特許第6363825号(P6363825)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6363825
(24)【登録日】2018年7月6日
(45)【発行日】2018年7月25日
(54)【発明の名称】半導体装置及びリードフレーム
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/50 20060101AFI20180712BHJP
   H01L 23/28 20060101ALI20180712BHJP
   H01L 23/48 20060101ALI20180712BHJP
【FI】
   H01L23/50 K
   H01L23/50 L
   H01L23/50 N
   H01L23/28 A
   H01L23/48 P
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-157002(P2013-157002)
(22)【出願日】2013年7月29日
(65)【公開番号】特開2015-26791(P2015-26791A)
(43)【公開日】2015年2月5日
【審査請求日】2016年1月19日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002037
【氏名又は名称】新電元工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100160093
【弁理士】
【氏名又は名称】小室 敏雄
(72)【発明者】
【氏名】篠竹 洋平
【審査官】 黒田 久美子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−085115(JP,A)
【文献】 実開昭57−006251(JP,U)
【文献】 特開平03−235360(JP,A)
【文献】 特開2002−100716(JP,A)
【文献】 特開平04−132249(JP,A)
【文献】 特開平04−261054(JP,A)
【文献】 特開平05−109920(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/50
H01L 23/28
H01L 23/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミックス基板と、
前記セラミックス基板に搭載される半導体チップと、
導電性を有しかつ帯板状に形成されて、その長手方向の一端部が前記セラミックス基板に形成された配線パターンに接合されるリードと、
前記セラミックス基板、前記半導体チップ及び前記リードの一端側を封止するモールド樹脂とを備え、
前記モールド樹脂によって封止される前記リードのインナーリード部に、折れ曲がった形状の折曲部が形成され、
前記インナーリード部の折曲部が、前記リードの面方向に沿って折れ曲がる面方向折曲部と、前記リードの厚さ方向に沿って折れ曲がる厚さ方向折曲部とを備え、
前記厚さ方向折曲部が、
前記インナーリード部の一端を前記セラミックス基板から離間させる方向へ折れ曲がる厚さ方向第1折曲部と、
前記厚さ方向第1折曲部よりも前記インナーリード部の一端側に配置され、前記インナーリード部の一端を前記セラミックス基板に近づける方向へ折れ曲がる厚さ方向第2折曲部とを備え、
前記厚さ方向第2折曲部が、前記リードの長手方向に沿って2つ連続して並べられ、
2つの前記厚さ方向第2折曲部の間のリード部分は、前記セラミックス基板の上面とほぼ平行になっており、前記リードの長手方向に沿って2つ連続して並べられた厚さ方向第2折曲部よりも前記インナーリード部の一端側に配置されるとともに、前記インナーリード部の一端を前記セラミックス基板から離間させる方向へ折れ曲がる厚さ方向第3折曲部を備え、前記インナーリード部の前記厚さ方向第3折曲部よりも一端側に位置する部分が、一端に向かうに従い前記セラミックス基板に近づくように前記セラミックス基板に対して傾斜していると共に、押し付けられた状態で前記インナーリード部の一端が前記セラミックス基板の前記配線パターンに面接触して接合されており、
前記面方向折曲部が、2つの前記厚さ方向第2折曲部の間の前記リード部分に設けられることにより、前記インナーリード部の延在する方向が、前記リード部分において変化していることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記モールド樹脂によって封止される前記リードのインナーリード部が、複数設けられていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
帯板状に形成されるとともに幅方向に間隔をあけて配列され、長さ方向の一端側がセラミックス基板の配線パターンに接合される複数のリードと、これら複数のリードを連結する枠体部とを備え、
