【課題を解決するための手段】
【0024】
上記目的を達成するための一態様として、本発明は、生理活性ペプチドであるオキシントモジュリンと免疫グロブリンFc領域が結合した薬理学的有効量のオキシントモジュリン結合体及びアルブミン非含有安定化剤を含み、前記安定化剤は、緩衝液、糖アルコール及び非イオン性界面活性剤を含有する持続型オキシントモジュリン結合体液状製剤を提供する。
【0025】
本発明における用語「液状製剤」とは、医薬品の形態を液状にして製剤化した加工薬剤を意味し、これは液状の内用製剤と外用製剤の両方を含むものである。従来は、本発明のオキシントモジュリンと免疫グロブリンFc領域が結合した薬理学的有効量のオキシントモジュリン結合体に適した液状製剤は存在しなかった。よって、本発明の液状製剤は、オキシントモジュリンと免疫グロブリンFc領域が結合した薬理学的有効量のオキシントモジュリン結合体及びアルブミン非含有安定化剤を含み、前記安定化剤は、緩衝液、糖アルコール及び非イオン性界面活性剤を含有するものであってもよい。また、本発明の液状製剤は、保存剤をさらに含むものであってもよい。
【0026】
本発明における安定化剤は、等張化剤、糖類、多価アルコール及びアミノ酸からなる群から選択される1個又はそれ以上の成分をさらに含むものであってもよい。前記糖アルコールは、マンニトール、ソルビトール及びグリセリンからなる群から選択される少なくとも1つであってもよく、糖アルコールの濃度が溶液全体の2〜15%(w/v)であってもよい。また、前記緩衝液は、クエン酸、酢酸、ヒスチジン及びリン酸緩衝液からなる群から選択される少なくとも1つであってもよく、そのpH範囲がpH4.5〜pH7.0であってもよい。前記等張化剤は塩化ナトリウムであってもよく、前記非イオン性界面活性剤はポリソルベート又はポロキサマーであってもよく、非イオン性界面活性剤の濃度が0.001〜0.1%(w/v)であってもよい。前記アミノ酸はメチオニンであってもよい。よって、本発明の液状製剤は、安定化剤として、pH4.8〜pH6.0の範囲の緩衝液、マンニトール及びソルビトールからなる群から選択される1個以上の糖アルコール、並びにポリソルベート20を含むものであってもよい。
【0027】
また、本発明の液状製剤は、m−クレゾール、フェノール、ベンジルアルコールからなる群から選択される1個又はそれ以上の保存剤をさらに含むものであってもよい。液状製剤は、溶液全体の0.001〜1%(w/v)の保存剤を含むものであってもよい。
【0028】
特に、本発明の液状製剤は、薬理学的有効量の持続型オキシントモジュリン結合体、5mM〜50mMヒスチジン、2〜15%(w/v)マンニトール、0.01〜1mg/mLメチオニン、及び0.001〜0.1%(w/v)ポリソルベート20を含むものであってもよい。また、上記構成に0.001〜1%(w/v)のm−クレゾールをさらに含むものであってもよい。
【0029】
本発明における用語「安定化剤」とは、製剤において有効成分などの構成成分を所定期間安定して維持する物質であり、本発明においては、特に持続型オキシントモジュリン結合体が安定して保存されるようにする物質を意味する。持続型オキシントモジュリン結合体などのタンパク質において、保存安定性は正確な投与量を保証するためだけでなく、オキシントモジュリン誘導体結合体に対する抗原性物質の潜在的な生成を抑制するために重要である。
【0030】
本発明の前記安定化剤は、持続型オキシントモジュリン結合体に安定性を付与するために、緩衝液、糖アルコール及び非イオン性界面活性剤を含有することが好ましい。また、等張化剤、糖類、多価アルコール及びアミノ酸からなる群から選択される1個又はそれ以上の成分をさらに含むことも好ましい。
【0031】
緩衝液は、持続型オキシントモジュリン結合体を安定させるために、液状製剤のpHが急激に変化しないように、溶液のpHを維持する役割を果たす。緩衝液は、アルカリ塩(リン酸ナトリウム、リン酸カリウム又はそれらの水素又は二水素塩)、クエン酸ナトリウム/クエン酸、酢酸ナトリウム/酢酸、ヒスチジンをはじめとする、当業界で公知の任意の製薬上許容されるpH緩衝剤を含んでもよく、それら緩衝剤の混合物を用いることもできる。前記緩衝液は、クエン酸又はヒスチジン緩衝液であることが好ましく、ヒスチジン緩衝液であることがより好ましい。緩衝液の濃度は5mM〜100mMであることが好ましく、5mM〜50mMであることがより好ましい。緩衝液のpHはpH4.0〜pH8.0であることが好ましく、pH4.5〜pH7.0であることがより好ましく、pH5.0〜pH6.0であることがさらに好ましい。
【0032】
本発明の一実施例によれば、液状製剤を構成する緩衝液のpHによる持続型オキシントモジュリン結合体の安定性を測定した結果、緩衝液のpHを様々に変化させて持続型オキシントモジュリン結合体を25℃で0〜4週間保管した後の残存量を分析した結果、pH5.6、pH5.8及びpH6.0でさらに安定することが分かった(実施例3及び表2〜5,実施例7及び表18〜21,実施例8及び表22〜25)。よって、本発明で最も安定した緩衝液のpH範囲は、pH5.0〜pH6.0の範囲であることが確認された。本発明の一実施例によれば、液状製剤を構成する緩衝液の各種類における持続型オキシントモジュリン結合体の安定性を測定した。0.02%ポリソルベート20と0.1mg/mLメチオニン及び5%マンニトールを基準とし、25℃で0〜4週間保管した後の残存量を分析した。SE−HPLCの結果、同一のpH条件において緩衝液の種類による大きな差はなかった。IE−HPLC又はRP−HPLCの結果、同一のpH条件においてヒスチジンが最も安定することが分かった(実施例8及び表22〜25)。
