0022】
なお、トルク調節リング120の回転を阻止し、調節したトルクが変化しないようにする構成を付加することができる。当該構成は、例えば
図1に示すように、トルク調節リング120の表面に当接する先端を有するねじ92を含むものとすることができる。このねじ92は、
図4および
図5に示すように、支持具86に固定したブロック94に形成されたねじ穴96に螺合させることで、ねじ92をトルク調節リング120に対して進退可能に保持することができる。
【0023】
また、
図6に示すように、トルク調節リング120の過度の上昇が生じないように、その上昇位置を規制するストッパ128を設けることができる。
【0024】
さらに、張り出し部107の形成位置はシャフト105の一部であればよく、ポテンショメータ110の側に位置するシャフト105の端部でなくてもよい。また、張り出し部107の形状も環状フランジに限られない。
【0025】
(2.3)クリック位置設定部
ポテンショメータ110のシャフト115は、一定の角度範囲で回転可能であり、回転位置に比例した線形出力を行う。その角度範囲は、例えば
図2においてθで示すように定められている。そして、アイリス調整つまみ101に設けた矢印状の指示マーク103が操作パネル面10の長辺方向と平行な方向を指し示している角度範囲θの中間位置(以下、単に「中間位置」という)において、出力の中心値が得られるようになっている。しかし実際には、オペレータは指示マーク103を目視しながらアイリス調整つまみ101の操作を行うことは殆どないと考えられる。特に、一人のオペレータが複数台のカメラコントロールユニット1の操作を担当する場合には尚更である。また、アイリス調整は、中間位置の近傍の回動操作範囲で行われるとは限らず、所望の回動操作範囲の基準、例えば回動操作範囲の中心(以下、「センター位置」という)を中間位置からずれた位置に設定することが望まれる場合もある。
【0026】
以上に鑑みると、アイリス調整つまみ101の回動位置が設定センター位置に一致したときに、オペレータに触感を与える構成を回転式操作機構100に付加することが好ましい。そのために、本実施形態では、以下のような構成のクリック位置設定部を設け、クリックによる報知を行うようにする。
【0027】
本実施形態のクリック位置設定部は、クリック位置設定ホイール151に付随するクリック機構部(以下、「ホイール側クリック機構」という)と、アイリス調整つまみ101に付随する付随するクリック機構部(以下、「つまみ側クリック機構」という)とから構成される。
【0028】
ホイール側クリック機構は、クリック位置設定ホイール151と、クリックガイド153と、連結部155と、波形ばね座金160と、を有する。クリック位置設定ホイール151は、アイリス調整つまみ101の周囲に環状に露出する面を有する皿状の部材であり、その底面の中心には干渉なくシャフト105を挿通できる開口部が形成されている。クリックガイド153は、シャフト105を干渉なく挿通できる開口部を中心に有する上端と、開放された下端と、それらをつなぐ側面部とを有する。クリックガイド153の内面は後述するボール177の摺動を受容するとともに、内面の一部にはボール177との係合が可能な穴または溝(以下、「係合溝」という)157が設けられている。連結部155はクリック位置設定ホイール151とクリックガイド153とを一体に連結する部材であり、シャフト105を干渉なく挿通できる開口部を中心に有している。従って、クリック位置設定ホイール151およびクリックガイド153は一体に、アイリス調整つまみ101およびシャフト105から独立して回転が可能となり、適宜のセンター位置を設定できるようになる。
【0029】
波形ばね座金160は、クリックガイド153の上端と支持具86との間に、適切に圧縮された状態で配設され、クリック位置設定ホイール151の操作に際して適度の操作トルクを付与する。この波形ばね座金160の圧縮量すなわちクリック位置設定ホイール151の操作トルクを調節する機構は付加されていないが、これはクリック位置設定ホイール151に比べてその必要性が少ないからである。
【0030】
