(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6363710
(24)【登録日】2018年7月6日
(45)【発行日】2018年7月25日
(54)【発明の名称】内燃焼機関のためのピストン
(51)【国際特許分類】
F02F 3/00 20060101AFI20180712BHJP
F02F 3/04 20060101ALI20180712BHJP
F16J 1/16 20060101ALI20180712BHJP
【FI】
F02F3/00 Z
F02F3/04
F02F3/00 M
F16J1/16
【請求項の数】7
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-532323(P2016-532323)
(86)(22)【出願日】2014年7月30日
(65)【公表番号】特表2016-532047(P2016-532047A)
(43)【公表日】2016年10月13日
(86)【国際出願番号】EP2014066380
(87)【国際公開番号】WO2015018712
(87)【国際公開日】20150212
【審査請求日】2017年3月30日
(31)【優先権主張番号】102013215538.7
(32)【優先日】2013年8月7日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510330840
【氏名又は名称】フェデラル−モグル ニュルンベルク ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】フレーデ,ケイ
(72)【発明者】
【氏名】マインハルト,マリアン
【審査官】
木村 麻乃
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2007/0095200(US,A1)
【文献】
特表平10−505146(JP,A)
【文献】
米国特許第05653156(US,A)
【文献】
実開昭55−114327(JP,U)
【文献】
特開2007−263058(JP,A)
【文献】
特表2010−510434(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0012073(US,A1)
【文献】
特開平04−076254(JP,A)
【文献】
特開2010−071122(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0065009(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02F 3/00
F02F 3/04
F16J 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピストンピンを支持するための、個別の円筒状の支持面を有する内燃焼機関のためのピストンであって、
少なくとも2つの前記支持面間に、前記支持面の中心軸に沿って前記ピストンを二等分する垂直面の両側に対称に配置される一対の凹部が設けられ、前記凹部のそれぞれは、2つの対向する前記支持面間の距離の半分の少なくとも10%の径方向の深さを有し、
リング領域近くに位置する前記支持面が、約40°〜90°の角度を有する対向する前記支持面よりも、前記ピストンの周方向において、より大きな角度をカバーする、
ピストン。
【請求項2】
前記リング領域近くに位置する前記支持面は、前記ピストンピンの軸の方向に延伸される、請求項1に記載のピストン。
【請求項3】
収容される前記ピストンピンと対向して存在する側部における前記凹部は、ストラットによってそれぞれ区切られ、前記凹部に対向する前記ストラットの側部において、別の凹部がそれぞれ形成される、請求項1又は2に記載のピストン。
【請求項4】
少なくとも1つの前記ストラットは、前記リング領域近くの領域よりも前記リング領域から離間した領域において、より狭く作られる、請求項3に記載のピストン。
【請求項5】
前記ストラットは、前記リング領域に向かって収束するように作られる、請求項3又は4に記載のピストン。
【請求項6】
前記ピストンは、前記リング領域に対向する端部において、シャフト壁と、前記リング領域から離間して存在する前記支持面とを接続する、楕円状のリングを有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載のピストン。
【請求項7】
前記少なくとも1つのストラットは、前記リング領域及び/又は前記リングに対するクロスオーバにおいて少なくとも1つの補強リブを有する、請求項4を引用する請求項6に記載のピストン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃焼機関のためのピストンに関する。
【0002】
内燃焼機関ピストンは、それぞれ、燃料混合物の点火後に並進的に動かされるように、かつ、ピストンピン及びコネクティングロッドを介して運動エネルギーをクランク軸に移動させるように機能する。それらの要件を満たすために、ピストンは、燃焼室近くに存在する領域にリング領域を有する。ピストンピンを収容するために、ピンハブが設けられ、平面にはシャフト壁がある。該平面は、通常、横支柱(lateral support)として機能するピンハブ(pin hubs)に対して垂直である。上述の機能領域、つまり、リング領域、ピンハブ及びシャフト壁は、シャフト壁間で延伸するいわゆる接続又は側壁によって一般的に接続される。シャフト壁は、それぞれ、ピンハブを収容し、かつ、追加的にリング領域を支持するように機能する。
