特許第6363810号(P6363810)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6363810-バイオマス炭化物製造システム 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6363810
(24)【登録日】2018年7月6日
(45)【発行日】2018年7月25日
(54)【発明の名称】バイオマス炭化物製造システム
(51)【国際特許分類】
   C10B 53/00 20060101AFI20180712BHJP
   C10L 5/46 20060101ALI20180712BHJP
   C02F 11/12 20060101ALI20180712BHJP
   C02F 11/10 20060101ALI20180712BHJP
   F23G 5/04 20060101ALI20180712BHJP
【FI】
   C10B53/00ZAB
   C10L5/46
   C02F11/12 B
   C02F11/10 Z
   F23G5/04 E
   F23G5/04 J
【請求項の数】4
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2018-20203(P2018-20203)
(22)【出願日】2018年2月7日
【審査請求日】2018年2月21日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000192590
【氏名又は名称】株式会社神鋼環境ソリューション
(74)【代理人】
【識別番号】100154726
【弁理士】
【氏名又は名称】宮地 正浩
(72)【発明者】
【氏名】竹田 尚弘
(72)【発明者】
【氏名】迫田 健吾
(72)【発明者】
【氏名】尾家 俊康
(72)【発明者】
【氏名】松井 朗
【審査官】 森 健一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−319374(JP,A)
【文献】 特開2006−088020(JP,A)
【文献】 特開2012−052060(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10B 53/00
C02F 11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
含水バイオマスを乾燥させて乾燥バイオマスを生成する乾燥処理部と、
前記乾燥バイオマスを炭化させてバイオマス炭化物を生成する炭化処理部と、
前記炭化処理部で発生した熱分解ガスを燃焼させて焼却する熱分解ガス焼却部と、を備えたバイオマス炭化物製造システムであって、
固形バイオマス燃料を燃焼させて燃焼ガスを生成し、当該燃焼ガスを熱源として供給するバイオマス燃焼部を備えると共に、前記乾燥処理部で生成された乾燥バイオマスの一部を取り出して前記固形バイオマス燃料として前記バイオマス燃焼部に供給する乾燥バイオマス分配部を備え、
前記乾燥処理部で生成された乾燥バイオマスを一時的に貯留して、前記バイオマス燃焼部への乾燥バイオマスの供給量が変動した場合に前記炭化処理部への乾燥バイオマスの供給量を設定供給量に維持する乾燥バイオマス貯留手段を備え
前記バイオマス燃焼部が、前記熱分解ガス焼却部へ燃焼ガスを熱源として供給し、
前記熱分解ガス焼却部での炉内温度が所定の設定炉内温度に維持されるように前記バイオマス燃焼部への乾燥バイオマスの供給量を制御するバイオマス燃焼制御手段を備えたバイオマス炭化物製造システム。
【請求項2】
前記乾燥バイオマス分配部において乾燥バイオマスを一時的に貯留する分配部バッファタンクを、前記乾燥バイオマス貯留手段として備えた請求項に記載のバイオマス炭化物製造システム。
【請求項3】
含水バイオマスを乾燥させて乾燥バイオマスを生成する乾燥処理部と、
前記乾燥バイオマスを炭化させてバイオマス炭化物を生成する炭化処理部と、
前記炭化処理部で発生した熱分解ガスを燃焼させて焼却する熱分解ガス焼却部と、を備えたバイオマス炭化物製造システムであって、
固形バイオマス燃料を燃焼させて燃焼ガスを生成し、当該燃焼ガスを熱源として供給するバイオマス燃焼部を備えると共に、前記乾燥処理部で生成された乾燥バイオマスの一部を取り出して前記固形バイオマス燃料として前記バイオマス燃焼部に供給する乾燥バイオマス分配部を備え、
前記乾燥処理部で生成された乾燥バイオマスを一時的に貯留して、前記バイオマス燃焼部への乾燥バイオマスの供給量が変動した場合に前記炭化処理部への乾燥バイオマスの供給量を設定供給量に維持する乾燥バイオマス貯留手段を備え、
前記乾燥バイオマス分配部において乾燥バイオマスを一時的に貯留する分配部バッファタンクを、前記乾燥バイオマス貯留手段として備え、
前記乾燥バイオマス分配部から前記バイオマス燃焼部に通じる経路において乾燥バイオマスを一時的に貯留する燃焼部用バッファタンク、及び、当該乾燥バイオマス分配部から前記炭化処理部に通じる経路において乾燥バイオマスを一時的に貯留する炭化処理部用バッファタンクの少なくとも一方を、分配後バッファタンク及び前記乾燥バイオマス貯留手段として備え、
前記分配後バッファタンクの貯留量が所定の設定貯留量に維持されるように、当該分配部バッファタンクから前記燃焼部用バッファタンク又は前記炭化処理部用バッファタンクへの乾燥バイオマスの払い出し量を制御する払い出し制御手段を備えたバイオマス炭化物製造システム。
【請求項4】
前記熱分解ガス焼却部から排出された排ガスを前記乾燥処理部へ熱源として供給する請求項1〜3の何れか1項に記載のバイオマス炭化物製造システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、含水バイオマスを乾燥させて乾燥バイオマスを生成する乾燥処理部と、前記乾燥バイオマスを炭化させてバイオマス炭化物を生成する炭化処理部と、前記炭化処理部で発生した熱分解ガスを燃焼させて焼却する熱分解ガス焼却部と、を備えたバイオマス炭化物製造システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、脱水汚泥等の含水バイオマスを乾燥させた後に炭化させてバイオマス炭化物を製造するバイオマス炭化物製造システムが知られている(例えば特許文献1を参照。)。このようなバイオマス炭化物製造システムは、バイオマス廃棄物の焼却処理を省略できる上に、製造したバイオマス炭化物を火力発電所の代替燃料等として利用できることから、温室効果ガスの排出を削減することができるシステムとして注目されている。
