特許第6363507号(P6363507)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6363507医療用カテーテル及び気道装置の固定用バルーンの過膨張防止装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6363507
(24)【登録日】2018年7月6日
(45)【発行日】2018年7月25日
(54)【発明の名称】医療用カテーテル及び気道装置の固定用バルーンの過膨張防止装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/10 20130101AFI20180712BHJP
   A61M 39/24 20060101ALI20180712BHJP
【FI】
   A61M25/10 540
   A61M39/24 100
【請求項の数】45
【全頁数】31
(21)【出願番号】特願2014-542455(P2014-542455)
(86)(22)【出願日】2012年11月15日
(65)【公表番号】特表2015-501681(P2015-501681A)
(43)【公表日】2015年1月19日
(86)【国際出願番号】US2012065239
(87)【国際公開番号】WO2013074763
(87)【国際公開日】20130523
【審査請求日】2015年11月9日
(31)【優先権主張番号】61/560,489
(32)【優先日】2011年11月16日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509146126
【氏名又は名称】コンバテック・テクノロジーズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CONVATEC TECHNOLOGIES INC
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100084146
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー・カーター・グレゴリー
(72)【発明者】
【氏名】ジン・ユン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ビー・クライン
【審査官】 和田 将彦
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/100187(WO,A1)
【文献】 特表昭58−501012(JP,A)
【文献】 国際公開第1994/002195(WO,A1)
【文献】 米国特許第04116201(US,A)
【文献】 特表2008−541837(JP,A)
【文献】 米国特許第06050973(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/10
A61M 39/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
関連するコネクタを有する加圧された流体供給源と共に使用するように設計された医療用カテーテルの固定用バルーンの流体圧力を制限する装置であって、前記医療用カテーテルの固定用バルーンは、前記医療用カテーテルの固定用バルーンを充填するための前記装置からの供給流路と、前記装置に接続された前記医療用カテーテルの固定用バルーンと接続している戻り流路と流体的に接続し、前記装置は、前記加圧された流体供給源に関連付けられた前記コネクタを受けるための流体入口ポート及び流体出口ポートを有する本体部と、前記本体部の前記流体入口ポート及び前記流体出口ポートに接続している第1流路と、前記戻り流路に接続されている第2流路と、前記第2流路の流体圧力が予め定められたレベルを超過した場合、前記第1流路を通じて流体が流動するのを防止する流体流動防止部とを備え、
前記流体流動防止部は、記第1流路を通じての流体流動が遮断されてない第1位置と前記第1流路を通じての流体流動が遮断されている第2位置との間で可動する可動部材を備え、前記可動部材は、前記所定レベルを超過した前記第2流路の流体圧力に応じて前記第1位置から前記第2位置へ動作可能である、装置。
【請求項2】
前記第2流路のチャンバセクションに配置された可撓性部材をさらに備え、前記可撓性部材は、前記第1流路の開いている部分を画定し、前記可動部材が前記第2位置にある場合、前記開いている部分は前記可撓性部材を圧迫することによって閉じられる、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1流路は、前記流体入口ポートに接続されている第1セクションを備え、第2セクションは、前記流体出口ポートに接続され、前記第1流路の前記開いている部分は、少なくとも部分的に前記第1セクションと前記第2セクションとの間の接続を画定している、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記可動部材は、前記第1位置又は前記第2位置のいずれかに配置されている、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記可動部材を前記第1位置へ付勢する前記可動部材と関連付けられた付勢部材を更に備える、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記可動部材はドーム型バネ要素を備える、請求項2に記載の装置。
【請求項7】
前記ドーム型バネ要素は、硬質又は半硬質材料から形成されている、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記可撓性部材は、膜を含む、請求項2に記載の装置。
【請求項9】
前記可動部材の力を前記可撓性部材に集中する前記チャンバセクションに配置されている集中部材をさらに備える、請求項2に記載の装置。
【請求項10】
前記集中部材は、プラスチック製のディスクを含む、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記第2流路の前記チャンバセクションを通気する通気部材をさらに備える、請求項に記載の装置。
【請求項12】
前記医療用カテーテルの固定用バルーンを膨張させるために前記加圧された流体供給源が前記本体部の前記入口ポートに接続されている場合、前記可撓性部材によって画定されている前記接続を介する以外の前記第1流路の前記第1セクションと前記第2セクションとの間の流体流動を防止するための前記第1流路の前記第1セクションに配置されている一方向弁をさらに備える、請求項3に記載の装置。
【請求項13】
前記ャンバセクション1位置に関連付けられた圧力表示器をさらに備える、請求項に記載の装置。
【請求項14】
前記第1流路の前記第1セクションは第1及び第2ブランチを備え、前記第1流路の前記第2セクションは第1及び第2ブランチを備え、前記接続は、前記第1セクションの前記第1ブランチと前記第2セクションの前記第1ブランチとの間の接続を含み、前記可撓性部材が支持されている前記第1及び第2ブランチの上方に配置されている面を構成する構造をさらに備え、前記面は、前記第1セクションの前記第1及び第2ブランチと前記第2セクションの前記第1及び第2ブランチとそれぞれ整列されたポートと、前記構造面に前記可撓性部材を保持するための保持部とを有し、前記保持部は、前記第1セクションの前記第1ブランチ及び前記第2セクションの前記第1ブランチと整列されている前記ポートに位置合わせされた第1開口部を有し、このため、前記可動部材が前記第2位置にある場合、前記可動部材により、前記可撓性部材が前記第1セクションの前記第1ブランチと整列された前記ポートと前記第2セクションの前記第1ブランチと整列された前記ポートとの間の接続を閉じる、請求項3に記載の装置。
【請求項15】
前記可撓性部材は、前記第2セクションの前記第2ブランチと整列された前記ポートと位置合わせされた孔を有し、前記保持部は、前記可撓性部材の前記孔の上方に配置された第2開口部を備える、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記可動部材が前記第1位置にある場合、流体が前記医療用カテーテルの固定用バルーンから引き出されることを可能にする引出部材をさらに備える、請求項14に記載の装置。
【請求項17】
前記第2流路に配置された圧力解放弁をさらに備え、前記流体流動防止部は、第1の弁及び第2の弁を備え、前記第1の弁は前記流体入口ポートと前記流体出口ポートとの間の前記第1流路に配置され、前記第2の弁は前記体出口ポートと前記圧力解放弁との間の前記第2流路に配置され、そして、前記本体部の前記流体入口ポートに受け入れられる加圧された流体供給源と関連付けられたコネクタに応じて閉位置から開位置まで共に可動させるように、前記第1の弁と前記第2の弁を接続する第1コネクタを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項18】
前記第1の弁と前記第2の弁を前記開位置から前記閉位置へ可動するように付勢する付勢部材をさらに備える、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記第1コネクタは、前記第1流路と前記第2流路との間を延びており、前記第2流路から前記第1流路を密封する密封部材をさらに備える、請求項17に記載の装置。
【請求項20】
前記第2の弁は、ダックビル型弁を含む、請求項17に記載の装置。
【請求項21】
前記流体流動防止部は、前記流体入口ポートと前記流体出口ポートとの間の前記第1流路に配置された通常開いている弁と、前記第2流路に配置された可撓性部材と、前記第2流路の前記流体圧力が前記所定のレベルを超過した場合に前記弁を閉じるために、前記可撓性部材と前記弁とを接続する第2コネクタとを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項22】
第2流路から前記第1流路を密封するための密封部材をさらに備える、請求項21に記載の装置。
【請求項23】
前記第2流路は、開口部を有する壁を備え、前記可撓性部材は、前記壁の開口部と関連付けられている、請求項21に記載の装置。
【請求項24】
前記流体流動防止部は、前記流体入口ポートと前記流体出口ポートとの間の前記第1流路に配置された通常開いている弁と、記第2流路に配置された前記可動部材と、前記所定レベルを超過した前記第2流路の流体圧力によって前記可動部材が前記第2位置へ可動される場合、前記可動部材と前記弁を接続する接続部材とを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項25】
