特許第6363641号(P6363641)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6363641
(24)【登録日】2018年7月6日
(45)【発行日】2018年7月25日
(54)【発明の名称】現像装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/08 20060101AFI20180712BHJP
【FI】
   G03G15/08 366
【請求項の数】9
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-29601(P2016-29601)
(22)【出願日】2016年2月19日
(65)【公開番号】特開2016-206651(P2016-206651A)
(43)【公開日】2016年12月8日
【審査請求日】2016年10月11日
(31)【優先権主張番号】特願2015-84134(P2015-84134)
(32)【優先日】2015年4月16日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000208743
【氏名又は名称】キヤノンファインテックニスカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000718
【氏名又は名称】特許業務法人中川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】名倉 英雄
(72)【発明者】
【氏名】中島 良
(72)【発明者】
【氏名】田中 智博
【審査官】 平田 佳規
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−096957(JP,A)
【文献】 特開2008−058814(JP,A)
【文献】 特開2013−246403(JP,A)
【文献】 特開2009−157000(JP,A)
【文献】 特開2007−219410(JP,A)
【文献】 米国特許第6026263(US,A)
【文献】 特開2005−352418(JP,A)
【文献】 特開2002−040788(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/08− 15/095
G03G 15/00− 15/01
G03G 21/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸部を含む回転軸部材と、
前記回転軸部材に保持されるシート部材であって、
前記回転軸部材の回転軸に沿った第1の方向に現像剤を搬送する、該第1の方向に向かって前記回転軸部材の回転半径方向の開口幅が広がる第1の開口部である第1の現像剤搬送部と、前記回転半径方向において前記第1の現像剤搬送部より前記回転軸に近い位置に配置されるとともに前記回転軸の軸方向において少なくとも一部が前記第1の現像剤搬送部と重なって配置され、前記第1の方向とは逆の第2の方向に現像剤を搬送する、該第2の方向に向かって前記回転半径方向の開口幅が広がる第2の開口部である第2の現像剤搬送部と、を備えたシート部材と、
前記回転軸部から前記回転半径方向に延在して配置され、先端が前記第1の現像剤搬送部の設けられた領域内まで配される第1の補強部と、
前記回転軸部から前記回転半径方向に延在して配置され、先端が前記第2の現像剤搬送部の設けられた領域内まで配される第2の補強部と
を含む補強ユニットと、
を有することを特徴とする現像装置。
【請求項2】
現像剤担持体を有するとともに、前記回転軸部材に保持された前記シート部材の回転によって前記現像剤担持体へ向けて現像剤を搬送し、前記第1の補強部と前記第2の補強部は、前記現像剤担持体へ向けた現像剤の搬送量に基づいて前記回転軸部からの長さが設定されることを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記第1の補強部と前記第2の補強部は前記軸方向において前記前記第1の開口部および前記第2の開口部が配されていない領域に設けられていることを特徴とする請求項1または請求項に記載の現像装置。
