(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
相互に嵌め着けられる第1部材および第2部材と、端縁部を有し、前記端縁部が前記第1部材と第2部材との合わせ面に挟持された状態で前記第1部材の表面の一部または全部を覆う弾性変形可能な軟質表層部材とを、備える車両用複合内装部品が知られている。例えば、特許文献1の
図2に記載されたドアトリムや、特許文献2の
図10等に記載された車両用アームレストがその一例である。
【0003】
図13は、従来の車両用複合内装部品の一種であるアームレスト100のハンドル部分の要部断面を示している。型成形された比較的硬質の合成樹脂製部品である基材102に、それと同様に型成形された比較的硬質の合成樹脂製部品であるプルハンドル104を嵌め合わせて組み付けるとき、基材102を覆う軟質表層部材106の端縁部が基材102とプルハンドル104との合わせ面で挟持されることにより、軟質表層部材106の端縁部が巻き込まれた状態で固定されるようになっている。なお、
図13の要部断面図において、基材102からプルハンドル104側へ突設された位置決め突起108が、プルハンドル104の内側に曲げられた端部に貫通して形成された位置決め穴110内に嵌合されることにより、基材102およびプルハンドル104の相互が位置決めされるようになっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記従来の車両用複合内装部品、たとえば
図13に示されるアームレスト100では、軟質表層部材106の端縁部のうち基材102とプルハンドル104との合わせ面で挟持されて巻き込まれた部分が短いことから、プルハンドル104に掛けた指の爪が引っかかると、
図14のSに示すように軟質表層部材106の端縁部にしゃくれ或いはたるみによる外観不良が発生したり、
図15のMに示すように軟質表層部材106の端縁部がめくれて外れてしまう可能性があった。
【0006】
これに対して、軟質表層部材106の端縁部のうち、基材102とプルハンドル104との合わせ面で挟持されて巻き込まれた部分を長くすることで、上記の不都合の発生を抑制することが考えられるが、アームレスト100の組み付け性が低下するだけでなく、軟質表層部材106を型成形するときに軟質表層部材106の金型からの離型性が低下してその生産性が得られないという、不都合があった。
【0007】
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、軟質表層部材のたるみ不良や外れ不良が発生しないように第1部材と第2部材の組付けを容易に行なうことを可能とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
斯かる目的を達成するために、
第1発明の要旨とするところは、(1)相互に嵌め着けられる第1部材および第2部材と、端縁部を有し、前記端縁部が前記第1部材と第2部材との合わせ面に挟持された状態で前記第1部材の表面の一部または全部を覆う弾性変形可能な軟質表層部材とを備える車両用複合内装部品であって、(2)前記第1部材および第2部材の相互の合わせ面が互いに接近させられることに伴って前記軟質表層部材の端縁部を前記第1部材の裏面側に引き込んで前記軟質表層部材に張力を発生させる張力発生部を、前記軟質表層部材および前記第2部材の少なくとも一方に備
え、(3)前記張力発生部は、前記軟質表層部材の端縁部のうち前記第1部材の合わせ面よりも前記第1部材の裏面側に隣接する位置に貫通して設けられた係合穴と、前記第1部材の内側であって前記第2部材の前記第1部材の合わせ面よりも前記第1部材側に位置する係合台座と、該係合台座から前記第1部材側へ突設され、前記端縁部が前記第1部材と第2部材との合わせ面に挟持されることに関連して、前記係合穴と係合し、且つ前記軟質表層部材の端縁部を前記第1部材の裏面側へ引き込む係合突起とを、含むことにある。
また、斯かる目的を達成するために、第2発明の要旨とするところは、(1)相互に嵌め着けられる第1部材および第2部材と、端縁部を有し、前記端縁部が前記第1部材と第2部材との合わせ面に挟持された状態で前記第1部材の表面の一部または全部を覆う弾性変形可能な軟質表層部材とを備える車両用複合内装部品であって、(2)前記第1部材および第2部材の相互の合わせ面が互いに接近させられることに伴って前記軟質表層部材の端縁部を前記第1部材の裏面側に引き込んで前記軟質表層部材に張力を発生させる張力発生部を、前記軟質表層部材および前記第2部材の少なくとも一方に備え、(3)前記張力発生部は、前記軟質表層部材の端縁部のうち前記第1部材の合わせ面に対応する位置に貫通して設けられた係合穴と、前記第2部材の合わせ面から前記第1部材側へ突設され、基端側へ向かうほど前記軟質表層部材の端縁側へ向かう係合斜面が形成された係合突起と、前記第1部材の合わせ面に形成され、前記係合突起との干渉を回避する切欠きとを、含むことにある。
