特許第6363718号(P6363718)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6363718
(24)【登録日】2018年7月6日
(45)【発行日】2018年7月25日
(54)【発明の名称】モジュール式レーザ装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/268 20060101AFI20180712BHJP
   H01S 5/02 20060101ALI20180712BHJP
   B23K 26/064 20140101ALI20180712BHJP
   B23K 26/06 20140101ALI20180712BHJP
【FI】
   H01L21/268 J
   H01S5/02
   B23K26/064 A
   B23K26/06
【請求項の数】7
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-548439(P2016-548439)
(86)(22)【出願日】2014年10月16日
(65)【公表番号】特表2017-504219(P2017-504219A)
(43)【公表日】2017年2月2日
(86)【国際出願番号】FR2014052642
(87)【国際公開番号】WO2015059388
(87)【国際公開日】20150430
【審査請求日】2017年8月16日
(31)【優先権主張番号】1360222
(32)【優先日】2013年10月21日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】500374146
【氏名又は名称】サン−ゴバン グラス フランス
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100093665
【弁理士】
【氏名又は名称】蛯谷 厚志
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100170874
【弁理士】
【氏名又は名称】塩川 和哉
(72)【発明者】
【氏名】ブリス デュボス
(72)【発明者】
【氏名】エマニュエル ミムン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン−フィリップ シュバイツァー
【審査官】 小川 将之
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−502717(JP,A)
【文献】 特開平9−51104(JP,A)
【文献】 特開2008−300602(JP,A)
【文献】 特開平3−232223(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/268
B23K 26/06
B23K 26/064
H01S 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々が作業平面においてレーザラインを作り出す複数のレーザモジュールを含むレーザ装置であり、前記レーザモジュールは該モジュールにより作り出されたレーザラインが一緒になって単一のレーザラインになるように配置されていて、該レーザモジュールの各々が、
・レーザラインを作り出すための少なくとも1つの手段、及び、
・前記レーザラインを形作るための手段、
を含むレーザ装置であって、前記レーザラインを形作るための手段が、各レーザモジュールにより作り出された最終のレーザラインが前記作業平面において、最大出力密度の90%のところでの幅(L90)と最大出力密度の10%のところでの幅(L10)とを有し、L90/L10比が1/15と1/5の間に含まれる出力密度プロファイルを有するように、マイクロレンズの第1の線状アレイ(1)、収束レンズ(2)、及び該収束レンズ(2)の焦点面に配置されたマイクロレンズの第2の線状アレイ(3)を含んでおり、前記レーザモジュールが、当該モジュールにより作り出されたレーザラインが一緒になって1.2mを超える全長を有する単一のレーザラインになるように並置されていることを特徴とするレーザ装置。
【請求項2】
90/L10比が1/12と1/7の間に含まれることを特徴とする、請求項1に記載のレーザ装置。
【請求項3】
各レーザモジュールにより作り出された最終のレーザラインが、当該レーザラインの中央に最大出力密度があり、出力密度が当該ラインの中央から両端へと減少し、その減少の勾配が同じL10及びL90の完全に三角形のプロファイルの勾配と最大で20%だけ異なる出力密度プロファイルを、前記作業平面において有することを特徴とする、請求項1又は2に記載のレーザ装置。
【請求項4】