【請求項4】
前記現像装置として請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の現像装置を有し、 像担持体に形成した静電潜像を現像装置により現像して画像形成することを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
回転軸部を含む回転軸部材と、
前記回転軸部材に保持され、前記回転軸部材の回転軸に沿った第1の方向に現像剤を搬送する、該第1の方向に向かって前記回転軸部材の回転半径方向の開口幅が広がる第1の開口部である第1の現像剤搬送部と前記第1の現像剤搬送部より前記回転軸に近い位置で前記第1の方向とは逆の第2の方向に現像剤を搬送する、該第2の方向に向かって前記回転半径方向の開口幅が広がる第2の開口部である第2の現像剤搬送部とを備えたシート部材と、
前記回転軸部から前記回転半径方向に延在し前記シート部材を補強する複数の補強部を有する補強ユニットであって、前記シート部材の前記回転軸に沿った方向の両端部をそれぞれ補強する端部補強部と、前記端部補強部の間に設けられ、前記端部補強部よりも長さの短い内部補強部と、を含む補強ユニットと、
を有することを特徴とする現像装置。
【請求項6】
前記第1の現像剤搬送部及び前記第2の現像剤搬送部として開口部を有し、該開口部は、前記シート部材に設けられた前記回転軸の軸方向に突出する突出部に対し前記回転半径方向において内側および外側に隣接する開口と前記軸方向において前記突出部の先端と隣接する開口とが接続したものであることを特徴とする請求項5に記載の現像装置。
【請求項7】
回転軸部を含む回転軸部材と、
前記回転軸部材に保持されるシート部材であって、
前記回転軸部材の回転軸に沿った第1の方向に現像剤を搬送する第1の現像剤搬送部と、前記回転軸部材の回転半径方向において前記第1の現像剤搬送部より前記回転軸に近い位置に配置されるとともに前記回転軸の軸方向において少なくとも一部が前記第1の現像剤搬送部と重なって配置され、前記第1の方向とは逆の第2の方向に現像剤を搬送する第2の現像剤搬送部と、をシート中に備え、前記第1の現像剤搬送部及び前記第2の現像剤搬送部として、現像剤の搬送方向に向かって開口幅が拡がる三角形状又は台形形状の開口部を含むシート部材と、
前記回転軸部から前記回転半径方向に延在して配置され、先端が前記第1の現像剤搬送部の設けられた領域内まで配される第1の補強部と、
前記回転軸部から前記回転半径方向に延在して配置され、先端が前記第2の現像剤搬送部の設けられた領域内まで配される第2の補強部と
を含む補強ユニットと、
を有することを特徴とする現像装置。
【請求項8】
回転軸部を含む回転軸部材と、
前記回転軸部材に保持されるシート部材であって、
前記回転軸部材の回転軸に沿った第1の方向に現像剤を搬送する第1の現像剤搬送部と、前記回転軸部材の回転半径方向において前記第1の現像剤搬送部より前記回転軸に近い位置に配置されるとともに前記回転軸の軸方向において少なくとも一部が前記第1の現像剤搬送部と重なって配置され、前記第1の方向とは逆の第2の方向に現像剤を搬送する第2の現像剤搬送部と、をシート中に備え、前記第1の現像剤搬送部及び前記第2の現像剤搬送部として、現像剤の搬送方向に向かって開口幅が狭くなる三角形状又は台形形状の切り込みを含むシート部材と、
前記回転軸部から前記回転半径方向に延在して配置され、先端が前記第1の現像剤搬送部の設けられた領域内まで配される第1の補強部と、
前記回転軸部から前記回転半径方向に延在して配置され、先端が前記第2の現像剤搬送部の設けられた領域内まで配される第2の補強部と
を含む補強ユニットと、
を有することを特徴とする現像装置。
【請求項9】
回転軸部を含む回転軸部材と、
前記回転軸部材に保持されるシート部材であって、
前記回転軸部材の回転軸に沿った第1の方向に現像剤を搬送する第1の現像剤搬送部と、前記回転軸部材の回転半径方向において前記第1の現像剤搬送部より前記回転軸に近い位置に配置されるとともに前記回転軸の軸方向において少なくとも一部が前記第1の現像剤搬送部と重なって配置され、前記第1の方向とは逆の第2の方向に現像剤を搬送する第2の現像剤搬送部と、をシート中に備え、前記第1の現像剤搬送部及び前記第2の現像剤搬送部として、前記軸方向に突出する突出部に対し前記回転半径方向において内側および外側に隣接する開口と前記軸方向において前記突出部の先端と隣接する開口とが接続した開口部を含むシート部材と、