【0033】
糖アルコールは、持続型オキシントモジュリン結合体の安定性を向上させる役割を果たすが、本発明における糖アルコールは、マンニトール、ソルビトール及びグリセリンからなる群から選択される少なくとも1つであり、マンニトールであることが好ましい。本発明に用いられる糖アルコールの濃度は、溶液全体の1〜20%(w/v)であることが好ましく、2〜15%(w/v)であることがより好ましい。
【0034】
本発明の一実施例によれば、安定化剤としての糖アルコールの種類が持続型オキシントモジュリン結合体の安定性に及ぼす影響について実験した。pH5.6のクエン酸緩衝液を基準とし、25℃で0〜4週間保管した後にIE−HPLC、SE−HPLC、RP−HPLCを用いて分析した。同一濃度では、マンニトール又はソルビトールがグリセリンより安定していた。RP−HPLCの結果、マンニトールがソルビトールより僅かに安定していた(実施例4及び表6〜9)。すなわち、マンニトール又はソルビトールを添加した場合に安定性が優れていたが、マンニトールが最も安定することが確認された。
【0035】
本発明の一実施例によれば、安定化剤としての糖アルコールの濃度が持続型オキシントモジュリン結合体の安定性に及ぼす影響について実験した。25℃で0〜4週間保管した後にIE−HPLC、SE−HPLC、RP−HPLCを用いて分析した。2%マンニトール又は15%マンニトールにおいてタンパク質の沈殿が生成され、5%マンニトール又は10%マンニトールが安定していた(実施例5及び表10〜13,実施例7及び表18〜21)。
【0036】
非イオン界面活性剤は、タンパク質溶液の表面張力を低くするので、疎水性表面にタンパク質が吸着したり、凝集することを防止する。本発明に用いられる非イオン界面活性剤の好ましい例としては、ポリソルベート系非イオン界面活性剤及びポロキサマー系非イオン界面活性剤などが挙げられ、これらを単独で用いてもよく、少なくとも2つを組み合わせて用いてもよい。前記非イオン界面活性剤を液状製剤に高濃度で用いることは好ましくなく、本発明の溶液剤形には前記非イオン界面活性剤が0.2%(w/v)以下の濃度で含まれることが好ましく、0.001〜0.1%(w/v)の濃度で含まれることがより好ましい。
【0037】
本発明の安定化剤は、メチオニンなどのアミノ酸を含んでもよい。メチオニンは、タンパク質の酸化反応などにより生じ得る不純物の生成を抑制し、タンパク質をより安定化させる効果がある。
【0038】
本発明の一実施例によれば、安定化剤としての非イオン界面活性剤の濃度とアミノ酸の有無が持続型オキシントモジュリン結合体の安定性に及ぼす影響について実験した。pH5.6のクエン酸緩衝液及び10%マンニトールを基準とし、25℃で0〜4週間保管した後にIE−HPLC、SE−HPLC、RP−HPLCを用いて分析した。0.02%ポリソルベート20に0.1mg/mLメチオニンを添加したものが最も安定していた(実施例6及び表14〜17)。
【0039】
等張化剤は、持続型オキシントモジュリン結合体を溶液状で体内に投与する際に、浸透圧を適切に維持する役割を果たし、前記持続型オキシントモジュリン結合体を溶液状でより安定化させる付随的な効果も期待することができる。このような等張化剤の代表的な例としては、水溶性無機塩である塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムが挙げられる。等張化剤の濃度は0〜200mMであることが好ましく、適切な含有量を調節することができる。
【0040】
本発明の前記安定化剤は、アルブミンを含有しないことが好ましい。タンパク質の安定化剤として用いられるヒト血清アルブミンは、ヒトの血液から製造されるのでヒト由来の病原性ウイルスによる汚染の可能性があり、ゼラチンやウシ血清アルブミンは疾患を引き起こしたり、一部の患者にアレルギー反応を誘発する可能性がある。本発明のアルブミン非含有安定化剤は、ヒト又は動物由来の血清アルブミンや精製されたゼラチンなどの異種タンパク質を含有しないのでウイルス感染の恐れがない。
【0041】
持続型オキシントモジュリン結合体の保存安定性を向上させるためにさらに含まれる糖類及び多価アルコールのうち、糖類の好ましい例としては、マンノース、グルコース、フルクトース、キシロースなどの単糖類や、ラクトース、マルトース、スクロース、ラフィノース、デキストランなどの多糖類などが挙げられ、多価アルコールの好ましい例としては、プロピレングリコール及び低分子量のポリエチレングリコール、グリセリン、低分子量のポリプロピレングリコールなどが挙げられ、これらを単独で用いてもよく、少なくとも2つを組み合わせて用いてもよい。
【0042】
本発明の液状製剤には、前述した緩衝液、等張化剤、糖アルコール、アミノ酸及び非イオン界面活性剤以外に、本発明の効果を失わない範囲で当業界において公知のその他の成分や物質が選択的にさらに含まれてもよい。
【0043】
本発明の持続型オキシントモジュリン結合体の液状製剤は、生理活性ペプチドであるオキシントモジュリンと免疫グロブリンFc領域が結合した薬理学的有効量の持続型オキシントモジュリン結合体及びアルブミン非含有安定化剤を含み、前記安定化剤は、pH4.8〜pH7.0の範囲の緩衝液、マンニトール及びソルビトールからなる群から選択される少なくとも1つの糖アルコール、並びにポリソルベート20を含むものであってもよい。また、より具体的には、前記安定化剤は、pH5.0〜pH6.0の範囲の緩衝液、マンニトール及びポリソルベート20を含んでもよい。また、前記安定化剤は、等張化剤、糖類、多価アルコール及びアミノ酸からなる群から選択される1個又はそれ以上の成分をさらに含んでもよい。
