(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記充填クロマトグラフ用カラムが、その後の、前記ポリヌクレオチドを含む溶出が実行される精製工程において使用するためのサンプル適用条件、又はそれに近い条件に平衡化される、請求項1に記載の方法。
電気陰性度が、前記負に帯電した多孔質粒子に、カルボキシル、スルホ、又はフォスファー(phosphor)部分からなる群から選択される部分によって、部分的に与えられる、請求項1に記載の方法。
前記負に帯電した多孔質粒子の少なくとも1つが、イオン交換、疎水性の相互作用、水素結合、π−π相互作用、及び金属キレート化からなる群から選択される、1以上の副次的な化学的な官能性を備える、請求項1に記載の方法。
前記混入物質分離作用物質が、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、及びポリブチレングリコールからなる群から選択される非イオン性の有機ポリマーである、請求項14又は15に記載の方法。
前記混入物質分離作用物質が、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジメチルスルホキシド、エタノール、及びフェノキシエタノールからなる群から選択される有機溶媒である、請求項15に記載の方法。
前記混入物質分離作用物質が、トゥイーン(Tween)、トリトン(triton)、CHAPS、CHAPSO、及びオクチルグルコシドからなる群から選択される界面活性剤である、請求項15に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0008】
ある実施形態において、本発明は、独立に若しくは立体的な排除と組み合わせて細孔からの静電的な反発の力により、又は細孔からの立体的な排除により単独でポリヌクレオチドが実質的に粒子間の空間(すなわち粒子間又は空所)に制限され得る、負に帯電した多孔質粒子で充填されたカラムに関する。これは、もし、もっぱら空隙空間を通らないとするなら、ポリヌクレオチドに、実質的にカラムを通過させる。立体的な排除は、特に、細孔内の負に帯電したリガンドの形状によって発揮される物理的な抵抗を克服しないように防ぐ条件下でポリヌクレオチドが細孔空間に入れないメカニズムに関する。塩、非イオン性の、及び双性イオンの種を含む、タンパク質の汚染の多く(ポリヌクレオチドが生成された宿主細胞により生じるものを含む)及び細胞培地成分は、どんな特定の理論にも縛られることなく、カラムを通るそれらの輸送を遅らせ、カラムを素通りする緩衝液としてのより速い移動性のポリヌクレオチドからそれらを分離させることが信じられている粒子の細孔に入れる。酸性の不純物は、電気的陰性の表面に結合されることによって、さらに遅延させ得る。
【0009】
サンプル条件にかかわりなく、ほとんどの不純物の化学的な性質にかかわりなく、及びポリヌクレオチドのカラムの通過を押し進めるサンプルの適用の直後に適用される緩衝液の組成物にかかわりなく、この方法が、とりわけ、ポリヌクレオチドの有効な分取を可能にするということが見出された。ある実施形態において、広い範囲の条件(pH、塩濃度、電気伝導率など)で実施されてもよく、それゆえ、それらの条件が、ポリヌクレオチドの産生及び精製の過程で、本発明の方法に先行した又は後の処理と組み合わせて、本発明の方法の都合のよい効率で選択されてもよいことが本発明の利点である。ある実施形態において、これらの唯一の実施上の特徴及び結果は、カラム内の負に帯電した粒子の粒子間の容量を超過しない容量に、サンプルの適用を制限することによって成し遂げられてもよい。加えて、いくつかの実施形態において、前記方法は、非多孔質粒子、膜、又はモノリスを含む負に帯電した物質の他の類型が適用されず、分散された負に帯電した多孔質若しくは非多孔質粒子、又はサンプル内の可溶性の負に帯電したポリマーによって適用されない。むしろ、本発明のいくつかの実施形態において、前記方法は、多孔質粒子の充填されたカラムで実施される。ある実施形態において、本発明は、粒子間の空間を通る輸送は拡散性というよりはむしろ対流性であるため、多孔質粒子で充填されたカラムを用いるポリヌクレオチド精製の他の方法に対して非常に有利である。これは、前記方法が、他の粒子カラムの方法より高い流量で有効に実施されることを可能にし、より高い生産性に変える。
【0010】
カラムが、ポリヌクレオチドが保持され、又はそれらの追加の官能性によってかなり遅延されることが生じない条件に平衡化される限り、本発明のある実施形態の生来の分取能力が、カラム床内の粒子上に追加の表面官能性を含むことによって高められることがさらに発見される。そのような官能性は、これらに限定されないが、正の荷電基、疎水性の基、π−π結合基、水素結合基、又は金属キレート化基を含んでもよい。これらの追加の官能性は、負の荷電基と同じ化学的部分、負の荷電基と同じ多孔質粒子、又は多孔質又は非多孔質である異なる粒子に存在してもよい。結局、追加の粒子の含有により副次的な官能性が追加され、適用されうるサンプルの容量が、カラムにおいて負に帯電した多孔質粒子だけの間に存在し得る粒子間の空間に対応する容量に制限され得る。この容量は、カラム内の負に帯電した多孔質粒子の重力で安定した容量の40%と概算できるが、もし粒子床が物理的に圧縮されているならば、それより小さく、実験により定量的に測定できる。
【0011】
ある実施形態において、前記方法によって与えられる精製の程度は、ポリヌクレオチドと会合されることになり得る不純物の分離を促進するための作用物質でサンプルを前処置することによって高めることができる。そのような作用物質は、特に、高められた濃度の塩、尿素、アミノ酸、非イオン性の有機ポリマー、有機溶媒、及び界面活性剤などを含む種々の分離作用物質を含む。ある実施形態において、6Mまでの濃度でのカオトロピック塩グアニジンは、特に、新たに均質化された細胞又は他の複合調剤からのポリヌクレオチドの分離に有用である。分離作用物質は、日常的な方法の実施の間、サンプルにおいて、他の小分子で除去される。これは、本発明の2つの利点を強調する、第一は、Bind−Elute及び素通り画分モードにおいて、サンプルの条件がイオン交換クロマトグラフィを実施するのに完全に好適でない場合でも、カラムが動作し得る条件にサンプルの事前の平衡化を必要としないことであり、第二は、サンプルの組成物が何であれ、カラムを平衡化するために使用される緩衝液にサンプルを溶出させ、これにより、ポリヌクレオチドの精製と併用して緩衝液の交換を達成することである。
【0012】
ある実施形態において、本発明は、
(i)負に帯電した多孔質粒子を含む充填クロマトグラフ用カラムを供給する工程、
(ii)サンプル中のポリヌクレオチドが溶出できる条件に、カラムを平衡化する工程、
(iii)カラムに適用するサンプルの容量が、カラム内の負に帯電した多孔質粒子間の空間以下であるようなカラムと、サンプルが接触する工程、及び
(iv)カラムからポリヌクレオチドを溶出させる工程
を含む、ポリヌクレオチドを含有するサンプルを精製するための方法を提供し、
ポリヌクレオチドが、より純粋な状態、且つ、カラムが平衡化された条件にある。
【0013】
前述の実施形態において、ポリヌクレオチドの種類は、ゲノムのポリヌクレオチド、ポリヌクレオチド断片、又はポリヌクレオチドプラスミドであってもよい。ポリヌクレオチドは、天然又は組み換え由来であってもよい。
【0014】
前述の実施形態のそれぞれの1以上において、サンプルは、予め未精製であってもよい。
【0015】
前述の実施形態のそれぞれの1以上において、サンプルは、本発明を実施する前に濃縮されていてもよい。
【0016】
前述の実施形態のそれぞれの1以上において、サンプルは、限外濾過によって濃縮されていてもよい。
【0017】
前述の実施形態のそれぞれの1以上において、サンプルは、中間のレベル、又は高いレベルの純度に事前の精製の工程を行っていてもよい。
【0018】
前述の実施形態のそれぞれの1以上において、サンプルの中間のレベルの純度は、約40%〜約90%の範囲、又はそれより高い純度であってもよい。
【0019】
前述の実施形態のそれぞれの1以上において、サンプルの高いレベルの純度は、約90%以上であってもよい。
【0020】
前述の実施形態のそれぞれの1以上において、サンプルの容量は、充填クロマトグラフ用カラム内の負に帯電した多孔質粒子の粒子間の空間の90%未満であってもよい。
【0021】
前述の実施形態のそれぞれの1以上において、サンプルの容量は、充填クロマトグラフ用カラム内の負に帯電した多孔質粒子の粒子間の空間の80%未満であってもよい。
【0022】
前述の実施形態のそれぞれの1以上において、サンプルの容量は、充填クロマトグラフ用カラム内の負に帯電した多孔質粒子の粒子間の空間の70%未満であってもよい。
【0023】
前述の実施形態のそれぞれの1以上において、サンプルの容量は、充填クロマトグラフ用カラム内の負に帯電した多孔質粒子の粒子間の空間の60%未満であってもよい。
【0024】
前述の実施形態のそれぞれの1以上において、サンプルの容量は、充填クロマトグラフ用カラム内の負に帯電した多孔質粒子の粒子間の空間の50%未満であってもよい。
【0025】
