(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明する。なお、以下の説明では、同一の部材等には同一の符号を付し、一度説明した部材等については適宜その説明を省略する。
【0009】
また、以下の説明において、n
+、n、n
−及び、p
+、p、p
−の表記は、各導電型における不純物濃度の相対的な高低を表す。すなわちn
+はnよりもn型の不純物濃度が相対的に高く、n
−はnよりもn型の不純物濃度が相対的に低いことを示す。また、p
+はpよりもp型の不純物濃度が相対的に高く、p
−はpよりもp型の不純物濃度が相対的に低いことを示す。なお、n
+型、n
−型を単にn型、p
+型、p
−型を単にp型と記載する場合もある。
【0010】
不純物濃度は、例えば、SIMS(Secondary Ion Mass Spectrometry)により測定することが可能である。また、不純物濃度の相対的な高低は、例えば、SCM(Scanning Capacitance Microscopy)で求められるキャリア濃度の高低から判断することも可能である。
【0011】
(第1の実施形態)
本実施形態の半導体装置は、n型のSiC基板と、SiC基板上に設けられ、第1の表面を有し、SiC基板よりもn型不純物濃度の低いn型のSiC層と、SiC層の第1の表面に設けられる複数のp型の第1のSiC領域と、第1のSiC領域のそれぞれの中に設けられ、第1のSiC領域よりもp型不純物濃度の高い複数のp型の第2のSiC領域と、第2のSiC領域のそれぞれの上に設けられ、第2のSiC領域の反対側に第2の表面を有し、SiC基板から第2の表面までの距離とSiC基板から第1の表面までの距離の差分が0.2μm以下である複数のシリサイド層と、SiC層とシリサイド層に接して設けられる第1の電極と、SiC基板に接して設けられる第2の電極と、を備える。
【0012】
図1は、本実施形態の半導体装置の模式断面図である。本実施形態の半導体装置はMPSである。
【0013】
MPS100は、n
+型のカソード領域(SiC基板)10、n
−型のドリフト層(SiC層)12、p型の第1のアノード領域(第1のSiC領域)14、p
+型の第2のアノード領域(第2のSiC領域)16、p型のガードリング領域18、シリサイド層20、フィールド酸化膜22、アノード電極(第1の電極)24、及び、カソード電極(第2の電極)26を備える。
【0014】
n
+型のカソード領域(SiC基板)10は、例えば、4H−SiC構造のSiC基板である。n
+型のカソード領域10は、n型不純物を含有する。n型不純物は、例えば、窒素(N)である。n型不純物の不純物濃度は、例えば、1×10
19以上1×10
21cm
−3以下である。
【0015】
n
−型のドリフト層(SiC層)12は、n
+型のカソード領域10上に設けられる。n
−型のドリフト層12は、n型不純物を含有する。n型不純物は、例えば、窒素(N)である。n
−型のドリフト層12の不純物濃度は、n
+型のカソード領域10の不純物濃度よりも低い。n型不純物の不純物濃度は、例えば、1×10
15以上2×10
16cm
−3以下である。n
−型のドリフト層12の膜厚は、例えば、3μm以上30μm以下である。
【0016】
なお、n
+型のカソード領域10と、n
−型のドリフト層12との間に、n型不純物の不純物濃度が、n
+型のカソード領域10の不純物濃度と、n
−型のドリフト層12の不純物濃度との間の濃度のn型のバッファ層(図示せず)が設けられても構わない。
【0017】
p型の第1のアノード領域(第1のSiC領域)14は、n
−型のドリフト層12の表面に複数設けられる。p型の第1のアノード領域14は、p型不純物を含有する。p型不純物は、例えば、アルミニウム(Al)である。p型不純物の不純物濃度は、例えば、5×10
16cm
−3以上5×10
17cm
−3以下である。
【0018】
p型の第1のアノード領域14の深さは、例えば、0.5μm以上2μm以下である。p型の第1のアノード領域14の幅は、例えば、1.0μm以上10.0μm以下である。p型の第1のアノード領域14同士の間隔は、例えば、1.0μm以上5.0μm以下である。
【0019】
p
+型の第2のアノード領域(第2のSiC領域)16は、p型の第1のアノード領域14の中に設けられる。p
+型の第2のアノード領域16は、p型の第1のアノード領域14の表面に設けられる。p
