特許第6363757号(P6363757)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6363757緊急通報システム、緊急通報処理方法、機能拡張管理装置、および緊急通報処理用プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6363757
(24)【登録日】2018年7月6日
(45)【発行日】2018年7月25日
(54)【発明の名称】緊急通報システム、緊急通報処理方法、機能拡張管理装置、および緊急通報処理用プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04M 11/04 20060101AFI20180712BHJP
   G08B 25/10 20060101ALI20180712BHJP
   H04L 12/70 20130101ALI20180712BHJP
【FI】
   H04M11/04
   G08B25/10 B
   G08B25/10 D
   H04L12/70 A
【請求項の数】6
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-72186(P2017-72186)
(22)【出願日】2017年3月31日
【審査請求日】2017年3月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】399041158
【氏名又は名称】西日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(73)【特許権者】
【識別番号】399040405
【氏名又は名称】東日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 健
(72)【発明者】
【氏名】横井 正俊
【審査官】 塩澤 如正
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−033004(JP,A)
【文献】 特開2008−048335(JP,A)
【文献】 特開2012−257086(JP,A)
【文献】 特開2001−358830(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0174991(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M 3/00
H04M 3/16 − 3/20
H04M 3/38 − 3/58
H04M 7/00 − 7/16
H04M 11/00 − 11/10
G08B 19/00 − 21/24
G08B 23/00 − 31/00
H04L 12/00 − 12/28
H04L 12/44 − 12/955
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
緊急通報を行う通報者が使用する端末であり、電話網およびインターネットに接続された発信者端末と、緊急通報への対応を行う所定機関に設置され、前記発信者端末に電話網を介して接続された指令台端末と、前記インターネットに接続されるとともに、緊急通報専用の閉域網に接続された緊急通報制御サーバと、前記指令台端末に接続されるとともに、前記閉域網に接続された機能拡張管理装置とを備えた緊急通報システムにおいて、
前記発信者端末は、電話通信部と、映像、音声、または文字の少なくともいずれかを含む情報の送受信を行う第1情報処理部とを有し、
前記緊急通報制御サーバは、前記発信者端末の電話番号である発信者番号と、前記発信者端末を識別する一意な識別情報と、前記識別情報を基に生成した映像・音声通信用アカウントならびに文字通信用アカウントとの対応情報を予め登録する情報登録部を有し、
前記指令台端末は、前記発信者端末から緊急通報のための電話通信が着信すると、該当する発信者番号を取得して前記機能拡張管理装置に送信する発信者番号送信部を有し、
前記機能拡張管理装置は、前記指令台端末から前記発信者番号を受信すると、当該発信者番号に対応する映像・音声通信用アカウントならびに文字通信用アカウントを前記緊急通報制御サーバから取得し、取得した映像・音声通信用アカウントまたは文字通信用アカウントの少なくともいずれかを用いて前記発信者端末との間に、映像、音声、文字の少なくともいずれかを含む情報の送受信を行うためのメディア用通信を確立させる通信制御部を有する
ことを特徴とする緊急通報システム。
【請求項2】
前記機能拡張管理装置と前記発信者端末との間で、映像および音声の情報の送受信を行うための通信を確立させる際の中継処理を行うSIPサーバを有し、
前記発信者端末は、映像、音声、または文字の少なくともいずれかを含む情報を用いた緊急時情報通信を行うための初期設定処理として、前記発信者端末の識別情報を前記緊急通報制御サーバに送信し、当該識別情報を送信したことにより前記緊急通報制御サーバから送信された、前記発信者端末から前記緊急通報制御サーバにログインする際に必要とするログイン用アカウントおよびパスワードと、前記発信者端末の識別情報に基づいて取得された前記SIPサーバの宛先情報と、前記発信者端末が前記SIPサーバにアクセスする際に必要な映像・音声通信用アカウント、文字通信用アカウント、およびパスワードを取得する第1初期設定部を有し、