つまみ側クリック機構は、ボール177と、ボール177を半径方向外方に付勢するばね173と、これらを保持するボール保持部171と、ボール保持部171をシャフト105に固定するブロック175およびねじ176と、を有する。従って、アイリス調整つまみ101を操作すると、ボール保持部171はシャフト105と一体に回転し、このときボール177はクリックガイド153の内面に摺接しながらガイドされる。その過程でボール177がクリックガイド153の内面の係合溝157に係合/係合解除することで、クリック感を生じさせることができる。
【0031】
以上のとおり、本実施形態のクリック位置設定部によれば、クリック位置設定ホイール151を回転させることで係合溝157の位置すなわちセンター位置の設定が可能となる。そしてオペレータがアイリス調整つまみ101を回転操作し、シャフト側クリック機構のボール177がホイール側クリック機構の係合溝157に係合/係合解除する過程でクリック感が得られるので、オペレータはそれを基準として(すなわち目視に頼ることなく)、アイリス調整つまみ101の操作を行うことができる。
【0032】
なお、シャフト側クリック機構のボール177およびホイール側クリック機構の係合溝157は、アイリス調整つまみ101の矢印状の指示マーク103とクリック位置設定ホイール151のスリット状の指示マーク154とが一致したときに係合が生じる位置に配設されていることが強く望ましい。
【0033】
(3)変形例
本発明は、以上の実施形態および随所に述べた変形例に限定されることなく、添付の特許請求の範囲に記載された発明の精神から逸脱しない限り、構成要素の適宜の修正、変形または変更、もしくは削除または追加が可能であることは勿論である。
【0034】
例えば、アイリス調整つまみを含んだ回転式操作機構を操作する際の操作トルクを、簡単な構成で容易に調節できるようにするという本発明の主たる目的に基づけば、クリック位置設定部の配設は必ずしも必須ではない。逆に、操作トルクの調節が望まれるその他のつまみまたはそれに関連する部位(クリック位置設定ホイール151を含む)があれば、上記と同様のトルク調節部を付加することができる。
【0035】
また、上述の実施形態では、トルク調節リング120が下向きに変位するときに波形ばね座金130を圧縮してシャフト105の張り出し部107に対する荷重を増大させる構成としたが、トルク調節リングが上向きに変位するときに波形ばね座金が圧縮される構成としてもよい。
【0036】
さらに、シャフト105とポテンショメータのシャフト115とは、同時回転するように連結されていれば足り、軸方向には変位可能となるように連結されていてもよい。この場合、例えばアイリス調整つまみ101側のシャフト105の軸方向の変位が許容されるのであれば、シャフト105とシャフト115とをキーとキー溝の係合によって相互回転を阻止し、且つ軸方向の相対変位を可能とする一方、シャフト105の昇降位置を調節することでばねの付勢力ひいては操作トルクが調節されるようにしてもよい。この場合、調節部はシャフト105側に設けられる要素となる。
【0037】
加えて、上述の実施形態では、シャフト側クリック機構のボール177とホイール側クリック機構の係合溝157とがクリック発生部を構成し、それらの係合/係合解除に伴ってクリック感が得られる構成としたが、ホイール側クリック機構側にボールを、シャフト側クリック機構側に係合溝を設ける構成とすることもできる。
【0038】
さらに加えて、上述の実施形態では、操作トルクの調節を行うための付勢力を発生するばねとして波形ばね座金を用いた構成としたが、その他、C形ばね座金、皿ばねまたはコイルばねなどを用いることも可能である。しかし回転式操作機構の小型化ひいてはカメラコントロールユニットの薄型化や、操作トルク調節時にオペレータに負担をかけないばね力を得る観点からは、波形ばね座金の使用が好ましい。また、上述のようにクリック位置設定ホイールへの適度の操作トルク付与に波形ばね座金が使用されている場合、同種の波形ばね座金を使用することは、部品種類数を削減する上でも有効である。
【符号の説明】
【0039】
1 カメラコントロールユニット
10 操作パネル面
100 アイリス調整用の回転式操作機構
101 アイリス調整つまみ
105 シャフト
110 ポテンショメータ
115 ポテンショメータのシャフト
120 トルク調節リング
130、160 波形ばね座金
140 リング支持部材
151 クリック位置設定ホイール
153 クリックガイド
157 係合溝
177 ボール