+型の第2のアノード領域16は、複数設けられる。
【0020】
p
+型の第2のアノード領域16は、p型不純物を含有する。p型不純物は、例えば、アルミニウム(Al)である。p
+型の第2のアノード領域16の不純物濃度は、p型の第1のアノード領域14の不純物濃度よりも高い。p型不純物の不純物濃度は、例えば、1×10
19cm
−3以上1×10
20cm
−3以下である。
【0021】
p
+型の第2のアノード領域16の深さは、例えば、0.2μm以上1.0μm以下である。p
+型の第2のアノード領域16の幅は、例えば、0.5μm以上8.0μm以下である。
【0022】
p型のガードリング領域18は、複数のp型の第1のアノード領域14を囲んで設けられる。p型のガードリング領域18は、MPS100の耐圧を向上させるための終端構造である。
【0023】
p型のガードリング領域18は、p型不純物を含有する。p型不純物は、例えば、アルミニウム(Al)である。p型不純物の不純物濃度は、例えば、1×10
17cm
−3以上5×10
18cm
−3以下である。
【0024】
シリサイド層20は、複数のp
+型の第2のアノード領域16のそれぞれの上に設けられる。シリサイド層20は、複数設けられる。シリサイド層20は、例えば、ニッケルシリサイド層である。シリサイド層20の膜厚は、例えば、0.05μm以上0.5μm以下である。
【0025】
フィールド酸化膜22は、p型のガードリング領域18上に設けられる。フィールド酸化膜22は、例えば、シリコン酸化膜である。フィールド酸化膜22は、開口部を備える。フィールド酸化膜22の膜厚は、例えば、0.2μm以上1.0μm以下である。
【0026】
アノード電極(第1の電極)24は、フィールド酸化膜22の開口部で、n
−型のドリフト層12とシリサイド層20に接する。アノード電極24とn
−型のドリフト層12とのコンタクトは、ショットキーコンタクトである。アノード電極24とシリサイド層20とのコンタクトは、オーミックコンタクトである。
【0027】
アノード電極24は金属である。アノード電極24は、例えば、チタン(Ti)とアルミニウム(Al)の積層膜である。
【0028】
カソード電極26は、n
+型のカソード領域10に接して設けられる。カソード電極26とn
+型のカソード領域10とのコンタクトは、オーミックコンタクトであることが望ましい。
【0029】
カソード電極26は金属である。カソード電極26は、例えば、チタン(Ti)とアルミニウム(Al)の積層膜である。
【0030】
図2は、本実施形態の半導体装置の要部の模式断面図である。MPS100の1個のp型の第1のアノード領域14を含む部分の拡大図である。
【0031】
n
−型のドリフト層12の表面を第1の表面とする。シリサイド層20のp
+型の第2のアノード領域(第2のSiC領域)16と反対側の表面を第2の表面とする。n
+型のカソード領域10からn
−型のドリフト層12へ向かう方向(
図2中の白矢印)を正とする。
【0032】
MPS100において、第1の表面と第2の表面との距離(
図2中の“d”)、すなわち、n
−型のドリフト層12の表面とシリサイド層20の表面との距離は0.2μm以下である。言い換えれば、SiC基板10から第2の表面までの距離とSiC基板10から第1の表面までの距離の差分が0.2μm以下である。第1の表面と第2の表面との距離(差分)は、−0.1μm以上0.1μm以下であることが望ましい。
【0033】
次に、本実施形態の半導体装置の製造方法について説明する。
図3は、本実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図3(a)〜
図3(h)は、MPS100の1個のp型の第1のアノード領域14を含む部分の拡大図である。
【0034】
本実施形態の半導体装置の製造方法は、n型のSiC層上に第1のマスク材を形成し、第1のマスク材をエッチングして開口部を形成し、第1のマスク材をマスクにSiC層内にp型不純物を注入する第1のイオン注入を行い、第1のマスク材上に開口部の幅の半分未満の膜厚の第2のマスク材を形成し、第2のマスク材をエッチングして開口部の側面に側壁を形成し、第1のマスク材及び側壁をマスクにSiC層をエッチングして溝を形成し、第1のマスク材及び側壁をマスクにSiC層内にp型不純物を注入する第2のイオン注入を行い、SiC層上に第1の金属膜を形成し、熱処理により第1の金属膜とSiC層を反応させてシリサイド層を形成し、未反応の第1の金属膜を除去し、第1のマスク材及び側壁を除去し、SiC層及びシリサイド層上に第2の金属膜を形成する。