前記発信者端末の第1情報処理部は、通報者により緊急通報のための操作が開始されると、前記緊急通報制御サーバから取得した前記SIPサーバの宛先情報に対してアクセスし、インターネット内における前記発信者端末の位置情報を送信するとともに、前記緊急通報制御サーバから取得したログイン用アカウントおよびパスワードを利用して前記緊急通報制御サーバにログインし、前記発信者端末の位置情報、発信者番号、および通報者により映像、音声、または文字から選択されたメディア種別を送信し、
前記緊急通報制御サーバは、前記発信者端末の識別情報を取得すると、取得した識別情報を基に、前記発信者端末が前記緊急通報制御サーバにログインする際に必要とするログイン用アカウントおよびパスワードを生成し、前記発信者端末が位置情報を登録する先のSIPサーバの宛先情報を取得するとともに、前記発信者端末が前記SIPサーバにアクセスする際に必要な映像・音声通信用アカウント、文字通信用アカウント、およびパスワードを生成し、これらの情報を前記発信者端末に送信し、前記映像・音声通信用アカウントおよびパスワードを前記SIPサーバに送信し、前記発信者端末から前記ログイン用アカウントおよびパスワードを用いてログインされ、前記発信者端末の位置情報、発信者番号、および選択されたメディア種別が送信されると、これらの情報を、前記機能拡張管理装置による前記メディア用通信の確立処理に用いるために登録する第2初期設定部と、
前記発信者端末と前記機能拡張管理装置との間で、文字情報を送受信するための通信を確立する通信処理部とを有し、
前記SIPサーバは、前記緊急通報制御サーバから送信された映像・音声通信用アカウントを保存し、前記発信者端末から送信される前記発信者端末の位置情報を取得して登録する第3初期設定部を有し、
前記機能拡張管理装置の通信制御部は、前記緊急通報制御サーバおよび前記SIPサーバを介して前記発信者端末との間で、映像、音声、文字の少なくともいずれかを含む情報を送受信するための通信を確立させる
ことを特徴とする請求項1に記載の緊急通報システム。
【請求項3】
緊急通報を行う通報者が使用する発信者端末に電話網で接続されて緊急通報への対応を行う所定機関に設置された指令台端末に接続されるとともに、前記発信者端末にインターネットを介して接続されて前記発信者端末の電話番号である発信者番号と前記発信者端末の映像・音声通信用アカウントならびに文字通信用アカウントとの対応情報が予め登録された緊急通報制御サーバに接続された機能拡張管理装置において、
前記発信者端末から緊急通報のための電話通信が着信したことにより、前記指令台端末で取得された前記発信者番号を受信すると、当該発信者番号に対応する映像・音声通信用アカウントおよび文字通信用アカウントおよびメディア種別を前記緊急通報制御サーバから取得し、取得した映像・音声通信用アカウント、文字通信用アカウント、およびメディア種別を用いて前記発信者端末との間に、映像、音声、または文字の少なくともいずれかを含む情報の送受信を行うための通信を確立させる通信制御部
を有することを特徴とする機能拡張管理装置。
【請求項4】
緊急通報専用の閉域網に接続された緊急通報制御サーバが、インターネットを介して接続された、緊急通報を行う通報者が使用する発信者端末の電話番号である発信者番号と、前記発信者端末の映像・音声通信用アカウントならびに文字通信用アカウントとの対応情報を予め登録し、
緊急通報への対応を行う所定機関に設置され、前記発信者端末に電話網を介して接続された指令台端末が、前記発信者端末から緊急通報のための電話通信を着信すると、該当する発信者番号を取得して、接続された機能拡張管理装置に送信し、
前記機能拡張管理装置が、前記指令台端末から前記発信者番号を受信すると、前記閉域網を介して当該発信者番号に対応する映像・音声通信用アカウント、文字通信用アカウント、およびメディア種別を前記緊急通報制御サーバから取得し、取得した映像・音声通信用アカウント、文字通信用アカウント、およびメディア種別を用いて前記発信者端末との間に、映像、音声、または文字の少なくともいずれかを含む情報の送受信を行うためのメディア用通信を確立させる
ことを特徴とする緊急通報処理方法。
【請求項5】
前記発信者端末が、映像、音声、または文字の少なくともいずれかを含む情報を用いた緊急時情報通信を行うための初期設定処理として、前記発信者端末の識別情報を前記緊急通報制御サーバに送信し、
前記緊急通報制御サーバは、前記発信者端末の識別情報を取得すると、取得した識別情報を基に、前記発信者端末が前記緊急通報制御サーバにログインする際に必要とするログイン用アカウントおよびパスワードを生成し、前記発信者端末がインターネット内における位置情報を登録する先のSIPサーバの宛先情報を取得するとともに、前記発信者端末が前記SIPサーバにアクセスする際に必要な映像・音声通信用アカウント、文字通信用アカウント、およびパスワードを生成し、これらの情報を前記発信者端末に送信し、前記映像・音声通信用アカウント、文字通信用アカウント、およびパスワードを前記SIPサーバに送信し、
前記発信者端末は、前記緊急通報制御サーバから送信された、前記緊急通報制御サーバにログインする際に必要とするアカウントおよびパスワードと、前記SIPサーバの宛先情報と、前記SIPサーバにアクセスする際に必要な映像・音声通信用アカウントおよびパスワードとを取得し、
