特許第6363722号(P6363722)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6363722
(24)【登録日】2018年7月6日
(45)【発行日】2018年7月25日
(54)【発明の名称】マルチモードワイヤレス端末
(51)【国際特許分類】
   H04M 1/00 20060101AFI20180712BHJP
   H04W 88/06 20090101ALI20180712BHJP
【FI】
   H04M1/00 R
   H04W88/06
【請求項の数】4
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-554238(P2016-554238)
(86)(22)【出願日】2015年2月9日
(65)【公表番号】特表2017-512423(P2017-512423A)
(43)【公表日】2017年5月18日
(86)【国際出願番号】CN2015072591
(87)【国際公開番号】WO2015127854
(87)【国際公開日】20150903
【審査請求日】2016年9月29日
(31)【優先権主張番号】201410066566.4
(32)【優先日】2014年2月26日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】517332063
【氏名又は名称】華為終端(東莞)有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100132481
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 克豪
(74)【代理人】
【識別番号】100115635
【弁理士】
【氏名又は名称】窪田 郁大
(74)【代理人】
【識別番号】100130524
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 英治
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼ 朋▲飛▼
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ 祖元
【審査官】 望月 章俊
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−118637(JP,A)
【文献】 特表2007−533261(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M1/00
H04M88/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のワイヤレス通信標準規格の経路、および第2のワイヤレス通信標準規格の経路を備え、前記第1のワイヤレス通信標準規格は、前記第2のワイヤレス通信標準規格とは異なる、マルチモードワイヤレス端末であって、
前記第1のワイヤレス通信標準規格の前記経路は、第1のアンテナモジュール、第1のトランシーバモジュール、および第1のベースバンドモジュールを備え、前記第1のアンテナモジュールは、前記第1のトランシーバモジュールに接続し、前記第1のトランシーバモジュールは、前記第1のベースバンドモジュールに接続し、
前記第2のワイヤレス通信標準規格の前記経路は、第2のアンテナモジュール、第2のトランシーバモジュール、および第2のベースバンドモジュールを備え、前記第2のアンテナモジュールは、前記第2のトランシーバモジュールに接続し、前記第2のトランシーバモジュールは、前記第2のベースバンドモジュールに接続し、
前記第2のトランシーバモジュールは、前記第1のベースバンドモジュールに接続し、
前記第2のトランシーバモジュールは、制御ユニットを備え、前記制御ユニットは、前記第2のアンテナモジュールおよび前記第2のトランシーバモジュールを、前記第2のワイヤレス通信標準規格のアイドルタイムスロットにおいて、前記第1のワイヤレス通信標準規格のダイバーシティ受信経路として働くように制御するように構成され
前記第2のワイヤレス通信標準規格の前記経路は、第2のフィルタモジュールをさらに備え、
前記第2のフィルタモジュールの通過帯域は、前記第1のワイヤレス通信標準規格の受信周波数帯域内に位置付けられ、かつ前記第2のフィルタモジュールの前記通過帯域は、前記第2のワイヤレス通信標準規格の受信周波数帯域内に位置付けられ、
前記第2のベースバンドモジュールは、前記第2のトランシーバモジュールに、前記第2のフィルタモジュールを通じて接続し、前記第1のベースバンドモジュールは、前記第2のトランシーバモジュールに、前記第2のフィルタモジュールを通じて接続し、
前記第2のワイヤレス通信標準規格は、第1の受信周波数帯域、および第2の受信周波数帯域を備え、前記第2のフィルタモジュールの前記通過帯域は、前記第1のワイヤレス通信標準規格の前記受信周波数帯域内に位置付けられ、かつ前記第2のフィルタモジュールの前記通過帯域は、前記第2のワイヤレス通信標準規格の前記第1の受信周波数帯域内に位置付けられ、
前記第2のワイヤレス通信標準規格の前記経路は、第3のフィルタモジュールをさらに備え、
前記第3のフィルタモジュールの通過帯域は、前記第2のワイヤレス通信標準規格の前記第2の受信周波数帯域内に位置付けられ、前記第3のフィルタモジュールは、前記第2のベースバンドモジュールと前記第2のトランシーバモジュールとの間に位置付けられ、
前記制御ユニットは、前記マルチモードワイヤレス端末が前記第2のワイヤレス通信標準規格の前記第1の受信周波数帯域内で動作するとき、前記第2のトランシーバモジュールを、前記第2のフィルタモジュールに接続するように制御し、前記マルチモードワイヤレス端末が前記第2のワイヤレス通信標準規格の前記第2の受信周波数帯域内で動作するとき、前記第2のトランシーバモジュールを、前記第3のフィルタモジュールに接続するように制御するようにさらに構成され、
前記制御ユニットは、前記マルチモードワイヤレス端末が前記第2のワイヤレス通信標準規格の前記第2の受信周波数帯域内で動作するとき、前記第2のトランシーバモジュールを、前記第2のワイヤレス通信標準規格の前記第1の受信周波数帯域のアイドルタイムスロット、および前記第2のワイヤレス通信標準規格の前記第2の受信周波数帯域のアイドルタイムスロットにおいて、前記第2のフィルタモジュールに接続するように制御するようにさらに構成される、ことを特徴とするマルチモードワイヤレス端末。
【請求項2】
前記第1のトランシーバモジュールは、前記第2のベースバンドモジュールに接続し、
前記第1のトランシーバモジュールは、第2の制御ユニットを備え、前記第2の制御ユニットは、前記第1のアンテナモジュールおよび前記第1のトランシーバモジュールを、前記第1のワイヤレス通信標準規格のアイドルタイムスロットにおいて、前記第2のワイヤレス通信標準規格のダイバーシティ受信経路として働くように制御するように構成される、ことを特徴とする請求項1に記載のマルチモードワイヤレス端末。