【0003】
このようなバイオマス炭化物製造システムでは、温室効果ガスの排出の要因となる化石燃料の消費量を削減する目的で、システム内で発生した熱を有効に回収する構成が採用されている。
具体的には、炭化処理部で発生した熱分解ガスを熱分解ガス焼却部で焼却すると共に、その際に発生する排ガスを乾燥処理部へ熱源として供給している。
更に、上記特許文献1に記載のバイオマス炭化物製造システムでは、乾燥処理部(乾燥炉20)に供給される前の含水バイオマス(脱水後の下水汚泥)の一部を取り出し、その取り出した含水バイオマスに適宜乾燥バイオマスを加えて燃焼させるバイオマス燃焼部(汚泥焼却炉70)が設けられている。そして、バイオマス燃焼部で生成された排ガスは、熱分解ガス焼却部で生成された排ガスと混合された後に、炭化処理部及び乾燥処理部に熱源として供給されて、熱回収が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−319374号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
バイオマス炭化物製造システムでは、温室効果ガスの削減効果を損なうことなく効率良く熱源を確保することが望まれる。例えば、熱分解ガス焼却部では、熱分解ガスを十分に昇温させて当該熱分解ガス中のダイオキシン類などを分解処理するために高温の熱源が必要となる。そのため、上述した従来のシステムは、化石燃料(助燃料)を燃料とする化石燃料バーナが熱分解ガス焼却部に設けられている。そして、このように化石燃料バーナによる化石燃料の燃焼により熱分解ガス焼却部に必要な熱量を賄う場合には、温室効果ガスの削減効果が損なわれて、省エネルギ性が悪化するという問題があった。
【0006】
また、上述した従来のバイオマス炭化物製造システムでは、乾燥処理部で生成された乾燥バイオマスの一部を取り出してバイオマス燃焼部に固形バイオマス燃料として供給して燃焼させている。このように、乾燥処理部から払い出された乾燥バイオマスをバイオマス燃焼部と炭化処理部とへ分配するように構成する場合には、バイオマス燃焼部において必要な熱量を確保するべく乾燥バイオマスの供給量を調整すると、それに影響を受けて炭化処理部への乾燥バイオマスの供給量も変動する場合がある。そして、炭化処理部への乾燥バイオマスの供給量が変動すると、炭化処理部での処理条件が不安定となって、生成されるバイオマス炭化物の品質が悪化するという問題があった。
【0007】
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、含水バイオマスからバイオマス炭化物を製造するにあたり、温室効果ガスの削減効果を損なうことなく省エネルギ性を向上しながら、高品質のバイオマス炭化物を製造可能なバイオマス炭化物製造システムを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1特徴構成は、含水バイオマスを乾燥させて乾燥バイオマスを生成する乾燥処理部と、
前記乾燥バイオマスを炭化させてバイオマス炭化物を生成する炭化処理部と、
前記炭化処理部で発生した熱分解ガスを燃焼させて焼却する熱分解ガス焼却部と、を備えたバイオマス炭化物製造システムであって、
固形バイオマス燃料を燃焼させて燃焼ガスを生成し、当該燃焼ガスを熱源として供給するバイオマス燃焼部を備えると共に、前記乾燥処理部で生成された乾燥バイオマスの一部を取り出して前記固形バイオマス燃料として前記バイオマス燃焼部に供給する乾燥バイオマス分配部を備え、
前記乾燥処理部で生成された乾燥バイオマスを一時的に貯留して、前記バイオマス燃焼部への乾燥バイオマスの供給量が変動した場合に前記炭化処理部への乾燥バイオマスの供給量を設定供給量に維持する乾燥バイオマス貯留手段を備え
前記バイオマス燃焼部が、前記熱分解ガス焼却部へ燃焼ガスを熱源として供給し、
前記熱分解ガス焼却部での炉内温度が所定の設定炉内温度に維持されるように前記バイオマス燃焼部への乾燥バイオマスの供給量を制御するバイオマス燃焼制御手段を備えた点にある。
【0009】
本構成によれば、乾燥処理部において生成された乾燥バイオマスの一部を、固形バイオマス燃料としてバイオマス燃焼部で燃焼させるので、十分な熱量の燃焼ガスを効率良く生成し、その燃焼ガスを例えば熱分解ガス焼却部等に熱源として供給することができる。
更に、このような構成において、バイオマス燃焼部への乾燥バイオマスの供給量が変動した場合であっても、乾燥バイオマス貯留手段により、乾燥処理部で生成された乾燥バイオマスを一時的に貯留する形態で、炭化処理部への乾燥バイオマスの供給量を設定供給量に維持することができる。このことにより、炭化処理部において安定した処理条件下において高品質のバイオマス炭化物を生成することができる。
従って、本発明により、含水バイオマスからバイオマス炭化物を製造するにあたり、温室効果ガスの削減効果を損なうことなく省エネルギ性を向上しながら、高品質のバイオマス炭化物を製造可能なバイオマス炭化物製造システムを実現できる。
更に、本構成によれば、バイオマス燃焼制御手段を備えることで、バイオマス燃焼部への乾燥バイオマスの供給量を制御する形態で、熱分解ガス焼却部での炉内温度を所定の設定炉内温度に維持することができる。これにより、熱分解ガス焼却部において安定して熱分解ガスを燃焼させることができる。
そして、バイオマス燃焼制御手段によりバイオマス燃焼部への乾燥バイオマスの供給量制御を行う場合であっても、上述のように炭化処理部への乾燥バイオマスの供給量を設定供給量に維持することができるので、炭化処理部において安定した処理条件下において高品質のバイオマス炭化物を生成することができる。
【0010】
本発明の第2特徴構成は、前記乾燥バイオマス分配部において乾燥バイオマスを一時的に貯留する分配部バッファタンクを、前記乾燥バイオマス貯留手段として備えた点にある。
【0011】
本構成によれば、乾燥バイオマスが通流する経路の乾燥バイオマス分配部において、バイオマス燃焼部と炭化処理部との両方に接続される分配部バッファタンクが設けられることになる。よって、バイオマス燃焼部への乾燥バイオマスの供給量が変動した場合であっても、その変動をバイオマス燃焼部に接続される分配部バッファタンクで吸収して、炭化処理部に対して安定した供給量の乾燥バイオマスを供給することができる。
【0012】
本発明の第3特徴構成は、含水バイオマスを乾燥させて乾燥バイオマスを生成する乾燥処理部と、
