特許第6363726号(P6363726)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 深▲せん▼配天智能技術研究院有限公司の特許一覧

特許6363726工具経路計画方法と装置及びワークピースの加工方法と装置
<>
  • 特許6363726-工具経路計画方法と装置及びワークピースの加工方法と装置 図000088
  • 特許6363726-工具経路計画方法と装置及びワークピースの加工方法と装置 図000089
  • 特許6363726-工具経路計画方法と装置及びワークピースの加工方法と装置 図000090
  • 特許6363726-工具経路計画方法と装置及びワークピースの加工方法と装置 図000091
  • 特許6363726-工具経路計画方法と装置及びワークピースの加工方法と装置 図000092
  • 特許6363726-工具経路計画方法と装置及びワークピースの加工方法と装置 図000093
  • 特許6363726-工具経路計画方法と装置及びワークピースの加工方法と装置 図000094
  • 特許6363726-工具経路計画方法と装置及びワークピースの加工方法と装置 図000095
  • 特許6363726-工具経路計画方法と装置及びワークピースの加工方法と装置 図000096
  • 特許6363726-工具経路計画方法と装置及びワークピースの加工方法と装置 図000097
  • 特許6363726-工具経路計画方法と装置及びワークピースの加工方法と装置 図000098
  • 特許6363726-工具経路計画方法と装置及びワークピースの加工方法と装置 図000099
  • 特許6363726-工具経路計画方法と装置及びワークピースの加工方法と装置 図000100
  • 特許6363726-工具経路計画方法と装置及びワークピースの加工方法と装置 図000101
  • 特許6363726-工具経路計画方法と装置及びワークピースの加工方法と装置 図000102
  • 特許6363726-工具経路計画方法と装置及びワークピースの加工方法と装置 図000103
  • 特許6363726-工具経路計画方法と装置及びワークピースの加工方法と装置 図000104
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6363726
(24)【登録日】2018年7月6日
(45)【発行日】2018年7月25日
(54)【発明の名称】工具経路計画方法と装置及びワークピースの加工方法と装置
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/4093 20060101AFI20180712BHJP
   G05B 19/404 20060101ALI20180712BHJP
   B23Q 15/00 20060101ALI20180712BHJP
【FI】
   G05B19/4093 F
   G05B19/404 F
   B23Q15/00 301K
【請求項の数】6
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2016-557179(P2016-557179)
(86)(22)【出願日】2014年12月5日
(65)【公表番号】特表2016-540334(P2016-540334A)
(43)【公表日】2016年12月22日
(86)【国際出願番号】CN2014093169
(87)【国際公開番号】WO2015081892
(87)【国際公開日】20150611
【審査請求日】2016年7月27日
(31)【優先権主張番号】201310661549.0
(32)【優先日】2013年12月6日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】316016818
【氏名又は名称】深▲せん▼配天智能技術研究院有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHENZHEN A&E INTELLIGENT TECHNOLOGY INSTITUTE CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】陳 暁穎
【審査官】 貞光 大樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭64−12304(JP,A)
【文献】 特開平1−255007(JP,A)
【文献】 特開平3−188508(JP,A)
【文献】 特開平6−175717(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/18 − 19/416
G05B 19/42 − 19/46
B23Q 15/00 − 15/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
終点と起点とが交差する第1プログラム経路と第2プログラム経路を含む、ワークピースのプログラム経路を取得するステップと、
前記第1プログラム経路と工具半径に基づいて、対応する第1工具経路を算出し、第2プログラム経路と工具半径に基づいて、対応する第2工具経路を算出するステップであって、前記第1プログラム経路と第2プログラム経路との交点は第1工具経路における終点と第2工具経路における起点に対応するステップと、
第1工具経路と第2工具経路に基づいて、第1工具経路の終点と第2工具経路の起点を連結する切替え経路を計算するステップであって、前記切替え経路におけるすべての点から第1プログラム経路と第2プログラム経路までの距離は工具半径以上であるステップとを含み、
前記切替え経路は、第1切替え経路、第2切替え経路及び第3切替え経路が終点と起点とで連接して成すものであり、
前記第1工具経路の最終段が曲線である場合、第1切替え経路は第1工具経路の終点を通る接線であり、前記第1工具経路の最終段が直線である場合、第1切替え経路は第1工具経路が該終点を通る延長線であり、
前記第2工具経路の最初段が曲線である場合、第2切替え経路は第2工具経路の起点を通る接線であり、前記第2工具経路の最初段が直線である場合、第2切替え経路は第2工具経路が該起点を通る延長線であり、
第1切替え経路に第1切替え点を取り、第2切替え経路に第2切替え点を取り、前記第3切替え経路は第1切替え点と第2切替え点とを連結する線分であり、
前記第1プログラム経路と第2プログラム経路との連結タイプが伸長型又は短縮型であり、且つ第1プログラム経路と第2プログラム経路とが異なる面にある場合、前記第3切替え経路は、第1工具経路の終点に位置する第1接線の径補正方向ベクトル


及び第2工具経路の起点に位置する第2接線の径補正方向ベクトル


に直交しており、
前記第1プログラム経路と第2プログラム経路との連結タイプが挿入型である場合、前記第1切替え経路の長さは第2切替え経路の長さと等しく、且つ前記第1プログラム経路と第2プログラム経路との交点から第3切替え経路までの距離は工具半径rである
ことを特徴とする工具経路計画方法。
【請求項2】
前記第1プログラム経路と第2プログラム経路との連結タイプが伸長型又は短縮型である場合、前記切替え経路における第1切替え点Dと第2切替え点Eはそれぞれ次のとおりであり、


ここで、


は前記第1接線の単位方向ベクトルであり、


は前記第2接線の単位方向ベクトルであり、


の場合、前記第1切替え点Dは第1接線及び第2接線の接続垂線の第1接線における交点であり、


の場合、前記第2切替え点Eは第1接線及び第2接線の接続垂線の第2接線における交点であり,B’は第1工具経路の終点であり、B”は第2工具経路の起点である
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1プログラム経路と第2プログラム経路との連結タイプが挿入型である場合、前記切替え経路における第1切替え点Dと第2切替え点Eはそれぞれ次のとおりであり、


