(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
弾性材料で板状に形成され、端子付き電線が厚み方向に挿通される電線挿通孔が複数設けられ、筒形状のコネクタハウジングの一端側の開口に嵌入される弾性シール部材であって、
前記電線挿通孔の内周面には、当該電線挿通孔に挿通された前記端子付き電線の電線部分の外周面に密接するように全周にわたり突出したリップ環が前記厚み方向に複数配列されて設けられ、
前記挿入口側リップ環について、その内径が、該挿入口側リップ環と前記出口側リップ環との間に位置する中央側リップ環の内径より大きくなるように形成され、
前記挿入口側リップ環側の面において該面に開いた開口を避けた位置に、肉抜き溝が設けられ、前記肉抜き溝は、溝口側の溝幅が溝底側の溝幅よりも狭いことを特徴とする弾性シール部材。
弾性材料で板状に形成され、端子付き電線が厚み方向に挿通される電線挿通孔が複数設けられ、筒形状のコネクタハウジングの一端側の開口に嵌入される弾性シール部材を製造する弾性シール部材製造装置において、
前記弾性シール部材が、前記電線挿通孔の内周面には、当該電線挿通孔に挿通された前記端子付き電線の電線部分の外周面に密接するように全周にわたり突出したリップ環が前記厚み方向に複数配列されて設けられ、前記挿入口側リップ環について、その内径が、該挿入口側リップ環と前記出口側リップ環との間に位置する中央側リップ環の内径より大きくなるように形成されるものであり、
前記弾性材料が溶融状態で充填されて固化される金型を備え、
前記金型が、
前記弾性シール部材の表裏面のうち前記挿入口側リップ環側とは反対側の面の形状に応じた形状の第1面と、前記電線挿通孔の内周形状のうち、前記反対側の面に開いた開口から前記挿入口側リップ環における頂部上の所定位置までの形状に応じた外周形状を有し、前記所定位置に対応する側を先端として複数の前記電線挿通孔に一対一に対応するように前記第1面から突出した複数の第1突起と、を有する第1型と、
前記弾性シール部材の外周形状に応じた内周形状を有する筒型と、
前記筒型を間に挟んで前記第1型における前記第1面と対面して配置される、前記弾性シール部材の表裏面のうち前記挿入口側リップ環側の面の形状に応じた形状の第2面と、前記電線挿通孔の内周形状のうち、前記挿入口側リップ環側の面に開いた開口からから前記所定位置までの形状に応じた外周形状を有し、前記所定位置に対応する側を先端として、前記複数の第1突起と一対一に対応するように前記第2面から突出した複数の第2突起と、を有する第2型と、を備え、
前記挿入口側リップ環側の面において該面に開いた開口を避けた位置に、肉抜き溝が設けられ、前記肉抜き溝は、溝口側の溝幅が溝底側の溝幅よりも狭く形成されるものであり、
前記第2型が、前記肉抜き溝の内面形状に応じた外面形状を有し、前記溝底に対応する側を先端として前記第2面から突出した肉抜き用突起を有するものであることを特徴とする弾性シール部材製造装置。
【背景技術】
【0002】
移動体としての自動車には、多種多様な電子機器が搭載されている。これらの電子機器は、互いの間で電力や制御信号などを伝えるためにワイヤハーネスによって接続されている。ワイヤハーネスは、複数の電線が束ねられた電線束と、この電線束の端末に取り付けられるコネクタとを備えている。このようなコネクタとしては、端子付き電線を複数収容するハウジングと、このハウジングの内部に設けられて外部からの水の浸入を防ぐ弾性シール部材とを備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。このような弾性シール部材としては、例えばシリコーンゴム等の弾性材料で板状に形成されてハウジングの開口に嵌め込まれるとともに、端子付き電線が挿通される電線挿通孔が設けられるものが多い。
図10に、従来の弾性シール部材の一例を示す。
【0003】
図10に示されている弾性シール部材5は、例えばシリコーンゴム等の弾性材料で板状に形成され、不図示の端子付き電線が厚み方向に挿通される電線挿通孔51が複数設けられている。
図10(a)には、弾性シール部材5における端子付き電線の挿入側の表面が示され、
図10(b)には、その裏面が示されている。また、
図10(c)には、
図10(a)中のV51−V51断面を示す断面図が示されている。これらの図に示されているように、弾性シール部材5には、電線挿通孔51として、細い端子付き電線が挿通される小サイズの電線挿通孔51aと太い端子付き電線が挿通される大サイズの電線挿通孔51bとが設けられている。これらの電線挿通孔51a,51bには、端子付き電線が、弾性シール部材5の厚み方向D51に挿通される。尚、これらの電線挿通孔51a,51bは、サイズが異なるもののその構造は互いに同等である。以下、その構造について、小サイズの電線挿通孔51aを例に挙げ、符号としては「51」を付して説明する。
【0004】
図11には、
図10(c)中の領域A51の拡大図が示されている。電線挿通孔51の内周面には、端子付き電線の電線部分の外周面に密接するように全周にわたり突出したリップ環511が設けられている。