【発明の効果】
【0013】
前記第1発明によれば、前記第1部材および第2部材の相互の合わせ面が互いに接近させられることにより相互に組み付けられるとき、前記軟質表層部材および前記第2部材の少なくとも一方に備えられた張力発生部が前記軟質表層部材の端縁部を前記第1部材の裏面側に引き込んで前記軟質表層部材に張力を発生させるので、軟質表層部材のたるみ不良や外れ不良が発生しないように第1部材と第2部材の組付けを容易に行なうことができる。また、前記張力発生部は、前記軟質表層部材の端縁部のうち前記第1部材の合わせ面よりも前記第1部材の裏面側に隣接する位置に貫通して設けられた係合穴と、前記第1部材の内側であって前記第2部材の前記第1部材の合わせ面よりも前記第1部材側に位置する係合台座と、該係合台座から前記第1部材側へ突設され、前記端縁部が前記第1部材と第2部材との合わせ面に挟持されることに関連して、前記係合穴と係合し、且つ前記軟質表層部材の端縁部を前記第1部材の裏面側へ引き込む係合突起とを、含む。このようにすれば、前記第1部材および第2部材の相互の合わせ面が互いに接近させられることにより相互に組み付けられるとき、前記軟質表層部材の端縁部が前記第1部材と第2部材との合わせ面に挟持される過程で、第2部材側の係合突起が軟質表層部材に設けられた係合穴内に係合させられた後、係合穴の係合位置が前記係合台座へ移動させられ、その係合台座の移動により前記軟質表層部材の端縁部が前記第1部材の裏面側へ引き込まれるので、軟質表層部材のたるみ不良や外れ不良が発生しないように第1部材と第2部材の組付けを容易に行なうことができる。
【0014】
前記第2発明によれば、前記第1部材および第2部材の相互の合わせ面が互いに接近させられることにより相互に組み付けられるとき、前記軟質表層部材および前記第2部材の少なくとも一方に備えられた張力発生部が前記軟質表層部材の端縁部を前記第1部材の裏面側に引き込んで前記軟質表層部材に張力を発生させるので、軟質表層部材のたるみ不良や外れ不良が発生しないように第1部材と第2部材の組付けを容易に行なうことができる。また、前記張力発生部は、前記軟質表層部材の端縁部のうち前記第1部材の合わせ面に対応する位置に貫通して設けられた係合穴と、前記第2部材の合わせ面から前記第1部材側へ突設され、基端側へ向かうほど前記軟質表層部材の端縁側へ向かう係合斜面が形成された係合突起と、前記第1部材の合わせ面に形成され、前記係合突起との干渉を回避する切欠きとを、含む。このようにすれば、前記第1部材および第2部材の相互の合わせ面が互いに接近させられることにより相互に組み付けられるとき、前記軟質表層部材の端縁部が前記第1部材と第2部材との合わせ面に挟持される過程で、第2部材側の係合突起が軟質表層部材に設けられた係合穴内に係合させられた後、係合穴が係合突起の係合斜面に沿って移動させられることにより前記軟質表層部材の端縁部が前記第1部材の裏面側へ引き込まれるので、軟質表層部材のたるみ不良や外れ不良が発生しないように第1部材と第2部材の組付けを容易に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の車両用複合内装部品の一実施例であるアームレストの構成を説明する斜視図である。
【
図2】
図1のアームレストのII−II視断面を拡大して示す実施例1の要部断面図であって、組み立て前の状態を示している。
【
図3】
図2の実施例1の要部断面図であって、組み立て後の状態を示している。
【
図4】
図1のアームレストのII−II視断面を拡大して示す実施例2の要部断面図であって、組み立て前の状態を示している。
【
図5】
図4の実施例2の要部断面図であって、組み立て後の状態を示している。
【
図6】
図1のアームレストのII−II視断面を拡大して示す実施例3の要部断面図であって、組み立て前の状態を示している。
【
図7】
図6の実施例3の要部断面図であって、組み立て後の状態を示している。
【
図8】
図1のアームレストのII−II視断面を拡大して示す実施例4の要部断面図であって、組み立て前の状態を示している。
【
図9】
図8の実施例4の要部断面図であって、組み立て後の状態を示している。
【
図10】
