【文献】
P.N.Nesargikar et al,European Journal of Microbiology and Immunology 2,2012年 6月13日,vol.2, no.2,pp.103-111,DOI:10.1556/EuJML/2.2012.2.2
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、C3欠損が炎症性歯槽骨喪失から保護することを示すグラフである。データは平均値±SD(n=5マウス)である。*, P<0.05、および、**, 偽感染野生型に対してP<0.01, 骨喪失またはサイトカイン誘発の有意(p<0.01)な阻害。凡例:W-S:野生型および偽感染;W-P:野生型およびPg感染;C3-S:C3-/-および偽感染;C3-P:C3-/-およびPg感染。
【
図2】
図2は、正常または補体欠損マウスの歯周組織におけるポルフィロモナス・ジンジバリスの定着および影響を示すグラフである。データは平均値±SD(群当たりn=5マウス)である。*, 示された群の間でP<0.01。
【
図3】
図3は、肉を除いた上顎骨で測定された骨喪失(パネルA)、および、反対側の非結紮部位(平均値1を割り当てた)と比較して結紮部位の転写レベルの変化倍率として表した表示するサイトカインのmRNA発現(GAPDHのmRNAに対して標準化)を示す(パネルB)グラフである。データは平均値±SD(n=5マウス)である。負の値は、反対側の非結紮歯と比較した骨喪失を示す。*, 野生型対照に対してP<0.01。○, サイトカイン誘発の有意な阻害(P<0.01)。
【
図4】
図4は、Cp40がNHP歯周炎の炎症性臨床パラメーターを減少させることを示すグラフである。2匹の動物で、Cp40(500μg)を、結紮誘発歯周炎開始後3日目に開始し、週3回、第1小臼歯から第2大臼歯の上顎歯間乳頭に局所注射した。Cp40の不活性アナログ(対照)を、同じ2匹の動物の口の反対側に注射した(スプリットマウスデザイン)。表示する炎症性臨床パラメーター、および、標準化X線画像(6週目に撮影)およびNikon Imaging System softwareを用いて決定される骨の高さに対するCp40の効果を示す。特に、セメント−エナメル境(CEJ)と歯槽骨頂(ABC)の間の距離を6点で測定し(第1小臼歯、遠心;第2小臼歯、近心および遠心;第1大臼歯、近心および遠心;第2大臼歯、近心)、パネルEのデータは6部位の合計を示す。Cp40処置のCEJ−ABC距離と比較して対照のCEJ−ABC距離の値が大きいことは、薬物処置の非存在下での骨喪失増大を示す。全ての動物において、歯肉縁はセメント−エナメル境であり、そのため、PPD測定値はクリニカル・アタッチメントロス(CAL)と同等であった。
【
図5】
図5は、Cp40が、NHP歯周炎における炎症促進性サイトカイン産生および破骨細胞形成を阻害することを示すグラフである。臨床試験を行ったのと同じ時間点で(
図4と同様)、表示したサイトカインをアッセイするために、PerioPaper片を用いてGCFを同じサルから集めた(処置の詳細は
図4の脚注)。溶出GCFサンプル中のサイトカイン総量を、Bio-Plex系のMilliplex Map キットを用いて測定した。パネルGにおいて、TRAP陽性多核細胞(破骨細胞)を、各動物の第2小臼歯と第1大臼歯の間から採取した骨生検検体それぞれについて9個の連続切片で数えた。
【
図6】
図6は、NHP歯周炎をCp40で処置した後の炎症性臨床パラメーターの著しい阻害を示すグラフである。Cp40(500μg)または対照を、結紮誘発歯周炎の開始後3日目に開始し、週3回、下顎の第1小臼歯から第2大臼歯の歯間乳頭に局所で口の反対側に注射した(スプリットマウスデザイン)。Cp40の効果を、表示する時間点で、表示する炎症性臨床パラメータについて決定した。全ての動物において、歯周縁はセメント−エナメル境であり、従って、PPD読取値はクリニカル・アタッチメントロス(CAL)と同等であった。データは、平均値±SD(n=4サル)である。*, P<0.05;**, 対照に対してP<0.01。
