特許第6363820号(P6363820)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 岩谷マテリアル株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6363820-菜園又は農業用シート 図000002
  • 特許6363820-菜園又は農業用シート 図000003
  • 特許6363820-菜園又は農業用シート 図000004
  • 特許6363820-菜園又は農業用シート 図000005
  • 特許6363820-菜園又は農業用シート 図000006
  • 特許6363820-菜園又は農業用シート 図000007
  • 特許6363820-菜園又は農業用シート 図000008
  • 特許6363820-菜園又は農業用シート 図000009
  • 特許6363820-菜園又は農業用シート 図000010
  • 特許6363820-菜園又は農業用シート 図000011
  • 特許6363820-菜園又は農業用シート 図000012
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6363820
(24)【登録日】2018年7月6日
(45)【発行日】2018年7月25日
(54)【発明の名称】菜園又は農業用シート
(51)【国際特許分類】
   A01G 13/00 20060101AFI20180712BHJP
【FI】
   A01G13/00 302Z
   A01G13/00 302A
【請求項の数】5
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2012-238923(P2012-238923)
(22)【出願日】2012年10月30日
(65)【公開番号】特開2014-87284(P2014-87284A)
(43)【公開日】2014年5月15日
【審査請求日】2015年8月24日
【審判番号】不服2017-5169(P2017-5169/J1)
【審判請求日】2017年4月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】596061373
【氏名又は名称】岩谷マテリアル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097102
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 敬夫
(74)【代理人】
【識別番号】100098796
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 全
(74)【代理人】
【識別番号】100121647
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 和孝
(72)【発明者】
【氏名】西端 孝仁
【合議体】
【審判長】 小野 忠悦
【審判官】 西田 秀彦
【審判官】 住田 秀弘
(56)【参考文献】
【文献】 実開平5−23850号公報
【文献】 登録実用新案第3075577号公報
【文献】 特開2006−42700号公報
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
種苗の種類に応じてその成長に必要な固有の育成領域を勘案して、複数の前記種苗を植える位置毎に前記種苗を植える領域となる案内部を有する菜園用シートであって、
前記案内部は、
前記種苗の前記育成領域の大きさに応じて異なるマークとされており、
かつ、同じ大きさを有する前記育成領域どうしが重ならないように連続して配置されると共に、異なる大きさを有する前記育成領域が互いに重なるように配置され、
さらに、相対的に大きな目印からなる大案内部と、小さな目印からなる小案内部とを有し、前記大案内部は前記小案内部を囲むように配置されている態様を備えており、
前記小案内部は、前記シートの中で一番小さな前記育成領域に対応しており、別の形態を有する前記案内部の前記育成領域を判断する目安となるように縦横に配列されている
ことを特徴とする菜園用シート。
【請求項2】
前記シートの幅方向の中央部には、隣接する同じ形状の案内部どうしを結ぶ仮想線上の中間点に前記小案内部が配置されていることを特徴とする請求項1に記載の菜園用シート。
【請求項3】
前記シートの中で一番小さな前記育成領域に対応した前記案内部は、碁盤目状に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の菜園用シート。
【請求項4】
畝部の幅方向の中央部に植える必要性の高い種苗に対応した案内部と、この中央部に植える必要性の高い種苗と同程度の育成領域を有するが、相対的に、前記中央部に植える必要性の低い種苗に対応した案内部とは、千鳥状に配置されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の菜園用シート。
【請求項5】
前記案内部がある領域には、中心部に前記案内部を配置するようにして、又は、前記案内部に囲まれるようにして、開口孔を形成する際の目安となる除去マークが施されており、この除去マークは一重又は二重以上の円形状模様からなっていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の菜園用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は種苗を植える際に使用する菜園又は農業用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