前記回転軸部から前記回転半径方向に延在して配置され、先端が前記第1の現像剤搬送部の設けられた領域内まで配される第1の補強部と、
前記回転軸部から前記回転半径方向に延在して配置され、先端が前記第2の現像剤搬送部の設けられた領域内まで配される第2の補強部と
を含む補強ユニットと、
を有することを特徴とする現像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式等を採用した複写機やプリンタ、あるいはファクシミリ等の画像形成装置に使用される現像装置の搬送ユニットに関し、特に簡単な構成で現像剤を撹拌しつつ搬送して供給することが可能な搬送ユニットを備えた現像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真画像形成装置において、現像装置に収容されている現像剤が使用されて消費された場合に、新たに現像剤を補給する現像剤補給方式が用いられている。現像剤補給方式としては、電子写真画像形成装置に着脱自在なトナーボトルのような現像剤補給容器を交換することにより、現像剤を補給する方式が用いられている。
【0003】
例えば、特許文献1には、劣化して帯電量の低いトナーを現像装置内に偏って堆積させないように、回転軸のまわりに螺旋状の部材を取り付けた2本の搬送部材を並べて配置し、現像剤の循環経路を形成する現像装置が記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、トナー収容部のトナーをトナー供給部へ搬送する撹拌部材の回転撹拌羽根に形成される舌状の撓み方向を常に一定に維持することで、トナーを中央に寄せることのできるトナー供給装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−30084号公報
【特許文献2】特開2010−32754号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された現像装置は、2本の螺旋状の回転部材を設けているため、それぞれを回転駆動させるための構造が必要となり、装置の複雑化、大型化、高コスト化を招くといった課題があった。
【0007】
また、特許文献2に記載されたトナー供給装置は、容器内端部に残留するトナーを容器中央部に寄せることでトナーの撹拌を行うもので、撹拌部材の回転軸方向端部側への十分な撹拌ができないため、濃度ムラの無い画像を得ることができないといった課題があった。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するため、現像剤収容容器内の現像剤を撹拌部材の回転軸方
向に十分に撹拌できる画像形成装置の現像装置を、簡単な構成で提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は、回転軸部を含む回転軸部材と、前記回転軸部材に保持されるシート部材であって、前記回転軸部材の回転軸に沿った第1の方向に現像剤を搬送する、該第1の方向に向かって前記回転軸部材の回転半径方向の開口幅が広がる第1の開口部である第1の現像剤搬送部と、前記回転半径方向において前記第1の現像剤搬送部より前記回転軸に近い位置に配置されるとともに前記回転軸の軸方向において少なくとも一部が前記第1の現像剤搬送部と重なって配置され、前記第1の方向とは逆の第2の方向に現像剤を搬送する、該第2の方向に向かって前記回転半径方向の開口幅が広がる第2の開口部である第2の現像剤搬送部と、を備えたシート部材と、前記回転軸部から前記回転半径方向に延在して配置され、先端が前記第1の現像剤搬送部の設けられた領域内まで配される第1の補強部と、前記回転軸部から前記回転半径方向に延在して配置され、先端が前記第2の現像剤搬送部の設けられた領域内まで配される第2の補強部とを含む補強ユニットと、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、現像剤収容容器内の現像剤を撹拌部材の回転軸方向に十分に撹拌できる画像形成装置の現像装置を、簡単な構成で提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る現像装置の概略図である。