図10及び
図11の例では、リップ環511は、弾性シール部材5の厚み方向D51に5つ配列されている。
【0005】
ここで、このような電線挿通孔51を有する弾性シール部材5を製造するに当たっては、次のような金型6が用いられる。
図11の拡大図には、金型6における電線挿通孔51の周辺部分が示されている。この金型6は、リップ環511を有する電線挿通孔51の内周形状を形作るための突起611を有する第1型61と、この第1型61に対面する第2型62とを備えている。また、金型6は、弾性シール部材5の外周形状に応じた内周形状の空間を有する不図示の型も備えている。これら複数の型が組み合わされて形成される金型6の内部空間に弾性材料が溶融状態で充填されて固化されることで、弾性シール部材5が形成される。その後は、第1型61が突起611の引抜き方向D52に外され、第2型62が反対方向D53に外されて弾性シール部材5が取り出される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、
高い防水性を得つつも端子の進入をスムーズに行うことができる弾性シール部材、金型を用いてそのような弾性シール部材を製造する弾性シール部材製造装置、及び弾性シール部材製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、弾性材料で板状に形成され、端子付き電線が厚み方向に挿通される電線挿通孔が複数設けられ、筒形状のコネクタハウジングの一端側の開口に嵌入される弾性シール部材であって、前記電線挿通孔の内周面には、当該電線挿通孔に挿通された前記端子付き電線の電線部分の外周面に密接するように全周にわたり突出したリップ環が前記厚み方向に複数配列されて設けられ、前記挿入口側リップ環について、その内径が、該挿入口側リップ環と前記出口側リップ環との間に位置する中央側リップ環の内径より大きくなるように形成され
、前記挿入口側リップ環側の面において該面に開いた開口を避けた位置に、肉抜き溝が設けられ、前記肉抜き溝は、溝口側の溝幅が溝底側の溝幅よりも狭いことを特徴とする弾性シール部材となっている。
【0011】
また、上記課題を解決するために、請求項
2に記載の発明は、弾性材料で板状に形成され、端子付き電線が厚み方向に挿通される電線挿通孔が複数設けられ、筒形状のコネクタハウジングの一端側の開口に嵌入される弾性シール部材を製造する弾性シール部材製造装置において、前記弾性シール部材が、前記電線挿通孔の内周面には、当該電線挿通孔に挿通された前記端子付き電線の電線部分の外周面に密接するように全周にわたり突出したリップ環が前記厚み方向に複数配列されて設けられ、前記挿入口側リップ環について、その内径が、該挿入口側リップ環と前記出口側リップ環との間に位置する中央側リップ環の内径より大きくなるように形成されるものであり、前記弾性材料が溶融状態で充填されて固化される金型を備え、前記金型が、前記弾性シール部材の表裏面のうち前記挿入口側リップ環側とは反対側の面の形状に応じた形状の第1面と、前記電線挿通孔の内周形状のうち、前記反対側の面に開いた開口から前記挿入口側リップ環における頂部上の所定位置までの形状に応じた外周形状を有し、前記所定位置に対応する側を先端として複数の前記電線挿通孔に一対一に対応するように前記第1面から突出した複数の第1突起と、を有する第1型と、前記弾性シール部材の外周形状に応じた内周形状を有する筒型と、前記筒型を間に挟んで前記第1型における前記第1面と対面して配置される、前記弾性シール部材の表裏面のうち前記挿入口側リップ環側の面の形状に応じた形状の第2面と、前記電線挿通孔の内周形状のうち、前記挿入口側リップ環側の面に開いた開口からから前記所定位置までの形状に応じた外周形状を有し、前記所定位置に対応する側を先端として、前記複数の第1突起と一対一に対応するように前記第2面から突出した複数の第2突起と、を有する第2型と、を備え、前記挿入口側リップ環側の面において該面に開いた開口を避けた位置に、肉抜き溝が設けられ、前記肉抜き溝は、溝口側の溝幅が溝底側の溝幅よりも狭く形成されるものであり、前記第2型が、前記肉抜き溝の内面形状に応じた外面形状を有し、前記溝底に対応する側を先端として前記第2面から突出した肉抜き用突起を有するものであることを特徴とする弾性シール部材製造装置となっている。
【0013】
また、上記課題を解決するために、請求項
3に記載の発明は、弾性材料で板状に形成され