前記可動部材は、双安定の可動部材を備える、請求項24に記載の装置。
【請求項26】
前記双安定の可動部材は、ドーム型バネ要素を含む、請求項25に記載の装置。
【請求項27】
前記ドーム型バネ要素は、硬質又は半硬質部材から形成されている、請求項26に記載の装置。
【請求項28】
前記可動部材は、前記ドーム型バネ要素に近接して配置された隔膜をさらに備える、請求項26に記載の装置。
【請求項29】
第2流路から前記第1流路を密封する密封部材をさらに備える、請求項24に記載の装置。
【請求項30】
前記流体流動防止部は、前記流体入口ポートと前記出口ポートとの間の前記第1流路の弁と、前記第2流路に配置され、前記医療用カテーテルの固定用バルーンと接続する前記戻り流路と接続されている戻りバルーンと、前記戻り流路体圧力が前記所定のレベルを超過した場合、前記弁が前記第2流路の前記戻りバルーンの膨張によって閉じられるように、前記第2流路の前記戻りバルーンと前記弁を接続する第3コネクタとを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項31】
前記第2流路の前記戻りバルーンは、前記第3コネクタが通って延びている中央開口部を規定するトロイダル形状を有している、請求項30に記載の装置。
【請求項32】
前記第1流路は可撓性管を備え、前記流体流動防止部は、前記医療用カテーテルの固定用バルーンに接続されている前記戻り流路に接続されている前記第2流路に戻りバルーンを備え、前記所定レベルを超過した前記戻り流路の加圧された流体によって前記バルーンが膨張された場合、前記第2流路の前記バルーンは前記可撓性管を閉じる、請求項1に記載の装置。
【請求項33】
前記可撓性管は、「U」字型セクションによって接続されている第1及び第2の実質的に平行なセクションを備える、請求項32に記載の装置。
【請求項34】
前記第2流路の前記戻りバルーンと前記可撓性管との間に介在する圧力板をさらに備える、請求項32に記載の装置。
【請求項35】
前記圧力板に関連付けられた圧力表示器をさらに備える、請求項34に記載の装置。
【請求項36】
前記本体部の前記流体入口ポートに関連付けられた弁をさらに備え、前記加圧された流体供給源に関連付けられた前記コネクタが前記本体部の前記流体入口ポートに受け入れられた場合、前記弁は通常閉位置にあり開位置へ可動する、請求項1に記載の装置。
【請求項37】
前記流体流動防止部は、前記第2流路のポートと、前記ポートに関連付けられたダックビル型逆止弁と、前記ダックビル型逆止弁を開くために前記本体部の前記流体入口ポートに受け入れられる前記加圧された流体供給源と関連付けられた前記コネクタによって作動される作動部材とを備える、請求項36に記載の装置。
【請求項38】
前記戻り流路と前記ダックビル型逆止弁との間の前記第2流路に配置された傘型圧力解放弁をさらに備え
前記戻り流路の圧力が所定の圧力のレベルを超過した場合、前記傘型圧力解放弁は、開き、余剰流体の通過を許容し、前記医療用カテーテルの固定用バルーンの膨張中の余剰流体の排出を許容する、請求項37に記載の装置。
【請求項39】
前記傘型弁を前記閉位置に向かって付勢する付勢部材をさらに備える、請求項38に記載の装置。
【請求項40】
前記加圧された流体供給源に関連付けられた前記コネクタは、注射器の一部である、請求項36に記載の装置。
【請求項41】
前記加圧された流体供給に関連付けられた前記コネクタは、ルアー型コネクタを含む、請求項36に記載の装置。
【請求項42】
前記加圧された流体供給源は、注射器を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項43】
前記加圧された流体供給原に関連したコネクタは、ルアー型コネクタを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項44】
前記戻り流路の流体出口の流体圧力が前記所定レベルを超過した場合、視覚的に表示する視覚的なインジケータをさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項45】
前記第2流路は、壁を有し、前記圧力表示器は、通常位置と拡張位置との間で可動する前記壁に関連付けられた可動部材を含み、前記圧力表示器は、前記第2流路の流体圧力が所定のレベルを超過したことに応じて、前記通常位置から前記拡張位置まで可動する、請求項44に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、膨張可能な固定用バルーンを有する医療用装置に関する。特に、糞便処理システム又は気管内挿入管の過膨張を防止する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
優先権は、2011年11月16日に出願された仮特許出願番号61/560489に基づいて主張されている。
【0003】
例えば、クリストファーC.グレゴリー(Christopher C. Gregory)に対して2011年9月13日に発行された米国特許番号8016816に開示されている糞便処理システムは、ここで参照することで組み込まれているが、当該技術分野において公知である。上記のグレゴリーの特許に開示されているシステムは、細長く可撓性を有する管状要素、又は肛門括約筋を通じて直腸のような体腔内に導入されるように設計されている末端を有するカテーテルから形成される医療用装置である。カテーテルの基端は、糞便排泄物の収集容器に接続されている。
【0004】
カテーテルの末端の外面取り付けられているのは、体腔内でカテーテルの末端を保持するのに役立つ膨張可能なバルーンである。バルーンは、体腔内に挿入された後、流体供給管又は管腔を通じて、空気、水、又は生理食塩水のような流体を用いて適切な直径まで膨張される。流体供給管腔は、注射器のような加圧された膨張流体供給源に接続されている。注射器はまた、バルーンを収縮させるために供給管腔を通じて膨張流体を回収するためにも使用される。
【0005】
第2の管腔は、灌流液を送るために設けられても良い。灌管腔の一端は、カテーテルの末端でポートを介して延びている。
【0006】
カテーテルの末端と固定用バルーンは、体組織を傷つけないように滑らかで柔軟な、例えばシリコンで全体を形成されている。
【0007】
固定用バルーンはカテーテルの末端を覆っており、好ましくは完全に膨張した際に環状の形状を有する。バルーンの壁は、バルーンが最終形状まで膨張されることを可能にする材質からなり、完全に膨張された形状で製造されても良い。
【0008】
固定用バルーンが過膨張すると、直腸組織に過度の圧力を付加することがあるため、膨張可能な固定用バルーンを使用した糞便処理システムは、慎重に使用する必要がある。その圧力により、体腔内で利用可能な空間よりも大量の流体でバルーンが充填されることになる。従って、全ての糞便処理システムには、各メーカが安全と設定した、固定用バルーンのための最大容量が示されている。しかしながら、このバルーンの最大容量は、過膨張したバルーンによって超過することがあり、バルーンを覆う柔軟な組織を損傷することになる。
【0009】
同様に、気管内挿入管は、体腔内にカテーテルの末端を保持し、気管内に空気シールを形成するのに役立つ膨張可能なバルーンをカテーテルの末端の外面に取り付けている。バルーンは、気管内に挿入された後、流体供給管又は流体供給管腔を通じて、空気のような流体で適切な直径まで膨張される。供給管腔は、注射器のような加圧された膨張流体供給源に接続されている。注射器はまた、バルーンを収縮させるため、供給管腔を通じて膨張流体を引き出すためにも使用される。気管内挿入管では、固定用バルーンは、カテーテルの末端を覆っており、好ましくは完全に膨張した際に環状の形状を有する。バルーンの壁は、バルーンが最終形状まで膨張されることを可能にする材質からなり、完全に膨張した形状で製造されてもよい。
【0010】
固定用バルーンを使用した気管内システムは、固定用バルーンが過膨張すると、気管内の粘膜組織に過度の圧力を付加することがあるため、慎重に使用する必要がある。その圧力により、気管内で利用可能な空間よりも大量の流体でバルーンが充填されることになる。従って、全ての気管内挿入管には、各メーカが安全と設定した、固定用バルーンのための最大容量が示されている。しかしながら、この最大バルーン容量は、過膨張したバルーンによって超過することがあり、バルーンを覆う柔軟な組織を損傷することになる。
【0011】
1つの市販の入手可能な糞便処理システム(Flexi-Seal(登録商標) SIGNALTM FMS)は、バルーンが適切に充填された場合に臨床医に知らせる表示器と共に入手できるが、続いて、臨床医が最初に固定用バルーンを過膨張させるか、又はカテーテルを使用した後、バルーンにさらに多くの流体を追加する場合があり、潜在的に危険な状況となっている。
【0012】
別の開示されたシステムでは、圧力解放弁を有するカテーテルを使用する。しかしながら、短期間の直腸の筋収縮が使用時に頻繁に起こるため、この手法は、実用的であることが証明されていない。気管内では、呼吸サイクル間に高圧過程が存在する。それらの高圧条件下で膨張流体が漏出することが可能であれば、装置の固定は犠牲になるであろうし、カテーテルは排出されるか、又は密封されなくなる。従って、これらの手法のいずれも有効であるとは証明されていない。
【0013】
過膨張に対する別の可能な手法は、バルーンに供給される膨張流体の量を電子的に測定することであろう。管を介して流れる流体の体積を正確に測定するためには、流体の流量と流体が流動している時間を測定することが必要である。その後、それらの値は、管を通過した流体の総量を計算するために乗算される。これは典型的には、加熱されたプローブを横切る流体の冷却能力を利用した流量の電子的なリアルタイム測定、及び、計算を実行するマイクロプロセッサを介して行われる。
【0014】
過度の流体の供給を防止するために、その後、この計算結果により弁を制御するか、又はさらなる流体がバルーンに追加されるのを防止するための警告を作動させる必要がある。明らかに、バルーンを膨張させるために使用される流体の総量を計算するこの方法を使用する装置は、複雑でコストがかかる。さらに、それらの装置では、流体をバルーンに供給するのと同様にバルーンから引き出すことができる、かつ、できる必要があるという事実を考慮することが困難である。なぜなら、それらの装置は流動方向の間で容易に差異を設けることができないためである。簡単で安価なオプションが好ましく、それは本発明によって提供される。