図1のアームレストのII−II視断面を拡大して示す実施例5の要部断面図であって、組み立て前の状態を示している。
【
図11】
図10の実施例5の要部断面図であって、組み立て後の状態を示している。
【
図13】従来のアームレストの要部断面図であって、組み立て後の状態を示している。
【
図14】
図13の従来アームレストの要部断面図であって、軟質表層部材の端縁部にしゃくれ或いはたるみによる外観不良が発生した例を示す図である。
【
図15】
図13の従来アームレストの要部断面図であって、軟質表層部材の端縁部にめくれによる不良が発生した例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明する。以下の説明に用いる図面において、各部の寸法比等は必ずしも正確には描かれていない。
【実施例1】
【0017】
図1は、本発明の好適な実施例である車両用複合内装部品の一例であるアームレスト10の構成を概略示す斜視図であり、その意匠面側を示している。本実施例のアームレスト10は、例えば自動車の右側ドアにおけるインナーパネルすなわちドア内板に取り付けられる板状の部材であり、前記ドアの意匠面側に設けられる車両用ドアトリムの一部に相当する。本実施例において、意匠面とは、アームレスト10の車内から視認できる側の面をいうものであり、意匠面側とは、車両用複合内装部品10の車内(車室)側に相当する。反意匠面とは、前記意匠面の反対側の面すなわち車内から視認できない側の面をいうものであり、反意匠面側とは、車両の車外側に相当する。本実施例においては、ドア内板に取り付けられるアームレスト10に本発明が適用された例について説明するが、本発明は、例えば、ラゲージサイドトリム、インストルメントパネル、アームレスト、それらに取り付けられるオーナメント等の車両用複合内装部品に好適に適用される。
【0018】
図2および
図3は、
図1のII−II視断面を拡大して示す要部拡大断面図、すなわちアームレスト10における端末部(車両上方側の端部)付近を拡大して示す部分断面図であって、
図2は組み立て前の状態を示し、
図3は組み立て後の状態を示している。
図2および
図3に示すように、アームレスト10は、型成形された比較的硬質の合成樹脂製部品である基材12に、それと同様に型成形された比較的硬質の合成樹脂製部品であるプルハンドル14を嵌め合わせて組み付けるとき、基材12を覆う軟質表層部材16の端縁部が基材12の合わせ面12aとプルハンドル14の合わせ面14aとで挟持されることにより、軟質表層部材16の端縁部16aが巻き込まれた状態で固定されるようになっている。なお、基材12からプルハンドル14側へ突設された位置決め突起18が、プルハンドル14の内側に曲げられた端部に貫通して形成された位置決め穴20内に嵌合されることにより、基材12およびプルハンドル14の相互が位置決めされるようになっている。
【0019】
基材12およびプルハンドル14は、例えば、ポリプロピレン樹脂、硬質ポリ塩化ビニル、ABS樹脂、AS樹脂等の比較的硬質の合成樹脂材料から構成されている。本実施例では、基材12が第1部材に、プルハンドル14が第2部材に対応している。
【0020】
軟質表層部材16は、その反意匠面側の面に、基材12へ向かって突き出す多数の弾性突起16bが形成され、それら弾性突起がクッション部として機能することで、クッション性を有している。軟質表層部材16は、車内側(車室側)に位置するように、基材12の表面(意匠面側の面)を覆うように貼り付けされている。軟質表層部材16は、例えば、ポリプロピレン樹脂、ウレタン樹脂等の合成樹脂材料から、所定の弾力性すなわち押圧されることで弾性変形させられるクッション性を発生させるウレタンフォーム、スポンジゴム等が、上記多数の弾性突起に替えて、或いは加えて用いられてもよい。
【0021】
軟質表皮材16は、作業者の指による力等により容易に弾性変形させられる比較的軟質(可撓性)の材料から構成されたものである。好適には、軟質合成樹脂材料から構成されたものであり、例えば、軟質ポリ塩化ビニルやスチレン系、オレフィン系、ポリエステル系等の各種の熱可塑性樹脂材料が好適に用いられる。或いは、織布や不織布、編布、塩化ビニル、軟質フィルム、ウールや牛革をはじめとする天然素材等、種々の表皮材料から構成されたものであってもよい。
【0022】
図2および
図3に示すように、アームレスト10は、基材12の端縁である合わせ面12aを軟質表層部材16の折り返し端縁部16aが巻き込んだ状態で、基材12を覆う軟質表層部材16の端縁部が基材12の合わせ面12aとプルハンドル14の合わせ面14aとで挟持される構造を備えている。
