特許第6363734号(P6363734)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6363734
(24)【登録日】2018年7月6日
(45)【発行日】2018年7月25日
(54)【発明の名称】接地システム
(51)【国際特許分類】
   H01R 4/66 20060101AFI20180712BHJP
   H01H 31/32 20060101ALI20180712BHJP
   H02J 1/00 20060101ALI20180712BHJP
【FI】
   H01R4/66 A
   H01H31/32 B
   H02J1/00 306L
【請求項の数】10
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-567565(P2016-567565)
(86)(22)【出願日】2014年5月14日
(65)【公表番号】特表2017-518722(P2017-518722A)
(43)【公表日】2017年7月6日
(86)【国際出願番号】EP2014059872
(87)【国際公開番号】WO2015172827
(87)【国際公開日】20151119
【審査請求日】2017年5月12日
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】516227939
【氏名又は名称】アーベーベー シュヴァイツ アクツィエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ドレ, イェリク
(72)【発明者】
【氏名】サンディン, ビョルン
(72)【発明者】
【氏名】エクワール, ウッレ
【審査官】 山田 由希子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−335827(JP,A)
【文献】 特開2002−008943(JP,A)
【文献】 実開平03−004439(JP,U)
【文献】 実開昭56−156311(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 4/66
H01H 31/32
H02J 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
不使用中は接地される高電圧電気機器と、接地システム(4)とを備えるモジュール型マルチレベル電圧源コンバータシステムであって、
前記高電圧電気機器が、キャパシタを含むセルを有するモジュール型マルチレベル電圧源コンバータと、それぞれセルキャパシタに割り当てられた複数の対の正負接地端子(34a、34b)とを備え、
前記接地システム(4)が、前記正負接地端子(34a、34b)と相互作用するロッド要素(10)を備えていて、前記ロッド要素(10)が少なくとも1つの導電部(26)と少なくとも1つの絶縁部(24)とを備え、
前記接地システムは、遠隔制御されるように構成され、前記正負接地端子が前記絶縁部を介して互いに分離した非接地位置(U)から、前記正負接地端子が前記導電部(26)を介して互いに直流的に接続されて、前記導電部(26)が少なくとも1つの導体を介して接地に接続された接地位置(G)に、縦軸に沿って前記ロッド要素(10)を移動させるようにしたロッド推進システム(8)を更に備え、
前記正負接地端子の各々は、前記ロッド要素(10)が前記接地位置にあるときに、前記ロッド要素(10)の縦運動を可能にするとともに、前記導電部(26)と電気接触するための強度を有する少なくとも1つの接触要素(37a、37b)を備え、
前記絶縁部の長さ、前記導電部(26)の長さ、前記正負接地端子の長さ、及び、前記正負接地端子の2つの接触要素間の距離は、前記ロッド要素(10)が前記接地位置(G)にあるときには、連続的な2つの導電部(26)の電気相互接続が得られる一方で、前記ロッド要素(10)が前記非接地位置(U)にあるときには、前記正負接地端子の電気分離が得られるように選択される、モジュール型マルチレベル電圧源コンバータシステム。
【請求項2】