、端子付き電線が厚み方向に挿通される電線挿通孔が複数設けられ、筒形状のコネクタハウジングの一端側の開口に嵌入される弾性シール部材を製造する弾性シール部材製造方法において、前記弾性シール部材が、前記電線挿通孔の内周面には、当該電線挿通孔に挿通された前記端子付き電線の電線部分の外周面に密接するように全周にわたり突出したリップ環が前記厚み方向に複数配列されて設けられ、前記挿入口側リップ環について、その内径が、該挿入口側リップ環と前記出口側リップ環との間に位置する中央側リップ環の内径より大きくなるように形成されるものであり、前記弾性シール部材の表裏面のうち前記挿入口側リップ環側とは反対側の面の形状に応じた形状の第1面と、前記電線挿通孔の内周形状のうち、前記反対側の面に開いた開口から前記挿入口側リップ環における頂部上の所定位置までの形状に応じた外周形状を有し、前記所定位置に対応する側を先端として、複数の前記電線挿通孔に一対一に対応するように前記第1面から突出した複数の第1突起と、を有する第1型と、前記弾性シール部材の外周形状に応じた内周形状を有する筒型と、前記筒型を間に挟んで前記第1型における前記第1面と対面して配置される、前記弾性シール部材の表裏面のうち前記挿入口側リップ環側の面の形状に応じた形状の第2面と、前記電線挿通孔の内周形状のうち、前記挿入口側リップ環側の面に開いた開口からから前記所定位置までの形状に応じた外周形状を有し、前記所定位置に対応する側を先端として、前記複数の第1突起と一対一に対応するように前記第2面から突出した複数の第2突起と、を有する第2型と、を備えた金型を用い、前記金型に、前記弾性材料を溶融状態で充填して固化する充填固化工程と、前記充填固化工程の後に、前記第1型及び前記第2型を前記筒型から外し、該筒型から前記弾性シール部材を取り出す取出し工程と、を有し、前記弾性シール部材は、前記挿入口側リップ環側の面において該面に開いた開口を避けた位置に、肉抜き溝が設けられ、前記肉抜き溝は、溝口側の溝幅が溝底側の溝幅よりも狭く形成されるものであり、前記第2型が、前記肉抜き溝の内面形状に応じた外面形状を有し、前記溝底に対応する側を先端として前記第2面から突出した肉抜き用突起を有するものであって、前記取出し工程が、前記第2型の前記肉抜き用突起で前記弾性シール部材を保持しつつ前記第1型を前記筒型から外す工程と、その後に前記第2型を前記筒型から外す工程と、を有することを特徴とする弾性シール部材製造方法となっている。
【発明の効果】
【0015】
請求項1、請求項
2、及び請求項
3に記載の発明によれば、挿入口側リップ環への端子の進入により挿入口側リップ環がさらに拡径される。そして、この挿入口側リップ環の拡径に引きずられて、中央側リップ環が、端子の先端が当接する前に予め拡径される。これにより、高い防水性を得るために小径に形成された中央側リップ環の内部への端子の進入もスムーズに行うことができる。
また、請求項1、請求項
2、及び請求項
3に記載の発明によれば、挿入口側リップ環について、その内径が中央側リップ環の内径より大きくなるように形成される。これにより、金型を用いてこの弾性シール部材を製造する際に、電線挿通孔の内周形状を形作るための突起(第1突起)の引抜きの初期段階で、その先端を上記の挿入口側リップ環側としたときに、そのリップ環への掛かりが抑えられ、その結果、突起の引抜きにおける初期抵抗が低減される。また、端子付き電線の挿入と引抜きとのうち作業頻度の高い挿入時において、端子付き電線の挿入抵抗を低減することができる。
【0016】
また、請求項
2、及び請求項
3に記載の発明によれば、金型における第1型に設けられる第1突起の先端が、内径が中央側リップ環の内径より大きく形成された挿入口側リップ環の頂部上の所定位置に位置する。これにより、第1突起の先端は、引抜きの初期段階ではそのリップ環の頂部上を滑るのみなので、そのリップ環への掛かり自体が回避され、その結果、第1突起の引抜きにおける初期抵抗が一層低減される。
【0017】
ここで、仮に、請求項
2、及び請求項
3に記載の発明とは異なり、第1突起の先端が、例えば
図11に示されている突起611の先端のように、上記の挿入口側リップ環の頂部を越えて拡径した形状を有していると仮定する。このような場合、
図11に示されているように、その頂部を越えて拡径した先端の外周縁がエッジ状となり、その外周縁のエッジが、第1突起の引抜き時に電線挿通孔の内周面に形成された複数のリップ環を傷付けがちとなる。しかしながら、請求項
2、及び請求項
3に記載の発明によれば、第1突起の先端は、上記の挿入口側リップ環の頂部上の所定位置に位置するので、上記のようなエッジの原因となるような先端の拡径がない。従って、請求項
2、及び請求項
3に記載の発明によれば、第1突起を電線挿通孔から引き抜く際のリップ環の傷付きを回避することも可能となる。
【0018】
また、請求項2に記載の発明によれば、上記の挿入口側リップ環における平坦な頂部形状により、電線挿通孔への端子付き電線の挿入時と、電線挿通孔からの端子付き電線の引抜き時と、のうち作業頻度の高い挿入時に、その初期段階において、電線挿通孔に進入する端子が平坦な頂部に乗り上げ易くなっている。端子は、リップ環を広げつつ電線挿通孔の奥へと進入するが、上記のように進入の初期段階で平坦な頂部に乗り上げ易くなっているので、端子進入時にリップ環が拡径し易くなっている。これにより、端子付き電線の挿入時における端子の初期抵抗も低減されることとなっている。
【0019】
また、請求項
2及び請求項