【0044】
持続型オキシントモジュリン結合体に安定性を提供する、本発明によるアルブミン非含有持続型オキシントモジュリン結合体高濃度液状製剤は、ウイルス感染の恐れがないだけでなく、簡単な剤形で優れた保存安定性を示すので、他の安定化剤や凍結乾燥製剤に比べて経済的な提供が可能な製剤である。
【0045】
また、本発明の液状製剤は、天然型に比べて生理活性の持続期間が増加した持続型オキシントモジュリン結合体を含むので、通常のオキシントモジュリン製剤に比べて人体内でタンパク質活性を長期間保持することができ、効率的な薬物製剤として用いることができ、高濃度の持続型オキシントモジュリン結合体に対しても優れた安定性を提供できる製剤である。
【0046】
本発明における用語「オキシントモジュリン」とは、グルカゴンの前駆体であるプレグルカゴン(pre-glucagon)から作られるペプチドを意味し、天然型オキシントモジュリン、前駆体(precursor)、誘導体(derivatives)、フラグメント(fragments)、変異体(variants)などを含む。HSQGTFTSDYSKYLDSRRAQDFVQWLMNTKRNRNNIAのアミノ酸配列(配列番号1)を有することが好ましい。
【0047】
本発明における用語「オキシントモジュリン誘導体」とは、前記オキシントモジュリンの一部のアミノ酸を付加、欠失又は置換して修飾することにより、GLP−1受容体とグルカゴン受容体の両方を活性化させることができ、天然型オキシントモジュリンに比べて前記各受容体を高いレベルで活性化できる、ペプチド、ペプチド誘導体、ペプチド模倣体などを含む。本発明におけるオキシントモジュリン誘導体は、配列番号2〜34のいずれかのアミノ酸配列を有するもの、配列番号23又は25のアミノ酸配列を有するもの、又は配列番号25のアミノ酸を有するものが好ましい。
【0048】
本発明における用語「オキシントモジュリンフラグメント」とは、オキシントモジュリンのN末端又はC末端に少なくとも1つのアミノ酸が追加又は除去された形態を意味し、追加されるアミノ酸は天然に存在しないアミノ酸(例えば、D型アミノ酸)であってもよい。このようなオキシントモジュリンフラグメントは体内で血糖調節機能を有する。
【0049】
本発明における用語「オキシントモジュリン変異体」とは、オキシントモジュリンとアミノ酸配列が少なくとも1つ異なるペプチドであり、GLP−1とグルカゴン受容体の活性化機能を有するペプチドを意味し、天然型オキシントモジュリンから一部のアミノ酸の置換(substitution)、追加(addition)、除去(deletion)及び修飾(modification)のいずれかの方法又はそれらの方法の組み合わせにより作製することができる。
【0050】
オキシントモジュリン誘導体、フラグメント、変異体において用いられる各作製方法は、単独で用いてもよく、組み合わせて用いてもよい。例えば、アミノ酸配列が少なくとも1つ異なり、N末端アミノ酸残基に脱アミノ化(deamination)されたGLP−1受容体とグルカゴン受容体の両方に対する活性化機能を有するペプチドも含まれる。
【0051】
本発明におけるアミノ酸は、IUPAC−IUB命名法に従って次のように略語で記載した。
アラニン A
アルギニン R
アスパラギン N
アスパラギン酸 D
システイン C
グルタミン酸 E
グルタミン Q
グリシン G
ヒスチジン H
イソロイシン I
ロイシン L
リシン K
メチオニン M
フェニルアラニン F
プロリン P
セリン S
トレオニン T
トリプトファン W
チロシン Y
バリン V
【0052】
本発明におけるオキシントモジュリン誘導体は、配列番号1のアミノ酸配列においてアミノ酸の置換、付加、欠失又は翻訳後修飾(例えば、メチル化、アシル化、ユビキチン化、分子内の共有結合)が生じ、GLP−1受容体とグルカゴン受容体を同時に活性化し得る任意のペプチドを含む。前記アミノ酸の置換又は付加の際に、ヒトタンパク質において通常観察される20種のアミノ酸だけでなく、非定型又は非天然アミノ酸を用いることができる。非定型アミノ酸の商業的出所には、Sigma−Aldrich、ChemPep、Genzyme pharmaceuticalsが含まれる。これらのアミノ酸が含まれるペプチドと定型的なペプチド配列は、商業化されたペプチド合成会社、例えば米国のAmerican peptide companyやBachem、又は韓国のAnygenにおいて合成及び購入することができる。
【0053】
本発明の一態様において、本発明のオキシントモジュリン誘導体は、一般式1のアミノ酸を含む新規なペプチドである。
R1−X1−X2−GTFTSD−X3−X4−X5−X6−X7−X8−X9−X10−X11−X12−X13−X14−X15−X16−X17−X18−X19−X20−X21−X22−X23−X24−R2
(配列番号50)(一般式1)
【0054】