ここで、


は前記第1接線の単位方向ベクトルであり、


は前記第2接線の単位方向ベクトルであり、xは方程式


のゼロより大きな解であり、Bは第1プログラム経路と第2プログラム経路の交点であり、B’は第1工具経路の終点であり、B”は第2工具経路の起点である
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
終点と起点とが交差する第1プログラム経路と第2プログラム経路を含む、ワークピースのプログラム経路を取得するステップと、
前記第1プログラム経路と工具半径に基づいて、対応する第1工具経路を算出し、第2プログラム経路と工具半径に基づいて、対応する第2工具経路を算出するステップであって、前記第1プログラム経路と第2プログラム経路との交点は第1工具経路における終点と第2工具経路における起点に対応するステップと、
第1工具経路と第2工具経路に基づいて、第1工具経路の終点と第2工具経路の起点を連結する切替え経路を計算するステップであって、前記切替え経路におけるすべての点から第1プログラム経路と第2プログラム経路までの距離は工具半径以上であるステップと、
順に第1工具経路、切替え経路、第2工具経路の加工経路の順序に従ってワークピースを加工するステップと、
を含み、
前記切替え経路は、第1切替え経路、第2切替え経路及び第3切替え経路が終点と起点とで連接して成すものであり、
前記第1工具経路の最終段が曲線である場合、第1切替え経路は第1工具経路の終点を通る接線であり、前記第1工具経路の最終段が直線である場合、第1切替え経路は第1工具経路が該終点を通る延長線であり、
前記第2工具経路の最初段が曲線である場合、第2切替え経路は第2工具経路の起点を通る接線であり、前記第2工具経路の最初段が直線である場合、第2切替え経路は第2工具経路が該起点を通る延長線であり、
第1切替え経路に第1切替え点を取り、第2切替え経路に第2切替え点を取り、前記第3切替え経路は第1切替え点と第2切替え点とを連結する線分であり、
前記第1プログラム経路と第2プログラム経路との連結タイプが伸長型又は短縮型であり、且つ第1プログラム経路と第2プログラム経路とが異なる面にある場合、前記第3切替え経路は、第1工具経路の終点に位置する第1接線の径補正方向ベクトル


及び第2工具経路の起点に位置する第2接線の径補正方向ベクトル


に直交しており、
前記第1プログラム経路と第2プログラム経路との連結タイプが挿入型である場合、前記第1切替え経路の長さは第2切替え経路の長さと等しく、且つ前記第1プログラム経路と第2プログラム経路との交点から第3切替え経路までの距離は工具半径rである
ことを特徴とするワークピースの加工方法。
【請求項5】
終点と起点とが交差する第1プログラム経路と第2プログラム経路を含む、ワークピースのプログラム経路を取得するためのプログラム経路取得モジュールと、
前記第1プログラム経路と工具半径に基づいて、対応する第1工具経路を算出し、第2プログラム経路と工具半径に基づいて、対応する第2工具経路を算出するための工具経路取得モジュールであって、前記第1プログラム経路と第2プログラム経路との交点は第1工具経路における終点と第2工具経路における起点に対応する工具経路取得モジュールと、
前記第1工具経路と第2工具経路に基づいて、第1工具経路の終点と第2工具経路の起点を連結する切替え経路を計算するための切替え経路取得モジュールであって、前記切替え経路におけるすべての点から第1プログラム経路と第2プログラム経路までの距離は工具半径以上である切替え経路取得モジュールと、
を含み、
前記切替え経路は、第1切替え経路、第2切替え経路及び第3切替え経路が終点と起点とで連接して成すものであり、
前記第1工具経路の最終段が曲線である場合、第1切替え経路は第1工具経路の終点を通る接線であり、前記第1工具経路の最終段が直線である場合、第1切替え経路は第1工具経路が該終点を通る延長線であり、
前記第2工具経路の最初段が曲線である場合、第2切替え経路は第2工具経路の起点を通る接線であり、前記第2工具経路の最初段が直線である場合、第2切替え経路は第2工具経路が該起点を通る延長線であり、
第1切替え経路に第1切替え点を取り、第2切替え経路に第2切替え点を取り、前記第3切替え経路は第1切替え点と第2切替え点とを連結する線分であり、
前記第1プログラム経路と第2プログラム経路との連結タイプが伸長型又は短縮型であり、且つ第1プログラム経路と第2プログラム経路とが異なる面にある場合、前記第3切替え経路は、第1工具経路の終点に位置する第1接線の径補正方向ベクトル


及び第2工具経路の起点に位置する第2接線の径補正方向ベクトル


に直交しており、
前記第1プログラム経路と第2プログラム経路との連結タイプが挿入型である場合、前記第1切替え経路の長さは第2切替え経路の長さと等しく、且つ前記第1プログラム経路と第2プログラム経路との交点から第3切替え経路までの距離は工具半径rである
ことを特徴とする工具経路計画装置。
【請求項6】
終点と起点とが交差する第1プログラム経路と第2プログラム経路を含む、ワークピースのプログラム経路を取得するためのプログラム経路取得モジュールと、
前記第1プログラム経路と工具半径に基づいて、対応する第1工具経路を算出し、第2プログラム経路と工具半径に基づいて、対応する第2工具経路を算出するための工具経路取得モジュールであって、前記第1プログラム経路と第2プログラム経路との交点は第1工具経路における終点と第2工具経路における起点に対応する工具経路取得モジュールと、
前記第1工具経路と第2工具経路に基づいて、第1工具経路の終点と第2工具経路の起点を連結する切替え経路を計算するための切替え経路取得モジュールであって、前記切替え経路におけるすべての点から第1プログラム経路と第2プログラム経路までの距離は工具半径以上である切替え経路取得モジュールと、
順に第1工具経路、切替え経路、第2工具経路の加工経路の順序に従ってワークピースを加工するための加工モジュールと
を含み、
前記切替え経路は、第1切替え経路、第2切替え経路及び第3切替え経路が終点と起点とで連接して成すものであり、
前記第1工具経路の最終段が曲線である場合、第1切替え経路は第1工具経路の終点を通る接線であり、前記第1工具経路の最終段が直線である場合、第1切替え経路は第1工具経路が該終点を通る延長線であり、
前記第2工具経路の最初段が曲線である場合、第2切替え経路は第2工具経路の起点を通る接線であり、前記第2工具経路の最初段が直線である場合、第2切替え経路は第2工具経路が該起点を通る延長線であり、
第1切替え経路に第1切替え点を取り、第2切替え経路に第2切替え点を取り、前記第3切替え経路は第1切替え点と第2切替え点とを連結する線分であり、
前記第1プログラム経路と第2プログラム経路との連結タイプが伸長型又は短縮型であり、且つ第1プログラム経路と第2プログラム経路とが異なる面にある場合、前記第3切替え経路は、第1工具経路の終点に位置する第1接線の径補正方向ベクトル