前記乾燥バイオマスを炭化させてバイオマス炭化物を生成する炭化処理部と、
前記炭化処理部で発生した熱分解ガスを燃焼させて焼却する熱分解ガス焼却部と、を備えたバイオマス炭化物製造システムであって、
固形バイオマス燃料を燃焼させて燃焼ガスを生成し、当該燃焼ガスを熱源として供給するバイオマス燃焼部を備えると共に、前記乾燥処理部で生成された乾燥バイオマスの一部を取り出して前記固形バイオマス燃料として前記バイオマス燃焼部に供給する乾燥バイオマス分配部を備え、
前記乾燥処理部で生成された乾燥バイオマスを一時的に貯留して、前記バイオマス燃焼部への乾燥バイオマスの供給量が変動した場合に前記炭化処理部への乾燥バイオマスの供給量を設定供給量に維持する乾燥バイオマス貯留手段を備え、
前記乾燥バイオマス分配部において乾燥バイオマスを一時的に貯留する分配部バッファタンクを、前記乾燥バイオマス貯留手段として備え、
前記乾燥バイオマス分配部から前記バイオマス燃焼部に通じる経路において乾燥バイオマスを一時的に貯留する燃焼部用バッファタンク、及び、当該乾燥バイオマス分配部から前記炭化処理部に通じる経路において乾燥バイオマスを一時的に貯留する炭化処理部用バッファタンクの少なくとも一方を、分配後バッファタンク及び前記乾燥バイオマス貯留手段として備え、
前記分配後バッファタンクの貯留量が所定の設定貯留量に維持されるように、当該分配部バッファタンクから前記燃焼部用バッファタンク又は前記炭化処理部用バッファタンクへの乾燥バイオマスの払い出し量を制御する払い出し制御手段を備えた点にある。
【0013】
本構成によれば、分配部バッファタンク、燃焼部用バッファタンク、炭化処理部用バッファタンクから選択される少なくとも2種のバッファタンクが設けられているので、乾燥バイオマスが通流する経路において、バイオマス燃焼部に直接接続されるバッファタンクと炭化処理部に直接接続されるバッファタンクとが、夫々別体で設けられることになる。
よって、バイオマス燃焼部への乾燥バイオマスの供給量が変動した場合であっても、その変動を少なくともバイオマス燃焼部に直接接続されるバッファタンクで吸収しながら、
炭化処理部に対して当該炭化処理部に直接接続されるバッファタンクを通じて安定した供給量の乾燥バイオマスを供給することができる。
更に、本構成によれば、分配後バッファタンクとして燃焼部用バッファタンクを備える場合には、バイオマス燃焼部に対して、分配部バッファタンクから燃焼部用バッファタンクを介して乾燥用バイオマスを供給することになる。また、分配後バッファタンクとして炭化処理部用バッファタンクを備える場合には、炭化処理部に対して、分配部バッファタンクから炭化処理部用バッファタンクを介して乾燥用バイオマスを供給することになる。そして、払い出し制御手段を備えることで、分配部バッファタンクから燃焼部用バッファタンク及び炭化処理用バッファタンクの少なくとも一方である分配後バッファタンクへの乾燥バイオマスの払い出し量を制御する形態で、分配後バッファタンクの貯留量を所定の設定貯留量に維持することができる。これにより、燃焼部用バッファタンクや炭化処理用バッファタンクの払い出し量をその下流側のバイオマス燃焼部や炭化処理部に適したものに維持しながら、燃焼部用バッファタンクや炭化処理用バッファタンクに常に適量の乾燥バイオマスを貯留して、バイオマス燃焼部及び炭化処理部への乾燥バイオマスの供給を安定したものに維持することができる。
【0014】
本発明の第4特徴構成は、前記熱分解ガス焼却部から排出された排ガスを前記乾燥処理部へ熱源として供給する点にある。
【0015】
本構成によれば、乾燥処理部において、熱分解ガス焼却部から排出された排ガスを熱源として効率よく乾燥バイオマスを生成することができる。そして、その乾燥バイオマスの一部を固形バイオマス燃料としてバイオマス燃焼部で燃焼させるので、省エネルギ性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】バイオマス炭化物製造システムの概略構成図
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
図1に示すバイオマス炭化物製造システム(以下、「本システム」と呼ぶ場合がある。)は、下水汚泥等の含水バイオマスX1を脱水、乾燥、炭化させて、代替燃料等として利用されるバイオマス炭化物X3を製造するシステムとして構成されている。
【0022】
具体的に、本システムには、下水汚泥等の含水バイオマスX1を脱水する脱水装置1と、当該脱水装置1で脱水後の含水バイオマスX1を乾燥させて乾燥バイオマスX2を生成する乾燥処理部2と、当該乾燥処理部2から供給された乾燥バイオマスX2を炭化させてバイオマス炭化物X3を生成する炭化処理部3とが、バイオマスX1,X2,X3が通流する経路に沿って配置されている。更に、本システムには、炭化処理部3で発生した熱分解ガスG2を燃焼させて焼却する熱分解ガス焼却部4が設けられている。また、本システムには、運転を制御するための制御装置60が設けられている。尚、供給される含水バイオマスX1の状態や乾燥処理部2の処理能力等によっては、脱水装置1は省略又は簡素化しても構わない。
【0023】
脱水装置1は、例えば公知の加圧脱水機や遠心脱水機等で構成されており、含水量が多い含水バイオマスX1が投入され、当該投入された含水バイオマスX1から水分を分離するように構成されている。よって、この脱水装置1からは、含水量を低下された脱水後の含水バイオマスX1が払い出されることになる。
【0024】
乾燥処理部2は、例えば公知の熱風乾燥機等で構成されており、脱水装置1から供給された脱水後の含水バイオマスX1が投入され、当該投入された含水バイオマスX1を撹拌しながら直接熱風に接触させて乾燥させるように構成されている。よって、この乾燥処理部2からは、乾燥後の乾燥バイオマスX2が払い出されると共に、含水バイオマスX1から放出された水分を含む約150℃〜250℃の排ガスG1が排出されることになる。そして、乾燥処理部2から払い出された乾燥バイオマスX2は、造粒装置6により造粒された後に、炭化処理部3に供給される。一方、乾燥処理部2から排出された排ガスG1は、適宜サイクロン集塵機7で固形分が除去された後に、ブロア11を通じて熱分解ガス焼却部4に供給される。
尚、サイクロン集塵機7で除去された固形分は乾燥処理部2から払い出された乾燥バイオマスX2に混合される。