植物にはその種類に応じて、支障なく成長する為に必要な固有の領域(育成領域)がある。このため、種苗を植える際、隣り合う種苗同士間に一定の間隔を空けることが必要であり、従来、この一定の間隔を案内するようにした菜園又は農業用シートが存在する。
例えば特許文献1はアスパラガス用のシートであり、所定の間隔を空けながら複数の円形のミシン目が配列されており、使用者は畝部にこのシートを置いた後、ミシン目を破って開口孔を開けて、そこに種を植えることで、アスパラガスに必要な育成領域が重ならないようになっている。
【0003】
また、従来、植物の特定の品種に拘らず、種苗を植えられるようにした菜園又は農業用シートも存在する。特許文献2はそのようなシートであり、多数の円形状のミシン目が比較的短いピッチで碁盤目状に配列されている。そして、使用者は別途用意された説明書等を見ながら、植えようとする複数の種苗間の距離を考慮して、開口孔を開ける位置を自ら選択し、そしてミシン目を破って開口孔を開け、そこに種苗を植えるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4202307号公報
【特許文献2】実用新案登録第30103802号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年、家庭用菜園が増加しており、限られたスペースで、複数の品種の種苗を植えることが増加してきている。また、農家であっても、コンパニオンプランツ等の農法によっては、限られたスペースに複数の品種を植えることもある。このような場合、特許文献1のような特定の品種のみを植えることを想定したシートでは対応できない。
この点、特許文献2のシートでは、品種にかかわらず需要者が適当に開口孔を選択して開けることができるため、育成領域の異なる複数種の種苗を一枚のシートで植えることができる。しかし、特許文献2のシートは、ミシン目とミシン目の間隔が植えようとする種苗の育成領域に必ずしも対応しておらず、ミシン目は単に等間隔に配列されているだけである。このため、特に家庭菜園をする者等にとっては、種苗を植える間隔が分からずに不適当な位置に孔を開けてしまう恐れがあり、さらに、植えたい種苗の育成領域と、ミシン目とミシン目の間隔とが必ずしも合わないため、限られたスペースに植えたい種苗を植えることが出来なくなる場合もある。
【0006】
そこで本願発明は、限られたスペースであっても、育成領域の異なる複数種の種苗を、適切な間隔で植えることができる菜園又は農業用シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的は、請求項1の発明によれば、種苗の種類に応じてその成長に必要な固有の育成領域を勘案して、複数の前記種苗を植える位置毎に前記種苗を植える領域となる案内部を有する菜園用シートであって、前記案内部は、前記種苗の前記育成領域の大きさに応じて異なるマークとされており、かつ、同じ大きさを有する前記育成領域どうしが重ならないように連続して配置されると共に、異なる大きさを有する前記育成領域が互いに重なるように配置され、さらに、相対的に大きな目印からなる大案内部と、小さな目印からなる小案内部とを有し、前記大案内部は前記小案内部を囲むように配置されている態様を備えており、前記小案内部は、前記シートの中で一番小さな前記育成領域に対応しており、別の形態を有する前記案内部の前記育成領域を判断する目安となるように縦横に配列されている菜園用シートにより達成される。
【0008】
請求項1の構成によれば、菜園用シートは、種苗の種類に応じてその成長に必要な固有の育成領域を勘案して、複数の種苗を植える位置毎に案内部を有する。このため、その案内部に従って種苗を植えれば、隣り合う種苗同士は阻害し合うこともなく成長できる。例えば、案内部が目印である場合は、使用の際、その目印がある領域に開口孔を開けて、そこに種苗を植えればよい。
そして、この案内部は種苗の育成領域の大きさに応じて異なるマークとされているため、複数種の種苗を植えたい場合であっても、その植えたい種苗の育成領域に対応するマークを選択して、その種苗を適切に植えることができる。
ここで、従来の常識である農業用シートのように育成領域が重ならないようにして、例えば、畝部の先頭に対応した位置にキャベツ、キャベツの次にトマト、トマトの次にほうれん草等といった区分けをして、複数の種苗を植えるための目印等の案内部を形成すれば、一枚のシートを使って複数の種苗を適切な間隔で植えることができる。しかし、そのような方式では、限られたスペースしかない家庭用菜園などに複数の種苗を植えようとすると、例えば、スペース的に畝部の先頭に対応した位置のキャベツを植えるための案内部しか利用できない等、使い勝手の悪いシートになってしまう恐れがある。
ところが、本発明の案内部は、異なる大きさを有する育成領域が互いに重なるように配置されているため、育成領域が重なっている分、限られたスペースの中であっても、より多くの異なる案内部を配置できる。