【請求項3】
前記第1のワイヤレス通信標準規格の前記経路は、第1のフィルタモジュールをさらに備え、
前記第1のフィルタモジュールの通過帯域は、前記第2のワイヤレス通信標準規格の信周波数帯域内、および前記第1のワイヤレス通信標準規格の信周波数帯域内に位置付けられ、
前記第1のベースバンドモジュールは、前記第1のトランシーバモジュールに、前記第1のフィルタモジュールを通じて接続し、前記第2のベースバンドモジュールは、前記第1のトランシーバモジュールに、前記第1のフィルタモジュールを通じて接続する、ことを特徴とする請求項に記載のマルチモードワイヤレス端末。
【請求項4】
前記第1のワイヤレス通信標準規格は、符号分割多元接続CDMAであり、前記第2のワイヤレス通信標準規格は、グローバルシステムフォーモバイルコミュニケーションズGSMである、ことを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載のマルチモードワイヤレス端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ワイヤレス通信技術の分野に関し、詳細には、マルチモードワイヤレス端末に関する。
【背景技術】
【0002】
ワイヤレス通信技術の発展に伴い、モバイル電話などのワイヤレス端末は多くの場合、複数のワイヤレス通信標準規格、例えばグローバルシステムフォーモバイルコミュニケーションズ(Global System for Mobile Communications、GSM:登録商標)、符号分割多元接続(Code Division Multiple Access、CDMA)、およびワイヤレスフィデリティ(Wireless Fidelity、WiFi)をサポートしている。特に、一部のデュアルカードデュアルスタンバイ(dual card dual standby)モバイル電話は一般に、GSMとCDMA、またはGSMと広帯域符号分割多元接続(Wideband Code Division Multiple Access、WCDMA:登録商標)を同時にサポートし、多くの消費者からの幅広い人気を得ている。
【0003】
複数の標準規格をサポートするワイヤレス端末の場合、各標準規格は、個々のアンテナを使用してデータを受信し、送信する。しかし、データサービスおよび通話サービスが1つのワイヤレス通信標準規格内に共存する場合があり、データサービスおよび通話サービスが同じ経路資源を占有する場合があるので、ワイヤレス端末の通話サービスの通話接続率を確保すべく、通話サービスをモニタするために通話サービス用に経路資源が予約される必要があるが、そのことがデータサービス率を犠牲にする。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の実施形態は、受信性能を改善するマルチモードワイヤレス端末を提供する。
【0005】
第1の態様によれば、第1のワイヤレス通信標準規格の経路、および第2のワイヤレス通信標準規格の経路を含み、第1のワイヤレス通信標準規格は、第2のワイヤレス通信標準規格とは異なる、マルチモードワイヤレス端末であって、
第1のワイヤレス通信標準規格の経路は、第1のアンテナモジュール、第1のトランシーバモジュール、および第1のベースバンドモジュールを含み、第1のアンテナモジュールは、第1のトランシーバモジュールに接続し、第1のトランシーバモジュールは、第1のベースバンドモジュールに接続し、
第2のワイヤレス通信標準規格の経路は、第2のアンテナモジュール、第2のトランシーバモジュール、および第2のベースバンドモジュールを含み、第2のアンテナモジュールは、第2のトランシーバモジュールに接続し、第2のトランシーバモジュールは、第2のベースバンドモジュールに接続し、
第2のトランシーバモジュールは、第1のベースバンドモジュールに接続し、
第2のトランシーバモジュールは、制御ユニットを含み、制御ユニットは、第2のアンテナモジュールおよび第2のトランシーバモジュールを、第2のワイヤレス通信標準規格のアイドルタイムスロットにおいて、第1のワイヤレス通信標準規格のダイバーシティ受信経路として働くように制御するように構成される、マルチモードワイヤレス端末が提供される。
【0006】
第1の態様の第1の可能な実装様式では、第2のワイヤレス通信標準規格の経路は、第2のフィルタモジュールをさらに含み、
第2のフィルタモジュールの通過帯域は、第1のワイヤレス通信標準規格の受信周波数帯域内に位置付けられ、かつ第2のフィルタモジュールの通過帯域は、第2のワイヤレス通信標準規格の受信周波数帯域内に位置付けられ、
第2のベースバンドモジュールは、第2のトランシーバモジュールに、第2のフィルタモジュールを通じて接続し、第1のベースバンドモジュールは、第2のトランシーバモジュールに、第2のフィルタモジュールを通じて接続する。
【0007】
第1の態様の第1の可能な実装様式を参照して、第2の可能な実装様式では、第2のワイヤレス通信標準規格は、第1の受信周波数帯域、および第2の受信周波数帯域を含み、第2のフィルタモジュールの通過帯域は、第1のワイヤレス通信標準規格の受信周波数帯域内に位置付けられ、かつ第2のフィルタモジュールの通過帯域は、第2のワイヤレス通信標準規格の第1の受信周波数帯域内に位置付けられ、
第2のワイヤレス通信標準規格の経路は、第3のフィルタモジュールをさらに含み、
第3のフィルタモジュールの通過帯域は、第2のワイヤレス通信標準規格の第2の受信周波数帯域内に位置付けられ、第3のフィルタモジュールは、第2のベースバンドモジュールと第2のトランシーバモジュールとの間に位置付けられ、
制御ユニットは、マルチモードワイヤレス端末が第2のワイヤレス通信標準規格の第1の受信周波数帯域内で動作するとき、第2のトランシーバモジュールを、第2のフィルタモジュールに接続するように制御し、マルチモードワイヤレス端末が第2のワイヤレス通信標準規格の第2の受信周波数帯域内で動作するとき、第2のトランシーバモジュールを、第3のフィルタモジュールに接続するように制御するようにさらに構成される。
【0008】
第1の態様の第2の可能な実装様式を参照して、第3の可能な実装様式では、制御ユニットは、マルチモードワイヤレス端末が第2のワイヤレス通信標準規格の第2の受信周波数帯域内で動作するとき、第2のトランシーバモジュールを、第2のワイヤレス通信標準規格の第1の受信周波数帯域のアイドルタイムスロット、および第2のワイヤレス通信標準規格の第2の受信周波数帯域のアイドルタイムスロットにおいて、第2のフィルタモジュールに接続するように制御するようにさらに構成される。
【0009】