前記発信者端末は、通報者により緊急通報のための操作が開始されると、前記SIPサーバの宛先情報に対してアクセスし、インターネット内における前記発信者端末の位置情報を前記SIPサーバに送信するとともに、前記緊急通報制御サーバから取得したログイン用アカウントおよびパスワードを利用して前記緊急通報制御サーバにログインし、前記発信者端末の位置情報、発信者番号、および通報者により選択されたメディア種別を送信し、
前記SIPサーバは、前記発信者端末から送信される前記発信者端末の位置情報を取得して登録し、
前記緊急通報制御サーバは、前記発信者端末から該当するログイン用アカウントおよびパスワードを用いてログインされ、前記発信者端末の位置情報、発信者番号、および選択されたメディア種別が送信されると、これらの情報を、前記機能拡張管理装置による前記メディア用通信の確立処理に用いるために登録し、
前記機能拡張管理装置は、前記SIPサーバならびに前記緊急通報制御サーバを介して前記発信者端末との間で、前記緊急通報制御サーバに登録された映像、音声・文字の少なくともいずれかを含む情報を送受信するための通信を確立させる
ことを特徴とする請求項4に記載の緊急通報処理方法。
【請求項6】
請求項1または2に記載の緊急通報システムで実行される機能を、コンピュータで実行させるための緊急通報処理用プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
高度な情報通信を用いて緊急通報を行うための緊急通報システム、緊急通報処理方法、機能拡張管理装置、および緊急通報処理用プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、災害や事故等の緊急事態発生時に、通報者が消防機関や警察機関の指令台に緊急通報を行う際には、公衆電話網を利用した電話回線により音声通信で行われている。
【0003】
一方、日常生活におけるコミュニケーションツールとしては、スマートデバイスのアプリケーション上で、文字、映像、および音声等を組み合わせた高度な映像・音声・文字等の情報を利用することが一般化しており、緊急通報にもこれらの映像・音声・文字等の情報を用いることが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−295362号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】コミュニケーションアプリ LINE[平成29年3月10日検索]:〈https://line.me/ja/〉
【非特許文献2】[平成29年3月10日検索]イスラエル「緊急通報は動画で連絡するアプリ」導入へ:https://news.yahoo.co.jp/byline/satohitoshi/20160416-00056679/
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
諸外国で利用されている映像利用による緊急通報をわが国で実現しようとした場合、従来の緊急通報では公衆電話網側および消防機関等の受信側設備への費用が莫大となる。
【0007】
また、スマートデバイス上のコミュニケーションアプリを緊急通報に利用した場合、設備投資は抑えられるが、インターネットを利用した通信のためベストエフォート型であることと、発信者の特定が困難となる等課題が多い。
【0008】
本発明は上記事情を鑑みてなされたものであり、緊急事態に関する通報者が消防機関や警察機関の指令台に緊急通報を行う際に、高度な映像・音声・文字等の情報を用いて確実に緊急通報を行うことを可能にする緊急通報システム、緊急通報処理方法、機能拡張管理装置、および緊急通報処理用プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するための、本発明の緊急通報システムは、急通報を行う通報者が使用する端末であり、電話網およびインターネットに接続された発信者端末と、緊急通報への対応を行う所定機関に設置され、前記発信者端末に電話網を介して接続された指令台端末と、前記インターネットに接続されるとともに、緊急通報専用の閉域網に接続された緊急通報制御サーバと、前記指令台端末に接続されるとともに、前記閉域網に接続された機能拡張管理装置とを備えた緊急通報システムにおいて、前記発信者端末は、電話通信部と、映像、音声、または文字の少なくともいずれかを含む情報の送受信を行う第1情報処理部とを有し、前記緊急通報制御サーバは、前記発信者端末の電話番号である発信者番号と、前記発信者端末を識別する一意な識別情報と、前記識別情報を基に生成した映像・音声通信用アカウントならびに文字通信用アカウントとの対応情報を予め登録する情報登録部を有し、前記指令台端末は、前記発信者端末から緊急通報のための電話通信が着信すると、該当する発信者番号を取得して前記機能拡張管理装置に送信する発信者番号送信部を有し、前記機能拡張管理装置は、前記指令台端末から前記発信者番号を受信すると、当該発信者番号に対応する映像・音声通信用アカウントならびに文字通信用アカウントを前記緊急通報制御サーバから取得し、取得した映像・音声通信用アカウントまたは文字通信用アカウントの少なくともいずれかを用いて