前記レーザモジュールが、全ての個々の出力密度プロファイルの総計から得られる一体とされたレーザラインの出力密度プロファイルが、当該装置の一体とされたレーザラインの全長の少なくとも90%に相当する中央領域を有するシルクハット型プロファイルであり、その領域において出力密度が最大で10%だけ変動するように並置されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のレーザ装置。
【請求項5】
前記レーザモジュールが、レーザモジュールにより作り出されたレーザラインの各端部が隣接するモジュールにより作り出されたレーザラインの中央の直ぐ近くに位置するようにして並置されていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のレーザ装置。
【請求項6】
少なくとも5個のモジュールを含むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載のレーザ装置。
【請求項7】
前記レーザモジュールが、当該モジュールにより作り出されたレーザラインが一緒になって2mを超える全長を有する単一のレーザラインになるように並置されていることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載のレーザ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の並置可能なレーザモジュールから形成される、幅の広い基材を特別の制限なしにレーザでアニールするための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
平坦な基材上に被着したコーティングの局所的な急速レーザアニーリング(レーザフラッシュ加熱)を実施することは知られている。これを行うためには、アニールされるべきコーティングを有する基材にレーザラインの下方を走行させるか、さもなければレーザラインにコーティングの付いた基材の上方を走行させる。
【0003】
レーザアニーリングは、下にある基材を保護しながら、薄いコーティングを約数百度の高温に加熱することを可能にする。走行速度は、言うまでもなくできるだけ高いことが好ましく、少なくとも毎分数メートルが有利である。
【0004】
本発明は特に、レーザダイオードを使用するレーザに関する。レーザダイオードは価格及び出力の観点から、現在最良のレーザ光源である。
【0005】
プロセスを高い走行速度で実施するために必要とされる単位長さ当たりの出力を得るために、非常に多数のレーザダイオードの放射を単一のレーザラインに集中させることが望ましい。このレーザラインの出力密度は、基材の全点を同じアニーリングエネルギーに曝すように、アニールすべきコーティングの付いた基材において一般的にできるだけ均一でなければならない。
【0006】
その上、フロート法により製造される「特大」サイズ(6m×3.21m)の平坦なガラスシートなどの、幅の広い基材を高速で処理することができることが望ましい。非常に長いレーザラインを得ることに関する課題は、ライン自体と同じ長さの一体式光学集成装置が必要になることを避けながら、ラインの長さを思うままに増大させることができるように、レーザモジュールの並置を可能にする設備の製作にある。
【0007】
そのようなモジュール式レーザ装置は、すでに構想されている。例えば、米国特許第6717105号明細書には、非常に簡単な設計のモジュール式レーザ装置が記載されている。このレーザ装置では、各モジュール(レーザ発振器1a、1b、1c)が、形作られてからミラー(4a、4b、4c)により反射されてレーザラインの形態で基材(5)に直角に投射されるレーザビームを発生する。レーザビームを形作るための手段(3a、3b、3c)は、基材と交差するところでは出力密度が高くて一定である非常に幅の広い中央部分を有し、且つこの平坦部の両側では急勾配で落ちる端部を有するシルクハット型の出力密度プロファイルを有するレーザラインを形成するように設計される(米国特許第6717105号明細書の図5を参照されたい)。これらのプロファイルは、出力密度分布ができるだけ均一な単一の一体としたラインを作るように、急勾配の両端を重ね合わせることにより組み合わされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第6717105号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、このタイプのシルクハット型レーザラインプロファイルを作り出すレーザモジュールは、モジュールを互いに対して位置合わせするときに生ずる可能性のある誤差に非常に敏感である。具体的に言うと、重ね合わされた横方向の領域における勾配が非常に急であることは、モジュール間の間隔が大きすぎると、つなぎ合わせる部分で出力密度の切れ目が容易に形成され、逆に、間隔が狭すぎるモジュールは出力密度が過度に高いつなぎ合わせの領域を生ずることになることを意味する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本出願人は、先行技術の場合に一般的であった「シルクハット」型の出力密度プロファイルを作らずに、むしろ「魔女の帽子」タイプのプロファイル、即ちその中央から両端まで徐々に下がっていく勾配を有する三角形に近いプロファイルを作る、マイクロレンズに基づくレーザライン形成光学系を、装置のモジュールに装備することにより、それぞれのレーザモジュールの位置合わせにおける誤差に対するモジュール式レーザ装置の感度を有意に低下させることが可能であることを認知した。