そして、このように育成領域が重なっていても、使用者は植える予定の種苗に対応した案内部を適宜選択して、種苗を植えることができる。すなわち、先ず、案内部は同じ大きさを有する育成領域どうしが可及的に重ならないように連続して配置されているため、使用者は、同じマークを有する隣の案内部との距離を見て、その案内部に応じた育成領域を判断できる。そして、異なる大きさを有する育成領域が互いに重なるように案内部が配置されている範囲では、使用者は、いずれか一方の育成領域に応じた案内部を適宜選択しながら、そこに種苗を植えることが出来る。
このようにして、使用者は、限られたスペースの中で、育成領域を判断しながら、育成領域が重なっている範囲では植える予定の種苗に応じた案内部の方を適宜選択し、複数種の種苗を適切に植えていくことができる。
さらに、案内部は、相対的に大きな目印からなる大案内部と、小さな目印からなる小案内部とを有しており、大案内部の目印が小案内部を囲むように配置されている態様を備えている。従って、異なる大きさの育成領域の一部分を重ねるのではなく、大きな育成領域の中に小さな育成領域を完全に包含した構成を有し、限られたスペースの中に、より多くの案内部を配置することができる。
また、例えば、本発明の菜園用シートを使って連作する場合、最初に案内部に開けた開口孔に、最初に植えた種苗とは異なる種苗を植えることもでき、これによりシートが孔だらけになる事態を軽減し、シートの保温・防虫・保水といった効果の減少を抑制できる。
【0009】
また、好ましくは、前記シートの幅方向の中央部には、隣接する同じ形状の案内部どうしを結ぶ仮想線上の中間点に前記小案内部が配置されていることを特徴とする。
また、好ましくは、前記シートの中で一番小さな前記育成領域に対応した前記案内部は、碁盤目状に配置されていることを特徴とする。
【0010】
また、好ましくは、畝部の幅方向の中央部に植える必要性の高い種苗に対応した案内部と、この中央部に植える必要性の高い種苗と同程度の育成領域を有するが、相対的に、前記中央部に植える必要性の低い種苗に対応した案内部とは、千鳥状に配置されていることを特徴とする。
これにより、畝部の幅方向の中央部に植える必要性の高い種苗に対応した案内部と、当該中央部に植える必要性の低い種苗に対応した案内部とを近づけても、両種苗の育成領域どうしが可及的に重ならないようにすることができ、限られたスペースの中に、より多くの種苗を植えることができる。
【0011】
また、好ましくは、前記案内部がある領域には、中心部に前記案内部を配置するようにして、又は、前記案内部に囲まれるようにして、開口孔を形成する際の目安となる除去マークが施されており、この除去マークは一重又は二重以上の円形状模様からなっていることを特徴とする。
これにより、先端部が円筒状である市販の穴あけ器を利用して開口孔を形成する際、円形状模様が目安となって、適切な位置に孔を開けることができる。
また、その円形状模様を二重以上とした場合、開口孔を開ける際、円筒状の先端部の直径が異なっている穴あけ器に対応することができる。例えば、円形状模様が二重である場合、保温性を重視して、小さな開口孔を開ける方が好ましい場合は、内側のミシン目模様に沿って孔を適切な位置に開け、逆に大きな開口孔を開ける方が好ましい場合は、外側のミシン目模様に沿って孔を適切な位置に開け易くなる。
そして、このように円形状模様を二重以上にすることで、特に家庭菜園の使用者に対して、自然環境や用途に応じて開口孔の大きさを変えるように仕向けることができる。
【0012】
また、好ましくは、前記菜園又は農業用シートは、前記案内部のない別のシート上に載置するようになっており、前記案内部は予め形成された開口孔を有していることを特徴とする。したがって、使用者は、本シートを例えば公知な農業用シートの上に被せ、適宜選択した案内部の開口孔に沿って当該公知なシートに孔を開け、そこに種苗を植えることができる。そして、このテンプレートのようなシートの案内部は、上述した請求項1の発明の特徴を有しているため、使用者は、限られたスペースの中で育成領域を適宜判断しながら、複数種の種苗を適切に植えていくことができる。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように、本発明によれば、限られたスペースであっても、育成領域の異なる複数種の種苗を、適切な間隔で植えることができる菜園又は農業用シートを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第一の実施形態に係る菜園又は農業用シートの部分表面図。
図2】本発明の第一の実施形態の第一の変形例に係る菜園又は農業用シートの部分表面図。
図3図1の各案内部に対応する仮想の育成領域を表した図。
図4】複数の育成領域の大きさに対応した複数の案内部を、本発明とは別の方法で印刷した表面図。
図5】本発明の第一の実施形態の第二の変形例に係る菜園又は農業用シートの部分表面図。
図6図1の菜園又は農業用シートの使用方法の一例を説明する図であって、図6(a)は菜園又は農業用シートを畝部にかけて斜め上方から見た斜視図、図6(b)は案内部がある領域に最初に開口孔を作った図。
図7図1に示す菜園又は農業用シートの使用方法の一例を説明する図であって、図7(c)は図6(b)とは別のマークの案内部の領域に開口孔を作った図、図7(d)はさらに別の案内部の領域に開口孔を作った図。
図8】本発明の第一の実施形態の第三の変形例に係る菜園又は農業用シートの部分表面図。
図9】本発明の第二の実施形態に係る菜園又は農業用シートの表面図。
図10図9の菜園又は農業用シートの使用方法を説明するための図。
図11図1における案内部のマーク変形例