【0023】
図2に示すように、軟質表層部材16の折り返し端縁部16aのうち基材12の合わせ面12aにそれよりも基材12の裏面12b側に隣接する位置には、軟質表層部材16の端縁部16aからプルハンドル14側へ突設されて、軟質表層部材16の端縁部16aが基材12の合わせ面12aとプルハンドル14の合わせ面14aとに挟持されることに関連して、プルハンドル14により基材12側へ押圧される表層側突部22が、設けられている。この表層側突部22が、基材12とプルハンドル14との組み立てに際して、軟質表層部材16の端縁部16aを基材12の裏面12b側に押し込んで軟質表層部材16に張力を発生させる張力発生部として機能している。
【0024】
本実施例のアームレスト10によれば、軟質表層部材16の端縁部16aからプルハンドル14側へ突設されて、軟質表層部材16の端縁部16aが基材12の合わせ面12aとプルハンドル14の合わせ面14aとに挟持されることに関連して、プルハンドル14により基材12側へ押圧される表層側突部22が、軟質表層部材16の折り返し端縁部16aのうち基材12の合わせ面12aにそれよりも基材12の裏面12b側に隣接する位置に設けられていることから、
図2から
図3に示すように、基材12の合わせ面12aとプルハンドル14の合わせ面14aとが互いに接近させられることにより相互に組み付けられるとき、軟質表層部材16からプルハンドル14側へ突設された表層側突部22が軟質表層部材16の端縁部16aを基材12の裏面12b側に押し込み、
図3の破線の矢印に示すように軟質表層部材16を引き込んで、軟質表層部材16に張力を発生させるので、軟質表層部材16のたるみ不良や外れ不良が発生しないようにその軟質表層部材16の組付けを容易に行なうことができる。
【0025】
また、本実施例のアームレスト10によれば、基材12の合わせ面12aとプルハンドル14の合わせ面14aとの挟圧位置から内側に表層側突部22が存在することによって軟質表層部材16の引き抜き荷重が高められるので、
図13から
図15に示す従来の構造に比較して、軟質表層部材16の端縁部16aが強固に固定される。
【実施例2】
【0026】
次に、本発明の他の実施例を説明する。なお、以下の実施例の説明では、実施例相互間で共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0027】
図4および
図5は、アームレスト10の他の実施例における端末部(車両上方側の端部)付近を拡大して示す部分断面図であって、
図4は組み立て前の状態を示し、
図5は組み立て後の状態を示している。
図4および
図5に示すように、本実施例のアームレスト10では、軟質表層部材16の端縁部16aが基材12の合わせ面12aとプルハンドル14の合わせ面14aとに挟持されることに関連して、その軟質表層部材16の端縁部16aを、基材12の裏面12bに沿って基材12側へ押圧するプルハンドル側突部24が、プルハンドル14の合わせ面14aにそれよりも基材12の裏面側に隣接する位置にプルハンドル14から基材12側へ突設されている。このプルハンドル側突部24は、第2部材側突部に対応するものであり、基材12とプルハンドル14との組み立てに際して、軟質表層部材16の端縁部16aを基材12の裏面12b側に押し込んで軟質表層部材16に張力を発生させる張力発生部として機能している。
【0028】
本実施例のアームレスト10によれば、プルハンドル14から基材12側へ突設され、軟質表層部材16の端縁部16aが基材12の合わせ面12aとプルハンドル14の合わせ面14aとに挟持されることに関連して、その軟質表層部材16の端縁部16aを、基材12の裏面12bに沿って基材12側へ押圧するプルハンドル側突部24が、プルハンドル14の合わせ面14aにそれよりも基材12の裏面側に隣接する位置に設けられていることから、
図4から
図5に示すように、基材12の合わせ面12aとプルハンドル14の合わせ面14aとが互いに接近させられることにより相互に組み付けられるとき、プルハンドル側突部24が軟質表層部材16の端縁部16aを基材12の裏面側に押し込み、
図5の破線の矢印に示すように軟質表層部材16を引き込んで、軟質表層部材16に張力を発生させるので、軟質表層部材16のたるみ不良や外れ不良が発生しないように基材12とプルハンドル14の組付けを容易に行なうことができる。
【0029】
また、本実施例のアームレスト10によれば、プルハンドル側突部24の存在によって軟質表層部材16の基材12に巻きつく面積が増加して軟質表層部材16の引き抜き荷重が高められるので、
図13から
