【実施例】
【0032】
<実施例1>
[組成物の調製]
様々な組成物のサンプルを、以下に説明する通りに調製した。
【0033】
既知量の塩を、10 mlの脱塩水に溶解させる。得られた溶液を、次に水浴中でおよそ70℃の温度に加熱する。粉末状のヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)1 gを棒で攪拌しながら加え、そのようにして得られた混合物を、氷浴中で5℃の温度まで急冷し、確実に急速なゲル化を行う。
【0034】
以下の表1はコンディショニングの前のサンプルの調製に使用される量を示す。
【0035】
【表1】
【0036】
このようにして得られたサンプルを、特定の用途のために必要な特性を付与するために、制御された雰囲気中でコンディショニングする。
【0037】
前記調節剤が高湿度条件から材料を保護し、及び、例えば、菌類、カビ、悪臭又は結露の発生を回避しなければならない場合、コンディショニングのパラメーターは温度23℃、及び相対湿度(relative moisture)40%である場合がある。前記コンディショニングの後、サンプルは表2に記載の組成を有する。
【0038】
【表2】
【0039】
逆もまた同様に、前記調節剤が高湿度条件を保たなければならない場合、例えばタバコの輸送及び保存時において、コンディショニングのパラメーターは、温度30℃、及び相対湿度90%である場合がある。前記コンディショニングの後、サンプルは表3に記載の組成を有する。
【0040】
【表3】
【0041】
表2及び3において末尾に付した「低」及び「高」は、2通りの異なるコンディショニングに起因し、特定の適用によって決められる、サンプルに含まれる水分量を識別する。
【0042】
<実施例2>
[最大吸収量試験]
高湿度条件に晒された場合の最大吸収能力に関して、表2のサンプルを分析した。試験は、サンプルを40℃、相対湿度値75%の恒温恒湿槽に設置することにより実施した。得られた結果を表4に示す。
【0043】
【表4】
【0044】
得られた結果から、塩化マグネシウムの量が増加するにつれて、吸収される水蒸気の量が増加することがわかる。
【0045】
吸収データの増加は、塩化マグネシウムの量の増加に直線的には比例していないが、これは後者の量によって、開始時の系におけるゲル化水の量の増加が定まるためである。
【0046】
<実施例3>
[使用時間が再生時間より短い適用を想定した、穏やかな条件下での繰り返し試験]
穏やかな条件での水分の吸収能力、及び大気条件での再生能力に関して、表2の「C0.5-低」のサンプルを分析した。試験は、サンプルを40℃、相対湿度75%の恒温恒湿槽に8時間設置し、その後空気中で16時間再生させることにより実施した。これらの条件は、乾燥剤としての比較的短時間の使用条件(8時間)、及びそれより長い再生期間(16時間)を再現するために選択された。
【0047】
前記試験は、系の使用の再現性及び連続性を評価するために、繰り返し(5サイクル)実施した。得られた結果を
図1に示す。
【0048】
図1からわかるように、当該系は周囲乾燥期間(各3時間)中に40%の水分を吸収することができる。この値は、吸収可能な最大の水分量に等しく(表1参照)、当該系の周囲条件下での優れた反応速度を意味する。
【0049】
これは、使用中においては、本発明の結果による環境の迅速なコンディショニングにつながる。
【0050】
再生中、周囲条件で16時間後に、当該系は開始時の状態に戻ることができる(完全再生)。また、当該系が各分析サイクルで全く同一の吸収及び再生挙動を有することも注目すべきであり、可逆性が非常に高いことを強調している。
【0051】
<実施例4>
[使用時間が再生時間より長い適用を想定した、厳しい条件下での繰り返し試験]
ストレス条件での水分の吸収能力、及び大気条件での再生能力に関して、表2の「C0.5-低」のサンプルを分析した。試験は、サンプルを40℃、相対湿度75%の恒温恒湿槽に16時間設置し、その後空気中で8時間再生させることにより実施した。前の実施例で観察したものとは反対に、これらの条件は、乾燥剤として比較的長時間の使用条件(16時間)、及びそれより短い再生期間(8時間)を再現するために選択された。
【0052】
この場合においても、試験は、系の使用の再現性及び連続性を評価するために、繰り返し(5サイクル)実施した。
【0053】
得られた結果を
図2に示す。
【0054】
この場合においても、
図2からわかるように、当該系は1回目のサイクル中に40%の水分を吸収することができる。以前既に観察されたように、前記の値は、吸収可能な最大の水分量に等しい(表1参照)。
【0055】
当該系は、短時間(8時間)の再生の後でも、開始時の状態に戻ることができる(完全再生)。このデータは、当該系が短時間で再生でき、そのため最大限活用できることを強調している。
【0056】
図2では、当該系が各分析サイクルで全く同一の吸収及び再生挙動を有することがわかり、可逆性が非常に高いことを強調している。
【0057】
一般的に、示される実施例から、前記系は、穏やかな使用条件か厳しい使用条件かに関わらず、その特性を変化させることなく複数回使用することができると結論付けられる。
【0058】
<実施例5>
[最大脱着量試験]
乾燥環境に晒された場合の最大水分放出能力に関して、表3に提示したサンプルを分析した。試験は、サンプルを23℃、相対湿度40%の恒温恒湿槽に設置することにより実施した。得られた結果を表4に示す。