前述の実施形態のそれぞれの1以上において、サンプルの容量は、充填クロマトグラフ用カラム内の負に帯電した多孔質粒子の粒子間の空間の0.1%未満であってもよい。
【0026】
前述の実施形態のそれぞれの1以上において、充填クロマトグラフ用カラムは、負に帯電した多孔質粒子単独で充填されてもよく、サンプルの容量は充填クロマトグラフ用カラムの容量の40%未満であってもよい。
【0027】
前述の実施形態のそれぞれの1以上において、サンプル適用条件は、およそ2〜およそ9の範囲のpHを含んでもよい。
【0028】
前述の実施形態のそれぞれの1以上において、充填クロマトグラフ用カラムは、およそ4〜およそ8のpHに平衡化されてもよい。
【0029】
前述の実施形態のそれぞれの1以上において、充填クロマトグラフ用カラムは、約4.5〜約6.0のpHで、緩衝液で平衡化されてもよい。
【0030】
前述の実施形態のそれぞれの1以上において、サンプル適用条件は、およそ0.1mS/cm〜およそ250mS/cmの範囲に電気伝導率の値を含む。
【0031】
前述の実施形態のそれぞれの1以上において、充填クロマトグラフ用カラムは、およそ0.1mS/cm〜およそ30mS/cmの電気伝導率の値に平衡化されてもよい。
【0032】
前述の実施形態のそれぞれの1以上において、充填クロマトグラフ用カラムは、約0.1〜約15mS/cmの電気伝導率の値に平衡化されてもよい。
【0033】
前述の実施形態のそれぞれの1以上において、充填クロマトグラフ用カラムは、約4.5のpH及び約1mS/cm未満の非ゼロ電気伝導率の値で、緩衝液で平衡化されてもよい。
【0034】
前述の実施形態のそれぞれの1以上において、充填クロマトグラフ用カラムは、その後の、溶出が実行される精製工程のための、サンプル適用条件、又はそれに近い条件に平衡化されてもよい。
【0035】
前述の実施形態のそれぞれの1以上において、負に帯電した多孔質粒子はカチオン交換粒子である。
【0036】
前述の実施形態のそれぞれの1以上において、カチオン交換粒子は、電気的陰性、カルボキシル基、スルホ基、又はホスホリル基からなる群から選択される部分によって提供される少なくとも一部の電気的陰性を有する。
【0037】
前述の実施形態のそれぞれの1以上において、電気的陰性は、負に帯電した部分の複数種類によって付与されてもよい。
【0038】
前述の実施形態のそれぞれの1以上において、電気的陰性は、副次的な反応性を与える他の官能性と組み合わせて、カルボキシル、スルホ、又はホスホ基を含む複合のリガンドによって付与されてもよい。そのような実施形態において、負に帯電したリガンドが金属配位に寄与する強い能力を示すように、電気的陰性は少なくとも1つのアミノ基と組み合わせて、1以上のカルボキシルを含む複合のリガンドによって付与されてもよい。そのようなリガンドの例は、イミノ二酢酸、又はリトリロ酢酸があり得る。別のそのような実施形態において、複合のリガンドは、1以上の負電荷に、直接的に又は間接的に、共有結合された芳香族又は脂肪族の疎水性の基を含んでもよい。
【0039】
前述の実施形態のそれぞれの1以上において、充填クロマトグラフ用カラムは、電気的陰性の多孔質粒子に加えて、他の粒子をさらに含む。
【0040】
前述の実施形態のそれぞれの1以上において、電気的陰性の多孔質粒子、又は他の粒子のうちの少なくとも1つは、イオン交換、疎水性の相互作用、水素結合、π−π相互作用、及び金属キレート化からなる群から選択される1以上の副次的な化学的官能性を含む。
【0041】
前述の実施形態のそれぞれの1以上において、前記方法は、充填クロマトグラフ用カラムとサンプルが接触する工程より前に、分離作用物質の1以上の種類とサンプルが接触する追加の工程をさらに含んでもよい。その分離作用物質の目的は、非特異的に会合し得る不純物から、ポリヌクレオチド種を分解することである。
【0042】
前述の実施形態のそれぞれの1以上において、分離作用物質は有機溶媒であってもよい。
【0043】
前述の実施形態のそれぞれの1以上において、分離作用物質はエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ジメチルスルホキシド、グリセロール、エタノール、又はイソプロパノールであってもよい。
【0044】
前述の実施形態の1以上において、分離作用物質は、非ゼロの量から、0.1%以上、1%以上、10%以上、又は20%以上までの範囲の濃度で存在してもよい。
【0045】
前述の実施形態の1以上において、分離作用物質は、非ゼロ濃度から、8M以上、例えば0.5M以上、1M以上、2M以上、4M以上、6M以上までの、尿素のようなカオトロープであってもよい。
【0046】
前述の実施形態の1以上において、分離作用物質は界面活性剤であってもよい。
【0047】
前述の実施形態の1以上において、界面活性剤は、トリトン(Triton)若しくはトゥイーン(Tween)若しくはブリジ(Brij)のような非イオン性の界面活性剤;又はCHAPS、CHAPSO、又はオクタグルコシドのような双性イオンの界面活性剤であってもよい。
【0048】
前述の実施形態の1以上において、界面活性剤は、0.1%未満の濃度で、サンプル中に存在してもよい。
【0049】
前述の実施形態の1以上において、分離作用物質は、尿素又はソルビトールのような水素結合切断物質であってもよい。
【0050】
前述の実施形態の1以上において、分離作用物質は、アルギニン、リジン、又はヒスチジンのようなアミノ酸であってもよい。
【0051】
前述の実施形態の1以上において、アミノ酸は、非ゼロから500mMまでの範囲の濃度であってもよい。
【0052】
前述の実施形態の1以上において、分離作用物質は、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、トリス(2−アミノエチル)アミン(TREN)、又はデフェロキサミンのようなキレート剤であってもよい。
【0053】
前述の実施形態の1以上において、キレート剤は、非ゼロから50mMまでの範囲の濃度であってもよい。
【0054】
前述の実施形態のそれぞれの1以上において、前記方法は、充填クロマトグラフ用カラムとサンプルが接触する工程より前に、塩の1以上の種類とサンプルが接触する追加の工程をさらに含んでもよい。その塩の目的は、非特異的に会合し得る不純物から、ポリヌクレオチド種を分離することである。
【0055】
前述の実施形態のそれぞれの1以上において、サンプルに添加する塩は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、又は他のいわゆる天然の塩からなってもよい。
【0056】
前述の実施形態のそれぞれの1以上において、サンプルに添加する塩は、グアニジンのようなカオトロピック塩からなってもよい。
【0057】
前述の実施形態のそれぞれの1以上において、塩は、非ゼロから2M以上、例えば50mM以上、100mM以上、200mM以上、500mM以上、1M以上までの範囲の濃度であってもよい。
【0058】
前述の実施形態のそれぞれの1以上において、混入物質は、金属イオン、タンパク質、脂質、内毒素、ウイルス、細胞培地成分、ヌクレオチドの不要な種、又はこれらの組み合わせであってもよい。
【0059】
前述の実施形態のそれぞれの1以上において、サンプルは1以上の不純物を含有してもよく、ポリヌクレオチドのより純粋な状態は、本願明細書に開示される方法を実施したその結果としてのサンプルとの比較において、そのような不純物の含有量が低減されている。
【0060】
キットは、前述の実施形態の何れかに従った方法の簡便な実施のために提供されてもよい。
【0061】
ある実施形態において、前記粒子間の空間はサンプルの容量のおよそ2倍より大きい。ある実施形態において、多孔質の負に帯電した粒子を含有するカラムの一部の粒子間の空間は、サンプルの容量より大きい。ある実施形態において、負に帯電した多孔質粒子単独で充填されたカラムが有するサンプルの容量は、充填されたカラムの容量の約40%以下であり;ある実施形態において、負に帯電した多孔質粒子及びその他の粒子で充填されたカラムが有するサンプルの容量は、カラムにおいて、重力沈降した負に帯電した多孔質粒子の容量の約40%以下である。
【0062】
ある実施形態において、カラムに充填された負に帯電した多孔質粒子の粒子間の空間は、およそ、サンプルと同じ容量であり、又はサンプルの容量より10%大きく、又はサンプルの容量より20、30、40、50、60、70、80、90、又は100%大きく、又はサンプルの容量の1.5若しくは2若しくは2.5若しくは3若しくは4若しくは5倍以上大きい。
【0063】
ある実施形態において、カラムは、カラムとサンプルが接触する工程より前に、平衡化緩衝液で平衡化される。そのような実施形態において、カラムは、およそ3〜およそ9のpHに平衡化される。そのような実施形態において、カラムは、約4〜約6.0のpHで、緩衝液で平衡化される。そのような実施形態において、カラムは、約4.5〜約5.5のpHで、緩衝液で平衡化される。ある実施形態において、カラムは、およそ1mS/cm〜およそ30mS/cmの電気伝導率の値に、平衡化される。ある実施形態において、カラムのpH、塩の濃度、及び電気伝導率の条件は、負に帯電した多孔質粒子と、ポリヌクレオチド以外のサンプルからの成分との間の静電的な相互作用が実質的に停止されるように選択される。平衡化緩衝液及び/又は溶出緩衝液のpH、塩の濃度、及び電気伝導率の条件は、本発明のある実施形態において、負に帯電した多孔質粒子と、所望のタンパク質以外のサンプルからの成分との静電的な相互作用が実質的に停止されるように選ばれてもよい。ある実施形態において、平衡化したカラムの電気伝導率は約0.1〜約15mS/cmである。ある実施形態において、カラムは、その後の、溶出が実行される精製工程のためのサンプル適用条件、又はそれに近い条件に平衡化されてもよい。