【0035】
まず、図示しないn
+型のカソード領域(SiC基板)10(
図1)上に、エピタキシャル成長法により、n
−型のドリフト層(SiC層)12を形成する。次に、図示しないp型のガードリング領域18(
図1)をp型不純物のイオン注入により形成する。
【0036】
次に、n
−型のドリフト層12上に、第1のマスク材30を形成する。第1のマスク材30は、例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)法により形成されるシリコン酸化膜である。
【0037】
次に、第1のマスク材30をエッチングして、開口部を形成する。開口部の形成は、例えば、リソグラフィー法とRIE(Reactive Ion Etching)法により行う。
【0038】
次に、第1のマスク材30をマスクにn
−型のドリフト層12内にp型不純物を注入する(第1のイオン注入)。第1のイオン注入により、p型の第1のアノード領域(第1のSiC領域)14が形成される(
図3(a))。p型不純物は、例えば、アルミニウム(Al)である。
【0039】
次に、第1のマスク材30上に、開口部の幅の半分未満の膜厚の第2のマスク材32を形成する(
図3(b))。開口部は、第2のマスク材32によって完全には埋め込まれない。
第2のマスク材32は、例えば、CVD法により形成されるシリコン酸化膜である。
【0040】
次に、第2のマスク材32をエッチングして、開口部の側面に側壁34を形成する。側壁34の形成は、例えば、RIE法による全面エッチングにより行う。
【0041】
次に、第1のマスク材30及び側壁34をマスクに、n
−型のドリフト層12(p型の第1のアノード領域14)をエッチングして溝を形成する(
図3(c))。溝の形成は、例えば、RIE法により行う。
【0042】
次に、第1のマスク材30及び側壁34をマスクに、n
−型のドリフト層12(p型の第1のアノード領域14)内にp型不純物を注入する(第2のイオン注入)。第2のイオン注入により、p
+型の第2のアノード領域(第2のSiC領域)16が形成される(
図3(d))。
【0043】
次に、n
−型のドリフト層12(p
+型の第2のアノード領域16)上に、第1の金属膜36を形成する(
図3(e))。第1の金属膜36は、例えば、スパッタ法により形成される。第1の金属膜36は、例えば、ニッケル(Ni)膜である。
【0044】
次に、熱処理を行う。熱処理により第1の金属膜36とn
−型のドリフト層12(p
+型の第2のアノード領域16)を反応させてシリサイド層20を形成する。次に、未反応の第1の金属膜36を除去する(
図3(f))。未反応の第1の金属膜36は、例えば、ウェットエッチングにより行う。
【0045】
次に、第1のマスク材30及び側壁34を除去する(
図3(g))。第1のマスク材30及び側壁34の除去は、例えば、ウェットエッチングにより行う。
【0046】
次に、図示しないフィールド酸化膜22(
図1)を形成する。フィールド酸化膜22は、例えば、CVD法により形成されるシリコン酸化膜である。フィールド酸化膜22は、シリサイド層20が露出するようパターニングされる。
【0047】
次に、n
−型のドリフト層12及びシリサイド層20上に、第2の金属膜38を形成する(
図3(h))。第2の金属膜38は、例えば、スパッタ法により形成される。第2の金属膜38は、例えば、チタン(Ti)とアルミニウム(Al)の積層膜である。
【0048】
第2の金属膜38は、その後、パターニングされてアノード電極となる。次に、図示しないカソード電極を形成する。
【0049】
以上の製造方法により、
図1に示すMPS100が形成される。
【0050】
次に、本実施形態のMPS100の作用及び効果について説明する。
【0051】
図4は、比較形態の半導体装置の模式断面図である。比較形態の半導体装置は、MPSである。比較形態のMPSは、第1の表面と第2の表面との距離(
図4中の“d’”)、すなわち、n