前記リードのインナーリード部の一端部に、折れ曲がった形状の折曲部が形成され前記折曲部が、前記リードの面方向に沿って折れ曲がる面方向折曲部と、前記リードの厚さ方向に沿って折れ曲がる厚さ方向折曲部とを備え、
前記厚さ方向折曲部が、
前記インナーリード部の一端を前記セラミックス基板から離間させる方向へ折れ曲がる厚さ方向第1折曲部と、
前記厚さ方向第1折曲部よりも前記インナーリード部の一端側に配置され、前記インナーリード部の一端を前記セラミックス基板に近づける方向へ折れ曲がる厚さ方向第2折曲部とを備え、
前記厚さ方向第2折曲部が、前記リードの長手方向に沿って2つ連続して並べられ、
2つの前記厚さ方向第2折曲部の間のリード部分は、前記セラミックス基板の上面とほぼ平行になっており、
前記リードの長手方向に沿って2つ連続して並べられた厚さ方向第2折曲部よりも前記インナーリード部の一端側に配置されるとともに、前記インナーリード部の一端を前記セラミックス基板から離間させる方向へ折れ曲がる厚さ方向第3折曲部を備え、前記インナーリード部の前記厚さ方向第3折曲部よりも一端側に位置する部分が、一端に向かうに従い前記セラミックス基板に近づくように前記セラミックス基板に対して傾斜していると共に、押し付けられた状態で、前記インナーリード部の一端が前記セラミックス基板の前記配線パターンに面接触して接合されており、
前記面方向折曲部が、2つの前記厚さ方向第2折曲部の間の前記リード部分に設けられることにより、前記インナーリード部の延在する方向が、前記リード部分において変化していることを特徴とするリードフレーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は半導体装置及びリードフレームに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置として、例えば、特許文献1に開示されているように、配線基板と、配線基板に搭載される半導体チップと、配線基板に形成された配線パターンに接合されるリードとがモールド樹脂で一体に封止される樹脂封止型の半導体装置が知られている。
ところで、近年、絶縁特性に優れる、比較的安価であるという点から樹脂封止型の半導体装置にも配線基板にセラミックス基板が使用され始めた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−073982号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
配線基板としてセラミックス基板を使用した樹脂封止型の半導体装置にあっては、セラミックス基板自体が高い硬度を持つ反面、脆い性質を持つ。このため、例えば、図6に示すように、半導体装置100のモールド樹脂101から外部へ引き出されたリード(アウターリード部)102を実装用として曲げ加工する際に、図7に示すように、リード102に外方へ引っ張る方向の荷重Faあるいは逆に内方へ圧縮する方向の荷重(図示略)、が加わる場合がある。このとき、引張荷重Faあるいは圧縮荷重がリード102を介して、樹脂封止された内部のセラミックス基板にまで伝達される。そして、セラミックス基板がリード102の内端から押圧力を受けクラックが生じる。あるいは、リード102の内端が配線パターンに接合された部分から引き剥がれるといった、損傷を受けるおそれがあった。
【0005】
上記のようなリード102を介してセラミックス基板に荷重が加わり損傷する現象は、当該半導体装置100が実装基板に実装された後も見られる。例えば、図8に示すように、リード102を含めた半導体装置100の熱膨張率と実装基板103の熱膨張率の違いから、当該半導体装置100が、比較的大きな温度変化が生じる箇所に配置される場合に、リード102の内端を介して内部のセラミックス基板に過大な引張荷重Faあるいは圧縮荷重Fbが加わるおそれがある。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みたものであって、リードに荷重が加わる場合でも、その荷重がセラミックス基板まで伝達しにくく、セラミックス基板の損傷を未然に防ぐことができる半導体装置及びリードフレームを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題を解決するために、本発明に係る半導体装置は、セラミックス基板と、
前記セラミックス基板に搭載される半導体チップと、
導電性を有しかつ帯板状に形成されて、その長手方向の一端部が前記セラミックス基板に形成された配線パターンに接合されるリードと、
前記セラミックス基板、前記半導体チップ及び前記リードの一端側を封止するモールド樹脂とを備え、
前記モールド樹脂によって封止される前記リードのインナーリード部に、折れ曲がった形状の折曲部が形成され、