及び第2工具経路の起点に位置する第2接線の径補正方向ベクトル


に直交しており、
前記第1プログラム経路と第2プログラム経路との連結タイプが挿入型である場合、前記第1切替え経路の長さは第2切替え経路の長さと等しく、且つ前記第1プログラム経路と第2プログラム経路との交点から第3切替え経路までの距離は工具半径rである
ことを特徴とするワークピース加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は数値制御加工の分野に関し、特に工具経路計画方法と装置及びワークピースの加工方法と装置に関する。
【背景技術】
【0002】
数値制御工作機械は加工過程において工具経路を制御する。便宜上、ユーザーは常にワークピースの輪郭に基づき加工プログラムを作ってワークピースのプログラム経路を取得し、工具経路がプログラム経路から1つの工具半径値ずれており、数値制御装置が工具経路をリアルタイムに自動生成できる機能は工具経路計画機能と呼ばれる。三次元空間において工具経路を計画するとき、異なる曲面における2本の曲線については、切替え点(2本の曲線の交点)でそれらの空間ベクトルが不一致であるため、2本の曲線は工具経路計画後に工具経路が同じ表面上になく、交点がない可能性がある。
【0003】
図1に示すように、mkとknは三次元空間における2つのプログラム経路であり、mはmkに対応する工具経路であり、k2はknに対応する工具経路であり、mとk2はねじれの直線である。mkの工具径補正平面はG1であり、knの工具径補正平面はG2であり、G1とG2は直線OUで交差し、mkとOUとの角度はα>90°であり、knとOUとの角度はβ>90°であり、且つα≦βである。従来技術における2つのプログラム経路の切替え位置での工具経路計画方法は、mに点k'を取得し、kk'=rにしており、ここで、rは工具半径であり、k'点は切替え点である。工具の加工経路の順序はm'→k'k2→である。
【0004】
本願の発明者らは、長期的な研究開発を通して次のことを発見した。従来技術の工具経路計画方法における切替え点k'からプログラム経路knまでの距離が工具半径rより小さいため、ワークピースに対して加工するとき、加工されるべきでない位置をカットする状況が出現する可能性があり、即ち、オーバーカットの問題を引き起こす可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が主に解決しようとする課題は、加工過程におけるオーバーカットの問題をよりよく解決し、2つの工具経路の切替えを実現する工具経路計画方法と装置、及びワークピースの加工方法と装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題を解決するために、本発明の第1態様は、以下の内容を含む工具経路計画方法を提供することである。終点と起点とが交差する第1プログラム経路と第2プログラム経路を含む、ワークピースのプログラム経路を取得する。第1プログラム経路と工具半径に基づいて、対応する第1工具経路を算出する。第2プログラム経路と工具半径に基づいて、対応する第2工具経路を算出する。第1プログラム経路と第2プログラム経路との交点は第1工具経路における終点と第2工具経路における起点に対応する。第1工具経路と第2工具経路に基づいて、第1工具経路の終点と第2工具経路の起点を連結する切替え経路を計算し、切替え経路におけるすべての点から第1プログラム経路と第2プログラム経路までの距離は工具半径以上である。
【0007】
ここで、切替え経路は曲線である。
【0008】
ここで、切替え経路は直線である。
【0009】
切替え経路は、第1切替え経路、第2切替え経路及び第3切替え経路が終点と起点とで連接して成すものである。第1工具経路の最終段が曲線である場合、第1切替え経路は第1工具経路の終点を通る接線である。第1工具経路の最終段が直線である場合、第1切替え経路は第1工具経路が該終点を通る延長線である。第2工具経路の最初段が曲線である場合、第2切替え経路は第2工具経路の起点を通る接線である。第2工具経路の最初段が直線である場合、第2切替え経路は第2工具経路が該起点を通る延長線である。第1切替え経路に第1切替え点を取り、第2切替え経路に第2切替え点をとり、第3切替え経路は第1切替え点と第2切替え点とを連結する線分である。
【0010】
第1プログラム経路と第2プログラム経路との連結タイプが伸長型又は短縮型であり且つ第1プログラム経路と第2プログラム経路とが異なる面にある場合、切替え経路は、第1工具経路の終点に位置する第1接線の径補正方向ベクトル
及び第2工具経路の起点に位置する第2接線の径補正方向ベクトル
に直交する。第1プログラム経路と第2プログラム経路との連結タイプが挿入型である場合、第1切替え経路の長さは第2切替え経路の長さと等しく、且つ第1プログラム経路と第2プログラム経路との交点から第3切替え経路までの距離は工具半径rである。
【0011】
第1プログラム経路と第2プログラム経路との連結タイプが伸長型又は短縮型である場合、切替え経路における第1切替え点Dと第2切替え点Eはそれぞれ次のとおりである。




は第1接線の単位方向ベクトルであり、
は第2接線の単位方向ベクトルである。
の場合、第1切替え点Dは、第1接線及び第2接線の接続垂線の第1接線における交点である。
の場合、第2切替え点Eは、第1接線及び第2接線の接続垂線の第2接線における交点である。
【0012】
第1プログラム経路と第2プログラム経路との連結タイプが挿入型である場合、切替え経路における第1切替え点Dと第2切替え点Eはそれぞれ次のとおりである。