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に、本発明の好ましい実施形態を、図面を参照して詳しく説明する。
尚、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
また、各図において付した同じ符号は同様の構成を有している。
【0016】
図1の第一の実施形態に係る菜園又は農業用シート10は、家庭用菜園や農業に用いられるもので、ポリエチレンやポリエステル等の樹脂から形成された薄いフィルム状のシートであり、栽培用フィルム、家庭菜園・農業用フィルム、マルチシート等とも呼ばれる。以下、本実施形態の菜園又は農業用シート10をシート10と言う。
このフィルム状のシート10は、一方向に長く土を盛った畝部にかけて使用されることが多いため、全体が反物状に長く形成され、その幅W1は畝部の幅に対応して形成されている。図1では、反物状のシート10の一部分だけを図示している。また、その幅W1は95cmとされているが、本発明はこれに限られず、例えば135cmであっても構わない。
また、シート10は、畝部に沿って載置されると共に、巻いて保管及び運搬可能なように、全体が可撓性を有し、使用の際にカッターや鋏等で切断可能とされている。
【0017】
このようなシート10は、作物の順調な成長を助けるために使用されるものであり、その用途に応じて、透明色、銀色、黒色、白色などを利用できる。
透明色のものは、日当りを好む作物用として、日中に温度を上昇させたい場合に好適に使用される。銀色のものは、アルミニウムの顔料等を練り込んでなり、光の反射により、アブラムシ等の害虫の忌避効果を特に高くしている。なお、銀色のものは透明色に比べて温度が上がり難く、温度が高い時期・地域に好適に使用される。黒色のものは透明色に比べて昼夜を問わずに保温効果があり、雑草を防ぐ場合に好適に使用される。白色のものは内側の温度上昇を防ぐ効果を有し、夏の炎天下等に最適に使用される。
なお、シート10の色や材質には上述したもの以外に様々なものがあるが、本発明のシート10は、それら全てに使用可能である。
【0018】
また、シート10は、上述した保温・保冷・保水・防虫・防雑草の効果が得られるだけでなく、複数の種苗を適切な間隔を開けて植えられる構成を有している。
すなわち、シート10は、種苗の種類に応じてその成長に必要な育成領域を勘案して、複数の種苗を植える位置を示唆する複数の案内部12が配置されている。
ここにいう「育成領域」とは、一つの種苗が成長するに当たって、隣り合う他の種苗との間で実質上の干渉を受けることなく、支障なく成長可能な固有の領域をいう。なお、隣り合う2つの種苗どうしを故意に干渉させ合って、より力強い成長を促進させる農法もあり、そのような干渉は上記「実質上の干渉」には含まれない。
また、「育成領域」は、品種によって、根圏及び/又は葉圏を勘案して決められている。「根圏」とは植物の根の影響を周辺に受けている土壌領域と意味し、「葉圏」とは葉に代表される植物地上部を意味する。
【0019】
案内部12は、上述した育成領域を確保するように、複数の種苗を植える位置毎に配置されており、使用者は案内部12のある領域に種苗を植えるようになっている。
図1の場合、案内部12は種苗を植える位置に配置された目印であり、この目印の領域に対して、市販のカッター方式やガスバーナー方式による公知の穴あけ器具等を用いて孔を開け、その開口孔に種苗を植えるようになっている。
なお、案内部12は、シート10の幅方向の両端部ENが畝部の側面に対して配置されることを考慮して、中央領域に配置されている。図1の場合、畝部の側面に対応した両端部ENの幅W3は約10〜15cmであるが、本発明はこれに限られるものではない。
【0020】
具体的には、案内部12がある領域には、中心部に案内部12を置くようにして、開口孔を形成する際の目安となる除去マーク30が印刷等で施されており、図1の場合、除去マーク30は円形状模様とされている。
このように、本実施形態では、種苗を植える位置を示唆する案内部12と、実際に開口孔を形成する際の目安となる除去マーク30とを、別々に形成している。これは、後述するように、案内部12は育成領域の大きさに応じてマークを異ならせる必要があるのに対して、除去マーク30は公知の穴あけ器具の先端部の筒状に対応して、全てを円形状にすることが好ましいからである。
この除去マーク30は一重でも構わないが、本実施形態では、二重の円形状模様(図の場合、案内部12より目立たないミシン目模様)とされている。このため、開口孔を開ける際、円筒状の先端部の直径が異なっている穴あけ器に対応でき、また、特に家庭菜園の使用者に対して、自然環境や用途に応じて開口孔の大きさを変えるように仕向けることができる。
なお、案内部12や除去マーク30は、凸版印刷やシルクスクリーン等の印刷で形成してもよいし、上からシールを貼るようにしてもよい。
【0021】
ここで、案内部12は、種苗の育成領域の大きさに応じて異なるマークとされている。なお、「マーク」とは、目印となる文字、図形、記号(色彩を含む)、及びこれらの結合をいい、図1の場合、正方形状、円形状、ダイヤ形状、星形状により異ならせた図形とされている。
そして、各マークの位置に植えるべき種苗の種類が、シート10の表面に説明書き14として表示され、これにより、マークを異ならせたことと併せて、別途用意された説明書を見ないでも、案内部12に植えるべき種苗が理解できるようになっている。
図1では、説明書き14を見て分かるように、正方形状の案内部20は、このシート10の中では最も小さな育成領域を有する作物(ほうれん草、玉葱、人参、小松菜)の種苗を植える位置を示している。
