特許第6363540号(P6363540)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6363540
(24)【登録日】2018年7月6日
(45)【発行日】2018年7月25日
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/872 20060101AFI20180712BHJP
   H01L 29/47 20060101ALI20180712BHJP
   H01L 29/861 20060101ALI20180712BHJP
   H01L 29/868 20060101ALI20180712BHJP
   H01L 29/78 20060101ALI20180712BHJP
   H01L 29/12 20060101ALI20180712BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20180712BHJP
   H01L 29/06 20060101ALI20180712BHJP
【FI】
   H01L29/86 301E
   H01L29/86 301D
   H01L29/48 E
   H01L29/91 D
   H01L29/91 F
   H01L29/78 652N
   H01L29/78 652T
   H01L29/78 658J
   H01L29/06 301V
   H01L29/06 301G
【請求項の数】8
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-51679(P2015-51679)
(22)【出願日】2015年3月16日
(65)【公開番号】特開2016-171272(P2016-171272A)
(43)【公開日】2016年9月23日
【審査請求日】2017年2月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119035
【弁理士】
【氏名又は名称】池上 徹真
(74)【代理人】
【識別番号】100141036
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 章
(74)【代理人】
【識別番号】100088487
【弁理士】
【氏名又は名称】松山 允之
(72)【発明者】
【氏名】尾原 亮一
(72)【発明者】
【氏名】野田 隆夫
【審査官】 早川 朋一
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/105350(WO,A1)
【文献】 特開2011−204710(JP,A)
【文献】 特開2013−069749(JP,A)
【文献】 特開2008−103529(JP,A)
【文献】 特開2003−101039(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/78
H01L 21/336
H01L 29/739
H01L 21/331
H01L 29/861−29/885
H01L 21/329
H01L 29/06−29/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の面と第2の面を有する半導体基板と、
前記半導体基板に設けられる素子領域と、
前記素子領域の周囲の前記半導体基板に設けられる終端領域であって、
前記半導体基板の第1の面に設けられる第1導電型の第1の半導体領域と、
前記第1の半導体領域と前記第2の面との間に設けられる第2導電型の第2の半導体領域と、
前記第1の半導体領域上に設けられる第1の絶縁膜と、
前記第1の半導体領域上に設けられ、前記第1の絶縁膜の間にある第2の絶縁膜と、を有する終端領域と、
前記素子領域の第1の面上に設けられ、前記第1の半導体領域に電気的に接続される第1の電極と、
前記半導体基板の前記第2の面上に設けられる第2の電極と、
を備え
前記第1の絶縁膜はシリコン酸化膜であり、前記第2の絶縁膜は樹脂膜である半導体装置。
【請求項2】
前記第1の半導体領域に接する部分の前記第2の絶縁膜は前記素子領域を囲む環状である請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1の絶縁膜の間に挟まれる部分の前記第2の絶縁膜の幅は1μm以上である請求項1又は請求項2記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1の半導体領域の第1の位置の第1導電型の不純物濃度が、前記第1の位置よりも前記素子領域から遠い前記第1の半導体領域の第2の位置の第1導電型の不純物濃度よりも高い請求項1乃至請求項いずれか一項記載の半導体装置。