−型のドリフト層12の表面とシリサイド層20の表面との距離が0.2μmより大きい以外は、第1の実施形態の半導体装置と同様である。言い換えれば、SiC基板10から第2の表面までの距離とSiC基板10から第1の表面までの距離の差分が0.2μmより大きい以外は、第1の実施形態の半導体装置と同様である。
【0052】
比較形態のMPSは、
図4に示すように、シリサイド層20の表面が、n
−型のドリフト層12の表面に対して出っ張っている。このため、シリサイド層20上に形成されたアノード電極24の表面に凸部が形成されている。
【0053】
アノード電極24の表面に凸部があると、アノード電極24上にワイヤボンディングを行う際に、凸部に起因するデバイス不良が生じる恐れがある。例えば、ワイヤボンディングの衝撃により、凸部の下のシリサイド層20が破壊する。シリサイド層20の破壊により、例えば、逆バイアス時のリーク電流が増加する。
【0054】
本実施形態のMPS100では、n
−型のドリフト層12の表面とシリサイド層20の表面との距離を0.2μm以下とする。このため、アノード電極24の表面に凸部が形成されることが抑制され、デバイス不良が低減する。更に、アノード電極24の表面形状に起因するデバイス不良の発生を抑制する観点から、n
−型のドリフト層12の表面とシリサイド層20の表面との距離は、−0.1μm以上0.1μm以下であることが望ましい。
【0055】
本実施形態の製造方法では、p
+型の第2のアノード領域16をイオン注入で形成する前に、n
−型のドリフト層12に溝を設ける。この工程により、シリサイド層20の表面を基板側に下げることが可能となる。
【0056】
また、p
+型の第2のアノード領域16とn
−型のドリフト層12の距離が近くなりすぎると、逆バイアス時のリーク電流が増加する恐れがある。これは、p
+型の第2のアノード領域16に空乏層が達すると、p
+型の第2のアノード領域16中の結晶欠陥がリーク電流源となるからある。特に、SiCに原子半径の比較的大きいアルミニウムをイオン注入する場合、その後の、熱処理によってもイオン注入時に形成された欠陥の回復が進まず、結晶欠陥が多数残留する恐れがある。この問題は、MPSの微細化の妨げともなる。
【0057】
同様に、シリサイド層20とn
−型のドリフト層12の距離が近くなりすぎると、逆バイアス時に空乏層がシリサイド層20に達し、リーク電流が増加する恐れがある。この問題も、MPSの微細化の妨げともなる。
【0058】
本実施形態の製造方法では、第1のマスク材30をマスクにp型の第1のアノード領域14を形成する。そして、第1のマスク材30の開口部に設けれた側壁34をマスクに、p
+型の第2のアノード領域16及びシリサイド層20を形成する。したがって、p型の第1のアノード領域14と、p
+型の第2のアノード領域16及びシリサイド層20がセルフアラインで形成される。
【0059】
したがって、p
+型の第2のアノード領域16及びシリサイド層20と、n
−型のドリフト層12の距離を狭めることが可能となる。よって、本実施形態の製造方法によれば、MPSの微細化の実現が可能となる。
【0060】
本実施形態のMPS100及びその製造方法によれば、シリサイド層20に起因するデバイス不良を低減することが可能となる。また、MPSの微細化を実現することが可能となる。
【0061】
(第2の実施形態)
本実施形態の半導体装置は、シリサイド層の側面と第1のSiC領域との間に設けられる絶縁膜を、更に備えること以外は、第1の実施形態と同様である。したがって、第1の実施形態と重複する内容については記述を省略する。
【0062】
図5は、本実施形態の半導体装置の模式断面図である。本実施形態の半導体装置はMPSである。
【0063】
MPS200は、シリサイド層20の側面とn
−型のドリフト層(SiC層)12との間に、絶縁膜40を備えている。絶縁膜40は、上下をアノード電極(第1の電極)24とp型の第1のアノード領域(第1のSiC領域)14に挟まれる。絶縁膜40は、例えば、シリコン酸化膜である。
【0064】
次に、本実施形態の半導体装置の製造方法について説明する。
図6は、本実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図6(a)〜
図6(i)は、MPS200の1個のp型の第1のアノード領域14を含む部分の拡大図である。
【0065】