前記式において、R1はヒスチジン、デスアミノ−ヒスチジル(desamino-histidyl)、ジメチル−ヒスチジル(N-dimethyl-histidyl)、β−ヒドロキシイミダゾプロピオニル(beta-hydroxyimidazopropionyl)、4−イミダゾアセチル(4-imidazoacetyl)、β−カルボキシイミダゾプロピオニル(beta-carboxy imidazopropionyl)又はチロシンであり、X1はAib(aminoisobutyric acid)、d−アラニン、グリシン、Sar(N-methylglycine)、セリン又はd−セリンであり、X2はグルタミン酸又はグルタミンであり、X3はロイシン又はチロシンであり、X4はセリン又はアラニンであり、X5はリシン又はアルギニンであり、X6はグルタミン又はチロシンであり、X7はロイシン又はメチオニンであり、X8はアスパラギン酸又はグルタミン酸であり、X9はグルタミン酸、セリン、α−メチルグルタミン酸又は欠失した配列であり、X10はグルタミン、グルタミン酸、リシン、アルギニン、セリン又は欠失した配列であり、X11はアラニン、アルギニン、バリン又は欠失した配列であり、X12はアラニン、アルギニン、セリン、バリン又は欠失した配列であり、X13はリシン、グルタミン、アルギニン、α−メチルグルタミン酸又は欠失した配列であり、X14はアスパラギン酸、グルタミン酸、ロイシン又は欠失した配列であり、X15はフェニルアラニン又は欠失した配列であり、X16はイソロイシン、バリン又は欠失した配列であり、X17はアラニン、システイン、グルタミン酸、リシン、グルタミン、α−メチルグルタミン酸又は欠失した配列であり、X18はトリプトファン又は欠失した配列であり、X19はアラニン、イソロイシン、ロイシン、セリン、バリン又は欠失した配列であり、X20はアラニン、リシン、メチオニン、グルタミン、アルギニン又は欠失した配列であり、X21はアスパラギン又は欠失した配列であり、X22はアラニン、グリシン、トレオニン又は欠失した配列であり、X23はシステイン、リシン又は欠失した配列であり、X24はアラニン、グリシン及びセリンの組み合わせで構成された2〜10個のアミノ酸を有するペプチド又は欠失した配列であり、R2はKRNRNNIA(配列番号35)、GPSSGAPPPS(配列番号36)、GPSSGAPPPSK(配列番号37)、HSQGTFTSDYSKYLD(配列番号38)、HSQGTFTSDYSRYLDK(配列番号39)、HGEGTFTSDLSKQMEEEAVK(配列番号40)又は欠失した配列である(ただし、一般式1のアミノ酸配列が配列番号1と同じ場合は除く)。
【0055】
本発明のオキシントモジュリン誘導体は、野生型オキシントモジュリンのGLP−1受容体とグルカゴン受容体に対する活性を向上させるために、配列番号1で表されるアミノ酸配列の1番目のアミノ酸であるヒスチジンのα炭素を欠失させた4−イミダゾアセチル(4-imidazoacetyl)、N末端アミノ基を欠失させたデスアミノ−ヒスチジル(desamino-histidyl)、N末端アミノ基を2つのメチル基で修飾したジメチル−ヒスチジル(N-dimethyl-histidyl)、N末端アミノ基をヒドロキシ基に置換したβ−ヒドロキシイミダゾプロピオニル(beta-hydroxyimidazopropionyl)、又はN末端アミノ基をカルボキシ基に置換したβ−カルボキシイミダゾプロピオニル(beta-carboxy imidazopropionyl)に置換することができる。また、GLP−1受容体と結合する部位を、疎水性結合とイオン結合を強化するアミノ酸に置換するか、又はそれらを組み合わせることができる。また、オキシントモジュリン配列の一部の配列をGLP−1のアミノ酸配列又はエキセンディン-4(Exendin−4)のアミノ酸配列に置換してGLP−1受容体の活性を向上させることができる。
【0056】
また、オキシントモジュリン配列の一部の配列を、αヘリックスを強化する配列に置換することができる。一般式1のアミノ酸配列の10、14、16、20、24及び28番目のアミノ酸が、αヘリックスをサポートすることで知られているTyr(4−Me)、Phe、Phe(4−Me)、Phe(4−Cl)、Phe(4−CN)、Phe(4−NO
2)、Phe(4−NH
2)、Phg、Pal、Nal、Ala(2−チェニル、2−thienyl)又はAla(ベンゾチエニル、benzothienyl)で構成されるアミノ酸又はアミノ酸誘導体に置換することができ、挿入され得るαヘリックスをサポートするアミノ酸又はアミノ酸誘導体の種類及び数は限定されないことが好ましい。また、10番目と14番目、12番目と16番目、16番目と20番目、20番目と24番目、及び24番目と28番目を、それぞれグルタミン酸又はリシンに置換して環を形成することができ、挿入される環の数も限定されないことが好ましく、一般式2〜6から選択されるアミノ酸配列を有するオキシントモジュリン誘導体であることが最も好ましい。
【0057】
本発明の具体的一態様において、本発明のオキシントモジュリン誘導体は、オキシントモジュリンのアミノ酸配列に、エキセンディン−4(Exendin-4)又はGLP−1の配列に置換した一般式2のアミノ酸を含む新規なペプチドである。
R1−A−R3
(配列番号51)(一般式2)
【0058】
本発明の具体的一態様において、本発明のオキシントモジュリン誘導体は、オキシントモジュリンのアミノ酸配列の一部とエキセンディン−4(Exendin-4)又はGLP−1の配列の一部を好ましいアミノ酸リンカーで連結した一般式3のアミノ酸を含む新規なペプチドである。
R1−B−C−R4
(配列番号52)(一般式3)
【0059】
本発明の具体的一態様において、本発明のオキシントモジュリン誘導体は、オキシントモジュリンのアミノ酸配列の一部を、GLP−1受容体との疎水性結合力を向上させるアミノ酸に置換した、例えば26番目のLeuを、疎水性を増加させるアミノ酸であるIle又はValに置換した一般式4を含む新規なペプチドである。
R1−SQGTFTSDYSKYLD−D1−D2−D3−D4−D5−LFVQW−D6−D7−N−D8−R3