【0003】
当該技術分野において、圧縮高さ、つまり、燃焼室に向けられたリング領域の端部と、ピストンピンの中央との間の距離を減らすことが好ましい。これは、このようにすることで重さを減らすことができるからである。しかしながら、ピストンの剛性を考慮すると、需要を満たす要件の目的とは矛盾してしまう。
【背景技術】
【0004】
先行技術において、種々のピストン構成は、圧縮高さ及び重さを少なく維持するように、幅広い種類の測定を行うことにより試行されてきたものと共に公知である。例えば、これは、接続壁における大規模な「ウィンドウ」を用いて、独国特許出願公開第102009032861A1号に従ったピストンと共に行われる。
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、圧縮高さ及び/又は重さに関して更に向上した内燃焼機関のためのピストンを考案することである。
【0006】
当該目的は、請求項1に記載されたピストンによって達成される。
【0007】
それ故、通常の略円筒状のピンハブの代わりに、このピストンは、シリンダ内面の部分に実質的に対応する個別の支持面(discrete support surfaces)を有する。少なくとも2つのそのような支持面間には、2つの対向する支持面間の距離の半分の少なくとも10%の(径方向の)深さを有する凹部が設けられる。2つの対向する支持面間の距離の半分は、収容される典型的な円筒状ピストンピンの半径を指し、ピストンピンの径方向で測定された凹部の深さは、それ故、通常のピストンピン寸法でミリメートルの規模(order of magnitude of millimeters)である。つまり、これは、ピンハブの部分が以前設けられていた位置においてクリアで(clear)大規模なウィンドウを生じさせる。特に、ピストン軸の方向で考慮すると、ピストンピンが上方領域、つまりリング領域に近い領域と、リング領域に対向して存在する下方領域とにおいて支持されれば、十分であるということが、当初の計算で生じた。ある程度まで、記載した「ウィンドウ」は、後者の側部、そして、特に下位半分に形成されることができ、重さを大幅に減らすことができる。本発明に従ったピストンの応力振幅は、有限要素により決定され、かつ、以前の通常のピストン設計と比較されてきた。ここで、ピン平面内のボウルの縁部における応力振幅は、ほぼ20%未満で、ピン平面内のボウルの底部における応力振幅及び後者に垂直な平面内のボウルの縁部における応力振幅も、5%〜10%の規模(order of magnitude of 5% to 10%)だけ少ない。
【0008】
更に、上記の支持面の領域にのみピストンを固定するために、リングのために固定溝が形成され得る。また、この方法でピストンピンの十分な固定が保証されるということがわかった。
【0009】
本発明に従ったピストンに関し、更に冷却チャネルを備えることができるということが言及されるべきであり、この場合、製造方法として鋳造(casting)が好ましい。更に言及すべきこととして、記載された構造、つまり、ストラット(struts)、リブ及び/又はリングは、離型(demoulding)が適切な鋳造器具における製造の場合に保証され得るように、例えば、適切な離型斜面(demoulding inclines)により形作られ得る。しかし、鍛造(forging)による製造も考えられ、この場合、好ましい材料はスチールある。しかし、製造方法とは別に、アルミニウム又はアルミニウム合金も本発明に従ったピストンのための材料として考えられ得る。シャフト壁は、それらの通常の「下方の」領域よりも、リング領域へのそれらの接続の領域においてより広い。しかし、ある応用では、シャフト壁も逆に設計され得る。つまり、それらは、リング領域へのそれらの接続の領域よりも、通常の延伸において、幅がより広くてよい。特に、シャフト壁の大きさは、伝達される横方向の力へと調整され得る。
【0010】
本発明に従った凹部の深さに関し、それは、ピストンピン半径の50%まででよい。一般に、本発明に従ったピストンは、以前の通常の側壁を備えずに必要な剛性及び力の流束(flux of forces)を生成する基本的な考えや、それによって重さを減らしたり、圧縮高さを減らしたりする基本的な考えに基づく。本発明に従ったピストンは、円筒状ピストンピンと組み合わせられることが好ましい。
【0011】
本発明に従ったピストンの好ましい更なる発展(developments)が、他の請求項に記載される。
【0012】
リング領域の近くに位置する支持面は、約40°〜90°、好ましくは約60°だけの角度が、現在設けられている対向する支持面よりも、ピストンピンの周方向において、より大きな角度、特に120°〜180°、好ましくは150°〜170°の角度をカバーすることが現在好ましい。
【0013】
更に、リング領域の近くに位置する支持面に関し、コネクティングロッド及びその動作のための最小の遊隙(minimal play)を可能にするだけのように、ピストン軸の方向において延伸される場合が好ましい。
【0014】
更に重さを減らすことに関し、本発明に従った凹部が、凹部もある他の側部,つまり、シャフト壁に向かう側部におけるストラットによって収容されるように、ピストンピンと対向して存在する側部で区切られる場合、利点がある。つまり、以前の通常の側壁は、両側部において広い凹部を有する2つの典型的に対称であるストラットに置き換えられ、そのため、もはや以前の通常の側壁はなく、重さを減らすことができる。当初の計算において、必要な剛性は、記載したストラットによっても保証され得るということを確立することができた。