【
図7】
図7は、Cp40によるNHP歯周炎の処置後の炎症促進性サイトカインのGCFレベル減少を示すグラフである。臨床試験を行ったのと同じ時間点で(
図6と同様)、示されたサイトカインをアッセイするために、PerioPaper片を用いてGCFを同じサルから集めた(処置の詳細は
図6の脚注)。溶出GCFサンプル中のサイトカイン総量を、Bio-Plex系のMilliplex Map キットを用いて測定した。データは、平均値±SD(n=4サル)である。*, P<0.05;**, 対照に対してP<0.01。
【
図8】
図8は、Cp40によるNHP歯周炎の処置後の歯周骨喪失の阻害を示すグラフである。4匹のサルを
図6の脚注に記載する通りに処置し、下顎の骨の高さ(CEJ−ABC距離)を、標準化X線画像(ベースラインおよび6週目に測定)およびNikon Imaging System softwareを用いて測定した。測定は6点で行い(第1小臼歯, 遠心;第2小臼歯, 近心および遠心;第1大臼歯, 近心および遠心;第2大臼歯, 近心)、パネルAおよびパネルBのデータはそれぞれベースライン(パネルA)および6週目(パネルB)での合計6部位を示す。対照処置またはCp40処置のそれぞれについて、ベースライン骨高から6週目の骨高を引いて骨喪失を計算した(パネルC)。Cp40と対照の間の差は有意であった(P<0.05;対応t検定)。
【0012】
様々な図面の同様の参照記号は、同様の要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
詳細な説明
歯周炎は、歯周組織、すなわち歯を囲み、かつ支持する組織を冒す一連の炎症性疾患である。歯周炎は、歯の周囲の歯槽骨の進行性喪失を含み、処置しなければ、歯の弛緩とその後の喪失に至り得る。歯周炎は、歯の表面に付着して増殖する微生物に加えて、これらの微生物に対する過度に攻撃的な免疫応答が原因である。歯周炎は、大量のプラークを伴う、歯肉の痛み、赤味、腫脹として顕在化する。症状は、歯磨き中、デンタルフロス使用時、硬い食物(例えばリンゴ)を噛んだ時の歯肉の発赤や出血;歯肉の反復性腫脹;口臭および口内の持続的な金気;歯が伸びて見えるようになる歯肉退縮;歯と歯肉の間の深いポケット(ポケットは、アタッチメントがコラゲナーゼによって徐々に破壊された部位である);および歯の弛緩を含み得る。
【0014】
1999年に、歯周病および歯周状態について分類系が開発され、それには、歯周病の7個の主要なカテゴリーが挙げられ、その最後の6個は、それらが本質的に不可逆なことから“破壊的歯周病”と呼ばれる。さらに、歯周病の範囲および重症度の両方を表す用語が、さらに具体的な診断を示すためにこの分類に加えられる。疾患の範囲とは、部位の%単位で疾患に冒された歯列の割合をいう。部位は、それぞれの歯の周囲についてプロービング測定を行った位置として定義され、一般的に、それぞれの歯の周囲について6箇所のプロービング部位を記録して歯周病の範囲を決定する。典型的には、口内の30%以下の部位が冒されているならば、顕在化は限局性と分類し、口内の30%を超える部位が冒されているならば、用語広汎性が用いられる。疾患の重症度とは、クリニカル・アタッチメントロスと呼ばれる喪失した歯根膜線維の量をいい、米国歯周病学会によって、軽度(1〜2mmのアタッチメントロス)、中程度(3〜4mmのアタッチメントロス)または重度(≧5mmのアタッチメントロス)と定義される。
【0015】
また、歯周炎は、口の外に影響を有することも示されている。例えば、歯周炎は、C反応性タンパク質およびインターロイキン−6(IL−6)のレベル上昇によって示されるとおり炎症の増加に関連している。さらに、歯周炎は、卒中、心筋梗塞、アテローム動脈硬化症、糖尿病、骨粗鬆症および早産を含むが、これらに限定されない幾つかの他の疾患のリスクを増大させることが示されている。
【0016】