少なくとも第1及び第2の制御端子(14a、14b)であって、少なくとも1つのロッド要素(10)が前記接地位置にあるときに、前記接地システムの上で抵抗を測定するために、前記第1の制御端子(14a)が前記少なくとも1つのロッド要素(10)の1つの側面に配置されており、前記第2の制御端子(14b)が前記少なくとも1つのロッド要素(10)の別の側面に配置されている少なくとも第1及び第2の制御端子(14a、14b)を備える、請求項1に記載のモジュール型マルチレベル電圧源コンバータシステム。
【請求項3】
前記ロッド推進システムが、空気圧式に及び/又は油圧式に及び/又は機械的に操作されるように配置される、請求項1又は2に記載のモジュール型マルチレベル電圧源コンバータシステム。
【請求項4】
前記ロッド推進システムが、起動すると前記ロッド推進システムを制御するように配置された制御デバイス(19)と通信している、請求項1から3の何れか一項に記載のモジュール型マルチレベル電圧源コンバータシステム。
【請求項5】
前記少なくとも1つの導電部(26)が、導電性材料から作られたパイプ要素(25)によって形成される、請求項1から4の何れか一項に記載のモジュール型マルチレベル電圧源コンバータシステム。
【請求項6】
前記絶縁部が、スピゴット要素(27)によって形成され、前記スピゴット要素の少なくとも1つの端部が、前記導電部(26)の前記パイプ要素内に少なくとも部分的に又は完全に挿入される、請求項5に記載のモジュール型マルチレベル電圧源コンバータシステム。
【請求項7】
モジュール型マルチレベル電圧源コンバータシステムであって、
複数のロッド要素(10)と、
複数の正負接地端子の対と、
複数の導体と
を備え、
前記複数のロッド要素(10)の各々が複数の絶縁部と複数の導電部(26)とを有し、
前記複数の導体が連続的な2つのロッド要素(10)を直列に電気的に接続するように構成される、請求項1から6の何れか一項に記載のモジュール型マルチレベル電圧源コンバータシステム。
【請求項8】
前記複数の導体の少なくとも1つが、接地に直流的に接続されている、請求項7に記載のモジュール型マルチレベル電圧源コンバータシステム。
【請求項9】
前記正負接地端子の各々が、前記ロッド要素(10)が前記接地位置にあるときに、連続的な2つの導電部(26)電気的に相互接続する、請求項7又は8に記載のモジュール型マルチレベル電圧源コンバータシステム。
【請求項10】
前記ロッド推進システムが、空気圧式又は油圧式のロッド推進システムであり、パイプ設備(17)と、前記ロッド要素(10)の少なくとも1つに割り当てられ、かつ前記非接地位置から、各対の正負接地端子(34a、34b)が導電部(26)を介して互いに電気接触しているが、対の正負接地端子(34a、34b)が前後の対の正負接地端子とはなおも電気接触していない状態である短絡位置に更には前記接地位置に前記ロッド要素(10)を移動させ戻すために、前記パイプ設備と流体的に相互連結された、少なくとも1つの推進ピストン(23)とを備える、請求項1から9の何れか一項に記載のモジュール型マルチレベル電圧源コンバータシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠隔地から制御できるようにした接地システムに関する。
【背景技術】
【0002】
今日の高電圧機器、特に、バルブホール内の高電圧機器である電流コンバータのバルブなどでは、定期的な保守や整備が必要になる。バルブが通電している場合には、損傷の危険性からバルブホールに立ち入ることは許されない。保守などのために、作業員等(以下、「作業員」という)がバルブホールに入室する際には、バルブの電源を切っておく必要がある。作業員のバルブホールへの入室に備えて、バルブを接地させて、バルブから放電しないようにする必要がある。バルブ放電として、絶縁材料中のキャパシタ残留電荷又は静電荷に起因したサージ電流ストロークやコロナ放電などがあり、バルブホールにいる作業員に害を及ぼす虞れがある。
【0003】
