(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した従来の中空構造体においては、コア材102の一面側に合成樹脂シート104を加熱溶着させたときに、凹部110内の空間が合成樹脂シート104に塞がれて密閉空間となる。そのため、合成樹脂シート104の加熱溶着後に温度が低下すると、凹部110内の密閉空間にて空気の体積が減少し、合成樹脂シート104に多数の窪みが発生する。
【0006】
中空構造体において、表面の合成樹脂シート104に多数の窪みが発生すると、意匠性が低下するという問題や、成形後の中空構造体の表面(つまり多数の窪みが発生した合成樹脂シート104の表面)に印刷を施すことが困難になるという問題がある。
【0007】
本発明は、前記問題点に鑑みて発明したものであり、凹凸形状を有する合成樹脂製のコア材の両面を合成樹脂製のシートで覆って成る中空構造体において、コア材に貼着したシートの窪みを防止することを、課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために本発明の中空構造体を、下記構成を具備したものとする。
【0009】
本発明は、厚み方向に凹凸形状を有する合成樹脂製のコア材と、前記コア材の前記厚み方向の一方を覆う合成樹脂製の第一シートと、前記コア材の前記厚み方向の他方を覆う合成樹脂製の第二シートと、を具備し、前記コア材の材質と、前記第一シートの材質と、前記第二シートの材質は、互いに同一であり、前記コア材は、前記厚み方向の一方の側を向く第一面と、前記厚み方向の他方の側を向く第二面とを有し、前記第一面に、三角錐台状に突出する第一凸部が、平面視において千鳥状に多数配置され、且つ、三角錐台状に凹んだ第一凹部が千鳥状に多数配置され、前記第二面に、三角錐台状に突出する第二凸部が、平面視において千鳥状に多数配置され、且つ、三角錐台状に凹んだ第二凹部が千鳥状に多数配置され、前記第一凸部と前記第二凹部は、一対一で表裏に位置し、前記第二凸部と前記第一凹部は、一対一で表裏に位置し、前記第一面においては、規則的に配置される多数の基準点のそれぞれを囲んで三つの前記第一凸部と三つの前記第一凹部が交互に配置され、前記第二面においては、規則的に配置される多数の基準点のそれぞれを囲んで、三つの前記第二凸部と三つの前記第二凹部が交互に配置され、前記第一面の多数の基準点と、前記第二面の多数の基準点は、前記コア材の厚み方向の中間部分で、一対一で表裏に位置
し、前記第一凸部が有する稜線の曲率半径と、前記第一凹部が有する谷線の曲率半径とでは、前者の曲率半径よりも後者の曲率半径が小さく設定されていることを特徴とする中空構造体である。
【0010】
また、本発明は、三角錐台状に凹んだ真空引き用の凹部
と、三角錐台状に突出した凸部が千鳥状に多数配置した型を用いて、合成樹脂製のコアシートに真空成形を施すことで、厚み方向に凹凸形状を有する合成樹脂製のコア材を形成する工程と、前記コア材の前記厚み方向の一方の側に、合成樹脂製の第一シートを接着させる工程と、前記コア材の前記厚み方向の他方の側に、前記第一シートと同一の材質の第二シートを接着させる工程と、を備え、前記凹部は、三角形状の底面を有し、前記底面の各頂点近傍の箇所に、真空引き用の吸引孔を設けたものであり、
前記凹部が有する谷線の曲率半径と、前記凸部が有する稜線の曲率半径とでは、前者の曲率半径よりも後者の曲率半径が小さく設定されており、前記型を用いて形成される前記コア材は、前記厚み方向の一方の側を向く第一面と、前記厚み方向の他方の側を向く第二面とを有し、前記第一面に、三角錐台状に突出する第一凸部が、平面視において千鳥状に多数配置され、且つ、三角錐台状に凹んだ第一凹部が千鳥状に多数配置され、前記第二面に、三角錐台状に突出する第二凸部が、平面視において千鳥状に多数配置され、且つ、三角錐台状に凹んだ第二凹部が千鳥状に多数配置され、前記第一凸部と前記第二凹部は、一対一で表裏に位置し、前記第二凸部と前記第一凹部は、一対一で表裏に位置し、前記第一面においては、規則的に配置される多数の基準点のそれぞれを囲んで三つの前記第一凸部と三つの前記第一凹部が交互に配置され、前記第二面においては、規則的に配置される多数の基準点のそれぞれを囲んで、三つの前記第二凸部と三つの前記第二凹部が交互に配置され、前記第一面の多数の基準点と、前記第二面の多数の基準点は、前記コア材の厚み方向の中間部分で、一対一で表裏に位置するものであることを特徴とする中空構造体の製造方法である。