歯周炎に関与する主要な病原体は、グラム陰性嫌気性細菌であるポルフィロモナス・ジンジバリスである。ポルフィロモナス・ジンジバリスは、補体カスケードを阻害し、当該補体カスケードは、通常第3補体成分(C3)に集中し、アナフィラトキシンであるC3aおよびC5aを介した炎症性細胞の動員および活性化を媒介するエフェクター分子の生成、C3bなどのオプソニンを介した微生物オプソニン化および貪食およびC5b−9膜侵襲複合体を介した標的化微生物の直接溶解を起こす。
【0017】
現在、歯周炎について満足のいく補助的療法は存在しない;抗菌剤および抗生物質は、その点についてはほとんど失敗している。現在、たぶん最も見込みのあるアプローチは、炎症の消散を助ける薬物(例えばリポキシンおよびレゾルビン)の使用であるが、これらの薬物の少なくとも幾つかは、安定性の問題を有すると考えられる(例えば、容易に酸化され、生物学的活性を喪失する)。
【0018】
歯周炎または歯周炎に関連する疾患を処置または予防する方法
本明細書に記載されたポルフィロモナス・ジンジバリスが使用する宿主の免疫応答を圧倒するおよび阻止するメカニズムは、歯周炎または歯周炎に関連する疾患を処置または予防する方法において、病原体に対して使用できる。例えば、C3の遮断は、ポルフィロモナス・ジンジバリスから決定的な生存戦術を効果的に奪う。それ故に、C3の発現、活性または活性化を阻害または遮断する方法は、個体においてポルフィロモナス・ジンジバリスの量を減少させ、それによって、歯周炎および関連する全身疾患、例えばアテローム動脈硬化症から個体を保護するために使用できる。さらに、C3の存在下で起こる免疫抑制性シグナル伝達を阻害する方法も、個体においてポルフィロモナス・ジンジバリスの量を減少させ、それによって、歯周炎および関連する全身疾患から個体を保護するために使用できる。
【0019】
上記方法(例えばC3の発現、活性または活性化を阻害または遮断する方法)は、典型的に、C3の発現、活性または活性化を阻害または遮断する化合物を個体に投与することを含む。例として、C3の発現、活性または活性化を阻害または遮断することが知られている幾つかの化合物(例えばC3アンタゴニスト)がある。例えば、コンプスタチンまたはコンプスタチンアナログ、補体受容体1関連遺伝子/タンパク質y(Crry)および補体活性化ブロッカー−2は、当技術分野で知られているC3阻害剤である。例えば、Sahu et al., 2000, “Complement Inhibitors Targeting C3, C4, and C5”, in Contemporary Immunology: Therapeutic Interventions in the Complement System, pp. 75-112, Lambris and Holers, Eds., Humana Press Inc., Totowa, NJ; および Qu et al., 2012, “New analogs of the clinical complement inhibitor compstatin with subnanomolar affinity and enhanced pharmacokinetic properties”, Immunobiology, 218:496-505を参照のこと。
【0020】
C3に対する抗体はまた、C3の発現、活性または活性化を阻害または遮断するために使用できる。C3に対する抗体は知られており、例えばCreative BioMart (Shirley, NY)、ABCAM (Cambridge, MA)、および、Acris Antibodies (San Diego, CA)から市販されている。さらに、RNA干渉(“RNAi”)は、C3をコードする核酸を特異的に標的にするために使用できる。RNAiは、特異的な翻訳後遺伝子サイレンシングを誘発するために使用されるプロセスである。RNAiは、細胞または細胞外環境への一部または完全二本鎖特性を有するRNAの導入を含む。RNAiを作製するために使用される標的遺伝子の部分は、エクソンを包含できるだけでなく、非翻訳領域(UTR)およびイントロンも含み得る。例えば、Kim et al., 2008, Biotechniques, 44:613-6 および Lares et al., 2010, Trends Biotechnol., 28:570-9; および Pfeifer et al., 2010, Pharmacol. Ther., 126:217-27を参照のこと。また、Ricklin & Lambris, 2007, Nature Biotechnol., 25:1265-75を参照のこと。