(配列番号53)(一般式4)
【0060】
本発明の具体的一態様において、本発明のオキシントモジュリン誘導体は、固有のオキシントモジュリンのGLP−1受容体とグルカゴン受容体の活性を向上させるために、アミノ酸配列の一部を除去又は挿入したり、アミノ酸の一部を他のアミノ酸に置換した一般式5を含む新規なペプチドである。
R1−E1−QGTFTSDYSKYLD−E2−E3−RA−E4−E5−FV−E6−WLMNT−E7−R5
(配列番号54)(一般式5)
【0061】
一般式2〜5において、R1は一般式1における構成と同一であり、AはSQGTFTSDYSKYLDSRRAQDFVQWLMNT(配列番号41)、SQGTFTSDYSKYLDEEAVRLFIEWLMNT(配列番号42)、SQGTFTSDYSKYLDERRAQDFVAWLKNT(配列番号43)、GQGTFTSDYSRYLEEEAVRLFIEWLKNG(配列番号44)、GQGTFTSDYSRQMEEEAVRLFIEWLKNG(配列番号45)、GEGTFTSDLSRQMEEEAVRLFIEWAA(配列番号46)及びSQGTFTSDYSRQMEEEAVRLFIEWLMNG(配列番号47)からなる群から選択され、BはSQGTFTSDYSKYLDSRRAQDFVQWLMNT(配列番号41)、SQGTFTSDYSKYLDEEAVRLFIEWLMNT(配列番号42)、SQGTFTSDYSKYLDERRAQDFVAWLKNT(配列番号43)、GQGTFTSDYSRYLEEEAVRLFIEWLKNG(配列番号44)、GQGTFTSDYSRQMEEEAVRLFIEWLKNG(配列番号45)、GEGTFTSDLSRQMEEEAVRLFIEWAA(配列番号46)、SQGTFTSDYSRQMEEEAVRLFIEWLMNG(配列番号47)、GEGTFTSDLSRQMEEEAVRLFIEW(配列番号48)及びSQGTFTSDYSRYLD(配列番号49)からなる群から選択され、Cはアラニン、グリシン及びセリンの組み合わせで構成された2〜10個のアミノ酸を有するペプチドであり、D1はセリン、グルタミン酸又はアルギニンであり、D2はアルギニン、グルタミン酸又はセリンであり、D3はアルギニン、アラニン又はバリンであり、D4はアルギニン、バリン又はセリンであり、D5はグルタミン、アルギニン又はリシンであり、D6はイソロイシン、バリン又はセリンであり、D7はメチオニン、アルギニン又はグルタミンであり、D8はトレオニン、グリシン又はアラニンであり、E1はセリン、Aib、Sar、d−アラニン又はd−セリンであり、E2はセリン又はグルタミン酸であり、E3はアルギニン又はリシンであり、E4はグルタミン又はリシンであり、E5はアスパラギン酸又はグルタミン酸であり、E6はグルタミン、システイン又はリシンであり、E7はシステイン、リシン又は欠失した配列であり、R3はKRNRNNIA(配列番号35)、GPSSGAPPPS(配列番号36)又はGPSSGAPPPSK(配列番号37)であり、R4はHSQGTFTSDYSKYLD(配列番号38)、HSQGTFTSDYSRYLDK(配列番号39)又はHGEGTFTSDLSKQMEEEAVK(配列番号40)であり、R5はKRNRNNIA(配列番号35)、GPSSGAPPPS(配列番号36)、GPSSGAPPPSK(配列番号37)又は欠失した配列である(ただし、一般式2〜5のアミノ酸配列が配列番号1と同じ場合は除く)。
【0062】
本発明のオキシントモジュリン誘導体は、一般式6の新規なペプチドであることが好ましい。
R1−X1−X2−GTFTSD−X3−X4−X5−X6−X7−X8−X9−X10−X11−X12−X13−X14−X15−X16−X17−X18−X19−X20−X21−X22−X23−X24−R2
(配列番号55)(一般式6)
【0063】
一般式6において、R1はヒスチジン、デスアミノ−ヒスチジル(desamino-histidyl)、4−イミダゾアセチル(4-imidazoacetyl)又はチロシンであり、X1はAib(aminoisobutyric acid)、グリシン、セリン又はd−セリンであり、X2はグルタミン酸又はグルタミンであり、X3はロイシン又はチロシンであり、X4はセリン又はアラニンであり、X5はリシン又はアルギニンであり、X6はグルタミン又はチロシンであり、X7はロイシン又はメチオニンであり、X8はアスパラギン酸又はグルタミン酸であり、X9はグルタミン酸、α−メチルグルタミン酸又は欠失した配列であり、X10はグルタミン、グルタミン酸、リシン、アルギニン又は欠失した配列であり、X11はアラニン、アルギニン又は欠失した配列であり、X12はアラニン、バリン又は欠失した配列であり、X13はリシン、グルタミン、アルギニン、α−メチルグルタミン酸又は欠失した配列であり、X14はアスパラギン酸、グルタミン酸、ロイシン又は欠失した配列であり、X15はフェニルアラニン又は欠失した配列であり、X16はイソロイシン、バリン又は欠失した配列であり、X17はアラニン、システイン、グルタミン酸、グルタミン、α−メチルグルタミン酸又は欠失した配列であり、X18はトリプトファン又は欠失した配列であり、X19はアラニン、イソロイシン、ロイシン、バリン又は欠失した配列であり、X20はアラニン、リシン、メチオニン、アルギニン又は欠失した配列であり、X21はアスパラギン又は欠失した配列であり、X22はトレオニン又は欠失した配列であり、X23はシステイン、リシン又は欠失した配列であり、X24はグリシンで構成された2〜10個のアミノ酸を有するペプチド又は欠失した配列であり、R2はKRNRNNIA(配列番号35)、GPSSGAPPPS(配列番号36)、GPSSGAPPPSK(配列番号37)、HSQGTFTSDYSKYLD(配列番号38)、HSQGTFTSDYSRYLDK(配列番号39)、HGEGTFTSDLSKQMEEEAVK(配列番号40)又は欠失した配列である(ただし、一般式6のアミノ酸配列が配列番号1と同じ場合は除く)。