【0064】
ある実施形態において、サンプルの条件は、およそ3のpH〜およそ10のpHの範囲に及んでもよい。そのような実施形態において、サンプルの電気伝導率の値は、およそ0.1mS/cm〜およそ250mS/cmの範囲に及んでもよい。ある実施形態において、サンプルの条件は、およそ2のpH〜およそ10のpHの範囲に及んでもよく、ある実施形態において、サンプルの条件の電気伝導率の値は、およそ0.1mS/cm〜およそ250mS/cmの範囲に及んでもよい。
【0065】
ある実施形態において、溶出の条件は、およそ2のpH〜およそ10のpHの範囲に及んでもよい。そのような実施形態において、サンプルの直後に適用された緩衝液の電気伝導率は、およそ0.1mS/cm〜およそ250mS/cmの範囲に及ぶ。ある実施形態において、サンプルの直後に適用された緩衝液は、サンプル又は平衡化緩衝液より低い電気伝導率を有する。ある実施形態において、サンプルの直後に適用された緩衝液は、サンプル又は平衡化緩衝液より高い電気伝導率を有する。
【0066】
ある実施形態において、カラム平衡化の緩衝液は、添加された塩が無い酢酸の20mM以下の濃度により仲介されるような、約5.0のpH、及び1mS/cm未満の電気伝導率であってもよい。いくつかの実施形態において、酢酸塩の濃度は約20mM〜約50mMの範囲であってもよい。
【0067】
ある実施形態において、サンプルの直後に適用される緩衝液は、平衡化緩衝液と同じ組成物を有してもよい。ある実施形態において、サンプルの後に適用される緩衝液は、平衡化緩衝液と異なる組成物を有してもよい。ある実施形態において、サンプルの直後に適用される緩衝液は、負に帯電した粒子と結合し得る正に帯電した物質の除去の目的を有する、平衡化緩衝液よりさらに高い電気伝導率であってもよい。
【0068】
ある実施形態において、過剰の塩又は他の添加剤は、後の使用サイクルに備えて、カラムを洗浄するためにサンプルに含まれてもよい。前記手法によって達成される純度の増加及び/又は凝集体の低減の結果と共に、そのような添加剤は、ポリヌクレオチドと不純物種との非特異性の相互作用を分離する有益な効果を仲介してもよいことが理解される。
【0069】
ある実施形態において、負に帯電した多孔質粒子はカチオン交換粒子である。そのような実施形態において、カチオン交換粒子は、カルボキシル基、スルホ基、ホスホ基、イミノ二酢酸基、又はニトリロ酢酸基のような部分によって部分的に付与される電気的陰性を有する。ある実施形態において、カラムは、負に帯電した多孔質粒子に加えて、粒子を含有する。ある実施形態において、負に帯電した多孔質粒子、及び追加の粒子のうちの少なくとも1つは、カチオン交換、疎水性の相互作用、水素結合、π−π相互作用、及び金属キレート化からなる群から選択される1以上の副次的な化学的官能性を有する。
【0070】
ある実施形態において、前記手法は、ネットワークが強い正電荷を欠く溶質の侵入を、物理的に邪魔する又は妨げるように、粒子の細孔内に荷電基の緻密なネットワークを形成する、いわゆるグラフト化リガンドを活用する。
【0071】
ある実施形態において、前記手法は、ポリヌクレオチドの実際の侵入を妨げる細孔径を有する、負に帯電した多孔質粒子のクロマトグラフィ媒体を利用する。ポリヌクレオチド粒子の侵入を防ぐのに役立つ、例となる細孔径は、ポリヌクレオチドの大きさに依存して、それらの小片の間の如何なる値も含み、約10nm〜約100nmの範囲を含む。当業者は、これらに限定されないが、1、2、3、4、5、6、7、8、又は9nmを含む10nm未満の細孔径も採用されてもよいということはわかるであろう。同様に、当業者なら、それらの小片間の如何なる値も含み、これらに限定されないが、120、150、200、300、及び500nmを含む、100nmよりも大きい細孔径も採用されてもよいということもわかるであろう。当業者は、精製されるポリヌクレオチドを基にした細孔径の適切な選択を認識するだろう。そのような多孔質粒子は、全体サンプル容量、又はそれらのより小さい如何なる部分も構成要素となる。
【0072】
ある実施形態において、本発明は、カラムとサンプルが接触する工程よりも前に、分離作用物質とサンプルが接触する追加の工程を提供する。そのような実施形態において、分離作用物質は塩、有機溶媒、又は有機ポリマー、水素結合切断物質、カオトロープ、界面活性剤、又はキレート剤であってもよい。
【0073】
ある実施形態において、本発明は、カラムとサンプルが接触する工程よりも前に、複数の分離作用物質とサンプルが接触する追加の工程を提供する。そのような実施形態において、分離作用物質は、分離作用物質の以下の分類の何れかの複数、又は異なる分類からの作用物質の組合せを含んでもよく、その分類は、例えば:塩、有機溶媒、又は有機ポリマー、水素結合切断物質、カオトロープ、界面活性剤、又はキレート剤、を含む。
【0074】
そのような実施形態において、分離作用物質は、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、及びポリブチレングリコールからなる群から選択される非イオン性の有機ポリマーである。そのような実施形態において、分離作用物質は、およそ500Da以下の平均分子質量を有する。そのような実施形態において、分離作用物質は、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジメチルスルホキシド、エタノール、及びグリセロールからなる群から選択される有機溶媒である。そのような実施形態において、分離作用物質は、およそ1%(w/v)以上の濃度で提供される。
【0075】
ある実施形態において、分離作用物質は、トゥイーン(Tween)、トリトン(triton)、CHAPS、CHAPSO、及びオクチルグルコシドからなる群から選択される界面活性剤である。そのような実施形態において、界面活性剤は、およそ1%(w/v)以下の非ゼロ濃度、又はおよそ0.1%(w/v)以下の非ゼロ濃度で提供される。
【0076】
ある実施形態において、本発明は、カラムとサンプルが接触する工程より前に不溶性の固質を除去する追加の工程を含む方法を提供する。
【0077】
ある実施形態において、本発明は、1以上の不純物を含有するサンプルにおける方法を提供し、前記方法の実施によるポリヌクレオチドのより純粋な状態は、サンプルと比較して、そのような不純物の含有量が低減されている。例えば、いくつかの実施形態において、不純物はタンパク質であり、タンパク質の濃度は10倍超、又は20倍超、又は50倍超、又は90倍超、又は95倍超低減されてもよい。
【0078】
ある実施形態において、浄化されたがまだ未精製であるサンプルは、負に帯電した粒子にさらされることにより、本発明の実施前に、酸性の不純物を高度に除去することの目的のため、ポリヌクレオチドがそれらの粒子により実質的に非結合化されるとの条件下に置かれる。そのような実施形態において、負に帯電した粒子は、例えば、サンプル容量全体の約2〜5%の量で(v:v)、直接的にサンプルへ添加される。そのような実施形態において、負に帯電した粒子は、疎水性の相互作用又は金属配位に関与する能力のような副次的な官能性を含む。このような実施形態において、この実施は、本発明の実施に使用される負に帯電したカラム充填粒子とポリヌクレオチドの相互作用に干渉し得るサンプルの成分を除去することにより、本発明の実施性能を改良することが理解されるだろう。そのような実施形態において、この処理は、限外濾過によるポリヌクレオチドの濃縮よりも前に実施される。そのような実施形態の他の実施形態において、この処理は、限外濾過の工程と組み合わせることなく実施されてもよい。そのような実施形態の他の実施形態において、この処理は、限外濾過によるポリヌクレオチドの濃縮の後に実施される。最初の場合において、限外濾過の工程の実施性能が潜在的に改良されることが理解されるだろう。最後の場合において、処理プロセスの量、及び酸性の不純物を高度に捕捉除去するために必要とされる負に帯電した粒子の量が低減されることが理解されるだろう。何れの場合においても、中間工程は、本発明による処理より前に粒子を除去する前に加えられてもよい。
【0079】
ある実施形態において、本発明は、本発明の実施に必要な物質のいくつか、又は全てを、好ましくは、本発明の方法の実施に都合のよい量及び濃度で含む、本発明の方法の簡便な実施のためにキットを提供する。そのようなキットは、キットにおいて提供される物質の使用説明書も含んでいてもよい。
【0080】
以下の用語は、本発明がより容易に理解されるために定義される。追加の定義は、詳細な説明の全体にわたって説明される。
【0081】
「カラム平衡化」は、クロマトグラフィ媒体で充填されたカラムにおいて、所望の緩衝液の安定した、均等な分布が達成されていることに関する。平衡では、カラムの排出口で測定される、溶離液のpH、電気伝導率、及びUV吸収は、カラムの注入口で導入されている溶離液と、実質的に等しいものである。