【0021】
特定の態様において、1種以上の補体阻害剤を個体に投与し、歯周炎の形成、特にポルフィロモナス・ジンジバリスの確立において、本明細書に記載された通りに補体の役割を介して歯周炎(または歯周炎に関連する疾患)を予防または処置するのに使用できる。代表的な補体阻害剤は、sCR1、C1阻害剤(C1inh)、膜補因子タンパク質(MCP)、崩壊促進因子(DAF)、MCP−DAF融合タンパク質(CAB−2)、C4bp、H因子、I因子、カルボキシペプチダーゼN、ビトロネクチン(Sタンパク質)、クラスタリン、CD59、コンプスタチンおよびその機能的アナログ、Clq阻害剤または抗Clq抗体、Cl阻害剤または抗Cl抗体、Clr阻害剤または抗Clr抗体、Cls阻害剤または抗Cls抗体、MSP阻害剤または抗MASP抗体、MBL阻害剤または抗MBL抗体、C2阻害剤または抗C2抗体、C4阻害剤または抗C4抗体、C4a阻害剤または抗C4a抗体、C5阻害剤または抗C5抗体、C5a阻害剤または抗C5a抗体、C5aR阻害剤または抗C5aR抗体、C5b阻害剤または抗C5b抗体、C3a阻害剤または抗C3a抗体、C3aR阻害剤または抗C3aR抗体、C6阻害剤または抗C6抗体、C7阻害剤または抗C7抗体、C8阻害剤または抗C8抗体、C9阻害剤または抗C9抗体、プロパージン阻害剤または抗プロパージン抗体、B因子阻害剤または抗B因子抗体、またはD因子阻害剤または抗D因子抗体を含むが、これらに限定されない。
【0022】
C3の発現、活性または活性化を阻害または遮断する化合物は、典型的に特定の化合物およびその特徴によって、いくつもの経路を介して個体に投与できる。化合物は、個体への投与に適した医薬組成物に入れることができる。当該組成物は、典型的に、少なくとも本化合物および薬学的に許容される担体を含む。本明細書に用いられるとき、“薬学的に許容される担体”は、医薬投与に適合性の任意かつ全ての溶媒、分散媒体、コーティング、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤、吸収遅延剤などを含むことを意図する。薬学的活性物質のためのこのような媒体および薬剤の使用は、当技術分野でよく知られている。慣用媒体または薬剤の何れかが活性化合物に不適合でない限り、本組成物における使用が意図される。追加のまたは第2の活性化合物もまた、本明細書に記載された組成物に入れることができる。
【0023】
本明細書に記載する医薬組成物は、意図された投与経路に適合するよう製剤化される。投与経路の例は、非経腸、例えば静脈内、皮内、皮下、経口(例えば摂取または吸入)、経皮(局所)、経粘膜および直腸投与を含む。さらに、歯周ポケットへの局所投与(直接注入、または例えばPerio Chipによる)もまた、本明細書に記載する方法に使用できる投与経路である。非経腸、皮内または皮下適用に使用される溶液または懸濁液は、次の成分を含み得る:滅菌処理された希釈剤、例えば注射用水、食塩水溶液(例えばリン酸緩衝食塩水(PBS))、固定油、ポリオール(例えばグリセロール、プロピレングリコールおよび液体ポリエチレングリコールなど)、グリセリンまたは他の合成溶媒;抗菌剤および/または抗真菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサールなど;抗酸化剤、例えばアスコルビン酸または重亜硫酸ナトリウム;キレート剤、例えばエチレンジアミン四酢酸;緩衝液、例えば酢酸緩衝液、クエン酸緩衝液またはリン酸緩衝液、および張性調節剤、例えば塩化ナトリウムまたはブドウ糖。