は第1接線の単位方向ベクトルであり、
は第2接線の単位方向ベクトルであり、xは方程式
のゼロより大きな解である。
【0013】
上述の課題を解決するために、本発明の第2態様は、以下の内容を含むワークピースの加工方法を提供することである。終点と起点とが交差する第1プログラム経路と第2プログラム経路を含む、ワークピースのプログラム経路を取得する。第1プログラム経路と工具半径に基づいて、対応する第1工具経路を算出する。第2プログラム経路と工具半径に基づいて、対応する第2工具経路を算出する。第1プログラム経路と第2プログラム経路との交点は第1工具経路における終点と第2工具経路における起点に対応する。第1工具経路と第2工具経路に基づいて、第1工具経路の終点と第2工具経路の起点を連結する切替え経路を計算し、切替え経路におけるすべての点から第1プログラム経路と第2プログラム経路までの距離は工具半径以上である。順に第1工具経路、切替え経路、第2工具経路の加工経路の順序に従ってワークピースを加工する。
【0014】
上述の課題を解決するために、本発明の第3態様は、プログラム経路取得モジュールと、工具経路取得モジュールと、切替え経路取得モジュールとを含む工具経路計画装置を提供することである。ログラム経路取得モジュールは、終点と起点とが交差する第1プログラム経路と第2プログラム経路を含む、ワークピースのプログラム経路を取得するために用いられる。工具経路取得モジュールは、第1プログラム経路と工具半径に基づいて、対応する第1工具経路を算出し、第2プログラム経路と工具半径に基づいて、対応する第2工具経路を算出するために用いられており、第1プログラム経路と第2プログラム経路との交点は第1工具経路における終点と第2工具経路における起点に対応する。切替え経路取得モジュールは、第1工具経路と第2工具経路に基づいて、第1工具経路の終点と第2工具経路の起点を連結する切替え経路を計算するために用いられ、切替え経路におけるすべての点から第1プログラム経路と第2プログラム経路までの距離は工具半径以上である。
【0015】
上述の課題を解決するために、本発明の第4態様は、プログラム経路取得モジュールと、工具経路取得モジュールと、切替え経路取得モジュールと、加工モジュールとを含むワークピースの加工装置を提供することである。ログラム経路取得モジュールは、終点と起点とが交差する第1プログラム経路と第2プログラム経路を含む、ワークピースのプログラム経路を取得するために用いられる。工具経路取得モジュールは、第1プログラム経路と工具半径に基づいて、対応する第1工具経路を算出し、第2プログラム経路と工具半径に基づいて、対応する第2工具経路を算出するために用いられており、第1プログラム経路と第2プログラム経路との交点は第1工具経路における終点と第2工具経路における起点に対応する。切替え経路取得モジュールは、第1工具経路と第2工具経路に基づいて、第1工具経路の終点と第2工具経路の起点を連結する切替え経路を計算するために用いられ、切替え経路におけるすべての点から第1プログラム経路と第2プログラム経路までの距離は工具半径以上である。加工モジュールは、順に第1工具経路、切替え経路、及び第2工具経路の加工経路の順序に従ってワークピースを加工することに用いられる。
【0016】
本発明の有益な効果は以下のとおりである。従来技術の状況と区別して、本発明は、ワークピースのプログラム経路を取得し、さらに第1プログラム経路と工具半径に基づいて、対応する第1工具経路を算出し、第2プログラム経路と工具半径に基づいて、対応する第2工具経路を算出しており、最後に第1工具経路と第2工具経路に基づいて、第1工具経路の終点と第2工具経路の起点を連結する切替え経路を計算し、ここで、切替え経路におけるすべての点から第1プログラム経路と第2プログラム経路までの距離は工具半径以上であることによって、工具が切替え位置で加工するとき、工具はプログラム経路からはみ出さなく、即ち、ワークピースの加工されるべきでない位置をカットしなく、オーバーカットの問題をよりよく解決し、2つの工具経路の切替えを実現する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】従来技術における工具経路計画の概略図である。
図2】本発明に係る工具経路計画方法の第1実施形態のフローチャートである。
図3】本発明に係る工具経路計画方法の第2実施形態における広義の交点の概略図である。
図4】本発明に係る工具経路計画方法の第2実施形態における連結タイプが伸長型であり、且つ円弧経路と円弧経路とが連結されるものの構造概略図である。
図5】本発明に係る工具経路計画方法の第2実施形態における連結タイプが伸長型であり、且つ二次元空間において円弧経路と円弧経路とが連結されるものの構造概略図である。
図6】本発明に係る工具経路計画方法の第2実施形態における連結タイプが伸長型であり、且つ二次元空間において直線経路と直線経路とが連結されるものの構造概略図である。
図7】本発明に係る工具経路計画方法の第2実施形態における連結タイプが伸長型であり、且つ二次元空間において直線経路と円弧経路とが連結されるものの構造概略図である。
図8】本発明に係る工具経路計画方法の第2実施形態における連結タイプが伸長型であり、且つ二次元空間において円弧経路と直線経路とが連結されるものの構造概略図である。
図9】本発明に係る工具経路計画方法の第2実施形態における連結タイプが短縮型であり、且つ三次元空間において直線経路と直線経路とが連結されるものの構造概略図である。
図10】本発明に係る工具経路計画方法の第2実施形態における連結タイプが短縮型であり、且つ二次元空間において円弧経路と直線経路とが連結されるものの構造概略図である。
図11】本発明に係る工具経路計画方法の第2実施形態における連結タイプが短縮型であり、且つ二次元空間において直線経路と円弧経路とが連結されるものの構造概略図である。
図12】本発明に係る工具経路計画方法の第2実施形態における連結タイプが短縮型であり、且つ二次元空間において円弧経路と円弧経路とが連結されるものの構造概略図である。
図13】本発明に係る工具経路計画方法の第3実施形態における連結タイプが挿入型であり、且つ三次元空間において直線経路と直線経路とが連結されるものの構造概略図である。
図14】本発明に係るワークピースの加工方法の実施形態のフローチャートである。
図15】本発明に係るワークピースの加工方法の実施形態における加工経路の順序の概略図である。
図16】本発明に係る工具経路計画装置の実施形態の原理ブロック図である。