【0082】
「カラム容量」は、通常、カラムと呼ばれる円筒形の装置内に充填された粒子の全量に関する。カラム容量との用語は、一般的に、空隙容量として知られる粒子間の空間、細孔容積として知られる細孔内の容量、及びマトリクス容量として頻繁に言及されている粒子の固形マトリクスにより満たされる容量の3つの部分からなる、いわゆる全カラム容量に相当すると理解される。
【0083】
「電気伝導率の値」は、電気を伝導する電解質溶液の能力に関する。電解質の溶液の電気伝導率は、例えば、所定の距離で隔てられた2電極間の溶液の抵抗を測定することにより測定され得る。電気伝導率の値は、最も一般的にcmに対するミリジーメンス(mS/cm)として表される。
【0084】
「不純物」は、ポリヌクレオチドの純度を低減させる、望まれない無機の又は有機の実体の何れに関する。不純物は、実に様々な条件を超えて安定なままであるポリヌクレオチドと凝集体を形成できる実体を含む。本発明の方法は、ポリヌクレオチドが会合されている不純物からポリヌクレオチドを回収するための、そのような凝集体の有効な分離作用を提供できる。例となる不純物は、特に、タンパク質を含むが、ポリヌクレオチド、細胞内容物、細胞培地成分なども含む。
【0085】
「負に帯電した多孔質粒子」又は「負に帯電した多孔質粒子」は、ほぼ球形でもよく、又は球形でなくてもよく、如何なる大きさの細孔も有してもよい不溶性の固質に関する。如何なる粒子も、10ミクロン未満〜100ミクロン超の範囲に及ぶ大きさでもよく、平均細孔径は10nm未満(細孔)〜100nm超(マクロ孔)の範囲に及んでもよい。粒子の電気的陰性は、これらに限定されないが、弱いイオン交換基、カルボキシル若しくはホスホ基、スルホ基、又は実効負電荷を有する多峰性部分のような、強いイオン交換基、又は前述の組合せを含む化学基により付与されてもよい。負に帯電した表面に多峰性の特性を形成する、副次的な官能性は、負に帯電した又は正に帯電した荷電基、疎水性の基、π−π結合基、水素結合基、又は金属キレート化基からなってもよい。副次的な官能性は、生成材料、若しくは粒子が合成されるプロセスの意図しない副生成物として、電気的陰性の粒子に存在してもよく、又は意図的な設計によって存在してもよい。副次的な官能性の濃度は、1ミリ当量/mL未満〜100ミリ当量/mL超の範囲に及んでもよい。負に帯電した多孔質粒子との用語は、カチオン交換体とも呼ばれる、市販の多孔質粒子クロマトグラフィの物質を含み、及びいわゆる、電気的陰性である複合モードクロマトグラフィの物質を含んでもよい。
【0086】
「粒子間の容量」又は「空隙容量」は、粒子それ自身によって満たされてないカラム内の容量;粒子間の空間に関する。これは、カラムの空隙容量として頻繁に言及される。同様の大きさのおよそ球形の粒子のため、機械的手段によって、物理的に圧縮されず、粒子が重力で安定されるとき、空隙容量は、典型的には、それらの粒子で充填されたカラムの約40%を構成する。
【0087】
「細孔容積」は、多孔質粒子の細孔内の容量に関する。細孔は、細孔の壁に主に分布される陽性荷電基で、物理的に妨害されなくてもよく、又は細孔内に存在するポリマーのネットワーク上、又は中に分布される陽性荷電基で部分的に妨害されてもよい。細孔が部分的に妨害される場所において、外見上の妨害の程度は、抗体若しくは他のサンプルの成分の帯電特性によって、及び/又はpH及び電気伝導率のような緩衝液の条件の関数として変化し得る。
【0088】
「非イオン性有機ポリマー」は、荷電基を欠く、結合された繰返しの有機サブユニットからなる、天然に存在する又は合成の炭化水素に関する。直鎖、いくつかの分岐鎖を備え支配的に直鎖、又は支配的に分岐鎖であってもよい。本発明を実施するための好適な例は、これらに限定されないが、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール、及びポリビニルピロリドン(PVP)を含む。PEGは、構造式HO−(CH
2−CH
2−0)
n−Hを有する。例としては、これらに限定されないが、100ダルトン未満〜1000ダルトン超の範囲に及ぶ平均ポリマー分子質量を有する組成物を含む。
【0089】
「分離作用物質」は、精製され得るポリヌクレオチドからの不純物の分離を促進することにより、コンタミネーション(contamination)を低下させることに役立つ、低減できる有機又は非有機化合物、又は他の試薬と併用するものに関する。有機の分離作用物質は、これらに限定されないが、ウレイド、アミノ酸、非イオン性の有機ポリマー、有機溶媒、キレート剤、及び界面活性剤などを含める。無機の分離作用物質は、特に塩を含む。
【0090】
「有機溶媒」は、液体状態で存在する天然に存在する又は合成の有機化合物に関する。本発明を実施するための好適な例は、これらに限定されないが、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロール、ジメチルスルホキシド、エタノール、及びフェノキシエタノールを含む。
【0091】
「ポリヌクレオチド」は、鎖内に共有結合された、複数のヌクレオチド単量体からなるバイオポリマーに関する。DNA(デオキシリボ核酸)及びRNA(リボ核酸)がポリヌクレオチドの例である。ポリヌクレオチドの例は、これらに限定されないが、ゲノムDNA、cDNA、二本鎖DNA(dsDNA)、一本鎖DNA(ssDNA)、メッセンジャーRNA(mRNA)、低分子干渉RNA(siRNA)、マイクロRNA(miRNA)などを含む。ポリヌクレオチドは、水素結合の形成に高い傾向を有する。そのようなポリヌクレオチドは、本発明によって処理できる何れの大きさ及び形状の範囲で生じ得る。ポリヌクレオチドは、一本鎖、二本鎖、又は三本鎖となり得る。
【0092】
ポリヌクレオチドは、チオリン酸塩骨格のような非天然の骨格を有するもの、又は非天然の塩基類を組み込むものを含む、非天然のポリヌクレオチドも含んでもよい。ポリヌクレオチドは、また、ペプチド核酸(PNA)を含んでもよい。
【0093】
「タンパク質」は、炭素、水素、酸素、窒素、及び通常は硫黄を含有し、主として、ペプチド結合により繋がったアミノ酸の1以上の鎖からなる有機高分子の複合体のグループの何れに関する。タンパク質は、天然の又は組み換え由来であってもよい。タンパク質は、グリコシル化、ペグ化、又は他の化学的部分との接合を経たような非アミノ酸部分で変性されてもよい。タンパク質の例は、これらに限定されないが、抗体、凝血因子、酵素、及びペプチドホルモンを含む。
【0094】
「ポリヌクレオチド製剤」は、細胞含有細胞培養収集物(harvest)、(実質的に)無細胞の細胞培養上清、又は精製の段階から注目するポリヌクレオチドを含有する溶液のような、注目するポリヌクレオチドを含有する、水性の又は主に水溶液の何れに関する。
【0095】
「サンプル適用条件」は、所望のタンパク質を含有するサンプルが適用される方法に関し、例えば、サンプル濃度、溶離液電気伝導率、pHなどを含む。サンプル適用条件は、一般的に、後に続く精製のために、カラムが平衡化される条件に合わせるか、又はそのような条件と区別してもよい。
【0096】
「固体物質」は、自然状態で、微粒子、結晶性、重合体、線維性、多孔質中空の線維性、一体的、又は膜質であってもよい、不溶性の有機の固体に関する。非多孔質若しくは多孔質の粒子、多孔質膜、多孔質のフィルター、又は多孔質のモノリスからなってもよい。微粒子であれば、粒子はほぼ球状又はそうでなくてもよく、100nm未満〜100ミクロン超の範囲に及ぶ大きさであってもよい。多孔質粒子の平均細孔径は、約10nm未満(細孔性)〜約100nm超(マクロ孔性)の範囲に及んでもよい。膜における平均細孔径は、100nm未満〜1ミクロン超の範囲に及んでもよい。膜又はモノリスにおける平均チャネルサイズは、未満の1ミクロン未満〜10ミクロン超の範囲に及んでもよい。固体物質は、さらに、例えば、粒子が網状のマトリクスに埋め込まれる、膜間に挟まれる、又はその双方である複合構造からなってもよい。
【0097】
「界面活性剤」は、それらを両親媒性と呼ばせる、一般的に、疎水性の部分と親水性の部分を表す有機分子の分類のような「表面活性剤」を含む。水溶液における十分な濃度で、界面活性剤は、水との接触が最小になるように中心に集まる疎水性の部分と、水との接触が最大になるように外側に放射する親水性の部分とにより、クラスター中に自己会合できる。生物学的な調剤、とりわけ、疎水性の性質を有す、あるいは疎水性の性質の領域を有する物質を含むものの存在下で、界面活性剤の疎水性の部分は、自発的に、疎水性の物質のいくつかの部分と会合しやすく、界面活性剤の親水性の部分の影響を通して、それらの溶解性を増大させる。それらは、水溶性溶媒に溶解させた疎水性の異なる物質の双方の間に生じる疎水性の相互作用を調整するのに使用されてもよい。本発明のある実施形態を実施するのに好適な界面活性剤の例は、これらに限定されないが、ポリソルベート界面活性剤(例えば、トゥイーン(Tween)20、ポリオキシエチレン(20)モノラウリン酸ソルビタン、及びトゥイーン(Tween)80、ポリオキシエチレン(20)モノオレイン酸ソルビタン)及びトリトン(Triton)(例えば、ポリエチレングリコールp−(1、1,3,3−テトラメチルブチル)−フェニルエーテル)のような非イオン性の界面活性剤、並びにCHAPS(3−[(3−コールアミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−1−プロパンスルホン酸)、CHAPSO(3−[(3−コールアミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホン酸)、及びオクチルグルコシド(例えば、(2R,3S,4S,5R,6R)−2−(ヒドロキシメチル)−6−オクトキシオキサン(octoxyoxane)−3,4,5−トリオール)のような双性イオンの界面活性剤を含む。