図2】現像剤容器にトナーボトルを取り付けた構成内部を上部から見た模式図である。
図3】シート部材の搬送面に形成された開口部を示す模式図である。
図4図3の現像剤搬送手段による現像剤の搬送方向を示す模式図である。
図5】シート部材の搬送面に形成された開口部の他の態様を示す模式図である。
図6】補強部材が配設されたシート部材の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施形態を詳しく説明する。
【0013】
〔第1実施形態〕
(現像装置の構成)
図1は本発明に係る現像装置1の概略図である。
【0014】
現像装置1は、電子写真方式等を採用した複写機やプリンタ、あるいはファクシミリ等の画像形成装置に使用される装置である。現像剤収容容器としての現像剤容器2は、不図示の像担持体である感光ドラム表面に形成された静電潜像を可視化するための現像剤を担持搬送するための磁石が内包された現像剤担持体としての現像ロール3を有する。
【0015】
また、現像装置1は、現像剤としてのトナー8を帯電させるとともに現像ロール3の表面に形成されたトナー層を規制する現像ブレード4と、現像ロール3にトナー8を供給するトナー搬送部材5と、を有している。さらに、現像剤収容部内の現像剤を搬送する部材として、現像剤容器2には、トナー搬送部材5へトナー8を搬送する搬送ユニット6を備えている。
【0016】
トナーボトル7は、現像剤容器2に対して着脱可能な現像剤補給部であり、その現像剤補給部内には磁性一成分トナー8が収容され、現像剤容器2へのトナー8の補給が行われる開口であるトナー補給口9を有する。また、トナーボトル7は、その内部で回転可能な撹拌部材10を有する。撹拌部材10は、トナーボトル7のトナー8を、トナー補給口9を介して現像剤容器2へ供給する。供給されたトナー8は、現像剤容器2の内部で回転する搬送ユニット6によって、撹拌されながら現像ロール3側へと搬送される。
【0017】
図2は、搬送ユニット6が有する複数の現像剤搬送手段を説明する模式図であり、現像剤容器2にトナーボトル7をトナー補給口9と搬送ユニット6とが対向可能となるように取り付けた構成の内部を、上部から見た模式図である。
【0018】
搬送ユニット6は、現像ロール3の回転軸方向と同じ方向に沿って延在する回転軸部材12と、その回転軸部材12に対して直交する方向の辺と回転軸部材12の軸方向の辺とを有する搬送面13を備えたシート部材14と、を有している。シート部材14は、回転軸部材12に取り付けられて、現像剤収容部である現像剤容器2の内部を、回転軸部材12を中心に回転可能に設けられている。そして、シート部材14の回転移動によって、シート部材14の回転端側が現像剤であるトナー8を現像剤容器2から現像ロール3側へ搬送する。
【0019】
また、シート部材14は、回転半径方向における回転中心側端部から回転先端側端部までの間に、回転軸部材12の軸方向にトナー8を搬送する現像剤搬送手段15、16を有している。シート部材14が1枚の場合には、軸方向の同じ部分に同時に負荷が作用するが、これを複数枚のシート部材14にすることで負荷分散を図ることができる。
【0020】
シート部材14として、回転軸部材12に対して、回転軸部材12の周囲に異なる回転角度を設けながら、第1の搬送部材としての第1のシート部材141と第2の搬送部材としての第2のシート部材142との2枚が配設されている。複数枚のシート部材14は、回転軸部材12の周囲に等しい回転角度差をもって配置することより、回転方向での負荷をより均等に分散することができる。
【0021】
さらに、第1のシート部材141と第2のシート部材142は、回転軸部材の回転方向に関して重複しない位置関係となるように、回転軸部材12の軸方向にずらして、回転軸部材12に配設されている。そして、2つのシート部材141、142の軸方向中央側の端がトナー補給口9と対向するように、それぞれのシート部材141、142が配設されている。