図17】本発明に係るワークピース加工装置の実施形態の原理ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下では、本発明の実施形態に係る添付図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る技術的解決手段を明確かつ完全に説明する。当然ながら、ここで説明する実施形態は本発明の諸実施形態の全てではなく一部にすぎない。当業者が創造的な作業なしに本発明の諸実施形態に基づいて得る他の全ての実施形態は、本発明の保護範囲に入る。
【0019】
数値制御工作機械は、加工過程において、工具が工具経路に従ってワークピースの輪郭を加工する一方、ユーザーがワークピースの輪郭に応じて加工プログラムを作ってワークピースのプログラム経路を取得する。工具が一定の半径を有するため、工具経路とプログラム経路とは重なり合わなく、工具経路はプログラム経路から1つの工具半径値ずれている。工具経路及び工具経路の間の切替え経路を取得する過程は、工具経路計画過程である。
【0020】
図2に示すように、本発明の工具経路計画方法の第1実施形態は以下のステップS11〜ステップS13を含む。
【0021】
ステップS11では、ワークピースのプログラム経路を取得する。
ワークピースのプログラム経路を取得し、プログラム経路は、終点と起点とが交差する第1プログラム経路と第2プログラム経路とを含む。プログラム経路は、数値制御系統におけるワークピースの輪郭のサイズに従って作られた加工経路である。第1プログラム経路は直線経路又は円弧経路であり、第2プログラム経路は直線経路又は円弧経路である。プログラム経路が直線経路である場合、それに対応する工具経路も直線経路である。プログラム経路が円弧経路である場合、それに対応する工具経路も円弧経路である。
【0022】
ステップS12では、第1、第2プログラム経路と工具半径に基づいて、第1、第2工具経路を算出する。
第1プログラム経路と工具半径に基づいて、対応する第1工具経路を算出し、及び第2プログラム経路と工具半径に基づいて、対応する第2工具経路を算出しており、第1プログラム経路と第2プログラム経路の交点は第1工具経路における終点と第2工具経路における起点に対応する。工具経路の取得過程は具体的に、工具中心が第1、第2プログラム経路の接線と直交する方向に1つの工具半径値ずれて、対応する第1、第2工具経路を取得しており、ここで、第1プログラム経路の終点と第2プログラム経路の起点とが連結される。
【0023】
ステップS13では、第1工具経路と第2工具経路に基づいて、第1工具経路の終点と第2工具経路の起点を連結する切替え経路を計算する。
【0024】
第1工具経路と第2工具経路に基づいて、第1工具経路の終点と第2工具経路の起点を連結する切替え経路を計算しており、切替え経路におけるすべての点から第1プログラム経路と第2プログラム経路までの距離は工具半径以上である。切替え経路は直線又は曲線である。上述のように、第1、第2工具経路及び第1、第2工具経路を連結する切替え経路を取得する。
【0025】
なお、本発明の工具経路計画方法の第1実施形態は、ワークピースの第1、第2プログラム経路を取得し、第1、第2プログラム経路と工具半径に基づいて、第1、第2工具経路を算出し、最後に第1工具経路と第2工具経路に基づいて、第1工具経路の終点と第2工具経路の起点とを連結する切替え経路を算出し、切替え経路におけるすべての点から第1プログラム経路と第2プログラム経路までの距離は工具半径以上であることによって、工具が切替え位置で加工するとき、工具はプログラム経路からはみ出さなく、即ち、ワークピースの加工されるべきでない位置をカットしなく、加工過程におけるオーバーカットの問題をよりよく解決し、2つの工具経路の切替えを実現する。
【0026】
図3〜12に示すように、本発明の工具経路計画方法の第2実施形態は、プログラム経路の連結タイプが伸長型又は短縮型である工具経路計画を説明する。
【0027】
図4〜8に示すように、第1プログラム経路と第2プログラム経路との連結タイプが伸長型であることは、第1、第2プログラム経路の交点での非加工側の角度が90°≦T<180°とすることを指す。図9〜12に示すように、第1プログラム経路と第2プログラム経路との連結タイプが短縮型であることは、第1、第2プログラム経路の交点での非加工側の角度がT≧180°であることを指す。
【0028】
本実施形態における伸長型と短縮型は、それらの第1接線、第2接線における第1、第2切替え点が第1、第2接線の広義の交点である。図3を参照すると、広義の交点の定義は以下のとおりである。ACとMNがそれぞれ平面P1と平面P2の2本の直線であり、且つACとMNがねじれの直線である。直線ACとMNとの広義の交点は、ACにおける点FとMNにおける点Qであり、
にしており、ここで、
がそれぞれ平面P1上の直線ACに直交する方向ベクトルと平面P2上の直線MNに直交する方向ベクトルである。広義の交点の性質は以下のとおりである。ACと平行する平面P1上の任意の直線
を軸線とする円柱に対して、線分FQは円柱とF点で接し、F点から円柱の軸線
までの距離が
であり、線分FQにおけるF点以外の他の点から円柱の軸線
における任意の点までの距離が
より大きい。同じ理由で、MNと平行する平面P2上の任意の直線
を軸線とする円柱に対して、線分FQは円柱とQ点で接し、Q点から円柱の軸線
までの距離が
であり、線分FQにおけるQ点以外の他の点から円柱軸線
における任意の点までの距離が
より大きい。
【0029】
図4を参照すると、図4に示された第1プログラム経路と第2プログラム経路との連結タイプは伸長型であり、且つ第1プログラム経路と第2プログラム経路は三次元空間における2つのプログラム経路であり、第1、第2プログラム経路は円弧経路であり、それらに対応する工具経路計画の過程以下のとおりである。
1)第1プログラム経路HB及び第2プログラム経路BRを取得する。
2)第1プログラム経路HB及び第2プログラム経路BRの進行方向に沿って右に1つの工具半径ずれて第1工具経路H'B'及び第2工具経路B"R'(この場合、工具経路がプログラム経路の右側に位置し、右工具径補正である)を取得する。
3)第1工具経路H'B'の終点B'での第1接線及び第2工具経路B"R'の起点B"での第2接線を取得し、ここで、第1接線と第2接線はねじれの直線である。
【0030】
第1接線に切替え経路における第1切替え点Dを取得し、且つ、第2接線に切替え経路における第2切替え点Eを取得し、第1切替え点Dと第2切替え点Eはそれぞれ以下のとおりである。



