(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6363715
(24)【登録日】2018年7月6日
(45)【発行日】2018年7月25日
(54)【発明の名称】巻返し機からのログの放出を制御する装置及び方法
(51)【国際特許分類】
B65H 19/24 20060101AFI20180712BHJP
【FI】
B65H19/24
【請求項の数】8
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-543492(P2016-543492)
(86)(22)【出願日】2014年8月13日
(65)【公表番号】特表2016-530179(P2016-530179A)
(43)【公表日】2016年9月29日
(86)【国際出願番号】IT2014000221
(87)【国際公開番号】WO2015040644
(87)【国際公開日】20150326
【審査請求日】2017年4月5日
(31)【優先権主張番号】FI2013A000221
(32)【優先日】2013年9月23日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】506180062
【氏名又は名称】フューチュラ エス ピー エー
(74)【代理人】
【識別番号】100147935
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 進介
(74)【代理人】
【識別番号】100080230
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 詔二
(72)【発明者】
【氏名】ファビオ ペリーニ
【審査官】
西村 賢
(56)【参考文献】
【文献】
特開平05−201593(JP,A)
【文献】
特開平05−270708(JP,A)
【文献】
特表2004−530610(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2006/0086860(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0031564(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 19/00−19/30
B65H 21/00−21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻返し機からのログの放出を制御する装置であって、該装置は本体(6)を備え、該本体(6)は、前記ログ(3)が送出方向(F)に移動する際に沿う表面(5)の下流に配置され、該本体(6)は、前記ログ(3)に対して平行かつ該ログ(3)が従う前記送出方向(F)に対して垂直な軸(a)の回りに所定の角速度で回転し、
前記本体(6)は、少なくとも1つのポケット(P)であって、前記送出方向(F)に沿って移動しながら同ポケット(P)に進入するログ(3)を受け取り、該ログ(3)を一時的に収容するようになっている、少なくとも1つのポケット(P)を有することと、前記本体(6)は、前記軸(a)の回りで、前記ログ(3)が従う前記送出方向(F)とは反対の方向(G)に回転することとされてなり、
前記少なくとも1つのポケット(P)は、前記ログ(3)が前記ログ(3)の拾得地点(51)から該拾得地点(51)の下流の解放地点に前記本体(6)によって第一の速度で移動される間、前記ログ(3)を内部に収容することができるように凹部形状とされており、
前記ログ(3)が前記解放地点で解放されるときに前記ログ(3)が第二の速度を有するように、前記本体(6)が所定の角速度で前記軸(a)の回りを回転せしめられ、前記第二の速度は前記第一の速度よりも減少せしめられ、前記解放地点は前記表面(5)の延長部(50)に配されてなる、装置。
【請求項2】
前記本体(6)は、単一のポケット(P)を有することを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ポケット(P)は、180度〜270度の角度広さを有する円弧の形状の断面を有する凹面(62)によって画定されることを特徴とする、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記本体(6)が該本体(6)の前記軸(a)の回りに回転している間、前記ポケット(P)に受け取られた前記ログ(3)は、前記本体(6)の側面(62)の内壁上を自由に転がり、前記拾得地点(51)の上方に維持されることを特徴とする、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記本体(6)は、複数のポケット(P)を有することを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記ポケット(P)のそれぞれは前縁(60)を有し、該前縁(60)は、前記ログ(3)の拾得地点(51)と一致する場合、前記ログ(3)が従う前記送出方向(F)とは反対の方向に移動することを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記ログ(3)は、前記ポケット(P)の内壁上を自由に転がることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
巻返し機からのログの放出を制御する動作方法であって、
巻返し機の対応ステーション(FL)に対応して、ペーパーウェブ材料製のロールによって形成されるログ(3)を作成することと、
前記ログ(3)を前記ステーション(FL)から取り出して、該ログ(3)を所定の放出方向(F)に沿って表面(5)上を第一の速度で移動させることと、
を含み、