【0015】
本発明は、膨張可能な固定用バルーンを有するカテーテルを含む種類の糞便処理システム又は気管内挿入管の一部として使用するために設計された装置に関する。本装置は、流体膨張システムの一部として利用され、特定量又は特定圧力のカテーテルバルーンへの膨張流体の流動を制限することによって、固定用バルーンの過膨張を防止するいくつかの異なる装置構成及び操作モードが開示されている。
【発明の概要】
【0016】
カテーテルの固定用バルーンの過膨張を防止するための2つの異なる基本的な手法が提案されている。1つの手法は、バルーンが加圧された流体供給源から充填される際にバルーン内の流体圧力を監視し、バルーン内が予め定められた圧力レベルに達した後、さらなる流体がバルーンに流入するのを防止することを含む。もう1つの手法は、バルーンに供給された流体の量を監視し、バルーンに予め定められた流体量が供給された後、さらなる流体がバルーンに流入するのを防止することを含む。
【0017】
圧力監視手法を用いた本発明の好ましい第1実施形態では、装置は、バルーンの圧力を監視することでカテーテルの固定用バルーンの過膨張を防止するために、カテーテルの充填ポートに組み入れられる。バルーン内の圧力が予め定められたレベルを超過すると、バルーン内への流体の流動を停止する充填ラインの弁を閉じるために、装置は、供給管腔とは別の戻り管腔を含む、バルーンとの流体接続における圧力を利用している。
【0018】
加圧下の流体は、装置本体の入口ポートに供給される。本体の入口ポートから本体の出口ポートまで流体を運ぶ経路を形成するために、その後者はバルーンの供給管腔に接続されているが、本体の圧力キャップの弁は本体のベースに固定されている。弁は、固定用バルーンの過充填を防止するために、流体流動経路を密封するための、可撓性膜を押圧する位置へ可動する圧力応答変形部材を利用している。
【0019】
変形部材は、より低圧のバルーンでより高圧流体の流動の停止を可能にするために、膜の下方の流路面積よりも著しく大きい面積を有している。好ましくは、膜を押圧する可動部材は、所定圧力レベルに達すると急激に変形するドーム型又は他の構造である。最も好ましくは、その構造は、一方が膜から遠方に位置し、従って充填ラインを遮断せず、そしてもう一方が流体の流動を遮断する膜を圧迫する、2つの位置の間で移動可能であるように双安定であるスナップドームを組み込んでいるか、又はスナップドームとして形成されている。
【0020】
装置本体は、カテーテルのバルーンを通過する場合を除いて、その間を流体が通過することのない2つの成形部品から構築されている。弁が閉じる前又は同時に合図する一体化された表示器が設けられていてもよい。
【0021】
逆止弁は、バルーンを収縮させるために、供給管腔を通じてバルーンから流体を取り除くことを可能にする流路を制御するために使用される。逆止弁要素は、以下に詳細に記載するように、ボール型、フラップ型、ダックビル(duckbill)型、又は傘型の弁であってもよい。逆止弁要素はまた、可撓性膜と組み合わせて使用される2以上の離間した流路から構成されてもよい。
【0022】
好ましくは、装置の変形構造は、成形されたシリコンラバー、ポリウレタン、又は他の熱可塑性エラストマーである。
【0023】
より具体的には、糞便処理システムのカテーテル固定用バルーンの過膨張を防止する装置が提供される。糞便処理システムは、関連する接続部を有する加圧された流体供給源と共に使用するように設計されている種類のものである。固定用バルーンは、供給ラインへの流体ポート及び戻りラインへの流体ポートを有する。装置本体は、加圧された流体供給源に関連付けられたコネクタを受けるための流体入口ポートを有する。本体は、膨張中に固定用バルーンに流体を供給することを可能にし、及び、収縮中に固定用バルーンから流体を引き出すことを可能にする、流体入口ポート及び流体出口ポートに接続する第1の流路を有する。本体内の第2チャンバは、固定用バルーンと同じ又は非常に近い流体圧力であるように、戻り管腔によって流体戻りバルーンに接続されている。戻りラインを通じて最小の圧力低下を生じる戻りライン内の流れがほとんどないため、チャンバは、バルーン圧力に非常に近い圧力を維持する。本体の第2チャンバの流体圧力が予め定められた圧力レベルを超過する場合、本体の第1流路を通る流体流動を防止する手段が設けられてもよい。
【0024】
流体流動を防止する手段は、様々な形態をしていてもよい。好ましい一実施形態では、可動手段は、第2即ち戻りチャンバを、バルーンの流体戻りポートに接続された第1部分と第2部分に分割するために設けられている。可動手段は、第1流路を通じた流体流動が遮断されていない第1位置と第1流路を通じた流体流動が遮断されている第2位置との間で移動可能である。可動手段は、予め定められた圧力レベルを超過した第2チャンバの第1位置の圧力に応じて、その第1位置からその第2位置へ可動される。
【0025】
可撓性手段は、第2チャンバの第2位置に配置されている。可撓性手段は、第1流路の通常時開いている部分を画定している。可動手段がその第2位置にある場合、第1流路のその部分は、可撓性手段を押圧する可動手段によって閉じられている。
【0026】
第1流路は、本体の流体入口ポートに接続された第1部分と、本体の流体出口ポートに接続された第2部分とを含む。第1流路の通常時開いている部分は、第1流路の第1部分と第2流路の第2部分との間の接続を少なくとも部分的に画定している。
【0027】
可動手段は、第1位置又は第2位置のいずれかに配置されている。手段は、その第1位置へ向かって可動手段を付勢するように可動手段と関連付けられている。
【0028】
この好ましい実施形態の一変形では、可動手段は、ドーム型部材の形状をしている。ドーム型部材は、硬質又は半硬質材料で形成されている。
【0029】
可撓性手段は、膜の形状をしていてもよい。第2流路の第2位置に配置された手段は、可動手段の影響を可撓性手段に集中するために設けられている。
【0030】
第2チャンバの第2位置に通気する手段は、別の方法で可動手段の下方の第2チャンバの第2位置に閉じ込められた空気を逃がすことができるように設けられている。このようにして、可動手段は、その第1位置からその第2位置へ可動できる。
【0031】
一方向逆止弁は、第1流路の第2部分の間に配置されている。その弁は、加圧された流体供給源が固定用バルーンを膨張させるために流体入口ポートに接続されている場合、可撓性手段によって画定された接続を通じた場合を除いて、第1流路の第1部分から第1流路の第2部分への流体が流動するのを防止する。
【0032】
圧力表示手段は、上記第2チャンバの第1位置と関連付けられていてもよい。
【0033】
好ましい第1実施形態の別の変形では、第1流路のセクションは、第1及び第2のブランチ(branch)にそれぞれ分割されている。第1流路のセクション間の接続は、第1セクションの第1ブランチと第2セクションの第2ブランチとの間の接続である。ブランチの上方に配置されている表面を含む構造は、可撓性手段を支持するために設けられている。表面にはそれぞれ、第1セクションの第1及び第2ブランチと整列され、第2セクションの第1及び第2ブランチと整列されたポートを有する。保持部は、構造表面上の所定の位置に可撓性手段を保持するために設けられている。保持部は、第1セクションの第1ブランチ及び第2セクションの第1ブランチと整列されたポートの上方に配置された第1開口部を有する。可動手段が第2位置にある場合、可動手段により、膜は第1セクションの第1ブランチと整列されたポートと第2セクションの第1ブランチと整列されたポートとの間の接続を閉じる。
【0034】
可撓性手段は、第2セクションの第2ブランチと整列されたポートの上方に配置された孔を有する。保持部はまた、可撓性手段の孔の上方に配置された第2開口部を含んでいる。
【0035】
複数のブランチ構造により、第1流路のセクション間で個別的な充填用逆止弁の必要性がなくなる。これにより、可動手段及び可撓性手段は、所定の圧力レベルを超過した場合に流体の第1流路を通じた流動の防止を可能にすると同時に、可動手段がその第1位置にある場合にバルーンを収縮させるために流体がバルーンから引き出されることを可能にする。
【0036】
本発明の第2の好ましい実施形態では、バルーンの膨張中、充填容積は固定されており、圧力超過することになる流体は漏出することが可能であるが、それは膨張中のみである。これにより、バルーン内の圧力に応じてバルーンに保持される流体量を制限することで、固定用バルーンの過膨張が防止される。膨張過程中、バルーン内の流体は圧力解放弁へアクセスできるが、一旦、膨張過程が終了すると、バルーン流体は解放弁から隔離される。従って、通常使用中の圧力の脈動は、バルーンを収縮させず、装置は使用可能な状態を維持している。
【0037】
好ましい構造は、供給管腔を通じた圧力低下が膨張中は非常に大きいため、圧力解放弁と供給管腔を通じたバルーンとの間の接続を行わないことである。この大きな圧力低下により、固定用バルーンに向かうよりもむしろ、圧力解放弁から流体が容易に流出することになる。
【0038】
一変形では、加圧された流体供給源、典型的には注射器に関連付けられたコネクタを本体の流体入口ポートへの挿入することにより、2つの弁を開く。第1の弁は、注射器と固定用バルーンとの間の流路に配置されている。その弁は、流体がバルーンから漏出するのを防止する。第2の弁は、戻りライン及び圧力解放弁と直列にバルーンからの戻り流路に配置されている。
【0039】
第2の弁は、注射器がポートに受けられている場合のみ、開いた状態を保持される。第2の弁が開いた状態を保持することにより、圧力解放弁でバルーン内の圧力超過を防止できる。2つの注射器作動型弁が機械的に接続されているが、第2の弁が開いている場合、一方から他方への流路はバルーンを介して流動する。第2の弁が閉じている場合、圧力解放弁への流体の流動は停止する。その後、圧力はシステム全体で等しくなり、2つの弁の間の流れは無関係となる。
【0040】
第2の弁を機構的に開くのは、機械的な要素を押圧する外部要素、即ち注射器によって行うことができる。これにより、機構とユーザが干渉する可能性が生じるため、これらの要素の保護は、機構とユーザが干渉するのを防止するために使用されてもよい。
【0041】
特定の構造では、注射器により第1の弁を開く際に可動する機構は、第2の弁の駆動要素として動作するように延びている。注射器作動型弁では、接続中、注射器の先端は弁棒を押圧し、弁棒のシール表面を弁座から押し離し、このようにして、弁を開いて流体の通過を可能にする。弁棒は、弁棒の後部に配置されているか、又は一体化されているバネからの戻り力及び密封力を有している。
【0042】