バルブホールを開放して、作業員やその他の一般人が利用するような場合、つまりバルブが通電してない場合には、バルブに対して接地をとることが知られている。接地は、システム又は設備の残留電荷を、例えばキャパシタから、確実に放電するために使用される。そのような接地を実施するため、作業員は、バルブホールに入室して、接地接点を手動で設置しなければならない。そのために、まず、接地接点を正しい場所に移して、バルブホール床面のプラグないしソケットに接続したうえで、バルブとの電気接触を確保するために延長する必要がある。以上の設置手順を実施する際には、接地接点を正しい位置に手動で移し、プラグに接続してから、バルブに電気接続するために延長する必要があることから、作業員は実際の接地接点に相当接近した位置で、少なくともバルブホールの中にいる状態で行う必要がある。したがって、作業員は、キャパシタの両端子に接触するリスクにさらされ、その際に、キャパシタに電荷が残っていたりすると、非常に危険である。また、設置手順中に、キャパシタの残留電荷に起因して、致命的な負傷をもたらす自発放電が生じる虞もある。更に、この種の接地作業は、複数の手動の手順を踏むため、故障やミスの潜在的な危険を高めてしまう。また更に、上記手動の手順は、長時間を要し、コストもかかる。
【0004】
特に、複数のセルを備えるモジュール型マルチレベル電圧源コンバータシステムにおける手動接地プロセスや、手動接地システムに対しては、適用が困難で扱いにくく、長時間を要する。
【0005】
作業員がバルブホールに入室する前に、接地システムが適所にあると、バルブの接地を自動的に実施、あるいはバルブの接地を電気的に制御ないしチェックする機能性は、先行技術の接地システムには欠けている。したがって、既知のシステムでは、バルブ全体又はバルブセルが接地に正しく接続されずに、電荷がシステムのどこかに残留するという残留リスクが常に存在している。
【発明の概要】
【0006】
安全性、利便性、効率性、信頼性を高めた接地システムを提供することが、本発明の目的である。
【0007】
本発明に係る接地システムは、複数の導電部と複数の絶縁部とを有する可動ロッド要素を備えている。導電部と絶縁部は、電気機器の複数の対の正負の接地端子と相互作用するように使用される。1対の正負接地端子間の距離や複数の対の正負接地端子間の距離に基づいて、導電部と絶縁部の長さを選択することによって、電気機器の使用中は正負接地端子が電気的に分離され、換言すれば、電気機器の不使用中は正負接地端子が電気的に相互接続されるように、可動ロッド要素を配置することが可能になる。可動ロッド要素を例えば制御デバイスを介して遠隔制御することにより、電気機器が、安全な距離で接地できるように構成される。可動ロッド要素上には複数の導電部と絶縁部があるため、単一の動作で複数の対の正負の接地端子を接地することが可能である。したがって、接地システムは、複数のセルを有するモジュール型マルチレベル電圧源コンバータシステムに適している。可動ロッド要素は、好ましくは、例えば空気圧システム又は油圧システムを介して、推進システムによって駆動ないし推進される。パイプ設備は、可動ロッド要素を駆動するように構成されているピストンを制御デバイスと相互接続し得る。
【0008】
少なくとも1つの導電部と少なくとも1つの絶縁部とを有する少なくとも1つの可動ロッド要素を備えた、遠隔制御される接地システムが、本書で開示される。更に、接地システムは、接地と可動ロッド要素に電気的に接続されるようにした少なくとも1つの導体と、接地される電気機器に固定的に接続されるようにした少なくとも1対の正負接地端子とを備える。接地システムは、遠隔制御されるように構成され、正負接地端子が絶縁部を介して互いに分離した、接地されていない位置から、正負接地端子が導電部を介して互いに直流的に接続され、導電部が少なくとも1つの導体を介して接地に接続されている接地位置に、少なくとも1つの可動ロッド要素を移動させるようにしたロッド推進システムを更に備える。
【0009】
したがって、ロッド推進システムは、先行技術を参照して説明されたような危険に作業員をさらすことなく、好適にも、制御デバイスを介して遠隔地から起動し、制御することができる。
【0010】