前記発信者端末との間に、映像、音声、文字の少なくともいずれかを含む情報の送受信を行うためのメディア用通信を確立させる通信制御部を有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の機能拡張管理装置は、緊急通報を行う通報者が使用する発信者端末に電話網で接続されて緊急通報への対応を行う所定機関に設置された指令台端末に接続されるとともに、前記発信者端末にインターネットを介して接続されて前記発信者端末の電話番号である発信者番号と前記発信者端末の映像・音声通信用アカウントならびに文字通信用アカウントとの対応情報が予め登録された緊急通報制御サーバに接続された機能拡張管理装置において、前記発信者端末から緊急通報のための電話通信が着信したことにより、前記指令台端末で取得された前記発信者番号を受信すると、当該発信者番号に対応する映像・音声通信用アカウントおよび文字通信用アカウントおよびメディア種別を前記緊急通報制御サーバから取得し、取得した映像・音声通信用アカウント、文字通信用アカウント、およびメディア種別を用いて前記発信者端末との間に、映像、音声、または文字の少なくともいずれかを含む情報の送受信を行うための通信を確立させる通信制御部を有することを特徴とする。
【0011】
また、本発明の緊急通報処理方法は、緊急通報専用の閉域網に接続された緊急通報制御サーバが、インターネットを介して接続された、緊急通報を行う通報者が使用する発信者端末の電話番号である発信者番号と、前記発信者端末の映像・音声通信用アカウントならびに文字通信用アカウントとの対応情報を予め登録し、緊急通報への対応を行う所定機関に設置され、前記発信者端末に電話網を介して接続された指令台端末が、前記発信者端末から緊急通報のための電話通信を着信すると、該当する発信者番号を取得して、接続された機能拡張管理装置に送信し、前記機能拡張管理装置が、前記指令台端末から前記発信者番号を受信すると、前記閉域網を介して当該発信者番号に対応する映像・音声通信用アカウント、文字通信用アカウント、およびメディア種別を前記緊急通報制御サーバから取得し、取得した映像・音声通信用アカウント、文字通信用アカウント、およびメディア種別を用いて前記発信者端末との間に、映像、音声、または文字の少なくともいずれかを含む情報の送受信を行うためのメディア用通信を確立させることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の緊急通報処理用プログラムは、請求項1または2に記載の緊急通報システムで実行される機能を、コンピュータで実行させるためのものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の緊急通報システム、緊急通報処理方法、機能拡張管理装置、および緊急通報処理用プログラムによれば、緊急事態に関する通報者が消防機関や警察機関の指令台に緊急通報を行う際に、高度な映像・音声・文字等の情報を用いて確実に緊急通報を行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態による緊急通報システムの構成を示す全体図である。
図2】本発明の一実施形態による緊急通報システムで利用する発信者端末のタッチパネルに、緊急通報アイコンが表示された状態を示す画面構成図である。
図3】本発明の一実施形態による緊急通報システムで、発信者端末を緊急通報システム内に登録する際に実行される処理を示すシーケンス図である。
図4】本発明の一実施形態による緊急通報システムで、機能拡張管理装置をSIPサーバに登録する際に実行される処理を示すシーケンス図である。
図5】本発明の一実施形態による緊急通報システムで、発信者端末から消防機関に緊急通報を行う際に実行される処理を示すシーケンス図である。
図6】本発明の一実施形態による緊急通報システムで、発信者端末から消防機関に緊急通報を行う際に実行される処理を示すシーケンス図である。
図7】本発明の一実施形態による緊急通報システムで利用する発信者端末のタッチパネルに、パーミッション要求画面が表示された状態を示す画面構成図である。
図8】本発明の一実施形態による緊急通報システムで利用する発信者端末のタッチパネルに、コール種別選択画面が表示された状態を示す画面構成図である。
図9】本発明の一実施形態による緊急通報システムで利用する発信者端末のタッチパネルに、メディア種別選択画面が表示された状態を示す画面構成図である。
図10】本発明の一実施形態による緊急通報システムで利用する指令台端末に、各種映像・音声・文字等の情報で構成された緊急通報画面が表示された状態を示す画面構成図である。
図11】本発明の一実施形態による緊急通報システムで利用する発信者端末のタッチパネルに、映像情報で構成された緊急通報画面が表示された状態を示す画面構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の一実施形態として、緊急事態である火事が発生したときに、通報者が緊急通報システムを利用して消防機関に緊急通報を行う場合について説明する。
【0016】
〈一実施形態による緊急通報システムの構成〉