円形状の案内部25は正方形状の案内部20の育成領域に比べて大きな育成領域を有し、さらに、地中に大きく根を張って実を付ける等、根圏が大きいため、シート10の略中央に植えることが好ましい作物(例えば、ジャガイモ、サツマイモ、キャベツ、苺)の種苗を植える位置を示している。
星形状の案内部23は、育成領域の直径がシート10の有効幅(全幅W1からの両端部ENを除いた幅)W2の略半分であって、根圏の直径がシート10の有効幅W2の略半分以下である作物(例えば、大根、トウモロコシ、レタス、枝豆、大葉)の種苗を植える位置を示している。
ダイヤ形状の案内部27は、このシート10の中では最も大きな育成領域を有する作物(例えば、トマト、茄子、ピーマン、キュウリ)を植える位置を示している。
なお、本発明の育成領域の大きさに応じたマークは、上述した図形に限られるものではなく、他の図形・文字・記号又はこれらの結合であっても構わない。例えば、本第一の実施形態の第一の変形例に係るシート10−1である図2に示すように、上述した正方形状を星形状の案内部20−1にし、色彩を異ならせることで他の星形状の案内部23と区別するようにしてもよい。
【0022】
また、除去マーク30について言えば、その大きさはシート10の用途や案内部12の種類に応じて変えることが好ましい。例えば、地色が銀色や白色であって、黒色や透明色に比べて温度の上昇を抑制するタイプについては、除去マーク30を相対的に大きくして開口孔が大きく形成されるように使用者を誘導するのがよい。これにより、地色が銀色及び白色タイプのものについては、放熱効果を上げることが出来る。
図1では、地色が銀色及び白色タイプのものを想定した除去マーク30を例示しており、案内部23,25,27の領域にある除去マーク30aは、内側の直径φ2が60mm、外側の直径φ1が80mmと大きく形成されている。これに対して、案内部20の領域にある除去マーク30bについては、そこに植える作物自体にとって大きな開口孔は不要であり、また、多数の開口孔が形成されることを想定すると、かえって防虫効果が減少する等の弊害に鑑みて、内側の直径φ4を45mm、外側の直径φ3を60mmとし、除去マーク30aに比べて小さく形成されている。
【0023】
そして、各案内部20,23,25,27は、同じ大きさを有する育成領域どうしが重ならないように連続して配置されている。
図3はこの各案内部20,23,25,27に対応する仮想の育成領域ER1〜ER4を表した図であり、以下、この図3を用いて各案内部20,23,25,27と育成領域ER1〜ER4との関係について説明する。なお、図3では育成領域を表したことで図面が煩雑にならないように、図1の除去マーク30を省略して図示している。
【0024】
図3の正方形状の案内部20は、図の左上に示すように、隣接する同じマークの案内部20との育成領域ER1,ER1どうしが重ならないように連続して(即ち、隣接する案内部20の育成領域ER1,ER1の外縁どうしが略接するように)配置されている。これにより、隣り合う2つの案内部20,20どうしの中間点CP1と、その一つの案内部20との距離r1を半径とする円形状の範囲が、当該一つの案内部20の育成領域ER1であると理解できる。
また、このような関係は他のマークの案内部23,25,27についても同様であり、それぞれ互いに隣接する同じマークの案内部23,25,27の中間点CP2,CP3,CP4を把握することで、夫々の育成領域ER2,ER3,ER4が理解できる。
【0025】
ここで、図3に示されるように、案内部12は、異なる大きさを有する育成領域ER1,ER2,ER3,ER4が互いに重なるように配置されている。
従って、限られたスペースの中に、複数の異なる大きさを有する育成領域ER1,ER2,ER3,ER4に対応した複数の案内部20,23,25,27を配置できる。すなわち、複数種の育成領域に対応した案内部を配置する際、図4に示されるように、一点鎖線で示す育成領域を出来るだけ重ねないように案内部ア,イ,ウ,エ,オを配置するのが従来の常識であるため、シートがかなり長くなってしまう。しかし、本実施形態では、図3に示されるように、異なる育成領域ER1,ER2,ER3,ER4を互いに重ねている分、多数の異なる案内部20,23,25,27を限られたスペースに配置することができる。
図3では、UTの範囲が最小単位ユニットUTであり、この最小単位ユニットUTに表示された複数の案内部12及び除去マーク30(図1参照)の配置パターンが、長手方向Yに連続して続いている。なお、最小単位ユニットUT,UTどうしの区切りには一つのパターンが終了した印(図の場合はabcdeであって、例えば商標)16が表示されている。
【0026】
さらに、本実施形態では、可及的に多数の異なる案内部20,23,25,27を最小単位ユニットUTに収められるように、育成領域の異なる全ての種類が互いに重ねられ、しかも、一つの育成領域がそれとは異なる二つ以上の育成領域と重なるようになっている。例えば、図3の育成領域ER3を見ると、他の全て育成領域ER1,ER2,ER4とどこかの位置で重なるようになっており、この関係は他の育成領域ER1,ER2,ER4を見ても同じである。
なお、本発明は図3のような育成領域が重なった態様に限られるものではなく、所定の育成領域がそれとは異なる一つの育成領域のみと重なるようにしてもよいし、或いは、他の異なる育成領域と重ならない育成領域が存在しても構わない。