【0015】
ストラットの構成に関し、リング領域に近い領域よりもリング領域から離間した領域でより狭くすることに利点があると証明された。
【0016】
更に、リング領域に向かって収束する(converge)ようにストラットが作られる場合、剛性に関して有益である。つまり、ピストンピン軸の方向において考慮すると、各側部に典型的に存在する2つのストラットは、リング領域の方向において互いに向かって傾斜される。このような方法で、燃焼室が区切られ、特に、燃焼室ボウルが形成され得る内部において、リング領域の特に良好な支持を保証することができる。
【0017】
最初に記載した機能領域の接続に関し、好ましくは楕円状のリングが設けられ、リング領域に対向するピストンの端部に形成され、シャフト壁と、円環状フィールドから離間して存在する支持面と、任意でストラットとを互いにを接続する。リングは、特に楕円状に可能な限り狭められる。これは、このようにすると、更に重さを減らすことができ、コネクティングロッド及びその動作に必要な最小の遊隙が更に保証され得る。
【0018】
ストラットの剛性を保証するために、リング領域及び/又はリングに対するクロスオーバ(cross−over)において補強リブを有する場合が好ましい。更に、これらのリブにより、記載したクロスオーバにおいて、圧力が低減される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
以下に、図面で例として示される本発明に従った実施形態についてより詳細に説明する。
【
図1】ピストンピン軸の方向において考慮したような、本発明に従ったピストンの図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1に示すように、本発明に従ったピストン10は、燃焼室に向かうその領域において、かつ、
図1の上部にある、リング領域12を有し、横支柱のために、
図2により良く見られ得るシャフト壁14を有する。図示した例示的な実施形態において、シャフト壁14は、ピストンの下方領域に設けられ、かつ、ピストンピン(図示しない)のために、第1支持面18を追加的に支える(carry)リングによって互いに接続されるだけである。シャフト壁14間に典型的に設けられる接続壁は存在しない。実際、リング領域12の方向において、互い対する角度で走るシャフト壁14とストラット22との間にそれぞれある第1凹部20によって、重さを大幅に減らすことができる。
【0021】
図示した実施形態において、ピストンピン(図示しない)の支柱は、図示した実施形態において約60°の角度をカバーするだけの第1支持面18により、下方領域に設けられる。対向して存在、つまり、リング領域近くに第2支持面24が設けられ、図示した実施形態では、例えば170°といったより大きな角度をカバーする。これら2つの支持面間では追加的な凹部26が設けられ、凹部26は、図示した実施形態において、ピストンピン半径の約40%の深さ(ピストンピンの径方向で測定される)を有する。凹部26の大規模な設計はまた、縁部又はキンク(kinks)によって凹部26からそれぞれオフセットされている支持面18及び24によって発現される。このようにして、追加的な重さを大幅に減らすことができ、支持面18、24により、ピストンピンの必要な支持及び「挟み込み(clasping)」が、なお保証される。これは、同様に、シャフト壁14により横支柱に適用され、かつ、リング領域12と、それに形成されることが好ましい燃焼室ボウル28との支柱に適用される(
図2参照)。記載された機能領域は、下方縁部に備えられたリング16によって有益に接続される。
図1において、リブ30が追加的に見られ、これは、ストラット22とリング領域12との間のクロスオーバにおいて追加的な支持を提供し、かつ、応力ピークを防ぐ。
【0022】
図2において、本発明に従ったピストンは、冷却チャネル32を有することができ、固定リングのための固定溝34が支持面18、24の領域にそれぞれ設けられ得るということがわかる。
図2、特に
図3に良く示される下方のリング16に関し、それが大部分は楕円状であり、嵌合状態のコネクティングロッドがある領域の周りで可能な限り近くで保持されるということがわかる。ストラット22に関し、
図2を参照すると、それらは、下方領域、つまり、実質的にピストンピン軸の下部において、
図2よりもより狭く作られ得る。
図2において、ストラット22はピストンピン軸の方向においてより明確な延伸を有し、補強リブ30がピストン軸に比較的近くにある領域に設けられる、ということがさらにわかる。シャフト壁14に関し、
図2において、それらは、それらの下方領域においてよりも、リング領域12への接続の領域において、幅がより広いということがわかる。しかしながら、特定の適用において、この構成は逆に作られるか、あるいは、一定のままの幅を有して作られる。
【0023】
図3において、楕円状に記載されたリングが追加的に示される。楕円形状は、リングの内部において特に見られ得る。ピストンピン軸の近傍における大きな領域上で、リングは、一定のままの壁厚を有する。しかし、この壁厚は、リングがシャフト壁14に貫通する外部の領域においてより大きい。
図3において、特に、クラウン領域、つまり、リング領域12に最も近くに存在する領域で、リング領域12に隣接する支持面24がピストンピン軸の方向において延伸されるということが最終的にわかる(
図3によると、図の平面に対して垂直)。このように、収容されるコネクティングロッドのために最小の遊隙が保証される。