3に記載の発明によれば、弾性シール部材に、溝口側の溝幅が溝底側の溝幅よりも狭い肉抜き溝が形成され、第2型に、そのような肉抜き溝の内面形状に応じた外面形状を有し、肉抜き溝の溝底に対応する側を先端とした肉抜き用突起が設けられている。これにより、先端側が広がった肉抜き用突起を有する第2型で弾性シール部材を保持して上記の第1突起を電線挿通孔から引き抜いて第1型を取り外すという、作業性の良い取外し作業を行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施形態にかかる弾性シール部材、弾性シール部材製造装置、及び弾性シール部材製造方法を
図1〜
図9を参照して説明する。
【0022】
まず、本発明の一実施形態の弾性シール部材が取り付けられるコネクタの全体構成について説明する。
図1は、本発明の一実施形態の弾性シール部材が取り付けられるコネクタを示す分解斜視図である。
図2は、
図1に示されているコネクタの内部構造を示す断面図である。
【0023】
図1及び
図2に示されているコネクタ1は、後述の嵌合レバー15の回動によって不図示の相手側コネクタとの嵌合を行うレバー嵌合式のコネクタである。このコネクタ1は、コネクタハウジング11と、弾性シール部材12と、リアグリッド13と、端子付き電線14と、嵌合レバー15と、端子位置保証(TPA)部材16と、パッキン17とを備えている。
【0024】
コネクタハウジング11は、筒状に形成され、その一端側に、端子付き電線14の端子141が収容される端子収容室111が複数設けられ、他端側に、弾性シール部材12及びリアグリッド13が収容されるリア側収容室112が設けられている。尚、ここでは、コネクタ1において端子付き電線14の電線部分142が延出する側をリア、その反対側で不図示の相手側コネクタが嵌合する側をフロントと呼ぶ。
【0025】
複数の端子収容室111それぞれには、端子付き電線14の端子141が1つずつ矢印D1方向に挿入されて収容される。そして、各端子収容室111には、端子141の角141aに当接して抜け止めの役割を果たすランス113が設けられている。
【0026】
リア側収容室112には、まず弾性シール部材12が開口112aから矢印D1方向に嵌入され、その弾性シール部材12を端子収容室111側に押し込むように押圧しながらリアグリッド13が開口112aから矢印D1方向に嵌入される。
【0027】
また、コネクタハウジング11の外壁には、嵌合レバー15の回動軸115が突出して設けられている。
【0028】
弾性シール部材12は、例えばシリコーンゴム等の弾性材料で板状に形成されて、上記のようにコネクタハウジング11におけるリア側収容室112の開口112aに嵌入される。そして、端子付き電線14が挿通されて各端子収容室111に連通するシール挿通孔121(電線挿通孔)が複数設けられている。この弾性シール部材12については、後で詳細に説明する。
【0029】
リアグリッド13は、上記のようにコネクタハウジング11におけるリア側収容室112の開口112aに嵌入される。このリアグリッド13の外周面には、
図1に示されているように係止爪131が設けられている。コネクタハウジング11の外壁に設けられた係止孔114にこの係止爪131が係止することで、弾性シール部材12を上記のように押圧した状態でリアグリッド13がコネクタハウジング11に固定される。リアグリッド13には、上記のシール挿通孔121に連通するグリッド挿通孔132が複数設けられている。
【0030】
端子付き電線14は、端子141と電線部分142とで構成される。尚、本実施形態では、コネクタハウジング11には、サイズの異なる2種類の端子付き電線が収容される。2種類の端子付き電線は、そのサイズを除いて互いに同等な構成を有している。そこで、以下では、2種類の端子付き電線について、特に断らない限りは区別せずに単に端子付き電線14と呼んで説明を行う。
図1及び
図2には、端子付き電線14が1本だけ代表的に示されている。端子付き電線14の端子141は、四角筒状のメス端子となっており、相手側コネクタのオス端子と接続される。この端子付き電線14は、グリッド挿通孔132から矢印D1方向に挿入され、このグリッド挿通孔132及びシール挿通孔121に挿通され、端子141が端子収容室111に収容される。そして、上述したように、端子141の角141aがランス113に当接して抜け止めされる。
【0031】
嵌合レバー15は、コネクタハウジング11を
図1中の上下方向に挟むように略C字状に形成された部材である。そして、上下2つの腕部151のそれぞれに、コネクタハウジング11の外壁から突出する回動軸115が嵌め込まれる軸受孔152が設けられている。
図1に矢印D2で示されているように、この軸受孔152に回動軸115が嵌め込まれることで、コネクタハウジング11に嵌合レバー15が回動自在に固定される。また、各腕部151には、相手側コネクタに係止して本実施形態のコネクタ1へと引寄せる方向に案内する案内溝153が設けられている。2つの腕部151を繋ぐ部分が、作業者によって操作される操作部154となっている。案内溝153が相手側コネクタに係止した状態で、作業者が操作部154を操作して嵌合レバー15を回動させることで、相手側コネクタが本実施形態のコネクタ1へと引寄せられて両者が嵌合する。