【0027】
しかも、本実施形態では、育成領域ER1〜ER4だけではなく、案内部12自体も重なっている箇所を有している。すなわち、案内部12は、相対的に大きな枠状の目印からなる大案内部25,27と小さな目印からなる小案内部20とを有しており、大案内部25,27の内側に小案内部20が配置されている態様を備えている。
従って、例えば大案内部25と小案内部20との関係で説明すると、図3の下側に示すように、大きな育成領域ER3の中に小さな育成領域ER1が完全に包含された関係を有し、これにより、多数の案内部12をさらにコンパクトな領域に収めることに成功している。図の場合、最小単位ユニットUTのY方向の長さは約60cmである。
なお、本シート10は複数種の種苗を植えるため、その収穫の時期を異ならせて、所謂連作をする可能性が比較的高くなったと言え、連作をする場合は、特定の病原菌の繁殖や養分バランスが崩れるという連作障害を防止するため、種類の異なる種苗を植えるのが好ましく、この際、例えば案内部25の領域に既に開けた開口孔に、最初に植えた種苗とは異なる種苗を植えることもできる。このようにして、シート10が孔だらけになる事態を防止している。
【0028】
そして、このように異なる育成領域ER1,ER2,ER3,ER4が重なっていても、当該領域が重なっている範囲では、使用者は植える予定の種苗に対応した案内部20,23,25,27のいずれか一つを適宜選択して、その種苗を植えることができる。
換言すれば、上述のように、連続する同じマークの案内部20,23,25,27どうしの中間点CP1,CP2,CP3,CP4を把握して、育成領域ER1,ER2,ER3,ER4が理解できるようになっているため、異なる育成領域ER1,ER2,ER3,ER4が互いに重ならないように、適宜、案内部20,23,25,27を選択しながら、そこに種苗を植えることが出来る。
【0029】
しかも、本実施形態のシート10では、隣り合う同じ形態の2つの案内部12,12の間には、その2つの案内部12とは別の形態を有する案内部12が配置されるようになっている。具体的には、シート10の中で一番小さな育成領域ER1に対応した案内部20を、別の形態を有する案内部23,25,27の間に置くように縦横に配置し、これによりドット柄の碁盤目状ノートのようにして、育成領域ER1〜ER4をより判断し易くしている。例えば、案内部27について見た場合、隣接する2つの案内部27,27の中間には案内部20aが配置されており、この案内部20aを中間点CP4として見立てて、育成領域ER4を把握できる。また、この案内部20は、上述したように、相対的に小さな目印からなる小案内部20であるため、碁盤目状に多数配置されたとしても、煩雑な印象を与えないようになっている。
【0030】
ところで、このような案内部20の配置は、図3に示すように碁盤目状に限られるものではない。図5は案内部20の他の配置例を示す図であって、本第一の実施形態の第二の変形例に係るシート10−2である。なお、図5では、便宜上、案内部20,25のみを図示し、鎖線は育成領域を示す仮想線である。
図5に示すように、案内部20は、複数の育成領域ER1の間に隙間が出来るだけ生じないように、シート10−2の長手方向Yに対して角度θ1をつけて列設している。このように、案内部20は碁盤目状に配置されていなくても、多数の案内部20が縦横に配列されて、中間点CP3を把握するための目安にはなる。
但し、ほうれん草や小松菜等の葉物を植えるための案内部20は、図3のように碁盤目状に配列した方が、風の通りがよくなって葉を食べるナメクジ等の進入を防止できる点でより好ましい。また、シート10の中央部に植えることが好ましい作物に対応した例えば案内部25について、図3のように、隣接する案内部25,25どうしを結ぶ仮想線KB上の中間点CP3に案内部20が存在する方が中間点CP3を把握し易くより好ましい。
【0031】
また、本実施形態のシート10では、図3の下側に示すように、中央部に配置すべき案内部25と、この案内部25の育成領域ER3と同程度の育成領域ER2を有するが、相対的に中央部に配置する必要性の低い星形状の案内部23とは、千鳥状に配置されていることも特徴的である。これにより、育成領域ER3と育成領域ER2とは重なった平行斜線の部分を有するが、その範囲を小さくすることができ、双方の案内部23,25に種苗を植えることも可能である。
なお、案内部23については、図3の右下に示すように、4つの案内部20により画される正方形に囲まれているが、その正方形の中心CFに配置されず、中心より若干上側にずらして配置することで、少しでも最小単位ユニットUTを短くしている。
【0032】
図6及び図7は、図1のシート10の使用方法の一例を説明する図であって、図6(a)はシート10を畝部にかけて斜め上方から見た斜視図、図6(b)は案内部がある領域に最初に開口孔を作った図、図7(c)は図6(b)とは別のマークの案内部の領域に開口孔を作った図、図7(d)はさらに別の案内部の領域に開口孔を作った図である。なお、図6(a)では案内部及び除去マークは省略して図示している。
【0033】
先ず、図6(a)に示されるように、土を盛り上げた畝部AXの作物を育てようとする領域の長さL1に合わせて、ロール状巻かれたシート10を引出して切断する。そして、畝部AXの略平らな上面の幅と複数の案内部が配置された有効幅W2とを合わせるようにして、シート10を畝部AXにかけ、シート10の幅方向両端の領域VHに土CRをかける等して、シート10を固定する。