本発明の一実施形態による緊急通報システムの構成について、図1を参照して説明する。本実施形態による緊急通報システム1は、通報者と消防機関とが、音声情報、映像情報、テキスト情報、添付ファイル情報、および位置情報等の高度な映像・音声・文字等の情報を用いて緊急時対応のためのコミュニケーションを行うものであり、通報者が使用する発信者端末10と、発信者端末10にインターネット20を介して接続された緊急通報制御サーバ30およびSIP(Session Initiation Protocol)サーバ40と、発信者端末10に公衆電話網(PSTN:Public Switched Telephone NetworksまたはIP電話網)50を介して接続された消防機関60の指令制御装置61と、指令制御装置61に接続された指令台端末62と、指令台端末62に接続されるとともに、緊急通報制御サーバ30およびSIPサーバ40に、緊急通報専用の閉域IP網である閉域網70を介して接続された機能拡張管理装置63とを備える。
【0017】
発信者端末10は、例えばスマートフォンで構成され、電話通信部11と、IP通信部12と、タッチパネル13と、撮像部14とを有し、緊急通報アプリケーション15が搭載される。
【0018】
電話通信部11は、公衆電話網50を介して他端末と音声通信を行う。IP通信部12は、インターネット20を介して他端末と映像・音声・文字等の情報の送受信を行う。タッチパネル13は、当該発信者端末10の使用者による操作情報を入力するとともに、インターネット20から受信した各種情報を表示する。撮像部14は、使用者の操作により静止画(写真)や動画の撮影を行う。
【0019】
緊急通報アプリケーション15は、第1初期設定部151と、第1情報処理部152とを有する。
【0020】
第1初期設定部151は、高度の映像・音声・文字等の情報を用いた緊急時情報通信を行うための初期設定処理として、緊急通報アプリケーション15内での発信者端末10の一意な識別情報(たとえばUniversally Unique Identifier(UUID)を用いてもよい)を取得して緊急通報制御サーバ30に送信する。また、発信者端末の識別情報を送信後、緊急通報制御サーバ30から、後述する、「発信者端末10から緊急通報制御サーバ30にログインする際に必要とするログイン用アカウントおよびパスワード」と、「発信者端末10の識別情報に基づいて取得したSIPサーバ40の宛先情報と、発信者端末10がSIPサーバ40にアクセスする際に必要なIDおよびパスワード」とを取得し、保存する。
【0021】
第1情報処理部152は、通報者がタッチパネル13で緊急通報のための操作を開始すると、第1初期設定部151に保存したSIPサーバ40の宛先情報(SIP−URI)に対し、IDおよびパスワードを利用してアクセスし、発信者端末10のインターネット20内の位置情報(SIP−URI等)を登録する。また第1情報処理部152は、緊急通報制御サーバ30に対し、保存したログイン用アカウントおよびパスワードを利用してログインし、発信者端末10の位置情報(SIP−URI等)、発信者番号、および利用するメディア種別(映像、音声、またはテキスト文字等)を送信する。
【0022】
また第1情報処理部152は、SIPサーバ40から発信者端末10に映像・音声の情報を送受信するための通信が確立および発信者端末10から緊急通報制御サーバ30ならびに機能拡張管理装置63から緊急通報サーバ30に対し文字等の情報を送受信するための通信が確立されると、当該通信により、タッチパネル13から入力された情報、撮像部14で撮影された撮像情報、緊急通報アプリケーション15内で取得した発信者端末10の位置情報や音声情報等を、IP通信部12から送信させる。また、IP通信部12から受信された映像情報、テキスト情報、添付ファイル情報、および位置情報等を、タッチパネル13に表示させたり、音声情報をスピーカ(図示せず)から出力させる処理を行う。
【0023】
緊急通報制御サーバ30は、第2初期設定部31と、発信者端末情報登録部32と、通信処理部33とを有する。
【0024】
第2初期設定部31は、発信者端末10から当該発信者端末10の識別情報を取得すると、取得した識別情報を基に、発信者端末10が緊急通報制御サーバ30にログインする際に必要とするログイン用アカウントおよびパスワードを生成し、保存する。また第2初期設定部31は、取得した識別情報を基に、当該発信者端末10がインターネット20内における位置情報(SIP−URI等)を登録する先のSIPサーバ40のSIP−URIを取得するとともに、発信者端末10が当該SIPサーバ40にアクセスする際に必要なIDおよびパスワードを生成し、保存する。ここで、生成するIDは、発信者端末10と機能拡張管理装置63との間で映像および音声を送受信する通信を確立させるための映像・音声通信用アカウントと、文字情報等を送受信する通信を確立させるための文字等通信用アカウントを示す。また第2初期設定部31は、取得した識別情報を保存する。
【0025】
さらに第2初期設定部31は、これらの「発信者端末10から緊急通報制御サーバ30にログインする際に必要とするログイン用アカウントおよびパスワード」と、「発信者端末10の識別情報に基づいて取得したSIPサーバ40の位置情報(SIP−URI等)と、発信者端末10がSIPサーバ40にアクセスする際に必要なIDおよびパスワード」とを、発信者端末10に送信する。
【0026】