【0059】
【表5】
【0060】
この場合においても、塩化マグネシウムの量が増加するにつれて、脱着される水蒸気の量が増加する。脱着データの増加は、塩化マグネシウムの量の増加に直線的には比例していない。
【0061】
<実施例6>
[再生時間より短い使用時間を伴う適用を想定した、穏やかな条件下での繰り返し試験]
穏やかな使用条件での水分の放出能力、及び高い相対湿度条件での再生能力に関して、表3の「C0.5-高」のサンプルを分析した。試験は、サンプルを23℃、相対湿度40%の恒温恒湿槽に8時間設置し、その後16時間再生(T = 30℃、TH = 90%)させることにより実施した。得られた結果を
図3に示す。
【0062】
実施例3及び4で検討されたこととは反対に、この場合においては、当該系は加湿剤として使用され、そのため、使用期間においては、乾燥した環境中への水分の放出により、質量の減少(及び非増加)を示す。
【0063】
一般的に、サンプルの繰り返し使用(5サイクル)中において、自己の質量の36%に等しい値の水分を環境中と交換することができることがわかる。加えて、1回目の使用サイクル中には、サンプルは平衡値(36%)に対してさらに高い加湿能力を示し、約50%の値で安定する。以前の繰り返し試験で強調されたように、この場合においても、当該系は長時間にわたってその特性を変化させず保持する。
【0064】
<実施例7>
[再生時間より長い使用時間を伴う適用を想定した、厳しい条件下での繰り返し試験]
ストレス条件での水分の放出能力、及び高い相対湿度条件での再生能力に関して、前の実施例と同じ「C0.5-高」のサンプルを分析した。試験は、サンプルを23℃、相対湿度40%の恒温恒湿槽に16時間設置し、その後8時間再生(T = 30℃、TH = 90%)させることにより実施した。得られた結果を
図4に示す。
【0065】
厳しい条件が短時間の再生及び長時間の使用を伴う、この場合において、サンプルは、十分な除湿能力を示す。実際、サンプルは、28%に等しい値の質量の水分を環境中と交換することができる。
【0066】
また、この場合において、1回目の使用サイクル中には、サンプルは平衡値(28%)に対してさらに高い加湿能力を示し、約57%の値で安定する。
【0067】
以前の繰り返し試験で強調されたように、この場合においても、穏やかな使用条件か厳しい使用条件かに関わらず、当該系は長時間にわたってその特性を変化させず保持する。
【0068】
<実施例8>
[周知技術との比較試験: 閉鎖環境における湿度調節]
本発明による湿度調節剤C1のサンプルを、表1の配合で、実施例1に示す通りに調製した。その後、サンプルを、高い周囲湿度値に対する湿度調節剤として作動させるために、23℃、相対湿度40%でコンディショニングした。
【0069】
コンディショニングしたサンプル10 g、長方形、寸法5×4×0.2 cm
3を、スナップ式の閉じ具及び1.5リットルの内部容積を有するプラスチック製の箱(以下ボックスC1)に設置し、記録計(datalogger)を用いて内部温度及び湿度条件を確認した。周知技術を代表する乾燥剤を、国際公開第2005/087364号パンフレットに記述される通りに、95%のMgCl
2及び5%のヒドロキシエチルセルロースを混合することにより調製した。この粉末状の混合物10 gを、前の場合と同様にT-RH記録計が入った2番目のプラスチック製の箱(以下乾燥剤ボックス)に設置した。T-RH記録計のみを入れ、乾燥剤も湿度調整剤も入れない、3番目のプラスチック製の箱(以下対照ボックス)を作成した。
【0070】
ボックスC1、乾燥剤ボックス、及び対照ボックスを閉じて恒温恒湿槽に設置し、対応するT-RH記録計によって5分間隔でデータを収集した。
【0071】
その後、温度及び相対湿度の典型的な昼/夜変動を再現する、繰り返しプログラムを開始した。5日後、試験を停止した。収集したボックス中の温度及び相対湿度のデータを、
図5のグラフに報告する。
【0072】
注目すべきは、本発明の対象の湿度調節剤(ボックスC1)だけが、大きい偏差及び小さい偏差の両方の場合において、湿度条件を保つことができるということである。実際、対照ボックスにおける変動は35〜55%の範囲に収まっているが、サンプルC1は優れた湿度制御を示し、44±1%の値を維持する。一方、乾燥剤ボックスのサンプルは、激しく箱の中の湿度を減少させ、全試験期間において10%よりわずかに低い値を維持することから、本発明の組成物によって提示される調節特性とは程遠く、明らかに従来の乾燥剤として作用している。
【0073】
<実施例9>
[力学的特性の評価]
本発明の組成物の力学的特性を、ヨーロッパ標準ISO 527-3に準拠した動力計を用いて評価した。実施例1に記述される方法に従って、サンプルを合成し、23℃、相対湿度40%、又は40℃、相対湿度75%でコンディショニングした。その後、20×150 mm、厚さ2.0 mmを測定して分け、細片を作成した。
【0074】
これらのサンプルを、2つの適切なクランプを用いて動力計に設置し、一定の伸張、100 mm/分を破損するまで与えた。この試験により、表5に示すヤング率及び引張強度の両方を算出する。
【0075】
【表6】
【0076】
得られた結果を考慮すると、本発明の対象の組成物の力学的特性は、ゲル状材料と同等であるとみなされる。