ロッド要素を移動させるために種々の機構が可能であり、以下説明する。例えば、ロッド推進システムは、コンバータシステムを収容する建物の外側で、モジュール型マルチレベルコンバータシステムなどの高電圧機器から安全な距離に位置する制御デバイスに機械的に及び/又は電気的に結合され得、その場合、制御デバイスの動作は、好適にも、システムによりロッド要素を接地位置と接地されていない位置との間で移動させるように、ロッド推進システムを起動する。例として、バルブホールへの入室することを希望する作業員は、バルブホールに入室可能となる前に、ロッド推進システムに、接地されていない位置から接地位置にロッド要素を物理的に移動させるバルブホールの外側から、スイッチ又はボタンの形態で、制御デバイスを操作する必要性がある。
【0011】
更なる代替例では、制御デバイスは、バルブホールの制御室に位置し、ロッド推進システムと通信しており、制御室の作業員の操作でロッド要素を移動させるために、ロッド推進システムを起動する。
【0012】
結論付けられるように、本発明によるロッド要素を移動させるためにロッド推進システムを遠隔制御するための種々の相異なる解決策が考えられる。
【0013】
有利には、本発明の接地システムは、例えば、モジュール型マルチレベル電圧源コンバータシステムなどの高電圧電気機器と共に使用するように構成される。
【0014】
実施形態において、接地システムは、少なくとも第1及び第2の制御端子を備えていて、第1の制御端子は少なくとも1つの可動ロッド要素の1つの側面に配置され、第2の制御端子はその制御端子に直流的に又は電気的に接続された少なくとも1つの可動ロッド要素の別の側面に配置されている、少なくとも1つの可動ロッド要素が接地位置にある状況下で、接地システムの電気抵抗が測定される。
【0015】
このように、接地システムに係る電気抵抗を測定することによって、高電圧機器の接地状況を作業員サイドで確認することが可能になる。
【0016】
測定した電気抵抗が低ければ、接地が完了していることを意味し、一方で、測定した電気抵抗が高ければ、接地に問題があることを意味している。一般的に、低い電気抵抗は、mΩの範囲にあり、高い電気抵抗は、MΩないしそれより高い範囲にある。
【0017】
したがって、接地システムの接地能力に係る接地の電気特性は、高電圧機器に近づく前に、遠隔地からモニタリングして、確認することができる。
【0018】
代替として、第1又は第2の制御端子の1つだけを設置して、接地を通して電気抵抗測定の制御測定を実行してもよい。
【0019】
実施形態において、ロッド推進システムは、空気圧式に及び/又は油圧式に及び/又は機械的に操作され得る。これにより、ロッド要素を移動させるための比較的簡単な機構が提供され得る。したがって、例として、作業員が先ほど説明された制御デバイスを操作すると、流体に対応するピストンを含むロッド推進システムに流体を移送するホースなど、制御デバイスと通信している空気圧機構が起動され、順次、ロッド要素を接地されていない位置と接地位置との間で移動させる。
【0020】
更なる実施形態では、停電などに備えて、電気機器もまた接地できるように、更に空気圧又は油圧ロッド推進システムに機構システムを提供することが可能である。機構推進システムは、したがって、安全な距離からであるが、手動操作されるように構成され得る。
【0021】
機構推進システムは、例えば、クランクの形態の、手動アクセスポイントを有する駆動シャフト及びトランスミッションを備えてよい。クランクは、例えば、安全が更に強化されるように電気機器を収容している建物の外側に配置することができる。
【0022】
実施形態において、少なくとも1つの導電部は、導電性材料から作られたパイプ要素を含む。パイプ要素は、例えば、金属から作られてもよい。
【0023】
更なる好ましい実施形態では、絶縁部は、導電部のパイプ要素に部分的に挿入される少なくとも1つの端部と共に配置されているスピゴット要素を含み得る。スピゴット要素は、2つの端部を含み得、これにより、端部がパイプ要素にぴったり合うように端部の直径が選択され、かつスピゴット要素の中間部の直径が、パイプ要素の外径と実質的に一致する。スピゴット要素は、接着されてもよく、代替的には端部を介してパイプ要素内に圧力ばめされてもよい。
【0024】