また、本実施形態では、乾燥バイオマスX2を造粒する造粒装置6を後述する分配部バッファタンク21の上流側に設置しているが、この造粒装置6の設置箇所については、乾燥処理部2から炭化処理部3に至る乾燥バイオマスX2の搬送経路上であればよく、例えば分配部バッファタンク21の下流側において後述する炭化処理部用バッファタンク23の上流側又は下流側に設置しても構わない。また、この造粒装置6は適宜省略しても構わない。
【0025】
炭化処理部3は、例えば公知の間接加熱式ロータリーキルン等で構成されており、乾燥処理部2から供給された乾燥後の乾燥バイオマスX2が投入され、当該投入された乾燥バイオマスX2を撹拌しながら低酸素雰囲気で間接的に加熱して炭化させるように構成されている。よって、この炭化処理部3からは、炭化後のバイオマス炭化物X3が払い出されると共に、乾燥バイオマスX2の熱分解時に生成される可燃性ガスを含む熱分解ガスG2が排出されることになる。そして、炭化処理部3から払い出されたバイオマス炭化物X3は、例えば冷却用コンベア5により冷却された上で、製品として払い出される。一方、炭化処理部3から排出された熱分解ガスG2は、熱分解ガス焼却部4に供給される。
【0026】
熱分解ガス焼却部4は、例えば公知のガス燃焼炉等で構成されており、炭化処理部3から供給された熱分解ガスG2を、乾燥処理部2から供給された排ガスG1に含まれる固形分と共に、高温環境下で燃焼用空気Aと混合撹拌しながら完全燃焼させて焼却するように構成されている。よって、この熱分解ガス焼却部4からは、熱分解ガスG2の排ガスを含む約800℃〜900℃の排ガスG3が排出される。
【0027】
熱分解ガス焼却部4から排出された高温の排ガスG3は、乾燥処理部2から排出された排ガスG1が適宜混合されて排ガスG4となって乾燥処理部2に供給される。即ち、乾燥処理部2では、熱分解ガス焼却部4から排出された排ガスG4が熱源として供給されており、その排ガスG4を熱風として含水バイオマスX1に接触させる形態で当該含水バイオマスX1が乾燥される。
尚、本実施形態では、熱分解ガス焼却部4から排出された排ガスG4を乾燥処理部2の熱源として利用する形態として、含水バイオマスX1に対して排ガスG4を温風として直接的に接触させるように構成しているが、当然、含水バイオマスX1に対して排ガスG4の熱を間接的に与えるように構成しても構わない。また、熱分解ガス焼却部4から排出された排ガスG4を乾燥処理部2に供給して熱源として利用する構成については、適宜省略又は改変しても構わない。
【0028】
また、熱分解ガス焼却部4から排出されて乾燥処理部2への供給分が取り出された後の残りの排ガスG3は、例えば、空気予熱器8を通過した後に、排ガス処理部9により飛灰の除去処理や無害化処理等が施された後に大気に放出される。
空気予熱器8では、ブロア13を通じて供給された燃焼用空気Aが、約800℃〜900℃の排ガスG3との熱交換により予熱される。そして、空気予熱器8で予熱された燃焼用空気HAは、後述する化石燃料バーナ51に化石燃料Fの一次燃焼用空気として供給されるが、その一部を取り出して燃焼用空気調整弁53を通じて熱分解ガス焼却部4に供給可能とされている。そして、本システムの制御装置60は、熱分解ガス焼却部4における熱分解ガスG2を含む可燃物に対する空気比が理論空気比よりも少し高めの例えば1.3程度に維持するために、熱分解ガス焼却部4から排出された排ガスG3の酸素濃度を検出する酸素濃度センサ16の検出結果に基づいて燃焼用空気調整弁53の開度を制御する。
【0029】
熱分解ガス焼却部4には、熱分解ガスG2の燃焼に必要な高温状態に維持するための化石燃料バーナ51が設けられている。即ち、この化石燃料バーナ51は、燃料調整弁52を通じて供給された化石燃料Fをノズル51aから熱分解ガス焼却部4に噴出させて、空気予熱器8から供給された燃焼用空気HAにより燃焼させる。そして、本システムの制御装置60は、熱分解ガス焼却部4の炉頂温度(炉内温度の一例)を約800℃〜900℃に維持するために、熱分解ガス焼却部4の炉頂温度を検出する温度センサ15の検出結果に基づいて燃料調整弁52の開度を制御する。
また、制御装置60は、化石燃料バーナ51における化石燃料Fに対する空気比が理論空気比よりも少し高めの例えば1.3程度に維持するために、化石燃料バーナ51への化石燃料Fの供給量に相当する燃料調整弁52の開度に基づいてブロア13による燃焼用空気Aの送風量を制御する。
【0030】
以上が本システムの基本構成であるが、本システムは、独特で合理的な特徴構成を採用して含水バイオマスX1からバイオマス炭化物X3を製造するものとして構成されている。以下、本システムの特徴構成について、順に説明を加える。
【0031】
〔バイオマスバーナ〕
本システムには、固形バイオマス燃料を燃焼させて火炎や燃焼排ガスを含む燃焼ガスを生成し、当該燃焼ガスを熱源として供給するバイオマス燃焼部としてのバイオマスバーナ50が設けられており、乾燥処理部2で生成された乾燥バイオマスX2の一部を取り出して固形バイオマス燃料としてバイオマスバーナ50に供給する乾燥バイオマス分配部20が設けられている。
更に、バイオマスバーナ50は、乾燥バイオマスX2を燃焼させて生成した燃焼ガスを熱源として供給するにあたり、当該生成した燃焼ガスを熱分解ガス焼却部4に供給することで、当該熱分解ガス焼却部4において熱分解ガスG2を昇温させるように構成されている。
【0032】
即ち、バイオマスバーナ50では、乾燥処理部2において排ガスG4を熱源として効率良く生成された乾燥バイオマスX2の一部が固形バイオマス燃料として供給される。そして、その乾燥バイオマスX2が燃焼することで、十分な熱量の火炎や燃焼排ガスを含む燃焼ガスが生成され、その燃焼ガスが、熱分解ガス焼却部4に熱源として供給される。すると、熱分解ガス焼却部4では、バイオマスバーナ50から供給された燃焼ガスにより、当該熱分解ガスG2を十分に昇温させて効率良く燃焼させることができる。
【0033】
バイオマスバーナ50を設けることにより、当該バイオマスバーナ50と同様に熱分解ガス焼却部4へ燃焼ガスを供給する化石燃料バーナ51では、不足した熱量を補うのに必要な量の化石燃料Fの助燃が行われることになる。よって、上記バイオマスバーナ50が設けられていない場合と比較して、化石燃料バーナ51における化石燃料Fの燃焼量を低く抑えることができる。このことで、温室効果ガスの発生量を削減することができる。
【0034】
バイオマスバーナ50の燃焼量が熱分解ガス焼却部4での必要熱量に相当するものとすれば、バイオマスバーナ50のみで、熱分解ガス焼却部4を十分に昇温させることができる。このことで、熱分解ガス焼却部4において不足した熱量を補うための化石燃料バーナ51による助燃を省略することができる。
【0035】