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、凹凸形状を有する合成樹脂製のコア材の両面を合成樹脂製のシートで覆って成る中空構造体において、コア材に貼着したシートに窪みが生じることを、抑えることができる。そのため、成形後の中空構造体の表面が平坦になって意匠性が向上する。加えて、表面に印刷を簡単且つ綺麗に施すことができるという効果を奏する。また、成形後の中空構造体に意匠的、物性的な表裏が生じ難いので、中空構造体の表裏を気にすることなく商品を製作することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の第1実施形態の中空構造体について、
図1−
図8に基づいて説明する。
【0014】
図1は、本実施形態の中空構造体の斜視図である。この中空構造体は、
図2−
図5に示す合成樹脂製のコア材2の第一面4に、合成樹脂製の第一シート8を貼着し、コア材2の第二面6に、合成樹脂製の第二シート10を貼着した、パネル状の中空構造体である。
【0015】
これらコア材2、第一シート8及び第二シート10の材質としては、それぞれポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリ乳酸等が用いられる。コア材2、第一シート8及び第二シート10の材質は、互いに異なる材質であってもよいが、容易に剥離しないようにする為には、互いに同一の材質であることが好ましい。また、それぞれ単層であってもよいし、同等材料を複数積層させたものでもよい。同等材料を積層させる場合、例えば、ブロックポリプロピレンとホモポリプロピレンを積層させることが考えられる。
【0016】
コア材2は、その厚み方向12の両側に、互いに逆方向を向くように第一面4と第二面6を有する。
図2はコア材2の斜視図であり、
図3は第一面4側から視た正面図、
図4は第二面6側から視た背面図、
図5は側面図である。
【0017】
コア材2は、熱可塑性を有する合成樹脂製のシート材を用い、
図6に示すような型16に沿ってシート材に凹凸を加工することで形成する。具体的には、型16を表面に有する真空成形ロールを用い、この真空成形ロールを回転させながら、加熱により軟化させたシート材の一面側を型16に順次吸引させて、当該シート材に凹凸を形成していく。
【0018】
型16は、多数の凹部18を、千鳥状となるように規則的に配置した凹凸形状を有する。凹部18は、三角錐台状に凹んだ寸法形状であり、各凹部18の底面が同大同型の正三角形状を有する。各凹部18の底面には、真空引き用の吸引孔20をその中央部分に形成している。つまり、型16が有する各凹部18は、真空引きのための吸引キャビティとなっている。真空引き用の吸引孔20を形成する箇所は、各凹部18の三角形状をなす底面の、各頂点近傍の箇所であってもよい。
【0019】
なお、ここでの千鳥状とは、所定の基準方向に沿って視たときに、隣接するもの同士が互いに食い違うように配置される状態を意味する。型16について言えば、例えば、凹部18の底面が有する一つの頂点から対辺に垂線を引いて当該垂線と平行な方向を基準方向としたときに、型16が有する多数の凹部18は、この基準方向に沿って互い違いに(即ち千鳥状に)配置されたものである。
【0020】
型16において、隣接する三角錐台状の凹部18間には、三角錐台状に突出した凸部22が多数形成される。これら多数の凸部22は、千鳥状となるように規則的に配置される。各凸部22の頂面は、同大同型の正三角形状を有する。
【0021】
前記構成の型16を用いた真空成形によって凹凸を加工したコア材2は、
図2、
図5等に示すように、第一面4と第二面6に凹凸形状を有する樹脂製の部材となる。
【0022】
図3にも示すように、第一面4は、千鳥状に多数配置される三角錐台状の第一凸部24と、同じく千鳥状に多数配置される三角錐台状の第一凹部26とを、型16の凹凸形状に沿って成形したものである。第一凸部24は、型16が有する各凹部18に沿って形成され、正三角形状の頂面を有する。第一凹部26は、型16が有する各凸部22に沿って形成され、正三角形状の底面を有する。