実施形態において、正負接地端子は各々、少なくとも1つの可動ロッド要素と接触するように構成されている接点要素を含み得る。
【0025】
接点要素は、可動ロッド要素が接地位置にある場合に、可動ロッド要素の縦運動を可能にし得るが、なおも導電部と電気接触するのに十分強度があり得る。接点要素は、可動ロッド要素を取り囲み得、代替的には可動ロッド要素を部分的に取り囲むクランプ又はフックのように成形され得る。
【0026】
接点要素は、接触ばねであり得、代替的には接触ブラシ又はコレクタシューでさえあり得る。
【0027】
各正負接地端子は、2つの接点要素を含み得、これにより、2つの接点要素の1つが、接地端子の一端に接近して配置され、2つのばね要素の残り1つが、接地端子のもう一端に配置され得る。このように、接地端子は、可動ロッド要素が接地位置にある場合に、絶縁部の架橋を実現することができる。
【0028】
別の実施形態では、接地システムは、各々がいくつかの絶縁部及びいくつかの導電部と、いくつかの対の正負接地端子と、いくつかの導体とを含むいくつかの可動ロッド要素を含み得る。導体は、2つの連続的な可動ロッド要素を直列に電気的に接続するように構成され得る。
【0029】
したがって、接地システムは、例えば、モジュール型マルチレベル電圧源コンバータシステムのセルのキャパシタなど、いくつかの対の正負接地端子を有する電気機器に使用されてもよい。
【0030】
接地システムの接地を保証するために、いくつかの導体の少なくとも1つは、接地に接続され得る。
【0031】
実施形態において、正負接地端子の各々は、可動ロッド要素が接地位置にある場合に、2つの連続的導電部に電気的に相互接続する。
【0032】
絶縁部の長さ、導電部の長さ、並びにそれぞれが正及び/又は負の接地端子の2つの接点要素間の距離である正負接地端子の長さは、可動ロッド要素が接地位置にあるときに、2つの連続的導電部の相互接続が実現されるように選択される。
【0033】
更なる実施形態では、ロッド推進システムが、空気圧式又は油圧式のロッド推進システムであり、パイプ設備と、可動ロッド要素の各々に割り当てられ、かつ接地されていない位置から短絡位置に更には接地位置に可動ロッド要素を移動させ戻すために、パイプ設備と流体的に相互連結された、少なくとも1つの推進ピストンとを備える。
【0034】
パイプ設備は、作業員が遠隔地から接地システムを起動することができるように、推進ピストン及び制御デバイスに接続され得る。
【0035】
接地システムは、モジュール型マルチレベル電圧源コンバータシステムに設置され得る。
【0036】
全体として、特許請求項で使用されるすべての用語は、本明細書において明示的に規定されない限り、当技術分野における通常の意味にしたがって解釈されるものである。本明細書において明示的に規定されない限り、「1つの/この要素、装置、構成要素、手段、ステップ、設備、部分など」の呼称は、当該要素、装置、構成要素、手段、ステップ、設備、部分などのうちの少なくとも1つ例を指すものとして広義に解釈されるべきである。本明細書で開示されたいかなる方法におけるステップも、明示的に規定されない限り、記載の順序通りに実施される必要はない。
【0037】
例として、添付図面を参照し、ここから本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】本発明による接地システムの可動ロッド要素を概略的に示す。
図2】本発明による接地システムの可動ロッド要素の正面図を示す。
図3図2の線III−IIIに沿って切断された可動ロッド要素の断面図を示す。
図4図3の部分IVの拡大図を示す。
図5】可動ロッド要素が移動した状態の図4と類似の図を示す。
図6図3の部分VIの拡大図を示す。
図7】接地システムの可動ロッド要素と相互作用する電気機器の正負接地端子を示す概略図である。
図8】接地位置での可動ロッド要素を示す図7に類似の概略図である。
図9】どのように制御測定が実行されるかを示す図7及び図8に更に類似の概略図である。
図10】地上の制御測定を示す図9に類似の概略図である。
図11】本発明による接地システムの原理を概略的に示す。