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングの使用によって、分散剤の場合は求められる粒径の維持によって、および/または界面活性剤の使用によって維持できる。多くの場合において、組成物中に、等張剤、例えば糖類、ポリアルコール、例えばマンニトールまたはソルビトール、および、塩化ナトリウムを含むことが好ましい。注射用組成物の持続投与は、吸収遅延剤を含めることによって行われ得る。当該薬物は、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを含む。非経腸製剤は、ガラス製またはプラスチック製のアンプル、使い捨てシリンジまたは多回投与バイアルに封入できる。
【0024】
経口組成物は、一般的に、不活性な希釈剤または食用担体を含む。経口組成物は、液体であってよく、またはゼラチンカプセル剤に封入しても錠剤に圧縮してもよい。薬学的に適合性の結合剤および/または補助剤は、経口組成物の一部として含まれ得る。錠剤、丸薬、カプセル剤、トローチ剤などは、次の任意の成分または同様の性質の化合物を含み得る:結合剤、例えば微晶性セルロース、トラガカントゴムまたはゼラチン;添加物、例えば澱粉または乳糖;崩壊剤、例えばアルギン酸、Primogelまたはトウモロコシ澱粉;滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウムまたはSterotes;滑剤、例えばコロイド状二酸化ケイ素;甘味剤、例えばショ糖またはサッカリン;および/または風味剤、例えばペパーミント、サリチル酸メチルまたはオレンジ香料。経粘膜投与は、鼻用スプレーまたは坐薬の使用によって達成できる。経皮投与のために、活性な化合物は、典型的に、当技術分野で一般的に知られている通り、軟膏(ointment)、塗布剤(salve)、ゲル剤またはクリーム剤に製剤化される。
【0025】
投与の容易さおよび投与量の均一性のために、経口または非経腸組成物を投与単位形に製剤化することが、特に好都合である。本明細書で用いる投与単位形は、個体が受けるための単位投与量として適した物理的に個別の単位をいい;それぞれの単位は、必要な薬学的担体と組み合わせて、望ましい治療効果を生じるよう計算された予め定められた量の活性化合物を含む。投与単位それ自体は、送達する化合物の量に依存する。C3の発現、活性または活性化を阻害または遮断するのに必要な量の化合物を、1回投与に製剤化しても、多回投与単位に製剤化してもよい。C3の発現、活性または活性化を阻害または遮断する化合物による個体の処置は、1回限りの投与を必要とすることも、反復または多回投与を必要とすることもある。
【0026】
歯周炎または歯周炎に関連する疾患を処置または予防するために使用できる化合物のスクリーニング
補体成分C3およびポルフィロモナス・ジンジバリスに関する本明細書に記載された結果はまた、治療用化合物(すなわちC3の発現、活性または活性化を阻害する化合物)をスクリーニングするためにも使用できる。例えば、C3ポリペプチドをコードする核酸に作動可能に連結したプロモーターを含む核酸分子が作製できる。DNA配列の発現を駆動するプロモーターは、当技術分野でよく知られている。C3をコードする核酸を発現するのに適したプロモーターは、当業者に知られており、例えば、構成型または誘導型プロモーターを含む。多くの構成型および誘導型プロモーターが、当技術分野で知られている。本明細書で用いられるとき、“作動可能に連結”とは、プロモーターおよび/または他の制御エレメントが、ベクター中で、C3をコードする核酸に対して当該核酸の発現を指示するまたは制御するような位置にあることを意味する。当該核酸分子は、宿主細胞(例えば大腸菌(E. coli)、酵母)に、常法(例えばエレクトロポレーション、脂質ベースの送達系、ナノ粒子送達系およびウイルスベースの送達系)を用いて導入でき、該宿主細胞を試験化合物と接触させ得る。また、本明細書に記載されたベクターは、選択可能マーカーをコードする配列(例えば抗生物質耐性遺伝子)などの配列を含み得る。
【0027】