図15に示す従来の構造に比較して、軟質表層部材16の端縁部16aが強固に固定される。
【実施例3】
【0030】
図6および
図7は、アームレスト10の他の実施例における端末部(車両上方側の端部)付近を拡大して示す部分断面図であって、
図6は組み立て前の状態を示し、
図7は組み立て後の状態を示している。
図6および
図7に示すように、本実施例のアームレスト10では、軟質表層部材16の端縁部16aが基材12の合わせ面12aとプルハンドル14の合わせ面14aとに挟持されることに関連して、軟質表層部材16の端縁部16aを基材12の裏面12bに沿って基材12側へ押圧する段差部26が、プルハンドル14の基材12の合わせ面12aの基材12の裏面12b側に隣接する位置にプルハンドル14から基材12側へ突設されている。この段差部26は、基材12とプルハンドル14との組み立てに際して、軟質表層部材16の端縁部16aを基材12の裏面12b側に押し込んで軟質表層部材16に張力を発生させる張力発生部として機能している。
【0031】
本実施例のアームレスト10によれば、軟質表層部材16の端縁部16aが基材12の合わせ面12aとプルハンドル14の合わせ面14aとに挟持されることに関連して、軟質表層部材16の端縁部16aを基材12の裏面12bに沿って基材12側へ押圧する段差部26が、プルハンドル14の基材12の合わせ面12aの基材12の裏面12b側に隣接する位置にプルハンドル14から基材12側へ突設されていることから、
図6から
図7に示すように、基材12の合わせ面12aとプルハンドル14の合わせ面14aとが互いに接近させられることにより相互に組み付けられるとき、段差部26が軟質表層部材16の端縁部16aを基材12の裏面側に押し込み、
図7の破線の矢印に示すように軟質表層部材16を引き込んで、軟質表層部材16に張力を発生させるので、軟質表層部材16のたるみ不良や外れ不良が発生しないように基材12とプルハンドル14の組付けを容易に行なうことができる。
【0032】
また、本実施例のアームレスト10によれば、段差部26の存在によって軟質表層部材16の基材12に巻きつく面積が増加して軟質表層部材16の引き抜き荷重が高められるので、
図13から
図15に示す従来の構造に比較して、軟質表層部材16の端縁部16aが強固に固定される。
【実施例4】
【0033】
図8および
図9は、アームレスト10の他の実施例における端末部(車両上方側の端部)付近を拡大して示す部分断面図であって、
図8は組み立て前の状態を示し、
図9は組み立て後の状態を示している。
図8および
図9に示すように、本実施例のアームレスト10では、軟質表層部材16の端縁部16aのうち基材12の合わせ面12aよりも基材12の裏面12b側に隣接する位置に貫通して設けられた係合穴28と、基材12の内側であってプルハンドル14の基材12の合わせ面12aよりも基材12側の位置に突設された係合台座30と、その係合台座30から基材12側へ突設され、軟質表層部材16の端縁部16aが基材12の合わせ面12aとプルハンドル14の合わせ面14aとに挟持されることに関連して、係合穴28と係合し、且つ軟質表層部材16の端縁部16aを基材12の裏面12b側へ引き込む係合突起32とが、設けられている。本実施例では、それら係合穴28、係合台座30、および係合突起32が、基材12とプルハンドル14との組み立てに際して、軟質表層部材16の端縁部16aを基材12の裏面12b側に押し込んで軟質表層部材16に張力を発生させる張力発生部として機能している。
【0034】
本実施例のアームレスト10によれば、軟質表層部材16の端縁部16aのうち基材12の合わせ面12aよりも基材12の裏面12b側に隣接する位置に貫通して設けられた係合穴28と、基材12の内側であってプルハンドル14の基材12の合わせ面12aよりも基材12側の位置に突設された係合台座30と、その係合台座30から基材12側へ突設され、軟質表層部材16の端縁部16aが基材12の合わせ面12aとプルハンドル14の合わせ面14aとに挟持されることに関連して、係合穴28と係合し、且つ軟質表層部材16の端縁部16aを基材12の裏面12b側へ引き込む係合突起32とが、張力発生部として機能しているので、基材12の合わせ面12aとプルハンドル14の合わせ面14aとが互いに接近させられることにより相互に組み付けられるとき、軟質表層部材16の端縁部16aが基材12の合わせ面12aとプルハンドル14の合わせ面14aとに挟持される過程で、プルハンドル14側の係合突起32が軟質表層部材16に設けられた係合穴28内に係合させられた後、係合穴28の係合位置が係合台座30上へ移動させられ、