図12】電気機器に設置された本発明による接地システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明の幾つかの実施形態が示された添付図面を参照しつつ、本発明がより十分に説明される。しかしながら本発明は種々の形態で実施することができ、本書に記載した実施形態に限定されるものと解されるべきではない。すなわち、これらの実施形態は、包括的で完全な開示となるように例示目的で提示したものにすぎず、当業者に本開示の範囲を詳しく伝えるためのものである。類似の番号は、全体を通して類似の要素を指す。
【0040】
図1は、バルブセルのキャパシタなどの電気機器の複数の対の正負接地端子34a、34bと相互作用する可動ロッド要素10を透視的に示している。1対の正負接地端子34a、34bが、キャパシタなどの電気機器に割り当てられる。可動ロッド要素10は、複数の導電部26と複数の絶縁部24とを備える。各導電部26には、絶縁部24が追随するかその逆かである。可動ロッド要素10は、正負接地端子34a、34bの孔を通って延びるように配置され、ピストン23により、その縦軸に沿って移動可能である。可動ロッド要素10の端の1つに配置された端子35は、正負接地端子34a、34bと同様に成形され、端子35及び/又は可動ロッド要素10は、作業員又は人員に対する可動ロッド要素10の現在位置が可動ロッド要素10の視覚距離であることを示す光インジケータ28を含み得る。可動ロッド要素10は、ピストン23によって推進又は押し引きされるように構成される。ピストン23は、ロッド推進システム8に接続される(図11を参照)。
【0041】
例示目的で、正負接地端子34a、34b、端子35及びピストン23が、図1のボード36に装着されるように図示されている。しかしながら、本発明の別の実施形態では、正負接地端子34a、34b、端子35及びピストン23が、電気機器に直接接続され得る。したがって、ボード36は、本発明の機能に必要ではない。
【0042】
図2は、ピストン23及びボード36が見える状態にある、端子35に対する正面図を示す。可動ロッド要素10は、端子35の孔及び正負接地端子34a、34bの孔に挿入され、それらの孔を通って延びる。
【0043】
図3は、図2の線III−IIIに沿って切断された断面図を示す。図3から、各絶縁部24が導電部26により追随され、導電部26が更なる絶縁部24’により追随され、更なる絶縁部24’が更なる絶縁部26’により追随されることが理解できる。各対の正負接地端子34a、34bは、2つの絶縁部24、24’及び2つの導電部26、26’に割り当てられる。絶縁部24及び更なる絶縁部24’の長さ、並びに導電部26及び更なる導電部26’の長さは、本明細書で後に説明されるであろうように、同一ではない。図3には、更なる導電部26’の長さLC1が示される。
【0044】
図において、可動ロッド要素10は、6対の正負接地端子34a、34bを接地するために使用される。各対の正負接地端子34a、34bは、各対に割り当てられた2つの絶縁部24、24’及び2つの導電部26、26’の群を有している。しかしながら、他の数の対の正負接地端子34a、34bが選択されていてもよい。更に本発明はまた、各対の正負接地端子34a、34bに対して1つの絶縁部24及び1つの導電部26だけを使用することによっても実現され得る。
【0045】
図4は、図3のIVの拡大部分を示す。可動ロッド要素10は、図4の接地されていない位置Uの中に、したがって図1から図3の中にある。正負接地端子34a、34bの各々は、2つの接点要素37a、37bを含み、その接点要素37a、37bは、可動ロッド要素10と正の接地端子34a及び負の接地端子34bとの間の接触を確立するために使用される。接地されていない位置Uにおいて、正の接地端子34aの2つの接点要素37aは、更なる導電部26’と電気接触しており、負の接地端子34bの2つの接点要素37bは、導電部26と電気接触している。接点要素37a、37bは、ばね要素、接触ブラシ又は接触シューの形態で実施され得る。対の正負接地端子34a、34b、ひいては正の接地端子34aの接点要素37a及び負の接地端子34bの接点要素37bは、絶縁部24’を介して互いから電気的に分離される。電流路は、したがって可動ロッド要素10に沿って接近しておらず、正負接地端子34a、34bのすべてが、絶縁部24、24’によって互いから電気的に分離される。モジュール型マルチレベル電圧源コンバータシステムなどの電気機器が使用中である場合、可動ロッド要素は、接地されていない位置Uにある。