【請求項5】
前記半導体基板はSiC基板である請求項1乃至請求項いずれか一項記載の半導体装置。
【請求項6】
前記素子領域の前記第1の面に前記第2の半導体領域が設けられ、
前記第1の電極が前記第2の半導体領域に電気的に接続される請求項1乃至請求項いずれか一項記載の半導体装置。
【請求項7】
前記素子領域が、前記第1の面に設けられる第1導電型の第3の半導体領域を有し、
前記第1の電極が前記第3の半導体領域に電気的に接続される請求項1乃至請求項いずれか一項記載の半導体装置。
【請求項8】
前記素子領域が、
前記第1の面に設けられる第1導電型の第3の半導体領域と、
前記第3の半導体領域内に設けられる第2導電型の第4の半導体領域と、
前記第3の半導体領域上に設けられるゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜上に設けられるゲート電極と、を有し、
前記第1の電極が前記第3の半導体領域及び前記第4の半導体領域に電気的に接続される請求項1乃至請求項いずれか一項記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの信頼性を劣化させる要因として、絶縁膜中に含まれる電荷による特性変動が知られている。絶縁膜中に含まれる電荷が半導体デバイスの動作、或いは待機中に半導体デバイス内を移動し、半導体デバイスの耐圧の変動やリーク電流の変動を引き起こす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−187767号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、信頼性の向上を可能とする半導体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の半導体装置は、第1の面と第2の面を有する半導体基板と、前記半導体基板に設けられる素子領域と、前記素子領域の周囲の前記半導体基板に設けられる終端領域であって、前記半導体基板の第1の面に設けられる第1導電型の第1の半導体領域と、前記第1の半導体領域と前記第2の面との間に設けられる第2導電型の第2の半導体領域と、前記第1の半導体領域上に設けられる第1の絶縁膜と、前記第1の半導体領域上に設けられ、前記第1の絶縁膜の間にある第2の絶縁膜と、を有する終端領域と、前記素子領域の第1の面上に設けられ、前記第1の半導体領域に電気的に接続される第1の電極と、前記半導体基板の前記第2の面上に設けられる第2の電極と、を備え、前記第1の絶縁膜はシリコン酸化膜であり、前記第2の絶縁膜は樹脂膜である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1の実施形態の半導体装置の模式断面図である。
図2】第1の実施形態の半導体装置の模式平面図である。
図3】比較形態の半導体装置の模式断面図である。
図4】第2の実施形態の半導体装置の模式断面図である。
図5】第3の実施形態の半導体装置の模式断面図である。
図6】第4の実施形態の半導体装置の模式断面図である。
図7】第5の実施形態の半導体装置の模式断面図である。
図8】第6の実施形態の半導体装置の模式断面図である。
図9】第6の実施形態の半導体装置の模式平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明する。なお、以下の説明では、同一の部材等には同一の符号を付し、一度説明した部材等については適宜その説明を省略する。
【0008】
また、以下の説明において、n、n、n及び、p、p、pの表記は、各導電型における不純物濃度の相対的な高低を表す。すなわちnはnよりもn型の不純物濃度が相対的に高く、nはnよりもn型の不純物濃度が相対的に低いことを示す。また、pはpよりもp型の不純物濃度が相対的に高く、pはpよりもp型の不純物濃度が相対的に低いことを示す。なお、n型、n型を単にn型、p型、p型を単にp型と記載する場合もある。
【0009】
(第1の実施形態)
本実施形態の半導体装置は、第1の面と第2の面を有する半導体基板と、半導体基板に設けられる素子領域と、素子領域の周囲の前記半導体基板に設けられる終端領域であって、半導体基板の第1の面に設けられる第1導電型の第1の半導体領域と、第1の半導体領域と第2の面との間に設けられる第2導電型の第2の半導体領域と、第1の半導体領域上に設けられる第1の絶縁膜と、第1の半導体領域上に設けられ、第1の絶縁膜の間にある第2の絶縁膜と、を有する終端領域と、素子領域の第1の面上に設けられ、第1の半導体領域に電気的に接続される第1の電極と、半導体基板の前記第2の面上に設けられる第2の電極と、を備える。