【0064】
本発明のオキシントモジュリン誘導体は、配列番号2〜34のペプチドからなる群から選択されるものであることがより好ましい。実施例1の表1に示すオキシントモジュリン誘導体であることがさらに好ましい。
【0065】
オキシントモジュリンは、GLP−1とグルカゴンの2つのペプチド活性を有するが、GLP−1にはインスリン分泌による血糖降下効力があるが、グルカゴンには血糖上昇効力があり、GLP−1には食物摂取抑制と胃排出遅延、グルカゴンには脂肪分解及びエネルギー代謝量増加による体重減少効力など異なる生物学的効能がある。よって、1つのペプチドに前述した2つのペプチドが存在する場合、いずれか一方の効力が大きい場合、望ましくない効力、例えば、グルカゴンの効力がGLP−1の効力より大きい場合、血糖が上昇することがあり、GLP−1の効力が大きい場合、吐気と嘔吐などの副作用が大きくなることがある。また、2つのペプチドの活性比率によって全体の効力が変化し得る。本発明のオキシントモジュリン誘導体及びその結合体は、無条件的に活性の増加のための誘導体のみを開示したものではない。
【0066】
本発明における用語「オキシントモジュリン結合体」とは、オキシントモジュリンと他の要素とを含む結合体を意味する。前記他の要素は、血中半減期を延長させたり、腎臓排出を低減するなど、有利な機能を有するものであれば、いかなる物質であってもよい。本発明の結合体は、オキシントモジュリンに共有結合するか、ミクロスフェア(microsphere)を形成することにより、血中安定性の向上、腎臓への排出遅延、受容体との結合力の変化などを誘導することができる。オキシントモジュリンを含むタンパク質結合体を形成するキャリアは、結合後に血中安定性を向上させることのできるアルブミン、トランスフェリン、抗体、抗体フラグメント、エラスチン、ヘパリン、キチン(chitin)などのp多糖類(olysaccharide)、フィブロネクチン(fibronectin)などから選択され、免疫グロブリンFc領域であることが好ましい。
【0067】
本発明において有用な免疫グロブリンFcは、ヒト免疫グロブリンFc、それに密接に関連する類似体の配列を有するもの、ウシ、ヤギ、ブタ、マウス、ウサギ、ハムスター、ラット、モルモットなどの動物起源であってもよい。また、免疫グロブリンFc領域は、IgG、IgA、IgD、IgE、IgMに由来するもの、又はそれらの組み合わせ(combination)もしくはそれらのハイブリダイゼーション(hybridization)によるFc領域であってもよい。本発明の免疫グロブリンFc領域は、それぞれのドメインがIgG、IgA、IgD、IgE、IgMからなる群から選択される免疫グロブリンに由来する異なる起源を有するドメインのハイブリッドであってもよく、同一起源のドメインからなる単鎖免疫グロブリンで構成された二量体又は多量体であってもよい。ヒト血液に最も豊富なIgG又はIgMに由来するものであることが好ましく、リガンド結合タンパク質の半減期を延長させることが知られているIgGに由来するものであることが最も好ましい。免疫グロブリンFcは、天然IgGを特定のタンパク質分解酵素で処理することにより作製することができ、組換え技術を用いて形質転換された細胞からも作製することができる。大腸菌から作製した組換えヒト免疫グロブリンFcであることが好ましい。
【0068】
一方、IgGもIgG1、IgG2、IgG3及びIgG4のサブクラスに分けられ、本発明においては、これらの組み合わせ又はハイブリッド化も可能である。IgG2及びIgG4サブクラスであることが好ましく、補体依存性細胞傷害(CDC, Complement dependent cytotoxicity)などのエフェクター機能(effector function)のほとんどないIgG4のFc領域であることが最も好ましい。すなわち、最も好ましい本発明の薬物キャリアである免疫グロブリンFc領域は、ヒトIgG4由来のグリコシル化されていないFc領域である。ヒト体内で抗原として作用し、それに対する新たな抗体を生成するなどの好ましくない免疫反応を引き起こし得る非ヒト由来のFc領域に比べて、ヒト由来のFc領域が好ましい。
【0069】
本発明における前記オキシントモジュリン結合体は、非ペプチド性重合体を用いて結合したものであってもよく、遺伝子組換え技術により結合したものであってもよい。前記結合体は、オキシントモジュリン及び免疫グロブリンFc領域が非ペプチド性重合体により連結された形態であることが好ましい。
【0070】
非ペプチド性重合体は、オキシントモジュリンと免疫グロブリンFc領域にそれぞれ共有結合することにより連結することができる。非ペプチド性重合体の両末端は、それぞれ免疫グロブリンFc領域及びオキシントモジュリン誘導体のアミノ基又はチオール基(Thiol group)に結合することができる。
【0071】
本発明におけるオキシントモジュリン結合体とは、効力の持続性が天然型オキシントモジュリンより向上したものを意味する。前記持続型結合体には、天然型オキシントモジュリンのアミノ酸が修飾、置換、追加又は除去された形態がポリエチレングリコール(PEG)などの生分解性重合体に連結された結合体、アルブミンや免疫グロブリンなどの持続性に優れたタンパク質がオキシントモジュリンに連結された結合体、生体内アルブミンとの結合力を有する脂肪酸がオキシントモジュリンに連結された結合体、又は生分解性ナノパーティクルに封入された形態のオキシントモジュリンが含まれ得るが、持続型結合体の種類は本発明を限定されるものではない。