バイオマスバーナ50は、熱分解ガス焼却部4に設けられており、生成した火炎を含む燃焼ガスをノズル50aを通じて直接的に熱分解ガス焼却部4に供給するように構成されている。即ち、バイオマスバーナ50で生成された燃焼ガスは、放熱が抑制された高温状態のまま熱分解ガス焼却部4に供給される。よって、バイオマスバーナ50で生成された燃焼ガスから熱分解ガスG2に対して多くの熱量を与えることができる。
【0036】
更に、乾燥処理部2から払い出されてバイオマスバーナ50に供給される乾燥バイオマスX2の含水率が5%以上且つ30%以下の範囲内、より好ましくは10%以上且つ25%以下の範囲内となるように、例えば乾燥処理部2での処理条件が設定されている。即ち、バイオマスバーナ50に供給される乾燥バイオマスX2の含水率を5%以上、より好ましくは10%以上とすることで、乾燥処理部2において含水バイオマスX1を乾燥させるために必要な熱量を制限して、当該過剰な乾燥に伴う効率低下を抑制することができている。また、乾燥処理部2から払い出される乾燥バイオマスX2の含水率を10%以上とすれば、乾燥処理部2での乾燥バイオマスX2の発火を略確実に防止することができる。一方、バイオマスバーナ50に供給される乾燥バイオマスX2の含水率を30%以下、より好ましくは25%以下とすることで、バイオマスバーナ50において乾燥バイオマスX2に含まれる水分の潜熱を制限して、十分な熱量を有する燃焼ガスを生成することができている。
【0037】
尚、乾燥バイオマスX2の含水率を所望の設定範囲内に維持するための乾燥処理部2の処理条件は、例えば実験結果や経験則等に基づいて予め設定しておくことができる。また、乾燥処理部2から払い出された乾燥バイオマスX2の含水率は、直接計測して取得することもできるが、例えば乾燥処理部2から排出された排ガスG1の温度に基づいて間接的に推定して取得することができる。そして、このように取得された乾燥バイオマスX2の含水率を常時監視し、当該含水率が所望の設定範囲内に維持されるように、制御装置60により乾燥処理部2での処理条件を制御するように構成することもできる。
【0038】
バイオマスバーナ50には、ブロア12から燃焼用空気Aが供給される。この燃焼用空気Aは分配されて、その一部が乾燥バイオマスX2の一次燃焼用空気として供給され、その他部が燃焼用空気調整弁54を通じてノズル50aに供給される。
【0039】
本システムの制御装置60は、バイオマスバーナ50における燃料となる乾燥バイオマスX2に対する空気比が理論空気比よりも高めの例えば2.0程度の空気過剰状態に維持するために、バイオマスバーナ50への乾燥バイオマスX2の供給量に基づいてブロア12による燃焼用空気Aの送風量を制御する。更に、本システムの制御装置60は、バイオマスバーナ50への燃焼用空気Aの供給量とノズル50aへの燃焼用空気Aの供給量との比率が、例えば前者の供給量よりも後者の供給量が若干多めとなる所定の設定比率に維持されるように、燃焼用空気調整弁54の開度を制御する。
【0040】
即ち、バイオマスバーナ50では空気過剰状態とされているので、熱分解ガス焼却部4において熱分解ガスG2の燃焼に使用される燃焼用空気Aの少なくとも一部がバイオマスバーナ50のノズル50aに供給されていることになる。よって、ノズル50aに供給される燃焼用空気Aの一部は、乾燥バイオマスX2の燃焼に消費されることなく、ノズル50aから噴出される火炎を含む燃焼ガスと共に勢い良く熱分解ガス焼却部4に吹き込まれることになる。すると、熱分解ガス焼却部4では、バイオマスバーナ50のノズル50aから勢い良く吹き込まれた燃焼用空気Aが、熱分解ガスG2に対して良好に混合されることになり、結果、熱分解ガスG2の燃焼効率が向上することになる。
【0041】
ブロア12から供給される低温の燃焼用空気Aに対して、空気予熱器8で予熱された高温の燃焼用空気HAが調整弁55を介して混合されている。この構成により、バイオマスバーナ50へ供給される燃焼用空気Aを昇温させて、熱損失を軽減することができる。更には、バイオマスバーナ50へ供給される燃焼用空気Aの温度を検出する温度センサ56が設けられており、この温度センサ56で検出温度が例えばバイオマスバーナ50での許容温度範囲内に維持されるように、調整弁55の開度調整により高温の燃焼用空気HAの混合量が設定されている。
【0042】
〔バッファタンク〕
本システムには、乾燥処理部2で生成された乾燥バイオマスX2を一時的に貯留して、バイオマスバーナ50への乾燥バイオマスX2の供給量が変動した場合に炭化処理部3への乾燥バイオマスX2の供給量を設定供給量に維持する乾燥バイオマス貯留手段として、分配部バッファタンク21、燃焼部用バッファタンク22、及び、炭化処理部用バッファタンク23が設けられている。即ち、炭化処理部3では、乾燥バイオマスX2の供給量が設定供給量に維持されることで、当該乾燥バイオマスX2を安定した処理条件下において炭化させて、品質が安定した高品質のバイオマス炭化物X3が生成される。
尚、本願において、燃焼部用バッファタンク22や炭化処理部用バッファタンク23を分配後バッファタンクと呼ぶ場合がある。
【0043】
分配部バッファタンク21は、乾燥処理部2で生成された乾燥バイオマスX2をバイオマスバーナ50側と炭化処理部3側とに分配する乾燥バイオマス分配部20において、乾燥バイオマスX2を一時的に貯留するものとして構成されている。
燃焼部用バッファタンク22は、乾燥バイオマス分配部20からバイオマスバーナ50に通じる経路において乾燥バイオマスX2を一時的に貯留するものとして構成されている。
炭化処理部用バッファタンク23は、乾燥バイオマス分配部20から炭化処理部3に通じる経路において乾燥バイオマスX2を一時的に貯留するものとして構成されている。
【0044】
尚、本実施形態では、上記乾燥バイオマス貯留手段として、分配部バッファタンク21、燃焼部用バッファタンク22、及び、炭化処理部用バッファタンク23の3つのバッファタンク21,22,23が設けられているが、分配部バッファタンク21のみを設けたり、燃焼部用バッファタンク22と炭化処理部用バッファタンク23とのうちの一方を省略することもできる。即ち、少なくとも分配部バッファタンク21を上記乾燥バイオマス貯留手段として設けることで、炭化処理部3の処理条件を安定させて高品質のバイオマス炭化物X3を生成することができる。
【0045】
各バッファタンク21,22,23には、貯留した乾燥バイオマスX2を供給先に払い出すフィーダ21a,21b,22a,23aが設けられている。また、これらフィーダ21a,21b,22a,23aは制御装置60により制御されて、各バッファタンク21,22,23からの乾燥バイオマスX2の払い出し量を調整可能に構成されている。