本実施形態の半導体装置の製造方法は、n型のSiC層上に第1のマスク材を形成し、第1のマスク材をエッチングして開口部を形成し、第1のマスク材をマスクにSiC層をエッチングして溝を形成し、第1のマスク材をマスクにSiC層内にp型不純物を注入する第1のイオン注入を行い、第1のマスク材上に開口部の幅の半分未満の膜厚の第2のマスク材を形成し、第2のマスク材をエッチングして開口部の側面に第1の側壁を形成し、第1のマスク材及び第1の側壁をマスクにSiC層内にp型不純物を注入する第2のイオン注入を行い、SiC層上に第1の金属膜を形成し、熱処理により第1の金属膜とSiC層を反応させてシリサイド層を形成し、未反応の第1の金属膜を除去し、第1のマスク材と第1の側壁の一部を除去し、溝の側面に第2の側壁を形成し、SiC層及びシリサイド層上に第2の金属膜を形成する。
【0066】
まず、図示しないn
+型のカソード領域(SiC基板)10(
図5)上に、エピタキシャル成長法により、n
−型のドリフト層(SiC層)12を形成する。次に、図示しないp型のガードリング領域18(
図5)をp型不純物のイオン注入により形成する。
【0067】
次に、n
−型のドリフト層12上に、第1のマスク材30を形成する。第1のマスク材30は、例えば、CVD法により形成されるシリコン酸化膜である。
【0068】
次に、第1のマスク材30をエッチングして、開口部を形成する。開口部の形成は、例えば、リソグラフィー法とRIE法により行う。
【0069】
次に、第1のマスク材30をマスクに、n
−型のドリフト層12をエッチングして溝を形成する(
図6(a))。溝の形成は、例えば、RIE法により行う。
【0070】
次に、第1のマスク材30をマスクにn
−型のドリフト層12内にp型不純物を注入する(第1のイオン注入)。第1のイオン注入により、p型の第1のアノード領域(第1のSiC領域)14が形成される(
図6(b))。p型不純物は、例えば、アルミニウム(Al)である。
【0071】
次に、第1のマスク材30上に、開口部の幅の半分未満の膜厚の第2のマスク材32を形成する(
図6(c))。開口部は、第2のマスク材32によって完全には埋め込まれない。
第2のマスク材32は、例えば、CVD法により形成されるシリコン酸化膜である。
【0072】
次に、第2のマスク材32をエッチングして、開口部の側面に第1の側壁42を形成する(
図6(d))。第1の側壁42の形成は、例えば、RIE法による全面エッチングにより行う。
【0073】
次に、第1のマスク材30及び第1の側壁42をマスクに、n
−型のドリフト層12(p型の第1のアノード領域14)内にp型不純物を注入する(第2のイオン注入)。第2のイオン注入により、p
+型の第2のアノード領域(第2のSiC領域)16が形成される(
図6(e))。
【0074】
次に、n
−型のドリフト層12(p
+型の第2のアノード領域16)上に、第1の金属膜36を形成する(
図6(f))。第1の金属膜36は、例えば、スパッタ法により形成される。第1の金属膜36は、例えば、ニッケル(Ni)膜である。
【0075】
次に、熱処理を行う。熱処理により第1の金属膜36とn
−型のドリフト層12(p
+型の第2のアノード領域16)を反応させてシリサイド層20を形成する。次に、未反応の第1の金属膜36を除去する(
図6(g))。未反応の第1の金属膜36は、例えば、ウェットエッチングにより行う。
【0076】
次に、第1のマスク材30と第1の側壁42の一部を除去する。この際、第1の側壁42の一部を溝の側面に残し、第2の側壁(絶縁膜)40を形成する(
図6(h))。第1のマスク材30及び第1の側壁42の一部の除去は、例えば、RIE法による全面エッチングにより行う。
【0077】
次に、図示しないフィールド酸化膜22(
図5)を形成する。フィールド酸化膜22は、例えば、CVD法により形成されるシリコン酸化膜である。フィールド酸化膜22は、シリサイド層20が露出するようパターニングされる。
【0078】
次に、n
−型のドリフト層12上及びシリサイド層20上に、第2の金属膜38を形成する(
図6(i))。第2の金属膜38は、例えば、スパッタ法により形成される。第2の金属膜38は、例えば、チタン(Ti)とアルミニウム(Al)の積層膜である。
【0079】
第2の金属膜38は、その後、パターニングされてアノード電極となる。次に、図示しないカソード電極を形成する。
【0080】
以上の製造方法により、
図5に示すMPS200が形成される。
【0081】
次に、本実施形態のMPS200の作用及び効果について説明する。
