特許第6363571号(P6363571)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6363571
(24)【登録日】2018年7月6日
(45)【発行日】2018年7月25日
(54)【発明の名称】粘度コントローラ
(51)【国際特許分類】
   B41F 33/00 20060101AFI20180712BHJP
   B41F 31/02 20060101ALI20180712BHJP
【FI】
   B41F33/00 230
   B41F31/02 A
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-179379(P2015-179379)
(22)【出願日】2015年9月11日
(65)【公開番号】特開2017-52226(P2017-52226A)
(43)【公開日】2017年3月16日
【審査請求日】2017年7月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】515214763
【氏名又は名称】Viscon Japan株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113664
【弁理士】
【氏名又は名称】森岡 正往
(74)【代理人】
【識別番号】100144118
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 由美
(74)【代理人】
【識別番号】110001324
【氏名又は名称】特許業務法人SANSUI国際特許事務所
(73)【特許権者】
【識別番号】516083520
【氏名又は名称】得水(上海)印刷科技発展有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100113664
【弁理士】
【氏名又は名称】森岡 正往
(72)【発明者】
【氏名】松岡 豊
(72)【発明者】
【氏名】板垣 尚樹
【審査官】 亀田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−013227(JP,A)
【文献】 特開平08−323961(JP,A)
【文献】 特開2002−029029(JP,A)
【文献】 特開2002−339873(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0128820(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41F 33/00
B41F 31/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷機に供給するインキの粘度を調整する粘度コントローラであって、
前記インキを吸入する吸入管と該インキを吐出する吐出管と該インキを循環する循環ポンプと該循環ポンプの駆動源となる気体の供給がなされる気体配管とを有するインキ循環機構と、
該インキの粘度を検知して該インキを希釈する希釈用溶剤を該インキ循環機構に供給する溶剤供給機構と、
該循環ポンプに潤滑油を供給する注油機構とを備え、
該注油機構は、該潤滑油を貯留するタンクと、該タンクの下方に設けられたシリンダと、該シリンダの内側に摺動可能に嵌挿されているピストンとを備え、
該シリンダの先端は、該循環ポンプに接続しており、
該シリンダ内は、該タンク内に連通している粘度コントローラ。
【請求項2】
前記ピストンは、前記気体配管から供給される空気によって作動される請求項1に記載の粘度コントローラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷機に供給するインキの粘度を調整する粘度コントローラに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、グラビア印刷機に供給するインキの粘度を調整する粘度コントローラが開示されている。この粘度コントローラは、インキを循環させる循環ポンプと、インキの粘度を測定する測定経路を備えている。グラビア印刷機のインキ皿の余分なインキは、循環ポンプによって粘度コントローラに吸入され、測定経路によってその粘度が測定される。インキの粘度が高い場合には、粘度コントローラ内でインキに溶剤が加えられて、粘度が調整されたインキが再びグラビア印刷機のインキ皿に供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−13227号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
循環ポンプを効率よく作動させるために、粘度コントローラには、循環ポンプに潤滑油を供給する注油機構が設けられる。注油機構の潤滑油が空になると、注油機構内の配管等に気体が侵入することがある。この場合、注油機構が潤滑油を十分に注油できなくなるため、作業者が手作業で注油機構内から気体を抜く必要があった。
【0005】
本発明は、上記の実情に鑑みてなされたものであって、循環ポンプに注油する注油機構を備えた粘度コントローラにおいて、注油機構内等に侵入した気体を抜くことを作業者が手作業で行うことなく自動的かつ速やかに潤滑油の供給を開始することが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、印刷機に供給するインキの粘度を調整する粘度コントローラを提供する。該粘度コントローラは、前記インキを吸入する吸入管と該インキを吐出する吐出管と該インキを循環する循環ポンプと該循環ポンプの駆動源となる気体の供給がなされる気体配管とを有するインキ循環機構と、該インキの粘度を検知して該インキを希釈する希釈用溶剤を該インキ循環機構に供給する溶剤供給機構と、該循環ポンプに潤滑油を供給する注油機構とを備える。該注油機構は、該潤滑油を貯留するタンクと、該タンクの下方に設けられたシリンダと、該シリンダの内側に摺動可能に嵌挿されているピストンとを備える。該シリンダの先端は、該循環ポンプに接続しており、該シリンダ内は、該タンク内に連通している。
