特許第6363508号(P6363508)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6363508
(24)【登録日】2018年7月6日
(45)【発行日】2018年7月25日
(54)【発明の名称】樹脂組成物及びその硬化物(1)
(51)【国際特許分類】
   H05B 33/04 20060101AFI20180712BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20180712BHJP
   C08G 59/20 20060101ALI20180712BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20180712BHJP
   H01L 27/32 20060101ALI20180712BHJP
【FI】
   H05B33/04
   H05B33/14 A
   C08G59/20
   G09F9/30 365
   G09F9/30 309
   H01L27/32
【請求項の数】12
【全頁数】35
(21)【出願番号】特願2014-549830(P2014-549830)
(86)(22)【出願日】2013年11月27日
(86)【国際出願番号】JP2013006982
(87)【国際公開番号】WO2014083850
(87)【国際公開日】20140605
【審査請求日】2016年6月6日
(31)【優先権主張番号】特願2012-259621(P2012-259621)
(32)【優先日】2012年11月28日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004086
【氏名又は名称】日本化薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】内藤 伸彦
(72)【発明者】
【氏名】木戸場 潤
(72)【発明者】
【氏名】松尾 雄一朗
【審査官】 大竹 秀紀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−284475(JP,A)
【文献】 特開2006−307063(JP,A)
【文献】 特開2004−111380(JP,A)
【文献】 特開2011−021183(JP,A)
【文献】 特開2007−046035(JP,A)
【文献】 特開2008−059945(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/045588(WO,A1)
【文献】 特開2013−157204(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/020688(WO,A1)
【文献】 特開2010−024364(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 33/04
H01L 51/50
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビフェニル及びビスフェノールAからなる群から選択される少なくとも一つの骨格と、更に、オキセタニル基またはエポキシ基とを有する芳香族化合物(A)、及び、オキセタニル基またはエポキシ基を有し、下記(iii)の条件を満たす環状化合物(B)を含有し、且つ、硬化物の水蒸気透過度が35g/m・24h(60℃で、湿度90%)以下であり、
波長380〜780nmにおける各波長の光線透過率が90%以上であり、
硬化物のガラス転移点(Tg)が84℃以上である、
基板上に形成された有機EL素子上に形成されたパッシベーション膜の上に塗布し、封止用透明基板を設け、硬化させる有機EL素子の固体封止用の樹脂組成物、
(iii)該環状化合物(B)の条件:
該環状化合物(B)における環は、芳香族環であり、該環状化合物は、前記芳香族化合物(A)として使用される化合物とは異なる構造を有し、ビフェニル骨格を有する化合物である。
【請求項2】
環状化合物(B)の環が芳香族環である請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項3】
さらに硬化剤(C)を含有する請求項1または2に記載の樹脂組成物。
【請求項4】
硬化剤(C)が光カチオン重合開始剤である請求項3に記載の樹脂組成物。
【請求項5】
前記光カチオン重合開始剤が下記(C−1)、
C−1:スルホニウム塩、ヨードニウム塩、ホスホニウム塩、アンモニウム塩、及びアンチモン酸塩、に記載の群から選択される少なくとも一つである請求項4に記載の樹脂組成物。
【請求項6】
硬化剤(C)が熱硬化剤である請求項3に記載の樹脂組成物。
【請求項7】
前記熱硬化剤が下記(C−2)、
C−2:アミン系化合物、酸無水物系化合物、アミド系化合物、フェノール系化合物、カルボン酸系化合物、イミダゾール系化合物、イソシアヌル酸付加物、金属化合物、スルホニウム塩、アンモニウム塩、アンチモン酸塩、ホスホニウム塩、マイクロカプセル型硬化剤、に記載の群から選択される請求項6に記載の樹脂組成物。
【請求項8】
芳香族化合物(A)と環状化合物(B)の総量100質量部に対して、芳香族化合物(A)を20〜80質量部含有する請求項1乃至請求項7の何れか1項に記載の樹脂組成物。
【請求項9】
芳香族化合物(A)と環状化合物(B)の総量を100質量部に対して、環状化合物(B)を20〜80質量部含有する請求項1乃至請求項8の何れか1項に記載の樹脂組成物。
【請求項10】
芳香族化合物(A)と環状化合物(B)の総量を100質量部とした場合に硬化剤(C)を0.1〜5質量部含有する請求項1乃至請求項9の何れか1項に記載の樹脂組成物。
【請求項11】
請求項1乃至請求項10の何れか一項に記載の樹脂組成物を硬化せしめて得られる硬化物で面封止された有機ELディスプレイ。
【請求項12】
請求項1乃至請求項10の何れか一項に記載の樹脂組成物の有機EL素子の面封止のための使用。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
昨今、低透湿性材料は種々の産業において重要な材料である。特に電気電子、ディスプレイ周辺においては、品質を維持するために必要不可欠な材料であり、また、より高性能な低透湿性材料が望まれている。
近年、ディスプレイはフラットパネルディスプレイ(FPD)と称される薄型のディスプレイ、特にプラズマディスプレイ(PDP)、液晶ディスプレイ(LCD)が市場投入され広く普及している。また、次世代の自発光型薄膜ディスプレイとして有機ELディスプレイ(OLED)が期待されており、一部製商品では既に実用化されている。有機ELディスプレイの有機EL素子は、TFT等の駆動回路が形成されたガラス等の基板上に、陰極および陽極によって挟持された発光層を含む薄膜積層体からなる素子部本体が形成された構造を有している。素子部の発光層または電極といった層は、水分または酸素により劣化し易く、劣化によって輝度やライフの低下、変色が発生する。その為、有機EL素子は、外部からの水分または不純物の浸入を遮断するように封止されている。高品質で高信頼性の有機EL素子の実現に向けて、より高性能な封止材料が望まれており、従来から種々封止技術が検討されている。
【0002】
有機EL素子の代表的な封止方法として、予め乾燥剤を挿入した金属製またはガラス製の封止キャップを、封止用接着剤を用いて有機EL素子の基板に固定する方法が検討されている(特許文献1)。この方法は、有機EL素子の基板外周部に接着剤を塗布し、その上に封止キャップを設置、次いで接着剤を固化させることによって、基板と封止キャップとを固定し、有機EL素子を密閉している。このような方法では、ガラス製の封止キャップによる封止が主流となっている。しかし、ガラス製の封止キャップは、平坦なガラス基板に乾燥剤を挿入するための掘り込みを加工することによって作製されるため、高コストとなる傾向がある。また、封止キャップによる封止は、封止キャップの内側に乾燥剤が挿入されることになるため、封止キャップ側から光を取り出すことはできない。即ち、光源から放たれた光は素子の基板側から取り出されることになり、ボトムエミッション型の素子に制限される。ボトムエミッション型の素子の場合、基板に形成された駆動回路部による開口率の低下、および駆動回路部によって光が一部遮られることによる取り出し効率の低下の問題がある。そのため、有機EL素子の基板の反対側から光を取り出すトップエミッション型の素子に適用可能な封止方法の開発が望まれている。
【0003】
トップエミッション型の素子に適用可能な代表的な封止方法として、薄膜封止法および固体封止法がある。薄膜封止法は、有機EL素子の上に無機または有機材料からなる薄膜を多層積層してパッシベーション膜とする方法である(特許文献2)。この方法によって素子に十分な防湿性を付与するには、素子上に何層もの薄膜を順次積層する必要がある。そのため、薄膜封止法では成膜工程が長く高コストとなり、また成膜に必要とされる大型の真空系設備の導入によって初期投資が高くなる傾向がある。
【0004】
一方、固体封止法は、有機EL素子の素子部全体を覆うようにパッシベーション膜を設け、その上に封止材料を介して封止用透明基板を設ける方法である。一般に、パッシベーション膜は、無機材料を蒸着またはスパッタリングすることによって形成されるが、それはピンホールを有する不完全な膜であるか、機械的強度の弱い膜であることが多い。そのため、固体封止法では、素子上にパッシベーション膜を設けた後に、封止用接着剤を介してガラス基板などの封止用透明基板を設けることによって封止の信頼性を高めている。また、エアギャップに熱あるいは光硬化型の樹脂を充填することで封止の信頼性を高める手法も検討されている。このような固体封止法は、簡便かつ低コストでトップエミッション型の素子の封止を実施可能な方法として注目を集めている。
【0005】
有機EL素子の固体封止法による封止では、熱または光硬化性樹脂を封止用接着剤、面封止用接着剤として使用することが可能であるが、それらの特性は素子の性能および封止作業の生産性に著しい影響を及ぼす可能性があるため非常に重要である。例えば、封止用接着剤の水蒸気透過率が十分に低くないとパッシベーション膜のピンホールから素子部に浸入し、素子の劣化を招く可能性がある。また、封止材料の硬化反応が遅ければ、硬化工程に時間がかかり、封止作業の生産性が低下する可能性がある。
【0006】
これらに用いられる封止用接着剤には、可視光領域での高い透過率の他、発光に耐えうる耐光性、安定した成形性や残留応力抑制のための低硬化収縮性、発光素子を湿気から保護するための低水蒸気透過率などが求められる。有機EL素子の封止用接着剤として周知の接着剤を使用して固体封止法による封止を実施することは可能であるが、信頼性および生産性の双方で満足できる結果を得ることは難しいのが現状であり、固体封止法に好適に使用可能な封止用接着剤の開発が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4876609
【特許文献2】特開2012−059553号公報
【特許文献3】特許第4655172
【特許文献4】特開2001−81182号公報
【特許文献5】特開2011−225773号公報
【特許文献6】特許第4850231
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、有機EL素子の封止材、特に面封止に適した樹脂組成物と、可視光透過率、耐光性、硬化性に優れ、Tgが高く、硬化収縮率、水蒸気透過度の低い硬化物を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意研究の結果、特定の組成を有し、粘度が一定以下である樹脂組成物及びその硬化物が前記課題を解決することを見出し、本発明を完成させた。
【0010】
即ち、本発明は、下記(1)〜(25)に記載の発明に関するものである。
(1)下記(i)の式(A−A)で表される骨格、下記(ii)の式(A−B)で表される骨格、アントラセン骨格及びフェナントレン骨格からなる群から選択される少なくとも一つの骨格と、更に、オキセタニル基またはエポキシ基とを有する芳香族化合物(A)、及び、オキセタニル基またはエポキシ基を有し、下記(iii)の条件を満たす環状化合物(B)を含有し、且つ、25℃で測定した粘度が1300mPa・s以下である有機EL素子の面封止用の樹脂組成物、
(i)式(A−A)


(上記式中、Xは直接結合、硫黄原子またはジメチルメチレン基を、Rは水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表し、mは1〜4の整数を示す。)、
で表される骨格、
(ii)式(A−B)


(上記式中、Rは水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表し、nは1〜4の整数を示す)
で表される骨格、
(iii)該環状化合物(B)の条件:
該環状化合物(B)における環は、芳香族環、脂肪族環またはヘテロ環であり、これらの中で環が、(a)芳香族環の場合、該環状化合物は、前記芳香族化合物(A)として使用される化合物とは異なる構造を有する化合物であり、また、(b)脂肪族環の場合、該環状化合物は、橋架け構造を有する脂環式炭化水素骨格又はシクロアルキレン骨格と、及び、オキセタニル基またはエポキシ基とを有する環状化合物、又は、脂環式エポキシ樹脂である。
【0011】
(2)芳香族化合物(A)が下記(A−1)
A−1:フェニル、ビフェニル、アントラセン、フェナントレン、ビスフェノールA、ビスフェノールF及びビスフェノールS、
に記載の群から選択される骨格を有する上記(1)に記載の樹脂組成物。
(3)芳香族化合物(A)が、芳香族骨格として、フェニル、ビフェニル及びビスフェノールAからなる群から選択される骨格を有する化合物である上記(1)または上記(2)に記載の樹脂組成物。
【0012】
(4)環状化合物(B)が下記(B−1)、
B−1:芳香族環、上記脂肪族環及びヘテロ環、
に記載の群から選択される環を有する上記(1)乃至上記(3)の何れか一項に記載の樹脂組成物。
【0013】
(5)シクロアルキレン骨格が下記式(B−A)