【0023】
第一面4においては、所定の基準点28を囲んで周方向に等間隔を隔てた箇所に、三つの第一凸部24が配置される。この基準点28は、コア材2の厚み方向12の中間部分に位置する。第一面4は、このような多数の基準点28を規則的な配置で有し、これら基準点28を囲む第一凸部24を連続的に多数有する。
【0024】
第一凸部24は稜線30を有し、三つの第一凸部24の稜線30同士が基準点28にて交わる。同様に、この基準点28を囲んで周方向に等間隔を隔てた箇所に、三つの第一凹部26が配置される。第一凹部26は谷線32を有し、三つの第一凹部26の谷線32同士がこの基準点28にて交わる。稜線30と谷線32は共に、僅かな幅を有する。第一面4においては、コア材2の厚み方向12の中間部分を基準として、対称に凹凸を形成している。なお、第一面4に配置される第一凸部24間の周方向の間隔や、第一凹部26間の周方向の間隔は、等間隔でなく多少異なる間隔に設定しても構わない。また、基準点28の位置も、厚み方向12の厳密な中間点でなくてよく、厳密な中間点から厚み方向12に多少ずれた位置に基準点28があっても構わない。この場合、コア材2の凹凸は厳密な対称ではなく、略対称な形状となる。
【0025】
図4に示すように、第一面4と表裏の関係にある第二面6は、千鳥状に多数配置される三角錐台状の第二凸部34と、同じく千鳥状に多数配置される三角錐台状の第二凹部36とを、型16の凹凸形状に沿って成形したものである。第二凸部34は、第一面4が有する第一凹部26の裏面側であり、正三角形状の頂面を有する。第二凹部36は、第一面4が有する第一凸部24の裏面側であり、正三角形状の底面を有する。
【0026】
第二面6においては、所定の基準点38を囲んで周方向に等間隔を隔てた箇所に、三つの第二凸部34が配置される。この基準点38は、コア材2の厚み方向12の中間部分に位置する。第二面6は、このような多数の基準点38を規則的な配置で有し、これら基準点38を囲む第二凸部34を連続的に多数有する。第二面6の基準点38と第一面4の基準点28は、表裏の関係にある。
【0027】
第二凸部34は稜線40を有し、三つの第二凸部34の稜線40同士が基準点38にて交わる。同様に、この基準点38を囲んで周方向に等間隔を隔てた箇所に、それぞれ三つの第二凹部36が配置される。第二凹部36は谷線42を有し、三つの第二凹部36の谷線42同士がこの基準点38にて交わる。稜線40と谷線42は共に、僅かな幅を有する。このように、第二面6においても、コア材2の厚み方向12の中間部分を基準として、対称に凹凸を形成している。第二凸部34間の周方向の間隔や、第二凹部36間の周方向の間隔は、等間隔でなく多少異なる間隔に設定しても構わない。また、基準点38の位置が、厚み方向12の厳密な中間点から多少ずれた位置であってもよく、この場合、凹凸は略対称な形状となる。
【0028】
ところで、この基準点38の近傍箇所は、真空成形時にブリッジと呼ばれる皺が発生じやすい箇所である。この箇所にブリッジが発生すると、その分だけ他の部分が薄肉になって圧縮強度が低下し、コア材2に第1シート8や第2シート10を貼着するときに、コア材2が潰れ易くなる。
【0029】
この箇所のブリッジは、当該基準点38を囲んで位置する第二凹部36の傾斜角度が垂直に近いほど発生し易く、また、当該基準点38を囲んで位置する第二凸部34の稜線40の曲率半径が小さいほど発生し易い。そのため、ブリッジの発生を防止するには、三角錐台状である第二凹部36の側壁の垂直からの傾きを20°以上とし、且つ、第二凸部34の稜線40を、0.5mm以上の曲率半径を有する凸曲面に設定することが好ましい。より好ましくは、三角錐台状である第二凹部36の側壁の傾きを20°以上とし、且つ、第二凸部34の稜線40の曲率半径を1mm以上とする。
【0030】
なお、第二面6の第二凸部34は、型16が有する各凸部22に沿って形成され、第二面6の第二凹部36は、型16が有する各凹部18に沿って形成されるものである。そのため、真空成形時のブリッジ発生を防止するには、即ち、三角錐台状である各凹部18の側壁の傾きを20°以上とし、且つ、三角錐台状である各凸部22の稜線を、0.5mm以上(より好ましくは1mm以上)の曲率半径を有する凸曲面に設定することが好ましい。