弁棒へ延びは、バネの中心を通じて延びており、別のチャンバ内へのシールを有する本体部の壁の開口部を通過している。第2チャンバでは、延びた弁棒の先端が、第2のシール部と接続している。注射器先端が弁棒を内部へ押圧する場合、その運動は第2チャンバに至るまで継続し、延びた先端がその弁座から第2のシールを離して持ち上げる。この第2の弁を開くことで、圧力解放弁への流路が開く。
【0043】
2つのチャンバ間のシールは、注射器が接続されているときのみ関連している。そのシールを確実にするために、弁棒はその開位置へ可動すると、チャンバ間の開口部を密封する同調機能を有する。注射器の接続を外すことで、弁棒はその通常位置へ戻ることができ、両方の弁を密封し、戻り流路から圧力解放弁を隔離する。
【0044】
別の変形では、注射器により第1の弁を開いた場合に可動する機構は、「ダックビル(duckbill)」型の弁形状である第2の弁の駆動要素として動作するように延びている。注射器作動型弁では、接続中、注射器の先端は弁棒を押圧し、弁のシール面を弁座から押し離し、このようにして、弁を開き、流体が通過することを可能にする。弁棒は、弁の後部に配置されるか又は一体化されたバネからの戻り力及び密封力を有する。
【0045】
本変形では、弁棒への延びは、バネの中心を通じて延びており、別のチャンバ内へのシールを有する本体部の壁の開口部を通過している。第2チャンバでは、延びた弁棒の先端がダックビル型弁の片側に接続している。注射器の先端が弁棒を内部へ押圧すると、その運動は第2チャンバに至るまで継続し、延びた先端がダックビル型弁を変形させ、ダックビル型弁を開く。第2の弁を開くことで、圧力解放弁に向かう流体の流路が開く。2つのチャンバ間のシールは、注射器が接続されているときのみ関連している。注射器の接続を外すことで、弁棒はその通常位置へ戻り、両方の弁を密封し、圧力解放弁を戻り流路から隔離する。
【0046】
別の変形では、戻り流路内の圧力が予め定められた限界を超過した場合、圧力解放傘型弁を介した流路を開くことできるが、可能な場合のみ、流体漏出流路の流動弁を通過する。流体供給システム(注射器)が取り付けられている場合のみ、「ダックビル(duckbill)」型弁の形状をしている流動弁は開かれている。注射器を接続すると、ダックビル型弁を通じてピンを駆動するレバーを押下し、ダックビル型弁を開き、流体がシステムから流出することを可能にする。ダックビル型弁はまた、ピンが弁を開いた状態まで押圧しない限り、システムからの流出を防止するバネ作動型流動弁によって置換されてもよい。流動弁及び圧力解放弁は、システム機能に有害な影響を与えることなく、戻りライン上で順に可換である。
【0047】
別の変形では、戻りラインの圧力は、バルーンの過充填を防止する充填ポート上の弁を閉じるために使用されてもよい。第2チャンバへの戻りライン内の流動は、ドームの下方の領域を加圧する。一旦、圧力が可動膜の戻り力及びドームの戻り力を十分に上回ると、弁棒は引っ張られ、第2の弁座に対して弁棒を押し当てられ、流れを遮断する。仮に2つの可動膜のシールの釣り合い効果がなければ、第1チャンバの高圧により、弁棒は閉位置へ移動されるであろう。弁棒に作用する力は、膜ドームからの引っ張りと膜シールのバネ力のみである。
【0048】
別の変形では、戻りラインの圧力は、固定用バルーン内への流動を停止するための弁システムを作動する戻りバルーンを膨張するために使用される。戻りバルーンは圧力下で拡張し、弁棒を引っ張り、弁を閉じ、固定用バルーンへの流動を停止する。さらに、ルアー型弁を介して供給された流体のみが、第2の弁をより堅く閉める。供給流路から流体を引き出すことで、第2の弁の密封を上回る十分な吸引を形成し、第2の弁を開き、カテーテルから流体を抽出できる。
【0049】
好ましくは、戻りバルーンは、開口部の中心を通過する弁棒を有する、環状(toroidal)又は円環状(annular)の形状を有する。戻りバルーンの他の構造は、組み立てを容易にするために、例えば、ほとんど閉じられた「C」字型で可能である。
【0050】
本実施形態の別の変形では、戻りライン内の圧力は、流体供給路の管の一部を塞ぐ戻りバルーンを膨張するために使用されている。戻り流体圧力により、流体バルーンは拡張する。戻りバルーンを拡張すると、供給管を塞ぎ、流れを遮断する供給管の曲げに抗して圧力板を押圧する。戻りバルーンの大きな領域と供給間の小さな領域によって、低い戻り圧力で高圧の供給管を遮断できる。戻りラインを有する供給管の流体入口側と接続している別の一方向逆止弁により、流体がシステムから引き出されることを可能にし、戻りバルーンの圧力を減少し、従って供給管を再度開く。
【0051】
他の実施形態では、戻りラインの圧力は、可撓性要素を歪めるために使用されている。可撓性要素により、弁は固定用バルーンの膨張ラインのポートに対して弁を閉じる。可撓性要素は、押棒(push rod)を介して弁に接続されてもよい。押棒は、可撓性要素又は弁のいずれかに固定されてもよいし、又はされなくてもよい。弁は、システムから流体が漏出するのを防止する密封手段を含む弁棒を有するポペット(poppet)弁であってもよい。
【0052】
これに代えて、弁は可撓性隔膜、バルーン、又は、弁に密封力を付加するように加圧する場合に十分な力で変形する任意の可撓性要素の手段によって密封されてもよい。可撓性要素は、予め定められた力が付加された場合に変位するオーバーセンターバネを圧迫してもよい。バネにより、弁は、十分なバルーン圧力下で閉じられるまで開いた状態を維持することが可能である。
【0053】
バネは、ディスク型、ドーム型、板バネ型、又は予め定められた力が付加された場合に大きく変位できる任意のバネ構造であってもよい。一旦、付加された力が閾値レベル未満に低下すると、バネはその休止位置まで戻るように構成されていてもよい。この構成により、弁は、充填圧力又は充填する流体の量拘わらず完全に開いた状態を維持し、固定用バルーンが所望の圧力に達した場合に、充填する圧力又は流体の量に拘わらず、急激に閉じる。
【0054】
電子的なものを含むよりむしろ、ここで体積監視手法に移ると、好ましい一実施形態では、パドルホイール型流量表示器は、弁を制御する機構を駆動するために使用されてもよい。バルーンに流入する及びバルーンから流出する全流動は、ホイールを回転するようになっている。流体が非圧縮性であり、ホイール周りで漏出しない場合、回転総量が装置を通過する流体の量を正確に示す。その後、ホイールの運動は、予め定められた総量に達すると、流れを停止する弁棒を駆動するために使用されてもよい。ホイールと弁との間には、可撓性構造の蓄圧器が存在するため、弁を閉じた状態で十分な流体を(蓄圧器から)引き出すことができる。このため、ホイールによって流体回収用の弁を開くことが可能である。
【0055】
別の好ましい実施形態では、固定用バルーンは、システム内に既に最大許容量の膨張流体を伴う閉じた形状で供給されている。膨張システムは、永続的に供給ラインに接続されているリザーバを有する。一旦、固定用バルーンが挿入されると、流体は外部のリザーバから内部の固定用バルーンへ移動され、相互接続弁は閉じられる。除去のためには、流体は固定用バルーンから外部のリザーバに戻される。装置が再度膨張する必要があるとき、この過程を繰り返すことができる。
【0056】
多くの構造は、リザーバとして動作するために使用されてもよい。リザーバは、固定用バルーンに流体を移動させるために臨床医が圧搾又は圧力を付加して収縮する構造であってもよい。収縮するリザーバは、バネ仕掛け又はスプリングバック構造のいずれかであるため、除去するために流体を引き出すことができる。本構造はまた、リザーバの総流体量よりも少ない充填量とするカスタマイゼーション(customization)を可能にする圧力応答表示器と組み合わせられてもよい。
【0057】
代替的な変形では、リザーバは、蛇腹状部を有する注射器と類似するものである。臨床医は、蛇腹状部に力を付加して、流体を固定用バルーンに押し入れるか、又は、固定用バルーンから流体を除去する。注射器は、永続的に取り付けられているため、弁又はクランプ(clamp)は、リザーバ又はバルーンに流体を保持するために使用されてもよい。
【0058】
本発明はまた、特定量又は圧力に充填量を制限するために、他の医療用カテーテルと共に使用されてもよく、この医療用カテーテルは過充填を防止する必要のある、流体を充填されたバルーンを有する。
【0059】
これらに対して及び後に出て来るこのような他の対象に対して、本発明は、以下の明細書、及び添付されている特許請求の範囲において、添付図面と共に参照して詳細に説明されているように、糞便処理システムにおける、又は気管内管におけるカテーテルの固定用バルーンの過膨張防止装置に関する。ここで、同じ数字は同じ部品を示している。
【図面の簡単な説明】
【0060】
図1】本発明の過膨張防止装置を有する糞便処理システムの正面図。
図2図1の糞便処理システムのカテーテルの断面図。
図3】本発明の好ましい第1実施形態の第1変形の断面図。
図4】本発明の好ましい第1実施形態の第2変形の断面図。
図5】本発明の好ましい第1実施形態の第3変形の断面図。
図6】本発明の好ましい第1実施形態の第4変形の分解図。
図7図6に示した本発明の好ましい第1実施形態の第4変形の断面図。
図8a図7に示した、本発明の好ましい第1実施形態の第4変形のブランチ及び流路の詳細図。
図8b図7に示した、本発明の好ましい第1実施形態の第4変形のブランチ及び流路の詳細図。
図8c図7に示した、本発明の好ましい第1実施形態の第4変形のブランチ及び流路の詳細図。
図9】本発明の好ましい第2実施形態の第1変形の断面図。
図10】本発明の好ましい第2実施形態の第2変形の断面図。
図11】本発明の好ましい第3実施形態の第1変形の断面図。
図12】本発明の好ましい第3実施形態の第2変形の断面図。
図13】本発明の好ましい第3実施形態の第3変形の断面図。
図14】本発明の好ましい第3実施形態の第4変形の断面図。
図15】本発明の好ましい第4実施形態の第1変形の断面図。
図16】本発明の好ましい第4実施形態の第2変形の断面図。
図17】本発明の好ましい第4実施形態の第2変形の斜視図。
図18】バルーンの膨張中と膨張後で同じものを示している、本発明の好ましい第5実施形態の第1変形の断面図。
図19】本発明の好ましい第5実施形態の第2変形の断面図。
図20】膨張中の装置を示している、本発明の好ましい第6実施形態の正面図。
図21】膨張後の装置を示している、本発明の好ましい第6実施形態の正面図。
図22】本発明の好ましい第6実施形態の斜視図。
図23】本発明の好ましい第6実施形態の分解図。
図24】閉位置にある本発明の好ましい第6実施形態のカムフォロア部材の詳細図。