前記インナーリード部の折曲部が、前記リードの面方向に沿って折れ曲がる面方向折曲部と、前記リードの厚さ方向に沿って折れ曲がる厚さ方向折曲部とを備え、
前記厚さ方向折曲部が、
前記インナーリード部の一端を前記セラミックス基板から離間させる方向へ折れ曲がる厚さ方向第1折曲部と、
前記厚さ方向第1折曲部よりも前記インナーリード部の一端側に配置され、前記インナーリード部の一端を前記セラミックス基板に近づける方向へ折れ曲がる厚さ方向第2折曲部とを備え、
前記厚さ方向第2折曲部が、前記リードの長手方向に沿って2つ連続して並べられ、
2つの前記厚さ方向第2折曲部の間のリード部分は、前記セラミックス基板の上面とほぼ平行になっており、前記リードの長手方向に沿って2つ連続して並べられた厚さ方向第2折曲部よりも前記インナーリード部の一端側に配置されるとともに、前記インナーリード部の一端を前記セラミックス基板から離間させる方向へ折れ曲がる厚さ方向第3折曲部を備え、前記インナーリード部の前記厚さ方向第3折曲部よりも一端側に位置する部分が、一端に向かうに従い前記セラミックス基板に近づくように前記セラミックス基板に対して傾斜していると共に、押し付けられた状態で前記インナーリード部の一端が前記セラミックス基板の前記配線パターンに面接触して接合されており、
前記面方向折曲部が、2つの前記厚さ方向第2折曲部の間の前記リード部分に設けられることにより、前記インナーリード部の延在する方向が、前記リード部分において変化していることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係るリードフレームは、帯板状に形成されるとともに幅方向に間隔をあけて配列され、長さ方向の一端側がセラミックス基板の配線パターンに接合される複数のリードと、これら複数のリードを連結する枠体部とを備え、
前記リードのインナーリード部の一端部に、折れ曲がった形状の折曲部が形成され前記折曲部が、前記リードの面方向に沿って折れ曲がる面方向折曲部と、前記リードの厚さ方向に沿って折れ曲がる厚さ方向折曲部とを備え、
前記厚さ方向折曲部が、
前記インナーリード部の一端を前記セラミックス基板から離間させる方向へ折れ曲がる厚さ方向第1折曲部と、
前記厚さ方向第1折曲部よりも前記インナーリード部の一端側に配置され、前記インナーリード部の一端を前記セラミックス基板に近づける方向へ折れ曲がる厚さ方向第2折曲部とを備え、
前記厚さ方向第2折曲部が、前記リードの長手方向に沿って2つ連続して並べられ、
2つの前記厚さ方向第2折曲部の間のリード部分は、前記セラミックス基板の上面とほぼ平行になっており、
前記リードの長手方向に沿って2つ連続して並べられた厚さ方向第2折曲部よりも前記インナーリード部の一端側に配置されるとともに、前記インナーリード部の一端を前記セラミックス基板から離間させる方向へ折れ曲がる厚さ方向第3折曲部を備え、前記インナーリード部の前記厚さ方向第3折曲部よりも一端側に位置する部分が、一端に向かうに従い前記セラミックス基板に近づくように前記セラミックス基板に対して傾斜していると共に、押し付けられた状態で、前記インナーリード部の一端が前記セラミックス基板の前記配線パターンに面接触して接合されており、
前記面方向折曲部が、2つの前記厚さ方向第2折曲部の間の前記リード部分に設けられることにより、前記インナーリード部の延在する方向が、前記リード部分において変化していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る半導体装置によれば、リードのインナーリード部に折曲部が形成されているため、リードに荷重が加わる際に該リードの荷重伝達が折曲部によって低下する。したがって、セラミックス基板と接合されるリードの一端には小さな荷重値となって伝達されることとなる。この結果、セラミックス基板のリードとの接合部分の損傷を未然に防止できる。
【0010】
また、本発明のリードフレームによれば、リードの面方向に沿って折れ曲がる面方向折曲部と、リードの厚さ方向に沿って折れ曲がる厚さ方向折曲部とを備えるので、リードに荷重が加わる際に該リードの荷重伝達がこれら面方向折曲部及び厚さ方向折曲部によって低下する。したがって、セラミックス基板と接合されるリードの一端には小さな荷重値となって伝達されることとなり、この結果、セラミックス基板のリードとの接合部分の損傷を未然に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態の半導体装置の製造途中段階の示す平面図である。
図2】本発明の一実施形態の半導体装置の一部の断面図である。
図3】本発明の一実施形態の半導体装置のリードの一端部の拡大図である。
図4】本発明の一実施形態の半導体装置の変形例のリードの一端部の作用説明図である。
図5】本発明の一実施形態の半導体装置の他の変形例のリードの一端部の作用説明図である。
