(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6363564
(24)【登録日】2018年7月6日
(45)【発行日】2018年7月25日
(54)【発明の名称】スモールフォームファクタ圧力センサ
(51)【国際特許分類】
G01L 9/00 20060101AFI20180712BHJP
H01L 29/84 20060101ALI20180712BHJP
【FI】
G01L9/00 303M
H01L29/84 B
【請求項の数】12
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-147849(P2015-147849)
(22)【出願日】2015年7月27日
(65)【公開番号】特開2016-38378(P2016-38378A)
(43)【公開日】2016年3月22日
【審査請求日】2018年6月6日
(31)【優先権主張番号】14/451,926
(32)【優先日】2014年8月5日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】506154029
【氏名又は名称】センサータ テクノロジーズ インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
(72)【発明者】
【氏名】コリー ゼット ブスケ
(72)【発明者】
【氏名】ジューン パーク
【審査官】
森 雅之
(56)【参考文献】
【文献】
特許第3994887(JP,B2)
【文献】
特許第5748554(JP,B2)
【文献】
特許第5322130(JP,B2)
【文献】
特許第6009950(JP,B2)
【文献】
米国特許第6846184(US,B2)
【文献】
米国特許第7626408(US,B1)
【文献】
米国特許第8735751(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの電気的コンタクトパッド間をオフセット接触するのに使用されるスプリングであって、当該スプリングの中央のコイル状の中心部分によりオフセットされ、かつ、接続された第1および第2のコイル状部分を有する前記スプリングと、
第1および第2のハウジング連結部品であって、第1のコイル状部分が第1のハウジング連結部品の孔に収容され、第2のコイル状部分が第2のハウジング連結部品の孔に収容され、第1および第2のハウジング連結部品が、スプリングのコイル状の中心部分で結合される、前記第1および第2のハウジング連結部品とを含む、圧力センサ。
【請求項2】
前記オフセットは、コイル状の中心部分の直径から第1および第2のコイル状部分の有効コイルの直径を減算することにより決定される概算のオフセット量を含む、請求項1に記載の圧力センサ。
【請求項3】
スプリングが圧縮されたときに発生する力が、第2のハウジング連結部品の係合する力により、正常の方向に支持されるように、第1のハウジング連結部品が設計される、請求項1に記載の圧力センサ。
【請求項4】
第1および第2のハウジング連結部品における孔が装填特徴を含み、スプリングの装填を助け、かつ、第1のコイル状部分と第2のコイル状部分の間の位置公差を調整する、請求項1に記載の圧力センサ。
【請求項5】
第1のハウジング連結部品の孔は、前記中心部分のコイル状部分を受け取る座ぐり特徴を含み、第2のハウジング連結部品の挿入前に前記スプリングを回転可能に整合させる、請求項1に記載の圧力センサ。
【請求項6】
第1のハウジング連結部品がさらに、変形可能なクラッシュリブ領域を有する噛み合わせ整合ガイドを含み、第2のハウジング連結部品からクラッシュリブを受けて、位置決めおよび回転防止を提供し、スプリングの損傷および拘束を防ぐ、請求項4に記載の圧力センサ。
【請求項7】
第1および第2のハウジング連結部品は、射出成形プラスチックである、請求項1に記載の圧力センサ。
【請求項8】
前記中心部分が、第1のハウジング連結部品および第2のハウジング連結部品によるスプリングの保持を可能にする、請求項1に記載の圧力センサ。
【請求項9】
第1および第2のハウジング連結部品にスナップフィットするように適合された、電子的モジュールアッセンブリをさらに含む、請求項1に記載の圧力センサ。
【請求項10】
電子的モジュールアッセンブリが、
支持リングと、
プリント配線板と
を含む、請求項9に記載の圧力センサ。
【請求項11】
支持リングが、感知素子に結合された1つまたは複数の歪みゲージを含む、請求項10に記載の圧力センサ。
【請求項12】