【0007】
本発明の粘度コントローラは、インキを循環する循環ポンプに潤滑油を供給する注油機構を備える。注油機構は、潤滑油を貯留するタンクと、タンクの下方に設けられたシリンダと、シリンダの内側に摺動可能に嵌挿されているピストンとを備える。シリンダの先端は循環ポンプに接続しており、シリンダ内はタンク内に連通しているため、ピストンを引くことでシリンダ内にタンク内の潤滑油を引き込むことができ、さらにピストンを押すことでシリンダ内の潤滑油を循環ポンプに送ることができる。シリンダは、タンクの下方に設けられ、その内側がタンク内に連通しているため、シリンダ内に気体が侵入した状態でタンクに潤滑油を補充した場合であっても、ピストンを押し込むことによってシリンダ内の気体は上方のタンク内に抜けて、タンク内からシリンダ内に下降する潤滑油と入れ替わる。このため、作業者が手作業で気体を抜く作業を行う必要がなく、自動的かつ速やかに循環ポンプへの注油を開始することができる。
【0008】
前記ピストンは、前記気体配管から供給される空気によって作動されてもよい。循環ポンプの駆動源となる気体の供給がなされる気体配管を利用して、ピストンを作動させて注油を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例の粘度コントローラの概略図である。
図2】注油機構の概略図であり、シリンダ内に気体が入った状態でタンクに潤滑油を補充した状態を示している。
図3】注油機構の概略図であり、図2の状態からピストンを押し込んだ後の状態を示している。
図4】注油機構の概略図であり、図3の状態からピストンを引いた後の状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0010】
本実施例では、グラビア印刷機に供給するインキの粘度を調整する粘度コントローラ1を例示して説明する。図1は、粘度コントローラ1と、印刷機の一部とを図示している。印刷機は、印刷用のインキを貯留するインキ皿201と、版胴であるシリンダ210と、圧胴であるシリンダ212とを備えている。シリンダ210とシリンダ212との間にシート状の印刷対象物214を通過させることによって、インキ皿201のインキを印刷対象物214に印刷することができる。インキ皿201には、粘度コントローラ1からインキが供給され、余剰のインキはインキ皿201から排出されてサブタンク202に貯留される。粘度コントローラ1は、サブタンク202からインキを吸入し、必要に応じてインキに希釈用溶剤を追加してその粘度を調整して、再びインキ皿201に供給する。
【0011】
粘度コントローラ1は、インキ循環機構11と、溶剤供給機構13と、注油機構15と、制御機構17とを備える。インキ循環機構11は、サブタンク202からインキを吸入する吸入管110と、インキ皿201にインキを吐出する吐出管112と、インキを循環する循環ポンプ114とを含む。インキ循環機構11全体がインキの通路となる。吸入管110と吐出管112は、循環ポンプ114を介して接続されている。循環ポンプ114を駆動させることによって、吸入管110からインキが吸入され、このインキは循環ポンプ114を通過して吐出管112からインキ皿201に吐出される。循環ポンプ114は、エア駆動式のダイアフラムポンプであり、循環ポンプ114に接続された気体配管116から供給される気体によって駆動される。本実施例では、気体配管116は圧縮空気を供給するエア配管であり、気体配管116に設置されたレギュレータ180によって所定圧力に調整された空気が粘度コントローラ1に供給される。レギュレータ180と循環ポンプ114の間には流量調整弁184が設けられている。粘度コントローラ1は制御パネル170を備えており、作業者は、制御パネル170を操作することによって制御機構17に指示を出すことができる。
【0012】
溶剤供給機構13は、インキ希釈用の希釈用溶剤を貯留する溶剤タンク130と、溶剤タンク130と吸入管110とを接続する溶剤供給路132と、溶剤供給路132に設けられた電磁弁134と、粘度検知機構136とを備える。粘度検知機構136は、循環ポンプ114の作動圧力の脈動数を検知して電磁弁134の開閉を制御する圧力スイッチである。循環ポンプ114はダイアフラムポンプであり、循環ポンプ114を通過するインキの粘度が高くなると、循環ポンプ114の吸入・吐出負荷が大きくなり、 粘度検知機構136が検知する循環ポンプ114の脈動数が小さくなる。粘度検知機構136は、検知した循環ポンプ114の脈動数が予め設定された所定の脈動数以上の場合には電磁弁134を閉とし、検知した循環ポンプ114の脈動数が予め設定された所定の脈動数未満の場合には電磁弁134を開とする。インキの粘度が高くなって循環ポンプ114の脈動数が小さくなり電磁弁134が開の状態になると、溶剤タンク130から希釈用溶剤が吸入管110に流入する。これによって、循環ポンプ114に流入するインキが希釈されて、その粘度が低下し、循環ポンプ114の脈動数が所定の脈動数以上となると、粘度検知機構136によって電磁弁134が閉じられる。作業者が制御パネル170によって通常運転を選択すると、インキ循環機構11によって、印刷機と粘度コントローラ1との間でインキが循環し、溶剤供給機構13によって、粘度コントローラ1から印刷機に供給されるインキの粘度が一定に維持される。
【0013】