【0046】
即ち、乾燥処理部2で生成された乾燥バイオマスX2は、分配部バッファタンク21に一時的に貯留される。そして、分配部バッファタンク21からフィーダ21aにより払い出された乾燥バイオマスX2は、燃焼部用バッファタンク22に一時的に貯留され、その貯留された乾燥バイオマスX2がフィーダ22aにより払い出されて固形バイオマス燃料としてバイオマスバーナ50に供給されることになる。
【0047】
一方、分配部バッファタンク21からフィーダ21bにより払い出された乾燥バイオマスX2は、炭化処理部用バッファタンク23に一時的に貯留され、その貯留された乾燥バイオマスX2がフィーダ23aにより払い出されて炭化処理対象として炭化処理部3に供給されることになる。
【0048】
本システムの制御装置60は、所定のプログラムを実行することにより、バイオマス燃焼制御手段61として機能する。このバイオマス燃焼制御手段61は、温度センサ15で検出される熱分解ガス焼却部4での炉頂温度が所定の設定炉頂温度(例えば約800℃〜900℃)に維持されるように、バイオマスバーナ50への乾燥バイオマスX2の供給量を制御するものとして構成されている。
【0049】
尚、本実施形態において、バイオマス燃焼制御手段61は、熱分解ガス焼却部4での炉頂温度を温度センサ15により直接検出し、その検出結果に基づいてバイオマスバーナ50への乾燥バイオマスX2の供給量制御を行うが、別の方法で当該供給量制御を行うこともできる。例えば、バイオマス燃焼制御手段61は、乾燥バイオマスX2の含水率を検出し、その検出結果から熱分解ガス焼却部4での炉頂温度を所定の設定炉頂温度に維持するために必要なバイオマスバーナ50での燃焼量を算出し、その燃焼量を維持できるようにバイオマスバーナ50への乾燥バイオマスX2の供給量制御を行うように構成することもできる。
【0050】
また、燃焼部用バッファタンク22が設けられている場合において、バイオマスバーナ50への乾燥バイオマスX2の供給量制御は、その燃焼部用バッファタンク22のフィーダ22aによる乾燥バイオマスX2の払い出し量を制御対象として実行することができる。また、燃焼部用バッファタンク22が省略され、分配部バッファタンク21及び炭化処理部用バッファタンク23のみが設けられている場合において、バイオマスバーナ50への乾燥バイオマスX2の供給量制御は、分配部バッファタンク21のフィーダ21aによる乾燥バイオマスX2の払い出し量を制御対象として実行することができる。
【0051】
そして、バイオマス燃焼制御手段61によりバイオマスバーナ50への乾燥バイオマスX2の供給量制御を行う場合であっても、炭化処理部3に供給される乾燥バイオマスX2が、分配部バッファタンク21又は炭化処理部用バッファタンク23において一時的に貯留されるので、本システムの制御装置60は、炭化処理部3へ供給される乾燥バイオマスX2の供給量を所定の設定供給量に維持することができる。このことで、炭化処理部3では、乾燥バイオマスX2を安定した処理条件下において炭化させて、品質が安定した高品質のバイオマス炭化物X3を生成することができる。
【0052】
尚、上記炭化処理部3に対する乾燥バイオマスX2の設定供給量(以下、「炭化用バイオマス設定供給量」と呼ぶ。)は、例えば、熱分解ガスG2を熱分解ガス焼却部4にて所定の温度範囲(例えば本実施例では約800℃〜900℃)で焼却処理するために、当該熱分解ガス焼却部4で必要な熱量の全量をバイオマスバーナ50で賄うために必要なバイオマスバーナ50への乾燥バイオマスX2の供給量を、乾燥処理部2からの乾燥バイオマスX2の払い出し量から差し引いた量とすることができる。具体的には、下記の(ア)〜(エ)を順に実行して決定することができる。
【0053】
(ア) 炭化用バイオマス設定供給量を仮決定する。
尚、前回決定された値が存在する場合には、それを炭化用バイオマス設定供給量に仮決定することができる。また、そのような値が存在しない場合には、例えば過去の経験則等から導かれる標準的な値などを炭化用バイオマス設定供給量に仮決定することができる。
(イ) 上記(ア)で仮決定した炭化用バイオマス設定供給量の乾燥バイオマスX2を炭化処理部3へ供給すると想定して、当該炭化処理部3での熱分解ガスG2の発生量を算出する。
(ウ) 上記(イ)で算出した発生量の熱分解ガスG2を熱分解ガス焼却部4にて約800℃〜900℃で焼却処理すると想定して、当該熱分解ガス焼却部4での必要熱量のうちのバイオマスバーナ50で賄うべき燃焼量を算出する。そして、その算出した燃焼量をバイオマスバーナ50で実現するためのバイオマスバーナ50への乾燥バイオマスX2の供給量を算出する。
(エ) 上記(ウ)で算出したバイオマスバーナ50への乾燥バイオマスX2の供給量を、乾燥処理部2からの乾燥バイオマスX2の払い出し量から差し引いて、炭化処理部3への乾燥バイオマスX2の供給量を算出する。そして、その算出した供給量を上記炭化用バイオマス設定供給量に決定する。
【0054】
尚、上記の(ア)〜(エ)については、1回のみ実行して炭化用バイオマス設定供給量を決定しても構わないが、例えば所定回数繰り返し実行して炭化用バイオマス設定供給量を決定すれば、当該炭化用バイオマス設定供給量を一層状況に合ったものとすることができる。
尚、前記炭化用バイオマス設定供給量は、前記当該熱分解ガス焼却部4で必要な熱量の一部(例えば約95%)をバイオマスバーナ50で賄うために必要なバイオマスバーナ50への乾燥バイオマスX2の供給量を、乾燥処理部2からの乾燥バイオマスX2の払い出し量から差し引いた量としてもよい。この場合、前記当該熱分解ガス焼却部4で必要な熱量の残部は前記当該熱分解ガス焼却部4へ燃焼ガスを供給する化石燃料バーナ51で賄うことができる。
また、このような炭化用バイオマス設定供給量の決定は、運転開始時において行う以外にも、状況の変動に応じて適時行うことが望ましい。例えば、このような状況の変動としては、炭化処理部3での炭化条件(炭化温度や炭化時間等)の変更に伴って熱分解ガスG2の発生量が変動する場合や、四季の変化などにより、原料となる下水汚泥等の含水バイオマスX1の状態(含水率や灰分等)が変動したり、乾燥処理部2や熱分解ガス焼却部4等での放熱量等の運転条件が変動する場合などがある。
【0055】