電子モジュールアッセンブリと、第1および第2のハウジング連結部品との間に位置決めされ、曲げ金属特徴によって接地される、EMCシールドをさらに含む、請求項9に記載の圧力センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、圧力センサに関し、詳細には、スモールフォームファクタ圧力センサに関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロフューズドシリコン歪みゲージ(MSG)技術を使用する圧力センサは、自動車用ブレーキシステム、自動車用スタビリティコントロールシステム、GDI燃料圧、動力伝達装置等といった、様々な機器に普及している。これらの圧力センサは概ね形状が小さい。15mmよりも小さな外径とすることのできるスモールフォームファクタMSGセンサのための好ましい設計は、部品数を最小にするために、顧客の電子機器に直接的に接続する1つのプリント配線板(PCB)を使用するのが典型的である。これらのスモールフォームファクタMSGセンサにおいて、センサPCBコンタクトパッドの位置は、歪みゲージへのワイヤボンディングを可能にするための、PCBの中心にある窓が原因で、パッケージの中心から最小の半径方向の距離に拘束されるのが一般的である。
【0003】
必要とされるのは、オフセットされたパッドを1つのスプリングと接続するための解決策である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以下は、本発明のいくつかの態様について基本的な理解を与えるための、本革新の簡単な概要を示すものである。この概要は、本発明の全容ではない。本発明の基幹部分または重要な要素を特定することも、本発明の範囲を描写することも意図していない。この唯一の目的は、後述するより詳細な説明の導入部として、簡単な形で本発明のいくつかの概念を提示することである。
【0005】
本発明は、スモールフォームファクタ圧力センサのための方法および装置を提供する。
【0006】
一般に、一態様において、本発明は、2つの電気的コンタクト間をオフセット接触するのに使用される、中央においてコイル状の中心部分によりオフセットされた第1および第2のコイル部分を有するスプリングを備える圧力センサを特徴とする。
【0007】
これらおよび他の特徴および利点は、以下の詳細な説明を読み、添付の図面を検討することにより明らかとなろう。前述の概要と以下の詳細な説明の両方は単に説明的なものであり、特許請求の範囲の態様を限定するものではないことを理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本発明は、以下の図面と共に、詳細な説明を参照することでより完全に理解されよう。
【0009】
【
図1】本願で開示する実施形態による、例示的なスモールフォームファクタMSGセンサの分解図である。
【0010】
【
図2】本願で開示する実施形態による、例示的なオフセットスプリングの図である。
【0011】
【
図3】アライメント用凹み(alignment recess)の図である。
【0012】
【
図4】本願で開示する実施形態による、組立てられたMSGセンサの断面図である。
【0013】
【
図5】オフセットスプリングの第2の実施形態を示す図である。
【0014】
【
図6】オフセットスプリングの第3の実施形態を示す図である。
【0015】
【
図7】オフセットスプリングの第4の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、主題の革新が図面を参照して説明される。図面では、類似の参照番号は、全体を通して類似の要素に言及するのに使用される。以下の説明では、説明目的で、本発明の十分な理解を与えるために、多数の具体的な詳細が説明される。しかしながら、本発明がこれらの具体的な詳細なしで実施できることが明らかである。その他の例では、よく知られた構造およびデバイスが、本発明の説明を容易にするためにブロック図の形で示される。
【0017】
以下の説明において、「または(あるいは(or))」という語は、排他的な「または」というよりも、包括的な「または」を意味することを意図している。すなわち、そうでないと特定されない限り、または文脈から明らかでない限り、「Xは、AまたはBを用いる」は、任意の自然な包括的置換を意味することを意図している。すなわち、XがAを用いるならば、XはBを用い、またはXはAとBの両方を用い、それゆえ、「Xは、AまたはBを用いる」は、前述の例のいずれかを満たす。さらに、対象の明細書および添付の図面で使用される冠詞「a」および「an」は、そうでないと特定されない限り、または単数形に定められると文脈から明らかでない限り、「1つまたは複数」を意味すると一般に解するべきである。