該方法は、前記ステーション(FL)の下流の所定の拾得地点(51)において、前記ログ(3)が従う前記送出方向(F)とは反対の方向(G)に沿って動く収容体(6)を用いて、該拾得地点(51)においてログ(3)を収集することを含み、
該拾得地点(51)の下流の解放地点で前記ログ(3)が解放され、前記ログ(3)が前記解放地点で解放されるときに前記ログ(3)が第二の速度となるようにされ、前記第二の速度は前記第一の速度よりも減少せしめられ、前記解放地点は前記表面(5)の延長部(50)に配されてなることを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、巻返し機(rewinding machine)からのログの放出を制御する装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
所定の量のペーパーウェブ材料又は他のウェブ材料を、通例はボール紙製の筒状のコアの回りに巻き取って、所定の直径の一般に「ログ」と呼ばれる巻紙を作成するのに、いわゆる「リワインダー(rewinders)」が使用されることが既知である。
【0003】
ウェブ材料は、一対の巻取りローラが設けられたステーションにおいて、コア上に巻き取られる。ログは、この一対の巻取りローラによって保持されるとともに、該ログが所要の直径に達するまで、コアの長手軸の回りに回転される。
【0004】
このタイプの巻返し機は、例えば、特許文献1、特許文献2、及び特許文献3に記載されている。
【0005】
巻取りが完了すると、他の処理工程に送られるために、ログはリワインダーから離れなければならない。このために、ログは、巻取りローラから解放され、したがって出口すなわち放出面に沿って自由に転がるが、リワインダーを出るログの速度は落とす必要がある。
【0006】
巻返し機からのログの放出を制御する装置の例が、特許文献4、特許文献5、及び特許文献6に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願公開第2003/0001042号
【特許文献2】米国特許第6,565,033号
【特許文献3】国際公開第2001/64563号
【特許文献4】米国特許第7,198,221号
【特許文献5】欧州特許第0867392号
【特許文献6】欧州特許第1520814号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の主な目的は、ログの損傷を回避しながら、ログの放出を効果的に制御する装置を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に従って、独立請求項に記載の特徴を有する装置の実現及び動作方法の実施の構想を採用することにより、この成果が達成される。本発明の他の特徴は、従属請求項の主題である。
【発明の効果】
【0010】
本発明から得られる利点は本質的に、リワインダーからのログの放出速度すなわち退出速度を非常に効果的に制御することが可能であること、こうして制御されるログの完全性を維持することが可能であること及び、本発明に係る装置は、単純、安価、かつ長期間稼動した後でさえも信頼性があることにある。
【0011】
本発明のこれらの利点及び特徴並びに他の利点及び特徴は、以下の説明から、限定的とみなされないが本発明の実用的な例示として与えられている添付図面の助けによって当業者に最良に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明に係る制御装置が設けられた巻返し機の概略図である。
【
図2】様々な動作フェーズのうちの1つの動作フェーズにおける、本発明に係る装置の概略図である。
【
図3】様々な動作フェーズのうちの1つの動作フェーズにおける、本発明に係る装置の概略図である。
【
図4】様々な動作フェーズのうちの1つの動作フェーズにおける、本発明に係る装置の概略図である。
【
図5】様々な動作フェーズのうちの1つの動作フェーズにおける、本発明に係る装置の概略図である。
【
図6】様々な動作フェーズのうちの1つの動作フェーズにおける、本発明に係る装置の概略図である。
【
図7】一部の部品を省略して他の部品をよりよく示す、
図3の詳細図である。
【
図8】本発明に係る装置の更なる一実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、専ら本発明の対象である装置の位置を特定する目的で、巻返し機の以下の構成要素を概略的に示している。
・周囲にログ3が形成されるコア(2)を給送するユニット(1)。
・ペーパーウェブ(4)を給送する複数のローラ(R1、R2、R3、R4、R5)。
・ログ形成ステーション(FL)の上流で、ペーパーウェブ(4)に一連の等間隔な横断方向ミシン目を形成する、2つのミシン目付け用ローラ(P1、P2)。
・上記ログ形成ステーション(FL)に対応して配置され機能する2つの巻取りローラ(A1、A2)。
・巻取りローラ(A1、A2)から解放された後にログ(3)が転がることができる傾斜面(5)。この傾斜面(5)は、上記ログ形成ステーション(FL)の下流にある。
・上記構成要素を支持する固定構造体(S)。
【0014】
このような構成の機械の動作は、当業者に既知であり、したがってより詳細には記載しない。
【0015】
ウェブ(4)は、単層又は複数の積層からなることができる。
【0016】
本発明に係る、巻返し機からのログ(3)の放出速度すなわち送出速度を制御する装置は、回転可能な本体6を備え、回転可能な本体(6)は、上記巻取りローラ(A1、A2)の下流にある上記平面(5)の上方に配置される。回転可能な本体(6)は、上記巻取りローラ(A1、A2)の軸に対して平行である軸(a)、すなわち巻返し機から出るログ(3)の軸に対して平行な軸を有する。添付図面では、上記軸(a)は、水平であるとともにステーション(FL)において形成されたログが転がる際に沿う平面(5)に対して平行である、すなわち、ログ(3)がステーション(FL)を出る方向(F)に対して直交する。