【0022】
現像剤容器2には、搬送ユニット6の回転軸部材12より下方に、トナー補給口9からトナー搬送部材5へ搬送されるトナー8が貯留されている。また、各シート部材141、142の搬送面13には、回転軸部材12の回りをトナー補給口9から現像剤容器2の内部下方を経てトナー搬送部材5の方向へ回転することで、回転軸部材12の軸方向に沿ってトナーを搬送移動させる複数の現像剤搬送手段を備えている。
【0023】
(現像剤搬送手段の構成)
この複数の現像剤搬送手段としては、第1のシート部材141と第2のシート部材142とのそれぞれの搬送面13に、回転軸部材12の軸方向に沿って延在する、第1の現像剤搬送手段15と第2の現像剤搬送手段16が形成されている。そして、2つのシート部材141、142の第1の現像剤搬送手段15は、それぞれ、第2の現像剤搬送手段16よりも回転軸部材12の回転半径方向における回転先端の側に併設して配置されている。
【0024】
第1の現像剤搬送手段15と第2の現像剤搬送手段16とは、シート部材14の現像剤搬送面13に、以下に述べるような所定形状の開口部17がそれぞれ列状に複数配置されている。これにより、第1の現像剤搬送手段15によるトナー8の搬送方向と第2の現像剤搬送手段16によるトナー8の搬送方向とは回転軸部材12の軸方向に関して互いに逆方向となるように構成されている。
【0025】
開口部17は、軸方向に沿ったトナー搬送方向に直交する向きの開口の大きさ(開口幅)が大きくなるような形状を有している。搬送面13が回転軸部材12の軸回りを回動すると、搬送面13に押し動かされるトナー8が搬送面13の表側から裏側(回転方向の前方から後方)へ向けて開口部17を抜ける際に、開口部17の開口幅の小さい方から大きい方へ移動する。このトナー8の移動によって、所定の方向へのトナー搬送力が生じる。このようにして、回転する搬送面13に対するトナー8からの圧力が小さくなる方向へ、すなわち、開口幅が大きくなる方向へ、トナー8が搬送面13に押されて移動することで、所定方向へのトナー搬送が行われる。
【0026】
(開口部の構成)
図3は、現像剤搬送手段としての2つのシート部材141、142のそれぞれの搬送面13に形成された開口部17を示す模式図である。
【0027】
開口部17は、搬送面13が受けるトナー8の圧力が小さくなるように開口幅が大きくなるような、トナー8を搬送する方向とは逆方向に三角形の頂点が向いている形状(トナー8の搬送方向に向かって開口幅が拡がる形状)である。また、シート部材141、142のそれぞれの第1の現像剤搬送手段15の複数の開口部17の三角形の頂点の向きと、第2の現像剤搬送手段16の複数の開口部17の三角形の頂点の向きとは、互いに逆の関係になっている。
【0028】
さらに、第1のシート部材141の第1の現像剤搬送手段15の開口部17と第2のシート部材142の第1の現像剤搬送手段15の開口部17とは、回転軸部材12の軸方向に関して同じ方向を向いている。また、同様に、第1のシート部材141の第2の現像剤搬送手段16の開口部17と第2のシート部材142の第2の現像剤搬送手段16の開口部17とは、回転軸部材12の軸方向に関して同じ方向を向いている。
【0029】
図4は、図3の現像剤搬送手段15、16による現像剤8の搬送方向を示す模式図である。
【0030】
図3の構成により、2つのシート部材141,142のそれぞれの第1の現像剤搬送手段15に一方端側に搬送された現像剤8は、それぞれの第2の現像剤搬送手段16によって、反対側の端部側へ向かって循環するように搬送される。その結果、現像剤搬送手段15、16は、搬送ユニット6の回転に伴って、2つのシート部材141、142の搬送面13の面に沿ったトナー搬送経路を形成する。
【0031】
まず、第1のシート部材141の搬送面13の面に沿って第1の現像剤搬送手段15で回転軸部材12の軸方向の一方端側へ搬送されたトナー8は、次に回転して来る第1のシート部材141の第2の現像剤搬送手段16で軸方向の中央側へ搬送される。そして、次に回転して来る第2のシート部材142の第2の現像剤搬送手段16によって、軸方向の端側へ搬送される。その後、次に回転して来る第2のシート部材142の第1の現像剤搬送手段15によって再び軸方向の中央側へ搬送される。