【0032】
コネクタハウジング11のフロント側には、パッキン17を間に挟んでTPA部材16が矢印D3方向に取り付けられる。
【0033】
TPA部材16は、コネクタハウジング11において複数の端収容室111が設けられたフロント側の部分に被せられるキャップ状の部材であり、各端収容室111内で端子141が動かないように保持する役割を果たす。パッキン17は、TPA部材16とコネクタハウジング11との間隙を塞いで防水の役割を果たす部材である。
【0034】
TPA部材16の外壁には、
図1に示されているように係止孔161が設けられている。コネクタハウジング11の外壁に設けられた係止爪116がこの係止孔161に係止することで、TPA部材16がコネクタハウジング11に固定される。また、TPA部材16には、
図2に示されているように、各端子収容室111に連通し、相手側コネクタの端子が端子収容室111へと進入して端子141に接続するための端子進入孔162が複数設けられている。
【0035】
ここで、本実施形態では、TPA部材16がコネクタハウジング11のフロント側の部分に被せられてはいるが、未だ係止爪116が係止孔161に係止していない仮止め状態において、端子付き電線14の挿入が行われる。そして、挿入後に、TPA部材16が矢印D3方向に押し込まれて係止爪116が係止孔161に係止することで、TPA部材16がコネクタハウジング11に固定される。
【0036】
図3は、
図1及び
図2に示されているTPA部材が、仮止め状態を経てコネクタハウジングに固定される様子を示す図である。
図3(a)にTPA部材の仮止め状態が示され、
図3(b)にTPA部材の固定状態が示されている。
【0037】
コネクタハウジング11に設けられているランス113は可撓性を有しており、端子収容室111に端子161が出入り可能に撓るように構成されている。TPA部材16には、固定状態で、これらのランス113に当接し、各ランス113を各端子収容室111に押し込むランス当接部163が設けられている。
図3(a)に示されている仮止め状態では、ランス当接部163がランス113に当接していない。このため、各ランス113は可撓自在となっており、これにより、端子収容室111への端子141の進入が可能となっている。このため、まず、この仮止め状態において、端子付き電線14の挿入が行われる。
【0038】
この後、TPA部材16が矢印D3方向に押し込まれて固定状態となると、
図3(b)に示されているように、ランス当接部163がランス113に当接して端子収容室111に押し込まれる。これにより、各端子収容室111内の端子141がランス113に押圧されて、各端子収容室111内で端子141が動かないように保持される。この状態において各端子進入孔162が各端子収容室111と連通し、端子付き電線14を複数有するコネクタ1が完成する。
【0039】
次に、本発明の一実施形態である弾性シール部材12について
図4〜
図6を参照して詳細に説明する。
図4は、本発明の一実施形態である弾性シール部材を、
図1に示されているコネクタのリア側から見た斜視図である。また、
図5は、本発明の一実施形態である弾性シール部材のリア側を示す平面図と、図中のA−A断面を示す断面図である。
図5(a)に平面図が示され、
図5(b)に断面図が示されている。そして、
図6は、
図5(a)中の領域Bを拡大して示す拡大図である。
【0040】
弾性シール部材12は、上述したようにシリコーンゴム等の弾性材料で形成された略矩形板状の部材であり、コネクタハウジング11内への水の浸入を防ぐ役割を果たす。この弾性シール部材12は、コネクタハウジング11におけるリア側収容室112の開口112aから嵌入される。また、弾性シール部材12には、端子付き電線14を挿通させるシール挿通孔121が複数設けられている。シール挿通孔121は、小サイズの端子付き電線14を挿通させる小サイズ用シール挿通孔121Sと、大サイズの端子付き電線14を挿通させる大サイズシール側挿通孔121Lとからなる。尚、小サイズ用シール挿通孔121Sと大サイズシール側挿通孔121Lは、そのサイズを除いて互いに同等な構成を有している。そこで、以下では、これら2種類のシール側挿通孔121S,121Lを、特に断らない限りは、単にシール挿通孔121と呼んで説明を行う。
【0041】
図6に示されているように、シール挿通孔121の内周面には、端子付き電線14の電線部分142の外周面に密接するリップ環121aが弾性シール部材12の厚み方向D4に4列に配列されて設けられている。本実施形態では、4列のリップ環121aのうち、端子付き電線14の挿入口121bに最も近い挿入口側リップ環121a−1と、出口121cに最も近い出口側リップ環121a−2とは、その内径E1が、他の2列の中央側リップ環121a−3の内径E2よりも大きく形成されている。そして、挿入口側リップ環121a−1は、その頂部121a−1aが、厚み方向D4に平坦となるように形成されている。また、シール挿通孔121の挿入口121b及び出口121cは、それぞれ漏斗状に拡がった広口に形成されている。本実施形態では、シール挿通孔121における防水は、主に、小径の中央側リップ環121a−3によって担われる。