また、第2初期設定部31は、生成した「発信者端末10がSIPサーバ40にアクセスする際に必要なIDおよびパスワード」を、閉域網70を介してSIPサーバ40に送信する。
【0027】
また、第2初期設定部31は、発信者端末10から該当するログイン用アカウントおよびパスワードを用いてログインされ、発信者端末10の位置情報(SIP−URI等)、発信者番号、および利用するメディア種別(映像、音声、またはテキスト文字等)が送信されると、これらの情報を発信者端末情報登録部32に登録する。そして、発信者端末10が緊急通報に用いるためのチャットルームを生成する。
【0028】
通信処理部33は、発信者端末10と機能拡張管理装置63との間で、HTTP等の通信を実行させる。
【0029】
SIPサーバ40は、第3初期設定部41と、発信者端末情報登録部42と、中継処理部43とを有する。
【0030】
第3初期設定部41は、緊急通報制御サーバ30から送信されたIDおよびパスワードを保存する。そして、発信者端末10から当該IDおよびパスワードを用いてアクセスされると、当該アクセスを認証し、発信者端末10のSIP−URIを取得して発信者端末情報登録部42に登録する。
【0031】
中継処理部43は、発信者端末情報登録部42に記憶された情報を用いて、機能拡張管理装置63と発信者端末10との間のメディア用通信を確立させる際の中継処理を行う。
【0032】
消防機関60に設置された指令制御装置61は、公衆電話網50を介して発信者端末10から緊急通報のための電話通信が着信すると、指令台端末62に発信者端末10の発信者番号を送信し、発信者端末10と指令台端末62との間で電話通信を確立させる。
【0033】
指令台端末62は、発信者番号送信部621と、第2情報処理部622とを有する。発信者番号送信部621は、緊急通報のための電話通信が確立されると、該当する発信者番号を取得して機能拡張管理装置63に送信する。
【0034】
機能拡張管理装置63は、通信制御部631と、第3情報処理部632と、情報出力部633とを有する。通信制御部631は、当該機能拡張管理装置63を緊急通報システム1内に登録する際に、SIPサーバ40に対し、位置情報登録する。また通信制御部631は、指令台端末62から発信者番号を受信すると、当該発信者番号に対応する発信者端末10のSIP−URI、チャットルーム入室用IDおよびパスワードを緊急通報制御サーバ30から取得し、取得したSIP−URI、チャットルーム入室用ID、およびパスワードを用いて発信者端末10との間に、メディア用通信を確立させる。第3情報処理部632は、通信制御部631で確立されたメディア用通信により、発信者端末10との間で、音声情報、映像情報、テキスト情報、添付ファイル情報、および位置情報等の送受信を行う。情報出力部633は例えばディスプレイで構成され、通信中の映像・音声・文字等の情報等を表示する。
【0035】
〈一実施形態による緊急通報システムの動作〉
次に、本実施形態による緊急通報システム1の動作として、(1) 発信者端末10を緊急通報システム1内に登録する際に実行される処理と、(2) 機能拡張管理装置63を緊急通報システム1内に登録する際に実行される処理と、(3) 発信者端末10から消防機関に緊急通報を行う際に実行される処理について説明する。
【0036】
(1) 発信者端末10を緊急通報システム1内に登録する際に実行される処理
発信者端末10において緊急通報アプリケーション15がインストールされると、図2に示すように、タッチパネル13上に当該緊急通報アプリケーション15を起動させるための緊急通報アイコン13Aが表示される。
【0037】
タッチパネル13上で使用者により緊急通報アイコン13Aがタッチ操作され、当該緊急通報アプリケーション15が初めて起動されると、発信者端末10を緊急通報システム1内に初期設定する処理が開始される。発信者端末10を緊急通報システム1内に初期設定する処理について、図3のシーケンス図を参照して説明する。
【0038】
発信者端末10で緊急通報アプリケーションが初回起動されると、第1初期設定部151により、緊急通報アプリケーション15内での発信者端末10の識別情報が取得されて、インターネット20を介して緊急通報制御サーバ30に送信される(S1)。
【0039】
緊急通報制御サーバ30では、発信者端末10から送信された当該発信者端末10の識別情報が第2初期設定部31で取得される。第2初期設定部31は、取得した識別情報を基に、発信者端末10が緊急通報制御サーバ30にログインする際に必要とするログイン用アカウントおよびパスワードを生成し、保存する。また第2初期設定部31は、取得した識別情報を基に、当該発信者端末10がインターネット20内における位置情報を登録するSIPサーバ40のSIP−URIを取得するとともに、発信者端末10が当該SIPサーバ40にアクセスする際に必要な、映像・音声通信用アカウント情報および文字等通信用アカウント情報を示すID、ならびにパスワードを生成し、保存する。また第2初期設定部31は、取得した識別情報を保存する。(S2)。
【0040】
さらに第2初期設定部31は、「発信者端末10から緊急通報制御サーバ30にログインする際に必要とするログイン用アカウントおよびパスワード」と、「発信者端末10の識別情報に基づいて取得したSIPサーバ40の宛先情報(SIP−URI)と、発信者端末10がSIPサーバ40にアクセスする際に必要なIDおよびパスワード」とを、発信者端末10に送信する。(S3)。