図6】従来の半導体装置を示す正面図である。
図7】従来の半導体装置の課題を示す正面図である。
図8】従来の半導体装置の課題を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態について説明する。
図1は本発明の一実施形態の半導体装置の製造途中段階の示す平面図、図2は本発明の一実施形態の半導体装置の一部の断面図である。
これらの図に示すように、この実施形態の半導体装置1は、セラミックス基板2と、セラミックス基板2に搭載される半導体チップ3及び受動素子4と、導電性を有しかつ帯板状に形成されたリード5とを備える。セラミックス基板2、半導体チップ3、受動素子4及びリード5の一端側は、モールド樹脂6によって封止されている。つまり、この実施形態の半導体装置1は、樹脂封止型の半導体装置である。
【0013】
セラミックス基板2は、例えばアルミナにタングステンなどでパターンを形成したものを焼成することにより製作したものや、ガラスにセラミックスを混合した基板に銅でパターンを形成したものを低温で焼成することにより製作したものがある。セラミックス基板2の表面には配線パターン2Aが形成されている。アルミナ系のセラミックス基板は、高周波特性や熱伝導率に優れる特性を持つ。また、ガラスに窒化珪素等のセラミックスを混合したセラミックス基板は、熱膨張係数が小さい、あるいは絶縁特性が良い等の特性を持つ。いすれのセラミックス基板も、高い硬度を持つ反面脆い性質を持つ。
【0014】
半導体チップ3は、例えば、ダイオードやドランジスタ等のように通電によって発熱する半導体素子であり、平面視矩形の板状に形成されてその上面及び下面の両方に電極パッドを有して構成されている。半導体チップ3は、その下面が半田によってセラミックス基板2の配線パターン2Aに接合されることで、セラミックス基板2の上面に重ねて固定されるとともに、配線パターン2Aに電気接続されている。
【0015】
受動素子4は、例えば、コンデンサや抵抗等のように電力利得を与えない電気回路部品をいう。受動素子4は、平面視矩形の板状に形成されてその下面に電極パッドを有して構成されている。受動素子4は、その下面が半田によってセラミックス基板2の配線パターン2Aに接合されることで、セラミックス基板2の上面に重ねて固定されるとともに、配線パターン2Aに電気接続されている。
【0016】
モールド樹脂6は、内部に、セラミックス基板2、半導体チップ3、受動素子4及びリード5の一端側を埋設して形成されている。モールド樹脂6は、リード5の他端側が、当該モールド樹脂6から外部へ突出するように形成されている。また、モールド樹脂6としては、例えばエポキシ樹脂等の熱硬化樹脂が使用される。
なお、図1において、符号Pはモールド樹脂6が形成される部分の外側のラインを示している。
【0017】
リード5について説明すると、リード5は、例えば電源供給用の第1のリード5Aと、電気信号取り出し用の第2のリード5Bに分かれる。図1において、手前側に配置されているリードが第1のリード5Aであり、奥側に配置されているリードが第2のリード5Bである。第1のリード5Aと第2のリード5Bは、ともに、幅方向(図1において左右方向)に間隔をあけて複数配列されている。また、第1のリード5Aと第2のリード5Bは、ともに、モールド樹脂6に埋設されるインナーリード部51と、モールド樹脂6から外部へ突出するアウターリード部52とを有する。
【0018】
第1のリード5Aの各インナーリード部51は、一端(インナーリード部51の先端)の下部が所定の配線パターン2Aに、半田を介してそれぞれ電気接続されている。また、第2のリード5Bの各インナーリード部51は、一端部の上面が所定の半導体チップ3あるいは所定の配線パターン2Aに、ワイヤ7を介してそれぞれ電気接続されている。
なお、所定の半導体チップ3と所定の配線パターン2A同士も、ワイヤ7を介してそれぞれ電気接続されている。
【0019】
第1のリード5Aのインナーリード部51について説明すると、第1のリード5Aのインナーリード部51には、図1に示すように、リード5の面方向に沿って折れ曲がる面方向折曲部53を備えるものがある。また、第1のリード5Aのインナーリード部51には、リード5の厚さ方向に沿って折れ曲がる厚さ方向折曲部54を備えるものがある(図1における左から2番目並びに5番目の第1のリード5A参照)。また、第1のリード5Aのインナーリード部51には、面方向折曲部53と厚さ方向折曲部54の双方備えるものがある(図1において、最も左側に位置する第1のリード5A、並びに左から3番目、4番目の第1のリード5A参照)。
【0020】