【0042】
ここで、端子141の太さ寸法は、挿入口側リップ環121a−1の内径E1よりも大きい。このため、端子付き電線14の挿入時には、端子141の先端が、まず漏斗状の挿入口121bの内面に当接する。そして、端子141は、挿入されるにつれて挿入口121bにおける挿入口側リップ環121a−1側の内径を押し広げながら進む。挿入口121bにおけるこのような拡径により、端子141の先端が挿入口側リップ環121a−1に当接する時には、この挿入口側リップ環121a−1の内径E1もある程度拡径されている。さらに、端子141が進むと、挿入口側リップ環121a−1の内部に進入する。
【0043】
このとき、上記のように、挿入口側リップ環121a−1は、中央側リップ環121a−3よりも大きく形成されている。そして、端子141の進入時には、挿入口121bの拡径により挿入口側リップ環121a−1がある程度拡径されている。これらにより、挿入口側リップ環121a−1の内部への端子141の進入がスムーズに行われる。
【0044】
挿入口側リップ環121a−1への端子141の進入により挿入口側リップ環121a−1がさらに拡径される。そして、この挿入口側リップ環121a−1の拡径に引きずられて、2列の中央側リップ環121a−3が、端子141の先端が当接する前に予め拡径される。これにより、高い防水性を得るために小径に形成された中央側リップ環121a−3の内部への端子141の進入もスムーズに行われる。このように、挿入口側リップ環121a−1は、端子141の当接前に中央側リップ環121a−3を予め拡径させる拡径補助の役割を担っている。
【0045】
また、コネクタ1の組立ての際には、頻度は低いが、一旦挿入された端子付き電線14が引き抜かれることがある。挿入口121bと同様に広口に形成された出口121cは、その引抜き時に出口側リップ環121a−2の拡径を補助する役割を担っている。また、その内径E1が、中央側リップ環121a−3の内径E2よりも大きく形成された出口側リップ環121a−2は、端子付き電線14の引抜き時に中央側リップ環121a−3の拡径を補助する役割を担っている。
【0046】
さらに、弾性シール部材12は、挿入口121b側の面において挿入口121bを避けた位置に、肉抜き溝122が設けられている。この肉抜き溝122は、端子付き電線14の挿入時に潰れることで、上述したリップ環121aの拡径を助ける役割を果たす。この肉抜き溝122は、
図6に示されているように、溝口側の溝幅W1が溝底側の溝幅W2よりも狭く形成されている。
【0047】
ここで、本実施形態では、4列のリップ環121aのうち挿入口側リップ環121a−1について、その頂部121a−1aが平坦に形成されている。この頂部形状により、挿入される端子141が、平坦な頂部121a−1aに乗り上げ易く、延いては、挿入口側リップ環121a−1への端子141のスムーズな進入を助けて挿入口側リップ環121a−1が拡径し易くなっている。さらに、この平坦な頂部121a−1aは、以下に説明する弾性シール部材12の製造時に、その製造を助ける役割も果たす。
【0048】
以下、この弾性シール部材12を製造するための弾性シール部材製造装置と、弾性シール部材製造方法について説明する。以下に説明する弾性シール部材製造装置及び弾性シール部材製造方法が、各々、本発明にいう弾性シール部材製造装置及び弾性シール部材製造方法の一実施形態に相当する。
【0049】
図7は、本発明の弾性シール部材製造装置及び弾性シール部材製造方法の一実施形態を示す図である。この
図7に示されている弾性シール部材製造装置2は、金型21と、弾性材料注入部22とを備えている。金型21は、上述した弾性シール部材12の形状に応じた内部空間を構成する部材である。弾性材料注入部22は、この金型21に溶融状態の弾性材料12aを充填するものである。
【0050】
ここで、上記の金型21は、第1型211と、筒型212と、第2型213とを備えている。
【0051】
第1型211は、シール挿通孔121における挿入口121b以外の内周形状を形作るための型であり、第1面211aと、形成するシール挿通孔121と同数の複数の第1突起211bとを有している。第1面211aは、弾性シール部材12の表裏面のうち挿入口121b側とは反対側となる出口121c側の面の形状に応じた形状を有している。複数の第1突起211bそれぞれは、次のような形状を有している。
【0052】
図8は、
図7中の領域Cを拡大して示す拡大図である。この
図8に示されているように、第1突起211bは、シール挿通孔121の内周形状のうち、出口121cから挿入口側リップ環121a−1における頂部121a−1aの挿入口121b側の端縁121a−1b(頂部上の所定位置)までの形状に応じた外周形状を有している。第1型211の第1面211aからは、このような第1突起211bが、この端縁121a−1bに対応する側を先端として、複数のシール挿通孔121に一対一に対応するように複数突出している。