【0018】
図1に示すように、例示的なスモールフォームファクタMSGセンサ10は、上部スプリングガイドハウジング15を備える。
図1に示す実施形態において、上部スプリングガイドハウジング15は、4つの孔(ボア)20、25、30、35を備える。1つの具体的な実施形態では、各孔は円柱状である。他の実施形態では、各孔は、後述の、1つまたは複数のオフセットスプリングの様々な形状を収容するように、他の形状をとることができる。
【0019】
センサ10は、4つのオフセットスプリング40、45、50、55を備え、各オフセットスプリングが、それぞれ上部オフセットセグメント60、65、70、75、それぞれ中心部分80、85、90、95、および下部オフセットセグメント100、105、110、115を有する。1つの具体的な設計において、中心部分80、85、90、95は、円形である。上部オフセットセグメント60、65、70、75は、上部スプリングガイドハウジング15のそれぞれ4つの孔20、25、30、35内に位置決めされるように配向される。
【0020】
センサ10は、下部スプリングガイドハウジング120を備える。下部スプリングガイドハウジング120は、4つの孔125、130、135、140を備える。下部オフセットセグメント100、105、110、115は、下部スプリングガイドハウジング120のそれぞれ4つの孔125、130、135、140内に位置決めされるように配向される。
【0021】
下部オフセットセグメント100、105、110、115を位置決めするのを促進するように、4つの孔125、130、135、140のそれぞれは、近位端に形成された、アライメントおよびフィーディング部(alignment and feeding portion)150、155、160、165を備える。以下で説明するように、各アライメントおよびフィーディング部150、155、160、165は、テーパー付けされた形に成形されて、下部オフセットセグメント100、105、110、115のそれぞれの適切な配向および整合を提供する。
【0022】
センサ10は、EMCシールド170を備える。EMCシールド170は、EMCシールド170それ自体から板バネを作る、折り曲げられた金属特徴(bent metal feature)172、174により接地される。熱かしめの二次的な取付けが、経時的にシールドの位置を確実にするのに用いられる。EMCシールド170は、電磁両立性のパフォーマンス向上のためにファラデーケージをつくる。EMCシールド170は、外部ハウジングが電磁コンプライアンスシールドとして機能する必要性をなくす。さらに、EMCシールド170を内部に作ることにより、電磁コンプライアンスは、プリント配線板の利用可能な実装領域を削減することなく改善される。EMCシールド170を内部に作ることは、PCBの直径を最大化し、かつ、遮蔽を提供する。
【0023】
センサ10は、支持リング177およびプリント配線板(PCB)180を有する電子モジュールアセンブリ(EMA)175を備える。下部スプリングガイドハウジング120に結合されると、下部オフセットセグメント100、105、110、115のそれぞれの端部は、PCB180上に位置されたコンタクトパッド185、190、195、200と係合する。
【0024】
完全に組立てられると、上部スプリングガイドハウジング15、下部スプリングガイドハウジング120、EMCシールド170およびEMA175は、相互に連結(インターロック)または結合されて、組立センサ10を形成する。上部スプリングガイドハウジング15に位置されたガイド300は、支持リング175に直接的に整合するように構成される。一実施形態では、ガイド300にスナップフィットおよびクラッシュリブが組み込まれて、積上げ公差を減少させ、すなわち、スプリングの位置決めを改善する。
【0025】
図2に示すように、オフセットスプリングのそれぞれ、例えばオフセットスプリング40は、上部オフセットセグメント60、中心部分80および下部オフセットセグメント100を備える。上部オフセットセグメント60および下部オフセットセグメント100は、コイル状の中心部分80によって相互に連結された、より小さな径のコイル状の構造である。上部オフセットセグメント60の上部先端250は、顧客装置(図示せず)のパッドと接触するように設計され、下部オフセットスプリング100の下部先端255は、PCB180上に位置されたコンタクトパッド185と接触するように設計される。
【0026】