試験化合物がC3の発現を阻害するか否かを評価する方法は、当技術分野でよく知られている。例えば、RT−PCRまたはノーザンブロット法を、試験化合物の存在下および非存在下でのC3のmRNA量を決定するために使用できる。さらに、試験化合物がC3の活性または活性化を阻害するか否かを評価するために使用できる方法は、当技術分野で知られている。
【0028】
組換え宿主細胞(例えば組換え哺乳動物宿主細胞)を作製する方法は、本明細書で論じられており、当技術分野でよく知られている。さらに、実質的にどんなタイプの化合物も、本明細書に記載されたスクリーニング方法において、試験化合物として使用できる。試験化合物は、例えば、核酸、ペプチド、タンパク質、非ペプチド化合物、合成化合物、ペプチド模倣物、抗体、小分子、発酵産物または抽出物(例えば細胞抽出物、植物抽出物または動物組織抽出物)を含み得るが、これらに限定されない。
【0029】
本発明に従って、当技術分野の技術の範囲内の慣用の分子生物学、微生物学、生化学および組換えDNA技術を用い得る。これらのような技術は、文献に完全に説明されている。本発明を次の実施例にさらに記載し、これは、請求の範囲に記載された対象の方法および組成物の範囲を限定しない。
【実施例】
【0030】
実施例1:C3欠損マウスはポルフィロモナス・ジンジバリス誘発骨喪失から保護される
CS7BL/6 野生型(WT)マウスまたはC3欠損マウス(C3
-/-)を、ポルフィロモナス・ジンジバリス(Pg)に経口感染させた、または感染させず、肉を除いた上顎骨を用いて歯槽骨喪失の誘発について評価した(
図1A)。上顎大臼歯6本の周囲の頬側および舌側の歯肉を同じマウスから切断し、リアルタイムPCR用に処理して、表示したサイトカインについてmRNA発現レベルを決定した(GAPDHのmRNAに対して標準化、偽感染野生型群に対する誘発倍率として表す)(
図1B)。歯肉をホモジナイズし、可溶性抽出物を使用してLuminex-100 technologyを用いてサイトカインレベルを決定する、同様の実験を行った(
図1C)。
【0031】
中心的補体成分C3欠損マウス(C3
-/-マウス)は、野生型コントロールに比してポルフィロモナス・ジンジバリス誘発骨喪失から保護されることが判明した(
図1)。骨喪失の阻害(
図1A)は、mRNA(
図1B)およびタンパク質(
図1C)レベルでの炎症性および骨吸収性サイトカイン(IL−1β、TNF−α、IL−6およびIL−17)の発現減少と相関した。これらのデータは、C3を破壊的歯周炎症と決定的に結びつける。
【0032】
実施例2:正常または補体欠損マウスの歯周組織におけるポルフィロモナス・ジンジバリスの定着および影響
野生型マウス(WT)またはC3欠損マウスまたはC5aR欠損マウスに、ポルフィロモナス・ジンジバリス(Pg)またはビークルのみ(偽感染)を経口接種し、7日後に屠殺した。歯周組織中のポルフィロモナス・ジンジバリス数および全細菌数を、ISPg1遺伝子(ポルフィロモナス・ジンジバリス)または16S rRNA遺伝子(全細菌)の定量的リアルタイムPCRを用いて決定した。
【0033】
ポルフィロモナス・ジンジバリスは、C5aR欠損マウス(C5ar
-/-)の歯周組織に定着できなかったが、C3
-/-の歯周組織に定着でき、野生型マウスでのように、全細菌数を増加させた(
図2)。
図1に示すデータと併せて、これらの発見は、ディスバイオシスが炎症性骨喪失に必須であるが、それ自体では十分でないことを示唆している。むしろ、ディスバイオシスの細菌叢は、最大炎症および骨喪失を誘発するためにC3の存在を要する。
【0034】
実施例3:C3-/-マウスは、結紮誘発歯周骨喪失から保護される
骨喪失を上顎第2大臼歯(L)の周囲を5−0絹糸結紮の使用により誘発させた;各マウスの反対側の臼歯は、結紮しないままとし、ベースラインの対照(UCまたはWT)とした。
【0035】
これはポルフィロモナス・ジンジバリス非依存的歯周炎モデルとなり、細菌の大量局所蓄積および急速な炎症性骨喪失をもたらした。C3-/-マウスは、骨喪失(
図3A)および表示するサイトカインのmRNA発現(
