【実施例】
【0012】
実施例に係る作荷台につき、
図1から
図7を参照して説明する。以下、
図1の画面左下側を作荷台の正面側(前方側)とし、作荷台の正面視左右側を作荷台の左右側として説明する。
【0013】
図1に示されるように、本実施例の作荷台1は、スーパーマーケット等の店舗で商品の代金精算後に、購入した商品を袋詰めする際に用いられるものであり、一般的にレジカウンターよりも出口に近い場所に複数並列して配置されている。尚、本実施例では、その内の1つの作荷台1を例に取り説明する。
【0014】
図1及び
図2に示されるように、作荷台1は、左右に離間した中空筒状の支柱2,2と、支柱2,2の前面側に取付けられる作業板9と、作業板9よりも下方に配置される下方棚部3と、作業板9よりも上部に配置される上方棚部4と、から主に構成されている。
【0015】
支柱2の下端部には、前方側に延びる脚部6a及び上方側に延びる図示しない挿入部を有する略L字形状のベース脚6が、前記挿入部を支柱2の下端部に挿入嵌合することで組み付けられており、前方方向への転倒が防止されている。尚、このベース脚6は、L字形状に限られず、前後に延びる脚部及び上方側に延びる挿入部を有するT字形状に形成され前後方向の転倒が防止されていてもよい。
【0016】
また、支柱2の前面には、上下に複数の係止孔2a,2a,…が形成されている。この支柱2,2は、左右方向に所定間隔離間して配置されており、支柱2,2は、その上端部及び下端部に上部横架材7及び下部横架材8が架設され、図示しない固定手段により支柱2,2と上部横架材7及び下部横架材8とが固定されて一体に連結され、強度が高められている。
【0017】
作業板9は、木材から成り、ブラケット10,10により左右の支柱2,2に取付けられる。より詳しくは、このブラケット10の後端には、支柱2の係止孔2a,2a,…に係止可能な鉤状のフック10a,10a,…が形成されている。左右のブラケット10,10は、当該ブラケット10,10同士が同じ高さとなるように、左右の支柱2,2の適宜選択された係止孔2a,2a,…にフック10a,10a,…を係止されて配置される。また、作業板9は、左右の支柱2,2の離間幅と略同一の左右幅を有しているとともに、後述するショッピングカート20のバスケット載置部25の前後幅よりも大きな前後幅を有している。また、作業板9の外周縁には、ゴムなどの弾性体11が固着されている。この作業板9は、左右同じ高さに配置されたブラケット10,10の上に載置され、図示しないボルトなどにより連結されて水平な状態で固定される。
【0018】
上方棚部4は、金属製の薄板から成る載置天板12(棚部材)と、短尺ブラケット13,13と、を備える。この短尺ブラケット13は、後端に鉤状のフック13a,13a,…が形成されている。短尺ブラケット13,13は、当該短尺ブラケット13,13同士が同じ高さとなるように、左右の支柱2,2の適宜選択された係止孔2a,2a,…にフック13a,13a,…を係止されて配置される。この短尺ブラケット13,13は、作業板9よりも上方に離間した位置に配置される。また、載置天板12は、左右の支柱2,2の離間幅と略同一の左右幅を有しているとともに、作業板9よりも短い前後幅を有している。この載置天板12は、左右同じ高さに配置された短尺ブラケット13,13の上に載置され、図示しないボルトなどにより連結されて水平な状態で固定される。
【0019】
支柱2,2に対して固定された作業板9と載置天板12との間には、上方空間部14が形成されている。この上方空間部14は、買い物客が購入した商品の袋詰めを行う作業スペースとなっている。また、載置天板12は、ポリ袋ホルダー15や図示しないパンフレットケース等の備品の載置スペースとなっている。
【0020】
また上述のように、載置天板12は、作業板9よりも短い前後幅を有しているため、作業板9及び載置天板12が支柱2,2に取付けられた状態にあっては、作業板9の前端9aが載置天板12の前端12aよりも前方に張り出した状態となっている。
【0021】
下方棚部3は、棚板16及びストッカー17から成る備品などを収容するための棚部材と、長尺ブラケット26,26と、を備える。長尺ブラケット26,26は、当該長尺ブラケット26,26同士が同じ高さとなるように、左右の支柱2,2の適宜選択された係止孔2a,2a,…にフック26a,26a,…を係止されて配置される。この長尺ブラケット26,26は、作業板9よりも下方の位置であり、床面から所定高さ上方に離間した位置に配置される。棚板16は、左右同じ高さに配置された長尺ブラケット26,26の上に載置され、図示しないボルトなどにより連結されて水平な状態で固定されるとともに、この棚板16には、前記ストッカー17が図示しないボルトなどで固定されている。このストッカー17は、前方に開口する筐体17aと、筐体17aの開口側にスライド可能に取付けられた引き戸17b,17bを有し、引き戸17bを左右にスライドさせ、筐体17aの開口からストッカー17の内部に備品を出し入れできるようになっている。
【0022】
上述のように、棚板16を支持する長尺ブラケット26,26は、床面から所定高さ上方に離間した位置に配置されるため、棚板16と床面との間には、下方空間部18が形成される。この下方空間部18は、支柱2とベース脚6とが側面視L字形状に接続されているため、左右方向に開放された状態となっている。