【0032】
この構成により、現像剤容器2の端部でのトナー8の滞留を防止して、より均一化されるようにトナー8を撹拌することが、搬送ユニットの損傷を抑えつつ行うことができる。
【0033】
また、上述した各実施態様及び本実施態様で得られる効果であるトナー8の均一化された撹拌状態は、軸方向におけるトナー8の反射濃度の変化が小さいことで確認された。
【0034】
図5は、開口部17の他の態様を示す模式図である。
【0035】
上述した各実施形態では、開口部17として三角形の形状の開口を用いたが、開口の形状としてはこれに限られず、図5(a)から(f)に示したような構成であってもよい。2つのシート部材141、142の搬送面13に形成された開口部17及び切込み部18の形状は、現像剤容器2の内部での搬送ユニット6の回転によって上述の各実施態様にあるようなトナー8の移動を生じさせる形状であれば良い。
【0036】
図5(a)は、開口部17として、三角形の形状に代わる台形の形状を説明する模式図である。各図中の矢印は回転軸部材12の軸方向に沿ってトナー8を搬送させる方向を示している。
【0037】
この開口部17は、トナー8を搬送させたい方向に関して、開口の大きさ(開口幅)が大きくなるように(トナー8の搬送方向に向かって開口幅が拡がるように)、台形形状を搬送面13に配置するものである。すなわち、トナー8を搬送させたい方向に、台形の上底から下底が位置するように、台形形状の開口部17が2つの現像剤搬送手段15、16の三角形の開口部17のそれぞれに代わって設けられても、同様のトナー8の撹拌効果を奏する。
【0038】
図5(b)から(d)は、開口部17に代わる切込み部18を説明する模式図である。
【0039】
2つの現像剤搬送手段15、16には、トナー8を搬送させたい方向に向かって搬送ユニット6が回転軸部材12を中心とする回転方向の後方に撓んで開口が形成されるような切込み部18が形成されていてもよい。
【0040】
切込み部18は、搬送ユニット6の回転に伴って2つのシート部材141、142の搬送面13が撓み部19となって、受けるトナー8からの圧力により、切り込みの無い方から切込み部18の撓み片先端側へトナー8が移動するような形状である。トナー8からの圧力が搬送面13に加わった際に、撓み部19が撓むことで切込み部18の開口が形成される方向へトナー8が移動することで、トナー8をそれぞれの所定の方向へ搬送するものである。
【0041】
切込み部18に、撓み部19が撓むことで形成される開口部の形状は、コ字形状、あるいは、トナー8の搬送方向に向かって開口幅が狭くなるような三角形状や台形形状でも良い(図5(b)、(c)、(d))。
【0042】
コ字形状の切り込みの場合は、切り込みの無い側から対向する切り込みされた辺側へトナー8からの圧力で撓む。このようにして、トナー8が撓んだ切込み部18へ移動することにより、トナー8の搬送ができる。
【0043】
三角形状の切り込みの場合は、トナー8からの圧力で撓み易いように、三角形の底辺側から頂点側へ切り込みを形成し、その方向にトナー8を搬送する。
【0044】
台形形状の切り込みの場合は、同様の理由で下底側から上底側へ切り込みを形成し、その方向にトナー8を搬送する。台形形状は、三角形状の場合よりも辺の数が多いので、トナー搬送方向に直交する向きの開口の大きさ(開口幅)を容易に調整できるので、回転軸部材12の軸方向に沿ってトナーを搬送移動するトナー搬送量の調整を容易に行える。
【0045】
なお、図5(a)と図5(b)(c)(d)では開口幅に対するトナー8の搬送移動方向が相反しているが、これは切込み部18によるトナー8の搬送力が開口幅の差によるトナー8の搬送力を上回るためである。
【0046】
また、図5(e)及び(f)は、開口部17のトナー搬送方向下流側の辺から上流側へ向けて、開口部17の開口部分を残しつつ、先細る形状の撓み部19を設けた構成を説明する模式図である。この開口部17は、開口部17の開口の大きさより小さく、現像剤の搬送方向に向って先細る形状の撓み部19を開口部17の内部に突出させたものである。図5(e)は先細る形状の撓み部19として三角形状、図5(f)は台形状を用いたものである。