【0017】
上記本体(6)は、対応する電気モーター(図示せず)によって制御される。電気モーターは、上記本体(6)をそれぞれの長手軸の回りに所定の角速度で回転するように制御する。
【0018】
図1〜
図6に示すように、ステーション(FL)の下流でログ(3)の移動速度を落とすのを意図される上記本体(6)は、平面(5)においてログ(3)を拾得し、このログ(3)の運動エネルギーを散逸させるとともに、このログ(3)を、平面(5)の後縁にある拾得地点(51)の下流の、同平面(5)の延長部(50)に配するものである。
【0019】
本体(6)は、内方を向く凹面を有する凹状側面(62)を有する。凹状側面(62)は、
図2〜
図6に示す例では、180度よりも大きい、好ましくは180度〜270度の角度広さ(Ω)を有する円弧の形状の断面を有する部分円筒面である。
【0020】
図2〜
図6は、本装置の動作中に本体(6)がとる一連の位置を示している。第1のフェーズ(
図2)において、形成が終わったばかりのログ(3)が、矢印「RA」によって示されるようにローラ(A1)から解放され、したがってログ(3)が、平面(5)上を転がって、ログを取得する地点(51)において前縁(60)によって好適に位置決めされた状態で矢印「F」によって示されるように本体(6)の凹部に入る。続いて(
図3及び
図4)、本体(6)が矢印「G」によって示されるように回転している間、ステーション(FL)において別のログ(30)が形成され、以前に解放されたログ(3)は本体(6)の凹部内にある。このフェーズでは、ログ(3)の動きは自由でなく、軸(a)の回りに所定の角速度で回転する本体(6)によって制御される。本体(6)が更に回転すると、本体(6)の後縁(61)は、
図5に示すように上記拾得地点(51)の上方に位置決めされる。こうして本体(6)が位置決めされると、ログ(3)は本体(6)から離れること及び平面(5)の延長部(50)上を転がることが自由になる。この時点で、ログ(3)は、平面(50)に対して略定まっている。
図5では、点線で示されたログ(3)は本体(6)から解放された時点のものであり、矢印「E」は本体6からのログ(3)の退出を示している。
図6では、本体(6)は、
図2の位置と同一の位置にある、すなわち別のログを受け取る準備ができた状態である。
【0021】
図2〜
図6に示すように、本体(6)内でのログ(3)の位置は、放出面(5、50)に対して略定まっている。事実、本体(6)が本体(6)自体の軸(a)の回りに回転している間、ログ(3)は、本体(6)の側面(62)の内壁上を自由に転がり、実質的に上記拾得地点(51)の上方に維持される。
【0022】
本体(6)の回転方向(G)は、本体(6)の前縁(60)が拾得地点(51)と一致する場合、本体(6)の前縁(60)がログ(3)の到来する方向(F)とは反対の方向に動くようにしたものである。さらに、本体(6)は、本体(6)の前縁(60)が、ステーション(FL)から出るログ(3)を取得する必要があるフェーズにおいて拾得地点(51)と略同じ高さであるように、平面(5)に対して位置決めされる。
【0023】
換言すれば、ログ(3)の到来方向(F)とは反対の方向(G)に回転する本体(6)は、ログ(3)を受け取って、これらのログ(3)を、該本体(6)の側面(62)の内壁によって画定されたポケット(P)内に一時的に収容し、軸(a)の回りでの本体(6)の回転の完了に要求される時間中ずっと、同ログが並進することなく上記ポケット内部で自由に転がることを可能にする。
【0024】
本体(6)の前縁(60)の上記動きは、
図7に矢印「H」で示されている。同
図7では、上記縁(60)の斜角を見て取ることができる。矢印「H」及び「F」で示す方向は、互いと反対であることに留意されたい。
【0025】
上述の例では、本体(6)は、ログ(3)を収容する単一のポケット(P)を有する。
【0026】
図8に示す例では、本体(6)は、それぞれがステーション(FL)から到来するログ(3)を受け取るようになっている複数のポケット(P)を有する。この例においても、本体(6)は、同ログの当初の方向(F)とは反対の方向(G)においてログ(3)に対して平行な軸(a)の回りに回転する。この動作は、上述した動作と完全に同じである。ただし、差異点として、この場合では、本体(6)が1つのみのログではなくより多数のログ(3)を同時に保持することと、本体(6)によって行われる移送中、ログ(3)が拾得地点の上方に一定して維持されないこととが挙げられる。本体(6)は、横断方向により大きい広がりを有するので、この場合では隣接せずに本体(6)によって互いから離隔されている平面(5)と平面(50)との間に配置される。
【0027】
ログ(3)の表面は、ログ(3)の速度が所望のように減少した場合であっても損傷しない。
【0028】
本体6の回転は、ステーション(FL)におけるログの作成と適切に同期する。
【0029】
本発明に係る方法は、巻返し機の対応ステーション(FL)において、ペーパーウェブ材料から得たロールによって形成されるログ(3)を作成することと、このログ(3)を、上記ステーション(FL)から所定の放出する方向(F)に沿って放出することと、所定の拾得地点(51)においてログ(3)の上記放出方向(F)とは反対の方向(G)に沿って動く収容体(6)を用いて、この拾得地点(51)においてログ(3)を収集することとを伴う。
【0030】
実際には、実施の詳細は、採用した解決策の範囲から逸脱することなく、したがって本特許に付与される保護の範囲内で、記載及び図示の要素並びにそれらの性質に関して均等であれば任意のように変更することができる。