は第1接線の径補正方向ベクトルであり、
は第2接線の径補正方向ベクトルであり、第1接線の径補正方向ベクトル
は第1工具経路の終点と、第1プログラム経路及び第2プログラム経路の交点との間の連結線であり、第2接線の径補正方向ベクトル
は第2工具経路の起点と、第1プログラム経路及び第2プログラム経路の交点との間の連結線である。

はそれぞれ第1接線、第2接線に直交し、且つ
、B'は第1工具経路の終点であり、B"は第2工具経路の起点であり、
は第1接線の単位方向ベクトルであり、
は第2接線の単位方向ベクトルである。
の場合、第1切替え点Dは第1接線及び第2接線の接続垂線の第1接線における交点であり、
の場合、第2切替え点Eは第1接線及び第2接線の接続垂線の第2接線における交点である。
【0031】
本実施形態において、第1接線及び第2接線は、上述の広義の交点の定義における直線AC、MNに相当し、第1切替え点D及び第2切替え点Eは、上述の広義の交点F、Qに相当する。
【0032】
第1切替え点D及び第2切替え点Eを連結して中間切替え経路DEを取得し、且つ、B'とDを連結し、EとB"を連結して、B'D、EB"及び中間切替え経路DEを含む、第1工具経路の終点と第2工具経路の起点を連結する切替え経路を取得して、工具経路計画を完了する。曲線又は直線を用いて第1、第2切替え点を連結して中間切替え経路DEを取得してもよく、ここで制限されない。中間切替え経路DEは上述の線分FQに相当し、第1接線の径補正方向ベクトル
及び第2接線の径補正方向ベクトル
は上述の
に相当する。ここで、第1プログラム経路と第2プログラム経路は異なる面にあり、第1中間切替え経路DEは第1接線の径補正方向ベクトル
及び第2接線の径補正方向ベクトル
に直交し、上述の
の具体的な解く過程は以下のとおりである。

及び
に基づいて、

を得ることができ、さらに
を得ることができる。
【0033】
第1切替え点D及び第2切替え点Eは上述の広義の交点に相当するため、広義の交点の性質から以下の内容が分かる。中間切替え経路DEにおける点から第1プログラム経路HB、第2プログラム経路BRまでの距離は工具半径r以上である。また、B'D、EB"から第1プログラム経路と第2プログラム経路までの距離は工具半径r以上である。即ち、切替え経路におけるすべての点から第1プログラム経路と第2プログラム経路までの距離は工具半径r以上である。
【0034】
図5を参照すると、図5に示された第1プログラム経路と第2プログラム経路との連結タイプは伸長型であり、且つ第1プログラム経路と第2プログラム経路は二次元空間における2つのプログラム経路であり、第1、第2プログラム経路は円弧経路であり、それらに対応する工具経路計画の過程以下のとおりである。
1)第1プログラム経路HB及び第2プログラム経路BRを取得する。
2)第1プログラム経路HB及び第2プログラム経路BRの進行方向に沿って右に1つの工具半径ずれて第1工具経路H'B'及び第2工具経路B"R'(この場合、工具経路がプログラム経路の右側に位置し、右工具径補正である)を取得する。
2)第1工具経路H'B'の終点B'での第1接線及び第2工具経路B"R'の起点B"での第2接線を取得する。ここで、第2工具経路B"R'は直線経路であるため、この起点での第2接線は第2工具経路B"R'が位置する直線である。
3)第1接線に第1切替え点Dを取得し、且つ、第2接線に第2切替え点Eを取得し、第1切替え点Dと第2切替え点Eはそれぞれ以下のとおりである。


第1切替え点D及び第2切替え点Eは上述の広義の交点F、Qに相当する。二次元空間に対して、第1接線と第2接線は同じ面の直線である。
及び
から、
、第1切替え点Dと第2切替え点Eは一致するとともに第1接線と第2接線の交点であり、即ち、上述の広義の交点の二次元空間における二つの接線に対応する交点であることがわかる。
【0035】
第1切替え点D及び第2切替え点Eを連結して中間切替え経路DEを取得し、この場合、D点とE点が一致するため、中間切替え経路DEも第1切替え点D又は第2切替え点Eである。かつ、B'とDを連結し、EとB"を連結して切替え経路を取得して、工具経路計画を完了する。このとき、中間切替え経路DEにおける点である第1切替え点D又は第2切替え点Eから第1プログラム経路HB、第2プログラム経路BRまでの距離は工具半径rより大きく、即ち、切替え経路におけるすべての点から第1プログラム経路と第2プログラム経路までの距離は工具半径r以上である。
【0036】
図9を参照すると、図9に示された第1プログラム経路と第2プログラム経路との連結タイプは短縮型であり、且つ第1プログラム経路と第2プログラム経路は三次元空間における2つのプログラム経路であり、第1、第2プログラム経路は直線経路であり、それらに対応する工具経路計画の過程以下のとおりである。
1)第1プログラム経路HB及び第2プログラム経路BRを取得する。
2)第1プログラム経路HB及び第2プログラム経路BRの進行方向に沿って右に1つの工具半径ずれて第1工具経路H'B'及び第2工具経路B"R'を取得する。
3)第1工具経路H'B'の終点B'での第1接線及び第2工具経路B"R'の起点B"での第2接線を取得する。ここで、第1、2工具経路は直線経路であるため、それらに対応する第1接線、第2接線は第1工具経路H'B'、第2工具経路B"R'が位置する直線である。第1、第2工具経路はねじれの直線であり、且つ第1接線と第2接線はねじれの直線である。
【0037】
第1接線に第1切替え点Dを取得し、且つ、第2接線に第2切替え点Eを取得し、第1切替え点Dと第2切替え点Eはそれぞれ以下のとおりである。


第1接線及び第2接線は、上述の広義の交点の定義における直線AC、MNに相当し、第1切替え点D及び第2切替え点Eは、上述の広義の交点F、Qに相当する。
【0038】
第1切替え点D及び第2切替え点Eを連結して中間切替え経路DEを取得し、且つ、B'とDを連結し、EとB"を連結して、工具経路計画を完了する。中間切替え経路DEは上述の広義の交点における線分FQに相当し、第1接線の径補正方向ベクトル
及び第2接線の径補正方向ベクトル
は、上述の
に相当しており、ここでの第1プログラム経路と第2プログラム経路は異なる面にあり、中間切替え経路DEは第1接線の径補正方向ベクトル
及び第2接線の径補正方向ベクトル
に直交する。第1切替え点D及び第2切替え点Eが上述の広義の交点に相当するため、広義の交点の性質から以下の内容が分かる。中間切替え経路DEにおける点から第1プログラム経路HB、第2プログラム経路BRまでの距離は工具半径r以上であり、即ち、切替え経路におけるすべての点から第1プログラム経路と第2プログラム経路までの距離は工具半径r以上である。
【0039】
図10を参照すると、図10に示された第1プログラム経路と第2プログラム経路との連結タイプは短縮型であり、且つ第1プログラム経路と第2プログラム経路は二次元空間における2つのプログラム経路であり、第1プログラム経路は円弧経路であり、第2プログラム経路は直線経路であり、それらに対応する工具経路計画の過程以下のとおりである。
1)第1プログラム経路HB及び第2プログラム経路BRを取得する。
2)第1プログラム経路HB及び第2プログラム経路BRの進行方向に沿って右に1つの工具半径ずれて第1工具経路H'B'及び第2工具経路B"R'を取得する。
3)第1工具経路H'B'の終点B'での第1接線及び第2工具経路B"R'の起点B"での第2接線を取得する。ここで、第2工具経路B"R'は直線経路であるため、この起点での第2接線は第2工具経路B"R'が位置する直線である。
【0040】
第1接線に第1切替え点Dを取得し、且つ、第2接線に第2切替え点Eを取得し、第1切替え点Dと第2切替え点Eはそれぞれ以下のとおりである。