図1において左から3番目の第1のリード5Aのインナーリード部51について説明すると、このインナーリード部51の厚さ方向折曲部54は、インナーリード部51の一端をセラミックス基板2から離間させる方向へ折れ曲がる厚さ方向第1折曲部54Aと、厚さ方向第1折曲部54Aよりもインナーリード部51の一端側に配置され、インナーリード部51の一端をセラミックス基板2に近づける方向へ折れ曲がる厚さ方向第2折曲部54Bを備える。
【0021】
図2の示すように、この実施形態では、厚さ方向第2折曲部54Bが第1のリード5Aの長手方向に沿って2つ連続して並べられている。これら2つの厚さ方向第2折曲部54Bの間のリード部分は、セラミックス基板2の上面とほぼ平行になっている。さらに、このインナーリード部51は、厚さ方向第2折曲部54Bよりもインナーリード部51の一端側に配置され、インナーリード部51の一端をセラミックス基板2から離間させる方向へ折れ曲がる厚さ方向第3折曲部54Cを備える。
【0022】
図3にも示すように、インナーリード部51の厚さ方向第3折曲部54Cよりも一端側に位置する部分55が、一端に向かうに従いセラミックス基板2に近づくようにセラミックス基板2に対して所定の角度θを有して傾斜している。そして、インナーリード部51の一端が、セラミックス基板2の配線パターン2Aに半田を介して電気接続されている。
なお、図3は、この実施形態の半導体装置の第1のリード5Aの一端部分の拡大図である。
【0023】
図1はこの実施形態の半導体装置の製造途中段階の示す平面図である。この図において符号60はリードフレームを示す。リードフレーム60は、前述したリード5となるリード部61、リード部61同士をつなぐリード部連結部62、リード部61およびリード部連結部62をともに所定の剛性を持たせて支持する外枠部63とを備える。
【0024】
このリードフレーム60は最初平板状に形成されているものの、所定の切断加工並びにプレス加工がそれぞれ施されることによって、リード部61が、平面視所定の外観形状となるように、しかも、厚さ方向第1折曲部54A、厚さ方向第2折曲部54B、及び厚さ方向第3折曲部54Cを有する厚さ方向折曲部54、並びに面方向折曲部53を有するように形成される。
【0025】
また、図1において符号Cはリードフレーム60の切断箇所を示している。所定の製造工程を経た後、セラミックス基板2、半導体チップ3、受動素子4及びリード5の一端側等がモールド樹脂6によって埋設され、その後、前記切断箇所Cから切断されることにより、当該半導体装置は外枠部63から切り離されるとともに個々に切り離される。
【0026】
次に、上記構成の半導体装置1の作用について説明する。
上記半導体装置1によれば、リード5のインナーリード部51に折曲部が形成され、このインナーリード部51の折曲部が、リード5の面方向に沿って折れ曲がる面方向折曲部53を備えるので、リード5に荷重が加わる際に該リード5の荷重伝達がこの面方向折曲部53によって低下する。したがって、セラミックス基板2と接合されるリード5の一端には小さな荷重値となって伝達されることとなり、セラミックス基板2のリード5との接合部分の損傷を未然に防止できる。
【0027】
また、インナーリード部51の折曲部が、リード5の面方向に沿って折れ曲がる面方向折曲部53を備えるので、リード5自体の高さ方向(板厚方向)の占有スペースを小さくすることができ、ひいては半導体装置1の高さ寸法を小さくすることが可能である。
また、リード5のインナーリード部51の折曲部が、リード5の厚さ方向に沿って折れ曲がる厚さ方向折曲部54を備えるので、リード5に荷重が加わる際に該リード5の荷重伝達がこの厚さ方向折曲部54によって低下する。したがって、セラミックス基板2と接合されるリード5の一端には小さな荷重値となって伝達されることとなり、この意味においても、セラミックス基板2のリード5との接合部分の損傷を未然に防止できる。
【0028】
また、インナーリード部51の折曲部が、リード5の厚さ方向に沿って折れ曲がる厚さ方向折曲部54を備えるので、リード5自体の面方向の占有スペースを小さくすることができ、ひいては半導体装置1の面方向に沿う寸法、例えば半導体装置1の長さ寸法あるいは半導体装置の幅寸法を小さくすることができる。
【0029】
また、厚さ方向折曲部54として、厚さ方向第1折曲部54Aと厚さ方向第2折曲部54Bとの2つの折曲部を有しているので、リード5に荷重が加わる際に該リード5の荷重伝達がこれら少なくとも2つの折曲部54A、54Bによって低下する。この結果、リード5に加わる荷重は、セラミックス基板2と接合されるリードの一端には、より小さな荷重値となって伝達されることとなり、セラミックス基板2のリード5との接合部分の損傷をより一層防止できる。
【0030】