【0034】
次に、図6(b)に示すように、複数の案内部12の内、最初に植えようとする種苗、本使用方法ではキャベツの種苗に対応した案内部25を探し、その案内部25の周囲の円形状の除去マーク30に対して市販の穴あけ器具を押当てて、開口孔HL1を開け、そこにキャベツの種苗を植える。なお、図6(b)ではキャベツの種苗を8月に植えている。
【0035】
次に、図7(c)に示すように、次に植えようとする種苗、本使用例では大根の種苗に対応した案内部23を探す。この際、既にキャベツは植えているため、このキャベツを植えた案内部25の育成領域ER3を判断する。すなわち、隣り合う2つの案内部25どうしの中間点CP3を把握して、キャベツを植えた開口孔HL1と中間点CP3との距離r2を半径とする育成領域ER3を判断する。そして、その育成領域ER3と、大根の同様にして判断した育成領域ER2とが重ならないようにして、案内部23の周囲の除去マーク30に対して市販の穴あけ器具を押当てて開口孔HL2を開け、そこに大根の種苗を植える。なお、図7(c)では大根の種苗を9月に植えている。
【0036】
次に、図7(d)に示すように、次に植えようとする例えば小松菜の種苗に対応した案内部20を探す。この際、既に植えている大根及びキャベツについては、その育成領域ER2,ER3を中間点CP2,CP3を参酌しながら判断し、その育成領域ER2,ER3と小松菜の育成領域ER1とが重ならないようにして、案内部20の周囲の除去マーク30に対して市販の穴あけ器具を押当てて開口孔HL3を開け、そこに小松菜の種苗を植える。
【0037】
本発明の第一の実施形態に係るシート10,10−1,10−2は以上のように構成されており、このようにして、小さな領域の中に、複数の育成領域の異なる作物(図6及び図7の場合は大根、キャベツ、及び小松菜)を同時期に、かつ、適切な育成領域をもって育てることができる。
なお、上述した実施形態や使用方法はあくまでも一例であり、例えば、使用方法について言えば、植える種苗・時期・位置は上述した使用方法に限られるものではない。
また、本実施形態では、案内部12の周囲の除去マーク30に略沿って開口孔を開けて種苗を植えるようになっている。そうすると、開口孔を開けた後は、除去マーク30の内側にある案内部12も除去されるため、例えば、一度にまとめて開口孔を開ける等の使用方法や使用者によっては、植えた種苗の種類やその育成領域が分からなくなってしまう恐れがある。そこで、本第一の実施形態の第三の変形例に係るシート10−3である図8に示すように、案内部12を除去マーク30の周囲に配置して、開口孔を開けた後であっても案内部12が残るようにしてもよい。
【0038】
図9は、本発明の第二の実施形態に係る菜園又は農業用シート50の表面図である。
この図において、図1ないし図8のシート10,10−1,10−2,10−3と同一の符号を付した箇所は同様の構成であるから、重複する説明は省略し、以下、相違点を中心に説明する。
第二の実施形態の菜園又は農業用シート(以下、「本シート」という)50が第1の実施形態のシート10,10−1,10−2,10−3と主に異なるのは、本シート自体に開口孔を開けて種苗を植えるのではなく、テンプレート方式のようにして、公知のポリエチレン製等のシート・フィルム・マルチフィルム(以下、「既存フィルム」という)に開口孔を開けるようにした点である。
【0039】
すなわち、本シート50の平面状の大きさは、別の既存フィルムの上に被せられる程度の幅W4を有し、かつ、既存フィルムに比べて相対的に大きな重量を有し、既存フィルムの上に被せた場合、風等で容易に飛ばないようになっている。具体的には、本シート50は軟質性塩化ビニル等の樹脂により形成され、畝部上に敷かれた既存フィルムの上に載置した際、当該敷かれた既存フィルムの形状に沿える可撓性を有している。
【0040】
そして、本シート50の複数の案内部40,41,42,43は、それぞれ予め形成された開口孔40a,41a,42a,43aを有しており、図9の開口孔40a,41a,42a,43aは、公知の穴あけ器具に対応して、厚み方向に貫通した円形の孔とされている。従って、本シート50は、既存フィルムの上に載置した状態で、開口孔40a,41a,42a,43aの中に公知の穴あけ器具を挿入し、本シート50の下に敷かれた既存フィルムに開口孔を開けられるようになっている。
【0041】
そして、案内部40〜43は、図1の案内部12と同様の機能を有している。すなわち、種苗の育成領域の大きさに応じて異なるマークとされている。図9の場合、開口孔周縁40b,41b,42b,43bが、実線の円、太い実線の円、一点鎖線の円、破線の円、とされている。また、開口孔40a,41a,42a,43aはその全てが円形状であるため、使用者が区別し易いように、開口孔周縁40b,41b,42b,43bには異なる着色がなされている。
また、案内部40〜43は、同じ大きさを有する育成領域どうしが可及的に重ならないように連続して配置されると共に、異なる大きさを有する育成領域が互いに重なるように配置されている。具体的には、案内部40〜43は、図1の最小単位ユニットUTの案内部12と同じ配置になっている。すなわち、図9の案内部40は図1の案内部20、図9の案内部41は図1の案内部23、図9の案内部42は図1の案内部25、図9の案内部43は図1の案内部27に夫々対応した位置となっている。