【0072】
本発明における用語「非ペプチド性重合体」とは、繰り返し単位が少なくとも2つ結合された生体適合性重合体を意味し、前記繰り返し単位はペプチド結合を除く任意の共有結合により互いに連結される。本発明における前記非ペプチド性重合体は、非ペプチド性リンカーと混用される。
【0073】
従来のインフレームフュージョン(inframe fusion)方法で作製された融合タンパク質に用いられていたペプチド性リンカーの欠点は、生体内でタンパク質分解酵素により容易に切断され、キャリアによる活性薬物の血中半減期延長効果を期待したほど得られないということである。しかし、本発明においては、タンパク質分解酵素に抵抗性のある重合体を用いるので、キャリアと同様にペプチドの血中半減期を維持することができる。よって、本発明に用いられる非ペプチド性重合体は、このような役割を果たすもの、すなわち生体内のタンパク質分解酵素に抵抗性のある重合体であれば制限なく用いられる。非ペプチド性重合体の分子量は、1〜100kDaの範囲、好ましくは1〜20kDaの範囲である。また、前記免疫グロブリンFc領域に結合される本発明の非ペプチド性重合体は、1種類の重合体だけでなく、異なる種類の重合体の組み合わせが用いられてもよい。
【0074】
本発明に用いられる非ペプチド性重合体は、免疫グロブリンFc領域及びタンパク質薬物に結合される官能基を有する。前記非ペプチド性重合体の両末端の官能基は、アルデヒド基、プロピオンアルデヒド基、ブチルアルデヒド基、マレイミド(maleimide)基及びスクシンイミド(succinimide)誘導体からなる群から選択されることが好ましい。
【0075】
前記スクシンイミド誘導体としては、スクシンイミジルプロピオネート、ヒドロキシスクシンイミジル、スクシンイミジルカルボキシメチル又はスクシンイミジルカーボネートが用いられる。特に、前記非ペプチド性重合体が両末端にアルデヒド基の官能基を有する場合、非特異的反応を最小限に抑え、非ペプチド性重合体の両末端に生理活性ポリペプチド及び免疫グロブリンがそれぞれ結合するのに効果的である。アルデヒド結合による還元性アルキル化で生成された最終産物は、アミド結合により連結されたものよりはるかに安定的である。アルデヒド官能基は、低いpHではN末端に選択的に反応し、高いpH、例えばpH9.0の条件ではリシン残基と共有結合を形成することができる。
【0076】
前記非ペプチド性重合体の両末端の官能基は、同じものであってもよく、異なるものであってもよい。例えば、一末端にはマレイミド基、他の末端にはアルデヒド基、プロピオンアルデヒド基、又はブチルアルデヒド基を有してもよい。両末端にヒドロキシ官能基を有するポリエチレングリコールを非ペプチド性重合体として用いる場合、公知の化学反応により前記ヒドロキシ基を前述した様々な官能基で活性化するか、商業的に入手可能な修飾された官能基を有するポリエチレングリコールを用いることにより、本発明の持続型タンパク質結合体を作製することができる。
【0077】
本発明の結合体は、非ペプチド性重合体の両末端がそれぞれ免疫グロブリンFc領域とオキシントモジュリン誘導体のアミノ基又はチオール基(Thiol group)に結合したものなどである。
【0078】
一方、本発明における前記非ペプチド性重合体は、両末端に免疫グロブリンFc領域とタンパク質薬物が結合される官能基を含み、前記官能基は、これらに限定されるものではないが、アルデヒド基、プロピオンアルデヒド基、ブチルアルデヒド基、マレイミド(maleimide)基、スクシンイミド(succinimide)誘導体(スクシンイミジルプロピオネート、ヒドロキシスクシンイミジル、スクシンイミジルカルボキシメチル又はスクシンイミジルカーボネート)などである。
【0079】
前記非ペプチド性重合体の両末端の官能基は、同じものであってもよく、異なるものであってもよい。例えば、前記非ペプチド性重合体の一末端には官能基としてマレイミド基を含み、他の末端にはアルデヒド基、プロピオンアルデヒド基、ブチルアルデヒド基などを含んでもよい。例えば、前記非ペプチド性重合体の一末端がアルデヒド基の官能基を含み、他の末端がマレイミド基の官能基を含む場合、非特異的反応を最小限に抑え、非ペプチド性重合体の両末端に生理活性ポリペプチドと免疫グロブリンがそれぞれ結合するのに効果的である。本発明に使用可能な非ペプチド性重合体は、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコールとプロピレングリコールの共重合体、ポリオキシエチル化ポリオール、ポリビニルアルコール、ポリサッカライド、デキストラン、ポリビニルエチルエーテル、ポリ乳酸(polylactic acid、PLA)及びポリ乳酸−グリコール酸(polylactic-glycolic acid。PLGA )などの生分解性高分子、脂質重合体、キチン類、ヒアルロン酸及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、好ましくはポリエチレングリコールである。当該分野に公知のこれらの誘導体、及び当該分野の技術水準で容易に作製できる誘導体も本発明に含まれる。
【0080】
本発明の実施例によれば、プロピオンアルデヒドを単独で含むか、又はマレイミド基とアルデヒド基を同時に含む非ペプチド性重合体のポリエチレングリコール(PEG)を用い、オキシントモジュリン又はその誘導体と免疫グロブリンFc領域を共有結合により連結して結合体を合成した。