【0082】
本実施形態のMPS200では、n
−型のドリフト層12の表面とシリサイド層20の表面との距離(差分)を0.2μm以下とする。したがって、第1の実施形態のMPS100同様、アノード電極24の表面に凸部が形成されることが抑制され、デバイス不良が低減する。
【0083】
また、本実施形態の製造方法では、p型の第1のアノード領域14をイオン注入で形成する前に、n
−型のドリフト層12に溝を設ける。この工程により、シリサイド層20の表面を基板側に下げることが可能となる。
【0084】
シリサイド層20とn
−型のドリフト層12の距離が近くなりすぎると、逆バイアス時に空乏層がシリサイド層20に達し、リーク電流が増加する恐れがある。
【0085】
本実施形態のMPS200では、シリサイド層20とn
−型のドリフト層12の間に、絶縁膜40を備えることにより、逆バイアス時に空乏層がシリサイド層20に達することを防止する。また、本実施形態のMPS200の製造方法によれば、シリサイド層20の形成時に、シリサイド層20がn
−型のドリフト層12側に伸びることが抑制される。したがって、シリサイド層20とn
−型のドリフト層12の距離を、更に狭めることが可能となる。よって、本実施形態の製造方法によれば、MPSの更なる微細化の実現が可能となる。
【0086】
本実施形態のMPS200及びその製造方法によれば、シリサイド層20に起因するデバイス不良を低減することが可能となる。また、絶縁膜40を設けることでMPSの更なる微細化を実現することが可能となる。
【0087】
(第3の実施形態)
本実施形態の半導体装置は、n型のSiC基板と、SiC基板上に設けられ、第1の表面を有し、SiC基板よりもn型不純物濃度の低いn型のSiC層と、SiC層の表面に設けられるp型の第1のSiC領域と、第1のSiC領域内に設けられ、第1のSiC領域よりもp型不純物濃度の高い複数のp型の第2のSiC領域と、第2のSiC領域のそれぞれの上に設けられ、第2のSiC領域の反対側に第2の表面を有する複数のシリサイド層と、SiC層とシリサイド層に接して設けられる第1の電極と、SiC基板に接して設けられる第2の電極と、を備える。
【0088】
本実施形態の半導体装置は、p型の第1のSiC領域の幅が広い点で、第1の実施形態と異なっている。以下、第1の実施形態と重複する内容については記述を省略する。
【0089】
図7は、本実施形態の半導体装置の模式断面図である。本実施形態の半導体装置はMPSである。
【0090】
MPS300は、n
+型のカソード領域(SiC基板)10、n
−型のドリフト層(SiC層)12、p型の第1のアノード領域(第1のSiC領域)14、p
+型の第2のアノード領域(第2のSiC領域)16、p型のガードリング領域18、シリサイド層20、フィールド酸化膜22、アノード電極(第1の電極)24、及び、カソード電極(第2の電極)26を備える。
【0091】
1つのp型の第1のアノード領域14内に、複数のp
+型の第2のアノード領域16が設けられる。更に、p
+型の第2のアノード領域16のそれぞれの上にシリサイド層20が設けられれる。
【0092】
次に、本実施形態のMPS300の作用及び効果について説明する。
【0093】
図8は、比較形態の半導体装置の模式断面図である。比較形態の半導体装置はMPSである。
【0094】
比較形態のMPS900は、1つのp型の第1のアノード領域14内に、1つのp
+型の第2のアノード領域16及び一つのシリサイド層20が設けられる点で、本実施形態のMPS300と異なる。
【0095】
比較形態のMPS900は、例えば、第1の実施形態のMPS100と比較して、1つのp型の第1のアノード領域14の幅が広いことで、p型の第1のアノード領域14からの少数キャリアの注入が促進され、n
−型のドリフト層12の伝導度変調が生じやすくなる。したがって、高いサージ電流耐量を備えるMPSが実現できる。
【0096】
しかし、MPS900のように、幅の広いシリサイド層20があると、シリサイド層20形成時の体積膨張による応力が大きくなる。このため、MPSの逆バイアス時のリーク電流が大きくなる恐れがある。
【0097】
本実施形態のMPS300は、シリサイド層20が分割され、それぞれの幅が小さい。したがって、シリサイド層20形成時の体積膨張による応力の影響が低減する。よって、リーク電流の小さいMPS300が実現される。