さらに、厚さ方向折曲部54として、厚さ方向第2折曲部54Bよりもインナーリード部51の一端側に配置され、インナーリード部51の一端をセラミックス基板2から離間させる方向へ折れ曲がる厚さ方向第3折曲部54Cを備え、インナーリード部51の厚さ方向第3折曲部54Cよりも一端側に位置する部分55が、一端に向かうに従いセラミックス基板2に近づくようにセラミックス基板2に対して傾斜しているので、インナーリード部51の厚さ方向第3折曲部54Cより一端側に位置する部分55の傾斜角θを正確に設定することができる。この結果、リード5の一端のセラミックス基板2への半田を介した接合形態を理想形態に近づけることが可能となる。
【0031】
以上、上記実施形態により本発明の詳細を説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0032】
例えば、前記実施形態では、厚さ方向第1折曲部54A、厚さ方向第2折曲部54B、厚さ方向第3折曲部54Cを有する第1のリード5Aのインナーリード部51の一端を、セラミックス基板2の配線パターン2Aへ接合するにあたり、同インナーリード部51の形状を自然状態に保った状態のまま配線パターン2Aに接合させていたが、これに限られることなく、図4に示すように、前記インナーリード部51がセラミックス基板2に対して相対的に近づくように押し付けた状態で、インナーリード部51の一端をセラミックス基板2の配線パターン2Aに接合させてもよい。
この場合、インナーリード部51の厚さ方向第3折曲部54Cよりも一端側に位置する部分55のセラミックス基板2に対する傾斜角度θaが、図3で示す所定の角度θよりも小さくなる。
【0033】
インナーリード部51が複数ある場合、複数のインナーリード部51の一端全てを、セラミックス基板2に対し同じ高さ位置に設定するのは、製造誤差等があるため困難である。
このとき、前述したように、インナーリード部51がセラミックス基板2に対して相対的に近づくように押し付けて接合すれば、インナーリード部51の弾性作用によって、複数のインナーリード部51の一端全てを、セラミックス基板2に対し同じ高さ位置に設定することができ、インナーリード部51の一端のセラミックス基板2への接合が容易となる。
【0034】
また、インナーリード部51の一端をセラミックス基板2の配線パターン2Aへ接合するにあたり、図5に示すように、インナーリード部51をセラミックス基板2に対して相対的に近づくように押し付けて、インナーリード部51の厚さ方向第3折曲部54Cよりも一端側の部分55をセラミックス基板2の配線パターン2Aに面接触させて接合させてもよい。
このような接合方法を実施するには、インナーリード部51をセラミックス基板2に対して相対的に近づくよう、図4に示すときよりもより強い力で押し付ける方法、あるいは、図4に示す例の場合と同程度の押し付け力で、インナーリード部51をセラミックス基板2に対して押し付けるものの、インナーリード部51の厚さ方向第3折曲部54Cよりも一端側に位置する部分55のセラミックス基板2に対する傾斜角度θを、予め小さな角度に設定する方法が考えられる。
【0035】
このような構成では、前述の図4に示す例の効果に加え、インナーリード部51の一端側がセラミックス基板2に対して面接触となるので、このときの、セラミックス基板2への押圧荷重を低減することができ、この点においても、セラミックス基板2の損傷を未然に防ぐことができる効果が得られる。
【0036】
なお、前記実施形態では、第1のリード5Aのインナーリード部51として、面方向折曲部53と厚さ方向折曲部54の双方を備えるが、これらのうちいずれか一方のみであってもよい。
また、前記実施形態では、第1のリード5Aのインナーリード部51に設ける厚さ方向折曲部54として、厚さ方向第1折曲部54A、厚さ方向第2折曲部54B及び厚さ方向第3折曲部54Cを備えるが、これに限られることなく、厚さ方向第1折曲部54Aと厚さ方向第2折曲部54Bのみを備える構成でも、あるいは厚さ方向第2折曲部54Bのみを備える構成でもよい。
【0037】
また、上記実施形態においては、半導体装置1の一側がわにのみ、一端側に折曲部を備える第1のリード5Aを配置しているが、これに限られることなく、半導体装置1の一側とは反対側の他側がわにも、一端側に折曲部を備える第1のリード5Aを配置してもよい。
また、リード5や半導体チップ3の配列や数、あるいは、セラミックス基板2の形状等は、上記実施形態のものに限らず、半導体装置1の仕様に応じて任意に変更可能である。
【符号の説明】
【0038】
1 半導体装置
2 セラミックス基板
3 半導体チップ
5 リード
5A 第1のリード
5B 第2のリード
6 モールド樹脂
7 ワイヤ
51 インナーリード部
52 アウターリード部
53 面方向折曲部
54 厚さ方向折曲部
54A 厚さ方向第1折曲部
54B 厚さ方向第2折曲部
54C 厚さ方向第3折曲部
55 インナーリード部の厚さ方向第3折曲部よりも一端側に位置する部分
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8