【0053】
筒型212は、
図7に示されているように、弾性シール部材12の外周形状に応じた内周形状を有する筒状の型である。
【0054】
第2型213は、筒型212を間に挟んで第1型211における第1面211aと対面して配置される型であり、第2面213aと、形成するシール挿通孔121と同数の複数の第2突起213bとを有している。第2面213aは、弾性シール部材12の表裏面のうち挿入口121b側の面の形状に応じた形状を有している。複数の第2突起213bそれぞれは、次のような形状を有している。
【0055】
図8に示されているように、第2突起213bは、シール挿通孔121の内周形状のうち、挿入口121bから、挿入口側リップ環121a−1における頂部121a−1aの挿入口121b側の端縁121a−1bまでの形状に応じた外周形状を有している。第2型213の第2面213aからは、このような第2突起213bが、この端縁121a−1bに対応する側を先端として、第1型211における複数の第1突起211bと一対一に対応するように複数突出している。
【0056】
ここで、本実施形態では、第2突起213bは、中空に形成されており、第1型211と筒型212と第2型213とで形成される金型21の内部空間へと溶融状態の弾性材料12aを充填するためのノズルの役割も兼ねている。第2突起213bの内部は、第2型213を貫通して外部へと通じるノズル流路213b−1となっている。そして、弾性材料注入部22は、
図7に示されているように、各第2突起213bにおけるノズル流路213b−1へと溶融状態の弾性材料12aを注入するようになっている。
【0057】
各第2突起213bの先端には、弾性材料12aが流出するノズル口213b−1aが開いている。このとき、
図8に示されているように、ノズル口213b−1aの内径E3が、第1突起211bの先端の外径E4よりも若干大きくなっている。そして、ノズル口213b−1aと第1突起211bの先端との間に空いた間隙から、矢印R1で示されているように弾性材料12aが金型21の内部空間へと流入し、これにより、金型21の内部空間に弾性材料12aが充填されるようになっている。
【0058】
また、第2型213には、弾性シール部材12における上記の肉抜き溝122を形作るための肉抜き用突起213cが設けられている。この肉抜き用突起213cは、肉抜き溝122の内面形状に応じた外面形状を有し、肉抜き溝122の溝底に対応する側を先端として第2面213aから突出したものである。
【0059】
以上に説明した金型21を備える弾性シール部材製造装置2を用いて行われる弾性シール部材製造方法は、
図7に示されているように、充填固化工程(S1)と、取出し工程(S2)と、を有する。充填固化工程(S1)は、金型21に、弾性材料12aを溶融状態で充填して固化する工程である。また、取出し工程(S2)は、充填固化工程(S1)の後に、第1型211及び第2型213を筒型212から外し、その筒型212から弾性シール部材12を取り出す工程である。
【0060】
そして、本実施形態では、取出し工程(S2)は、まず第1型211を筒型212から外す工程(S21)と、その後に第2型213を筒型212から外す工程(S22)とを有している。
【0061】
本実施形態によれば、弾性シール部材12におけるシール挿通孔121の内周面に設けられる複数のリップ環121aのうち、挿入口121bに最も近い挿入口側リップ環121a−1が次のように形成される。即ち、
図6を参照して説明したように、その挿入口側リップ環121a−1について、その内径E1が、中央側リップ環121a−3の内径E2の内径E1より大きく、かつ、その頂部121a−1aが厚み方向D4に平坦となるように形成される。そして、金型21における第1型211に設けられる第1突起211bの先端が、挿入口側リップ環121a−1の頂部121a−1aにおける挿入口121b側の端縁121a−1bに位置する。これにより、上記の金型21を用いた弾性シール部材12の製造時に第1型211を外す際(
図7のS21)、第1突起211bが次のように引き抜かれる。
【0062】
図9は、第1型を外す際に第1突起がシール挿通孔から引き抜かれる様子を、
図8と同等な拡大断面図で示す図である。この
図9に示されているように第1突起211bは、シール挿通孔121から矢印D5方向に引き抜かれる。このとき、第1突起211bの先端近傍が接する挿入口側リップ環121a−1の頂部121a−1aが平坦に形成されているため、第1突起211bの引抜きの初期段階で、その先端の、挿入口側リップ環121a−1への掛かりが抑えられる。
【0063】
また、本実施形態では、第1突起211bの先端が、挿入口側リップ環121a−1の頂部121a−1aにおける上記の端縁121a−1bに位置する。これにより、第1突起211bの先端は、引抜きの初期段階では挿入口側リップ環121a−1の頂部121a−1a上を滑るのみとなる。このため、その挿入口側リップ環121a−1への第1突起211bの先端の掛かり自体が回避され、その結果、第1突起211bの引抜きにおける初期抵抗が一層低減される。