第1の態様、または第1の態様の第1の可能な実装様式から第3の可能な実装様式のいずれか1つを参照して、第4の可能な実装様式では、第1のトランシーバモジュールは、第2のベースバンドモジュールに接続し、
第1のトランシーバモジュールは、第2の制御ユニットを含み、第2の制御ユニットは、第1のアンテナモジュールおよび第1のトランシーバモジュールを、第1のワイヤレス通信標準規格のアイドルタイムスロットにおいて、第2のワイヤレス通信標準規格のダイバーシティ受信経路として働くように制御するように構成される。
【0010】
第1の態様の第4の可能な実装様式を参照して、第5の可能な実装様式では、第1のワイヤレス通信標準規格の経路は、第1のフィルタモジュールをさらに含み、
第1のフィルタモジュールの通過帯域は、第2のワイヤレス通信標準規格の受信周波数帯域内、および第1のワイヤレス通信標準規格の受信周波数帯域内に位置付けられ、
第1のベースバンドモジュールは、第1のトランシーバモジュールに、第1のフィルタモジュールを通じて接続し、第2のベースバンドモジュールは、第1のトランシーバモジュールに、第1のフィルタモジュールを通じて接続する。
【0011】
第1の態様、または第1の態様の第1の可能な実装様式から第5の可能な実装様式のいずれか1つを参照して、第6の可能な実装様式では、第1のワイヤレス通信標準規格は、符号分割多元接続CDMAであり、第2のワイヤレス通信標準規格は、グローバルシステムフォーモバイルコミュニケーションGSMである。
【0012】
本発明の実施形態において提供されるマルチモードワイヤレス端末によれば、マルチモードワイヤレス端末の1つのワイヤレス通信標準規格の、アンテナモジュールおよびトランシーバモジュールが、別のワイヤレス通信標準規格のダイバーシティ受信経路として使用され、制御ユニットが、ダイバーシティ受信経路として働くトランシーバモジュール内に設定され、制御ユニットは、アンテナモジュールおよびトランシーバモジュールを、アイドルタイムスロットにおいて、別のワイヤレス通信標準規格のダイバーシティ受信経路として働くように制御するように構成され、それにより、マルチモードワイヤレス端末の1つのワイヤレス通信標準規格が、別のワイヤレス通信標準規格のアイドルタイムスロットを使用して信号を受信し得るようになり、そのことが、マルチモードワイヤレス端末の受信性能を改善する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本発明の実施形態における、または従来技術における、技術的解決策についてより明確に説明するために、下記は、実施形態または従来技術について説明するために必要とされる添付の図面について簡単に説明している。明らかに、下記の説明における添付の図面は、本発明の一部の実施形態を示しているが、それでも当業者なら、創造的な努力なしで、これらの添付の図面から他の図面を導出し得よう。
図1】本発明の実施形態によるマルチモードワイヤレス端末の実施形態1の概略構造図である。
図2】本発明の実施形態によるマルチモードワイヤレス端末の実施形態2の概略構造図である。
図3】本発明の実施形態によるマルチモードワイヤレス端末の実施形態3の概略構造図である。
図4】本発明の実施形態によるマルチモードワイヤレス端末の実施形態4の概略構造図である。
図5】本発明の実施形態によるマルチモードワイヤレス端末の実施形態5の概略構造図である。
図6】本発明の実施形態によるマルチモードワイヤレス端末の実施形態6の概略構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態の目的、技術的解決策、および利点をより明確にするために、下記は、本発明の実施形態における技術的解決策について、本発明の実施形態における添付の図面を参照して、明確かつ完全に説明している。明らかに、説明される実施形態は、本発明の実施形態のすべてではなく一部である。当業者によって本発明の実施形態に基づいて創造的な努力なしに得られる他のすべての実施形態は、本発明の保護範囲内に含まれるものとする。
【0015】
従来技術におけるマルチモードワイヤレス端末、例えば、CDMAおよびGSMをサポートするデュアルカードデュアルスタンバイモバイル電話では、個々のプライマリアンテナが、CDMAおよびGSMに合わせて構成される。CDMAとGSMはどちらも、データサービスおよび通話サービスを有し、データサービスおよび通話サービスは一般に、同じ回路経路(circuit path)を使用する。ネットワーク技術の発展に伴い、ユーザは、ますます長い時間を、モバイル電話を通じてインターネットを見て回る(surfing)ことに費やし、モバイル電話上のインスタント通信ソフトウェアまたは他のアプリケーションソフトウェアも、モバイル電話に長い時間にわたってオンライン状態にあるように求める場合がある。その結果として、データサービスと通話サービスとの間に不両立が存在し、すなわち、モバイル電話がデータサービスを行っているときに、通話サービスの経路が占有され、そのことが、通話サービスの通話接続率を低下させる。例えば、ユーザがCDMAネットワークを通じてウェブページを閲覧しているとき、CDMA通話サービスの通話接続率は低下される。通話サービスの通話接続率を増加させるには、データサービス率が低下される必要があり、通話サービスをモニタするために一部の経路資源が予約される必要があるが、それは、データサービス率を犠牲にすることによって実施される。
【0016】
本発明の実施形態において提供されるマルチモードワイヤレス端末は、モバイル電話やタブレットコンピュータなどの、複数のワイヤレス通信標準規格をサポートするワイヤレス端末デバイスであり得る。本発明の下記の実施形態は、2つの標準規格をサポートするモバイル電話のみを、本発明において提供されるマルチモードワイヤレス端末について説明するための例として使用しているが、本発明において提供されるマルチモードワイヤレス端末は、下記の実施形態によって限定されることはない。
【0017】
図1は、本発明の実施形態によるマルチモードワイヤレス端末の実施形態1の概略構造図である。図1に示されるように、本実施形態におけるマルチモードワイヤレス端末は、
第1のワイヤレス通信標準規格の経路、および第2のワイヤレス通信標準規格の経路
を含み、第1のワイヤレス通信標準規格は、第2のワイヤレス通信標準規格とは異なり、第1のワイヤレス通信標準規格の経路は、第1のアンテナモジュール101、第1のトランシーバモジュール102、および第1のベースバンドモジュール103を含み、第1のアンテナモジュール101は、第1のトランシーバモジュール102に接続し、第1のトランシーバモジュール102は、第1のベースバンドモジュール103に接続し、第2のワイヤレス通信標準規格の経路は、第2のアンテナモジュール104、第2のトランシーバモジュール105、および第2のベースバンドモジュール106を含み、第2のアンテナモジュール104は、第2のトランシーバモジュール105に接続し、第2のトランシーバモジュール105は、第2のベースバンドモジュール106に接続し、第2のトランシーバモジュール105は、第1のベースバンドモジュール103に接続し、第2のトランシーバモジュール105は、制御ユニット107を含み、制御ユニット107は、第2のアンテナモジュール104および第2のトランシーバモジュール105を、第2のワイヤレス通信標準規格のアイドルタイムスロットにおいて、第1のワイヤレス通信標準規格のダイバーシティ受信経路として働くように制御するように構成される。