第1切替え点D及び第2切替え点Eは上述の広義の交点F、Qに相当する。二次元空間に対して、第1接線と第2接線は同じ面の直線である。
及び
から、
、第1切替え点Dと第2切替え点Eは一致するとともに第1接線と第2接線の交点であり、且つ4点の点D、点E、点B'、点B"は一致することが分かる。
【0041】
第1切替え点D及び第2切替え点Eを連結して中間切替え経路DEを取得し、この場合、D点とE点が一致するため、中間切替え経路DEも第1切替え点D又は第2切替え点Eであり、切替え経路が点D、点E、点B'、点B"の中の任意の一点であり、工具経路計画が完了される。このとき、切替え経路におけるすべての点から第1プログラム経路と第2プログラム経路までの距離は工具半径r以上である。
【0042】
本実施形態のおける第1プログラム経路は直線経路又は円弧経路であってもよく、第2プログラム経路も直線経路又は円弧経路であってもよく、ここで制限されない。
【0043】
なお、本発明に係る工具経路計画方法の第2実施形態では、プログラム経路連結タイプが伸長型及び短縮型であり、2本の直線の広義の交点を定義する。第1接線及び第2接線における第1切替え点、第2切替え点は広義の交点である。さらに第1工具経路の終点、第1切替え点、第2切替え点及び第2工具経路の起点を連結して、切替え経路を取得し、切替え経路におけるすべての点から第1、第2プログラム経路までの距離は工具半径以上であることによって、工具が切替え位置で加工するとき、工具はプログラム経路からはみ出さなく、即ち、ワークピースの加工されるべきでない位置をカットしなく、加工過程におけるオーバーカットの問題をよりよく解決し、2つの工具経路の切替えを実現する。かつ、工具経路計画方法は、二次元空間と三次元空間の両方におけるプログラム経路を含み、良好的な適合性を有する。
【0044】
図13に示すように、本発明の工具経路計画方法の第3実施形態は、連結タイプが挿入型であるプログラム経路に対して工具経路計画を説明する。図2、3に示すように、第1プログラム経路と第2プログラム経路との連結タイプが挿入型であることは、第1、第2プログラム経路の交点での非加工側の角度がT<90°であることを指す。
【0045】
図13に示された第1プログラム経路と第2プログラム経路との連結タイプは伸長型であり、且つ第1プログラム経路と第2プログラム経路は三次元空間における2つのプログラム経路であり、第1、第2プログラム経路は直線経路であり、それらに対応する工具経路計画の過程以下のとおりである。
1)第1プログラム経路HB及び第2プログラム経路BRを取得する。
2)第1プログラム経路HB及び第2プログラム経路BRの進行方向に沿って左に1つの工具半径ずれて、第1工具経路H'B'及び第2工具経路B"R'(この場合、工具経路がプログラム経路の左側に位置し、左工具径補正である)を取得する。
3)第1工具経路H'B'の終点B'での第1接線及び第2工具経路B"R'の起点B"での第2接線を取得する。ここで、第1、2工具経路は直線経路であるため、それらに対応する第1接線、第2接線は第1工具経路H'B'、第2工具経路B"R'が位置する直線である。第1接線と第2接線はねじれの直線である。
【0046】
第1接線に第1切替え点Dを取得し、且つ、第2接線に第2切替え点Eを取得し、第1切替え点Dと第2切替え点Eはそれぞれ以下のとおりである。