(上記式中、Yは直接結合、硫黄原子またはメチレン基を、Rは水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表し、tは1〜4の整数を示す)
で表される骨格を形成している上記(1に記載の樹脂組成物。
(6) 環状化合物(B)が脂環式エポキシ樹脂である上記(1)に記載の樹脂組成物。
【0014】
(7)環状化合物(B)の環が芳香族環である上記(1)乃至上記(4)の何れか一項に記載の樹脂組成物。
(8)環状化合物(B)が下記(B−2)
B−2:フェニル、ビフェニル、ナフタレン、ビナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ビスフェノールA、ビスフェノールF及びビスフェノールS、
に記載の群から選択される骨格を有する上記(7)に記載の樹脂組成物、
【0015】
(9)環状化合物(B)がフェニル、ビフェニル、ナフタレン、ビナフタレン及びビスフェノールAからなる群から選ばれる骨格を有するオキセタン化合物またはエポキシ化合物である上記(8)に記載の樹脂組成物。
(10)環状化合物(B)が下記(B−3)、
B−3:イソボルニル、アダマンタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールF及び水添ビスフェノールS、
に記載の群から選択される骨格を有する上記(1)乃至上記(4)の何れか一項に記載の樹脂組成物。
【0016】
(11)環状化合物(B)がアダマンタン、シクロヘキサン及び水添ビスフェノールAからなる群から選ばれる骨格を有するオキセタン化合物またはエポキシ化合物である上記(4)または上記(10)に記載の樹脂組成物。
(12)環状化合物(B)が下記(B−4)、
B−4:モルホリン、テトラヒドロフラン、オキサン、ジオキサン、トリアジン、カルバゾール、ピロリジン及びピペリジン、
に記載の群から選択される骨格を有する上記(1)乃至上記(4)の何れか一項に記載の樹脂組成物。
【0017】
(13)環状化合物(B)がオキサン、ジオキサン及びトリアジンからなる群から選ばれる骨格を有するオキセタン化合物またはエポキシ化合物である上記(4)または上記(12)に記載の樹脂組成物。
【0018】
(14)さらに硬化剤(C)を含有する上記(1)乃至上記(13)の何れか一項に記載の樹脂組成物。
【0019】
(15)硬化剤(C)が光カチオン重合開始剤である上記(14)に記載の樹脂組成物。
(16)前記光カチオン重合開始剤が下記(C−1)、
C−1:スルホニウム塩、ヨードニウム塩、ホスホニウム塩、アンモニウム塩、及びアンチモン酸塩、
に記載の群から選択される少なくとも一つである上記(15)に記載の樹脂組成物。
【0020】
(17)硬化剤(C)が熱硬化剤である上記(14)に記載の樹脂組成物。
(18)前記熱硬化剤が下記(C−2)、
C−2:アミン系化合物、酸無水物系化合物、アミド系化合物、フェノール系化合物、カルボン酸系化合物、イミダゾール系化合物、イソシアヌル酸付加物、金属化合物、スルホニウム塩、アンモニウム塩、アンチモン酸塩、ホスホニウム塩、マイクロカプセル型硬化剤、
に記載の群から選択される上記(17)に記載の樹脂組成物。
【0021】
(19)芳香族化合物(A)と環状化合物(B)の総量100質量部に対して、芳香族化合物(A)を20〜80質量部含有する上記(1)乃至上記(18)の何れか一項に記載の樹脂組成物。
(20)芳香族化合物(A)と環状化合物(B)の総量を100質量部に対して、環状化合物(B)を20〜80質量部含有する上記(1)乃至上記(19)の何れか一項に記載の樹脂組成物。
(21)芳香族化合物(A)と環状化合物(B)の総量を100質量部とした場合に硬化剤(C)を0.1〜5質量部含有する上記(1)乃至上記(20)の何れか一項に記載の樹脂組成物。
【0022】
(22) 厚さ100μmの硬化物とし、60℃で、相対湿度90%において測定した該硬化物の水蒸気透過度が35g/m・24hr以下である上記(1)乃至上記(21)の何れか一項に記載の樹脂組成物。
【0023】
(23)上記(1)乃至上記(22)の何れか一項に記載の樹脂組成物を硬化せしめて得られる硬化物で面封止された有機ELディスプレイ。
(24)上記(1)乃至上記(22)の何れか一項に記載の樹脂組成物を基材上に塗布、硬化させてなるバリア性能を有する有機ELディスプレイの面封止用のフィルム。
【0024】
(25) 上記(1)乃至上記(22)の何れか一項に記載の樹脂組成物の有機EL素子の面封止のための使用。
【発明の効果】
【0025】
本発明の樹脂組成物は、低粘度であり、且つ、その硬化物は、可視光透過率、耐光性に優れ、Tgが高く、硬化収縮率、水蒸気透過度が低いことから、特に有機EL素子の封止材、特に面封止に適している。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の樹脂組成物に含有される前記芳香族化合物(A)としては、以下に例示されるオキセタン化合物又はエポキシ化合物が挙げられる。
【0027】
本発明の樹脂組成物に含有される芳香族化合物(A)は、前記式(A−A)で表される骨格、前記式(A−B)で表される骨格、アントラセン骨格及びフェナントレン骨格からなる群から選択される少なくとも一つの骨格と、更に、オキセタニル基またはエポキシ基とを有する芳香族化合物(A)であればよい。
尚、本発明においてアントラセン骨格又はフェナントレン骨格は置換基を有していても、有していなくてもよい。有している場合の置換基としてはアルキル基、アルコキシ基またはアルケニル基を挙げることができ、これらの基は、何れも炭素数1〜4が好ましい。
本発明においては、芳香族化合物(A)として、下記式(A−A)


(上記式中、Xは直接結合、硫黄原子またはジメチルメチレン基を、Rは水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表し、mは1〜4の整数を示す。)
で表される骨格、または下記式(A−B)


(上記式中、Rは水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表し、nは1〜4の整数を示す。但し、上記式(A−A)に含まれる骨格を除く。)
で表される骨格、アントラセン骨格及びフェナントレン骨格からなる群から選択される骨格と、オキセタニル基またはエポキシ基とを有する芳香族化合物、を使用する。
該芳香族化合物(A)(以下成分(A)ともいう)と前記の環状化合物(B)(以下成分(B)ともいう)とを組み合わせることで、極めて優れた耐湿性の効果を得ることができる。上記の骨格が水分に対して十分なバリアとなり、透湿を防ぐためである。
上記式(A−A)骨格において好ましいものは、Xが直接結合ないしジメチルメチレン基を有するものであり、直接結合のもの(ビフェニル骨格)が特に好ましい。
【0028】
上記(A−A)骨格、(A−B)骨格、アントラセン骨格またはフェナトレン骨格と、オキセタニル基またはエポキシ基は、直接または炭化水素基によって連結されていることが好ましい。
上記骨格に、オキセタニル基またはエポキシ基が炭化水素基により連結されている場合、該炭化水素基としては、炭素数1〜10のアルキレン基または、エーテル結合を有する炭素数1〜10のアルキレン基が挙げられる。エーテル結合は、該アルキレン基の中であっても、該アルキレン基のいずれかの末端にあっても良い。好ましくは、炭素数1〜4のアルキレン基(より好ましくは炭素数1〜3のアルキキレン基)、炭素数1〜4のアルキレン−酸素原子−炭素数1〜4のアルキレン基(より好ましくは炭素数1〜3のアルキキレン−酸素原子−炭素数1〜3のアルキレン基)等のエーテル結合を炭素原子間に含む炭素数2〜10のアルキレン基(より好ましくは2〜6のアルキレン基)、または、−オキシメチル基などのエーテル結合をアルキレン基の末端に有する炭素数1−4のアルキレン基(−オキシ−炭素数1−4のアルキル基、より好ましくは-オキシ−炭素数1−4のアルキル基)である。エーテル結合を末端に有する場合、通常、エーテル基が芳香環に結合し、アルキル基がオキセタン環またはエポキシ環に結合する。
【0029】
オキセタニル基を含む芳香族化合物(A)としては、例えば下記に例示するオキセタン化合物を挙げることができる。
例えば、1,4−ビス{[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]メチル}ベンゼン、3−エチル−3−フェノキシメチルオキセタン、キシリレンビスオキセタン、1,4−ビス[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]ベンゼン、1,3−ビス[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]ベンゼン、1,2−ビス[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]ベンゼン、4,4’−ビス[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]ビフェニル、2,2’−ビス[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]ビフェニル、3,3’,5,5’−テトラメチル[4,4’−ビス(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]ビフェニル、2,7−ビス[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]ナフタレン、4,4’−ビス[(1−エチル−3−オキセタニル)メチル]チオジベンゼンチオエーテル酸等のオキセタン化合物を挙げることができる。
【0030】
エポキシ基を有する芳香族化合物(A)としては、スチレンオキサイド、フェニルグリシジルエーテル等のフェニル骨格を有するエポキシ化合物、ビフェニルグリシジルエーテル、ビフェニルジグリシジルエーテル、p−tert−ブチルフェニルグリシジルエーテル、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビス(グリシジルオキシ)−1,1’−ビフェニル、フェニルアラルキル型エポキシ化合物、ビフェニルアラルキル型エポキシ化合物等のビフェニル骨格を有するエポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物等のノボラック型エポキシ化合物、ビスフェノールAジグリシジルエーテル又は臭素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル等のビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールSジグリシジルエーテル又は臭素化ビスフェノールSジグリシジルエーテル等のビスフェノールS型エポキシ化合物、ビスフェニルフルオレンジグリシジルエーテル又はビスフェニルフルオレンエタノールグリシジルエーテル等のフルオレン骨格(好ましくはビスフェニルフルオレン骨格)を有するエポキシ化合物等が挙げられる。
ここで、ビフェニルアラルキルエポキシ化合物の例としては、下記式(A−Aa)のものが挙げられる。
式(A−Aa)


(上記式中、Gはグリシジル基を、pは1〜50の整数を表す。)
上記式(A−Aa)の化合物としては、市販のo−フェニルフェノールグリシジルエーテル(三光株式会社製)等を挙げることができる。
【0031】
成分(A)の具体的な骨格としては、下記(A−1)
A−1:フェニル、ビフェニル、ナフタレン、ビナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ビスフェノールA、ビスフェノールF及びビスフェノールS、
に記載の群から選択される骨格を挙げることができる。
本発明の樹脂組成物では、前記成分(A)の上記の骨格の中でもフェニル骨格(式(A−A)の骨格を除く、以下同じ)、ビフェニル骨格、ビスフェノールA骨格又はビスフェノールS骨格が好ましい。より好ましくは、粘度、透湿度が低く、光線透過率に優れるビフェニル骨格、ビスフェノールA骨格である。上記の中でも、ビフェニル骨格が更に好ましい。
また、前記成分(A)としては、オキセタニル基又はエポキシ基を1つ有する成分(A)が好ましく、より好ましくは、更に、骨格が上記の好ましい骨格又はより好ましい骨格を有する芳香族化合物(A)である。更に好ましくは、ビフェニル骨格含有モノエポキシ化合物又はモノオキセタニル化合物である。
前記成分(A)としては、オキセタニル基又はエポキシ基の何れかを有すればよいが、エポキシ基がより好ましい。
エポキシ基を有する更に好ましい芳香族化合物(A)としては、ビフェニル骨格含有モノエポキシ化合物、フェニル骨格含有モノエポキシ化合物、例えば、フェニルフェノールグリシジルエーテル(より好ましくはo−フェニルフェノールグリシジルエーテル)又はリモネンオキサイドを挙げることができる。
本発明の成分(A)の含有量は反応性化合物である成分(A)+成分(B)の総量100質量部に対して、20〜80質量部であり、好ましくは30〜70質量部である。また、低透湿度を達成する為には成分(A)の官能基当量が10〜500g/eqが好ましく、50〜250g/eqがさらに好ましい。
【0032】
本発明の樹脂組成物に含有される環状化合物(B)としては、特定骨格を有する芳香環を有するオキセタン化合物またはエポキシ化合物、特定骨格を有する脂肪族環を有するオキセタン化合物またはエポキシ化合物、ヘテロ環を有するオキセタン化合物またはエポキシ化合物が挙げられる。
環状化合物(B)における環としては、下記(B−1)、
B−1:芳香環、脂肪族環及びヘテロ環、
に記載の群から選ばれる環を挙げることができる。
ここで、環状化合物(B)として芳香環を有するオキセタン化合物またはエポキシ化合物を選択する場合は、芳香族化合物(A)として選択した化合物の構造とは異なる構造を有する化合物を用いるものとする。
また、環状化合物(B)としては、通常、オキセタニル基又はエポキシ基を複数(少なくとも2個)有する環状化合物(B)が好ましい。
【0033】
