【実施例】
【0025】
以下、本発明の実施例について説明する。但し、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0026】
(実験例2〜7)
予め、味噌5.40gと水0.81gとを混合して味噌ペースト(1食分換算)を作成した。
他方、鍋にバターを投入し、撹拌しながら褐色になるまで加熱した。投入したバターの量は、表1の実験例2〜7に示すとおりである。
ここに上記の味噌ペーストを投入し、両者を加熱しながら混合してローストした。なお、表1中の「バター添加割合」とは、味噌に対するバターの添加割合(重量%)のことである。
このようにして得られた1食分の「ロースト味噌」(味噌含有調味料)を個食用トレーに充填し、常法により凍結乾燥処理することで実験例2〜7に係るブロック状の凍結乾燥食品を得た。
【0027】
(実験例1)
実験例1は、上記実験例2〜7からバターを除いたものである。具体的には、前記と同様の味噌ペーストを単独で鍋で加熱撹拌してバターなしのロースト味噌を調製し、これを上記と同様に凍結乾燥したものである。
【0028】
(実験例8及び9)
実験例8及び9は、上記実験例3と同量のバターと味噌と水を使用しつつ、バターを先に加熱するのではなく、バターと味噌(味噌ペースト)とを一緒にローストした点で相違しているものである。
【0029】
(実験例10)
実験例10は、上記実験例3と同量のバターと味噌と水を使用しつつ、これらをローストせずに、単に混合したものを凍結乾燥させた点で相違しているものである。
【0030】
【表1】
【0031】
(実験例1〜10の評価)
実験例1〜10の凍結乾燥品をそれぞれ容器に入れ、適量のお湯を注いて復元させた。これを、5名のパネラーによって官能評価(評価は1〜5の5段階評価;5が最も良い)した。評価項目は、「バターの浮き」、「ロースト感(ロースト風味)」、「バター感」である。表1の各項目欄に記載の数値は、その平均値である。
なお、「バターの浮き」とは、その値が大きいほど「きれいに浮く」(バター成分が液滴状に分散する)ことを意味し、その値が小さいほどバター成分が層状に分離して表面に広がっている状態(つまり「バターの浮き」が生じている状態)を意味している。なお、実験例1のように、バターを使用していないために結果的にバターが浮いていないものは「3」とした。
「ロースト感」とは、風味(香りと味わい)という観点から評価したローストの好ましさの程度のことであり、数値が高いほどそれが好ましいことを意味するが、逆にローストが強すぎて苦みが突出して感じられる場合は、その値は低く評価される。
「バター感」とは、バター風味の好ましさの程度であり、一般に、値が大きいほどまろやかな風味が感じられることを意味する。逆に、まろやかさに欠けていたり、バターの「乳臭さ」が突出して感じられたりする場合は、その値は小さく評価される。
「復元性」とは、お湯をかけてから喫食できるまでの時間(復元の速さないし復元時間)のことであり、「5」はお湯をかければ直ちに復元することを意味し、数値が小さいほど復元に時間がかかることを意味する。
【0032】
表1に示すとおり、バターの添加割合が7.4〜22.2重量%である実験例2〜5では、各項目とも評価は上々であったのに対し、バターの添加割合がそれぞれ29.6%、37.0%である実験例6及び7では、「バター浮き」という項目で評価が低くかった。特に実験例7では、風味の上でも、ロースト感が強すぎて好ましい域を超え、酸っぱさが感じられた。
次に、バターと味噌とを同時にローストした実験例8及び9では、復元後にバターと味噌とが顕著に分離していることが観察された。
さらに、バターと味噌とをローストしなかった実験例10では、「バター浮き」という項目で評価が低かっただけでなく、ロースト感が極めて乏しく、ロースト風味の付与という所期の目的を達成できなかった。
以上のことから、実験例2〜5が望ましいことを理解することができる。
【0033】
次に、本発明の味噌含有調味料を使用した凍結乾燥食品について説明する。ここでは、表1の実験例3(味噌に対するバターの配合割合:14.8%)に係る味噌含有調味料(ロースト味噌)を用いて凍結乾燥味噌汁を製造した。
使用した原材料及びその分量(1食分)は以下の1及び2のとおりである。
【0034】
1 調味
(1)味噌 12.3g
(2)ロースト味噌(実験例3) 6.3g
(3)魚介エキス 1.3g
(4)風味調味料 1.0g
(5)デキストリン 0.4g
(6)調味料(アミノ酸) 0.3g
(7)増粘剤 0.1g
(8)水 38.9g
【0035】
2 具材
(1)たまねぎ 4.5g
(2)人参 2.5g
(3)ぶなしめじ 5.0g
(4)鮭 9.5g
(5)キャベツ 10.0g
【0036】
本実施例に係る凍結乾燥味噌汁は、比較的具材の使用量が多い具だくさん味噌汁であり、特に、魚介の中でも比較的魚臭さ(生臭さ)が強い鮭を使用した魚介入り味噌汁(鮭入り味噌汁)である。なお、本実施例に係る凍結乾燥味噌汁では、ロースト味噌のほかに、味噌を使用している(上記1の(1))。
この凍結乾燥味噌汁の製造手順は以下のとおりである。
【0037】
鍋に上記1の調味欄に記載した各材料を投入し、混合しながら加熱した。これを篩でろ過した。
そこに、上記2の具材欄中の(1)〜(5)の具材を投入し、さらに混合した。
これを個食用トレーに充填し、トレーごと冷凍庫で予備凍結させた。
予備凍結後、常法により減圧下で凍結乾燥させて、ブロック状に成形された凍結乾燥味噌汁を得た。
【0038】
上記のようにして得られたブロック状の凍結乾燥味噌汁を容器に入れ、お湯を注いで復元させたところ、バターの浮きもなく、ロースト風味に富んだ鮭入り味噌汁が得られた。
また、この味噌汁では、ロースト風味やバター風味が加味されたことで鮭特有の魚臭さ(生臭さ)も気にならなかった。
このように、本発明に係る味噌含有調味料は、魚介類や畜肉類のように臭みの強い食材を具材に使用する場合にも有用である。