図9の破線の矢印に示すようにその係合台座30の基材12側への相対移動により軟質表層部材16の端縁部16aが基材12の裏面12b側へ引き込まれるので、軟質表層部材16のたるみ不良や外れ不良が発生しないように基材12とプルハンドル14の組付けを容易に行なうことができる。
【0035】
また、本実施例のアームレスト10によれば、また、プルハンドル14側の係合突起32が軟質表層部材16に設けられた係合穴28内に係合させられて軟質表層部材16の引き抜き荷重が高められるので、
図13から
図15に示す従来の構造に比較して、軟質表層部材16の端縁部16aが強固に固定される。
【実施例5】
【0036】
図10、
図11および
図12は、アームレスト10の他の実施例における端末部(車両上方側の端部)付近を拡大して示す要部拡大図であって、
図10および
図11は組み立て前の状態および組み立て後の状態をそれぞれ示す係合突起38を縦断する断面図(
図12のX−X視断面図)、
図12は組み立て後の状態を示す斜視図である。
図10、
図11および
図12に示すように、本実施例のアームレスト10では、軟質表層部材16の端縁部16aのうち基材12の合わせ面12aに対応する位置に貫通して設けられた係合穴34と、プルハンドル14の合わせ面14aから基材12側へ突設され、基端側へ向かうほど軟質表層部材16の端縁へ向かう係合斜面36が形成された第1係合突起38と、基材12の合わせ面12aに形成されて係合突起38を受け入れてそれとの干渉を回避する切欠き40と、切欠き40の両側において基材12の合わせ面12aからプルハンドル14の合わせ面14aへ向かい、軟質表層部材16の厚みに略相当する突き出し量で突き出して係合穴34と係合する第2係合突起42とが、設けられている。本実施例では、それら係合穴34、係合斜面36、第1係合突起38、切欠き40、および第2係合突起42が、基材12とプルハンドル14との組み立てに際して、軟質表層部材16の端縁部16aを基材12の裏面12b側に押し込んで軟質表層部材16に張力を発生させる張力発生部として機能している。
【0037】
本実施例のアームレスト10によれば、軟質表層部材16の端縁部16aのうち基材12の合わせ面12aに対応する位置に貫通して設けられた係合穴34と、プルハンドル14の合わせ面14aから基材12側へ突設され、基端側へ向かうほど軟質表層部材16の端縁へ向かう係合斜面36が形成された第1係合突起38と、基材12の合わせ面12aに形成されて係合突起38を受け入れてそれとの干渉を回避する切欠き40と、切欠き40の両側において基材12の合わせ面12aからプルハンドル14の合わせ面14aへ向かい、軟質表層部材16の厚みに略相当する突き出し量で突き出す第2係合突起42とが、張力発生部として機能しているので、基材12の合わせ面12aとプルハンドル14の合わせ面14aとが互いに接近させられることにより相互に組み付けられるとき、軟質表層部材16の端縁部16aが基材12の合わせ面12aとプルハンドル14の合わせ面14aとに挟持される過程で、プルハンドル14側の第1係合突起38が軟質表層部材16に設けられた係合穴34内に係合させられた後、係合穴34の係合位置が第1係合突起38の係合斜面36に沿って第1係合突起38の基端側へ移動させられ、
図12の破線の矢印に示すようにその第1係合突起38の基材12側への相対移動により軟質表層部材16の端縁部16aが基材12の裏面12b側へ引き込まれるので、軟質表層部材16のたるみ不良や外れ不良が発生しないように基材12とプルハンドル14の組付けを容易に行なうことができる。
【0038】
また、本実施例のアームレスト10によれば、軟質表層部材16の端縁部16aに貫通して設けられた係合穴34内に、プルハンドル14の合わせ面14aから突設された第1係合突起38が係合されて軟質表層部材16の引き抜き荷重が高められるので、
図13から
図15に示す従来の構造に比較して、軟質表層部材16の端縁部16aが強固に固定される。
【0039】
また、本実施例のアームレスト10によれば、切欠き40の両側において基材12の合わせ面12aからプルハンドル14の合わせ面14aへ向かい、軟質表層部材16の厚みに略相当する突き出し量で突き出して係合穴34と係合する第2係合突起42とが、設けられているので、軟質表層部材16の端縁部16aが一層強固に固定される利点がある。
【0040】
以上、本発明の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が加えられて実施されるものである。