環状化合物(B)として用いることのできる芳香環を有するオキセタン化合物またはエポキシ化合物としては、前記芳香族化合物(A)として例示した化合物と同一のものを挙げることができるが、本発明においては、該芳香族化合物(A)と併用する場合、上記した通り、該芳香族化合物(A)として使用する化合物とは構造が異なる化合物を環状化合物(B)として使用することが重要である。
芳香環を有する環状化合物(B)における具体的な芳香環骨格としては、下記(B−2)
B−2:フェニル、ビフェニル、ナフタレン、ビナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ビスフェノールA、ビスフェノールF及びビスフェノールS、
に記載の群から選択される骨格を挙げることができる。これらの中で好ましい骨格としては、フェニル、ビフェニル、ナフタレン、ビナフタレン、及びビスフェノールAからなる群から選択される骨格である。
以下具体的な化合物について列挙する。
【0034】
環状化合物(B)として用いることのできる芳香環を有するオキセタン化合物としては、前記成分(A)の個所で挙げたものと同じものを挙げることができ、具体的には、下記の化合物を例示することができる。
例えば、1,4−ビス{[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]メチル}ベンゼン、3−エチル−3−フェノキシメチルオキセタン、キシリレンビスオキセタン、1,4−ビス[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]ベンゼン、1,3−ビス[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]ベンゼン、1,2−ビス[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]ベンゼン、4,4’−ビス[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]ビフェニル、2,2’−ビス[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]ビフェニル、3,3’,5,5’−テトラメチル[4,4’−ビス(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]ビフェニル、2,7−ビス[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]ナフタレン、4,4’−ビス[(1−エチル−3−オキセタニル)メチル]チオジベンゼンチオエーテル酸等が挙げられる。
【0035】
環状化合物(B)として用いることのできる芳香環を有するエポキシ化合物としては、下記の化合物を例示することができる。
例えば、スチレンオキサイド、フェニルグリシジルエーテル等のフェニル骨格を有するエポキシ化合物、ビフェニルグリシジルエーテル、ビフェニルジグリシジルエーテル、p−tert−ブチルフェニルグリシジルエーテル、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビス(グリシジルオキシ)−1,1’−ビフェニル、ビフェニルアラルキル型エポキシ化合物等のビフェニル骨格を有するエポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物等のノボラック型エポキシ化合物、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル等のビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールSジグリシジルエーテル等のビスフェノールS型エポキシ化合物、ビスフェニルフルオレンジグリシジルエーテル、ビスフェニルフルオレンエタノールジグリシジルエーテル等のフルオレン骨格を有するエポキシ化合物、グリシジルオキシナフタレン、1,6−ビス(2,3−エポキシプロパン−1−イルオキシ)ナフタレン、ビナフタレングリシジルエーテル、ビナフタレンジグリシジルエーテル、ビナフトールエタノールジグリシジルエーテル等のナフタレン骨格を有するエポキシ化合物等を挙げることができる。
【0036】
本発明においては、環状化合物(B)として芳香環を有するオキセタン化合物またはエポキシ化合物を選択する場合、前記化合物の中でも成分(A)として選択した化合物とは異なる構造を有する芳香族環と、及び、オキセタニル基またはエポキシ基とを有する化合物を使用する。その場合、本発明の樹脂組成物中には、異なる2種類の芳香環を有するオキセタン化合物又はエポキシ化合物が含有されることとなる。
環状化合物(B)として芳香環を有する化合物を選択する場合、該芳香環を含む好ましい骨格としては、フェニル骨格、ビフェニル骨格、ビスフェノールA骨格、ビスフェノールF骨格、ビスフェノールS骨格又はナフタレン骨格等を挙げることができる。より好ましくは、粘度、透湿度が低く、光線透過率に優れるビフェニル骨格、ビスフェノールA骨格又はナフタレン骨格である。更に好ましくは、ビフェニル骨格又はビスフェノールA骨格であり、最も好ましくはビスフェノールA骨格である。これらの化合物の粘度は1500mPa・s以下が好ましい。
【0037】
芳香環を有する好ましい環状化合物(B)としては、上記の好ましい骨格を有する環状化合物(B)を挙げることができ、より好ましい骨格、更に好ましい骨格、最も好ましい骨格を有する環状化合物(B)は、それぞれ、より好ましい環状化合物(B)、更に好ましい環状化合物(B)、最も好ましい環状化合物(B)である。該環状化合物(B)において、オキセタニル基とエポキシ基では、いずれでもよいが、通常、エポキシ基が好ましい。特に、環状化合物(B)としては、ビフェニル骨格又はビスフェノールA骨格を有するエポキシ化合物が好ましく、特に、エポキシ基を複数有する化合物が好ましい。
本発明の成分(B)の含有量は、反応性化合物である成分(A)+成分(B)の総量100質量部に対して、20〜80質量部であり、好ましくは30〜70質量部である。低透湿度を達成する為に好ましい成分(B)の官能基当量は、10〜1000g/eqであり、より好ましく、50〜500g/eqである。
また、低透湿性の点から成分(A)と成分(B)は異なる化合物を使用する。これは、透湿度を低下させるのには電子密度の高い化合物が有効だと考えられるが、電子密度だけではなく化合物間の架橋密度とのバランスも重要だからである。その為、透湿度を低下させる為には、例えば成分(A)として、フェニル骨格、ビフェニル骨格、又はビスフェノールA骨格を含有し、重合性基(オキセタニル基又はエポキシ基)を一つ有する化合物を使用し、成分(B)として、フェニル骨格、ビフェニル骨格、ビスフェノールA骨格、又はナフタレン骨格を含有し重合性基(オキセタニル基又はエポキシ基)を複数(二つ乃至三つ以上)有する化合物を、それぞれ前記した好ましい含有量で使用する態様である。より好ましい組み合わせの一例としては、成分(A)として、ビフェニル骨格、又はビスフェノールA骨格を有し、かつ、オキセタニル基又はエポキシ基を一つ有する化合物(好ましくはエポキシ基を一つ有する化合物)を使用し、成分(B)として、フェニル骨格、ビフェニル骨格、又はビスフェノールA骨格を有し、かつ、オキセタニル基又はエポキシ基(好ましくはエポキシ基)を複数(少なくとも2つ)有する化合物又はシクロヘキサン骨格含有エポキシ化合物(例えばリモネンオキサイド、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート及び水添ビスフェノールジグリシジルエーテル化合物等)を使用する態様を挙げることができる。なお、水添ビスフェノールジグリシジルエーテル化合物としては、水添ビスフェノールA、F又はSジグリシジルエーテルが挙げられる。これらの成分(A)及び成分(B)として使用される化合物は何れも粘度が1300mPa・s以下が好ましく、より好ましくは800mPa・s以下、更に好ましくは500mPa・s以下である。
【0038】
次ぎに、環状化合物(B)における、脂肪族環を有する環状化合物(B)について、以下詳細に説明する。
本発明においては脂肪族環を有する環状化合物(B)として、橋架け構造を有する脂環式炭化水素骨格、又はシクロアルキレン骨格と、及び、オキセタニル基またはエポキシ基とを有する環状化合物、又は、脂環式エポキシ樹脂を使用する。
上記における橋架け構造を有する脂環式炭化水素骨格又はシクロアルキレン骨格(橋架け構造を有しないシクロアルキレン骨格)は置換基を有していても、有していなくてもよい。置換基を有している場合の置換基はアルキル基、アルケニル基またはアルコキシ基を挙げることができ、これらの基は、炭素数1〜4が好ましく、炭素数1〜3が更に好ましい。
上記の脂肪族環を有する環状化合物(B)における脂肪族環骨格としては、橋架け構造を有する脂環式炭化水素骨格(好ましくは炭素数7〜10の橋架け構造を有する脂環式炭化水素骨格)及び橋架け構造を含まないシクロアルキレン骨格(好ましくは炭素数4〜7のシクロアルキレン骨格、より好ましくは炭素数5又は6のシクロアルキレン骨格、更に好ましくはシクロヘキシル骨格)を挙げることができる。なお、シクロアルキレン骨格の中で、シクロヘキシレン骨格は直接結合又は連結基を介して2つのシクロヘキシレン骨格が結合して、下記式(B−A)

(上記式中、Yは直接結合、硫黄原子またはメチレン基を、Rは水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表し、tは1〜4の整数を示す。)
で表される骨格であっても良い。
該環状化合物(B)における脂肪族環骨格としては、場合により、橋架け構造を有しない炭素数4〜7のシクロアルキレン骨格が好ましく、より好ましくは炭素数5又は6のシクロアルキレン骨格であり、最も好ましくは2価のシクロヘキシレン骨格である。なお、シクロヘキシレン骨格は、上記の式(B−A)で表される骨格を形成していてもよい。
該環状化合物(B)における好ましい脂肪族環骨格を例示すると下記B−3に記載の群、
B−3:イソボルニル、アダマンタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールF及び水添ビスフェノールS、
から選択される骨格を挙げることができ、更に、好ましくは、シクロペンタン、シクロヘキサン、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールF及び水添ビスフェノールSを挙げることが出来る。
架橋構造を含まないシクロアルキレン骨格の中では、シクロヘキシレン骨格が最も好ましい。シクロヘキヘキシレン骨格場合、式(B−A)で表される骨格を形成していないシクロヘキサン骨格が好ましい場合や式(B−A)で表される骨格を形成した方が好ましい場合があるので、適宜選択して使用することができる。
【0039】
本発明で使用する脂肪族環を有する環状化合物(B)としては、上記の脂肪族環骨格とオキセタニル基またはエポキシ基とを有する環状化合物又は脂環式エポキシ樹脂をあげることができる。
上記の環状化合物(B)を、前記の芳香族化合物(A)と組み合わせることで、極めて優れた耐湿性の効果を得ることができる。上記の骨格が水分に対して十分なバリアとなり、透湿を防ぐためである。
上記式(B−A)骨格において好ましいものは、Yが直接結合ないしメチレン基を有するものであり、直接結合のものが特に好ましい。
また、橋架け構造を有する脂環式炭化水素骨格として具体的には、アダマンタン骨格、ジシクロペンタジエン骨格、イソボルニル骨格が好適なものとして挙げられ、場合により、アダマンタン骨格又はイソボルニル骨格が好ましい。
また、シクロアルキレン骨格(橋架け構造を有しないシクロアルキレン骨格)の具体例としては、シクロペンタン骨格、シクロヘキサン骨格、シクロヘプタン骨格等が好適なものとして挙げられ、上記した様に、これらの2つが直接結合又は連結基を介して結合して上記式(B−A)骨格を形成していてもよい。
【0040】
上記橋架け構造を有する脂環式炭化水素骨格、シクロアルキレン骨格(上記(B−A)骨格を含む)と、オキセタニル基またはエポキシ基は、直接または炭化水素基(エーテル結合を含んでも良い)によって連結されていることが好ましい。
そして、具体的な連結としては、オキセタニル基またはエポキシ基が炭化水素基に結合し、該炭化水素基が、直接又はエーテル結合を介して、脂肪族環に連結される。炭化水素基によって連結されている場合の炭化水素基としては、炭素数1〜10のアルキル基、又は、エーテル結合を有する炭素数1〜10のアルキル基が挙げられる。好ましい連結基としての、エーテル結合を含む炭化水素基としては、炭素数1〜4のアルキレン−酸素原子−炭素数1〜4のアルキレン基(より好ましくは炭素数1〜3のアルキキレン−酸素原子−炭素数1〜3のアルキレン基)等のエーテル結合を炭素原子間に含む炭素数2〜10のアルキレン基(より好ましくは2〜6のアルキレン基)、又は、−オキシメチル基などのエーテル結合をアルキレン基の末端に有する炭素数1−4のアルキレン基(−オキシ−炭素数1−4のアルキル基)(より好ましくは-オキシ−炭素数1−3のアルキル基)等を挙げることができる。該アルキレン基がエーテル結合を末端に有する場合、通常、エーテル基が脂肪族環に結合し、アルキル基がオキセタン環またはエポキシ環に結合する。また、脂環式エポキシ樹脂のように脂肪族環にエポキシ基が直接形成されていてもよい。
【0041】
このような脂肪族環を有するオキセタン化合物としては、3(4),8(9)−ビス[(1−エチル−3−オキセタニル)メトキシメチル]−トリシクロ[5.2.1.2.6]デカン等が挙げられる。
【0042】
このような脂肪族環を有するエポキシ化合物としては、リモネンオキサイド、後述する式(b−1a)、式(b−1b)及び式(b−1c)に記載の脂環式エポキシ樹脂、水添ビスフェノールAエポキシ化合物、水添ビスフェノールFジグリシジルエーテル、臭素化水添ビスフェノールFジグリシジルエーテル等のビスフェノールF型エポキシ化合物、水添ビスフェノールSジグリシジルエーテル、臭素化水添ビスフェノールSジグリシジルエーテル等のビスフェノールS型エポキシ化合物、ジエポキシトリシクロデカン、トリシクロデカンジグリシジルエーテル等のトリシクロデカン骨格を有するエポキシ化合物、アダマンタングリシジルエーテル等のアダマンタン骨格を有するエポキシ化合物等が挙げられる。