【0098】
なお、アノード電極24の表面に凸部が形成されることを抑制し、ボンディングで生じる不良を低減させる観点から、n
−型のドリフト層12の表面(第1の表面)とシリサイド層20の表面(第2の表面)との距離(差分)を0.2μm以下とすることが望ましい。言い換えれば、SiC基板10から第2の表面までの距離とSiC基板10から第1の表面までの距離の差分が0.2μm以下であることが望ましい。n
−型のドリフト層12の表面とシリサイド層20の表面との距離(差分)は、−0.1μm以上0.1μm以下であることが望ましい。また、平坦となる0μmであることがより望ましい。
【0099】
本実施形態のMPS300によれば、シリサイド層20に起因するデバイス不良を低減することが可能となる。また、本実施形態のMPS300によれば、高いサージ電流耐量を実現することが可能となる。また、本実施形態のMPS300は、第1の実施形態と同様の方法で、複数のp
+型の第2のアノード領域16と、それぞれの上に設けられるシリサイド層20を同時形成することが可能である。したがって、MPS300の製造が容易である。
【0100】
(第4の実施形態)
本実施形態の半導体装置は、n型のSiC基板と、SiC基板上に設けられ、第1の表面を有し、SiC基板よりもn型不純物濃度の低いn型のSiC層と、SiC層の表面に設けられるp型の第1のSiC領域と、第1のSiC領域内に設けられ、第1のSiC領域よりもp型不純物濃度の高いp型の第2のSiC領域と、第2のSiC領域上に設けられ、第2のSiC領域の反対側に第2の表面を有する複数のシリサイド層と、SiC層とシリサイド層に接して設けられる第1の電極と、SiC基板に接して設けられる第2の電極と、を備える。
【0101】
本実施形態の半導体装置は、1つのp型の第1のSiC領域内に設けられるp型の第2のSiC領域が1つである点以外は、第3の実施形態と同様である。したがって、第3の実施形態と重複する内容については記述を省略する。
【0102】
図9は、本実施形態の半導体装置の模式断面図である。本実施形態の半導体装置はMPSである。
【0103】
MPS400は、n
+型のカソード領域(SiC基板)10、n
−型のドリフト層(SiC層)12、p型の第1のアノード領域(第1のSiC領域)14、p
+型の第2のアノード領域(第2のSiC領域)16、p型のガードリング領域18、シリサイド層20、フィールド酸化膜22、アノード電極(第1の電極)24、及び、カソード電極(第2の電極)26を備える。
【0104】
1つのp型の第1のアノード領域14内に、1つのp
+型の第2のアノード領域16が設けられる。そして、1つのp
+型の第2のアノード領域16上に複数のシリサイド層20が設けられれる。
【0105】
本実施形態のMPS400においても、第3の実施形態と同様の作用及び効果が実現される。
【0106】
更に、第3の実施形態と比較して、p
+型の第2のアノード領域16が広いことで、p型の第1のアノード領域14からの少数キャリアの注入が促進され、n
−型のドリフト層12の伝導度変調が生じやすくなる。したがって、更に高いサージ電流耐量を備えるMPSが実現できる。
【0107】
なお、アノード電極24の表面に凸部が形成されることを抑制し、ボンディングで生じる不良を低減させる観点から、n
−型のドリフト層12の表面(第1の表面)とシリサイド層20の表面(第2の表面)との距離を0.2μm以下とすることが望ましい。言い換えれば、SiC基板10から第2の表面までの距離とSiC基板10から第1の表面までの距離の差分が0.2μm以下であることが望ましい。n
−型のドリフト層12の表面とシリサイド層20の表面との距離(差分)は、−0.1μm以上0.1μm以下であることが望ましい。また、平坦となる0μmであることがより望ましい。
【0108】
本実施形態のMPS400によれば、シリサイド層20に起因するデバイス不良を低減することが可能となる。また、本実施形態のMPS400によれば、高いサージ電流耐量を実現することが可能となる。
【0109】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。例えば、一実施形態の構成要素を他の実施形態の構成要素と置き換え又は変更してもよい。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。