【0046】
絶縁部24、24’は、2つの端部及び中間部を含むスピゴット要素27、27’によって形成される。中間部の長さLi、Li図5を参照)は、図4に示されるように、絶縁部24、24’の長さに対応する。スピゴット要素27、27’の端部は、パイプ要素25、25’にぴったり合うように形成され、導電部26、26’が形成される。端部の直径は、したがってパイプ要素25、25’の内径以下であり、ゆえに中間部の直径は、実質的にパイプ要素25、25’の外径に対応する。パイプ要素25、25’は、好ましくは金属から作られており、スピゴット要素27、27’は、プラスチック、ゴム、炭素などの非導電性材料から作られている。
【0047】
スピゴット要素25、25’は、パイプ要素27、27’に接着又は圧力ばめされ、これにより可動ロッド要素10が形成される。
【0048】
図4の矢印によって示されるように、可動ロッド要素10が、接地されていない位置Uから接地位置Gに、その縦軸に沿ってピストン23により移動すると、電流路は閉鎖され、可動ロッド要素10が図4に示された接地されていない位置Uから移動してはいるが、図4と類似の図を示している図5に図示されたように、正負接地端子34a、34bは、互いに電気的に相互接続されている。したがって、電流を、導電部26、26’、接点要素37a、37b、正の接地端子34a及び負の接地端子34bを介して、可動ロッド要素10に沿って流すことができ、電子機器の電源を切ったまま、電気機器からのすべての電荷が放電され得る。電流路は、点線によって図5に概略的に示されている。可動ロッド要素10を接地するために、導体12又はバスバー(図11を参照)は、可動ロッド要素10にかつ接地に電気的に接続され得る。
【0049】
先ほど述べられたように、導電部26、26’及び絶縁部24、24’の長さは、同じではない。図5では、更なる絶縁部24’の長さLiは、絶縁部24の長さLiより短く、絶縁部の両長さLi、Liは、正の接地端子34a及び負の接地端子34bに配置される2つの接点要素37a、37bそれぞれの間の距離Dより短い。導電部26の長さLcは、更なる導電部26’の長さLcより小さい。しかしながら、導電部26の長さLcは、図5に示されるように、正の接地端子34aの接点要素37aと負の接地端子34bの接点要素37bとの間の最も小さな距離Dより長くなるように選択される。距離D、D及び長さLi、Li、Lc、Lcのすべてが、可動ロッド要素10の縦軸に沿って又は平行に測定される。
【0050】
上記の長さ関係は、可動ロッド要素10が、接地されていない位置Uから、まず各対の正負接地端子34a、34bが導電部26を介して互いに電気接触しているが、対の正負接地端子34a、34bが前後の対の正負接地端子とはなおも電気接触していない短絡位置(図示されず)内に移動可能であることを保証する。短絡位置では、1対の正負接地端子34a、34bの正負接地端子34a、34bは、同一の電位を有している。短絡位置から、可動ロッド要素10は、図5に示されるように、接地位置G内に更に移動し得る。ピストン23は、可動ロッド要素10の縦軸に沿って、可動ロッド要素を前後に押し引きするように構成される。可動ロッド要素がいったん接地位置に配置されると、人員は、電気機器が位置する建物内に侵入してもよく、整備作業が実行され得る。作業が行われ、最後の人員が建物を出た後に、可動ロッド要素10は、接地位置Gから短絡位置に、及びそこから接地されていない位置Uに引き戻され得る。
【0051】