【0043】
式(b−1a):
【0044】
式(b−1b)
【0045】
式(b−1c)

(nは平均値で1〜5の正数を表す。)
【0046】
環状化合物(B)における脂肪族環を有する化合物としては、脂環式エポキシ樹脂、又は、イソボルニル骨格、アダマンタン骨格及び水添ビスフェノールA骨格からなる群から選ばれる骨格を有する環状化合物(B)が好ましい。特に好ましくは、無色で反応性に優れ、ガラス転移点の高いことから脂環式エポキシ樹脂、又は、アダマンタン骨格を有する環状化合物(B)が挙げられる。
本発明の脂肪族環を有する環状化合物(B)の含有量は反応性化合物である成分(A)+成分(B)の総量100質量部に対して、20〜80質量部であり、好ましくは30〜70質量部である。低透湿度を達成する為に、該環状化合物(B)の好ましい官能基当量は10〜1000g/eqであり、より好ましくは50〜500g/eqである。
【0047】
ヘテロ環の例としては、モルホリン骨格、テトラヒドロフラン骨格、オキサン骨格、ジオキサン骨格、トリアジン骨格、カルバゾール骨格、ピロリジン骨格、ピペリジン骨格が挙げられる。これらは、置換基を有していても、置換基を有していなくてもよく、置換基を有する場合は、該置換基としてはアルキル基、アルコキシ基またはアルケニル基を挙げることができ、それは通常炭素数1〜4程度である。
上記ヘテロ環骨格と、オキセタニル基またはエポキシ基は、直接結合していても、また、2価の炭化水素基によって連結されていてもよいが、通常は、2価の炭化水素基によって連結されている。炭化水素基によって連結されている場合の炭化水素基としては、炭素数1〜10のアルキレン基または、エーテル結合を有する炭素数1〜10のアルキレン基が挙げられる。
【0048】
ヘテロ環を有するオキセタン化合物としては、イソシアヌル酸(CIC酸)とオキセタンアルコールの反応生成物等が挙げられる。
【0049】
ヘテロ環を有するエポキシ化合物としては、1,3,5−トリグリシジルイソシアヌレート等のイソシアヌレート骨格を有する化合物、ジオキサングリコールジグリシジルエーテル等のジオキサングリコール骨格を有する化合物等のエポキシ化合物が挙げられる。
【0050】
ヘテロ環を有する成分(B)としてはイソシアヌレート骨格を有する化合物が好ましく、CIC酸とオキセタンアルコールの反応生成物、1,3,5−トリグリシジルイソシアヌレートが特に好ましい。
ヘテロ環を有する成分(B)の含有量は反応性化合物である成分(A)+成分(B)の総量100質量部に対して、20〜80質量部であり、好ましくは30〜70質量部である。透湿度を向上させる為に好ましい該成分(B)の官能基当量は10〜500g/eqであり、より好ましくは50〜250g/eqである。
【0051】
本発明は、上記成分(A)、上記成分(B)を含有する硬化性樹脂組成物であり、以下これらの成分の組み合わせとして好適な組み合わせについて説明する。
好ましい組み合わせとしては、上記成分(A)または上記成分(B)のいずれかが重量平均分子量2000以下、より好ましくは1000以下、特に好ましくは500以下のものを使用して硬化性樹脂組成物とすることが好ましい。このような低分子量のものを成分(A)、成分(B)のいずれか一方に使用することで、低吸湿性を確保しつつ、低粘度で塗布後に広がりやすく、OLEDの製造に優れた組成物を得ることができるためである。
また、特に熱硬化の場合、成分(A)と成分(B)のいずれか一方をオキセタン化合物とすることも好ましい。いずれか一方をオキセタン化合物とすることで、低吸湿性を確保しつつ、短時間での硬化性に優れた樹脂組成物を得ることができるためである。
さらに、成分(A)と成分(B)の好適な使用比率としては、(A)/(B)が8/2〜2/8であり、7/3〜3/7がより好ましい。
Tg(ガラス転移点)を向上させたい場合、芳香族系化合物であればビスフェノールA骨格、脂環式化合物であればジシクロペンタジエン骨格、イソボルニル骨格、アダマンタン骨格を導入すると良い。
特に、本発明では、樹脂組成物の粘度(25℃で測定した時の粘度:以下同じ)が通常1500mPa・s以下、好ましくは1300mPa・s以下、更に好ましくは、1200mPa・s以下であるので、成分(A)及び成分(B)を混合した時に、上記粘度以下になるようにするのが好ましい。
【0052】
本発明においては、成分(A)として、ビフェニル骨格を含み、オキセタニル基又はエポキシ基を一つ有する単官能の芳香族化合物、好ましくはエポキシ基を一つ有するビフェニル骨格含有エポキシ化合物(好ましくはビフェニル骨格含有モノグリシジルエーテル)、より好ましくはo−フェニルフェノールグリシジルエーテルを用いて、成分(B)として、オキセタニル基又はエポキシ基を少なくとも2つ有する多官能の環状化合物(B)を用いる態様が好ましい。該多官能の環状化合物(B)としては、樹脂組成物の粘度、硬化物の水蒸気透過度の低さ、硬化収縮率の低さ、硬化物のTgの高さなどを考慮して、芳香族環または架橋していない脂肪族環を有する環状化合物(B)が好ましい。該多官能の環状化合物(B)としては、粘度が1400mPa・s以下、好ましくは1350mPa・s以下であり、且つ、芳香族環骨格として前記式(A−A)で表される骨格、又は、架橋を有しない炭素数5〜7のシクロアルカン骨格を有する環状化合物(B)等が好ましい。より好ましくは、粘度が1400mPa・s以下、好ましくは1350mPa・s以下であり、且つ、芳香族環骨格として前記式(A−A)で表される骨格を有し、少なくとも2つのエポキシ基を有するエポキシ化合物又は及び少なくとも2つのエポキシ基を有する脂環式エポキシ樹脂であり、更に好ましくは、粘度が1350mPa・s以下であり、且つ、ビフェニル骨格又はビスフェノールA骨格を有するポリグリシジルエーテル化合物又は及び3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレートである。
また、場合により、環状化合物(B)として、フルオレンやカルバゾール等の縮合環構造を有するオキセタン化合物またはエポキシ化合物も使用できる。
【0053】
成分(B)としての脂環式エポキシ樹脂は、粘度が低いことから加工性が良く、硬化速度に優れるという点から好ましい。脂環式エポキシ化合物の中でも好ましくは2官能の脂環式エポキシであり、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレートが特に好ましい。
また、成分(A)及び成分(B)以外のフルオレンやカルバゾール等の縮合環構造を有するオキセタン化合物またはエポキシ化合物も、必要に応じて使用することができ、塗膜に剛性を付与することができる。これらオキセタン化合物またはエポキシ化合物は単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
【0054】
本発明の樹脂組成物に含有される硬化剤(C)は前記成分(A)及び/又は(B)と反応性を有する。硬化剤には光等のエネルギー線又は熱で硬化反応を起こす化合物を使用することが出来る。本発明においては何れも使用可能であるが、通常はエネルギー線で硬化反応を引き起こす硬化剤(C)が好ましい。
【0055】
光等のエネルギー線で硬化反応を引き起こす硬化剤(C)としては紫外線(波長200〜400nm程度)を受けることによりカチオンを発生する化合物であれば制限なく使用でき、例えばカチオン重合開始剤、特に光カチオン重合開始剤が挙げられ、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、ホスホニウム塩、アンモニウム塩、アンチモン酸塩が例示される。
【0056】
スルホニウム塩としては、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4,4’−ビス[ジフェニルスルホニオ]ジフェニルスルフィド−ビスヘキサフルオロホスフェート、4,4’−ビス[ジ(β−ヒドロキシエトキシ)フェニルスルホニオ]ジフェニルスルフィド−ビスヘキサフルオロアンチモネート、7−[ジ(p−トルイル)スルホニオ]−2−イソプロピルチオキサントンヘキサフルオロホスフェート、7−[ジ(p−トルイル)スルホニオ]−2−イソプロピルチオキサントンヘキサフルオロアンチモネート、7−[ジ(p−トルイル)スルホニオ]−2−イソプロピルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、フェニルカルボニル−4’−ジフェニルスルホニオ−ジフェニルスルフィド−ヘキサフルオロホスフェート、フェニルカルボニル−4’−ジフェニルスルホニオ−ジフェニルスルフィド−ヘキサフルオロアンチモネート、4−tert−ブチルフェニルカルボニル−4’−ジフェニルスルホニオ−ジフェニルスルフィド−ヘキサフルオロホスフェート、4−tert−ブチルフェニルカルボニル−4’−ジフェニルスルホニオ−ジフェニルスルフィド−ヘキサフルオロアンチモネート、4−tert−ブチルフェニルカルボニル−4’−ジフェニルスルホニオ−ジフェニルスルフィド−テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、チオフェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、チオフェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、4−{4−(2−クロロベンゾイル)フェニルチオ}フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、チオフェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネートのハロゲン化物、4,4’,4’’−トリ(β−ヒドロキシエトキシフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4,4’−ビス[ジフェニルスルホニオ]ジフェニルスルフィド−ビスヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニル[4−(フェニルチオ)フェニル]スルホニウムトリフルオロトリスペンタフルオロエチルホスファート、トリス[4−(4−アセチルフェニルスルファニル)フェニル]スルホニウムトリス[(トリフルオロメチル)スルホニル]メタニド等を挙げることができる。
【0057】
ヨードニウム塩としては、ジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジ(4−ノニルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、(トリクミル)ヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が挙げられる。
【0058】
ホスホニウム塩としては、トリ−n−ブチル(2,5−ジヒドロキシフェニル)ホスホニウムブロマイド、ヘキサデシルトリブチルホスホニウムクロライド等が挙げられる。
【0059】
アンモニウム塩としては、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、フェニルトリブチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロマイド等が挙げられる。
【0060】
アンチモン酸塩としては、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、p−(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−クロルフェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ビス[4−(ジフェニルスルフォニオ)フェニル]スルフィドビスヘキサフルオロアンチモネート及びジアリルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート等が挙げられる。
【0061】
本発明で使用される光等のエネルギー線で硬化反応を引き起こす硬化剤(C)(光カチオン重合開始剤)としてはヨードニウム塩とスルホニウム塩が好ましく、中でも、高感度でありかつ市場から入手しやすい(トリクミル)ヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、チオフェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−{4−(2−クロロベンゾイル)フェニルチオ}フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニル[4−(フェニルチオ)フェニル]スルホニウムトリフルオロトリスペンタフルオロエチルホスファート、トリス[4−(4−アセチルフェニルスルファニル)フェニル]スルホニウムトリス[(トリフルオロメチル)スルホニル]メタニド等が好ましい。
さらに、環境及び人体への有害性、ならびに各国の規制を鑑みると、アンチモン元素を含有しない(トリクミル)ヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジフェニル[4−(フェニルチオ)フェニル]スルホニウムトリフルオロトリスペンタフルオロエチルホスファート、トリス[4−(4−アセチルフェニルスルファニル)フェニル]スルホニウムトリス[(トリフルオロメチル)スルホニル]メタニドを使用することが最も好ましい。
本発明の光カチオン重合開始剤の含有量は成分(A)+成分(B)の総量100質量部に対して、0.05〜5質量部であり、好ましくは0.1〜3質量部である。なお、本発明の樹脂組成物においては、光カチオン重合開始剤は単独で用いてもよいし、複数種を混合して用いてもよい。
【0062】