【0018】
具体的には、本実施形態において提供されるマルチモードワイヤレス端末は、2つのワイヤレス通信標準規格をサポートし、それらはそれぞれ、第1のワイヤレス通信標準規格、および第2のワイヤレス通信標準規格であり、第1のワイヤレス通信標準規格は、第2のワイヤレス通信標準規格とは異なり、例えば、第1のワイヤレス通信標準規格はCDMAであり、第2のワイヤレス通信標準規格はGSMであり、または第1のワイヤレス通信標準規格はWCDMAであり、第2のワイヤレス通信標準規格はGSMである。
【0019】
第1のワイヤレス通信標準規格においては、第1のアンテナモジュール101、第1のトランシーバモジュール102、および第1のベースバンドモジュール103を含むリンクが、第1のワイヤレス通信標準規格の経路を成し、マルチモードワイヤレス端末は、この第1のワイヤレス通信標準規格の経路を使用して、第1のワイヤレス通信標準規格のデータ送信(sending)およびデータ受信(receiving)を行い得る。第1のアンテナモジュール101は、第1のワイヤレス通信標準規格の無線信号を受信するように構成される。第1のトランシーバモジュール102は、具体的には、デュプレクサ、電力増幅器、および弾性表面波(Surface Acoustic Wave、SAW)フィルタなどの構成要素を含み得る。要するに、第1のトランシーバモジュール102は、第1のワイヤレス通信標準規格の無線周波数信号のためのトランシーバ機能を実施するように構成される。第1のベースバンドモジュール103は、第1のワイヤレス通信標準規格のベースバンド信号処理を行うように構成される。第2のワイヤレス通信標準規格においては、第2のアンテナモジュール104、第2のトランシーバモジュール105、および第2のベースバンドモジュール106を含むリンクが、第2のワイヤレス通信標準規格の経路を成し、マルチモードワイヤレス端末は、この第2のワイヤレス通信標準規格の経路を使用して、第2のワイヤレス通信標準規格のデータ送信およびデータ受信を行い得る。第2のアンテナモジュール104は、第2のワイヤレス通信標準規格の無線信号を受信するように構成され、第2のトランシーバモジュール105は、第2のワイヤレス通信標準規格の無線周波数信号のためのトランシーバ機能を実施するように構成される。第2のベースバンドモジュール106は、第2のワイヤレス通信標準規格のベースバンド信号処理を行うように構成される。第1のワイヤレス通信標準規格の経路と第2のワイヤレス通信標準規格の経路は一般に、互いに独立しており、各モジュールは、それ自体のワイヤレス通信標準規格のデータ伝送および処理タスクを独立して完了する。
【0020】
本実施形態では、第2のワイヤレス通信標準規格の経路が、第1のワイヤレス通信標準規格のダイバーシティ受信経路として働く必要があり、したがって、第2のトランシーバモジュール105が、第1のベースバンドモジュール103に接続する。第2のトランシーバモジュール105と第1のベースバンドモジュール103との間の接続ラインは、ダイバーシティ受信経路108と呼ばれ得、ダイバーシティ受信経路108は、データを受信するための信号ライン、および関連する整合ネットワークを含むが、ダイバーシティ受信経路108は、制御機能を有するどんな構成要素も含まず、すなわち、ダイバーシティ受信経路108は単に、第2のトランシーバモジュール105から第1のベースバンドモジュール103にデータを送信するように構成される。
【0021】
第2のアンテナモジュール104は、第2のワイヤレス通信標準規格の無線信号を受信するように構成されるが、第2のアンテナモジュール104はまた、第1のワイヤレス通信標準規格の無線信号を受信することもでき、ただし、第2のアンテナモジュール104の動作周波数帯域は、第2のワイヤレス通信標準規格の周波数範囲内に位置付けられているので、第2のアンテナモジュール104が第1のワイヤレス通信標準規格の無線信号を受信するとき、利得が比較的低くなる。第2のトランシーバモジュール105は、第2のワイヤレス通信標準規格の無線周波数信号のためのトランシーバ機能を実施するように構成される。第2のトランシーバモジュール105が、第2のアンテナモジュール104によって送られた第1のワイヤレス通信標準規格の無線信号を受信するとき、第2のトランシーバモジュール105の動作周波数帯域が第1のワイヤレス通信標準規格の周波数範囲内に位置することが可能にされる限り、第2のトランシーバモジュール105はまた、第1のワイヤレス通信標準規格の無線周波数信号のためのトランシーバ機能も実施し得る。したがって、第2のトランシーバモジュール105が第1のベースバンドモジュール103に接続するとき、第1のベースバンドモジュールは、第1のワイヤレス通信標準規格の無線周波数信号を第2のトランシーバモジュール105から受信し得、その結果として、第2のアンテナモジュール104、第2のトランシーバモジュール105、および第1のベースバンドモジュール103が、第1のワイヤレス通信標準規格の新規経路を成し、第1のベースバンドモジュール103が、前述の第1のワイヤレス通信標準規格の新規経路上の信号を、第1のアンテナモジュール101、第1のトランシーバモジュール102、および第1のベースバンドモジュール103を含む、第1のワイヤレス通信標準規格の元の経路上の信号と組み合わせることになり、そのことが、第1のワイヤレス通信標準規格の受信能力を改善し、これは、ダイバーシティ受信と呼ばれる。
【0022】
ダイバーシティ受信経路108が、第2のトランシーバモジュール105と第1のベースバンドモジュール103との間に配設された後、第1のベースバンドモジュール103は、第2のアンテナモジュール104および第2のトランシーバモジュール105を通じて、信号を受信することができる。本実施形態におけるマルチモードワイヤレス端末は、2つのワイヤレス通信標準規格を同時にサポートする。ダイバーシティ受信経路108が、第2のトランシーバモジュール105と第1のベースバンドモジュール103との間に配設されるが、第2のトランシーバモジュール105はさらに、第2のベースバンドモジュール106とのデータ伝送を行う必要もあるので、第1のベースバンドモジュール103は、第2のトランシーバモジュール105によって送信されるデータをいつでも受信できるというわけではない。したがって、第2のトランシーバモジュール105は、制御ユニット107をさらに含み、制御ユニット107は、第2のアンテナモジュール104および第2のトランシーバモジュール105を、第2のワイヤレス通信標準規格のアイドルタイムスロットにおいて、第1のベースバンドモジュール103のダイバーシティ受信経路として働くように制御するように構成される。