【0010】
図1は、本実施形態の半導体装置の模式断面図である。図2は、本実施形態の半導体装置の模式平面図である。図2は、半導体基板直上の絶縁膜のパターンを示す。図1は、図2のAA’断面を示す。本実施形態の半導体装置はショットキーバリアダイオード(SBD)である。
【0011】
SBD100は、素子領域と、素子領域を囲む終端領域とを備える。素子領域は、SBD100の順方向バイアス時に主に電流が流れる領域として機能する。終端領域は、SBD100の逆方向バイアス時に、素子領域の端部に印加される電界の強度を緩和し、SBD100の素子耐圧を向上させる領域として機能する。
【0012】
SBD100は、半導体基板10、p型のリサーフ領域(第1の半導体領域)12、n型のドリフト領域(第2の半導体領域)14、n型のカソード領域16、フィールド酸化膜(第1の絶縁膜)18、アノード電極(第1の電極)20、カソード電極(第2の電極)22、及び、パッシベーション膜(第2の絶縁膜)24を備える。
【0013】
半導体基板10は、第1の面と、第1の面に対向する第2の面を備えている。図1においては、第1の面とは図の上側の面であり、第2の面とは図の下側の面である。
【0014】
半導体基板10は、例えば、4H−SiC構造のSiC基板である。半導体基板10の膜厚は、例えば、5μm以上600μm以下である。
【0015】
p型のリサーフ領域(第1の半導体領域)12は、半導体基板10の第1の面に素子領域を囲んで設けられる。p型のリサーフ領域12は、p型不純物を含有する。p型不純物は、例えば、アルミニウム(Al)である。p型不純物の不純物濃度は、例えば、1×1016cm−3以上1×1019cm−3以下である。
【0016】
型のドリフト領域(第2の半導体領域)14は、p型のリサーフ領域12と第2の面との間に設けられる。素子領域の第1の面にもn型のドリフト領域14が設けられる。n型のドリフト領域14は、n型不純物を含有する。n型不純物は、例えば、窒素(N)である。n型不純物の不純物濃度は、例えば、5×1014cm−3以上5×1016cm−3以下である。
【0017】
型のカソード領域16は、半導体基板10の第2の面に設けられる。n型のカソード領域16は、n型不純物を含有する。n型不純物は、例えば、窒素(N)である。n型不純物の不純物濃度は、例えば、1×1018cm−3以上1×1020cm−3以下である。
【0018】
フィールド酸化膜(第1の絶縁膜)18は、p型のリサーフ領域12上に設けられる。フィールド酸化膜18は、素子領域に開口部(第1の開口部)を備える。また、フィールド酸化膜18は、p型のリサーフ領域12上に開口部(第2の開口部)を備える。フィールド酸化膜18は、例えば、シリコン酸化膜である。フィールド酸化膜18の膜厚は、例えば、0.01μm以上10μm以下である。
【0019】
アノード電極(第1の電極)20は、フィールド酸化膜18の開口部(第1の開口部)で、n型のドリフト領域14とp型のリサーフ領域12に接する。アノード電極20とn型のドリフト領域14とのコンタクトは、ショットキーコンタクトである。アノード電極20とp型のリサーフ領域12とのコンタクトは、オーミックコンタクトであることが望ましい。
【0020】
アノード電極20は金属である。アノード電極20は、例えば、チタン(Ti)とアルミニウム(Al)の積層膜である。
【0021】
カソード電極22は、半導体基板10の第2の面に接して設けられる。カソード電極22は、n型のカソード領域16に接して設けられる。カソード電極22とn型のカソード領域16とのコンタクトは、オーミックコンタクトであることが望ましい。
【0022】
カソード電極22は金属である。カソード電極22は、例えば、ニッケルシリサイドを含む積層膜から構成される。
【0023】
パッシベーション膜(第2の絶縁膜)24は、フィールド酸化膜18上、及び、アノード電極20上に設けられる。パッシベーション膜24は、p型のリサーフ領域12上のフィールド酸化膜18の開口部(第2の開口部)に埋め込まれ、p型のリサーフ領域12と接する。フィールド酸化膜18の開口部(第2の開口部)において、パッシベーション膜24はフィールド酸化膜18の間に挟まれる。
【0024】
図2に示すように、p型のリサーフ領域12に接する部分のパッシベーション膜24は素子領域を囲む環状のパターンである。