【0023】
図3に示されるように、買い物客が利用するショッピングカート20は、車輪21,21,…(キャスター部)を備えた下方台車部22と、下方台車部22の後端から上方に延びる支柱23,23と、支柱23,23の上端を繋ぐ把持部24と、支柱23,23における所定の高さ位置に設けられるバスケット載置部25と、から主に構成されており、バスケット載置部25及び下方台車部22にそれぞれバスケット19を搭載できるようになっている。本実施例では、商品が入ったバスケット19と、当該バスケット19が載置されたバスケット載置部25とが、商品を運搬する商品運搬部として機能している。尚、バスケットとバスケット載置部とが、一体形成されたショッピングカートである場合には、前記一体形成された部位を商品運搬部としてもよい。
【0024】
図3に示されるように、作荷台1は、作業板9の上面がショッピングカート20のバスケット載置部25の下端の高さ位置よりも低く設定されており、作荷台1の上方空間部14は、バスケット19を搭載したバスケット載置部25よりも大きな上下幅を有している。また、作荷台1の下方空間部18は、ショッピングカート20の下方台車部22よりも大きな上下幅を有している。即ち、買い物客は、ショッピングカート20を作荷台1に押し込むことで、ショッピングカート20の下方台車部22を作荷台1の下方空間部18に配置し、ショッピングカート20のバスケット載置部25を作荷台1の上方空間部14に配置することができる。また、ショッピングカート20を作荷台1に押し込んだ際には、作業板9の外周縁に固着された弾性体11により、作荷台1とショッピングカート20との当接が緩衝され、作荷台1またはショッピングカート20の損傷を防止できる。
【0025】
このようにショッピングカート20を作荷台1に押し込むことで、ショッピングカート20の下方台車部22を作荷台1の下方空間部18に配置し、ショッピングカート20のバスケット載置部25を作荷台1の上方空間部14に配置することができるため、買い物客は、ショッピングカート20からバスケット19を降ろすことなく購入した商品の袋詰め作業を行うことができるばかりか、ショッピングカート20からバスケット19を作業板9上に降ろす場合においても、バスケット載置部25が作業板9に近づいているため、バスケット19を作業板9上に降ろしやすくなっている。
【0026】
さらに、購入した商品の袋詰め作業中には、ショッピングカート20が作荷台1に押し込まれているため、作荷台1近傍の通路がショッピングカート20により塞がれることを抑えることができ、レジカウンターから出口への導線を確保することができる。また、バスケット19及びバスケット載置部25が、平面視で作業板9と重なるようになるため、作業板9とバスケット19及びバスケット載置部25との距離が近くなり、袋詰め作業を行い易いばかりか、作業板9とバスケット19及びバスケット載置部25との間に隙間が形成されず、商品が床面に落下することを防止できる。
【0027】
以上説明したように作荷台1は、作業板9がブラケット10,10によりベース脚6から上方に延びる支柱2に対して片持ち状態で支持され、下方空間部18は、左右方向に開放されているため、
図3及び
図4に示されるように、ショッピングカート20の下方台車部22の左右の車輪21,21が、支柱2のベース脚6を跨いで配置することができる。そのため、作業板9上におけるバスケット載置部25が占める面積を小さくでき、バスケット19が作業板9上を大きく占有せず、作業板9上においてより広い袋詰め作業スペースを確保できることになる。特に混雑時には、より多くの買い物客が作荷台1を同時に利用することができる。
【0028】
また、
図5に示されるように、作荷台1の左右方向からショッピングカート20を押し込み、ショッピングカート20の下方台車部22の前後の車輪21,21が、支柱2のベース脚6を跨いで配置してもよい。このように作荷台1の左右方向からショッピングカート20を押し込むことにより、ショッピングカート20の把持部24側が、作荷台1の正面側に立つ利用者と異なる方向を向くため、ショッピングカート20が利用者の袋詰め作業の邪魔にならず、袋詰め作業を行い易い。
【0029】
また、
図6に示されるように、ショッピングカート20の下方台車部22にバスケット19を載置した状態であっても、前記バスケット19をショッピングカート20の把持部24側にずらして作荷台1の左右方向からショッピングカート20を押し込むことにより、商品運搬部であるバスケット19及びバスケット載置部25の一部と作業板9とを上下に重ねることができる。このように、商品運搬部であるバスケット19及びバスケット載置部25が作業板9と上下に重なった部位を有していれば、作業板9とバスケット19及びバスケット載置部25とが近くなり隙間がなくなるため、上述した効果を発揮することができる。
【0030】