図6は、端子35を示す、図3のVIの拡大部分を示す。図6は、端子35が、絶縁部24によって、対の正負接地端子34a、34bから電気的に分離される際の、接地されていない位置Uにおける可動ロッド要素10を示す。接地位置G(図6に示されず)において、端子35は、導電部26’と電気接触している際の電流路の一部を形成する。導体12(図11を参照)は、可動ロッド要素10を接地するために、又は可動ロッド要素10を更なる可動ロッド要素10’(図11を参照)と接続するために、端子35に接続され得る。図6には、色インジケータ28が更に示されている。色インジケータは、可動ロッド要素10がいったん接地位置に配置されると可視化されることになるので、可動ロッド要素10が接地位置にあるかどうかを視覚的に示し得る。図6では、色インジケータは、端子内部に隠れているので、人には見えない。したがって、電気機器が使用中であり、接地されていないことが分かる。
【0052】
図7及び図8は、可動ロッド要素10が電気機器Eとの併用でどのように機能するかを概略的に示している。
【0053】
図7は、絶縁部24、24’及び導電部26、26’が概略的に示された、可動ロッド要素10を示している。図7では、可動ロッド要素10は、接地されていない位置Uにあり、絶縁部24、24’がスイッチとして示されている。正負接地端子34a、34bは、スイッチ/絶縁部24、24’によって電気的に分離される。
【0054】
図8は、絶縁部24、24’(図8に示されず)が正負接地端子34a、34bによって架橋され、可動ロッド要素10が導体12により接地に電気的に接続されている状態の、接地位置Gの可動ロッド要素10を示す。導体12は、バスバーであり得る。
【0055】
可動ロッド要素10がいったん接地位置Gに配置されると、図9及び図10に示されるように、第1及び第2の制御端子14a及び14bを介して、制御測定が実行され得る。制御測定は、図9に示されるように、制御機器又は制御測定デバイスを第1及び第2の制御端子14a、14bに電気的に接続することにより、可動ロッド要素10の上で又は複数の可動ロッド要素10、10’上で直接実行され得る。測定中のmΩの範囲の低い電気抵抗は、電気機器の正しい接地を示し、MΩの高い電気抵抗は、電気機器の接地に問題があることを示す。
【0056】
図9に示された制御測定の代わりに、制御測定は、図10で示されるように、アースの上で実行されてもよい。
【0057】
図11は、可動ロッド要素10、10’、10’’が、どのようにモジュール型マルチレベル電圧源コンバータの様々な電気機器又はセル層に設置され得、それにより接地システム4が形成され得るかを示している。接地システム4は、ロッド推進システム8と、複数の可動ロッド要素10、10’、10’’と電気的に相互接続する導体12とを更に備える。ロッド推進システム8は、パイプ設備17、制御デバイス19、及びピストン23、23’、23’’を備える。パイプ設備17は、ロッド推進システムが空気圧式か油圧式化により空気圧又は油圧を分配するための様々なパイプを備え得る。制御デバイス19は、遠隔地から、好ましくは電気機器Eが位置する建物の外側から、作業員によって操作され得る。図11に示されるように、導体12は、先ほどの可動ロッド要素10’のピストン23及び端子35から分かるように、第1の負の接地端子34bを介して、可動ロッド要素10、10’と電気的に接続され得る。導体12の少なくとも1つは、先ほど述べられたように、接地(図11に示されず)に接続され得る。
【0058】
図12は、可動ロッド要素10、10’、10’’が接地されていない位置Uにある場合の接地システム4の電気スキームを概略的に示している。図12及び図8から、全ての可動ロッド要素10、10’、10’’がいったん接地位置G(図12に示されず)に位置すると、電流路が接地を必要とする電気機器Eすべての上で閉鎖されることが明らかになる。これにより、たとえ接地システム4が、モジュール型マルチレベル電圧源コンバータ(図9図10、及び図12を参照)などのかなり複雑な電気機器Eに設置されたとしても、制御測定は非常に便利になる。
【0059】
本発明を、主として幾つかの実施形態を参照して上述した。しかしながら、当業者に容易に理解できるように、上記で開示した他の実施形態もまた、添付の特許請求の範囲で規定する本発明の範囲内で等しく可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12