B'は第1工具経路の終点であり、B"は第2工具経路の起点であり、
は第1接線の単位方向ベクトルであり、
は第2接線の単位方向ベクトルであり、xは方程式
のゼロよりも大きな解である。
【0047】
第1切替え点D及び第2切替え点Eを連結して中間切替え経路DEを取得し、且つ、B'とDを連結し、EとB"を連結しており、この場合、切替え経路は、第1切替え経路B'D、第2切替え経路EB"及び第3切替え経路である中間切替え経路DEが終点と起点とで連接して成すものである。第1工具経路の最終段が曲線である場合、第1切替え経路は第1工具経路の終点を通る接線である。第1工具経路の最終段が直線である場合、第1切替え経路は第1工具経路が該終点を通る延長線である。前記第2工具経路の最初段が曲線である場合、第2切替え経路は第2工具経路の起点を通る接線である。前記第2工具経路の最初段が直線である場合、第2切替え経路は第2工具経路が該起点を通る延長線である。第1切替え経路に第1切替え点を取り、第2切替え経路に第2切替え点を取り、第3切替え経路は第1切替え点と第2切替え点とを連結する線分である。
【0048】
ここで、第1切替え経路の長さは第3切替え経路の長さと等しく、第1プログラム経路と第2プログラム経路との交点から第2切替え経路までの距離は工具半径rであり、即ち、第1プログラム経路HBと第2プログラム経路BRとの交点Bから中間切替え経路DEまでの距離は工具半径rである。上述のD点、B点の具体的な取得過程は以下のとおりである。中間切替え経路DEの中点をMにし、DB'=EB"から、BD=BEが分かり、さらに
が分かり、
を得ることができ、かつ
、方程式
のゼロより大きな解xを取り、さらにxを
に代入すると、D点、B点を取得できる。
【0049】
上述の第1切替え点D及び第2切替え点Eに関する説明から、以下の内容が分かる。中間切替え経路DEの中点Mから第1、第2プログラム経路の交点までの距離は工具半径rであり、中間切替え経路DEにおけるM点以外の他の点から第1プログラム経路HB、第2プログラム経路BRまでの距離はすべて工具半径rより大きい。即ち、切替え経路におけるすべての点から第1プログラム経路と第2プログラム経路までの距離は工具半径以上である。
【0050】
プログラム経路の連結タイプが挿入型であることに対して、その二次元空間における2つのプログラム経路の工具経路計画過程は、上述の三次元空間における2つのプログラム経路の工具経路計画過程と同じであるので、ここで詳しく説明しない。本実施形態において、第1プログラム経路は直線経路又は円弧経路であってもよく、第2プログラム経路も直線経路又は円弧経路であってもよく、ここで制限されない。
【0051】
なお、本発明の工具経路計画方法の第3実施形態では、プログラム経路の連結タイプが挿入型であり、第1プログラム経路と第2プログラム経路との交点から第3切替え経路までの距離が工具半径rであり、切替え経路におけるすべての点から第1、第2プログラム経路までの距離は工具半径以上であることによって、工具が切替え位置で加工するとき、工具はプログラム経路からはみ出さなく、即ち、ワークピースの加工されるべきでない位置をカットしなく、加工過程におけるオーバーカットの問題をよりよく解決し、2つの工具経路の切替えを実現する。かつ、工具経路計画方法は、二次元空間と三次元空間の両方におけるプログラム経路を含み、良好的な適合性を有する。
【0052】
図14、15に示すように、本発明に係るワークピースの加工方法の一実施形態は、ステップS21〜ステップS24を含む。
ステップS21では、ワークピースのプログラム経路を取得する。
ワークピースのプログラム経路を取得し、プログラム経路は終点と起点とが交差する第1プログラム経路HBと第2プログラム経路BRを含む。
【0053】
ステップS22では、第1、第2プログラム経路と工具半径に基づいて、第1、第2工具経路を算出する。
第1プログラム経路HBと工具半径rに基づいて、対応する第1工具経路H'B'を算出し、第2プログラム経路BRと工具半径rに基づいて、対応する第2工具経路B"R'を算出し、前記第1プログラム経路HBと第2プログラム経路BRとの交点Bは、第1工具経路H'B'における終点B'と第2工具経路B"R'における起点B"に対応する。
【0054】
ステップS23では、第1工具経路と第2工具経路に基づいて、第1工具経路の終点と第2工具経路の起点を連結する切替え経路を計算する。
第1工具経路H'B'と第2工具経路B"R'に基づいて、第1工具経路H'B'の終点B'と第2工具経路B"R'の起点B"を連結する切替え経路B"D、DE、EB"を計算し、切替え経路におけるすべての点から第1プログラム経路HBと第2プログラム経路BRまでの距離は工具半径r以上である。
【0055】
ステップS24では、順に第1工具経路、切替え経路、第2工具経路の加工順序に従ってワークピースを加工する。
【0056】
工具は、順に第1工具経路H'B'、切替え経路B"D、DE、EB"、第2工具経路B"R'の加工経路の順序に従ってワークピースを加工する。
【0057】
なお、本発明のワークピースの加工方法は、ワークピースのプログラム経路を取得し、さらに第1プログラム経路と工具半径に基づいて、対応する第1工具経路を算出し、第2プログラム経路と工具半径に基づいて、対応する第2工具経路を算出しており、さらに、第1工具経路と第2工具経路に基づいて、第1工具経路の終点と第2工具経路の起点を連結する切替え経路を計算し、ここで、切替え経路におけるすべての点から第1プログラム経路と第2プログラム経路までの距離が工具半径以上であり、最後に工具が加工経路の順序に従ってワークピースを加工することによって、工具が切替え位置で加工するとき、工具はプログラム経路からはみ出さなく、即ち、ワークピースの加工されるべきでない位置をカットしなく、加工中のオーバーカットの問題をよりよく解決し、2つの工具経路の切替えを実現し、ワークピースの加工品質を向上させる。さらに、取得された切替え経路が短いことは、ある程度まで加工効率を向上させる。
【0058】
図16に示すように、本発明の工具経路計画装置の実施形態は、
終点と起点とが交差する第1プログラム経路と第2プログラム経路を含む、ワークピースのプログラム経路を取得するためのプログラム経路取得モジュール301と、
【0059】
前記第1プログラム経路と工具半径に基づいて、対応する第1工具経路を算出し、第2プログラム経路と工具半径に基づいて、対応する第2工具経路を算出するための工具経路取得モジュール302であって、前記第1プログラム経路と第2プログラム経路との交点は第1工具経路における終点と第2工具経路における起点に対応する工具経路取得モジュール302と、
【0060】
前記第1工具経路と第2工具経路に基づいて、第1工具経路の終点と第2工具経路の起点を連結する切替え経路を計算するための切替え経路取得モジュール303であって、前記切替え経路におけるすべての点から第1プログラム経路と第2プログラム経路までの距離は工具半径以上である切替え経路取得モジュール303と、を含む。
【0061】
図17に示すように、本発明のワークピース加工装置の実施形態は、
終点と起点とが交差する第1プログラム経路と第2プログラム経路を含む、ワークピースのプログラム経路を取得するためのプログラム経路取得モジュール401と、
【0062】
前記第1プログラム経路と工具半径に基づいて、対応する第1工具経路を算出し、第2プログラム経路と工具半径に基づいて、対応する第2工具経路を算出するための工具経路取得モジュール402であって、前記第1プログラム経路と第2プログラム経路との交点は第1工具経路における終点と第2工具経路における起点に対応する工具経路取得モジュール402と、
【0063】
前記第1工具経路と第2工具経路に基づいて、第1工具経路の終点と第2工具経路の起点を連結する切替え経路を計算するための切替え経路取得モジュール403であって、前記切替え経路におけるすべての点から第1プログラム経路と第2プログラム経路までの距離は工具半径以上である切替え経路取得モジュール403と、
【0064】
順に第1工具経路、切替え経路、第2工具経路の加工経路の順序に従ってワークピースを加工するための加工モジュール404と、を含む。
【0065】
上述の実施例では、本発明に対して例示的に説明したが、当業者は、この特許出願を読んだ後、本発明の精神と範囲から逸脱せずに、本発明に様々な変更を加えることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17