【0098】
「ウレイド」は、1以上の尿素部分を含む天然又は合成由来の環状又は非環状の有機分子、又はそれらの誘導体に関する。ある実施形態において、尿素、尿酸、ヒダントイン、アラントイン(CAS番号97−59−6;アルクロキサ、アルジオキサ、ヘモキャン、ウレイドヒダントイン、5−ウレイドヒダントイン、グリオキシルウレイド、グリオキシル酸ジウレイド、2,5−ジオキソ−4−イミダゾリジニル尿素)、プリン、及びそれらの誘導体のようなウレイドを本発明は提供する。ある実施形態において、本発明は、式R−CO−NH−CO−NH
2又はR−CO−NH−CO−NH−CO−R’又はR’R”NH−CO−NR”’R””の有機分子を提供し、関連する「R−基」は、H又は任意の有機部分であってもよい。
【0099】
「空隙除外」は、粒子に存在する細孔の固有の大きさ、又は従属的に、細孔内に静電的な電荷が存在する物理的な形式、の何れかによって強いられる細孔侵入に対して、静電的に寄せ付けない、及び/又は物理的な抵抗を克服できない結果として、静電的に荷電粒子で充填されたカラムの環境の内部のサンプルの少なくとも1つの成分が、実質的に、カラムベッドの粒子間の空間内に留まることを強いられる、化学的な相互作用に関する。
【0100】
「空隙除外形態」又は「空隙除外イオンクロマトグラフィ」は、カラムに適用されたサンプルの容量は充填されたベッド内の粒子間の容量より大きく、タンパク質のような所望のサンプルの内容物は粒子の細孔へ侵入できず、これにより、空隙容量としても一般的に知られている、粒子間の空間を通って移動することが制限される、それに従って、静電的に荷電粒子が充填されたカラムで実施される分取方法に関する。空隙除外イオンクロマトグラフィの基本的な、及び独特の特徴は、サンプル条件が、静電的に荷電粒子でクロマトグラフィを実施するのに不適当であると考えられる、非常に高い塩の濃度、及びpHの値を含むために、サンプルがカラムの実施上の条件に平衡化される必要がないことである。さらに、基本的な及び独特な特徴は、分取と組み合わせて緩衝液の交換を達成するその唯一の能力を含む。空隙除外イオンクロマトグラフィにおいて、所望のタンパク質は、カラムが平衡化され、カラムに適用されるサンプル組成物から独立している緩衝液に溶出する。
【0101】
ある実施形態において、サンプルの適用よりも前にカラムが平衡化される同じ緩衝液において、ポリヌクレオチドは溶出され得る。このような実施形態において、本発明は、サンプルが存在する緩衝液を、最初の配合物から、他の方法によるその後の処理により好適な配合物に交換する目的に使用されることの利点を提供できる。ポリヌクレオチドを害することを避ける必要が無い限り、サンプルが最初に存在する緩衝液の組成物は制限されない一方、カラム平衡化の緩衝液の組成物は、ポリヌクレオチドのかなりの割合が負に帯電した粒子に結合することを生じさせるのに十分なレベルで、ポリヌクレオチドの正電荷を生成しない範囲内でなければならない。適切な平衡化条件は、負に帯電した多孔質粒子の選択、及び特定のポリヌクレオチドのある特徴に従って変化する。一般に、カラム平衡化条件は、これらに限定されないが、電気伝導率の値が0.1mS/cm未満〜30mS/cm超、及びpHの値が4.0未満〜9.0超の範囲に及んでもよい。
【0102】
ある実施形態において、不純物のレベルを低減させるための前記手法の目的がある場合に、ポリヌクレオチドが負に帯電した粒子に実質的に結合することを生じさせない、最低のpH及び/又は最低の電気伝導率を採用する利益があるだろう。最低のpH及び/又は最低の電気伝導率の目安が抗体の溶解性及び安定性の要求に従って加減され得ることが理解されるだろう。
【0103】
ある実施形態において、電気的陰性の粒子が追加の化学的官能性を備える場合、pHの値を上げること、又は前記方法を実施するために粒子の表面によりポリヌクレオチドの相互作用性を調節する添加剤を含むことを採用する必要、又は利益があり得る。最も単純なそのような多様体は、NaCl又は他の塩を添加することであってもよい。最も有効なレベルは、25mM、50mM、100mM、200mMなどのような、NaCl濃度の異なる利益を評価することによって経験的に決定され得る。一度、有効な範囲が決まると、より優れた利益で実施される後に続く実験、又はいわゆる実験計画法(DoE)のような、統計的方法の手段で洗練されてもよい。糖類、カオトロープ、有機溶媒、及び界面活性剤、などを含む他の添加剤と同様に、代わりの塩もまた考慮されてもよい。種々のpHの値と組み合わせて含む、添加剤の組合せもまた評価されてもよい。
【0104】
ある実施形態において、カラム内に存在している負に帯電した粒子は、多孔質及び非多孔質粒子の組合せ、又は異なる細孔径多孔質粒子の組合せを含むシングルタイプ又はマルチタイプであってもよい。本発明が異なる大きさの細孔を備える粒子の組み合わせを採用する場合、粒子の1つのサブセットは抗体を物理的に排除する大きさの細孔を有してもよく、一方で、別のサブセットはポリヌクレオチドを除外しない細孔径を有してもよい。そのような場合、ポリヌクレオチドを除外しないほどの大きさの細孔を備えるサブセットは、強い正電荷を欠くポリヌクレオチドによる、細孔への侵入を物理的に妨げるような、そのような方法において、リガンドを示し得る。
【0105】
ある実施形態において、本発明は、粗製サンプルから又は精製のいかなる段階でのポリヌクレオチドの最初の分取に使用されてもよく;何れの場合においても、本発明が特定のポリヌクレオチドの適用に必要とされる精製の総合的な程度を達成するために他の精製方法と組み合わせてもよいことを説明している。
【0106】
ある実施形態において、導入されるサンプルは、限外濾過によって濃縮されてもよい。
【0107】
ある実施形態において、カラムに導入するより前に、負に帯電した表面にサンプルを曝露することの利点がある。そのような曝露は、本発明の実施に使用されるカラムを汚す傾向にある電気的陽性のサンプルの成分を高度に除去することが理解されるだろうが、ポリヌクレオチドを損なうことなく汚損作用物質を除去するための特別な条件の開発を必要とし得ることも理解されるだろう。例えば、ポリヌクレオチドの結合を防ぐための十分な塩を添加することは必要であるが、ポリヌクレオチドが産生された宿主細胞からのポリヌクレオチドが詰まったタンパク質の結合を防ぐことは十分ではない。サンプルが本発明を実施するより前に曝露され得る、負に帯電した表面は、粒子、膜、繊維、モノリス、又は複合構造物を含んでもよい。
【0108】
いくつかの実施形態において、空隙除外イオンクロマトグラフィの形態において採用される、電気的陰性クロマトグラフィの媒体は、カチオン交換体、金属親和性媒体、及び多峰性クロマトグラフィ媒体からなる群から選択される1つを含み、具体例は、UNOsphere S及びUNOsphere Rapid S;UNOsphere Profinity;Capto MMC、及びその他の、前記方法を実施するのに好適な電気的陰性の粒子培地を含む。いくつかの実施形態において、電気的陰性の基を有する何れのカチオン交換媒体も役立ち得る、しかしながら、当業者は全ての電気的陰性媒体が好適ではないということを望む。正確なパラメータは、成功した媒体が完全に解明されていないことを定義する一方、当業者は、空隙除外アニオン交換クロマトグラフィにおけるその実施能力のために、特定の電気的陰性媒体を容易に排除する。多くても基礎的水準では、これは、例えば、20mLの容量を有するカラムに充填された候補のカチオン交換粒子における単純な実験で容易に達成される。粒子は、理想的には、重力で安定される、次いで、接触するが、前記床を著しく圧縮しないようにフローアダプター(flow adaptor)が取り付けられる。前記手法は、前記床が圧縮されているが、圧縮が、カラムの容量測定の能力を低下させることの直接の結果を有する粒子間の空間を低減しない、カラムで実施されてもよい。例えば、20mLの重力で安定させた床は約8mLと同じ高さのサンプル容量の収容量を有してもよいが、15mLの容量に対する前記床の25%圧縮は、重力で安定させた床における同じ媒体の15mLの収容量より低いレベルに、その収容量を低減され得る.これは提案し、及び実験的証拠が、圧縮が不釣合いに、粒子容量とは対照的に、粒子間容量を低減するその考えを支持する傾向がある。カラムが存在するクロマトグラフィシステムは、カラムの粒子間容量より大きくない、カラムに入るサンプルの容量に、前記手法が依存するから、カラムへの導入途中に著しいサンプルの希釈が生じないやり方でサンプルを運ぶように理想的に構成される。層流は、境界でサンプルを希釈することは周知である。