【0025】
パッシベーション膜24は、例えば、樹脂膜である。パッシベーション膜24は、例えば、ポリイミドである。
【0026】
次に、本実施形態のSBD100の作用及び効果について説明する。
【0027】
図3は、比較形態の半導体装置の模式断面図である。比較形態の半導体装置は、SBD900である。SBD900は、パッシベーション膜24がフィールド酸化膜18に挟まれる構造を備えない以外は、第1の実施形態の半導体装置と同様である。
【0028】
SBD900は、終端領域にp型のリサーフ領域12を備える。SBD900の逆方向バイアス時には、p型のリサーフ領域12とn型のドリフト領域14との間のpn接合に逆バイアスが印加される。逆バイアスが印加される際に、p型のリサーフ領域12が空乏化することにより素子領域の端部に印加される電界の強度が緩和され、SBD100の耐圧が向上する。
【0029】
終端領域のフィールド酸化膜18には、pn接合に逆バイアスが印加された際に、横方向の電界が印加される。横方向の電界により、フィールド酸化膜18中の電荷が横方向に移動する。電荷がフィールド酸化膜18中を移動することにより、終端領域のチャージバランスが崩れる。このため、耐圧変動や、リーク電流変動等の信頼性不良が生じる恐れがある。
【0030】
フィールド酸化膜18中を移動する電荷は、例えば、水素イオン、フッ素イオン、塩素イオン、又は、ナトリウムイオン等である。
【0031】
本実施形態のSBD100では、p型のリサーフ領域12に接し、フィールド酸化膜18の間に挟まれるパッシベーション膜24を設けることで、フィールド酸化膜18を横方向に分断する。このため、フィールド酸化膜18中の電荷が横方向に移動することが抑制される。したがって、終端領域のチャージバランスが崩れることを防止できる。よって、SBD100の特性変動が抑制され信頼性が向上する。
【0032】
フィールド酸化膜18中の電荷の横方向の移動の抑制は、フィールド酸化膜18とパッシベーション膜24との界面が、エネルギー障壁として機能することによる。
【0033】
電荷の移動を、更に抑制する観点から、フィールド酸化膜18に挟まれる部分のパッシベーション膜24の幅(図1中の“w”)が、1μm以上であることが望ましい。
【0034】
SBD100では、p型のリサーフ領域12に接する部分のパッシベーション膜24は、素子領域を囲む環状のパターンである。このため、フィールド酸化膜18はp型のリサーフ領域12上で、横方向に完全に分断されている。したがって、フィールド酸化膜18中の電荷の横方向の移動が効果的に抑制される。
【0035】
なお、SiCのように、シリコン(Si)に比べバンドギャップの広い材料を用いたSBDでは、材料自体の耐圧が高いため、基板中の電界強度も大きくなるよう設計される。このため、フィールド酸化膜18中の電界強度も大きくなる。したがって、ワイドギャップ半導体を用いたSBDでは、シリコンを用いたSBDよりも、終端領域のチャージバランスが崩れることによる信頼性不良が発生しやすい。よって、本実施形態は、SiCのようなワイドギャップ半導体を用いたSBDに、特に有効である。
【0036】
本実施形態では、p型のリサーフ領域12に接する部分のパッシベーション膜24が3個である場合を例に説明したが、必ずしも3個に限らず、1個又は2個、又は、4個以上であってもかまわない。
【0037】
本実施形態では、p型のリサーフ領域12に接する部分のパッシベーション膜24が環状である場合を例に説明したが、環状のパターンに限定されるものではない。フィールド酸化膜18を横方向に一部でも分断するパターンであればかまわない。
【0038】
本実施形態によれば、終端領域のフィールド酸化膜18中の電荷の移動を抑制することにより、信頼性の向上を可能とするSBD100が実現される。
【0039】
(第2の実施形態)
本実施形態の半導体装置は、第1の半導体領域の第1の位置の第1導電型の不純物濃度が、第1の位置よりも素子領域から遠い第1の半導体領域の第2の位置の第1導電型の不純物濃度よりも高い以外は、第1の実施形態と同様である。したがって、第1の実施形態と重複する内容については記述を省略する。
【0040】
図4は、本実施形態の半導体装置の模式断面図である。本実施形態の半導体装置はSBD200である。
【0041】
SBD200は、p型のリサーフ領域12が、第1のp型領域12a、第2のp型領域12b、第3のp型領域12cを備える。p型不純物の不純物濃度が、第1のp型領域12a、第2のp型領域12b、第3のp型領域12cの順で低下する。p型のリサーフ領域12内で、素子領域に近い位置(第1の位置)のp型不純物の不純物濃度が、素子領域よりも遠い位置(第2の位置)のp型不純物の不純物濃度よりも高い。