気体配管116は、レギュレータ180と流量調整弁184の間において分岐しており、電磁弁380を介して分岐管382に接続している。分岐管382は、注油機構15に接続している。循環ポンプ114の駆動源となる気体配管116から供給される圧縮空気を利用して、注油機構15を作動させることができる。注油機構15は、注油管384に接続している。注油管384は、流量調整弁184と循環ポンプ114との間において気体配管116に接続されている。制御機構17は、電磁弁380を制御して注油機構15への圧縮空気の供給を制御する。
【0014】
図2〜4に示すように、注油機構15は、潤滑油4を貯留するタンク31と、タンク31の下方に設けられたシリンダ32と、シリンダ32の内側に摺動可能に嵌挿されているピストン33とを備えている。シリンダ32は、円筒部320と、先端部321と、終端部323とを含む。先端部321および終端部323は、シリンダ32の円筒部320に内挿されている。シリンダ32の先端部321は、注油管384を介して、循環ポンプの気体配管116に接続している。注油管384には逆止弁386が設けられており、気体配管116からシリンダ32内に圧縮空気が侵入することが防止される。終端部323にはピストン33のロッド部332が貫通している。先端部321の外周に沿って設けられたシール部材344によって先端部321と円筒部320とは封止されている。終端部323の外周に沿って設けられたシール部材346によって終端部323と円筒部320とは封止されている。ピストン33の外周に沿って設けられたシール部材342,343によってピストン33とシリンダ32の円筒部320とは封止されている。終端323の内周に沿って設けられたシール部材347によって終端部323とピストン33のロッド部332とは封止されている。先端部321の内周に沿ってシール部材345が設けられており、ピストン33の先端部331の外周に沿ってシール部材341が設けられている。ピストン33の先端部331は、シリンダ32の先端部321の内側に嵌合する形状および大きさであり、図3に示すようにピストン33を押し込むと、ピストン33の先端部331がシリンダ32の先端部321に内挿され、シール部材341,345によってピストン33の先端部331とシリンダ32の先端部321とは封止される。
【0015】
タンク31は、貯留部310と、貯留部310の底面に開口する連通孔312を備えている。シリンダ32の上方には連通孔325、326が設けられている。連通孔325は、シリンダ32の先端321の近傍においてシリンダ32内に開口している。連通孔326はシリンダ32の終端323の近傍においてシリンダ32内に開口している。シリンダ32の連通孔325はタンク31の連通孔312を介して貯留部310内に連通している。シリンダ32の連通孔326は、分岐管382に連通している。
【0016】
制御機構17は、電磁弁380を制御して、分岐管382から注油機構15のシリンダ32内への圧縮空気の供給を制御する。シリンダ32内に圧縮空気が供給されない場合には、図2,4に示すように、ピストン33はシリンダ32の終端部323まで引かれた状態となる。シリンダ32内に圧縮空気が供給される場合には、図3に示すように、ピストン33は、その先端部331がシリンダ32の先端部321まで押し込まれた状態となる。ピストン33と、シリンダ32の円筒部320および先端部321とによって囲まれたシリンダ室350に潤滑油4が充填されている状態でピストン33を押し込むと、注油管384および気体配管116を介して循環ポンプ114に潤滑油4を注油することができる
【0017】
図2は、シリンダ室350に空気が入った状態でタンクに潤滑油4を供給した状態を示している。電磁弁380は閉じられており、ピストン33は、シリンダ32の終端部323まで引かれた状態である。
【0018】
図2の状態から電磁弁380を開くと、図3に示すように、ピストン33はシリンダ32の先端部321まで押し込まれた状態となる。この際に、シリンダ室350内の空気は、連通孔325および連通孔312を介してタンク31の貯留部310内に抜け、気泡5となって貯留部310の上方に移動する。潤滑油4は、シリンダ室350から貯留部310内に抜けた空気と入れ替わってシリンダ室350および連通孔325内に満たされる。図3の状態から電磁弁380を閉じると、図4に示すように、ピストン33はシリンダ32の終端部323まで引かれた状態となる。これによって、タンク31からシリンダ室350に潤滑油4が引き込まれる。シリンダ32がタンク31の下方に設けられ、シリンダ室350がタンク31の貯留部310内に連通しているため、潤滑油4が下降してシリンダ室350内に移動し易く、ピストン33を押し込むことで容易にシリンダ室350内の空気を潤滑油4と入れ替えることができる。図4の状態から電磁弁380を開くと、ピストン33は、その先端部331がシリンダ32の先端部321まで押し込まれた状態となり、シリンダ室350内の潤滑油4を循環ポンプ114に注油することができる。
【0019】
上記のとおり、本実施例の粘度コントローラ1では、シリンダ32は、タンク31の下方に設けられ、シリンダ室350がタンク31の貯留部310内に連通している。このため、図2に示すようにシリンダ室350内に空気が侵入した状態でタンク31に潤滑油4を補充した場合であっても、ピストン33を押し込むことによって、シリンダ室350内の空気を上方のタンク31内に容易に移動させて、タンク31内からシリンダ室350内に下降する潤滑油4と入れ替えることができる。このため、シリンダ室350内に空気が侵入した状態で潤滑油4をタンク31に補充した場合であっても、作業者が手作業でシリンダ室350内の空気を抜く作業を行う必要がなく、自動的かつ速やかに循環ポンプ114への注油を開始することができる。
【符号の説明】
【0020】
1 粘度コントローラ
11 インキ循環機構
13 溶剤供給機構
15 注油機構
17 制御機構
31 タンク
32 シリンダ
33 ピストン
110 吸入管
112 吐出管
114 循環ポンプ
116 気体配管
図1
図2
図3
図4