図25】開位置にある本発明の好ましい第6実施形態のカムフォロア部材の詳細図。
図26】膨張前の収縮するリザーバを示している、本発明の好ましい第7実施形態の斜視図。
図27】バルーンが膨張した後の収縮するリザーバを示している、本発明の第7実施形態の斜視図。
図28】バルーンが収縮中の収縮するリザーバ示している、本発明の第7実施形態の斜視図。
図29】膨張前の密封された注射器型の流体供給源を示している、本発明の第8実施形態の斜視図。
図30】バルーン膨張中の密封された注射器型の流体供給源を示している、本発明の第8実施形態の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0061】
本発明は、膨張可能な固定用バルーンを利用する管状の医療用装置の一部として使用するように設計されている。1つのこのようなシステムの基本的な構成要素が図1に示されている。このシステムは、細長く可撓性を有する管状要素、即ちカテーテルから形成される医療用器具であり、全体にAで示されており、肛門括約筋を通じて直腸、又は、口腔を通じて気管のような体腔内へ導入される末端10を有している。カテーテルAの基端12は、糞便排泄物を収集するか、又は、気管内管用呼吸管理システムのために、全体にBで示されている容器に接続されている。カテーテルAの末端10の外面に取り付けられているのは、膨張した状態で図示されている低圧で膨張可能な固定用バルーン14である。
【0062】
カテーテルの末端が体腔内の所定の位置に保持されるように、バルーンが体腔内に挿入された後、バルーン14は、流体供給管腔16を通じて、空気、水、又は生理食塩水のような流体によって適切な直径まで膨張される。供給管腔16の一端は、注射器18として図示されている、加圧された膨張流体供給源に接続されている。注射器はまた、バルーンを収縮させるために供給管腔16を通じて膨張流体を引き出すためにも使用される。収縮可能なリザーバ又は機械的なポンプのような他の様式の流体供給源が注射器の代わりに使用されてもよい。
【0063】
灌注管腔20は、体腔に灌注流体を伝送するために設けられてもよい。灌注管腔20の一端は、カテーテルAの末端10のポートを介して延びている。もう一端は、(図示されていない)灌注流体供給源に接続されている。
【0064】
カテーテルAの末端10及びバルーン14は、体組織を傷つけないように、共に滑らかで柔軟な材料から全て形成されている。
【0065】
バルーン14は、カテーテルAの末端10を覆っており、完全に膨張した際には環状の形状を有することが好ましい。供給管腔16は、バルーンを膨張させるためにバルーン14内に膨張流体を導入できるように、及び、バルーンを収縮させるためにバルーンから膨張流体を除去できるように、カテーテルの末端10に隣接した流体入口24を介してバルーン14に接続されている。
【0066】
本発明の装置は、全体にCで示されており、この場合には注射器18である加圧された膨張流体供給源と供給管腔のその他の端24との間に接続されている。バルーンが患者を傷つけるほどの予め定められたレベルを超える圧力を周囲の組織に対して付加できないように、バルーン14内の流体圧力は、装置Cによって予め定められた圧力レベルに制限されている。バルーンが膨張流体によって膨張される際、装置Cは、バルーンの流体圧力が予め設定されたレベルに達すると、バルーンへのさらなる流体の供給を防止することで、バルーンの過膨張を回避する。
【0067】
圧力監視手法を使用する本発明の好ましい実施形態では、装置Cは、バルーン内の圧力を監視できるように、バルーンの流体戻りポート28を介して第2の戻り管腔26によってバルーン14に接続されている。図2に最も良く見られるように、これはカテーテルAの断面であるが、供給管腔16及び戻り管腔26は、並列関係で別々に、好ましくはカテーテルの外形内で、装置Cとバルーンとの間で延びている。
【0068】
本発明の好ましい実施形態の一部では、戻りラインの圧力は、弁として作用する可撓性要素を歪ませるために使用される。戻り管腔26内、従ってバルーン14内の圧力が予め定められたレベルを超過した場合、可撓性要素により、閉鎖シールはバルーンの膨張ラインを遮断する。弁は、膜、隔膜、バルーン、又は、弁に密封力を付加するように加圧された場合に十分な力で変形する任意の可撓性要素の手段によって密封されてもよい。
【0069】
可撓性要素は、予め定められた力が付加された場合に変位するオーバーセンターバネ部材と共に動作できる。圧力応答バネ部材により、十分なバルーン圧力下で弁が閉じられるまで、弁は開いた状態を維持することが可能である。バネ部材は、ディスク型、ドーム型、板バネ型、又は予め定められた力が付加された場合に大幅に変位できる任意のバネ構造の形状をしていてもよい。
【0070】
バネ部材は、一旦、付加された力が閾値レベル未満に低下すると、その休止位置に戻るように構成されていてもよい。又は、手動リセットを必要とする双安定部材の形状をしていてもよい。この構成により、弁は、充填する圧力や充填する流体量に拘わらず完全に開いた状態を維持でき、また、充填する圧力や流体量に拘わらずバルーンが所望の圧力に達すると急激に閉じる。代替流路は、必要に応じて固定用バルーンを収縮させるために、流体をシステムから除去できるように一方向逆止弁と共に設けられてもよい。
【0071】
図3は、本発明の好ましい第1実施形態の第1変形の構成の断面図である。装置は、ベース32及び圧力キャップ34を含む本体部30の形状をしている。本体部30は、バルーンカテーテルの供給管腔16及び戻り管腔26の両方に接続されている。
【0072】
ベース32は、セクション40a及びセクション40bを含む第1流路40を含んでいる。流路40は、加圧された流体供給源と関連付けられたコネクタを受け入れるように設計されている流体入口ポート42と、供給管腔16の端24に接続されている流体出口ポート44との間で、本体部30の全長に延びている。これにより、加圧された膨張流体とバルーンの流体入口22との間で流体接続が設けられる。(この図には図示されていない)弁は、注射器18のような流体供給装置への本体部のカップリングを可能にするように、入口ポート42を形成するソケット内へ押し込まれる。
【0073】
圧力キャップ34は、セクション46a及び46bを含む第2チャンバ46を有している。流路セクション46aは、戻り管腔26に、従って流体戻りポート28を介してバルーン14に順に接続されている戻りポート48に接続されている。従って、流路46の流体圧力はバルーンの圧力と基本的に同じである。可撓性弁要素は、以下で説明するようにチャンバセクション46bの下方に配置されている。プラグ36は、金型コアを引き抜くために必要なセクション46aの端部で圧力キャップ34の開口部を密封するために使用されている。
【0074】
好ましい本実施形態では、可撓性要素は、ベース32の上面に接着された可撓性弁膜50の形状をしている。このため圧力キャップ30がベース32の上方に取り付けられる場合、膜50はセクション46bの下方に配置される。ベース32内には、離間した平行なチャネル52及びチャネル54が、流路セクション40a及び流路セクション40bからそれぞれ延びている。チャネル52及びチャネル54は膜50の下方に離間した位置で終端している。従って、流路セクション40aと流路セクション40bとの間の流体接続が、チャネル52を介して、膜50の下方で、及びチャネル54を介して、形成されている。
【0075】
通常の充填では、流体は、入口ポート42の(この図では図示されていない)挿入弁を介して、加圧された流体供給源から流路セクション40aに流動する。圧力により、流路セクション40a及び流路セクション40bとの間のポートに向かって流路40a内の充填逆止弁ボール56は押圧され、そのポートを閉じる。これにより、流体は、膜50の下方でチャネル52を通じて上方へ流動し、チャネル54を通じて流路セクション40bに向かって下方へ戻る。流体はその後、出口ポート44から流出し、カテーテルバルーンへ供給管腔16を通じて流動する。
【0076】
戻り圧力は、バルーンから装置Cへ、戻り管腔26を通じて戻ってくる。戻り管腔は、チャンバ46aがバルーン14aから圧力を受けるように、本体部の戻りポート48に接続している。圧力キャップの上面に配置されたポップドーム(pop dome)型表示器58が臨界レベルに達するまでチャンバセクション46b内で、圧力は増加する。その時点で、ドーム58は外側へ拡張し、適切な圧力に達したことを示す。
【0077】
チャンバセクション46b内に配置されているのは、ドーム型の圧力応答弁部材60である。部材60は、膜50の上方に配置され、チャンバセクション46bを2つの部分62及び部分64に分割する。流路セクション46bの部分62は、チャンバセクション46a及びポート48を介して、戻り管腔に接続されている。
【0078】
固定用バルーンの膨張が継続すると、チャンバセクション46bの部分62内の圧力は、圧力応答弁部材60が収縮するまで増加し、チャネル52とチャネル54との間の位置で、チャネル52とチャネル54との間の流体接続を閉じるために、ベース32の上面に対して膜50を下方に押圧し、流体がバルーンに流動するのを停止する。部材60の収縮を可能にするためには、部材60の下方の空気が漏出可能である必要がある。これは、チャンバセクション46bの部分64に周囲に通じる孔を開けた圧力解放チャネル66を介してなされる。
【0079】
バルーンを空にするために、流体は入口ポート42から引き出される。圧力の減少により、充填逆止弁ボール56を流路セクション40aと40bとの間のポートから引き出し、流体がボール56の周りで流路セクション40bから流路セクション40aに直接流出することが可能になる。また、これにより、ベース32の上面に対して膜を収縮させる吸引が形成される。
【0080】
圧力応答部材60は、スナップドーム若しくはここで記載されている他の実施形態のいずれかのように、双安定構造として形成されるか、又は、双安定構造で接合されてもよい。好ましくは、圧力応答部材は、流れの明確なスナップ遮断を可能とするように構成され、いかにバルーンが速く充填されるかに拘わらず、目標圧力に達した場合に流路が全開又は全閉のいずれかであるように、弁の開閉状態間の差異をより明瞭かつ一貫して形成する。また、弁が閉じられていることをユーザに示す音を鳴らすこのような双安定部材を製造することも可能である。
【0081】
図4に示すように、部材60は、別個のバネ要素と協働して動作してもよい。図4は、本発明の好ましい第1実施形態の第2変形の断面図である。この変形は、部材60の下方に配置されたドーム型バネ要素68を追加した図3に示した第1変形と同様である。要素68は、図示のようにその内部にいくつかの開口部を有している。要素68は、部材60を図に示されている位置へ、即ち膜50から離れる方向へ付勢している。