【0031】
型16が有する各凹部18の谷線の曲率半径と、型16が有する各凸部22の稜線の曲率半径とでは、前者の曲率半径よりも後者の曲率半径を、コア材2に用いるシート材の厚み分だけ小さく設定することが好ましい。この設定によれば、成形後のコア材2が有する第一凸部24の稜線30と、第二凸部34の稜線40とで、互いの曲率半径を一致させることが可能となる。
【0032】
前記構造の第一面4に貼着される第一シート8は、第一面4に千鳥状に配置される各第一凸部24の頂面に対して、加熱溶着される。同様に、前記構造の第二面6に貼着される第二シート10は、第二面6に千鳥状に配置される各第二凸部34の頂面に対して、加熱溶着される。
【0033】
このとき、コア材2の第一面4と第一シート8との間に形成される空間は、隣接する第一凸部24間のスペースを通じて全てが互いに連通し、且つ、外部空間とも連通した状態となる。即ち、第一面4側において、第一シート8により塞がれた密閉空間は存在しないので、加熱溶着後に、第一シート8に多数の窪みが発生することは防止される。
【0034】
同様に、コア材2の第二面6と第二シート10との間に形成される空間は、隣接する第二凸部34間のスペースを通じて全てが互いに連通し、且つ、外部空間とも連通した状態となる。第二面6側においても、第二シート10により塞がれた密閉空間は存在せず、加熱溶着後に、第二シート10に多数の窪みが発生することは防止される。
【0035】
加えて、コア材2は、厚み方向12の中間部分を基準として略対称に形成されているので、このコア材2を両側からシート8,10で挟んで形成した中空構造体は、等方性に優れたパネルとなる。
【0036】
図7と
図8には、本実施形態の中空構造体の基本的な寸法関係を示している。
図7には第一面4側での第一凸部24の基本的な配置を示し、
図8には、
図7中のA−A線断面を示している。
【0037】
三角錐台状である第一凸部24の基本形状は、正三角形状の下底面50と、この下底面50よりも面積が小さい正三角形状の上底面52と、下底面50の各辺と上底面52の各辺を一対一につなぐ都合三箇所の側面54とで表される。下底面50は、コア材2の厚み方向12の中間に位置する仮想面であり、下底面50の各頂点が基準点28となる。隣接する三つの第一凸部24の下底面50は、この基準点28で互いの頂点が重なるように配置される。
【0038】
各側面54は、下底面50や上底面52と垂直な方向(コア材2の厚み方向12)を基準としたときに角度θだけ傾いて位置する。下底面50の各頂点と上底面52の各頂点は、稜線30を介して一対一につながる。
【0039】
第一面4における第一凸部24の配置は、正六角形状のセル60を基準として設定する。セル60は、第一面4側にハニカム状に配置したものであり、正六角形である各セル60が有する六箇所の頂点のうち、一つずつ飛ばした都合三箇所の頂点が、基準点28となる。
【0040】
コア材2の表裏の凹凸は、厚み方向12の中間部分を基準として対称に形成されるため、第二面6側での第二凸部34の配置及び寸法形状は、第一面4側での第一凸部24の配置及び寸法形状と同様である。
【0041】
ここで、セル60の平行な二辺間の寸法であるセルサイズをCS[mm]、中空構造体の全体の厚みをTb[mm]、凹凸に形成されたコア材2の厚みをTc[mm]、コア材2を形成するコアシートの厚みをTcs[mm]、第一シート8と第二シート10の厚みをTss[mm]とし、それぞれ図に示す。
【0042】
本実施形態においては、セルサイズCS=9.0[mm]、中空構造体の厚みTb=5.6[mm]、コア材2の厚みTc=4.8[mm]、コア材2を形成するコアシートの厚みTcs=0.3[mm]、第一シート8と第二シート10の厚みTss=0.4[mm]で設けている。セル60は正六角形であるため、セルサイズCS=9.0[mm]に設けた各セル60の面積S0≒70.1[mm
2]となり、第一凸部24が有する下底面50の面積S2=S0/2≒35.1[mm
2]となり、上底面52の面積S1≒14.1[mm