図3B)に基づき、このモデルで保護された。そのため、C3は炎症性骨喪失に大きく関与し、C3阻害剤(例えばコンプスタチン)の歯周炎における治療的適用が見つかる可能性を示唆する。
【0036】
実施例4:非ヒト霊長類試験
カニクイザルの免疫系および歯周解剖学的形態は、ヒトと非常に類似しており、このNHPモデルにおける結紮誘発歯周炎は、ヒトの歯周炎で観察されるものと最も類似した細菌学的、免疫組織学的および臨床学的特徴を表す。このため、他の広く用いられている前臨床動物モデル、例えば齧歯類と比較して、カニクイザルモデルは、ヒト歯周炎における薬物有効性についてはるかに予測的である。さらに、結紮誘発歯周炎のカニクイザルモデルは、ヒトで行えない方法で本疾患の長期的試験を可能とする。
【0037】
スプリットマウス実験デザイン、すなわち、片側を活性薬物(Cp40, コンプスタチンの主要な型)で処置し、もう片方を不活性アナログ(対照)で処置するために、口の両側半分の上顎臼歯(第2小臼歯および第1大臼歯)に絹糸結紮を置いた。従って、それぞれの動物は、それ自身の対照として作用する。6週間の初期試験を2匹の動物を用いて行った。コンプスタチンによる処置は、対照処置と比較して、臨床的な炎症および骨喪失の減少(
図4)、および、歯肉溝滲出液(GCF)中の炎症促進性サイトカインのレベル減少および骨生検検体中の破骨細胞数の減少(
図5)をもたらした。重要なことに、Cp40で処置された部位での骨喪失の減少(X線写真上で骨高、すなわちCEJ−ABC距離の増加により明らか;
図4E)は、破骨細胞形成の減少(
図5G)のみならず、重要な破骨細胞形成因子であるRANKLのGCFレベル減少(
図5E)とも一致した。さらに、天然のRANKL阻害剤である破骨細胞形成抑制因子(OPG)のGCFレベルは、試験期間中、Cp40処置部位で、対照部位より高いレベルを維持していた(
図5F)。
【0038】
第2NHP試験では、結紮誘発歯周炎を、同じ2匹の動物に加えてさらに2匹の動物(合計4匹のサル)の下顎臼歯(すなわち下側の顎)周辺に結紮を行うことにより誘発した。得られた結果(
図6、7および8)は、元の研究結果を確認した。さらに、4匹の動物の存在は、統計分析の可能性を与えた。特定の臨床学的パラメーター(PPDおよびGI,
図6AおよびB)およびほとんどのサイトカイン応答(
図7)に関するCp40の保護効果は、統計学的有意差に至った。重要なことは、Cp40は、骨喪失の有意な阻害を起こし(
図8C)、これは、破骨細胞形成を制御する分子に対するCp40の効果(対照処置に対するRANKLレベルの減少およびOPGレベルの増大;それぞれ
図7HおよびI)と一致している。
【0039】
あらゆる病気について、補体の阻害がNHPにおける破骨細胞形成および骨喪失を起こす炎症プロセスを阻害することが示されたのはこれが初めてである。さらに、これらのデータは、ヒト歯周炎におけるCp40の治療可能性を強く支持する。
【0040】
他の態様
対象の方法および組成物は、幾つかの異なる局面と併せて本明細書に記載されているが、様々な局面の前述の記載は、説明することを意図しており、対象の方法の範囲を限定しないことが理解されるべきである。他の局面、利点および修飾は、請求の範囲の範囲内である。
【0041】
開示された方法および組成物に使用できるか、それと組み合わせて使用できるか、その製造に使用できる方法および組成物、またはその生成物が開示される。これらの物質および他の物質は、本明細書で開示され、これらの方法および組成物の組み合わせ、サブセット、相互作用、群などが開示されていると理解される。すなわち、様々な個々のおよび集合的な組み合わせおよび並びの具体的な記載は、明示されていないかもしれないが、それぞれ、本明細書で具体的に意図され記載されたものである。例えば、対照の特定の組成物または特定の方法が、開示され、論じられ、幾つかの組成物または方法が論じられているならば、組成物および方法のそれぞれのおよび全ての組み合わせおよび並びは、具体的な記載に反しない限り、具体的に意図される。同様に、これらのあらゆるサブセットまたは組み合わせも、特に意図され、開示される。