熱硬化剤としては、例えばアミン系化合物、酸無水物系化合物、アミド系化合物、フェノール系化合物、カルボン酸系化合物などが挙げられる。使用できる硬化剤の具体例としては、ジアミノジフェニルメタン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジアミノジフェニルスルホン、イソホロンジアミン、ジシアンジアミド、リノレン酸の2量体とエチレンジアミンより合成されるポリアミド樹脂、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、無水ナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、ブタンテトラカルボン酸無水物、ビシクロ[2,2,1]ヘプタン−2,3−ジカルボン酸無水物、メチルビシクロ[2,2,1]ヘプタン−2,3−ジカルボン酸無水物、シクロヘキサン−1,3,4−トリカルボン酸−3,4−無水物、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール、テルペンジフェノール、4,4'−ビフェノール、2,2'−ビフェノール、3,3',5,5'−テトラメチル−[1,1'−ビフェニル]−4,4'−ジオール、ハイドロキノン、レゾルシン、ナフタレンジオール、トリス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、フェノール類(フェノール、アルキル置換フェノール、ナフトール、アルキル置換ナフトール、ジヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレン等)とホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、o−ヒドロキシベンズアルデヒド、p−ヒドロキシアセトフェノン、o−ヒドロキシアセトフェノン、ジシクロペンタジエン、フルフラール、4,4'−ビス(クロロメチル)−1,1'−ビフェニル、4,4'−ビス(メトキシメチル)−1,1'−ビフェニル、1,4'−ビス(クロロメチル)ベンゼン、1,4'−ビス(メトキシメチル)ベンゼン等との重縮合物及びこれらの変性物、テトラブロモビスフェノールA等のハロゲン化ビスフェノール類、イミダゾール、トリフルオロボラン−アミン錯体、グアニジン誘導体、テルペンとフェノール類の縮合物などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
【0063】
また、封止材料、特に、有機ELにおける面封止には、硬化後に透明性にすぐれた酸無水物を使用することが好ましい場合が多く、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、無水ナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、ブタンテトラカルボン酸無水物、ビシクロ[2,2,1]ヘプタン−2,3−ジカルボン酸無水物、メチルビシクロ[2,2,1]ヘプタン−2,3−ジカルボン酸無水物、シクロヘキサン−1,3,4−トリカルボン酸−3,4−無水物等の脂環骨格を有する酸無水物が好ましい。これら脂環式骨格を有する酸無水物は、市販品を使用することが可能であり、例えば三菱瓦斯化学社などからH−TMAシリーズとして、固形品または液状品(ただし液状品となっているが室温においては半固形状態であり、作業性が非常に劣る)を入手することができる。
また、シクロヘキサン−1,3,4−トリカルボン酸−3,4−無水物を使用する場合、単独の使用では、固形または粘度が高い半固形状態のため作業性が極端に悪くなる場合がある。そのため、他の硬化剤、好ましくは脂環式骨格を有する酸無水物と併用して使用することが望ましい。この場合に併用することができる硬化剤としては液状で、粘度が低い物であれば特に限定されるものではないが、例えば市販されている硬化剤としては、無水メチルナジック酸、無水ナジック酸を含有したHNA−100(新日本理化(株)製)や、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸を含有したリカシッドMH700(新日本理化(株)製)などの硬化剤が挙げられる。併用して使用する際には、あらかじめ固体または半固形状のシクロヘキサン−1,3,4−トリカルボン酸−3,4−無水物と粘度の低い硬化剤を室温または加温(加温条件としては、硬化剤の揮発を防ぐために好ましくは150℃以下、より好ましくは120℃である)条件下で均一になるまで混合することで作業性のよい状態にすることが可能である。また、取り扱い作業性と硬化後における封止材の凹みの観点から、シクロヘキサン−1,3,4−トリカルボン酸−3,4−無水物の全硬化剤中における使用比率としては、20〜90質量%、より好ましくは、30〜80質量%以下の範囲である。混合割合が90重量%を超えると、極端に硬化剤としての作業性に劣る。また20質量%を下回ると封止材の凹みの点で改善効果が薄くなるおそれがある。
【0064】
本発明の熱硬化剤を使用した系の配合比は、エポキシ化合物またはオキセタン化合物に含有される官能基当量とカルボン酸系硬化剤のカルボキシル基の当量により決定される。好ましくは官能基1当量に対しカルボキシル基が0.2〜5当量、より好ましくは0.5〜2当量であることが好ましい。この範囲を超える場合は、硬化反応が充分に進行せず、また過剰の官能基、カルボキシル基の残留が生じるために、硬化物の強靭性や、耐熱性が充分に発揮できない。
【0065】
本発明の樹脂組成物においては、硬化剤とともに硬化触媒を併用、又は硬化剤を使用せず硬化触媒単独で使用することができる。用い得る硬化促進剤の具体例としては、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、2,4−ジアミノ−6(2'−メチルイミダゾール(1'))エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6(2'−ウンデシルイミダゾール(1'))エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6(2'−エチル,4−メチルイミダゾール(1'))エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6(2'−メチルイミダゾール(1'))エチル−s−トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2-メチルイミダゾールイソシアヌル酸の2:3付加物、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−フェニル−3,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−ヒドロキシメチル−5−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニル−3,5−ジシアノエトキシメチルイミダゾールの各種イミダゾール類、及び、それらイミダゾール類とフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸、マレイン酸、蓚酸等の多価カルボン酸との塩類、ジシアンジアミド等のアミド類、1,8−ジアザ−ビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7等のジアザ化合物及びそれらのテトラフェニルボレート、フェノールノボラック等の塩類、前記多価カルボン酸類、又はホスフィン酸類との塩類、テトラブチルアンモニュウムブロマイド、セチルトリメチルアンモニュウムブロマイド、トリオクチルメチルアンモニュウムブロマイド等のアンモニュウム塩系熱カチオン開始剤、トリフェニルホスフィン、トリ(トルイル)ホスフィン、テトラフェニルホスホニウムブロマイド、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート等のホスフィン類やホスホニウム化合物系熱カチオン開始剤、1−ナフチルメチルメチル−p−ヒドロキシフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ベンジルメチル−p−ヒドロキシフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジメチル−p−アセトキシフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート等のアンチモン酸塩系熱カチオン開始剤、1−ナフチルメチルメチル−p−ヒドロキシフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、ベンジルメチル−p−ヒドロキシフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、ジメチル−p−アセトキシフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート等のホスホニウム塩系熱カチオン開始剤、2,4,6−トリスアミノメチルフェノール等のフェノール類、アミンアダクト、オクチル酸スズ等の金属化合物等、及びこれら硬化促進剤をマイクロカプセルにしたマイクロカプセル型硬化促進剤等が挙げられる。これら硬化促進剤のどれを用いるかは、例えば透明性、硬化速度、作業条件といった得られる透明樹脂組成物に要求される特性によって適宜選択される。好ましくは熱カチオン開始剤であり、特に好ましくはホスホニウム塩系熱カチオン開始剤である。硬化促進剤は、成分(A)+成分(B)の総量100質量部に対し通常0.001〜15質量部の範囲で使用され、好ましくは0.01〜5質量部である。
【0066】
本発明ではラジカル重合系に使用される開裂型光重合開始剤を併用したレドックス反応も有効である。併用系の場合、一電子移動反応の生じ易さが反応性を決定し、LUMO(最低空軌道:電子移動反応の生じ易さの目安となる)の準位が低いヨードニウム塩の反応性が良好である。開裂型光重合開始剤であればどの光重合開始剤でもよいが、例えば、2−ヒドロキシ−2−メチル−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトンが挙げられる。
【0067】
本発明に使用される硬化剤としては反応速度、構成部材への熱履歴を考慮し熱硬化であれば100℃以下での硬化することが好ましく熱カチオン重合開始剤が好適に用いられる。また、熱エネルギーを必要としない光カチオン重合開始剤の使用も好ましい。
【0068】
本発明の樹脂組成物には必要に応じて微粒子を併用することができる。
該微粒子としては、有機微粒子、無機微粒子が挙げられる。また、微粒子は、必要とされる光線透過率、硬度、耐擦傷性、硬化収縮率、屈折率を考慮し単独、または複数種を混合して用いることができる。
【0069】
本発明に使用することの出来る有機微粒子としては、ポリスチレン樹脂ビーズ、アクリル系樹脂ビーズ、ウレタン樹脂ビーズ、ポリカーボネート樹脂ビーズ等の有機ポリマービーズ、多孔質ポリスチレン樹脂ビーズ、多孔質アクリル系樹脂ビーズ、多孔質ウレタン樹脂ビーズ、多孔質ポリカーボネート樹脂ビーズ等の多孔質有機ポリマービーズ、ベンゾグアナミン−ホルマリン縮合物の樹脂粉末、ベンゾグアナミン−メラミン−ホルマリン縮合物の樹脂粉末、尿素−ホルマリン縮合物の樹脂粉末、アスパラギン酸エステル誘導体の粉末、ステアリン酸亜鉛の粉末、ステアリン酸アミドの粉末、エポキシ樹脂パウダー、ポリエチレンパウダー等が挙げられ、架橋ポリメチルメタクリレート樹脂ビーズや架橋ポリメチルメタクリレート・スチレン樹脂ビーズ等が好ましい。これら有機微粒子は市販品として容易に入手することができ、又、公知文献を参考に調製することもできる。
【0070】
本発明に使用することの出来る無機微粒子としては導電性金属酸化物、透明性金属酸化物、その他無機フィラー等が挙げられる。
【0071】
本発明に使用することの出来る導電性金属酸化物としては、アンチモン酸亜鉛、酸化錫ドープ酸化インジウム(ITO)、アンチモンドープ酸化錫(ATO)、五酸化アンチモン、酸化錫、アルミニウムドープ酸化亜鉛、ガリウムドープ酸化亜鉛、フッ素ドープ酸化錫等が挙げられる。
【0072】
本発明にすることの出来る透明性金属酸化物としては、シリカ、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化チタン/酸化ジルコニウム/酸化錫/五酸化アンチモン複合物、酸化ジルコニウム/酸化錫/五酸化アンチモン複合物、酸化チタン/酸化ジルコニウム/酸化錫複合物等が挙げられる。
【0073】
本発明に使用することの出来るその他無機フィラーとしては、酸化カルシウム、塩化カルシウム、ゼオライト、シリカゲル等が挙げられる。
【0074】
本発明に使用することの出来る微粒子としては硬度と耐擦傷性に優れ、屈折率の高い微粒子が好ましく、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化チタン/酸化ジルコニウム/酸化錫/五酸化アンチモン複合物、酸化ジルコニウム/酸化錫/五酸化アンチモン複合物、酸化チタン/酸化ジルコニウム/酸化錫複合物が好適に用いられる。また、ディスプレイに用いられる光学シートは高い光線透過率が要求される為、微粒子の一次粒径は100nm以下が好ましい。これらの配合割合としては、成分(A)+成分(B)の総量100質量部に対して1〜30質量部であり、好ましくは5〜20質量部である。
【0075】
さらに、微粒子の分散剤として、ポリカルボン酸系の分散剤やシランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、変性シリコーンオイル等のシリコーン系分散剤や有機共重合体系の分散剤等を併用することも可能である。これらを配合する場合における配合割合としては、本発明の樹脂組成物の全質量に対して0.001〜30質量%程度、好ましくは0.05〜5質量%程度である。
【0076】
なお、一次粒径とは凝集を崩したときの、その粒子が持つ一番小さい粒径を意味する。即ち、楕円形状の微粒子では短径を一次粒径とする。一次粒径は動的光散乱法や電子顕微鏡観察等により測定することができる。具体的には、日本電子(株)製JSM−7700F電界放出形走査電子顕微鏡を使用し、加速電圧30kV条件下で一次粒径を測定できる。
【0077】