【0011】
本発明が対象とするのは、作業平面におけるレーザラインを各々が作り出す複数のレーザモジュールを含むレーザ装置であり、前記レーザモジュールは該モジュールにより作り出したレーザラインを一緒にして単一のレーザラインにするように配置されていて、該レーザモジュールの各々が、
・レーザラインを作り出すための少なくとも1つの手段、好ましくはレーザダイオードの線状アレイ、及び、
・前記レーザラインを形作るための手段、
を含むレーザ装置であって、前記レーザラインを形作るための手段は、最終のレーザラインが作業平面において、最大出力密度の90%のところでの幅(L90)と最大出力密度の10%のところでの幅(L10)とを有し、L90/L10比が1/15と1/5の間、好ましくは1/12と1/7の間、特に1/10と1/8の間に含まれる出力密度プロファイルを有するように、マイクロレンズの第1の線状アレイ、収束レンズ、及び該収束レンズの焦点面に配置されたマイクロレンズの第2の線状アレイを含むことを特徴とするレーザ装置である。
【0012】
それ故、先行技術とは対照的に、本発明では、各々ができるだけ大きい有効な出力平坦部を含む出力密度プロファイルでレーザラインを作り出すレーザモジュールを製造することは求められない。反対に、高い出力の中央領域(L90)の広がりをモジュールのレーザラインの全長の20%未満、好ましくは15%未満、特に10%未満に減少させることが求められ、そして最大出力の領域の両側の勾配の値を減少させることも求められる。この理由は、各モジュールにより作り出される出力密度プロファイルの2つの端部の勾配が小さいほど、モジュールを位置合わせするときに生ずる誤差がモジュールの線状アレイにより形成される一体とした出力密度プロファイルに及ぼす影響が小さくなるからである。したがって、各モジュールにより作り出されるラインの出力プロファイルの理想的形状は、最大出力に等しい高さ(h)とレーザラインの長さに等しい底辺(b)とを有する三角形である。
【0013】
それ故、理想的には、出力密度プロファイルの両側の勾配は、この三角形のそれ(2h/b)に等しい。
【0014】
しかしながら、実際の出力密度プロファイルは、厳密に三角形の形状とは若干異なってもよい。
【0015】
好ましくは、各レーザモジュールにより作りだした最終のレーザラインは、作業平面において最大出力密度をレーザラインの中央に有する出力密度プロファイルを有し、この出力密度はラインの中央から両端へと徐々に減少し、この減少の勾配は、同じL10及びL90の完全に三角形のプロファイルの勾配と最大で20%、好ましくは最大で10%だけ異なる。ここで、「減少の勾配」という表現は、レーザラインの長さの1/50に等しい長さにわたって観察される平均の勾配を意味する。
【0016】
レーザモジュールは、全ての個々の出力密度プロファイルの総計から得られる一体とされたレーザラインの出力密度プロファイルが、装置の一体とされたレーザラインの全長の少なくとも90%に相当する中央領域を有するシルクハット型プロファイルとなり、その領域では出力密度の変動が最大で10%、好ましくは最大で5%、特に有利には最大で1%であるように並置される。
【0017】
各モジュールの三角形のプロファイルの有効な出力領域の幅(L90)が小さいことは、本発明の装置において2つの隣接するモジュールにより作り出される個々のレーザラインの非常に大きい重なりにより補償される。
【0018】
具体的に言えば、個々の三角形の「魔女の帽子」型プロファイルからシルクハット型の一体としたプロファイルを作り出すために、最終のプロファイルの殆ど全ての点が部分的に重なり合う少なくとも2つの個々のプロファイルの合算から得られることが不可欠である。
【0019】
本発明の好ましい実施形態では、レーザモジュールを、レーザモジュールにより作り出されたレーザラインの各端部が隣接するモジュールにより作り出されたレーザラインの中央の直ぐ近傍に位置するようにして並置する。したがって、出力密度が一定である一体としたプロファイルの中央部分において、レーザラインの各点は、2つの異なる隣接するレーザモジュールによりそれぞれ作り出された2つの三角形のレーザプロファイルの一部から作られるのが好ましい。
【0020】
プロファイルを組み合わせるこのやり方は、複数の個々の「シルクハット型」プロファイルを作り出して一緒にすることが一般に求められて、かつ個々のプロファイルの重なりの領域が、標準的にレーザラインの全長の2〜3パーセントより多くに相当しない先行技術で使用されるそれとは非常に異なる。
【0021】