数メートルの長さの5mLのサンプルループ(loop)の例において、カラムに入れる際のサンプルの容量は、実質的に、5mLよりも多く前記ループ(loop)内に最初に導入されてもよく、例えば7.5mL、又は10mL以上まで増大できる。いわゆるスーパーループ(superloop)を備えるシステムは、シリンダープランジャーデザイン(cylinder−plunger design)への信用によって、層流を通る過度の希釈の負荷なしで大きいサンプルの容量の適用を可能とするから、本発明を実施するのに大変都合よくできている。与えられたクロマトグラフィシステムの何れもが、種々の弁及び混合機を通過した流体の結果として、サンプル導入装置(注入装置)及びカラムの間にサンプル希釈剤の特定量を課すこと、及び一般的な事項として、特定のシステムの内部の事前のカラム希釈剤容量に対するカラム容量の比が大きいほど、機能システム希釈剤としての現在のカラムサンプル容量の相対的な増大は小さいということは、当該技術分野で通常の技術を有する人によって理解されるだろう。実際面で、大規模な使用のために設計及び設定されたクロマトグラフにおける小さいカラムを操作するこの手段は、注入装置に適用されうるサンプルの容量の深刻な副次的な制限を課するが、一方、そのようなシステムにおいて大きいカラムを操作することは、サンプルがカラムに入れられるポイントで、与えられたカラムの容量測定の限界内で存在する容量より多いサンプルを適用することをユーザーに許可するだろう。ポリヌクレオチドを含有するサンプルが事前に入れられているスーパーループを備え、ダークグリーンのピーク(peek)チューブを用いるAKTA Explorer 100のようなシステムにおける20mLの重力で詰められた、比圧縮のカラム、及び50mMの酢酸塩、pH4.0で平衡化されたカラムを用い、1mLのサンプルはカラムに充填される。チャートマークは、抗体がカラムから出始めるポイントで生成される。別のチャートマークは、サンプルと会合された小分子の通過を示している、電気伝導率が変化するポイントで生成される。マーク間の容量は、カラムの粒子間の容量の使用可能な概算値を提供する。総カラム容量に対する粒子間の容量の比が計算される。空隙除外カチオン交換クロマトグラフィの前記手法を実施するのに適したカチオン交換クロマトグラフィ媒体は、約1/2.5の比で存在するだろうが、1/2.4、1/2.3、1/2.2、1/2.1、1/2.0以下のようなより低い比で存在する媒体は、カラムに導入するサンプルの容量が、上記の結果に従って調整された容量を超過しない限り、有用な結果を提供できる。ポリヌクレオチドを用いて空隙除外カチオン交換クロマトグラフィを実施するために与えられたアニオン交換媒体の適合性を決めるために、本明細書で示唆された条件が、必ずしも最も有効な不純物の除去を達成するための条件ではなく、必ずしもポリヌクレオチドの全ての形態に最も好適な条件でもないということを理解されたい。いわゆる多峰性クロマトグラフィのために市販されるようになる追加の化学的官能性を含む電気的陰性媒体が、その与えられた媒体が空隙除外形態における吸着イオンクロマトグラフィを実施するのに好適かどうかを決定するための、異なる緩衝液の条件の評価を含むプロセス開発の追加の寸法を必要とするだろうということをさらに理解されたい。1つの例は、水素結合及び疎水性の相互作用に関わらせる官能基を組み込むことを称する、Capto MMCの商業上の名称の下で売られている、いわゆる混合形又は多峰性電気的陰性クロマトグラフィ媒体を含む。
【0109】
本発明の追加の目的及び利点は、以下の本願明細書の一部で説明され、一部は本願明細書から明らかになるだろうし、又は本発明の実施によって習得できる。本発明のその目的及び利点は、特許請求の範囲に特定された構成成分及び組合せの手段によって、理解され、達成するだろう。
【0110】
前述の一般的説明及び以下の詳細な説明の双方が模範的、及び説明的に記載されたものであり、特許請求の範囲に記載の本発明を制限するものではないということを理解されたい。
【0111】
本発明のある実施形態を使用するための調製において、カラムに関して使用できるサンプルの容量は決定されなければならない。その最も単純な形態として、カラムにおける全ての粒子が負に帯電した多孔質粒子である場合、この値は、非圧縮の重力で安定して充填されたクロマトグラフィの床の全量に0.4を乗算することにより概算されてもよい。許される最大のサンプル容量は、カラムが、中圧のpHで、低塩濃度の緩衝液に平衡化され、高塩濃度の緩衝液中のポリヌクレオチドのサンプルが適用され、次いで、追加の平衡化緩衝液を続けて用いる単純な実験により正確に決定されてもよい。280nmでのUV吸光度の増大によって示される通り、ポリヌクレオチドが溶出し始めるポイントをマークする。電気伝導率の増大によって示される通り、高塩濃度が溶出し始めるポイントをマークする。マーク間の容量は、カラムのサイクルに対するサンプル容量の最大値を表す。
【0112】
多孔質の負に帯電した粒子以外の他の追加の粒子(副次的な化学的表面を有するようなもの)を含むカラムについて、本発明のある実施形態を実施するための好適なサンプル容量は、負に帯電した多孔質粒子だけの容量を乗算することにより概算できる。前述の実験は、特に最大のサンプルを明らかにするのに応用できる。非負の粒子により占有される相対的なカラム容量に応じて、負の及び他の粒子を混合したカラムを与えるための最大のサンプル容量がもっぱら負に帯電した多孔質粒子のカラムから低減されることが明らかになるだろう。
【0113】
ある実施形態において、特定のポリヌクレオチド製剤の精製方法の開発は、負に帯電した多孔質粒子でもっぱら充填されたカラムである、最も単純な選択の評価で、一般的に始まる。適切な粒子は、いわゆるアニオン交換クロマトグラフィの前記手法を実施するための市販用のクロマトグラフィ媒体からなってもよい。数十のそのような製品は、Capto S、Capto CM、Capto MMC、S Sephadex、CM Sephadex(GEヘルスケア);GigaCap S、及びS−Toyopearl(Tosoh Bioseparations);Macroprep High−S、U Osphere S、UNOsphere Rapid S、Nuvia S、Profinity (Bio−Rad Laboratories);Eshmuno S、S Fractogel(Merck);並びにS−HyperD(Pall)を含む。そのような製品は、それらの表面における副次的な官能性、又は細孔径、又は除外限界、又はそれらの官能性を強化するためのリガンドグラフト化方法のそれらのそれぞれの使用から生じる仮想の細孔径、又は調達先から一般的に入手できるそのような情報の個性又は濃度に関して、現在、分類されていない。全てのそのような製品が複数の物理的及び化学的な官能性を含むこと、及び特定のポリヌクレオチド製剤の精製に、本質的に、最も好適であるかどうかを決定するために、複数の製品を評価するのに慎重であることは予測されるべきである。1つの実施形態において、評価は、UNOsphere S及びUNOsphere Rapid S、Capto MC、又は候補のより小さいサブセットで始めてもよい。
【0114】
与えられた任意のポリヌクレオチド、カラムが最初に平衡化されたpH及び電気伝導率の値の範囲を評価することが望ましいだろう。一般的な事項として、不純物の低減はポリヌクレオチドが溶解し安定したままである最低のpH及び最低の電気伝導率で最良である、そのため、20〜50のmMの酢酸塩、pH4.5のような適度に酸性の緩衝液の初期条件が、開始するのに都合のよい位置である。2.0と同じ低さ又は9.0より高いpHの値、及び0.1未満〜30mS/cmより大きい範囲に及ぶ電気伝導率の値を有する、より低い及びより高いpHの値は、その後評価されてもよい。
【0115】
さらなるサンプル製剤の必要がなくとも、溶出したサンプルを、後に続く精製工程に適用するのに好適にする条件を評価することは、いくつかの実施形態において、有用であるだろう。例えば、もし、溶出したサンプルが、その後、アニオン交換カラムに6.0のpHで適用されるなら、pH6.0にカラムを平衡化することが望ましいだろう。もし、溶出したサンプルが、その後、ヒドロキシアパタイトカラムに適用されるなら、中性のpHを採用し、ヒドロキシアパタイトカラムによって必要とされるレベルで、緩衝液のリン酸塩濃度を調整すること、及びEDTA又はクエン酸塩のようなキレート剤を除外することが好適であるだろう。何れにせよ、その後の分取方法との連続性のために平衡化緩衝液が選択される場合、低いpH低い電気伝導率の条件は、現在の工程において、精製の可能性が犠牲にされないことを保証することが、まだ一般的に評価されるだろう。
【0116】
特定の理論に縛られることなく、方法がサンプル組成物から実質的に独立していることが信じられている。その結果として、ある実施形態において、サンプルはポリヌクレオチド−不純物の複合体の分離作用を強めるために、様々な作用物質を、個々に又は組み合わせて、含有してもよい。
【0117】