これら微粒子は溶媒に分散し使用することができる。特に無機微粒子は水または有機溶媒に分散された形で市販品を入手し易く、使用される有機溶媒としては、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、テトラメチルベンゼン等の芳香族系炭化水素溶剤、ヘキサン、オクタン、デカン等の脂肪族系炭化水素溶剤、及びそれらの混合物である石油エーテル、ホワイトガソリン、ソルベントナフサ等、エステル系溶剤としては、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のアルキルアセテート類、γ−ブチロラクトン等の環状エステル類、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルモノアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルモノアセテート、トリエチレングリコールモノエチルエーテルモノアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルモノアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルモノアセテート、ブチレングリコールモノメチルエーテルモノアセテート等の(モノ又はポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルモノアセテート類、グルタル酸ジアルキル、コハク酸ジアルキル、アジピン酸ジアルキル等のポリカルボン酸アルキルエステル類等、エーテル系溶剤としては、ジエチルエーテル、エチルブチルエーテル等のアルキルエーテル類、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル等のグリコールエーテル類、テトラヒドロフラン等の環状エーテル類等、ケトン系溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン等が挙げられる。
【0078】
また本発明の樹脂組成物には、得られる本発明の樹脂組成物の粘度、屈折率、密着性などを考慮して、成分(A)、成分(B)以外に反応性の化合物を使用しても良い。具体的には、(メタ)アクリレートが挙げられ、該(メタ)アクリレートとしては、単官能(メタ)アクリレート、2官能(メタ)アクリレート、分子内に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等を使用することができる。
【0079】
単官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニロキシエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の脂環式(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、モルホリン(メタ)アクリレート等のヘテロ環を有する(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、エトキシ変性クレゾール(メタ)アクリート、プロポキシ変性クレゾール(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールベンゾエート(メタ)アクリレート、o−フェニルフェノール(メタ)アクリレート、o−フェニルフェノールモノエトキシ(メタ)アクリレート、o−フェニルフェノールポリエトキシ(メタ)アクリレート、p−フェニルフェノール(メタ)アクリレート、p−フェニルフェノールモノエトキシ(メタ)アクリレート、p−フェニルフェノールポリエトキシ(メタ)アクリレート、o−フェニルベンジルアクリレート、p−フェニルベンジルアクリレート等の芳香環を有する(メタ)アクリレート、カルバゾール(ポリ)エトキシ(メタ)アクリレート、カルバゾール(ポリ)プロポキシ(メタ)アクリレート、(ポリ)カプロラクトン変性カルバゾール(メタ)アクリレート等の複素環を有する(メタ)アクリレート、ナフチル(メタ)アクリレート、ナフチル(ポリ)エトキシ(メタ)アクリレート、ナフチル(ポリ)プロポキシ(メタ)アクリレート、(ポリ)カプロラクトン変性ナフチル(メタ)アクリレート、ビナフトール(メタ)アクリレート、ビナフトール(ポリ)エトキシ(メタ)アクリレート、ビナフトール(ポリ)プロポキシ(メタ)アクリレート、(ポリ)カプロラクトン変性ビナフトール(メタ)アクリレート、ナフトール(メタ)アクリレート、ナフトール(ポリ)エトキシ(メタ)アクリレート、ナフトール(ポリ)プロポキシ(メタ)アクリレート、(ポリ)カプロラクトン変性ナフトール(メタ)アクリレート等の縮合環を有する(メタ)アクリレート、イミド環構造を有するイミド(メタ)アクリレート、ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコール(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、カプロラクトン(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート等のアルキル基を有する(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルカルビトール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等の多価アルコールの(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0080】
2つの官能基を有する(メタ)アクリレートモノマーとしては、ヒドロピバルアルデヒド変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート等のヘテロ環を有する(メタ)アクリレート、(ポリ)エトキシ変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロポキシ変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エトキシ変性ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロポキシ変性ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エトキシ変性ビスフェノールSジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロポキシ変性ビスフェノールSジ(メタ)アクリレート、ヘキサヒドロフタル酸ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノキシ(ポリ)エトキシフルオレン等の芳香環を有する(メタ)アクリレート、ビフェニルジメタノールジ(メタ)アクリレート等の複素環を有する(メタ)アクリレート、ビナフトールジ(メタ)アクリレート、ビナフトール(ポリ)エトキシジ(メタ)アクリレート、ビナフトール(ポリ)プロポキシジ(メタ)アクリレート、(ポリ)カプロラクトン変性ビナフトールジ(メタ)アクリレート等の縮合環を有する(メタ)アクリレート、ビスフェノールフルオレンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノキシメタノールフルオレンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノキシエタノールフルオレンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノキシカプロラクトンフルオレンジ(メタ)アクリレート等の多環芳香族を有する(メタ)アクリレート、ジアクリル化イソシアヌレート等のイソシアネートのアクリル化物、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート等の直鎖メチレン構造を有する(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノール(メタ)アクリレート等の脂環式(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレンジ(メタ)アクリレート等の多価アルコールのジ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0081】
多官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、(ポリ)カプロラクトン変性トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート等のイソシアヌレート環を有する多官能(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、(ポリ)エトキシ変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロポキシ変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、(ポリ)カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、(ポリ)エトキシ変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロポキシ変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、(ポリ)カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、(ポリ)エトキシ変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロポキシ変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ポリペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、(ポリ)エトキシ変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロポキシ変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート等の多価アルコールの多官能(メタ)アクリレート、リン酸トリ(メタ)アクリレート等の含リンの多官能(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンベンゾエート(メタ)アクリレート等の芳香族を有する多官能(メタ)アクリレート、2,2,2−トリスアクリロイロキシメチルコハク酸等の酸変性された多官能(メタ)アクリレート、シリコーンヘキサ(メタ)アクリレート等のシリコーン骨格を有する多官能(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0082】
ウレタン(メタ)アクリレートとしては、例えば、ジオール化合物(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ビスフェノールAポリエトキシジオール、ビスフェノールAポリプロポキシジオール等)又はこれらジオール化合物と二塩基酸若しくはその無水物(例えば、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、ダイマー酸、イソフタル酸、テレフタル酸、フタル酸若しくはこれらの無水物)との反応物であるポリエステルジオールと、有機ポリイソシアネート(例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の鎖状飽和炭化水素イソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、水添キシレンジイソシアネート、水添トルエンジイソシアネート等の環状飽和炭化水素イソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアネート、6−イソプロピル−1,3−フェニルジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート)を反応させ、次いで水酸基含有(メタ)アクリレートを付加した反応物等が挙げられる。
【0083】
ポリエステル(メタ)アクリレートとしては、ジオール化合物と二塩基酸又はその無水物との反応物であるポリエステルジオールと、(メタ)アクリル酸の反応物等が挙げられる。
【0084】
中でも本発明の樹脂組成物に使用することのできる(メタ)アクリレートとしては、硬化収縮率が低い材料が好適に用いられる。具体的には、環構造を有する(メタ)アクリレートが好ましく、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニロキシエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、p−クミルフェノール(ポリ)エトキシ(メタ)アクリレート、ナフトール(ポリ)エトキシ(メタ)アクリレート、ナフトール(ポリ)プロポキシ(メタ)アクリレート、フェニルフェノール(ポリ)エトキシ(メタ)アクリレート、フェニルフェノール(ポリ)プロポキシ(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノール(メタ)アクリレート、ヒドロピバルアルデヒド変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ビフェニルジメタノールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。特に好ましくは、硬化物のTgが高く、硬化収縮率の低いフェニルフェノール(ポリ)エトキシ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノール(メタ)アクリレート、ヒドロピバルアルデヒド変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ビフェニルジメタノールジ(メタ)アクリレートである。なお、本発明の樹脂組成物においては、その他の成分である(メタ)アクリレートは単独で用いてもよいし、複数種を混合して用いてもよい。本発明で(メタ)アクリレートを配合する場合の配合量としては、成分(A)+成分(B)を100質量部とした場合に、10〜200質量部であり、好ましくは50〜150質量部である。