実質的に三角形の出力密度プロファイルを有する長さLiのレーザラインを各々が作り出すn個のモジュールが単一の「シルクハット型」プロファイル(図1参照)を形成するように並置される本発明の装置の1つの実施形態において、この単一のラインの全長(Lg)は、
g=(n+1)×0.5Li
に等しい。
【0022】
それ故、全長Lgは好ましくは、各モジュールにより個々に作り出されるレーザラインの長さの半分の倍数に等しい。
【0023】
レーザラインにシルクハット型の出力密度プロファイルを与えることを可能にするレンズ系は、先行技術で知られている。そのような系は、例えば米国特許出願公開第2012/0127723号明細書に記載されている。それは、各々が複数のマイクロレンズから光を受け入れる、サイズがより大きい収束レンズ(5)と組み合わされた第1のマイクロレンズアレイ(4)を含む。各収束レンズは、焦点面(8)において、比較的幅の広い中央部分及び勾配が比較的急な下がっていく側部(10)を有するシルクハット型の出力密度プロファイル(9)を作り出す。
【0024】
本発明では、三角形のプロファイルが得られることを可能にするマイクロレンズアレイを、シルクハット型の出力密度プロファイルを形成する収束レンズの焦点面に配置する。このマイクロレンズアレイは、焦点距離DのN個の円筒型マイクロレンズの線状アレイを含む。
【0025】
図1を参照して下記で説明するように、マイクロレンズのこの線状アレイにより形作られるレーザラインの出力密度プロファイルは、マイクロレンズアレイに対する距離と共に変化する。線状のマイクロレンズアレイの直ぐ近くでは、それはシルクハットの形状にされている。それは、線状アレイからの距離があるほど形状がますます三角形になる。
【0026】
それが三角形の形状を有する正確な距離(D)は、知られているように、以下の式により計算することができる。
D=N×F
この式中のNはマイクロレンズの数を表し、Fは各マイクロレンズの焦点距離を表すが、ただし、マイクロレンズアレイは、マイクロレンズアレイとシルクハット型の出力密度プロファイルを形成する収束レンズとの距離に比べて無視し得るサイズであるとする。
【0027】
有利には、作業平面(基材)は、線状のマイクロレンズアレイからD±15%、好ましくはD±5%に等しい距離に、理想的には正確に距離Dのところに配置される。
【0028】
所定の距離Dで三角形の出力密度プロファイルを得るために適したマイクロレンズの線状アレイを上の式により選択することは、当業者にとって言うまでもなく可能でありかつ容易である。
【0029】
本発明のモジュール式レーザ装置は、好ましくは少なくとも5個のモジュール、特に少なくとも10個のモジュールを含む。
【0030】
レーザモジュールは、作り出されたレーザラインが一緒になって全長が1.2mを超え、好ましくは2mを超え、特に3mを超える単一のレーザラインになるように並置するのが有利である。
【0031】
3.21mの幅を有する「特大」基材をレーザ処理することを目的とするなら、出力密度が実質的に一定のレーザラインの中央部分は、3.20mと3.22mの間に含まれる長さを有することが好ましい。
【0032】
さらに、レーザモジュールは組み立てられて、作り出すレーザラインが基材又は作業平面を、基材の法線に対して好ましくは小さい角度で、典型的には20°未満、好ましくは10°未満の角度で横切るように、レーザ装置に搭載される。該装置は、レーザモジュールを固定したままで、処理すべき基材がモジュールの線状アレイの上方又は下方を、一般にレーザラインの主軸線に対して垂直方向に走行するように設計することができる。変形実施形態として、基材を固定したままで、レーザラインを基材上に投射しながら、レーザモジュールの線状アレイが基材の上方又は下方を走行するように装置を設計してもよい。
【0033】
次に、本発明を添付の図面を参照して説明することにする。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】三角形の出力密度プロファイルを有するレーザラインが得られることを可能にする光学系を示す説明用の模式図である。
図2】シルクハット型形状を有する一体とされたプロファイルを得るために複数の三角形の出力密度プロファイルを組み合わせる方法を示す説明用の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1において、マイクロレンズの線状アレイ1と収束レンズ2との組合せが、後者の焦点面4においてシルクハット型の出力密度プロファイルAを有するレーザラインを生じさせる。マイクロレンズの第2の線状のアレイ3が、収束レンズ2の焦点面4に正確に配置されている。線状アレイ3のマイクロレンズの各々は、最初は収束し、次に焦点を越えて発散するビームを生じさせる。マイクロレンズの線状アレイの両端に位置する2つのマイクロレンズのビームは、点5で交差する。2つの最も外側のビームが重なるレーザラインのこの点5は、マイクロレンズの線状アレイ3に平行な直線状のライン6上に位置しており、そこではレーザラインの出力密度プロファイルは三角形のプロファイルBを有する。この直線状のライン6は、マイクロレンズの線状アレイ3から距離Dのところにある。処理すべき基材(図示せず)は、直線状のライン6が当該基材の平面に位置するように配置しなければならない。Dより大きい距離D’のところで、出力密度プロファイルCの形状は再びシルクハットのそれに近づく。