【0023】
第2のワイヤレス通信標準規格は、データ送信およびデータ受信の2つの状態を有する。第2のワイヤレス通信標準規格のデータ送信時に、データは、第2のベースバンドモジュール106から第2のトランシーバモジュール105に送られ、第2のアンテナモジュール104から外に送信され、この場合、第2のワイヤレス通信標準規格のタイムスロットは、データを送信するために占有され、第2のトランシーバモジュール105は、第1のベースバンドモジュール103にデータを送信することができない。第2のワイヤレス通信標準規格のデータ受信時に、データは、第2のアンテナモジュール104から第2のトランシーバモジュール105に送られ、第2のトランシーバモジュール105によって、第2のベースバンドモジュール106に送られ、この場合、第2のワイヤレス通信標準規格のタイムスロットは、データを受信するために占有される。しかし、第1のワイヤレス通信標準規格は、第2のワイヤレス通信標準規格とは異なるので、それらの、周波数や変調様式などのパラメータも異なり、したがって、第2のトランシーバモジュール105はまた、第1のワイヤレス通信標準規格のデータを受信し、第1のワイヤレス通信標準規格のデータを、ダイバーシティ受信経路108を通じて第1のベースバンドモジュール103に送ることもできる。それに加えて、一般に、第2のワイヤレス通信標準規格においてデータはいつでも送信され、または受信されるというわけではない。スタンバイ状態では、シグナリングが一部のタイムスロットにおいてのみモニタされ、残りのタイムスロットにおいては、第2のワイヤレス通信標準規格はスリープモード(Sleep Mode)にある。第2のワイヤレス通信標準規格がスリープモードのタイムスロットにあるとき、第1のワイヤレス通信標準規格のデータはまた、第2のアンテナモジュール104および第2のトランシーバモジュール105を通じて受信され、ダイバーシティ受信経路108を通じて、第1のベースバンドモジュール103に送られることもできる。
【0024】
したがって、第2のトランシーバモジュール105内の制御ユニット107が、第2のトランシーバモジュール105内のアンテナスイッチを制御することによって、第2のワイヤレス通信標準規格のアイドルタイムスロットにおいて、第1のワイヤレス通信標準規格のデータを受信し、第1のワイヤレス通信標準規格の受信されたデータを、ダイバーシティ受信経路108を通じて第1のベースバンドモジュール103に送ることができる。このようにして、第1のベースバンドモジュール103は、第2のトランシーバモジュール105によって送られたデータを、第2のワイヤレス通信標準規格のデータを送信するためのタイムスロットを除き、すべてのタイムスロットにおいて受信することができ、それにより、第2のワイヤレス通信標準規格の経路は、ほとんどの時間、第1のワイヤレス通信標準規格のダイバーシティ受信経路として働くことができるようになり、しかも第2のワイヤレス通信標準規格には影響を及ぼさず、そのことが、第1のワイヤレス通信標準規格の受信性能を改善する。一般に、現在のワイヤレス通信トランシーバモジュールは、プログラマブルチップを備えており、したがって、第2のトランシーバモジュール105内の制御ユニット107は、ソフトウェア様式で実装され得る。このようにして、ユーザが本実施形態において提供されるマルチモードワイヤレス端末の第1のワイヤレス通信標準規格を使用することによってデータサービスを行うものと仮定すると、第2のワイヤレス通信標準規格の経路が、ほとんどの時間、第1のワイヤレス通信標準規格のダイバーシティ受信経路として働き得るので、第1のワイヤレス通信標準規格の通話サービスは、第2のワイヤレス通信標準規格によってモニタされ得、第1のワイヤレス通信標準規格は、すべての経路資源を使用することによってデータサービスを行うことができ、そのことが、マルチモードワイヤレス端末の受信性能を改善する。
【0025】
それに加えて、オプションで、本実施形態において提供されるマルチモードワイヤレス端末は、中央処理ユニット109をさらに含み得、中央処理ユニット109は、第1のベースバンドモジュール103および第2のベースバンドモジュール106に接続し、中央処理ユニット109は、第1のワイヤレス通信標準規格のデータ、および第2のワイヤレス通信標準規格のデータに対して、アプリケーション層処理を行うように構成される。中央処理ユニット109は一般に、比較的強力な処理能力をもつチップを使用するので、中央処理ユニット109は、第1のワイヤレス通信標準規格および第2のワイヤレス通信標準規格によって共用され得るが、本実施形態はそれに限定されず、スタンドアロン型中央処理ユニットが、第1のワイヤレス通信標準規格および第2のワイヤレス通信標準規格用に配設されてもよい。
【0026】
本実施形態は、第2のワイヤレス通信標準規格の経路内の第2のアンテナモジュールおよび第2のトランシーバモジュールが、第1のワイヤレス通信標準規格のダイバーシティ受信経路として働くことについてのみ説明していることに留意されたいが、当業者なら、第1のワイヤレス通信標準規格の経路内の第1のアンテナモジュールおよび第1のトランシーバモジュールが、第2のワイヤレス通信標準規格のダイバーシティ受信経路として働いてもよいことを理解し得よう。あるいは、本実施形態と同じ構造に従って、第2のワイヤレス通信標準規格の経路、および第1のワイヤレス通信標準規格の経路が、互いのダイバーシティ受信経路として働いてもよい。その上、マルチモードワイヤレス端末が、3つ以上のワイヤレス通信標準規格を同時にサポートし、それらのワイヤレス通信標準規格の3つ以上の経路を有するとき、それらのワイヤレス通信標準規格の経路のうちの2つ以上が、1つのワイヤレス通信標準規格のダイバーシティ受信経路として同時に働いてもよい。
【0027】
本実施形態では、マルチモードワイヤレス端末におけるワイヤレス通信標準規格の、アンテナモジュールおよびトランシーバモジュールが、別のワイヤレス通信標準規格のダイバーシティ受信経路として働き、制御ユニットが、ダイバーシティ受信用のトランシーバモジュール内に設定され、制御ユニットは、アンテナモジュールおよびトランシーバモジュールを、アイドルタイムスロットにおいて、別のワイヤレス通信標準規格のダイバーシティ受信経路として働くように制御するように構成され、それにより、マルチモードワイヤレス端末のワイヤレス通信標準規格が、別のワイヤレス通信標準規格のアイドルタイムスロット使用することによって信号を受信することができるようになり、そのことが、マルチモードワイヤレス端末の受信性能を改善する。