【0085】
また、(メタ)アクリレートを使用する場合には前記光カチオン重合開始剤以外の光重合開始剤を用いることが好ましい。具体的には、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン類;アセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−フェニルプロパン−1−オン、ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノプロパン−1−オン、オリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン]等のアセトフェノン類;2−エチルアントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、2−クロロアントラキノン、2−アミルアントラキノン等のアントラキノン類;2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン等のチオキサントン類;アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等のケタール類;ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4'−メチルジフェニルサルファイド、4,4'−ビスメチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、ジフェニル−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フォスフィンオキシド等のホスフィンオキサイド類等を挙げることができる。好ましくは、アセトフェノン類であり、さらに好ましくは2−ヒドロキシ−2−メチル−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトンを挙げることができる。該ラジカル重合開始剤を使用する場合は(メタ)アクリレート成分100質量部に対して0.1〜10質量部が好ましい。さらに好ましくは1〜5質量部である。なお、本発明の樹脂組成物においては、光重合開始剤は単独で用いてもよいし、複数種を混合して用いてもよい。
【0086】
本発明の樹脂組成物の各成分の使用割合は、所望の屈折率や耐久性や粘度や密着性等を考慮して決められる。
通常、成分(A)+成分(B)を100質量部とした場合に、成分(A)の含有量は、20〜80質量部であり、好ましくは30〜70質量部である。成分(B)の含有量は20〜80質量部であり、好ましくは30〜70質量部である。成分(C)の含有量は熱カチオン開始剤であれば0.05〜5質量部であり、好ましくは0.1〜3質量部である。
本発明の樹脂組成物の総量に対して、通常、成分(A)+成分(B)の合計量は、50〜99質量%程度が好ましく、より好ましくは70〜99質量%であり、更に、好ましくは、80〜99質量%であり、場合により、90〜99質量%、更には、95〜99質量%であっても良い。残部は上記の成分(C)及び任意の添加成分である。
【0087】
本発明の樹脂組成物には、前記成分以外に取り扱い時の利便性等を改善するために、離型剤、消泡剤、レベリング剤、光安定剤、酸化防止剤、重合禁止剤、可塑剤、帯電防止剤等を状況に応じて併用して含有することができる。
【0088】
また、耐久性や可撓性を得るために可塑剤を使用される例も多い。使用される材料としては所望の粘度、耐久性、透明性や可撓性等により選択される。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系ポリマー、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ビス(2−エチルヘキシル)フタレート、ジイソデシルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジイソノニルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、エチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート等のフタル酸エステル、トリス(2−エチルヘキシル)トリメリテート等のトリメリット酸エステル、ジブチルアジペート、ジイソブチルアジペート、ビス(2−エチルヘキシル)アジペート、ジイソノニルアジペート、ジイソデシルアジペート、ビス(2−(2−ブトキシエトキシ)エチル)アジペート、ビス(2−エチルヘキシル)アゼレート、ジブチルセバケート、ビス(2−エチルヘキシル)セバケート、ジエチルサクシネート等の脂肪族二塩基酸エステル、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリス(2−エチルヘキシル)ホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート等の正リン酸エステル、メチルアセチルリシノレート等のリシノール酸エステル、ポリ(1,3−ブタンジオールアジペート)等のポリエステル、グリセリルトリアセテート等の酢酸エステル、N−ブチルベンゼンスルホンアミド等のスルホンアミド、ポリエチレングリコールベンゾエート、ポリエチレングリコールジベンゾエート、ポリプロピレングリコールベンゾエート、ポリプロピレングリコールジベンゾエート、ポリテロラメチレングリコールベンゾエート、ポリテトラメチレングリコールベンゾエート等のポリアルキレンオキサイド(ジ)ベンゾエート、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリエーテル、ポリエトキシ変性ビスフェノールA、ポリプロポキシ変性ビスフェノールA等のポリアルコキシ変性ビスフェノールA、ポリエトキシ変性ビスフェノールF、ポリプロポキシ変性ビスフェノールF等のポリアルコキシ変性ビスフェノールF、ナフタレン、フェナントレン、アントラセン等の多環芳香族、(ビ)ナフトール、(ポリ)エトキシ変性(ビ)ナフトール、(ポリ)プロポキシ変性(ビ)ナフトール、(ポリ)テトラメチレングリコール変性(ビ)ナフトール、(ポリ)カプロラクトン変性(ビ)ナフトール等のナフトール誘導体、ジフェニルスルフィド、ジフェニルポリスルフィド、ベンゾチアゾリルジスルフィド、ジフェニルチオ尿素、モルホリノジチオベンゾチアゾール、シクロヘキシルベンゾチアゾール−2−スルフェンアミン、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、テトラキス(2−エチルヘキシル)チウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド等の含硫黄化合物が上げられる。好ましくは、(ポリ)エチレングリコールジベンゾエート、(ポリ)プロピレングリコールジベンゾエート、ビナフトール、(ポリ)エトキシ変性ビナフトール、(ポリ)プロポキシ変性ビナフトール、ジフェニルスルフィドである。
【0089】
接着力を向上させる目的でカップリング剤を添加しても良い。用いるカップリング剤に特段の限定はないが、シランカップリング剤を含有することが好ましい。シランカップリング剤としては、例えば3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、N−(2−(ビニルベンジルアミノ)エチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤、イソプロピル(N−エチルアミノエチルアミノ)チタネート、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、チタニュウムジ(ジオクチルピロフォスフェート)オキシアセテート、テトライソプロピルジ(ジオクチルフォスファイト)チタネート、ネオアルコキシトリ(p−N−(β−アミノエチル)アミノフェニル)チタネート等のチタン系カップリング剤、Zr−アセチルアセトネート、Zr−メタクリレート、Zr−プロピオネート、ネオアルコキシジルコネート、ネオアルコキシトリスネオデカノイルジルコネート、ネオアルコキシトリス(ドデカノイル)ベンゼンスルフォニルジルコネート、ネオアルコキシトリス(エチレンジアミノエチル)ジルコネート、ネオアルコキシトリス(m−アミノフェニル)ジルコネート、アンモニウムジルコニウムカーボネート、Al−アセチルアセトネート、Al−メタクリレート、Al−プロピオネート等のジルコニウム、或いはアルミニウム系カップリング剤が挙げられ、これらを単独で用いても2種以上混合して用いても良い。これらのカップリング剤のうち好ましくはシラン系カップリング剤であり、更に好ましくはアミノシラン系カップリング剤又はエポキシシラン系カップリング剤である。カップリング剤を使用する事により耐湿信頼性が優れ、吸湿後の接着強度の低下が少ない封止材料が得られる。かかるカップリング剤の含有量は反応性樹脂組成物100質量部に対して0.05〜3質量部程度である。
【0090】
更に、必要に応じて、アクリルポリマー、ポリエステルエラストマー、ウレタンポリマー及びニトリルゴム等のポリマー類も添加することができる。反応性基を有しない成分については、相溶性の点から重量平均分子量が10,000g/molであることが好ましい。また、水蒸気透過度を低下させるためにアルキルアルミニウム等の有機金属化合物を加えることもできる。溶剤を加えることもできるが、溶剤を添加しないものが好ましい。
【0091】
本発明の樹脂組成物では各成分の重量平均分子量が10,000g/mol以下が好ましく、さらに好ましくは5,000g/mol以下である。重量平均分子量の大きい成分は溶解しない為、調製された樹脂組成物は濁った液体となる。これは、ディスプレイに使用される樹脂組成物は均一に透明であることが不可欠である為、不適合である。また、透過率に関しても優れた特性が求められ、具体的には波長380〜780nmにおける各波長の光線透過率が90%以上であることが好ましい。光線透過率は、(株)日立ハイテクノロジーズ製分光光度計U−3900H等の測定機器により測定ができる。
【0092】
本発明の樹脂組成物は、各成分を常法に従い混合溶解することにより調製することができる。例えば、撹拌装置、温度計のついた丸底フラスコに各成分を仕込み、40〜80℃にて0.5〜6時間撹拌することにより得ることができる。
【0093】
本発明の樹脂組成物の粘度は、ディスプレイ等を製造する際の加工性の作業性に適した粘度、特に、有機EL素子における面封止に適した粘度であることが必要である。有機EL素子は、通常、ダム材で囲われた中に、ガラス等の基板上に、該基板側から、順に、金属電極、有機キャリア輸送層、有機EL発光層、ITO電極、パッシベーション膜が積層され、該パッシベーション膜上を、フィル材(面封止用樹脂組成物)で、充填し、その上を、更にガラス等の封止基板で封止した構造になっている。該フィル材は、上記の金属電極側の基板とその反対側の封止基板との間の空間を埋め、有機発光層を外部の湿気などから保護する役目を果たすものであり、通常硬化性樹脂組成物が使用され、該樹脂組成物を充填した後、通常はガラスなどの封止基板を載せた後、樹脂組成物を硬化させ、有機発光層を封止する。該フィル材として使用される樹脂組成物が面封止用樹脂組成物である。従って、該樹脂組成物は上記の基板間の隙間を完全に封止できるように、低粘度であることが好ましい。
該粘度は、好ましくは、E型粘度計(TV−200:東機産業社製)を用いて測定した粘度が25℃で1.5Pa・s(1500mPa・s)以下であり、より好ましくは1300mPa・s以下であり、更に好ましくは700mPa・s以下であり、特に好ましくは400mPa・s以下である。下限は特に無いが、通常、50mPa・s程度である。
【0094】
本発明において、エネルギー線で硬化反応を引き起こす硬化剤を含む樹脂組成物はエネルギー線によって容易に硬化させることができる。ここでエネルギー線の具体例としては、紫外線、可視光線、赤外線、X線、ガンマー線、レーザー光線等の電磁波、アルファー線、ベータ線、電子線等の粒子線等が挙げられる。本発明においては、これらのうち、紫外線、レーザー光線、可視光線、または電子線が好ましい。
【0095】
常法に従い、本発明の樹脂組成物に前記エネルギー線を照射することにより、本発明の硬化物を得ることができる。本発明の樹脂組成物の液屈折率は通常1.45〜1.70であり、好ましくは1.50〜1.65である。屈折率はアッベ屈折率計(型番:DR−M2、(株)アタゴ製)等で測定することができる。
また、本発明の樹脂組成物は、硬化時の収縮率(硬化収縮率)が、小さい方が好ましく、好ましくは5%以下であり、より好ましくは4%以下であり、更に好ましくは3.5%以下である。
また、本発明の樹脂組成物の硬化物は、有機発光層を外部の湿気などから保護するため、水蒸気透過度が50g/m・24h(60℃で、湿度90%で測定、以下同じ)以下、好ましくは35g/m・24h以下、より好ましくは30g/m・24h以下、更に好ましくは30g/m・24h未満が好ましい。
また、硬化物のガラス転位温度はある程度高い方が好ましく、本発明においては、該Tgが40℃以上が好ましく、より好ましくは45℃以上であり、最も好ましくは50℃以上である。
【0096】
本発明の樹脂組成物の好ましい態様を以下に記載する。
i.芳香族化合物(A)が、前記式(A−A)で表される骨格、前記式(A−B)で表される骨格、アントラセン骨格及びフェナントレン骨格からなる群から選択される少なくとも一つの骨格と、更に、オキセタニル基またはエポキシ基とを有する芳香族化合物(A)であり、
環状化合物(B)が、下記B−2に記載の群又は下記のB−3に記載の群