【0036】
マイクロレンズの第1の線状アレイ1、収束レンズ2、そして収束レンズ2の焦点面に配置されるマイクロレンズの第2の線状アレイ3を含む、レーザラインを形作るための手段は、マイクロレンズの線状アレイ1の1個又は2個以上のマイクロレンズの後方に配置された1つ又は2つ以上の個々のレーザ光源が故障した場合に、照射強度の均一性の切れ目から系を保護する。具体的に言えば、モジュールの全てのレーザ光源から発生する光を収束レンズ2で混合して、その後マイクロレンズのアレイ3によりラインを形作る。マイクロレンズの第1の線状アレイのマイクロレンズの後方に配置されたレーザダイオードの故障は、レーザラインの出力の低下をもたらすが、強度の均一性の切れ目は生じさせない。
【0037】
図2は、本発明に従って並置された4個のモジュール(図示せず)により作り出された4つのレーザラインの出力密度プロファイル1a、1b、1c、1dを示している。これら4つのプロファイルは形状が同一である。各プロファイルは、最大出力密度2、最大出力密度の90%のところで幅L90、及び最大出力密度の10%のところでの幅L10を有する。破線のプロファイル3は、個々の三角形のプロファイルを足し合わせて得られた出力密度プロファイルに対応している。このプロファイルはシルクハット型の形状を有する。レーザモジュール(図示せず)は、総合プロファイル3の平坦部分において、プロファイルの点の各々が2つの隣接するレーザモジュールのプロファイルを足し合わせることで得られるように配置されている。
本発明の態様としては、以下を挙げることができる:
《態様1》
各々が作業平面においてレーザラインを作り出す複数のレーザモジュールを含むレーザ装置であり、前記レーザモジュールは該モジュールにより作り出されたレーザラインが一緒になって単一のレーザラインになるように配置されていて、該レーザモジュールの各々が、
・レーザラインを作り出すための少なくとも1つの手段、及び、
・前記レーザラインを形作るための手段、
を含むレーザ装置であって、前記レーザラインを形作るための手段が、各レーザモジュールにより作り出された最終のレーザラインが前記作業平面において、最大出力密度の90%のところでの幅(L90)と最大出力密度の10%のところでの幅(L10)とを有し、L90/L10比が1/15と1/5の間に含まれる出力密度プロファイルを有するように、マイクロレンズの第1の線状アレイ(1)、収束レンズ(2)、及び該収束レンズ(2)の焦点面に配置されたマイクロレンズの第2の線状アレイ(3)を含んでおり、前記レーザモジュールが、当該モジュールにより作り出されたレーザラインが一緒になって1.2mを超える全長を有する単一のレーザラインになるように並置されていることを特徴とするレーザ装置。
《態様2》
90/L10比が1/12と1/7の間、好ましくは1/10と1/8の間に含まれることを特徴とする、態様1に記載のレーザ装置。
《態様3》
各レーザモジュールにより作り出された最終のレーザラインが、当該レーザラインの中央に最大出力密度があり、出力密度が当該ラインの中央から両端へと減少し、その減少の勾配が同じL10及びL90の完全に三角形のプロファイルの勾配と最大で20%、好ましくは最大で10%だけ異なる出力密度プロファイルを、前記作業平面において有することを特徴とする、態様1又は2に記載のレーザ装置。
《態様4》
前記レーザモジュールが、全ての個々の出力密度プロファイルの総計から得られる一体とされたレーザラインの出力密度プロファイルが、当該装置の一体とされたレーザラインの全長の少なくとも90%に相当する中央領域を有するシルクハット型プロファイルであり、その領域において出力密度が最大で10%、好ましくは最大で5%、特に有利には最大で1%だけ変動するように並置されていることを特徴とする、態様1〜3のいずれか一項に記載のレーザ装置。
《態様5》
前記レーザモジュールが、レーザモジュールにより作り出されたレーザラインの各端部が隣接するモジュールにより作り出されたレーザラインの中央の直ぐ近くに位置するようにして並置されていることを特徴とする、態様1〜4のいずれか一項に記載のレーザ装置。
《態様6》
少なくとも5個のモジュール、好ましくは少なくとも10個のモジュールを含むことを特徴とする、態様1〜5のいずれか一項に記載のレーザ装置。
《態様7》
前記レーザモジュールが、当該モジュールにより作り出されたレーザラインが一緒になって2mを超える、特に3mを超える全長を有する単一のレーザラインになるように並置されていることを特徴とする、態様1〜6のいずれか一項に記載のレーザ装置。
図1
図2