【0028】
それに加えて、既存のマルチモードワイヤレス端末と比較して、本実施形態において提供されるマルチモードワイヤレス端末は、第2のトランシーバモジュール105を第1のベースバンドモジュール103に接続するダイバーシティ受信経路108のみが追加され、ダイバーシティ受信経路108は、データを受信するための信号ライン、および関連する整合ネットワークのみを含むが、制御機能を有するどんな構成要素も含まず、したがって、マルチモードワイヤレス端末のサイズは基本的に増加しない。
【0029】
図2は、本発明の実施形態によるマルチモードワイヤレス端末の実施形態2の概略構造図である。図2に示されるように、本実施形態におけるマルチモードワイヤレス端末と、図1に示されるマルチモードワイヤレス端末との相違は、以下の点にある。
【0030】
第2のワイヤレス通信標準規格の経路は、第2のフィルタモジュール201をさらに含み、第2のフィルタモジュール201の通過帯域は、第1のワイヤレス通信標準規格の受信周波数帯域内、および第2のワイヤレス通信標準規格の受信周波数帯域内に位置付けられ、第2のベースバンドモジュール106は、第2のトランシーバモジュール105に、第2のフィルタモジュール201を通じて接続し、第1のベースバンドモジュール103は、第2のトランシーバモジュール105に、第2のフィルタモジュール201を通じて接続する。
【0031】
具体的には、第1のワイヤレス通信標準規格は、第2のワイヤレス通信標準規格とは異なり、また2つの異なるワイヤレス通信標準規格の周波数は一般に異なり、したがって、ワイヤレス端末において、必要とされるワイヤレス通信標準規格の信号に対して処理を行うには、受信された無線信号に対してフィルタリング処理が行われる必要がある。各ワイヤレス通信標準規格は、1または複数の固定動作周波数帯域を有しており、したがって、ワイヤレス通信標準規格の経路内に、通過帯域がその動作周波数帯域と同じであるフィルタモジュールが、別の周波数の無線信号をフィルタ除去すべく配設される必要がある。
【0032】
本実施形態では、第2のアンテナモジュール104および第2のトランシーバモジュール105が、第1のワイヤレス通信標準規格の無線信号と第2のワイヤレス通信標準規格の無線信号をどちらも受信するので、第2のフィルタモジュール201が、第2のワイヤレス通信標準規格の経路内に配設され、第2のフィルタモジュール201は、第1のワイヤレス通信標準規格の信号を第2のワイヤレス通信標準規格の信号から分離するように構成される。第2のフィルタモジュール201は、少なくとも2つの通過帯域を有し得、一方の通過帯域は、第1のワイヤレス通信標準規格の受信周波数帯域内に位置付けられ、他方の通過帯域は、第2のワイヤレス通信標準規格の受信周波数帯域内に位置付けられる。第2のフィルタモジュール201の、第1のワイヤレス通信標準規格の受信周波数帯域内に位置付けられた通過帯域を使用することによるフィルタリングによって得られる信号が、第1のベースバンドモジュール103に送られ、第2のフィルタモジュール201の、第2のワイヤレス通信標準規格の受信周波数帯域内に位置付けられた通過帯域を使用することによるフィルタリングによって得られる信号が、第2のベースバンドモジュール106に送られる。このようにして、第1のベースバンドモジュール103と第2のベースバンドモジュール106はどちらも、それら自体の受信周波数帯域の信号を受信し、そのことが、別の周波数の信号からの干渉を回避する。
【0033】
図3は、本発明の実施形態によるマルチモードワイヤレス端末の実施形態3の概略構造図である。図3に示されるように、本実施形態におけるマルチモードワイヤレス端末と、図2に示されるマルチモードワイヤレス端末との相違は、以下の点にある。
【0034】
第2のワイヤレス通信標準規格は、第1の受信周波数帯域、および第2の受信周波数帯域を含み、第2のフィルタモジュール201の通過帯域は、第1のワイヤレス通信標準規格の受信周波数帯域内、および第2のワイヤレス通信標準規格の第1の受信周波数帯域内に位置付けられ、第2のワイヤレス通信標準規格の経路は、第3のフィルタモジュール301をさらに含み、第3のフィルタモジュール301の通過帯域は、第2のワイヤレス通信標準規格の第2の受信周波数帯域内に位置付けられ、第3のフィルタモジュール301は、第2のベースバンドモジュール106と第2のトランシーバモジュール105との間に位置付けられる。制御ユニット107は、マルチモードワイヤレス端末が第2のワイヤレス通信標準規格の第1の受信周波数帯域内で動作するとき、第2のトランシーバモジュール105を、第2のフィルタモジュール201に接続するように制御し、マルチモードワイヤレス端末が第2のワイヤレス通信標準規格の第2の受信周波数帯域内で動作するとき、第2のトランシーバモジュール105を、第3のフィルタモジュール301に接続するように制御するようにさらに構成される。
【0035】
具体的には、既存のワイヤレス通信技術では、限られた周波数帯域資源のため、1つのワイヤレス通信標準規格が、異なる周波数範囲をもつ2つ以上の周波数帯域を有している場合があり、ただし、そのワイヤレス通信標準規格のアンテナモジュールおよびトランシーバモジュールは、1つの周波数範囲内で同時に動作することしかできない。本発明において提供されるマルチモードワイヤレス端末に関して言うと、1つのワイヤレス通信標準規格が、2つ以上の周波数範囲を有するワイヤレス通信標準規格の経路をダイバーシティ受信経路として使用することができるように、本実施形態において説明されるマルチモードワイヤレス端末が提案される。
【0036】
図3に示されるように、本実施形態では、第2のワイヤレス通信標準規格は、第1の受信周波数帯域、および第2の受信周波数帯域を含み、第2のワイヤレス通信標準規格の経路は、第2のフィルタモジュール201と第3のフィルタモジュール301をどちらも有し、第2のフィルタモジュール201の通過帯域は、第2のワイヤレス通信標準規格の第1の受信周波数帯域内、および第1のワイヤレス通信標準規格の受信周波数帯域内に位置付けられ、第3のフィルタモジュール301の通過帯域は、第2のワイヤレス通信標準規格の第2の受信周波数帯域内に位置付けられる。第1のワイヤレス通信標準規格は、第2のアンテナモジュール104、第2のトランシーバモジュール105、および第2のフィルタモジュール201を含む経路を、ダイバーシティ受信経路として使用する。
【0037】