【0047】
このような撓み部19とそのトナー搬送方向下流側に開口部分を残す構成とすることで、撓み部19が撓むことで生じるトナー8の所定方向への搬送を行うとともに、回転するシート部材14が受けるトナー8からの負荷を適度に軽減して現像ロール3側へのトナー搬送性も阻害しないようにすることができる。
【0048】
ここで、開口部分が大きくなると、トナー8の所定方向の搬送の方を阻害することになるので、開口部分の大きさは、トナー8の物性やシート部材14の回転速度といった条件を含め、撓み部19の大きさやその材質の剛性との関係で適切な大きさを選択する。
【0049】
(補強部の構成)
図6は本発明に係る搬送ユニット6の概略図である。
【0050】
搬送ユニット6は、現像ロール3の回転軸方向と同じ方向に沿って延在する回転軸部材12と、その回転軸部材12に対して直交する方向の辺と回転軸部材12の軸方向の辺とを有する搬送面13を備えたシート部材14と、を有している。シート部材14は、回転軸部材12に取り付けられて、現像剤収容部である現像剤容器2の内部を、回転軸部材12を中心に回転可能に設けられている。
【0051】
シート部材14の回転軸部材12の軸方向の辺とは、回転軸部材12に取り付けられた回転中心側端部22の辺と、その回転中心側端部22の辺と対向する回転先端側端部23の辺と、をいい、搬送ユニット6の回転によりトナー8を現像ロール3側へ向けて搬送する際に、シート部材14の回転先端側端部23が現像剤容器2に収容される現像剤であるトナー8の貯留している部分に侵入し、トナー8をすくって現像剤容器2から現像ロール3側へ搬送する。
【0052】
ここで、現像ロール3側へトナー8を搬送する際に、シート部材14のトナー搬送面13に負荷がかかることでシート部材14が撓み過ぎると、現像ロール3側へのトナー搬送性が減少する。
【0053】
また、軸方向へのトナー8の撹拌についても、シート部材14が撓み過ぎると、開口部17がトナー8への侵入方向に対して傾くことによりトナー8に対する投影面積が減少するため、移動するトナーが減少して撹拌性が低下する。
【0054】
シート部材14の撓みは、現像ロール3側へのトナー搬送性に基づいて、シート部材14に当接する補強部の長さによって調整する。このときすべての補強部を同じ長さとすると、シート部材142の搬送ユニット6の回転中心から遠い第1の現像剤搬送手段15の領域の剛性は、搬送ユニット6の回転中心から近い第2の現像剤搬送手段16の領域の剛性よりも低くなる。そのため、第1の現像剤搬送手段15と第2の現像剤搬送手段16で撓みに差が生じ、搬送ユニット6の回転軸に沿った第1の軸方向とその逆の第2の軸方向におけるトナー8の搬送力にも差が生じて、トナー8の搬送性が不均一となってしまう。
【0055】
そこで、搬送ユニット6は、第1の現像剤搬送手段15による第1の軸方向へのトナー8の搬送力と第2の現像剤搬送手段16による第2の軸方向へのトナー8の搬送力の不均一が緩和されるように、第1の補強部20と第2の補強部21の補強度を異ならせて調整する。またこのとき、シート部材14の撓み部19がトナー8の現像ロール3側への搬送性も保てるように調整する。これにより、搬送ユニット6は、現像剤容器2のトナー8を搬送ユニット6の回転軸方向に十分に撹拌でき、且つ搬送ユニット6の半径方向の現像ロール3側へのトナー8の搬送性も調整できる構成となる。
【0056】
さらに、図6を用いてその構成の詳細を説明する。
【0057】
図6のシート部材141、142には、図5(e)の開口部17と、その開口部17の開口内部で撓むシート状の撓み部19と、が配設されている。
【0058】
第1のシート部材141と第2のシート部材142とのそれぞれの搬送面13には、回転軸部材12の回転軸方向に沿って開口部17と撓み部19とを、所望の方向にトナーを搬送するように列状に配列した第1の現像剤搬送手段15と、第1の現像剤搬送手段15によるトナー搬送方向とは逆方向にトナーを搬送するように開口部17と撓み部19とを配列した第2の現像剤搬送手段16と、が形成されている。