【0041】
また、第2初期設定部31は、生成した「発信者端末10がSIPサーバ40にアクセスする際に必要なIDおよびパスワード」を、閉域網70を介してSIPサーバ40に送信する(S4)。SIPサーバ40では、緊急通報制御サーバ30から送信されたIDおよびパスワードが第3初期設定部41で取得され、保存される(S5)。
【0042】
また、緊急通報アプリケーションの初回起動時には、発信者端末10のタッチパネル13に、図4に示すパーミッション要求画面が表示される。当該パーミッション要求画面において、通報者の操作により発信者端末10で取得された写真や動画を緊急通報システム1内に記録することが許可されると、利用するメディア種別として音声や映像等が選択可能になる。パーミッション要求の対象としては、カメラ(撮像部14)の撮像情報、ストレージ内の情報、マイクから入力される音声情報、登録された連絡先情報、電話による通話音声情報、位置情報等がある。
【0043】
(2) 機能拡張管理装置63を緊急通報システム1内に登録する際に実行される処理
機能拡張管理装置63を緊急通報システム1内に登録する際には、図5に示すように、機能拡張管理装置63の通信制御部631から閉域網70を介してSIPサーバ40に対し、閉域網70内における機能拡張管理装置63の位置情報を示すSIP−URIを登録する(S6)。
【0044】
(3) 通報者が消防機関60に緊急通報を行う際に実行される処理
上記(1)および(2)の処理が実行された後、通報者が消防機関60に緊急通報を行う際に緊急通報システム1内で実行される処理について、図6および7のシーケンス図を参照して説明する。
【0045】
上記(1)および(2)の処理が完了したとき、または、通報者により緊急通報アイコン13Aがタッチ操作され当該緊急通報アプリケーション15が2回目以降に起動されたときに、発信者端末10から、初期設定時にステップS3において緊急通報制御サーバ30から取得されたSIPサーバ40のSIP−URIに対し、IDおよびパスワードを利用してアクセスされ、発信者端末10の位置情報登録をする。SIPサーバ40では、発信者端末10から送信された発信者端末10のSIP−URIが取得されて第3初期設定部41で取得され、発信者端末情報登録部42に登録される(S11)。
【0046】
また、発信者端末10のタッチパネル13には、図8に示すような、緊急通報先の機関を選択するためのコール種別選択画面が表示される。図8のコール種別選択画面には、通報先として警察を選択するための警察アイコン13Bおよび、消防機関を選択するための救急・消防アイコン13Cが表示されている。
【0047】
表示されたコール種別選択画面上で、使用者により例えば救急・消防アイコン13Cが選択されタッチ操作されると、次画面として、図9に示すように、利用するメディア種別を選択するためのメディア種別選択画面が表示される。図9のメディア種別選択画面には、選択可能なメディア種別として、映像を選択するための映像アイコン13D、テキスト文字を選択するための文字アイコン13E、および音声による通話を選択するための音声アイコン13Fが表示されている。
【0048】
利用するメディア種別が選択されると、発信者端末10から緊急通報制御サーバ30に対し、ステップS3で取得されたログイン用アカウントおよびパスワードを利用してログインされ、発信者端末10のSIP−URI、発信者番号、および選択されたメディア種別(映像、音声、またはテキスト文字等)が送信される。
【0049】
緊急通報制御サーバ30では、発信者端末10から送信された発信者端末10のSIP−URI、発信者番号、および利用するメディア種別が第2初期設定部31で取得され、発信者端末情報登録部32に登録される(S12)。
【0050】
緊急通報制御サーバ30では、発信者端末10に関する情報が登録されると、発信者端末10が緊急通報に用いるためのチャットルームが作成される(S13)。
【0051】
そして、発信者端末10から公衆電話網50を介して消防機関60に緊急通報のための電話通信が発信され(S14)、消防機関60の指令制御装置61に着信する。そして、指令制御装置61から指令台端末62に発信者端末10の発信者番号が送信され(S15)、指令台端末62で応答されることで(S16)、発信者端末10と指令台端末62との間で電話通信が確立され通話状態になる(S17)。
【0052】
指令台端末62では、緊急通報のための電話通信が確立されると、発信者番号送信部621により、該当する発信者番号が取得されて機能拡張管理装置63に送信される(S18)。
【0053】
機能拡張管理装置63では、指令台端末62から送信された発信者番号が通信制御部631で受信され、緊急通報制御サーバ30に対し、当該発信者番号に基づく問い合わせ情報が送信される(S19)。
【0054】
緊急通報制御サーバ30では、機能拡張管理装置63から送信された所定の発信者番号に基づく問い合わせ情報に対し、発信者端末情報登録部32に登録した、当該発信者番号を有する発信者端末10のSIP−URIおよび登録されたメディア種別を返信する(S20)。
【0055】