【0064】
ここで、仮に、本実施形態とは異なり、第1突起211bの先端が、例えば
図11に示されている突起611の先端のように、挿入口側リップ環121a−1の頂部121a−1aを越えて拡径した形状を有していると仮定する。このような場合、
図11に示されているように、その頂部121a−1aを越えて拡径した先端の外周縁がエッジ状となり、その外周縁のエッジが、第1突起211bの引抜き時にシール挿通孔121の内周面に形成された複数のリップ環121aを傷付けがちとなる。しかしながら、本実施形態によれば、第1突起211bの先端は、上記のように平坦に形成された頂部121a−1aの端縁121−1aの位置にあるので、上記のようなエッジの原因となるような先端の拡径がない。従って、本実施形態によれば、第1突起211bをシール挿通孔121から引き抜く際のリップ環121aの傷付きを回避することも可能となっている。
【0065】
また、本実施形態によれば、挿入口側リップ環121a−1における平坦な頂部形状により、シール挿通孔121への端子付き電線14の挿入時、その初期段階において、シール挿通孔121に進入する端子141が平坦な頂部121a−1aに乗り上げ易くなっている。端子141は、挿入口側リップ環121a−1を広げつつシール挿通孔121の奥へと進入するが、上記のように進入の初期段階で平坦な頂部121a−1aに乗り上げ易くなっているので、端子141の進入時に挿入口側リップ環121a−1が拡径し易くなっている。これにより、端子付き電線14の挿入時における端子141の初期抵抗も低減されることとなっている。
【0066】
また、本実施形態によれば、挿入口側リップ環121a−1と出口側リップ環121a−2とのうち、特に挿入口側リップ環121a−1について、その内径E1が中央側リップ環121a−3の内径E2より大きく、かつ、その頂部121a−1aが厚み方向D4に平坦となるように形成される。これにより、端子付き電線14の挿入と引抜きとのうち作業頻度の高い挿入時において、上述したように端子付き電線14の挿入抵抗を低減することができる。
【0067】
また、本実施形態によれば、弾性シール部材12に、
図7に示されているように、溝口側の溝幅W1が溝底側の溝幅W2よりも狭い肉抜き溝122が形成され、第2型213に、そのような肉抜き溝122の内面形状に応じた外面形状を有し、肉抜き溝122の溝底に対応する側を先端とした肉抜き用突起213cが設けられている。これにより、先端側が広がった肉抜き用突起213cを有する第2型213で弾性シール部材12を保持しつつ上記の第1突起211bをシール挿通孔121から引き抜いて第1型211を取り外すという、作業性の良い取外し作業(S21)を行うことができる。
【0068】
尚、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、この実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。かかる変形によってもなお本発明の弾性シール部材、弾性シール部材製造装置、及び弾性シール部材製造方法の構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。
【0069】
例えば、前述した実施形態では、本発明にいう弾性シール部材の一例として、大小2種類の端子付き電線14を用いるべく、シール挿通孔121(電線挿通孔)を、それぞれ大小2サイズ設ける形態の弾性シール部材12が例示されている。しかしながら、本発明にいう弾性シール部材はこれに限るものではない。本発明にいう弾性シール部材は、例えば、1種類の端子付き電線を用い、電線挿通孔を1サイズに対応したもののみ設ける形態であってもよく、あるいは、3種類以上の端子付き電線を用い、電線挿通孔を、各サイズに対応して3種類以上設ける形態であってもよい。
【0070】
また、前述した実施形態では、本発明にいう「頂部上の所定位置」の一例として、頂部121a−1aにおける挿入口121b側の端縁121a−1bが例示されている。しかしながら、本発明にいう「頂部上の所定位置」はこれに限るものではない。本発明にいう「頂部上の所定位置」は、例えば平坦な頂部上の中央等であってもよく、頂部上の具体的な位置を問うものではない。
【0071】
また、前述した実施形態では、本発明にいう第2突起の一例として、金型21の内部空間に溶融状態の弾性材料12aを注入するためのノズルの役割を兼ね、その先端にノズル口213b−1aが開いた第2突起213bが例示されている。しかしながら、本発明にいう第2突起はこれに限るものではなく、例えば中実に形成された単なる突起であってもよい。この場合、第2突起以外の箇所に金型の内部空間へと通じる弾性材料の流路が形成されることとなる。この場合の流路は、例えば第2突起以外の箇所で第2型を貫通するように形成された流路であってもよく、また、筒型の側壁を貫通するように形成された流路であってもよく、あるいは、第1型を貫通するように形成された流路であってもよい。