【0082】
部材60がチャンバセクション46bの部分62における圧力超過によって膜50に接する位置まで可動された際に、チャネル52とチャネル54との間の接続の完全閉鎖を補助するために、突出部70は部材68に設けられてもよい。突出部70は、部材60の力をチャネル52とチャネル54との間の流体接続点で膜50に集中する。この力の集中作用は、図示のように、別個の構成要素、部材60と一体化した要素、又はバネ要素と一体化した突出部によって実行される。
【0083】
高圧充填は、大きな圧力応答弁部材60が膜50の下方の小さな開口領域に面しているという機構的な利点により遮断されている。注射器の充填圧力は、1000mmHgに達することがあるため、所望の遮断圧力が35mmHgである場合、29以上の割合が必要である。チャネル52とチャネル54が直径で2mmである場合、例えば、膜の下方の開口面積は、約18平方mmに制限されることがある。これは、圧力応答部材の面積は約522平方mmとなることを意味している。又は約13mmの直径であることを意味する。充填を停止すべきことを示すためにスナップ遮断が十分明瞭な変化である場合、より小さな割合が許容される。スナップ動作バネ要素が採用される場合、バネ要素の状態を変化させるために追加的な力が必要とされることがあるため、より大きな割合が好ましいこともある。
【0084】
図5は、本発明の好ましい第1実施形態の第3変形を示している。装置のこの変形は、以下の点を除いて図3の変形と同様である。ベース32と圧力キャップ34は、それぞれいくらか異なった形状を有する。キャップ34は、「V」字型の圧力表示器53を囲む突出した頂部59を有する。部材60及び別個のバネ要素68は、円錐台形状を有するスナップドームの形状の双安定圧力応答弁部材61で置換されている。さらにこの変形では、別個の集中ディスク72は、膜50の上方に配置されている。
【0085】
図6及び図7に示すように、好ましい第1実施形態の第4変形では、流体入口ポート42と流体出口ポート44との間に2つの別個の流路が形成されており、1つは膨張用、もう1つは収縮用である。別個の流体流路の形成により、流路セクション40bと共に、充填逆止弁のボール56のような個別の逆止弁を備える必要性がなくなる。
【0086】
この変形では、装置の本体部30は、可撓性要素が膜50の形状で支持されている、硬質の上面80を有する中空の円筒形部材30aの形状をしている。以下に説明するように、面80は、流路セクション40aと流路セクション40bに接続しているチャネルのブランチ端部の上方に配置されている4つの開口部又はポートをその内部に有する。この変形では、膜50は開口部82を有する。
【0087】
硬質又は半硬質のディスク状の保持部84は、膜を面80の所定の位置に保持するように膜50の上方に配置されている。保持部84は、いずれかの適切な態様で、例えば、固定具を使用するか、スナップ嵌めを使用するか、又は本体部30aに接着することで、所定の位置に固定されてもよい。特に、保持部84は、膜が撓むことを許容し、及び、ブランチ52aとブランチ54aとの間で、従って入口42から出口44へ、膜の下方の流れを可能にする楕円形状の開口部86を有する。さらに、保持部84は、膜が撓むことを許容し、及び、ブランチ54bとブランチ52bとの間で、従って出口44から入口42へ、膜の下方での流れを可能にする楕円形状のリリーフ(rerief)88をその底面に有する。
【0088】
図8aから8Cに最も良く見られるように、流路セクション40aと流路セクション40bとの間の流れの方向制御は、2つの別個の流路を形成することで達成される。このようにするために、チャネル52とチャネル54のそれぞれは、図8aにブランチ52aが図示されているように、2つのブランチ52a,52b及び54a,54bにそれぞれ分離される。
【0089】
ブランチ52aとブランチ54aとの間の、及び、ブランチ54aとブランチ54bとの間の、膜50の下方の流路は、保持部84、又は弁座面80への膜の選択的な接着のいずれかによって互いに分離している。図7に示されているように、膜50の開口部82は、ブランチ52bの端部と整列されている。ブランチ54bとブランチ52bとの間の膜の上方の領域は、流体が開口部82を通じて通過する流体がこの領域から漏出するのを防止するリリーフ88によって囲まれている。
【0090】
図8bに最も良く見られるように、膨張中、流体は、保持部84の開口部86と整列した膜50の一部の下方で、ブランチ52aからブランチ54aへ流動できる。一旦、固定用バルーンの目標流体圧力に達すると、その圧力は流路セクション46bの部分62に存在し(図7参照)、その圧力により、部材60は、その通常位置から離れて、図示されている膜50から第2の位置へ、バネ68の付勢に抗して可動する。その位置への部材60及びバネ要素68の可動により、バネ68の突出部70は、保持部84の開口部86を介して可動し、膜50の整列された位置を面80に向かって押圧し、好ましい本実施形態の前述の変形と同じ態様で、ブランチ52aからブランチ54aへの流れを遮断する。これに代えて、突出部70は、ブランチ52aと同心状に膜の上面に取り付けられてもよい。
【0091】
一旦、ブランチ52aとブランチ54aとの間の接続が遮断されると、流体圧力はブランチ52b及び膜50の開口部82を通じて導かれる。その圧力により、リリーフ88によって囲まれたブランチ54bの上方の膜50の表面を加圧し、流体がブランチ54bに流動するのを防止する。この状態で、出口ポート44からの流体の流出は、防止される。
【0092】
図8cに示されているように、流体がバルーンから引き出されると、流体は出口ポート44から本体部30aに流入し、膜50の下方でブランチ52b内へブランチ54bを通過し、流体入口ポート42から出る。この状態の下で、ブランチ52a内の負圧は、面30に対して膜50を保持し、本体部を通る流れは、ブランチ54aとブランチ52bとの間を通り、最終的に流路セクション40a及び入口ポート42に向かう。この状態の下で、膜50の開口部82により、膜のいずれかの側にかかる圧力は均等化される。これにより、膜がブランチ54bとブランチ52bとの間の流れを遮断する。
【0093】
本発明の好ましい第2実施形態の第1変形は、図9に示されている。この変形では、装置Cの本体部30bは、好ましい第1実施形態のように、流体入口ポート42と、供給管腔16によってバルーン14の流体入口に接続された流体出口ポート44と、流体供給ポート42から流体戻りポート44まで延びた流路40と、流路46と、戻り管腔26によってバルーン14への流路46に接続している戻りポート48とを有しているが、いくらか異なる配置も有している。
【0094】
しかしながら、好ましい第2実施形態では、圧力解放弁90は、過剰の流体がバルーンから漏出できるように、流路セクション46bに配置されている。しかしこれはバルーンの膨張中のみである。戻りポート48及び流路セクション46b内への流路セクション46aを通るバルーンからの流体の流動は、1組の弁92と弁94によって防止されている。弁92と弁94は、流路40と流路46との間のチャネル98を介して延びているコネクタ96によって共に動作するように機械的に接続されている。
【0095】
第1の弁92は、流体入口ポート42と流路セクション40bとの間の流路セクション40aに配置されている。第2の弁94は、流路46aと流路46bとの間、従って戻りポート48(及び従ってバルーンの流体出口28)と圧力解放弁90との間のチャネル98に配置されている。コネクタ96により、第1の弁92と第2の弁94は、注射器の先端としてこの図に示されている加圧された流体供給源と関連付けられたコネクタに応じて、閉位置から(図示されている)開位置へ共に可動し、本体部の流体入口ポート42で受けられる。
【0096】
コネクタ96は、流路セクション40bと流路セクション46bとの間で延びている機構的な手段の形状をしていてもよい。シール100は、流体が流路セクション40bから流路セクション46bへ流動できないように、チャネル98を密封するために設けられている。
【0097】
弁92と関連付けられたバネ手段102は、弁92と弁94を開位置から閉位置へ可動するように付勢するために設けられている。
【0098】
図10に示されているように、好ましい第2実施形態の第2変形では、弁94は、弁の横方向の変形によって開かれる「ダックビル(duckbill)」型の弁104によって置換されている。それ以外では、装置の構成及び動作は、第2実施形態の第1変形と基本的に同様である。
【0099】
好ましい第3実施形態では、圧力解放弁は除去されており、チャンバセクション40aの弁は、もはや加圧された流体供給源と関連付けられたコネクタの流体入口ポート42への挿入に応じて開くように作動される。しかしながら、コネクタがない場合に流体がそのポートを通じて漏出することを防止するために、流体入口ポート42と関連付けられた、バネ112を含むバネ仕掛け弁110はまだ存在する。
【0100】
図11に示されているように、好ましい第3実施形態の第1変形では、流体流動防止手段は、流体入口ポート42と流体出口ポート44との間の流路40に配置された通常時開いている弁114を含む。チャンバ46を画定する本体部30cの外壁部は、開口部116を有している。本体部の壁の開口部116内に配置されているのは、図示されている位置の間で矢印の方向の拡張位置へ可動できる膜又は隔膜118のような可撓性手段である。また、流路40及び流路40と流路46との間の開口部122を画定する壁には開口部120が存在する。開口部120と開口部122は、互いに、及び開口部116と整列されている。可撓性シール124と可撓性シール126は、開口部120と開口部122を密封するためにそれぞれ設けられている。
【0101】
コネクタ128は、弁114が可撓性手段118と共に可動するように、可撓性手段118と弁114との間に延びている。図示の位置では、弁114は流路40を開き、バルーンの膨張を可能にするための流体入口ポート42と流体出口ポート44との間の流体の流動を可能にしている。しかしながら、バルーン内、従ってチャンバ46内の圧力が予め定められたレベルを超過した場合、可撓性手段118はその拡張位置に矢印の方向へ可動する。これにより、コネクタ128は弁114を閉じ、バルーンに追加的に流体が流入することを防止する。コネクタ128は、シール124とシール126によってそれらの開口部を通じた流体の移動を伴わずに、開口部120と開口部122を介して自由に可動できる。