さらに、作荷台1からショッピングカート20を引き出すことなく、下方台車部22に載置されたバスケット19に対して前後方向からアクセス可能となるため、下方台車部22に載置されたバスケット19を下方台車部22から作業板9上に移動させることなく、前記バスケット19内の商品を直接袋詰めすることができる。尚、下方台車部22に載置されたバスケット19を、作業板9上またはバスケット載置部25に移動させた後、前記バスケット19内の商品の袋詰め作業を行ってもよい。
【0031】
また、ブラケット10,10、短尺ブラケット13,13及び長尺ブラケット26,26は、フック10a,10a,…及びフック13a,13a,…及びフック26a,26a,…を有し、支柱2は、複数の係止孔2a,2a,…を有しており、適宜選択した係止孔2aにフック10a,フック13a及びフック26aを係止させることにより、作業板9、載置天板12、及び棚板16の高さをそれぞれ任意で高さ調整を容易に行うことができる。つまり、作業板9の高さをショッピングカート20の車輪21,21,…からバスケット載置部25の下端までの高さに応じて適宜調節できる。そのため、作業板9、載置天板12、及び棚板16の高さ調整を行えば、既存のショッピングカートに対して適用することができるようになり、汎用性が高い。また、左右幅の異なる作業板9、載置天板12、及び棚板16を用意すれば、作荷台自体の横幅を適宜設定できる。
【0032】
また、上方棚部4を設け、載置天板12の上にポリ袋ホルダー15やパンフレットケース等の備品を配置できるため、作業板9の上面全体を作業スペースとして利用でき、購入商品の袋詰め作業を快適に行うことができる。
【0033】
また、作業板9は、左右の支柱2,2の離間幅と略同一の左右幅であるため、作業板9の左右方向中央部に支柱2のベース脚6が配置されることがなく、作荷台1に押し込まれた状態のショッピングカート20を左右に移動させた場合、ショッピングカート20の車輪21,21,…と支柱2のベース脚6とが干渉することを避けることができ、作荷台1に対するショッピングカート20の出し入れをスムーズに行うことができる。
【0034】
また、作業板9及び載置天板12が支柱2,2に取付けられた状態にあっては、作業板9の前端9aが載置天板12の前端12aよりも前方に張り出した状態となっているため、載置天板12が購入商品の袋詰め作業の邪魔にならない。また、載置天板12により作業板9の上面に影が生じ難くなっているため、買い物客にとって使い勝手がよい。
【0035】
また載置天板12は、金属製の薄板から成るため、安価に且つ壊れにくく設けることができる。また、作業板9は、木材から成るため、買い物客が袋詰め作業中に商品を落下させても、商品が作業板9に当たる衝撃音を抑えることができる。
【0036】
尚、前記実施例の下方棚部3は、オプションの一つであり、下方棚部3の部分は適宜変更設定できる。例えば、図示しないが、棚板16の上にストッカー17に替えてゴミ箱やその他の備品などを設置してもよい。
【0037】
また、前記実施例では、載置天板12と、棚板16及びストッカー17と、を棚部材として説明したが、例えば、片側の支柱2にのみ取付けられるブラケットに対して支持されるものであってもよく、両側の支柱2,2に取付けられる短尺ブラケット13,13または長尺ブラケット26,26に渡って設けられるものに限られず、様々な態様に設計できる。
【0038】
また、
図7に示されるように、上記した下方棚部3を設けることなく作業板9及び上方棚部4のみを設けた作荷台1’を適用してもよい。これによれば、
図7の手前側のショッピングカート20のように、下方台車部22にバスケット19を載置した状態であっても、当該ショッピングカート20を作荷台1’に押し込むことができるようになる。そのため、混雑時以外では、ショッピングカート20が作荷台1’から張り出す範囲を小さくして利用することが可能となっている。
【0039】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0040】
例えば、前記実施例では、作荷台1がレジカウンターよりも出口に近い場所に複数並列して配置されている態様について説明したが、これに限られず、単体の作荷台1が配置されていてもよい。また、作荷台1は、前面側にのみ作業板9、載置天板12、及び棚板16が設けられていたが、支柱2,2の後面側にも係止孔2a,2a,…を複数設け、作荷台1の前面側にも作業板9、載置天板12、及び棚板16をそれぞれ設けてもよい。
【0041】
また、前記実施例では、横架材を上部横架材7及び下部横架材8として説明したが、これに限られず、例えば、支柱2,2同士を連結する背板であってもよい。
【0042】
また、支柱2には、複数の係止孔2a,2a,…が設けられていたが、例えば、作業板9、載置天板12、及び棚板16を取付ける所定の高さ位置にのみ係止孔を設け、ブラケットを係止させるようになっていてもよい。
【0043】
また、作業板9は、木製の平板として説明したが、必ずしもこれに限らず、例えば、金属製や樹脂製であってもよい。尚、同じく載置天板12は、金属製の薄板に限られず、木製や樹脂製であっても構わない。また、下部にストッカー等が固定された作業板を用いても構わない。
【0044】
また前記実施例では、互いに異なる3種の規格のブラケット10、短尺ブラケット13及び長尺ブラケット26が用いられているが、これ等のブラケットのうち全部または一部を同一の規格としてもよい。