ある実施形態において、上記の通り、サンプル中のポリヌクレオチドが分離作用物質で事前に処理されている場合;又はもし前記方法が未精製細胞培養上清のサンプルで実施されるなら、前記方法の効率は、実質的な副次的官能性を示す負に帯電した多孔質粒子を用いることによって高められてもよい。実施例は、副次的な官能性と、故意に組み合わされた正電荷を示す、多孔質粒子系の市販のクロマトグラフィ製品を含んでいてもよい。そのような媒体は、一般的に、複合モードと呼ばれる。Capto MMC(GEヘルスケア)及びNuvia cPrime(Bio−Rad Laboratories)は、疎水性の相互作用、π−π結合、及び水素結合に関わる能力を与える官能性と正電荷を組み合わせた市販の複合モードクロマトグラフィ製品の例である。同様の組合せは文献において知られており、追加の市販の参入品が期待される。平衡化緩衝液の処方が、副次的な官能性による停滞又は遅延を防ぐために、変更されてもよいことは、当該技術分野の当業者に明らかになるだろう。Capto MMC Nuvia cPrimeの場合において、例えば、カチオン交換のために売られているクロマトグラフィ媒体で必要とされているより高いpH及びより高い電気伝導率で実施する必要があるだろう。いわゆる多峰性の負に帯電した媒体の別の分類は、イミノ二酢酸又はニトリロ酢酸のような、いわゆる固定化金属アフィニティークロマトグラフィリガンド(IMAC)を含んでもよい。副次的な官能性を含むことは、しかしながら、サンプル組成物にかかわりなくサンプルを適応させる本発明の能力を損なわない。これは、高い電気伝導率でサンプルの存在下において分取を達成することを完全に不可能にする、通常の素通り画分及びBind−Elute方法との、根本的及び重要な違いである。
【0118】
ある実施形態において、サンプルが上記のような組成物を含む場合、代わりに、副次的な化学的官能性を示す明確な粒子と多孔質の負に帯電した粒子を組み合わせることは有用であり、同じカラムに2又は複数種の粒子を充填してもよい。副次的な官能性を備える粒子は多孔質であってもよく、非多孔質であってもよい。上記のように、前記方法はサンプル組成物から独立したままである。同様に、平衡化条件は、抗体と副次的な官能性との間の相互作用を無効化する必要により制限されてもよい。例えば、もし正電荷の官能性を備える粒子が存在し及び特定のポリヌクレオチドがそのような電荷と結合する強い傾向を有するなら、pHを低減させること及び/又は電気伝導率を増大させることが必要である。上記のようにこの場合における好都合なトレードオフは、1以上の副次的な官能性の含有が精製のより高い程度を可能にし得るものである。
【0119】
ある実施形態において、多孔質の負に帯電した粒子が副次的な官能性を示す明確な粒子と組み合わされた場合、副次的な官能性を示す明確な粒子は電気的陰性の粒子の床の上部で層状にされ、又は電気的陰性の粒子のカラムの直前又は直後に組み込まれ得る分離カラム内に充填される。いくつかの実施形態において、多孔質の負に帯電した粒子は副次的な官能性を有する分離粒子と混合される。
【0120】
ある代替の実施形態において、前記方法は、二次粒子が、潜在的に面倒な不純物を捕捉除去するために、事前にサンプルに直接添加され得るように実施されてもよく、次いで、粒子は、部分的に精製されたサンプルがカラムと接触されるようにサンプルから分離される。
【0121】
特定のポリヌクレオチドの精製を最適化するための粒子混合物を開発する際、副次的な官能性は、あるいは又はさらに、その所望の実施上のpHにカラムを滴定することが必要とされる、pH調整を高める及び/又は緩衝液の容量を減少させるそれらの能力に従って、選択されてもよい。例えば、アニオン交換体は、高められた電気伝導率にさらす際、制御されていない一時のpHの増加が生じることが知られている。それらは、電気伝導率が低下される際、制御されていない一時のpHの低下が生じる。これらの効果の大きさ及び期間は、工程間の電気伝導率の差異、交換体の帯電特性、及び緩衝能で変化する。カチオン交換体は、同じ問題をこうむるが、制御されていないpHの可動域の方向はアニオン交換体で生じるものの反対である。副次的な電気的陽性の官能性と初期の電気的陰性の官能性との組合せは、このように、pHの可動域の大きさ及び継続期間を低減させる。官能性の理想的な混合は、実験によって容易に決められてもよい。
【0122】
ある実施形態において、採用する官能性を備える追加の粒子は、電気的陰性の粒子とは性質が異なり、先行する電気的陰性の粒子に対し、そのような明確な粒子が混合され又はカラムに充填される場合、カラムを通過する間拡散するので、ポリヌクレオチドの分散が結果として生じる、サンプル容量において増加することの原因となる電気的陰性の粒子のみのカラムに適用される、最初のサンプル容量をその量から下げる調整をする必要がある。最初のサンプル容量の低減のその必要の程度は、もしあるなら、その基準が平衡化緩衝液内のポリヌクレオチドの溶出である、単純な実験によって容易に決定されてもよい。
【0123】
ある実施形態において、前記方法は、サンプルの適用直後に適用される緩衝液の組成物から独立している有効性のため、負に帯電した多孔質粒子の他の適用と区別される。多くの例において、多孔質粒子に結合された物質を完全に溶出することを意図する緩衝液の組成物とのサンプルの適用にすぐに続いて利点があるだろう。例えば、カラムはpH4.5で、25mMの酢酸塩に平衡化されてもよい。pH7.0で、1.0Mの塩化ナトリウムを含有する、ポリヌクレオチド含有細胞培養上清は、カラム容量の35%の容量に適用され、次いで、pH8.0、2Mの塩化ナトリウムを続けて適用する。実質的に精製されたポリヌクレオチドは、酢酸塩の緩衝液に溶出する。これは、上記の通り、ポリヌクレオチドが粒子間の空間を通ってもっぱら移動し、一方で追跡緩衝液は粒子内部の細孔空間を通って移動する必要があるために起こる。このアプローチの説得力のある効果は、不純物を溶出し及びカラムを洗浄する唯一の能力を維持し、同時に、プロセスサイクルを低減、プロセス時間を低下、及び物質の利用の実際的な利益を有することである。これは、大きいカラムでの単一サイクルというよりむしろ小さいカラムで複数のサイクルを実施することを魅力的にし、さらに物質の利用を低減させる。
【0124】
ある実施形態において、さもなければ、ポリヌクレオチドの立下りの(trailing)境界で溶出し、潜在的に過剰及び不要な程度に汚染し得るから、ポリヌクレオチドのような負に帯電した多孔質粒子の平均孔径より大きい流体力学的大きさを有する酸性の不純物の保持力を高めるために特に、サンプルの後、平衡化緩衝液、又は低い電気伝導率の緩衝液、例えば、pH4.0、20mMの酢酸塩を続けて用いることに利点があるだろう。カラムが電気的陽性の粒子の増加を含む限りでは、電気的陰性の不純物の除去の効果も高め得る。低い電気伝導率の追跡緩衝液の理想的な容量は、充填されたカラム容量の約50%で始めることが経験的に決定されてもよい。
【0125】
ある実施形態において、前記方法は、多孔質粒子におけるクロマトグラフィに一般的に用いられるものより速い流量を支持する。これは、ポリヌクレオチドが、大量輸送が対流性である粒子間の空間を通ってもっぱら移動するからであり、それゆえ、ポリヌクレオチドの一定の遅い拡散、又は流量若しくはサンプルの粘度により影響を受けない。従って、前記方法は、50〜100cm/hr以下で実施される通常の多孔質粒子のクロマトグラフィの実行に対して、1000cm/hr以上までの直線流量において高い効率で実施され得る。300cm/hrより大きい流量は、しかしながら、サンプル容量の低減を必要とするだろう。これは、細孔へ進入できる不純物の大量輸送が拡散して、流量又はサンプルの粘度の増加により効率的でなくなっているからである。過度の流量は、不純物を多孔質粒子の細孔で拡散平衡を達成するための機会の余裕がない。実験は、何れの与えられたポリヌクレオチド、及び緩衝液組成物の組合せのための理想的な流量を明らかにするだろう。
【0126】
ある実施形態において、負に帯電した多孔質粒子が他の界面化学を備える多孔質粒子のカラムに組み合わされる場合、電気的陰性の粒子だけの容量における最大のサンプル容量を基礎とすることが一般的に有用だろう。それでも、電気的陰性の表面を欠く粒子の存在がカラム内のサンプルを希釈する効果を有し得るから、最大のサンプル容量を経験的に決めることが賢明である。
【0127】
ある実施形態において、電気陰性以外の界面化学を備える粒子が、電気的陰性の粒子のカラムに直列に配列される分離カラムに充填されてもよい。そのような構成において、同じ注意点が、他の化学粒子が電気的陰性の粒子を有する同じカラム内で混合される状況について議論されるものとして適用される。
【0128】
ある実施形態において、本願明細書に開示される方法は、サンプルの調製に続いて最初の精製工程に使用されてもよい。他の実施形態において、中間体の精製に使用されてもよく、又は最後の精製に使用されてもよい。前記方法が処理における最後の工程として使用されない場合において、サンプルの不純物の低減と同時に起こる緩衝液の交換の能力によって全体の処理の連続性を容易にする能力を有することは、当業者に明らかとなるだろう。
【0129】
ある実施形態において、本発明は、他の精製方法と組み合わせて実施されてもよい。特に、サイズ排除、アニオン交換、カチオン交換、疎水性の相互作用、優先除外、ヒドロキシアパタイト、若しくは他の形態、又は複合モードクロマトグラフィ、又はアフィニティークロマトグラフィとの何れの組合せにおいても使用されてよく;沈殿、結晶化、超遠心分離法、及び水性二相分配の方法とも組み合わせてもよい。