【0102】
図12に示されているように、好ましい第3実施形態の第3変形では、通常時開いている弁114はまだ流路40に存在し、予め定められたレベルに達するまでバルーンの膨張をまだ許容している。しかしながら、この変形では、弁114は、可撓性シール115に取り付けられている。本体部の外壁の開口部116及び可撓性手段118は、その通常の開位置と第2の位置との間で可動できるチャンバ46に配置されている可撓性手段130によって置換されており、その後者の位置が図示されている。この変形における手段130は隔膜の形状をしていてもよい。図は修正を要する。
【0103】
可撓性手段130が予め定められたレベルを超過したチャンバ46の流体圧力によって図示されているその通常の開位置から第2の位置へ可動される場合、接続手段128は、弁114を閉じるために可撓性手段130と弁114を接続する。
【0104】
図13に示されているように、好ましい第3実施形態の第3の変形では、可撓性手段130は、双安定手段の形状をしており、ドーム型部材132であることが好ましい。ドーム型部材132は、硬質又は半硬質部材から形成されていてもよい。この図では、弁114はその通常の開位置で示されているが、予め定められたレベルを超過した流路46の圧力に応じて、流路40を閉じる位置へ可動される。
【0105】
図14に示されているように、好ましい第3実施形態の第4変形では、可撓性手段130は、ドーム型部材132とチャンバ46との間に配置されている隔膜130の形状をしている。この図では、ドーム型部材132は、その撓んだ位置で示されており、追加的な流体が流路40を通じてバルーンに供給されないように弁114を閉じている。
【0106】
本発明の好ましい第4実施形態では、戻り管腔26及び流体戻りポート48を介して固定用バルーン14に接続されている膨張可能な戻りバルーンは、装置の本体部30cの流路46内に配置されている。戻りバルーンは流路40を通じた流体の流動を制御する。固定用バルーンに予め定められたレベルを超過した圧力によって膨張された場合、それによりさらなる流体がバルーン14に流路40を通じて流動するのを防止する。
【0107】
図15に示されているように、好ましい第4実施形態の第4変形では、戻りバルーン140が、流路40内の弁を可動させるための手段として、図11の可撓性手段118、図12の隔膜130、図13のドーム型部材132、又は図14のドーム型部材/隔膜の組み合わせに代わることを除いて、好ましい第2実施形態の変形の構成と同様である。
【0108】
図15に示されているように、戻りバルーン140は、戻り管腔26及びバルーン戻りポート28を介して戻りポート48に、従ってバルーン14に接続されている。流体流動防止手段は、流体入口ポート42と流体出口ポート44との間の流路40内に配置された弁114を含む。コネクタ128は、固定用バルーンの流体出口128の流体圧力が所定の圧力レベルを超過した場合に弁が戻りバルーン140の膨張によって閉じられるように、流路46内の戻りバルーン140と弁114との間で延びている。
【0109】
好ましくは、戻りバルーン140は環状形状を有し、中央開口部を画定する。
【0110】
好ましい第4実施形態の第2変形は、図16に示されており、これは異なる構成の装置本体30dの断面図であり、図17には斜視図でその装置を示している。この変形では、流路40は可撓性を有する管142の形状をしている。戻りバルーン140が予め定められた圧力レベルを超過した固定用バルーンの流体出口28において加圧された流体によって膨張されると、流路46内の戻りバルーン140は、可撓性管142を閉じ、固定用バルーン14への流体の流動を遮断する。
【0111】
好ましくは、可撓性管142は、第1及び第2の実質的に平行セクション142aと142bを有している。平行セクション142aと142bは、「U」字型セクション144によって接続されている。戻りバルーン140は、予め定められた圧力レベルを超えた流体で膨張されると、管を閉じ、固定用バルーンへのさらなる流体の流動を防止するために、管140の平行セクション142aと142bを押圧する。
【0112】
圧力板146が、平行セクション142aと142bに隣接して、戻りバルーン140と可撓性管142との間に介在されていてもよい。圧力板146に関連付けられた圧力表示器148は、固定用バルーンの流体圧力の視覚的な指標として使用されてもよい。
【0113】
本発明の好ましい第5実施形態は、図18及び図19に示されている。本実施形態では、弁150は流体入口ポート42に関連付けられている。弁150は、通常時閉位置にある。加圧された流体供給源に関連付けられたルアー型コネクタ152が本体部の入口ポート42に受け入れられると、弁は開位置に可動できる。
【0114】
図18に示されているように、好ましい第5実施形態の第1変形では、過膨張防止手段は流路46にポート154を含む。ダックビル型の逆止弁156は、ポート154と関連付けられている。ピボットアーム158は、ダックビル型の逆止弁156を開くために本体の流体入口ポート42に受け入れられる加圧された流体供給源と関連付けられたルアー型コネクタ152によって作動される。ダックビル型の逆止弁156を開くことで、余剰流体が流路46から漏出し、従って固定用バルーンの過膨張が防止される。
【0115】
図19は、好ましい第5実施形態の第2変形を示している。傘型の圧力解放弁160が、固定用バルーンの流体出口とダックビル型の逆止弁156との間の流路46に配置されていることを除いて、この変形は図18に示されている変形と同様である。傘型弁160の可撓性構造により傘型弁160は閉位置に付勢されている。しかしながら、固定用バルーンの圧力が予め定められた圧力レベルを超過した場合、ルアー型コネクタが流体入口ポート42に受け入れられ、ダックビル型弁156が開くと、傘型弁160は開き、余剰流体は通過し、膨張中に排出可能となる。
【0116】
上記の好ましい実施形態の全てにおいて、加圧された流体供給源に関連付けられたコネクタは注射器又はルアー型コネクタの一部の形状をしていてもよい。さらに、固定用バルーンの流体の圧力が予め定められた圧力レベルを超過した場合に視覚的に表示する手段が採用されてもよい。例えば、図3図4、及び図5に見られるように、圧力表示手段は、通常の位置と拡張位置との間で可動できる流路46の壁に関連付けられた手段の形状をしていてもよい。圧力表示手段は、圧力レベルを超過した第2流路の流体圧力に応じて、その通常位置からその拡張位置へ可動する。
【0117】
過膨張問題に対する体積監視手法では、以下に3つの異なる好ましい実施形態が記載されている。
【0118】
本発明の好ましい第6実施形態は図20から図25に示されている。図20及び図21は、バルーン膨張前後の本実施形態の構成要素の配置をそれぞれ示している。パドルホイール(paddle wheel)170は、固定用バルーンに供給される及び固定用バルーンから除去される流体量を監視するために使用される。パドルホイール170は、手動で作動する注射器18に接続されている。パドルホイール170に関連付けられているのは、蓄圧器172である。パドルホイールv2の回転によりパドルホイールと供給管腔16との間に配置されている弁174は動作する。バルーン内の流体量が予め定められたレベルを超過した場合、固定用バルーンにさらなる流体が供給されるのを防止するために、弁174は閉じられる。
【0119】
固定用バルーン内外への全ての流体の流れは、パドルホイール170を通過するようになっている。パドルホイール170は、流体の流れによって回転する。流体が非圧縮性の場合、パドルホイールの回転172により、パドルホイールを通過する流量を正確に監視する。所望の量の流体が固定用バルーン内に存在する場合、パドルホイールの累積回転により、弁174は閉じ、固定用バルーン内にさらに流体が流動して固定用バルーンが過膨張するのを防止する。
【0120】
図20は、注射器18のプランジャに力が付加されると、流体はパドルホイールハウジング180を通じて流動し、その中にあるパドルホイール170を回転し、及び、開いた弁174を通じて供給管腔16を上って固定用バルーンの14内へ流動することを、示している。図21に示されているように、さらなる力が注射器18のプランジャに付加されると、予め定められた流体量が固定用バルーンに供給されるまで、パドルホイールは回転を継続する。その時点で、パドルホイールの累積回転により、弁174が閉じられ、固定用バルーンにさらなる流体が流入するのを防止する。
【0121】
図22は、より詳細に本実施形態の構成要素を示した斜視図である。図23は、構成要素の分解図である。図24及び図25は、パドルホイールと弁との間の機械的な接続をより詳細に示している。
【0122】
パドルホイール170は、ハウジング180内に配置されている。ハウジング180は、注射器からの流体を受け入れるために接続された入口ポート182、及び、供給管腔16と弁174を介して固定用バルーンに接続された出口ポート184を有している。本実施形態では、弁174は、スリーブ弁の形状をしている。弁174は円筒状のハウジング183とハウジング183内で回転する内部の弁本体185を有する。
【0123】
カムフォロア部材186は、カムフォロア部材の回転によって弁本体が弁ハウジング内で回転するように、回転可能な弁本体185の端部に固定されている。弁本体185は中空であり、いずれかの側、即ち図23に見えている一方のみに配置された流体ポート188を有している。弁本体が図23に示されている位置にある場合、弁は閉じられており、流体は注射器から固定用バルーンへ流動できる。弁がカムフォロア部材によって90度回転されると、弁本体のポート188は、流体が注射器から固定用バルーンへ流動できるように、弁ハウジング183のポート184及び供給管腔16と整列する。
【0124】
弁カム190は、ハウジング180の端部に配置されている。弁カム190は、開口端を備える円筒形の構造を有する。図23の弁カムの切欠部に見られるように、弁カム190の側壁の内面は、図24及び図25で最もよく見られるL字型の端部を備える環状のチャネル190を有する。
【0125】
弁カム190は、図24に示されている弁の閉位置と図25に示されている弁の開位置との間で、カム駆動ギア192によって回転される。流体が注射器から固定用バルーンに供給され、パドルホイール170が回転されるように、弁カムは通常、弁の開位置にある。蓄圧器172の隔膜194により、蓄圧器内に収集する流体量を制限できる。蓄圧器に蓄積された流体によって、弁を再度開くためにパドルホイールを逆方向に十分に回転させるのに十分な量の流体を引き出すことが可能である。