図3に示すように、下部スプリングガイドハウジング120の4つの孔125、130、135、140のそれぞれ、例えば孔125は、アライメントおよびフィーディング部150を備える。例として、センサ10の組立ての間に、下部オフセットセグメント100は、孔125内に入れられる。オフセットスプリング40が正確に位置決めされるのを確実にするために、その中心部分80は、凹んだアライメントおよびフィーディング部150に置かれるように落下する。これは、オフセットスプリング40が回転するのを防止し、また、PCB180上に位置されたコンタクトパッドとの適切な接触のため、かつ、顧客装置(図示せず)のパッドと上部オフセットスプリング60の適切な接触のため、下部オフセットセグメント100を位置決めする。より具体的には、アライメントおよびフィーディング部150は、上部スプリングガイドハウジング15の取付けの前に、オフセットスプリング40を回転可能に整合するようにコイル状の中心部分80を受けるカウンターボア(座ぐり)である。
【0027】
図4に示すように、例示的な組立てMSGセンサ200の断面図は、2つのパッド222、225の間をオフセット接触するのに使用される、中央のコイル状の中心部分80によりオフセットされた2つのコイル状の部分60、100を有するスプリング40を備える。オフセット量は、大きな中心部分の直径から有効コイルの直径を減算することによって決定される。スプリング40は、2つのプラスチックピース15、120を有するセンサ200に組立てられ、スプリング40の各有効部分は一方の側に保持される。2つのプラスチックパーツ15、120はオフセットスプリングインターフェース80で接合する。
【0028】
プラスチックコンポーネント15、120は、スプリング40が圧縮される際に発生する力が、係合する力(mating force)によって正常方向に支持されるように設計される。すなわち、スプリング40の下部有効部分100は、上部プラスチックスプリングガイドインターフェースを圧迫し、上部有効スプリング部分60は、下部プラスチックガイドインターフェースを圧迫する。
【0029】
プラスチックコンポーネント15、120内の孔は、スプリングの装入を促進するように、かつ、有効部分60、100の間の位置公差を調整するように、装填(フィードイン)特徴を含む。さらに、第1のプラスチックリテイナー15は、第2のプラスチックリテイナー120を取り付ける前に、スプリングを回転可能に整合させるように、中心のコイル状部分80を受けるカウンターボア特徴を含む。一実施形態では、変形可能なクラッシュリブを有する噛み合わせ特徴(keyed feature)が備えられ、プラスチックガイド(
図1および
図3において300と番号付される)の相対運動によるスプリングの損傷または拘束を防ぐために、位置決めおよび回転防止を提供する。
【0030】
本発明の圧力センサは、オフセットスプリングが円形のコイル状の中心部分を含むものと説明してきたが、他の実施態様は、孔の、それぞれのアライメントおよびフィーディング部に対応する修正形態を有する、代替的なオフセットスプリング構造を含むことができる。
【0031】
例えば、
図5に示す通り、一実施態様では、オフセットスプリング300は、一方向に巻かれた中心部分305を備える。
【0032】
別の実施形態では、
図6に示すように、オフセットスプリング400は、絡まりをなくすように、中心部分405に完全な巻きを備える。
【0033】
さらに別の実施形態では、
図7に示すように、オフセットスプリング500は、2重の直径をなくす中心部分505を備える。
【0034】
いくつかの実施形態は、それらの派生物とともに「一実施形態(one embodiment)」または「実施形態(an embodiment)」という表現を用いて説明できる。これらの用語は、実施形態に関連して述べられた特定の特徴、構造または特性が、少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。本明細書の様々な箇所における「一実施形態では(において)」という句の出現は、必ずしも全てが同一の実施形態を参照するのではない。
【0035】
本発明を、その好ましい実施形態に関して特に表し説明してきたが、形状または細部の様々な変更が、添付の特許請求の範囲によって規定される本願の精神および範囲から逸脱することなく成され得ることを当業者は理解するであろう。このような変形形態は、本願の範囲に含まれると意図される。このように、本願の実施形態の前述の説明は、限定的であることを意図していない。むしろ、本発明に対するあらゆる限定は、以下の特許請求の範囲に示される。