第2のワイヤレス通信標準規格は、第1の受信周波数帯域、および第2の受信周波数帯域を含み、したがって、第2のワイヤレス通信標準規格は、第1の送信周波数帯域、および第2の送信周波数帯域をさらに有し、第2のワイヤレス通信標準規格は、一度にただ1つの周波数帯域内で動作することができる。データ送信状態およびデータ受信状態に関して、第2のワイヤレス通信標準規格の稼働状態は、第1の受信周波数帯域内でのデータ受信、第1の送信周波数帯域内でのデータ送信、第2の受信周波数帯域内でのデータ受信、および第2の送信周波数帯域内でのデータ送信の4つのタイプに分類される。図1に示される実施形態から、第2のワイヤレス通信標準規格においてデータが送信されるとき、第2のワイヤレス通信標準規格のタイムスロットは、データを送信するために占有される、ということを学ぶことができ、この場合、データは、どんな周波数帯域においても受信されることができず、すなわち、前述の4つの状態において、第1の送信周波数帯域内でのデータ送信および第2の送信周波数帯域内でのデータ送信時に、第1のワイヤレス通信標準規格は、第2のワイヤレス通信標準規格の経路をダイバーシティ受信経路として使用することができない。第2の受信周波数帯域内でのデータ受信時に、第2のトランシーバモジュール105は、第2のアンテナモジュール104、第2のトランシーバモジュール105、第3のフィルタモジュール301、および第2のベースバンドモジュール106を含む経路を選択する必要があり、したがって、この場合、第1のベースバンドモジュール103は依然として、第2のトランシーバモジュール105から送られるデータを受信することができず、すなわち、この稼働状態においては、第1のワイヤレス通信標準規格は依然として、第2のワイヤレス通信標準規格の経路をダイバーシティ受信経路として使用することができない。したがって、第1の受信周波数帯域内でのデータ受信状態においてのみ、第1のワイヤレス通信標準規格は、第1のワイヤレス通信標準規格のデータを、第2のアンテナモジュール104、第2のトランシーバモジュール105、第2のフィルタモジュール201、およびダイバーシティ受信経路108を含むダイバーシティ受信経路を通じて、受信することができる。制御ユニット107は、各タイムスロットにおいて、異なるレシービング様式の選択を制御するために使用され得る。
【0038】
さらに、制御ユニット107は、マルチモードワイヤレス端末が第2のワイヤレス通信標準規格の第2の受信周波数帯域内で動作するとき、第2のトランシーバモジュール105を、第2のワイヤレス通信標準規格の第1の受信周波数帯域および第2の受信周波数帯域のアイドルタイムスロットにおいて、第2のフィルタモジュール201に接続するように制御するようにさらに構成される。一般に、第2のワイヤレス通信標準規格においてデータはいつでも送信され、または受信されるというわけではない。スタンバイ状態では、シグナリングが一部のタイムスロットにおいてのみモニタされ、残りのタイムスロットにおいては、第2のワイヤレス通信標準規格はスリープモード(Sleep Mode)にある。第2のワイヤレス通信標準規格がスリープモードのタイムスロットにあるとき、第1のワイヤレス通信標準規格のデータはまた、第2のアンテナモジュール104および第2のトランシーバモジュール105を通じて受信され、第2のフィルタモジュール201およびダイバーシティ受信経路108を通じて、第1のベースバンドモジュール103に送られることもできる。このことが制御ユニット107に、第2のトランシーバモジュール105を、第2のワイヤレス通信標準規格の第1の受信周波数帯域および第2の受信周波数帯域のアイドルタイムスロットにおいて、第2のフィルタモジュール201に接続させるように求める。
【0039】
図4は、本発明の実施形態によるマルチモードワイヤレス端末の実施形態4の概略構造図である。図4に示されるように、本実施形態におけるマルチモードワイヤレス端末と、図3に示されるマルチモードワイヤレス端末との相違は、以下の点にある。
【0040】
第1のトランシーバモジュール102は、第2のベースバンドモジュール106に、第2のダイバーシティ受信回路401を通じて接続し、第1のトランシーバモジュール102は、第2の制御ユニット402を含み、第2の制御ユニット402は、第1のアンテナモジュール101および第1のトランシーバモジュール102を、第1のワイヤレス通信標準規格のアイドルタイムスロットにおいて、第2のワイヤレス通信標準規格のダイバーシティ受信経路として働くように制御するように構成される。
【0041】
具体的には、本実施形態は、第1のワイヤレス通信標準規格の経路が、第2のワイヤレス通信標準規格のダイバーシティ受信経路として働き、同時に、第2のワイヤレス通信標準規格の経路が、第1のワイヤレス通信標準規格のダイバーシティ受信経路として働く場合について説明している。第1のワイヤレス通信標準規格の経路が、第2のワイヤレス通信標準規格のダイバーシティ受信経路として働く特定の実装方法は、前述の実施形態の説明に類似している。
【0042】
図5は、本発明の実施形態によるマルチモードワイヤレス端末の実施形態5の概略構造図である。図5に示されるように、本実施形態におけるマルチモードワイヤレス端末と、図4に示されるマルチモードワイヤレス端末との相違は、以下の点にある。
【0043】
第1のワイヤレス通信標準規格の経路は、第1のフィルタモジュール501をさらに含み、第1のフィルタモジュール501の通過帯域は、第2のワイヤレス通信標準規格の受信周波数帯域内、および第1のワイヤレス通信標準規格の受信周波数帯域内に位置付けられ、第1のベースバンドモジュール103は、第1のトランシーバモジュール102に、第1のフィルタモジュール501を通じて接続し、第2のベースバンドモジュール106は、第1のトランシーバモジュール102に、第1のフィルタモジュール501を通じて接続する。
【0044】
具体的には、図2に示される実施形態と類似して、第1のワイヤレス通信標準規格は、第2のワイヤレス通信標準規格とは異なり、また2つの異なるワイヤレス通信標準規格の周波数は一般に異なり、したがって、第1のフィルタモジュール501が、第1のワイヤレス通信標準規格の経路内に配設され、第1のフィルタモジュール501は、第1のワイヤレス通信標準規格の信号を第2のワイヤレス通信標準規格の信号から分離するように構成される。第1のフィルタモジュール501は、少なくとも2つの通過帯域を有し得、一方の通過帯域は、第1のワイヤレス通信標準規格の受信周波数帯域内に位置付けられ、他方の通過帯域は、第2のワイヤレス通信標準規格の受信周波数帯域内に位置付けられる。この点において、第2のワイヤレス通信標準規格が本実施形態では2つの受信周波数帯域を有するので、第1のフィルタモジュール501の通過帯域は、第2のワイヤレス通信標準規格によって使用される必要があるダイバーシティ受信経路の周波数帯域に従って設定される必要があることに留意されたい。第1のフィルタモジュール501の、第2のワイヤレス通信標準規格の受信周波数帯域内に位置付けられた通過帯域を使用することによるフィルタリングによって得られる信号が、第2のベースバンドモジュール106に送られ、第1のフィルタモジュール501の、第1のワイヤレス通信標準規格の受信周波数帯域内に位置付けられた通過帯域を使用することによるフィルタリングによって得られる信号が、第1のベースバンドモジュール103に送られる。このようにして、第1のベースバンドモジュール103と第2のベースバンドモジュール106はどちらも、それら自体の受信周波数帯域の信号を受信し、そのことが、別の周波数の信号からの干渉を回避する。