したがって、小型化されたシート50の中で、各案内部40〜43に対応した育成領域を判断しながら、育成領域が重なっている範囲では植える予定の種苗に応じた案内部を適宜選択し、本シート50の下に敷かれた既存フィルムに孔を開けて、そこに適切に種苗を植えることができる。
【0042】
なお、本シート50の長さL3は、上述した最小単位ユニットUTの長さL2を有しており、図9の場合、最小単位ユニットUTの長さL2に比べて、長さ方向(畝部の長さ方向に対応した方向)Yの両端部に案内部12のない余剰部分SU1,SU2を有する分だけ長くなっている。
余剰部分SU1,SU2は2つの役割を有している。一つ目は畝部上に敷かれた既存フィルムを押さえ付ける役割であり、二つ目はガイド52を配置する役割である。ガイド52は、最小単位ユニットUTの長さL2以上の既存フィルムに開口孔を開けようとして、本シート50をずらして既存フィルム上に載置した際、位置がずれて適切な育成領域が判断できなくなる事態を防止するための孔である。
【0043】
具体的には、ガイド52は貫通孔52aとその周縁の印52bを有している。印52bは、案内部40〜43の開口孔周縁の形状との差異を出すため、図の場合は点線の円形状とされている。なお、本発明はこれに限られるものはなく、ガイド52を貫通孔52aのみにしてもよい。貫通孔52aだけであっても、案内部40〜43の開口孔周縁40b,41b,42b,43bには着色された円が表示され、ガイド52との区別が可能であるからである。
また、ガイド52は前方の余剰部分SU1に複数配置され、この複数のガイド52は、反対側(図9の一番下側)の複数の案内部40−1,41−1と、その互いの間隔も含めて同じ並び方をしている。本実施形態では、余剰領域SU1に配置された複数のガイド52の貫通孔52aは、その反対側の複数の案内部の貫通孔40a,41a,42aを略コピーするようにして配列されている。なお、「略コピー」としたのは、図9の案内部42の内側に配置された開口孔40bの大きさが貫通孔52aと異なるためである。このように案内部42の内側に配置された開口孔40bを、他の開口孔40bに比べて大きくしたのは、案内部42に植える種苗の特性を考慮してである。
そして、ガイド52の中心と長さ方向Yに隣接して対応する案内部40−2,41−2の中心との距離Y1,Y2が、当該案内部40−2,41−2の育成領域の直径と同じ寸法とされている。
【0044】
次に、本シート50の使用方法を、本シート50の使用方法の一例を説明する図である図10を参酌しながら説明する。なお、この説明では、図6及び図7で説明した使用方法と異なる点を主に説明する。
図10に示すように、先ず、畝部AXの上に、本シート50とは別の既存フィルムBSを載置し,その後、その既存フィルムBSの上に本シート50を載置する。この際、本シート50は可撓性を有するため、既存フィルムBSの形状に沿って載置される。
また、図10では、ビニルシートBSの長さL4は最小単位ユニットUTの長さL2よりも大きいため、初めに、本シート50を既存フィルムBSの片側の領域BS−1に載置する。
【0045】
次に、案内部40〜43の中から、育成領域が重ならないように配慮しながら、植えたい種苗に対応した案内部を適宜選択し(図の場合は案内部40と案内部41を選択)、その案内部40,41の開口孔40a,41aに公知の穴あけ器具を差し込んで、図の破線のように既存フィルムBSに孔400,410を開ける。そして、本シート50を置いたまま、既存フィルムBSの孔400,410に案内部40,41に対応した種苗(例えば、案内部40に対応した小松菜の種苗、案内部41に対応した大根の種苗)を植える。
【0046】
次に、本シート50を領域BS−1に隣接する領域BS−2に載置する。この際、ガイド52の貫通孔52aと、既に開けている領域BS−2に近い孔400,410とが一致するようにして本シート50を載置する。
そして、案内部40〜43の中から、育成領域が重ならないように配慮しながら、植えたい種苗に対応した案内部を適宜選択し、既存フィルムBSに孔を開けて種苗を植える。ここで、ガイド52の貫通孔52aの中心と長さ方向Yに隣接して対応する案内部40−2,41−2の中心との距離Y1,Y2は、当該案内部40−2,41−2の育成領域の直径と同じ寸法である。このため、育成領域が重ならないように配慮する際、領域BS−1に既に開けた領域BS−2に近い孔400,410に植えた種苗の育成領域を理解することができる。
【0047】
ところで、本発明は上記実施形態に限定されず、種々の変形例を採用できる。
例えば、図1の除去マーク30は一重の円形状でもよく、その際、その円形状をミシン目で形成して、開口孔を手などで容易に開けられるようにすると好ましい。
また、例えば図11の下側に示すように、同じ除去マーク30の中に、互いに重ならない異なる複数の案内部20−2,25−2を表示してもよく、このようにしても、大きな育成領域ER3の中に小さな育成領域ER1が完全に包含された関係となり、これにより、限られたスペースの中に多数の案内部12を収めることができる。なお、この異なる複数の案内部は同じ除去マーク30の中にあれば、例えば、図11の上側に示すように、案内部20−3と案内部25−3とが一部重なっていてもよい。
【符号の説明】
【0048】
10,10−1,10−2,10−3,50・・・菜園又は農業用シート、12,23,25,27,40,41,42,43・・・案内部、ER1,ER2,ER3,ER4・・・育成領域、UT・・・最小単位ユニット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11