尚、炭化処理部用バッファタンク23が設けられている場合において、炭化処理部3へ供給される乾燥バイオマスX2の供給量の設定は、その炭化処理部用バッファタンク23のフィーダ23aによる乾燥バイオマスX2の払い出し量を設定対象として実行することができる。また、炭化処理部用バッファタンク23が省略され、分配部バッファタンク21及び燃焼部用バッファタンク22のみが設けられている場合において、炭化処理部3へ供給される乾燥バイオマスX2の供給量の設定は、分配部バッファタンク21のフィーダ21bによる乾燥バイオマスX2の払い出し量を設定対象として実行することができる。
【0056】
本システムの制御装置60は、所定のプログラムを実行することにより、払い出し制御手段62として機能する。この払い出し制御手段62は、レベルセンサ(図示省略)等で計測される燃焼部用バッファタンク22及び炭化処理部用バッファタンク23の少なくとも一方である分配後バッファタンクの貯留量が所定の設定貯留量に維持されるように、当該分配部バッファタンク21から当該分配後バッファタンクへの乾燥バイオマスX2の払い出し量を制御するものとして構成されている。
【0057】
例えば、燃焼部用バッファタンク22が分配後バッファタンクとして設けられている場合、払い出し制御手段62は、燃焼部用バッファタンク22の貯留量が設定貯留量に対して減少傾向にある場合には、フィーダ21aでの払い出し量を増加側に制御し、逆に、燃焼部用バッファタンク22の貯留量が設定貯留量に対して増加傾向にある場合には、フィーダ21aでの払い出し量を減少側に制御して、燃焼部用バッファタンク22の貯留量を設定貯留量に維持する。
一方、炭化処理部用バッファタンク23が分配後バッファタンクとして設けられている場合、払い出し制御手段62は、炭化処理部用バッファタンク23の貯留量が設定貯留量に対して減少傾向にある場合には、フィーダ21bでの払い出し量を増加側に制御し、逆に、炭化処理部用バッファタンク23の貯留量が設定貯留量に対して増加傾向にある場合には、フィーダ21bでの払い出し量を減少側に制御して、炭化処理部用バッファタンク23の貯留量を設定貯留量に維持する。
【0058】
即ち、燃焼部用バッファタンク22が省略され、分配部バッファタンク21及び炭化処理部用バッファタンク23のみが設けられている場合において、払い出し制御手段62は、炭化処理部用バッファタンク23側へ乾燥バイオマスX2を払い出すフィーダ21bの払い出し量を制御対象とする。また、炭化処理部用バッファタンク23が省略され、分配部バッファタンク21及び燃焼部用バッファタンク22のみが設けられている場合において、払い出し制御手段62は、燃焼部用バッファタンク22側へ乾燥バイオマスX2を払い出すフィーダ21aの払い出し量を制御対象とする。
この構成により、バイオマス燃焼制御手段61によるバイオマスバーナ50への乾燥バイオマスX2の供給量制御、及び、炭化処理部3への乾燥バイオマスX2の定量供給を維持した状態で、燃焼部用バッファタンク22や炭化処理部用バッファタンク23の貯留量の変動を抑制することができる。
【0059】
そして、払い出し制御手段62により分配部バッファタンク21から燃焼部用バッファタンク22又は炭化処理部用バッファタンク23への乾燥バイオマスX2の払い出し量を制御することにより、燃焼部用バッファタンク22や炭化処理部用バッファタンク23には常に適量の乾燥バイオマスX2が貯留することになる。このことで、燃焼部用バッファタンク22や炭化処理用バッファタンク23の乾燥バイオマスX2の払い出し量、言い換えればバイオマスバーナ50や炭化処理部3への乾燥バイオマスX2の供給量が、バイオマスバーナ50や炭化処理部3に適した量に維持される。
【0060】
また、分配部バッファタンク21が省略され、燃焼部用バッファタンク22及び炭化処理部用バッファタンク23のみが設けられている場合において、制御装置60は、乾燥バイオマス分配部20における乾燥バイオマスX2の分配状態を制御して、燃焼部用バッファタンク22及び炭化処理部用バッファタンク23の貯留量を適正な設定貯留量に維持することもできる。
【0061】
尚、バイオマスバーナ50に供給される乾燥バイオマスX2が通流する経路に2つのバッファタンク21,22が直列状態で配置されている場合、又は、炭化処理部3に供給される乾燥バイオマスX2が通流する経路に2つのバッファタンク21,23が直列状態で配置されている場合において、上流側の分配部バッファタンク21でのフィーダ21a,21bでの払い出し量を、下流側のバッファタンク22,23でのフィーダ22a,23aでの払い出し量と同量となるように設定しても構わない。
【0062】
〔燃焼残渣混合部〕
本システムには、バイオマスバーナ50から取り出された燃焼残渣Yを、炭化処理部3に供給されるバイオマスX1,X2に混合する燃焼残渣混合部31,32,33が設けられている。
即ち、バイオマスバーナ50では、精製された化石燃料と異なり完全な燃焼が難しい固形バイオマス燃料(乾燥バイオマスX2)を燃焼させることから、未燃成分を含む固形の燃焼残渣Yが発生する。更に、バイオマスバーナ50は、熱分解ガス焼却部4に直接燃焼ガスを供給するものであることから、その際に発生する燃焼残渣Yは、熱分解ガス焼却部4の底部から取り出すことができ、このように取り出された燃焼残渣Yは、一旦貯留タンク30に貯留される。
尚、本件では、バイオマスバーナ50の燃焼残渣Yを熱分解ガス焼却部4側から取り出すように構成したが、バイオマスバーナ50側から燃焼残渣Yを取り出すように構成しても構わない。
【0063】
このように貯留タンク30に貯留された燃焼残渣Yは、廃棄するのではなく、フィーダ30aを通じて燃焼残渣混合部31,32,33に供給され、当該燃焼残渣混合部31,32,33により炭化処理部3に供給されるバイオマスX1,X2に混合される。すると、燃焼残渣Yは、バイオマスX1,X2と共に、バイオマス炭化物X3の原料の一部として炭化処理部3に供給されることになる。この構成により、バイオマスバーナ50で生成される燃焼残渣Yの未燃成分を炭化させて、バイオマス炭化物X3の一部として回収することができる。
【0064】
上記のような燃焼残渣混合部31,32,33としては、第1燃焼残渣混合部31、第2燃焼残渣混合部32、及び第3燃焼残渣混合部33から選択される1乃至複数のものを採用することができる。
即ち、第1燃焼残渣混合部31は、乾燥処理部2に供給される含水バイオマスX1に燃焼残渣Yを混合するものとして構成されている。
このような燃焼残渣混合部31を設けることにより、燃焼残渣Yが高温であった場合でも、混合対象の含水バイオマスX1に含まれる水分により燃焼残渣Yを好適に冷却して、不都合な発火等を防止できる。
