【実施例】
【0010】
本実施例では、グラビア印刷機に供給するインキの粘度を調整する粘度コントローラ1を例示して説明する。
図1は、粘度コントローラ1と、印刷機の一部とを図示している。印刷機は、印刷用のインキを貯留するインキ皿201と、版胴であるシリンダ210と、圧胴であるシリンダ212とを備えている。シリンダ210とシリンダ212との間にシート状の印刷対象物214を通過させることによって、インキ皿201のインキを印刷対象物214に印刷することができる。インキ皿201には、粘度コントローラ1からインキが供給され、余剰のインキはインキ皿201から排出されてサブタンク202に貯留される。粘度コントローラ1は、サブタンク202からインキを吸入し、必要に応じてインキに希釈用溶剤を追加してその粘度を調整して、再びインキ皿201に供給する。
【0011】
粘度コントローラ1は、インキ循環機構11と、溶剤供給機構13と、注油機構15と、制御機構17とを備える。インキ循環機構11は、サブタンク202からインキを吸入する吸入管110と、インキ皿201にインキを吐出する吐出管112と、インキを循環する循環ポンプ114とを含む。インキ循環機構11全体がインキの通路となる。吸入管110と吐出管112は、循環ポンプ114を介して接続されている。循環ポンプ114を駆動させることによって、吸入管110からインキが吸入され、このインキは循環ポンプ114を通過して吐出管112からインキ皿201に吐出される。循環ポンプ114は、エア駆動式のダイアフラムポンプであり、循環ポンプ114に接続された気体配管116から供給される気体によって駆動される。本実施例では、気体配管116は圧縮空気を供給するエア配管であり、気体配管116に設置されたレギュレータ180によって所定圧力に調整された空気が粘度コントローラ1に供給される。レギュレータ180と循環ポンプ114の間には流量調整弁184が設けられている。粘度コントローラ1は制御パネル170を備えており、作業者は、制御パネル170を操作することによって制御機構17に指示を出すことができる。
【0012】
溶剤供給機構13は、インキ希釈用の希釈用溶剤を貯留する溶剤タンク130と、溶剤タンク130と吸入管110とを接続する溶剤供給路132と、溶剤供給路132に設けられた電磁弁134と、粘度検知機構136とを備える。粘度検知機構136は、循環ポンプ114の作動圧力の脈動数を検知して電磁弁134の開閉を制御する圧力スイッチである。循環ポンプ114はダイアフラムポンプであり、循環ポンプ114を通過するインキの粘度が高くなると、循環ポンプ114の吸入・吐出負荷が大きくなり、 粘度検知機構136が検知する循環ポンプ114の脈動数が小さくなる。粘度検知機構136は、検知した循環ポンプ114の脈動数が予め設定された所定の脈動数以上の場合には電磁弁134を閉とし、検知した循環ポンプ114の脈動数が予め設定された所定の脈動数未満の場合には電磁弁134を開とする。インキの粘度が高くなって循環ポンプ114の脈動数が小さくなり電磁弁134が開の状態になると、溶剤タンク130から希釈用溶剤が吸入管110に流入する。これによって、循環ポンプ114に流入するインキが希釈されて、その粘度が低下し、循環ポンプ114の脈動数が所定の脈動数以上となると、粘度検知機構136によって電磁弁134が閉じられる。作業者が制御パネル170によって通常運転を選択すると、インキ循環機構11によって、印刷機と粘度コントローラ1との間でインキが循環し、溶剤供給機構13によって、粘度コントローラ1から印刷機に供給されるインキの粘度が一定に維持される。
【0013】
気体配管116は、レギュレータ180と流量調整弁184の間において分岐しており、電磁弁380を介して分岐管382に接続している。分岐管382は、注油機構15に接続している。循環ポンプ114の駆動源となる気体配管116から供給される圧縮空気を利用して、注油機構15を作動させることができる。注油機構15は、注油管384に接続している。注油管384は、流量調整弁184と循環ポンプ114との間において気体配管116に接続されている。制御機構17は、電磁弁380を制御して注油機構15への圧縮空気の供給を制御する。
【0014】