2]となる。第一凸部24の傾斜は角度θ=25.0[°]に設けている。
【0043】
このとき、第一凸部24が有する下底面50の面積S2[mm
2]に対する上底面52の面積S1[mm
2]の比は、S1/S2≒40[%]となる。第一凸部24の上底面52は、熱溶着により第一シート8が接着する接着面である。したがって、コア材2の片面における接着面積比は、S1/S0≒20[%]となる。これらの寸法関係は、第二凸部34を千鳥状に配した第二面6側においても同様である。
【0044】
即ち、本実施形態の中空構造体においては、コア材2の表側で千鳥状に配置される錐台状の第一凸部24と、コア材2の裏側で千鳥状に配置される錐台状の第二凸部34は共に、下底と上底の面積比が約40[%]、接着面積比が約20[%]、傾きθが25.0[°]の基本形状を有する。更に、コア材2の厚みTcが4.8[mm]、コア材2をなすコアシートの厚みTcsが0.3[mm]という寸法を有する。
【0045】
このとき、第一シート8や第二シート10に対するコア材2の接着強度は、その接着面積比が約20[%]であるため、十分な接着強度で確保される。また、ポリプロピレン製である本実施形態の中空構造体によれば、前記条件において圧縮強度は0.35〜0.45[Mpa]、曲げ強度は17.2〜23.7[Nm/m]、曲げ剛性は4.8〜6.6[Nm
2/m]という実験結果が得られており、負荷のかかる多様な用途で使用可能である。しかも、単位面積あたりの重量は990[g/mm
2]であり、同一素材で製造した中実の板材と比較すれば20%程度の非常に軽量な板材となる。
【0046】
なお、実際の中空構造体は、第一シート8と第二シート10を貼着するときの圧力で全体が厚み方向に多少潰れた寸法となる。そのため、実際には、中空構造体の厚みTb=4.3〜4.9[mm]、コア材2の厚みTc=3.5〜4.1[mm]となる。
【0047】
ここで、中空構造体が備えるコア材2の接着面積比は、1〜46[%]の範囲内であることが好ましい。
【0048】
下記の表1のNo.1〜11には、セルサイズCS=9.0[mm]で一定に設け、傾きθを5.6〜49.7[°]の範囲内で変動させた場合に算出される接着面積比を示している。表1のNo.12〜27には、傾きθ=25.0[°]で一定に設けてセルサイズCSを3.3〜500.0[mm]の範囲内で変動させた場合に算出される接着面積比を示している。
【0049】
下記の表1のNo.1〜27のいずれも、中空構造体の厚みTb=5.6[mm]、コア材2の厚みTc=4.8[mm]、コアシートの厚みTcs=0.3[mm]、第一シート8と第二シート10の厚みTss=0.4[mm]に設けた場合である。中空構造体やコア材2の厚みTb[mm],Tc[mm]は、実際には、シート貼着時の潰れによってこれより小さな寸法となる。表1に示すD[mm]は、三角形状をなす上底面52の頂点と、隣接する他のセル60との間の距離である。
【0050】
下記の表1において、No.6の場合とNo.16の場合は同一である。表1の結果からも、接着面積比が1〜46[%]の範囲内であること、即ちNo.2〜10、No.13〜26の場合が好ましいことが分かる。
【0052】
次に、本発明の第2実施形態の中空構造体について、
図9に基づいて説明する。なお、第1実施形態と同様の構成については同一符号を付して詳しい説明を省略し、第1実施形態と異なる特徴的な構成についてのみ以下に詳述する。
【0053】
本実施形態の中空構造体では、
図9に示すように、第一面4において隣接する第一凸部24の頂面同士を、一方向にずらしながら配置している。つまり、第1実施形態の第一面4では、隣接する第一凸部24の頂面同士を、互いの正三角形の一辺同士が一直線上に位置する関係に設けているのに対して(
図3参照)、本実施形態では、隣接する第一凸部24の頂面同士を、互いの正三角形の一辺同士が平行であり且つ一直線上には位置しない関係に設けている。
【0054】
第一面4において隣接する第一凹部26の底面同士も、一方向にずらしながら配置される。つまり、本実施形態では、隣接する第一凹部26の底面同士を、互いの正三角形の一辺同士が平行であり且つ一直線上には位置しない関係に設けている。
【0055】