【0045】
前述の実施形態では、マルチモードワイヤレス端末の受信経路内の一部のモジュールのみが考慮されていることに留意されたいが、当業者なら、本発明の実施形態において提供されるマルチモードワイヤレス端末が、送信経路をさらに含み、それに加えて、受信経路が、増幅やフィルタリングなどの機能を実施するモジュールまたは構成要素をさらに含み、その上、マルチモードワイヤレス端末が、さまざまな整合回路および別の機能を実施する構成要素をさらに含み、受信経路および送信経路は、シングルエンド信号または差動信号を使用し得ることを理解し得よう。
【0046】
下記は、特定の実施形態を使用して、本発明の実施形態によるマルチモードワイヤレス端末について説明している。図6は、本発明の実施形態によるマルチモードワイヤレス端末の実施形態6の概略構造図である。図6に示されるように、本実施形態は、CDMAおよびGSMのデュアルカードデュアルスタンバイデュアルパス(dual pass)モバイル電話の概略構造図を提供し、この場合、GSMは、900MHzと1800/1900MHzの2つの周波数範囲を有し、800MHzのCDMAが、GSM900MHz周波数範囲を、ダイバーシティ受信経路として使用する。
【0047】
CDMAアンテナ601、デュプレクサ602、CDMAベースバンドモジュール603、および中央処理ユニット604が、CDMA受信経路を成し、CDMAベースバンドモジュール603は、WTR1605チップを使用し、中央処理ユニット604は、MSM8930チップを使用し、CDMAベースバンドモジュール603は、レシービング用に差動シグナリングを使用する。中央処理ユニット604、CDMAベースバンドモジュール603、850MHz SAWフィルタ605、電力増幅器(Power Amplifier、PA)606、デュプレクサ602、およびCDMAアンテナ601が、CDMA送信経路を成す。デュプレクサ602、850MHz SAWフィルタ605、および電力増幅器606は、まとめてCDMAトランシーバモジュールと呼ばれ得る。GSMアンテナ607、GSMトランシーバモジュール608、850/900MHz SAWフィルタ609、GSMベースバンドモジュール610、および中央処理ユニット604が、GSM900MHz受信経路を成し、GSMアンテナ607、GSMトランシーバモジュール608、1800/1900MHz SAWフィルタ611、GSMベースバンドモジュール610、および中央処理ユニット604が、GSM1800/1900MHz受信経路を成し、中央処理ユニット604、GSMベースバンドモジュール610、GSMトランシーバモジュール608、およびGSMアンテナ607が、GSM送信経路を成す。GSMトランシーバモジュール608は、TQM6M4068チップを使用し、GSMベースバンドモジュール610は、MTK6252Dチップを使用する。850/900MHz SAWフィルタ609は、CDMAベースバンドモジュール603に、ダイバーシティ受信回路612を通じて接続する。GSMベースバンドモジュール610は、レシービング用に差動シグナリングを使用する。GSMトランシーバモジュール608は、5つの稼働状態を有し、それらはGSM900MHzセンディング、GSM1800/1900MHzセンディング、GSM900MHzレシービング、GSM1800/1900MHzレシービング、およびスリープモードである。5つの稼働状態を制御し、さらにGSMアンテナ607が対応するフィルタまたはベースバンドモジュールに接続するように選択すべく、3つの制御レベルがGSMトランシーバモジュール608内に設定される。例えば、3つの制御レベル、すなわちTXEN、VBS1、およびVBS2が、GSMトランシーバモジュール608内に設定され、5つの稼働状態は、表1に示されるように制御され得る。
【0048】
【表1】
【0049】
GSMトランシーバモジュール608の稼働状態が、GSM900MHzレシービングおよびスリープモードであるとき、GSMトランシーバモジュール608は、CDMAベースバンドモジュール603に、ダイバーシティ受信回路612を通じて接続し、それにより、CDMAダイバーシティ受信を実施する。GSM通話状態においては、GSMが時分割二重(Time Division Duplexing、TDD)モードにあるので、GSM送信は各フレームの8つのタイムスロットの中でただ1つのタイムスロットを占有し、GSM1800/1900MHzレシービングが使用されるときも同様に、ただ1つのタイムスロットが占有され、したがって、スリープモードおよびGSM900MHzレシービングの残りの6つのタイムスロットにおいて、CDMAはダイバーシティ受信を実施することができ、それにより、CDMA経路の受信性能を大いに改善する。
【0050】
本発明の前述の実施形態は、2つのワイヤレス通信標準規格、すなわちGSMおよびCDMA、のみを説明のための例として使用しているが、本発明において提供されるマルチモードワイヤレス端末はそれに限定されない。少なくとも2つのワイヤレス通信標準規格をサポートする任意のマルチモードワイヤレス端末、例えば、同時音声およびロングタームエボリューション(Long Term Evolution、LTE)(Simultaneous Voice and LTE、SVLTE)、ならびに同時GSMおよびLTE(Simultaneous GSM and LTE、SGLTE)が、本発明の保護範囲内に含まれるものとする。
【0051】
当業者なら、方法実施形態のステップのすべてまたは一部が、関連のあるハードウェアに命令するプログラムによって実施され得ることを理解し得よう。プログラムは、コンピュータ可読記憶媒体内に記憶され得る。プログラムが実行すると、方法実施形態のステップが行われる。前述の記憶媒体は、RAM、ROM、磁気ディスク、または光ディスクなど、プログラムコードを記憶することのできる任意の媒体を含む。
【0052】
最後に、前述の実施形態は、本発明を限定するためのものではなく、本発明の技術的解決策について説明することを意図するにすぎないことに留意されたい。本発明については、前述の実施形態を参照して詳細に説明されたが、当業者なら、本発明の実施形態の技術的解決策の範囲から逸脱することなく、なお依然として前述の実施形態において説明された技術的解決策に修正を加え、またはその一部またはすべての技術的特徴に対して等価な置換を行い得ることを理解されたい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6