【0042】
本実施形態によれば、第1の実施形態と同様、終端領域のフィールド酸化膜18中の電荷の移動を抑制することにより、信頼性の向上を可能とするSBD200が実現される。更に、p型のリサーフ領域12内に濃度分布を設けることで、SBD200の耐圧が向上する。
【0043】
(第3の実施形態)
本実施形態の半導体装置は、第2の絶縁膜がパッシベーション膜と異なる膜である以外は、第1の実施形態と同様である。したがって、第1の実施形態と重複する内容については記述を省略する。
【0044】
図5は、本実施形態の半導体装置の模式断面図である。本実施形態の半導体装置はSBD300である。
【0045】
SBD300は、p型のリサーフ領域12に接し、フィールド酸化膜18の間に挟まれる分離絶縁膜(第2の絶縁膜)26を設ける。分離絶縁膜26上にパッシベーション膜24が設けられる。
【0046】
分離絶縁膜26は、例えば、窒化膜又は酸窒化膜である。分離絶縁膜26は、例えば、シリコン窒化膜である。
【0047】
本実施形態によれば、第1の実施形態と同様、終端領域のフィールド酸化膜18中の電荷の移動を抑制することにより、信頼性の向上を可能とするSBD300が実現される。更に、第2の絶縁膜をパッシベーション膜24とは異なる膜とすることで、フィールド酸化膜18を分断する膜の材料を、電荷移動抑制の観点から最適化できる。
【0048】
(第4の実施形態)
本実施形態の半導体装置は、素子領域が、前記第1の面に設けられる第1導電型の第3の半導体領域を有し、第1の電極が第3の半導体領域に電気的に接続される以外は、第1の実施形態と同様である。したがって、第1の実施形態と重複する内容については記述を省略する。
【0049】
図6は、本実施形態の半導体装置の模式断面図である。本実施形態の半導体装置はPINダイオード400である。
【0050】
PINダイオード400は、素子領域が、第1の面に設けられるp型のアノード領域(第3の半導体領域)40を備える。終端領域の構造は、第1の実施形態と同様である。
【0051】
アノード電極(第1の電極)20と、p型のアノード領域(第3の半導体領域)40は電気的に接続される。アノード電極(第1の電極)20は、p型のアノード領域(第3の半導体領域)40に接する。
【0052】
本実施形態によれば、第1の実施形態と同様、終端領域のフィールド酸化膜18中の電荷の移動を抑制することにより、信頼性の向上を可能とするPINダイオード400が実現される。
【0053】
(第5の実施形態)
本実施形態の半導体装置は、素子領域が、第1の面に設けられる第1導電型の第3の半導体領域と、第3の半導体体領域内に設けられる第2導電型の第4の半導体領域と、第3の半導体領域上に設けられるゲート絶縁膜と、ゲート絶縁膜上に設けられるゲート電極とを有し、第1の電極が前記第3の半導体領域及び前記第4の半導体領域に電気的に接続されるる以外は、第1の実施形態と同様である。したがって、第1の実施形態と重複する内容については記述を省略する。
【0054】
図7は、本実施形態の半導体装置の模式断面図である。本実施形態の半導体装置はMOSFET500である。
【0055】
MOSFET500は、素子領域が、第1の面に設けられるp型のベース領域(第3の半導体領域)42、n型のソース領域(第4の半導体領域)44、ゲート絶縁膜46、ゲート電極48、層間膜50、n型のドレイン領域17、ソース電極(第1の電極)21、ドレイン電極(第2の電極)23を備える。
【0056】
ソース電極(第1の電極)21と、p型のベース領域(第3の半導体領域)42及びn型のソース領域(第4の半導体領域)44は、電気的に接続される。ゲート電極48と、ソース電極21は、層間膜50で絶縁される。
【0057】
終端領域の構造は、第1の実施形態と同様である。
【0058】
本実施形態によれば、第1の実施形態と同様、終端領域のフィールド酸化膜18中の電荷の移動を抑制することにより、信頼性の向上を可能とするMOSFET500が実現される。
【0059】
(第6の実施形態)
本実施形態の半導体装置は、第1の面と第2の面を有する半導体基板と、半導体基板に設けられる素子領域と、素子領域の周囲の半導体基板に設けられる終端領域であって、半導体基板の第1の面に設けられる第1導電型の第1の半導体領域と、第1の半導体領域と第2の面との間に設けられる第2導電型の第2の半導体領域と、第1の半導体領域内に設けられ、第1の半導体領域よりも浅く、第1の半導体領域よりも不純物濃度の高い第1導電型の第3の半導体領域と、を有する終端領域と、素子領域の第1の面上に設けられ、第1の半導体領域に電気的に接続される第1の電極と、半導体基板の第2の面上に設けられる第2の電極と、を備える。