B−2:フェニル、ビフェニル、ナフタレン、ビナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ビスフェノールA、ビスフェノールF及びビスフェノールS
B−3:イソボルニル、アダマンタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールF及び水添ビスフェノールS、
から選択される少なくとも一つの骨格と、更に、オキセタニル基またはエポキシ基とを有する環状化合物、又は、脂環式エポキシ樹脂であり、
上記芳香族化合物(A)、環状化合物(B)(但し、B−2に記載の群から選ばれる骨格の場合、芳香族化合物(A)として使用される化合物は異なる化合物である)及び硬化剤(C)を含む有機EL素子の面封止用の樹脂組成物。
ii.芳香族化合物(A)及び環状化合物(B)の何れか一方が、少なくともオキセタニル基またはエポキシ基を一つ有する化合物を含む上記iに記載の樹脂組成物。
iii.芳香族化合物(A)が、芳香族骨格として、フェニル、ビフェニル及びビスフェノールAからなる群から選択される骨格を有する芳香族化合物(A)である上記i又はiiに記載の樹脂組成物。
iv.芳香族化合物(A)が、オキセタニル基またはエポキシ基を一つ有する芳香族化合物(A)を含む上記i〜iiiの何れか一項に記載の樹脂組成物。
v.芳香族化合物(A)が、エポキシ基を一つ有する芳香族化合物(A)を含む上記i〜ivの何れか一項に記載の樹脂組成物。
【0097】
vi.芳香族化合物(A)がo−フェニルフェノールグリシジルエーテルである上記i〜vの何れか一項に記載の樹脂組成物。
vii.環状化合物(B)が、
(a)フェニル、ビフェニル、ナフタレン、ビナフタレン及びビスフェノールAからなる群から選ばれる骨格、又は、
(b)下記(B−3)、に記載の群から選択される骨格
B−3:イソボルニル、アダマンタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールF及び水添ビスフェノールS、
を有する環状化合物(B)である上記i〜viの何れか一項に記載の樹脂組成物。
viii.環状化合物(B)が、フェニル、ビフェニル、ビスフェノールA、シクロペンタン、シクロヘキサン及び水添ビスフェノールAからなる群から選択される骨格を有する環状化合物(B)である上記i〜viiの何れか一項に記載の樹脂組成物。
ix.環状化合物(B)が、ビフェニル、ビスフェノールA及びシクロヘキサンからなる群から選択される骨格を有する環状化合物(B)である上記viiiに記載の樹脂組成物。
x.環状化合物(B)が、少なくともオキセタニル基またはエポキシ基を少なくとも2つ有する環状化合物(B)又はリモネンオキサイドである上記i〜ixの何れか一項に記載の樹脂組成物。
xi.環状化合物(B)の粘度が1500mPa・s以下である上記i〜xの何れか一項に記載の樹脂組成物。
xii.環状化合物(B)として、粘度1500mPa・s以下であるビスフェノールAジグリシジルエーテルを含む上記xiに記載の樹脂組成物。
xiii.環状化合物(B)として、脂環式エポキシ樹脂を含む上記i〜xiiの何れか一項に記載の樹脂組成物。
【0098】
xiv.上記樹脂組成物の粘度が1500mPa・s以下である上記i〜xiiiの何れか一項に記載の樹脂組成物。
xv.上記樹脂組成物の粘度が好ましくは1300mPa・s以下である上記xivに記載の樹脂組成物。
xvi.厚さ100μmの硬化物とし、60℃で、相対湿度90%において測定した該硬化物の水蒸気透過度が35g/m・24hr以下である上記i〜xvの何れか一項に記載の樹脂組成物。
xvii.上記の硬化物の水蒸気透過度が30g/m・24hr以下である上記xviに記載の樹脂組成物。
xviii.硬化収縮率が4%以下である上記i〜xviiの何れか一項に記載の樹脂組成物。
xix.樹脂組成物の液屈折率が1.54〜1.7である上記i〜xviiの何れか一項に記載の樹脂組成物。
xx.樹脂組成物の硬化物のガラス転位点(Tg)が、45℃以上である上記i〜xixの何れか一項に記載の樹脂組成物。
xxi.上記のガラス転移点が50℃以上である上記xxに記載の樹脂組成物。
xxii.芳香族化合物(A):環状化合物(B)の比率が3:7〜7:3である上記i〜xxiの何れか一項に記載の樹脂組成物。
xxiii.芳香族化合物(A):環状化合物(B)の比率が3.5:6.5〜6.5:3.5である上記i〜xxiの何れか一項に記載の樹脂組成物。
xxiv.硬化剤(C)が光カチオン重合開始剤である上記i〜xxiの何れか一項に記載の樹脂組成物。
xxv.光カチオン重合開始剤が(トリクミル)ヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジフェニル[4−(フェニルチオ)フェニル]スルホニウムトリフルオロトリスペンタフルオロエチルホスファート及びトリス[4−(4−アセチルフェニルスルファニル)フェニル]スルホニウムトリス[(トリフルオロメチル)スルホニル]メタニドからなる群から選択される化合物である上記xxivに記載の樹脂組成物。
xxvi.芳香族化合物(A)がo−フェニルフェノールグリシジルエーテルであり、環状化合物(B)が、粘度1500mPa・s以下であるビスフェノールAジグリシジルエーテル、キシリレンビスオキセタン、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビス(グリシジルオキシ)−1,1’−ビフェニル、ビフェニルアラルキル型ポリグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル及びリモネンオキサイドからなる群から選択される化合物である上記i乃至xxvの何れか一項に記載の樹脂組成物。
xxvii.環状化合物(B)が、粘度1500mPa・s以下であるビスフェノールAジグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート及び水添ビスフェノールAジグリシジルエーテルからなる群から選択される化合物である上記xxviに記載の樹脂組成物。
xxviii.環状化合物(B)における脂環式エポキシ樹脂の脂肪族環が、炭素数6又は7、より好ましくはシクロヘキサン環である上記i乃至xxvの何れか一項に記載の樹脂組成物。
【0099】
本発明による有機EL素子の固体封止方法は、基板上に形成された有機EL素子上にパッシベーション膜を形成する工程、上記パッシベーション膜の上に面封止用樹脂組成物を塗布し、封止用透明基板を設ける工程、および上記面封止用樹脂組成物を硬化させる工程を有し、該封止用樹脂組成物として上述の本発明による硬化性樹脂組成物を使用することを特徴とする。
【0100】
封止される有機EL素子は、基板と、下部電極と、少なくとも発光層を含む有機EL層と、上部電極とを含む素子部本体とから構成される。基板には、ガラス基板、シクロオレフィンやポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート等から成る透明有機材料、該透明有機材料をグラスファイバー等で高剛性化した有機/無機ハイブリッド透明基板等の電気絶縁性物質からなる平坦な基板を用いる。また、素子部本体の代表的な構成としては以下のものが挙げられる。
(1)下部電極/発光層/上部電極
(2)下部電極/電子輸送層/発光層/上部電極
(3)下部電極/発光層/正孔輸送層/上部電極
(4)下部電極/電子輸送層/発光層/正孔輸送層/上部電極
例えば、上記(4)の層構造を有する有機EL素子は、基板の片面上に、Al−Li合金等からなる下部電極(陰極)を抵抗加熱蒸着法またはスパッタ法によって形成し、次いで有機EL層として、オキサジアゾール誘導体やトリアゾール誘導体等からなる電子輸送層、発光層、TPD(N,N’−diphenyl−N,N’−bis(3−
methylphenyl)−1,1−biphenyl−. 4,4’−diamine)等からなる正孔輸送層及び上部電極(陽極)を抵抗加熱蒸着法又はイオンビームスパッタ法等の薄膜形成方法によって順次積層することによって作製することが可能である。なお、有機EL素子の層構造、又は材料は表示素子として機能するものであれば特に限定されるものではない。また、本発明による固体封止方法はいかなる構造の有機EL素子であっても適用可能である。
【0101】
パッシベーション膜は、有機EL素子を覆うように形成される。パッシベーション膜は、窒化ケイ素、酸化ケイ素などの無機材料を蒸着やスパッタなどの方法によって形成することが可能である。パッシベーション膜は、有機EL素子へ水分やイオン性不純物等が浸入するのを防止するために設けられる。パッシベーション膜の厚さは、10nm〜100μmの範囲が好ましく、100nm〜10μmの範囲とすることがより好ましい。パッシベーション膜は信頼性を高める目的で積層させても良い。
【0102】
パッシベーション膜は、成膜法にもよるが、一般にピンホールが存在する不完全な膜であるか、機械的強度が弱い膜であることが多い。そのため、固体封止方法では、パッシベーション膜の上にさらに接着剤を塗布し、封止用透明基板を用いて圧着し、接着剤を硬化することによって封止の信頼性を高めている。
【実施例】
【0103】
次に、実施例により本発明を更に詳細に説明する。本発明は以下の実施例によって何ら限定されるものではない。なお、数値の単位「部」は質量部を示す。また、実施例2、3及び5を、それぞれ参考例2、3及び5に読替えるものとする。
【0104】
以下の実施例及び比較例に示すような組成にて、実施例及び比較例それぞれの紫外線硬化型樹脂組成物及びそれぞれの硬化物を得た。又、樹脂組成物及び硬化膜についての評価方法及び評価基準は以下の通り行った。
【0105】
(1)粘度:E型粘度計(TV−200:東機産業株式会社製)を用いて25℃で測定した。
【0106】
(2)液屈折率:配合した樹脂組成物の屈折率(25℃)をアッベ屈折率計(DR−M2:株式会社アタゴ製)で測定した。
【0107】
(3)水蒸気透過度:エネルギー線または熱硬化型樹脂をガラス基板で挟み、100μmのスペーサーを使用し膜厚を調整し、高圧水銀灯(80W/cm、オゾンレス)で3000mJ/cmまたは100℃1hrの加温にて硬化させ試験片を作製した。得られた試験片をLyssy水蒸気透過度計L80−5000(Systech Illinois社製)、60℃×90%RHにて透湿度を測定した。
【0108】
(4)Tg(ガラス転移点):硬化したエネルギー線または熱硬化性樹脂層のTg点を粘弾性測定システムEXSTAR DMS−6000(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製)、引張モード、周波数1Hzにて測定した。
【0109】
(5)硬化収縮率:基材上にエネルギー線または熱硬化型樹脂層を塗布し、高圧水銀灯(80W/cm、オゾンレス)で3000mJ/cmの照射または乾燥器100℃1hrの加熱により樹脂組成物を硬化させ膜比重測定用の硬化物を作製した。
これを、JIS K7112 B法に準拠し、硬化物の比重(DS)を測定した。また、23±2℃で樹脂組成物の比重(DL)を測定し、次式により硬化収縮率を算出した。測定結果は4回の測定結果の平均値で示す。
硬化収縮率(%)=(DS−DL)/DS×100
(6)加工性:
清浄なガラス基板上にKAYATORON Z−5536を5μm厚みでディスペンサー(SHOTMASTER:武蔵エンジニアリング株式会社製)を使用し、シールパターンの塗布を行った。
次いで、実施例及び比較例の樹脂組成物をシールパターンと同様にディスペンサーを使用し微小滴をシールパターン枠内に滴下した。
更にもう一枚清浄なガラス基板を貼り合せ装置を用いて真空中で前記樹脂組成物滴下済み基板と貼り合せた。その後、大気開放してギャップ形成しUV照射(積算光量:3000mJ/cm)し硬化させ、120℃オーブンに投入して1時間加熱硬化させ評価用試料を作製した。
評価基準
・・・滴下液が速やかにセル内に広がり、セル内に樹脂組成物が隙間無く均一に満たされている。
△・・・滴下液のセル内への広がりがやや遅いが、セル内に樹脂組成物が隙間無く均一に満たされている。
×・・・滴下液がセル内に充分に広がらず、セル内に隙間が生じ、樹脂組成物が均一に満たされていない。
【0110】
【表1】
【0111】
OPP−G:三光株式会社製o−フェニルフェノールグリシジルエーテル
OXT−121:東亞合成株式会社製キシリレンビスオキセタン
jER−828:三菱化学株式会社製ビスフェノールAジグリシジルエーテル
EP−4088S:株式会社ADEKA製ジシクロペンタジエンジメタノールジグリシジルエーテル
YX−4000H:三菱化学株式会社製3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビス(グリシジルオキシ)−1,1’−ビフェニル
KAYARAD NC−3000H:日本化薬株式会社製ビフェニルアラルキル型ポリグリシジルエーテル
SEJ−01R:日本化薬株式会社製3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート
GSID 26−1:BASFジャパン株式会社製(トリス[4−(4−アセチルフェニルスルファニル)フェニル]スルホニウムトリス[(トリフルオロメチル)スルホニル]メタニド
エポライト4000:共栄社化学株式会社製水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル
リモネンオキサイド:RENESSENZ社製リモネンオキサイド
エポライト80MF:共栄社化学株式会社製グリセリンジグリシジルエーテル
エポライト100MF:共栄社化学株式会社製トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル:
【0112】
実施例1乃至5、及び、比較例1乃至3の評価結果から明らかなように、特定の組成を有する本発明の樹脂組成物はTgが高く、硬化収縮率、水蒸気透過度が低い。そのため例えばバリアフィルム用の塗剤や各種封止材、特に有機EL素子の面封止材に適している。
【産業上の利用可能性】
【0113】
本発明の樹脂組成物及びその硬化物は、可視光透過率、耐光性に優れ、Tgが高く、硬化収縮率、水蒸気透過度が低いことから、各種封止材、特に有機EL素子の面封止材に適するものである。