【0081】
本発明の結合体は、天然型オキシントモジュリンに比べてGLP−1受容体及びグルカゴン受容体に優れた活性を有し、Fc領域を結合させることにより、体内での血中半減期を延長させ、生体内で活性を長時間維持することができる。
【0082】
本発明における用語「保存剤」とは、微生物汚染による異常反応や腐敗を防止するために用いられるものを意味し、本発明の液状製剤は、保存剤をさらに含むものであってもよい。一般に、保存剤は微生物汚染が最も懸念される複数回投与用製剤に用いられるが、これに限定されるものではなく、凍結乾燥製剤や単回投与用製剤にも微生物汚染を防止するために用いられる。本発明の液状製剤は、m−クレゾール、フェノール、ベンジルアルコールからなる群から選択される少なくとも1つの保存剤をさらに含むものであってもよく、前記保存剤の濃度は、溶液全体の0.001〜1%(w/v)であってもよい。特に、本発明の液状製剤にさらに含まれる保存剤はm−クレゾールであってもよい。本発明の液状製剤は複数回投与用であってもよい。
【0083】
本発明の他の実施形態として、本発明は、前記持続型オキシントモジュリン結合体の液状製剤の製造方法を提供する。
【0084】
具体的には、a)持続型オキシントモジュリン結合体を作製するステップと、b)前記ステップで作製された持続型オキシントモジュリン結合体を緩衝液、糖アルコール及び非イオン性界面活性剤を含有する安定化剤と混合するステップとにより、安定した持続型オキシントモジュリン結合体液状製剤を製造することができる。
【0085】
また、具体的には、a)持続型オキシントモジュリン結合体を作製するステップ及び、b)前記ステップで作製された持続型オキシントモジュリン結合体を緩衝液、糖アルコール及び非イオン性界面活性剤を含有する安定化剤及び保存剤を混合するステップとにより、安定した持続型オキシントモジュリン結合体液状製剤を製造することができる。
【0086】
前記b)ステップにおいて、安定化剤は、等張化剤、糖類、多価アルコール及びアミノ酸からなる群から選択される1個又はそれ以上の成分をさらに含むものであってもよい。
【0087】
本発明のさらに他の実施形態として、本発明は、前記液状製剤を含む、肥満や糖尿病の予防又は治療用薬学的組成物を提供する。
【0088】
本発明における用語「予防」とは、目的とする疾患の発病を抑制又は遅延させるあらゆる行為を意味する。本発明における用語「予防」とは、本発明の結合体を投与することにより、血糖異常やインスリン分泌調節異常などの糖尿病症状、又は体重増加や体脂肪率増加などの肥満症状の発生を抑制又は遅延させることを意味する。
【0089】
本発明における用語「治療」とは、発生した疾病の症状を軽減、改善又は緩和するあらゆる行為を意味する。本発明における用語「治療」とは、本発明の結合体を投与することにより、前記糖尿病症状や肥満症状が軽減、改善又は緩和され、血糖正常化、インスリン分泌正常化、体重減少、体脂肪率減少などの現象が現れることを意味する。
【0090】
本発明における用語「肥満」とは、体内に脂肪組織が過剰に蓄積された状態であり、ボディマス指数(体重(kg)を身長(m)の2乗で割った値)が25以上であれば肥満と定義される。通常、肥満は、長期間にわたりエネルギー消費量より栄養素を過剰に摂取する場合にエネルギー不均衡により誘発される。肥満は、身体全体に影響を及ぼす代謝疾患であり、糖尿病及び高脂血症に罹患する可能性が高くなり、性機能障害、関節炎、心血管系疾患の発症リスクが高くなり、場合によっては癌の発生にも関連する。
【0091】
本発明における用語「糖尿病」とは、インスリンの分泌量が不足したり、正常な機能が行われないなどの代謝疾患の一種であり、血中ブドウ糖の濃度が高くなる高血糖を特徴とし、高血糖により様々な症状を引き起こし、尿によりブドウ糖を排出する疾病を意味する。
【0092】
本発明の薬学的組成物は、薬学的に許容される担体、賦形剤又は希釈剤を含んでもよい。本発明における用語「薬学的に許容」とは、治療効果を示す程度の十分な量と副作用を起こさないことを意味し、疾患の種類、患者の年齢、体重、健康状態、性別、薬物に対する感受性、投与経路、投与方法、投与回数、治療期間、配合、同時に用いられる薬物などの医学分野における公知の要素により当業者が容易に決定することができる。
【0093】
本発明のさらに他の実施形態として、本発明は、前記液状製剤を個体に投与するステップを含む、肥満や糖尿病の予防又は治療方法を提供する。
【0094】
前記液状製剤、肥満及び糖尿病は前述したとおりである。
【0095】
前記個体は、肥満又は糖尿病が疑われる個体であり、前記疾患が発病しているか、発病する可能性のある、ヒト、又はマウス、家畜などを含む哺乳動物を意味するが、本発明の液状製剤で治療可能な個体は限定されることなく含まれる。
【0096】
本発明の治療方法は、液状製剤を含む薬学的組成物を薬学的有効量で投与することを含んでもよい。好適な総1日用量は正常な医学的判断の範囲内で担当医により決定され、1回又は数回に分けて投与することができる。しかし、発明の目的上、特定の患者に対する具体的な治療的有効量は、達成しようとする反応の種類と程度、場合によっては他の製剤が用いられるか否かをはじめとする具体的な組成物、患者の年齢、体重、一般健康状態、性別及び食餌、投与時間、投与経路、組成物の分泌率、治療期間、具体的な組成物と併用又は同時投与される薬物をはじめとする様々な因子と医薬分野で周知の類似因子に応じて異なる量を適用することが好ましい。