【0060】
図8は、本実施形態の半導体装置の模式断面図である。図9は、本実施形態の半導体装置の模式平面図である。図9は、半導体基板表面の半導体領域のパターンを示す。図8は、図9のBB’断面を示す。本実施形態の半導体装置はSBD600である。
【0061】
SBD600は、素子領域と、素子領域を囲む終端領域とを備える。素子領域は、SBD600の順方向バイアス時に主に電流が流れる領域として機能する。終端領域は、SBD600のが逆方向バイアス時に、素子領域の端部に印加される電界の強度を緩和し、SBD600の素子耐圧を向上させる領域として機能する。
【0062】
SBD600は、半導体基板10、p型のリサーフ領域(第1の半導体領域)12、n型のドリフト領域(第2の半導体領域)14、n型のカソード領域16、フィールド酸化膜18、アノード電極(第1の電極)20、カソード電極(第2の電極)22、パッシベーション膜24、及び、p型の分離領域(第3の半導体領域)30を備える。
【0063】
半導体基板10は、第1の面と、第1の面に対向する第2の面を備えている。図8においては、第1の面とは図の上側の面であり、第2の面とは図の下側の面である。
【0064】
半導体基板10は、例えば、4H−SiC構造のSiC基板である。半導体基板10の膜厚は、例えば、5μm以上600μm以下である。
【0065】
p型のリサーフ領域(第1の半導体領域)12は、半導体基板10の第1の面に素子領域を囲んで設けられる。p型のリサーフ領域12は、p型不純物を含有する。p型不純物は、例えば、アルミニウム(Al)である。p型不純物の不純物濃度は、例えば、1×1016cm−3以上1×1019cm−3以下である。
【0066】
型のドリフト領域(第2の半導体領域)14は、p型のリサーフ領域12と第2の面との間に設けられる。素子領域の第1の面にもn型のドリフト領域14が設けられる。n型のドリフト領域14は、n型不純物を含有する。n型不純物は、例えば、窒素(N)である。n型不純物の不純物濃度は、例えば、5×1014cm−3以上5×1016cm−3以下である。
【0067】
型のカソード領域16は、半導体基板10の第2の面に設けられる。n型のカソード領域16は、n型不純物を含有する。n型不純物は、例えば、窒素(N)である。n型不純物の不純物濃度は、例えば、1×1018cm−3以上1×1020cm−3以下である。
【0068】
フィールド酸化膜18は、p型のリサーフ領域12上に設けられる。フィールド酸化膜18は、素子領域に開口部を備える。フィールド酸化膜18は、例えば、シリコン酸化膜である。フィールド酸化膜18の膜厚は、例えば、0.01μm以上10μm以下である。
【0069】
アノード電極(第1の電極)20は、フィールド酸化膜18の開口部で、n型のドリフト領域14とp型のリサーフ領域12に接する。アノード電極20とn型のドリフト領域14とのコンタクトは、ショットキーコンタクトである。アノード電極20とp型のリサーフ領域12とのコンタクトは、オーミックコンタクトであることが望ましい。
【0070】
アノード電極20は金属である。アノード電極20は、例えば、チタン(Ti)とアルミニウム(Al)の積層膜である。
【0071】
カソード電極22は、半導体基板10の第2の面に接して設けられる。カソード電極22は、n型のカソード領域16に接して設けられる。カソード電極22とn型のカソード領域16とのコンタクトは、オーミックコンタクトであることが望ましい。
【0072】
カソード電極22は金属である。カソード電極22は、例えば、ニッケルシリサイドを含む積層膜から構成される。
【0073】
パッシベーション膜24は、フィールド酸化膜18上、及び、アノード電極20上に設けられる。パッシベーション膜24は、例えば、樹脂膜である。パッシベーション膜24は、例えば、ポリイミドである。
【0074】
型の分離領域(第3の半導体領域)30は、p型のリサーフ領域12内に設けられる。p型の分離領域(第3の半導体領域)30は、半導体基板10の第1の面に設けられる。p型の分離領域30は、p型不純物を含有する。p型不純物は、例えば、アルミニウム(Al)である。
【0075】
型の分離領域30は、p型のリサーフ領域12よりも浅く、p型のリサーフ領域12よりも不純物濃度が高い。p型の分離領域30の不純物濃度は、例えば、1×1018cm−3以上1×1020cm−3以下である。