図2〜4に示すように、注油機構15は、潤滑油4を貯留するタンク31と、タンク31の下方に設けられたシリンダ32と、シリンダ32の内側に摺動可能に嵌挿されているピストン33とを備えている。シリンダ32は、円筒部320と、先端部321と、終端部323とを含む。先端部321および終端部323は、シリンダ32の円筒部320に内挿されている。シリンダ32の先端部321は、注油管384を介して、循環ポンプの気体配管116に接続している。注油管384には逆止弁386が設けられており、気体配管116からシリンダ32内に圧縮空気が侵入することが防止される。終端部323にはピストン33のロッド部332が貫通している。先端部321の外周に沿って設けられたシール部材344によって先端部321と円筒部320とは封止されている。終端部323の外周に沿って設けられたシール部材346によって終端部323と円筒部320とは封止されている。ピストン33の外周に沿って設けられたシール部材342,343によってピストン33とシリンダ32の円筒部320とは封止されている。終端323の内周に沿って設けられたシール部材347によって終端部323とピストン33のロッド部332とは封止されている。先端部321の内周に沿ってシール部材345が設けられており、ピストン33の先端部331の外周に沿ってシール部材341が設けられている。ピストン33の先端部331は、シリンダ32の先端部321の内側に嵌合する形状および大きさであり、
図3に示すようにピストン33を押し込むと、ピストン33の先端部331がシリンダ32の先端部321に内挿され、シール部材341,345によってピストン33の先端部331とシリンダ32の先端部321とは封止される。
【0015】
タンク31は、貯留部310と、貯留部310の底面に開口する連通孔312を備えている。シリンダ32の上方には連通孔325、326が設けられている。連通孔325は、シリンダ32の先端321の近傍においてシリンダ32内に開口している。連通孔326はシリンダ32の終端323の近傍においてシリンダ32内に開口している。シリンダ32の連通孔325はタンク31の連通孔312を介して貯留部310内に連通している。シリンダ32の連通孔326は、分岐管382に連通している。
【0016】
制御機構17は、電磁弁380を制御して、分岐管382から注油機構15のシリンダ32内への圧縮空気の供給を制御する。シリンダ32内に圧縮空気が供給されない場合には、
図2,4に示すように、ピストン33はシリンダ32の終端部323まで引かれた状態となる。シリンダ32内に圧縮空気が供給される場合には、
図3に示すように、ピストン33は、その先端部331がシリンダ32の先端部321まで押し込まれた状態となる。ピストン33と、シリンダ32の円筒部320および先端部321とによって囲まれたシリンダ室350に潤滑油4が充填されている状態でピストン33を押し込むと、注油管384および気体配管116を介して循環ポンプ114に潤滑油4を注油することができる
【0017】
図2は、シリンダ室350に空気が入った状態でタンクに潤滑油4を供給した状態を示している。電磁弁380は閉じられており、ピストン33は、シリンダ32の終端部323まで引かれた状態である。
【0018】
図2の状態から電磁弁380を開くと、
図3に示すように、ピストン33はシリンダ32の先端部321まで押し込まれた状態となる。この際に、シリンダ室350内の空気は、連通孔325および連通孔312を介してタンク31の貯留部310内に抜け、気泡5となって貯留部310の上方に移動する。潤滑油4は、シリンダ室350から貯留部310内に抜けた空気と入れ替わってシリンダ室350および連通孔325内に満たされる。
図3の状態から電磁弁380を閉じると、
図4に示すように、ピストン33はシリンダ32の終端部323まで引かれた状態となる。これによって、タンク31からシリンダ室350に潤滑油4が引き込まれる。シリンダ32がタンク31の下方に設けられ、シリンダ室350がタンク31の貯留部310内に連通しているため、潤滑油4が下降してシリンダ室350内に移動し易く、ピストン33を押し込むことで容易にシリンダ室350内の空気を潤滑油4と入れ替えることができる。
図4の状態から電磁弁380を開くと、ピストン33は、その先端部331がシリンダ32の先端部321まで押し込まれた状態となり、シリンダ室350内の潤滑油4を循環ポンプ114に注油することができる。
【0019】
上記のとおり、本実施例の粘度コントローラ1では、シリンダ32は、タンク31の下方に設けられ、シリンダ室350がタンク31の貯留部310内に連通している。このため、
図2に示すようにシリンダ室350内に空気が侵入した状態でタンク31に潤滑油4を補充した場合であっても、ピストン33を押し込むことによって、シリンダ室350内の空気を上方のタンク31内に容易に移動させて、タンク31内からシリンダ室350内に下降する潤滑油4と入れ替えることができる。このため、シリンダ室350内に空気が侵入した状態で潤滑油4をタンク31に補充した場合であっても、作業者が手作業でシリンダ室350内の空気を抜く作業を行う必要がなく、自動的かつ速やかに循環ポンプ114への注油を開始することができる。