機能拡張管理装置63では、取得した発信者端末10のSIP−URIに対し、閉域網70、SIPサーバ40を介してSIP RTP接続要求が送信される(S21、S22)。発信者端末10でSIP RTP通信接続要求に対して応答されると(S23)、映像・音声通信用アカウント情報およびパスワードを用いて機能拡張管理装置63と発信者端末10との間でSIP RTP通信が確立される(S24)。機能拡張管理装置63と発信者端末10との間でSIP RTP通信が確立されると、指令台端末62と発信者端末10との間で音声情報や映像情報がリアルタイムで送受信が可能になる。このSIP RTP通信が確立された時点で、発信者端末10と指令台端末62との間の電話回線が切断されるようにしてもよい。
【0056】
機能拡張管理装置63と発信者端末10との間でSIP RTP通信が確立されると同時に、通報者により発信者端末10から、緊急通報制御サーバ30で作成されたチャットルームへ入室する(利用を要求する)操作が行われる(S25)とともに、機能拡張管理装置63を操作するオペレータにより当該チャットルームへ入室する操作が行われる(S26)。
【0057】
さらに、発信者端末10から緊急通信制御サーバ30に文字等通信用アカウント情報およびパスワードを用いてアクセスされると、緊急通信制御サーバ30の通信処理部33によりHTTP通信が確立され、当該チャットルームを介して、発信者端末10と機能拡張管理装置63との間でテキスト情報、画像情報、位置情報等によるチャットルーム通信が可能になる(S27)。ここで利用される通信は、HTTPS通信もしくはWebSocketで実現してもよい。
【0058】
そして、確立されたチャットルーム通信により、機能拡張管理装置63の情報出力部633に、例えば図10に示すような、発信者端末10から送信された映像情報、テキスト情報、写真、位置情報等で構成される緊急通報画面が、チャット情報として表示される。
【0059】
また、図11に示すように、発信者端末10のタッチパネル13に、当該発信者端末10の撮像部14で撮影された使用者の映像情報13Gおよび、機能拡張管理装置63で撮影された消防機関や警察機関のオペレータの映像情報13Hが表示される。
【0060】
発信者端末10のタッチパネル13や機能拡張管理装置63の情報出力部633に表示される情報は、通報者の操作により、通信中に異なるメディア種別に適宜切り替えることも可能である(S28、S29)。
【0061】
以上の実施形態によれば、緊急事態に関する通報者が消防機関や警察機関に緊急通報を行う際に、高度な映像・音声・文字等の情報をリアルタイムで送受信する情報通信を利用して、確実且つ安価な構成で緊急通報を行うことができる。これにより、従来の電話通信による音声のみの通報よりも詳細で認識しやすい情報を発信者端末と消防機関や警察機関の端末との間で相互に提供することができ、より適切な緊急対応を行うことができる。その際、単に通常のインターネット経由で通報を行うようにすると発信者端末の特定が困難であるが、本実施形態では発信者端末情報に基づいて指令台端末との間の通信を確立しているため、発信者端末の特定が容易になり、且つ緊急通報処理の信頼性を向上させることができる。
【0062】
また、上記の機能拡張管理装置63が有する通信制御機能および情報処理機能をコンピュータに搭載することにより、当該コンピュータを機能拡張管理装置63として機能させるためのプログラムを構築することも可能である。
【符号の説明】
【0063】
1…緊急通報システム
10…発信者端末
11…電話通信部
12…IP通信部
13…タッチパネル
13A…緊急通報アイコン
13B…警察アイコン
13C…救急・消防アイコン
13D…映像アイコン
13E…文字アイコン
13F…音声アイコン
13G…映像情報
13H…映像情報
14…撮像部
15…緊急通報アプリケーション
20…インターネット
30…緊急通報制御サーバ
31…第2初期設定部
32…発信者端末情報登録部
33…通信処理部
40…SIPサーバ
41…第3初期設定部
42…発信者端末情報登録部
43…中継処理部
50…公衆電話網
60…消防機関
61…指令制御装置
62…指令台端末
63…機能拡張管理装置
70…閉域網
151…第1初期設定部
152…第1情報処理部
621…発信者番号送信部
622…第2情報処理部
631…通信制御部
632…第3情報処理部
633…情報出力部
【要約】
【課題】 通報者が指令台に緊急通報を行う際に、映像・音声・文字等の情報を用いて確実に緊急通報を行うことを可能にする緊急通報システムを提供する。
【解決手段】 緊急通報システム1に用いる機能拡張管理装置63は、消防機関60に設置され、通報者の発信者端末10からの電話通信が着信する指令台端末62に接続されるとともに、発信者端末10にインターネット20を介して接続されて発信者端末10の識別情報と通信用アカウント情報との対応情報が予め登録された緊急通報制御サーバ30に接続される。機能拡張管理装置63は、発信者端末10から電話通信が着信したことにより指令台端末62で取得された発信者番号を受信すると、当該発信者番号に対応する通信用アカウント情報およびメディア種別を緊急通報制御サーバ30から取得し、発信者端末10との間に、映像・音声・文字等の情報の送受信を行うための通信を確立させる。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11