【0076】
型の分離領域30は、p型のリサーフ領域12とn型のドリフト領域14との間に逆バイアスが印加される際に、完全に空乏化しないよう、不純物濃度、幅、深さ等が設定される。
【0077】
図9に示すように、p型の分離領域30は素子領域を囲む環状のパターンである。
【0078】
次に、本実施形態のSBD400の作用及び効果について説明する。
【0079】
終端領域のフィールド酸化膜18には、pn接合に逆バイアスが印加された際に、横方向の電界が印加される。横方向の電界により、フィールド酸化膜18中の電荷が横方向に移動する。電荷がフィールド酸化膜18中を移動することにより、終端領域のチャージバランスが崩れる。このため、耐圧変動や、リーク電流変動等の信頼性不良が生じる恐れがある。
【0080】
本実施形態のSBD600では、p型のリサーフ領域12内に、p型のリサーフ領域12よりも浅く、p型のリサーフ領域12よりも不純物濃度が高いp型の分離領域30を設ける。p型のリサーフ領域12とn型のドリフト領域14との間のpn接合に逆バイアスが印加される際に、p型の分離領域30の少なくとも一部が空乏化しない。このため、p型の分離領域30中の空乏化しない領域には電界が発生しない。このため、p型の分離領域30直上のフィールド酸化膜18中の横方向の電界が緩和され、フィールド酸化膜18中の電荷が横方向に移動することを抑制される。したがって、終端領域のチャージバランスが崩れることを防止できる。よって、SBD600の特性変動が抑制され信頼性が向上する。
【0081】
SBD600では、p型の分離領域30は素子領域を囲む環状のパターンである。このため、フィールド酸化膜18中の電荷の横方向の移動が効果的に抑制される。
【0082】
本実施形態では、p型の分離領域30が3個である場合を例に説明したが、必ずしも3個に限らず、1個又は2個、又は、4個以上であってもかまわない。
【0083】
本実施形態では、p型の分離領域30が環状である場合を例に説明したが、環状のパターンに限定されるものではない。
【0084】
本実施形態によれば、終端領域のフィールド酸化膜18中の電荷の移動を抑制することにより、信頼性の向上を可能とするSBD600が実現される。
【0085】
以上、実施形態では、SiCの結晶構造として4H−SiCの場合を例に説明したが、本発明は6H−SiC、3C−SiC等、その他の結晶構造のSiCを用いたデバイスに適用することも可能である。また、SiC以外の、シリコン、GaN系半導体等、その他の半導体を用いたデバイスに適用することも可能である。
【0086】
また、実施形態では、主に、SBDを例に説明したが、素子領域の周囲に終端領域を備えるデバイスであれば、PINダイオード、MISFET(Metal Iusulator Semiconductor Field Effect Transistor)、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)等、その他のデバイスにも本発明を適用することが可能である。
【0087】
また、実施形態では、第1導電型がp型、第2導電型がn型の場合を例に説明したが、第1導電型をn型、第2導電型をp型とすることも可能である。
【0088】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。例えば、一実施形態の構成要素を他の実施形態の構成要素と置き換え又は変更してもよい。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0089】
10 半導体基板
12 p型のリサーフ領域(第1の半導体領域)
14 n型のドリフト領域(第2の半導体領域)
18 フィールド酸化膜(第1の絶縁膜)
20 アノード電極(第1の電極)
21 ソース電極(第1の電極)
22 カソード電極(第2の電極)
23 ドレイン電極(第2の電極)
24 パッシベーション膜(第2の絶縁膜)
26 分離絶縁膜(第2の絶縁膜)
30 p型の分離領域(第3の半導体領域)
40 p型のアノード領域(第3の半導体領域)
42 p型のベース領域(第3の半導体領域)
44 n型のソース領域(第4の半導体領域)
46 ゲート絶縁膜
48 ゲート電極
100 SBD(半導体装置)
200 SBD(半導体装置)
300 SBD(半導体装置)
400 PINダイオード(半導体装置)
500 MOSFET(半導体装置)
600 SBD(半導体装置)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9