【0126】
図24及び図25は、チャネル196の「L」字型の端部を示している。弁カム190が、図25の弁の開位置から図24の弁の閉位置まで可動すると、カムフォロア部材186は、反時計回りの方向に90度回転される。これにより、弁本体185は回転して弁174を閉じ、さらなる流体がバルーンに流入することを防止する。固定用バルーンを収縮させるために、注射器のプランジャが注射器の本体部から引き抜かれると、プランジャの引き抜きによって生じる吸引により、パドルホイール170はその反対方向に回転する。そして、これにより今度は弁カム190がその弁の開位置へ戻る。これにより、弁174は開き、固定用バルーン内の流体は注射器内へ逆流できる。
【0127】
本発明の好ましい第7実施形態は、バルーン膨張前、バルーン膨張後、及びバルーン膨張中の装置をそれぞれ示す、図26図27、及び図28に示されている。好ましい本実施形態では、流体システムは閉じられており、一定量の流体がシステム内に残っているが、収縮可能なリザーバと固定用バルーンとの間で移動されることを意味している。
【0128】
これらの図に見られるように、装置の実施形態は、収縮可能な頂部202を有する1つのセクションを備える硬質の底ハウジング201を有する流体リザーバ200を含んでいる。頂部202に圧力を付加すると、リザーバの内容積が減少し、流体が供給管腔16を通じてハウジングから固定用バルーン14へ流動する。収縮可能な頂部を有するセクションと供給管腔への接続部との間で、ハウジング201の他の部分に配置されているのは、固定用バルーンの圧力が低(L)、中(M)、又は高(H)の場合を示す3つの圧力表示器のセットである。手動作動弁204はリザーバ200と供給管腔との間に配置されている。
【0129】
図26は、膨張前の装置を示している。その状態では、収縮可能な頂部202はドーム状の構造を有している。
【0130】
バルーンは、流体が、圧力表示器206、開いた弁204、及び管腔16を介してリザーバ200から固定用バルーンへ移動されるように、リザーバ200の可撓性を有する頂部202に圧力を付加することによって膨張される。図27に見られるように、圧力が頂部202に付加されると、頂部202は、流体を固定用バルーン内に移動させるようにハウジング内へ収縮する。圧力表示器206が、バルーン内の圧力が所望のレベルに達したことを示すと、バルーンを完全に膨張させるのに十分な量の流体が供給されたため、操作者は弁204を閉じる。
【0131】
図28に見られるように、膨張中、弁204は操作者によって開かれており、リザーバの頂部202に付加された力は、頂部202がその通常のドーム状の形状に戻ることができるように、解放される。
【0132】
本発明の好ましい第8実施形態は図29及び図30に示されている。本実施形態はまた、一定量の流体を伴う密閉空間システムを有しており、固定用バルーンに流体を供給し、及び、固定用バルーンから流体を除去するために、容積可変のリザーバを利用している。本実施形態では、容積可変のリザーバは、関連付けられた蛇腹状部210を有する注射器18の形状をしている。手動作動弁212は、注射器18と供給管腔16との間に配置されている。
【0133】
図29は、バルーン膨張前の装置を示している。この状態では、蛇腹状部210は、注射器の容量がその最高レベルであるように、その最も拡張した位置にある。図30に示されているように、膨張過程中、蛇腹状部210が収縮し、リザーバの内容積を減少し、流体が注射器から弁212及び管腔16を介してバルーンに移動するように、力が蛇腹状部210に付加されている。バルーンが完全に膨張すると、弁212は開かれ、バルーンからの流体は注射器へ逆流し、これにより、バルーンが収縮するように蛇腹状部210は拡張する。
【0134】
圧力表示器、又はシステム内の圧力を示す他の手段は、図示されていないが、バルーンが所望の圧力まで膨張され、弁を閉じる必要がある場合に、ユーザに警告するために使用されてもよい。バルーンを充填するために利用可能な総容量は、制限されており、従って全体として過充填を防止する。
【0135】
本発明は、流体の流入を停止するために充填ラインと関連付けられた弁を閉じるための流体供給接続とは別に、バルーンへの流体戻り接続の圧力を利用するカテーテルの固定用バルーンの充填ライン遮断装置に関連するということがここで理解できる。充填ライン遮断装置は、カテーテルの充填ポートに接続されているか、又は、一体化されている。
【0136】
好ましい一実施形態では、戻りライン内の圧力により、弁を変位させてバルーンへの流動を遮断する可撓性要素は、拡張するか、又は反転する。可撓性要素は、膜、隔膜、バルーン、又は管であってもよい。バルーン内の圧力が予め定められたレベルに達し、戻り弁の圧力により、スナップ動作バネが作動する場合、スナップ動作バネは、過充填防止弁を閉じるために使用されてもよい。
【0137】
可撓性部材は、供給側ポートから弁の出口側ポートまで流体を運ぶための流路を形成するためにベースに固定されている。圧力に応じて変形する部材は、流体の流路を密封するために膜を押圧する。変形膜は、低圧の固定用バルーンがより高圧の流れを遮断することを可能にするために、膜の下方の流路面積よりも著しく大きな面積を有している。
【0138】
好ましくは、圧力応答部材はドーム型であってもよい。この部材は、予め定められた圧力に達すると急激に変形する。変形可能構造は、スナップドームと一体化するか、又はスナップドームとして形成されている。
【0139】
装置本体は、カテーテルバルーンを通じた場合を除いて、その間を通過する流れがない2つの成形された構造から形成されている。弁が閉じる前又は同時に合図する一体化された表示器が設けられていてもよい。表示器は、戻りライン内の圧力を示すように拡張してもよい。
【0140】
逆止弁は、バルーンから流体を除去するための第2流路を制御する。逆止弁要素は、ボール型、フラップ型、ダックビル型、又は傘型弁である。別の実施形態では、逆止弁要素は、可撓性膜と組み合わせた2以上の追加的なポートから構成される。
【0141】
変形可能な構造は、成形されたシリコンラバー、ポリウレタン、又は他の熱可塑性エラストマーである。
【0142】
別の好ましい実施形態では、圧力解放弁は、カテーテルの内側又は外側で排水する。カテーテルの末端が患者の直腸内に保持される場合、圧力解放弁は、患者の内側又は外側に配置されてもよい。加圧された流体供給源に関連付けられたコネクタがカテーテルに接続されている場合、流体は、膨張中、圧力解放弁にのみアクセス可能である。
【0143】
別の実施形態では、ルアー型又は他のコネクタ作動型の2重弁は、解放弁への流体のアクセスを制限するために利用される。2重弁は、弁棒を有する第1の弁を含む。弁棒は、第2の弁を開くためにチャンバ内に延びている。第2の弁は、ダックビル型弁である。弁棒は、ダックビル型弁を開くためにダックビル型弁を歪める。第2の弁は、弁キャップと弁座を含む。弁キャップは、第2の弁が作動されない限り、弁座に対して保持されている。第1及び第2の弁は、単一部品で一体化されている。
【0144】
別の実施形態では、過充填プロテクタは、充填チャンバと戻りチャンバの2つのチャンバを含んでいる。柔軟なシール要素は、上記の弁棒に取り付けられている。弁が作動されると、柔軟なシール要素は、2つのチャンバ間の棒の開口部を密封する。
【0145】
別の実施形態では、膜は弁棒と関連付けられている。弁棒を引き、バルーン内への流体の流動を止める充填ライン弁を閉じるために、戻りラインの流体圧力は、膜を拡張又は反転させる。可撓性膜のシールは、充填ラインと戻りラインとの間にある。弁棒の充填チャンバ圧力を調整するように弁棒は、可撓性膜のシールを有する充填チャンバの反対の外側へ延びている。充填ラインと戻りラインとの間のシールは、ハウジングと弁棒の間にある摺動シールである。
【0146】
別の実施形態では、バルーンは戻りラインによって膨張され、弁棒は充填ラインの弁を閉じる。バルーンは、環状又は略環状であり、弁棒はバルーンの開口部を通過する。
【0147】
別の実施形態では、塞がれることが可能な可撓性管は、充填ラインの一部である。戻りラインによって膨張されたバルーンは、管を塞ぎ、固定用バルーン内への流体の流動を停止する。堅い要素が、閉塞可能な管と戻りバルーンとの間に配置されていてもよい。強固な要素は、戻りバルーンからの力を管に集中する。強固な要素はまた、圧力表示器として機能してもよい。
【0148】
限られた数の本発明の好ましい実施形態が、例示の目的のために開示されているが、それについて多くの修正及び変形がなされ得ることは明らかである。以下の特許請求の範囲によって定義されているように、本発明の範囲内にそれらの修正及び変形の全てを含むことを意図している。
【符号の説明】
【0149】
A カテーテル
B 容器
C 装置
10 カテーテルの末端
12 カテーテルの基端
14 バルーン
16 供給管腔
18 注射器
20 灌注管腔
22 流体入口
24 供給管腔のその他の端
26 戻り管腔
28,48 戻りポート
30,30a,30b,30c,30d 本体部
32 ベース
34 圧力キャップ
36 プラグ
40,46 流路
40a,40b,46a,46b セクション
42,182 入口ポート
44,184 出口ポート
50 膜
52,54,98,196 チャネル
52a,52b,54a,54b ブランチ
56 ボール
58 ドーム
59,202 頂部
60 圧力応答弁部材
61 双安定圧力応答弁部材
62,64 部分
66 圧力解放チャネル
68,112 バネ
70 突出部
72 ディスク
80 面
82,86,116,120,122 開口部
84 保持部
88 リリーフ
90 圧力解放弁
92 第1の弁
94 第2の弁
96,128 コネクタ
100 シール
102 バネ手段
104 ダックビル型弁
110 バネ仕掛け弁
114,150 弁
115,124,126 シール
118,130 隔膜(可撓性手段)
132 ドーム型部材
140 戻りバルーン
142 可撓性管
142a,142b 平行セクション
144 U字型セクション
146 圧力板
148 圧力表示器
152 ルアー型コネクタ
154,188 ポート
156 ダックビル型逆止弁
158 ピボットアーム
160 傘型弁
170 パドルホイール
172 蓄圧器
174 弁
180,183,201 ハウジング
185 弁本体
186 カムフォロア部材
190 弁カム
192 カム駆動ギア
194 隔膜
200 リザーバ
204,212 手動作動弁
206 圧力表示器
210 蛇腹状部
図1
図2
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