【0065】
第2燃焼残渣混合部32及び第3燃焼残渣混合部33は、乾燥処理部2から炭化処理部3に供給される乾燥バイオマスX2に燃焼残渣Yを混合するものとして構成されており、第2燃焼残渣混合部32は乾燥バイオマス分配部20よりも上流側における例えば造粒装置6の上流側に配置されており、第3燃焼残渣混合部33は乾燥バイオマス分配部20よりも下流側に配置されている。
このような燃焼残渣混合部32,33を設けることにより、乾燥バイオマスX2に混合された燃焼残渣Yをバイオマス炭化物X3の原料の一部として適切に炭化処理部3に供給することができる。また、乾燥バイオマス分配部20の下流側に配置された第3燃焼残渣混合部33を設けることにより、乾燥バイオマスX2に混合された燃焼残渣Yの全量をバイオマス炭化物X3の原料の一部として適切に炭化処理部3に供給することができる。
【0066】
本システムの制御装置60は、所定のプログラムを実行することにより、燃焼残渣混合制御手段63として機能する。この燃焼残渣混合制御手段63は、炭化処理部3で生成されるバイオマス炭化物X3の発熱量が所定の設定発熱量(例えば約15MJ/kg)以上となるように、燃焼残渣混合部31,32,33によるバイオマスX1,X2への燃焼残渣Yの混合量を制御するものとして構成されている。また、バイオマスバーナ50での燃焼残渣Yの発生量は、バイオマスバーナ50への乾燥バイオマスX2の供給量によって変化する。このことから、バイオマス燃焼制御手段61は、バイオマスバーナ50への乾燥バイオマスX2の供給量制御を実行するにあたり、貯留タンク30における燃焼残渣Yの貯留量が設定貯留量を超えることがないように当該供給量を制限する燃料供給量制限処理を実行するように構成されている。
【0067】
具体的に、このバイオマス燃焼制御手段61が実行する上記燃料供給量制御処理では、貯留タンク30に設けられたレベルセンサ30bにより、当該貯留タンク30における燃焼残渣Yの貯留量が検出される。そして、この燃焼残渣Yの貯留量が予め設定された設定貯留量に達した場合には、バイオマスバーナ50への乾燥バイオマスX2の供給量を例えば所定幅分減少させる形態で、当該供給量を制限する。
すると、バイオマスバーナ50での燃焼残渣Yの発生量が減少することで、該貯留タンク30における燃焼残渣Yの貯留量が設定貯留量以下に維持されることになり、処分すべき余剰の燃焼残渣Yをできるだけ少なくすることができる。
尚、上記燃料供給量制御処理においてバイオマスバーナ50への乾燥バイオマスX2の供給量を減少させた場合には、バイオマスバーナ50での燃焼量が低下するが、その燃焼量の低下分は、化石燃料バーナ51の燃焼量の増加により補うことができる。
【0068】
炭化処理部3から排出されたバイオマス炭化物X3をサンプリングして試験を行うことで当該バイオマス炭化物X3の発熱量を測定することができる。
そして、燃焼残渣混合制御手段63は、測定されたバイオマス炭化物X3の発熱量が設定発熱量を下回った場合には、フィーダ30aでの燃焼残渣Yの払い出し量を減少側に制御して、バイオマス炭化物X3に含まれる燃焼残渣Yの炭化物の割合を減少させて、当該バイオマス炭化物X3の発熱量を増加させて、設定発熱量以上に回復させる。このことで、炭化処理部3においては、燃焼残渣Yの混合割合の過剰増加に起因するバイオマス炭化物X3の品質悪化が防止されている。
【0069】
〔別実施形態〕
本発明の他の実施形態について説明する。尚、以下に説明する各実施形態の構成は、それぞれ単独で適用することに限らず、他の実施形態の構成と組み合わせて適用することも可能である。
【0070】
(1)上記実施形態では、固形バイオマス燃料を燃焼させるバイオマス燃焼部としてバイオマスバーナ50を設けたが、バーナ形式である必要はなく、例えば炉内で固形バイオマス燃料を燃焼させるような他の形態のバイオマス燃焼部を設けても構わない。
【0071】
(2)上記実施形態では、バイオマス燃焼部としてのバイオマスバーナ50の燃焼ガスを熱分解ガス焼却部4に対して熱源として供給するように構成したが、バイオマス燃焼部の燃焼ガスを別の部位の熱源として使用しても構わない。
【0072】
(3)上記実施形態では、バイオマス燃焼部としてのバイオマスバーナ50を熱分解ガス焼却部4に設置して、バイオマスバーナ50で生成された燃焼ガスを直接的に熱分解ガス焼却部4に供給するように構成したが、バイオマス燃焼部を熱分解ガス焼却部とは別体のものとして設置し、そのバイオマス燃焼部で生成された燃焼ガスを、ダクトを通じて熱分解ガス焼却部に供給するように構成しても構わない。
【0073】
(4)上記実施形態では、バーナ50,51に対して一次燃焼用空気を直接供給するのとは別に、燃焼用空気調整弁53,54を通じて熱分解ガス焼却部4やそれに通じるノズル50aに燃焼用空気Aを供給するように構成したが、熱分解ガス焼却部4及びノズル50aへの燃焼用空気Aの供給及びその供給量制御の形態については、例えば一方又は両方を省略するなど適宜改変しても構わない。
【符号の説明】
【0074】
2 乾燥処理部
3 炭化処理部
4 熱分解ガス焼却部
20 乾燥バイオマス分配部
21 分配部バッファタンク(乾燥バイオマス貯留手段)
22 燃焼部用バッファタンク(乾燥バイオマス貯留手段)
23 炭化処理部用バッファタンク(乾燥バイオマス貯留手段)
31,32,33 燃焼残渣混合部
50 バイオマスバーナ(バイオマス燃焼部)
50a ノズル
61 バイオマス燃焼制御手段
62 払い出し制御手段
63 燃焼残渣混合制御手段
A 燃焼用空気
G1,G3,G4 排ガス
G2 熱分解ガス
X1 含水バイオマス
X2 乾燥バイオマス
X3 バイオマス炭化物
Y 燃焼残渣

【要約】
【課題】含水バイオマスからバイオマス炭化物を製造するにあたり、温室効果ガスの削減効果を損なうことなく省エネルギ性を向上しながら、高品質のバイオマス炭化物を製造可能なバイオマス炭化物製造システムを提供する。
【解決手段】固形バイオマス燃料を燃焼させて燃焼ガスを生成し、当該燃焼ガスを熱源として供給するバイオマス燃焼部50を備えると共に、乾燥処理部2で生成された乾燥バイオマスX2の一部を取り出して固形バイオマス燃料としてバイオマス燃焼部50に供給する乾燥バイオマス分配部20を備え、乾燥処理部2で生成された乾燥バイオマスX2を一時的に貯留して、バイオマス燃焼部50への乾燥バイオマスX2の供給量が変動した場合に炭化処理部3への乾燥バイオマスX2の供給量を設定供給量に維持する乾燥バイオマス貯留手段21,22,23を備えた。
【選択図】図1
図1