【0130】
処理されたポリヌクレオチドを得た後に、カラムの内容物は処分されてもよい。あるいは、カラムは、追加のサイクルに使用され得るように、塩の高い濃度で洗浄され、次いで再平衡化によって初期条件に戻されてもよい。カラムは水酸化ナトリウムのような適切な作用物質で衛生的にされてもよい。
【0131】
ある実施形態において、本発明はスループットを増加することを機械化及び自動化してもよい。そのような実施形態において、例えば、前記方法は擬似移動床式クロマトグラフィを実施するために使用されるような自動化された多層カラムシステムを含む。
【実施例】
【0132】
以下の実施例は、本発明の実施における手引きのために提供される。提供される実施例が、特に、DNAの種々の精製を示す一方、当業者は、同様の条件及び原理がRNA 及び他の天然の又は非天然のポリヌクレオチドの精製に適用し得るということはわかるであろう。さらに、当業者は、適切な注意事項は、RNAのような、それらの大きい不安定性のために、いくつかのヌクレオチドで実施するのに必要であるということはわかるであろう。そのような必要な注意事項は、当業者の理解の範囲内で十分である。
【0133】
実施例1
カラムを多孔質粒子カチオン交換媒体(Nuvia S、Bio−Rad)で充填した。カラムをpH7.0で、50mMのHepesを用いて平衡化した。哺乳類の(チャイニーズハムスター卵巣(CHO))細胞を4Mのグアニジンで均質化した。物理的な破片を遠心分離により沈降した。カラム容量の20%になった4Mのグアニジンの上清を、カラムに適用し、サンプルを平衡化緩衝液で追跡した。DNAの90%超が平衡化緩衝液に溶出した。タンパク質及び他の不純物を、初期のサンプルからのグアニジンの通過と併用して、その後除去した。
【0134】
実施例2
サケの精子から精製したDNAを、実施例1に記載した通りカラムに適用した。平衡化緩衝液が50mMのトリス、pH8.0であり、その緩衝液にDNAが溶出する結果となった。溶出したDNAを、直接、前記と同様の条件で平衡化したアニオン交換モノリス(QA)に適用した。DNAを、その後、約60mS/cmの電気伝導率で溶出を行う塩勾配で、アニオン交換モノリスから溶出した。この実施例は、本発明が、単一ユニットでの実施におけるその後の処理工程のため、DNAを精製し、サンプルを調製するのにどのように使用され得るかを説明する。
【0135】
実施例3
サケの精子から精製したDNAを、実施例2に記載される通り、Nuvia Sカラムに適用した。平衡化緩衝液は50mMのHepes、50mMのリン酸塩、pH7.0であり、その緩衝液にDNAが溶出する結果となった。溶出したDNAを、ヒドロキシアパタイト(CHT type 1、40ミクロン)のカラムに直接適用し、次いで、約225〜275mMのリン酸塩の濃度の範囲にわたって溶出を行い、リン酸塩勾配において溶出した。この実施例は、本発明が、単一ユニットでの実施におけるその後の処理工程のために、DNAを精製し、サンプルを調製するのにどのように使用され得るかの別の説明を提供する。本発明が、同様に2つの精製工程、例えば、ヒドロキシアパタイトを用いる最初の精製工程を実施すること、アニオン交換カラムへの適用のためにサンプルを平衡化している間、追加の精製を達成するために本発明を使用し、次いでアニオン交換工程を実施することを連携するのに役立つことが、当業者に明らかとなるだろう。そのような3工程のプロセスがインビボの人の治療に好適なレベルまでの遺伝子治療ベクターの精製に好適であることが当業者に明らかとなるだろう。
【0136】
実施例4
生きた哺乳類の細胞からのDNAの精製。細胞培養からのチャイニーズハムスター卵巣細胞を、遠心分離により濃縮した。上清を処分し、3Mの最終濃度を生成するため、乾燥グアニジンをサンプルに直接添加した。細胞を、グアニジンで、手動で均質化し、次いで、粒子状物質を、主に遠心分離により除去し、続いて0.45ミクロン膜を通したろ過によって、それらを完全に除去した。澄んだ上清の5mLのサンプルを、0.05Mの酢酸塩、pH4.1に平衡化したUNOsphere Rapid Sの20mLカラムに適用した。サンプルのカラムの通過を押し進めるため、十分な緩衝液をサンプルの後に続けて用いた。カラムの流出液を、254及び280nmで同時に観察した。溶出ピークの254/280比は、高度だが不完全に精製されたDNAを示す約1.7であった。不純物及びグアニジンは、第2のピークにおいて溶出し、処分した。pH4.1、0.04Mの酢酸塩中のDNA含有サンプルをpH7.0に滴定し、さらなる精製のために、同じ条件に平衡化したQA 334マイクロリットルのモノリシックディスク(monolithic disk)に適用した。モノリスを、5分間の直線勾配で1MのNaCl(4mL/min)に溶出した。DNAは、純度がかなり高いことを示す、0.6MのNaClで2:1の254/280比を有するシャープなピークにおいて溶出した。
【0137】
実施例5
乾燥した哺乳類の細胞からのDNAの精製。ペトリ皿上の薄層に塗抹したCHO細胞を、換気フードにおいて一晩乾燥し、次いで、5Mのグアニジン、pH5において均質化したことを除いて、実施例4の形式に従った。結果は実施例4において得られたものと同様であった。
【0138】
実施例6
負に帯電した疎水性の多峰性クロマトグラフィ媒体におけるDNA精製。サケの精子から精製したゲノムDNAを、pH7.0、50のHepes、100mMのNaClに再懸濁した。粒状物を除去するために、サンプルを0.22ミクロンの膜に通してろ過し、次いで5mLを、Capto MMC、負電荷、疎水性の残渣、及び水素結合の残渣からなる多峰性クロマトグラフィ媒体を充填し、pH 4.0、50mMの酢酸塩、100mMのNaClに平衡化した20mLのカラムに適用した。DNAの90%は、空隙容量に完全に画分し、酢酸塩緩衝液に溶出し、残りは、カラムを通って通過した塩に溶出した。
【0139】
実施例7
負に帯電した金属親和性多峰性クロマトグラフィ媒体におけるDNA精製。サケの精子から精製したゲノムDNAを、pH7.0、50のHepes、100mMのNaClに再懸濁した。粒状物をろ過するために、サンプルを0.22ミクロンの膜に通してろ過し、次いで、5mLを、Capto MMC、金属親和性を付与するために設計された負電荷からなる多峰性クロマトグラフィ媒体(UNOsphere Profmity)を充填し、pH4.0、50mMの酢酸塩、100mMのNaClに平衡化した20mLのカラムに適用した。DNAは、空隙容量に、完全に画分し、酢酸塩緩衝液に溶出した。
【0140】
カラム容量に関連してサンプル容量の重要性を与えられるとき、当該技術分野の当業者は、カラムに入る前のサンプル容量の意図しない増加の効果を有する、サンプルの境界でサンプルの分散を制御できないとの結果にならない方法でサンプルを適用する重要性に気付くだろう。サンプルは、特にサンプルの境界での分散を避けるスーパーループ(superloop)と呼ばれる装置による前記実施例の全てにおいて適用される。
【0141】
サンプルが成功の見込みを等しく有する他のポリヌクレオチドの精製のために適用されることが当該技術分野の当業者に明らかになるだろう。例は、特にRNAを含む。
【0142】
本発明は、精製の高いレベルを達成するため、他の精製方法と組み合わされてもよい。そのような他の精製方法の例は、これらに限定されないが、超遠心分離、限外濾過、密度勾配濾過、アフィニティークロマトグラフィ、アニオン交換クロマトグラフィ、カチオン交換クロマトグラフィ、疎水性相互作用クロマトグラフィ、固定化金属アフィニティークロマトグラフィ、及び追加の複合モードクロマトグラフィ方法;また、沈殿、結晶化、及び液−液抽出の方法のようなポリヌクレオチドの精製のために一般的に使用される他の方法を含む。種々の方法のための適切な条件を開発し、特定のポリヌクレオチドの必要な精製を達成するために、本願明細書に記載の本発明とそれらを統合することは当該技術分野の当業者の理解の範囲内である。
【0143】
本願明細書に引用した全ての参考文献は、参照によりその全体を援用したものとし、あらゆる目的のために、個々の出版物又は特許若しくは特許出願のそれぞれと同じ範囲が、特に及び個々に、参照によりあらゆる目的のためにその全体を援用されることを示す。詳細な説明に含まれる本開示と矛盾する、参照により援用された出版物及び特許又は特許出願の範囲に、本願の詳細な説明が取って代わると意図され、及び/又はそのような矛盾する物質の何れにも勝る。
【0144】
成分の量を表す全ての数字、クロマトグラフィの条件、詳細な説明及び特許請求の範囲で使用されたその他のものは、用語「約」との用語によって、あらゆる場合において、加減され得ると理解される。従って、反対を示していない限り、詳細な説明及び特許請求の範囲において説明する数字で表したパラメータは、本発明により得られることが求められる所望の効率によって調整され得る近似である。
【0145】
本発明の多くの調節及び変更は、その精神及び範囲から逸脱せずに可能であり、当業者に明らかである。本願明細書に記載される特定の実施形態は、例としてのみ示し、どんな方法であれ制限されることを意味しない。詳細な説明及び実施例はただ例となるものであると、特許請求の範囲によって示される本発明の本当の範囲及び趣旨と共に意図される。