【0059】
第1の現像剤搬送手段15は、第2の現像剤搬送手段16よりも回転軸部材12の回転半径方向における回転先端の側に併設して配置されている。そして、例えば、トナー8は、シート部材141の第1の現像剤搬送手段15により回転軸部材12の回転軸方向端部側へ向かって搬送され、さらに第2の現像剤搬送手段16により回転軸部材12の回転軸方向中央側へ向かって搬送される。
【0060】
シート部材141、142には、回転軸部材12に対する回転中心側端部22からシート部材141、142の回転先端側端部23の方向(シート部材141、142の回転半径方向)へ延在する2種類の補強部20、21が設けられている。
【0061】
シート部材141、142は可撓性の材質で構成されており、回転時にトナー8から受ける負荷によって回転方向後方へ大きく撓んでしまう。この場合には、シート部材141、142の回転によるトナー8の現像ロール3側への搬送力と第1の現像剤搬送手段15による軸方向への搬送力は低下してしまう。第1の補強部20は、この撓みを調整するためのものであって、シート部材141、142の剛性と同等以上の剛性を有する材料で構成される。
【0062】
第1の補強部20は、シート部材141、142の開口部17ではない部分で回転中心側端部22から第1の現像剤搬送手段15が設けられた領域まで配されている。
【0063】
第2の補強部21は、第1の補強部20と合わせてシート部材141、142の撓み量を調整すると共に、第2の現像剤搬送手段16による第1の現像剤搬送手段15とは逆方向のトナー搬送力を調整するためのものである。
【0064】
第2の補強部21は、シート部材141、142の開口部17ではない部分で回転中心側端部22から第2の現像剤搬送手段16が設けられた領域まで配されている。第2の補強部21は、第1の補強部20よりも短いものとなっている。
【0065】
第2の補強部21は、回転中心側端部22からの長さやシート部材141、142の剛性と同等以上の剛性を有する材料の選択により、上述の撓み量の調整を行うことができる。即ち、第2の補強部21の長さを長くすること、又は剛性を高めることにより、シート部材141、142の回転時の撓みを小さくすることができる。
【0066】
第1の補強部20及び第2の補強部21は、回転軸部材12形成する際に同時に形成して得られる。もしくは、所定の剛性を有する材料で形成した細長い部材を回転軸部材12または上述したシート部材141、142の位置に取り付けて、第1の補強部20及び第2の補強部21としてもよい。さらには、シート部材141、142を形成する際に、上述したシート部材141、142の位置のシート厚を厚く形成し、第1の補強部20及び第2の補強部21としてもよい。
【0067】
〔第2実施形態〕
第1実施形態で説明した、第1の補強部20及び第2の補強部21を有する搬送ユニット6は、現像剤容器2に交換可能に装着される現像剤補給容器としてのトナーボトル(トナーカートジッジ)7の内部に、回転可能に設けられた撹拌部材10としても用いることができる。
【0068】
撹拌部材10は、トナーボトル7内のトナー8を撹拌しなから、現像剤容器2へ供給するためのトナー補給口へトナー8を搬送するものであるが、第1実施形態で説明した構成を用いることにより、効率よくトナーボトル7内のトナー8を現像剤容器2へ供給することができるようになる。
【符号の説明】
【0069】
1・・・現像装置
2・・・現像剤容器
3・・・現像ロール
4・・・現像ブレード
5・・・トナー搬送部材
6・・・搬送ユニット
7・・・トナーボトル
8・・・トナー
9・・・トナー補給口
10・・・撹拌部材
11・・・補給口連絡領域
12・・・回転軸部材
13・・・搬送面
14・・・シート部材
15・・・第1の現像剤搬送手段
16・・・第2の現像剤搬送手段
17・・・開口部
18・・・切込み部
19・・・撓み部
20・・・第1の補強部
21・・・第2の補強部
22・・・回転中心側端部
23・・・回転先端側端部
141・・・シート部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6