コア材2の第二面6は第一面4と表裏の関係にあるため、第二面6に形成される第二凸部34と第二凹部36も、第一面4側の第一凸部24や第一凹部26と同様の形態で配置される。
【0056】
以上、添付図面に基づいて説明したように、本発明の第1、第2実施形態の中空構造体は、凹凸形状を有する合成樹脂製のコア材2と、コア材2の厚み方向12の一方及び他方の側をそれぞれ覆う合成樹脂製の第一及び第二シート8,10と、を具備する中空構造体である。コア材2は、厚み方向12の一方の側に突出する錐台状の第一凸部24を、平面視において千鳥状に多数配置させ、且つ、厚み方向12の他方の側に突出する錐台状の第二凸部34を、平面視において千鳥状に多数配置させたものである。
【0057】
前記構成の中空構造体によれば、コア材2に第一シート8や第二シート10を貼着したときに密閉空間が生じないので、貼着後に第一シート8と第二シート10が窪みを生じることが防止される。
【0058】
そのため、前記構成の中空構造体は意匠性が高く、表面にゴミが溜まり難いものとなる。加えて、第一シート8や第二シート10の表面に簡単且つ綺麗に印刷を施すことができ、第一シート8や第二シート10の表面にアルミニウム等の他の素材を貼り付ける場合には、簡単に剥がれない程度の接着強度に設けることも容易である。また、前記構造の中空構造体は意匠的な表裏が生じ難いという利点や、物性的な意味においても表裏が生じ難いという利点があるので、中空構造体の表裏を気にせずに商品を製作することができる。したがって、第1、第2実施形態の中空構造体は、物流用の運搬用容器、棚、掲示板、パーティション等の多様な用途に、好適に利用可能な部材となる。
【0059】
本発明の第1、第2実施形態の中空構造体において、コア材2の第一凸部24と第二凸部34は、型16を用いて合成樹脂製のシートを真空成形することで、連続的に成形したものである。そのため、シートを連続的に送ることで、所定の凹凸形状を有するコア材2を連続的に成形することが可能である。
【0060】
なお、型16としては、合成樹脂製のシートを熱成形するものであればよいので、例えば真空圧空成形、プレス成型等を行う構造であっても構わない。具体的には、例えば、型16を有する真空成形ロールと、この真空成形ロールと対をなす成形ロールとを備え、当該成形ロールで成形をアシストする構造や、型16を有する成形ロールと、この成形ロールと対をなす他の成形ロールとを備え、当該他の成形ロールで成形をアシストする構造や、型16を有する真空成形平板で成形を行う構造や、型16を有する真空成形平板と、この真空成形平板と対をなす平板とを備え、当該平板で成形をアシストする構造、等が採用可能である。
【0061】
以上、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明したが、本発明は前記各例の実施形態に限定されるものではなく、本発明の意図する範囲内であれば、各例において適宜の設計変更を行うことや、各例の構成を適宜組み合わせて適用することが可能である。
【0062】
例えば、各実施形態において、第一凸部24や第二凸部34の形状は三角錐台に設けているが、これに限らず、四角錐台、六角錐台等の他の多角錐台形状を採用することや、円錐台等の形状を採用することも可能であり、或いは、多角錐台状であり且つその側面が曲面となった形状を採用することも可能である。また、第一凸部24や第二凸部34の形状が、多角錐台形状であり且つその側面が段差によって階段状に形成されるものであってもよいし、円錐台形状であり且つその側面が段差によって階段状に形成されるものであってもよい。
【0063】
また、各実施形態において、第一凸部24の頂面、第一凹部26の底面、第二凸部34の頂面、及び第二凹部36の底面は、いずれも同大同型の正三角形状に設けているが、多少相違する寸法形状にも成形可能である。即ち、コア材2を成形する型16の凸部22の頂面、凹部18の底面についても、同大同型の正三角形状に限らず、多少相違する寸法形状に設けてもよい。
【0064】
また、各実施形態では、各凹部18の底面に吸引孔20を形成することで、その凹部18を吸引キャビティとしているが、複数の型を組み合わせることで型16を形成し、複数の型間の隙間から真空引きを行う構造とすることも可能である。