【実施例】
【0024】
本発明は、添付の図面を参考にした以下の好適な実施例の説明からより明瞭に理解されるであろう。しかしながら、実施例および図面は単なる図示および説明のためのものであり、本発明の範囲を定めるために利用されるべきものではない。本発明の範囲は請求の範囲によってのみ定まる。添付図面において、複数の図面における同一の部品番号は、同一または相当部分を示す。
【0025】
1つの実施例または他の例等に関連して説明および/または図示した特徴は、1つまたはそれ以上の他の実施例または他の例において同一または類似な形で、および/または他の実施例の特徴と組み合わせて、または、その代わりに利用することができる。
【0026】
以下、本発明の実施例が図面にしたがって説明される。
図1〜
図4は実施例1を示す。
図1において、加工ユニットは加工ロール1、アンビルロール2、支持ロール4および圧力調整装置3を備える。前記加工ロール1とアンビルロール2との間には薄いシートや厚い積層体のような対象物Wが供給される。本実施例の場合、加工ロール1および支持ロール4は各々一対設けられているが、各々1個であってもよいし、3個以上であってもよい。また、両ロールのうちのいずれか一方が1個のみ設けられてもよい。
【0027】
図4に示すように、前記対象物Wとしては、たとえば、オムツのような着用物品の中間品であってもよい。また、前記対象物Wの被加工部は、たとえば、網点で示す部位(被加工部Ws)にヒートシール(溶着)がなされたものでもよいし、仮想線VLに沿って対象物Wが切断されるものであってもよく、更に、図示しないエンボス加工が施されるものであってもよい。
【0028】
アンビルロール2は第1の軸線L1上に配置されている。
加工ロール1は、前記第1の軸線L1に平行な第2の軸線L2上に配置され、前記アンビルロール2との間に挟んだ対象物Wに加工を施す加工部11Bを有する。前記加工部11Bは前記ヒートシール、切断、エンボス加工等の熱による加工と機械的な加工のうちの1以上を行うものであってもよい。たとえば、加工ロール1は加熱ロールやダイカットロールなどであってもよい。
【0029】
図1に示すように、前記加工ロール1およびアンビルロール2には、それぞれ、軸1Sおよび軸部2Sが設けられている。前記軸1Sおよび軸部2Sは軸受Bによって回転自在に支持されている。
【0030】
前記圧力調整装置3は一対の加圧用のシリンダ30と、前記軸受Bを介して前記加工ロール1およびアンビルロール2を支えるフレーム(図示せず)とを備える。前記シリンダ30は一方の軸1Sを他方の軸部2Sに向かって外力を加えることで、前記アンビルロール2に前記加工部11Bを有する加工ロール1の外周面10を近接させ、支持ロール4をこれと対面するアンビルロール2に圧接させる。
【0031】
前記圧接により、
図2の加工部11Bがアンビルロール2の外表面(外周面20)に適度な接触圧で接触し、あるいは加工部11Bとアンビルロール2の外表面との間に適度な隙間が形成される。そのため、不織布や薄いフィルム状のシートの他、厚い積層体などの対象物Wの切れ味や、ヒートシール時の対象物Wの溶着などの加工精度が向上する。
【0032】
図1に示すように、本実施例の場合、支持ロール4は、たとえば、前記第2の軸線L2上に配置され、アンビルロール2の外周面20に接する。これにより、軸線L1と軸線L2との間の距離(軸間距離)が所定の寸法に維持され、加工部11B以外での加工ロール1とアンビルロール2との隙間Spの大きさが維持される。
【0033】
前記支持ロール4は、たとえば一対設けられている。
前記一対の支持ロール4は前記アンビルロール2の軸方向Sの両端部の外周面20に各々接するように配置されている。これにより、軸間距離が容易に維持され、前記隙間Spの大きさが安定する。
【0034】
本加工装置は、加工ロール1の加工部11Bを昇温させるための複数の第1ヒータH1と、アンビルロール2を昇温させるための第2ヒータH2とを備えていてもよい。これにより、対象物Wを昇温させて対象物Wのヒートシールを行ってもよい。前記加工部11Bの近傍には加工部11Bの温度を検出する第1温度センサ19が設けられている。第1温度センサ19からの出力に基づいて、対象物Wの溶着に適した温度に加工部11Bの温度制御がなされる。
なお、第1温度センサ19は一方の加工部11Bにのみ設けられてもよいし、各加工部11Bごとに設けられてもよい。
【0035】
本加工装置は温度変更装置としての第3ヒータH3、第2温度センサ40および制御装置6を備える。前記第3ヒータH3は前記支持ロール4の温度を上昇させるためのものである。第2温度センサ40は前記支持ロール4の温度を検出する。前記制御装置6は前記第2温度センサ40からの出力に基づいて前記複数の第3ヒータH3を制御する。
前記制御装置6は操作部60や温度を表示する表示器61を備えていてもよい。表示器61は各温度センサ19,40からの出力で加工部11Bや支持ロール4の温度を表示してもよい。また、オペレータは表示器61に表示された温度や、製品の仕上がり状態を見て、操作部60を操作することで第3ヒータH3に供給される電力を調節してもよい。
【0036】
前記各第3ヒータH3は前記両端部に接するように各々配置された各支持ロール4ごとに設けられている。前記各第3ヒータH3は前記支持ロール4の収容孔41内に埋設されている。前記埋設された第3ヒータH3は熱伝導により支持ロール4を昇温させる。
【0037】
図3Aにおいて、前記加工部11Bは前記加工ロール1の周方向の一部の領域、つまり加工領域Asに設けられている。一方、
図3Bの前記第3ヒータH3は前記各支持ロール4の周方向の一部の領域、つまりヒータ領域Ahに設けられている。
【0038】
図3Aの前記加工部11Bが設けられた加工領域Asと、
図3Bの前記第3ヒータH3が設けられたヒータ領域Ahとは前記周方向の少なくとも一部において重なっていてもよい。より詳しくは、前記ヒータ領域Ahの設けられた角度の範囲及び位相は、前記加工領域Asの設けられたそれらに概ね等しい。
【0039】
本実施例のように、
図1の前記各加工ロール1と前記各支持ロール4との間には、各々、加工ロール1と各支持ロール4との間を断熱するための断熱ロール5が配置されていてもよい。前記各加工ロール1、前記各支持ロール4及び前記各断熱ロール5は前記第2の軸線L2上に配置された軸1Sのまわりに装着されて、軸1Sと別体であってもよい。
【0040】
図3Cの前記各断熱ロール5は周方向に分割された複数の分割ピース50で形成されて、前記軸1Sから径方向Dに取り外し自在に前記軸1Sに装着されていてもよい。前記断熱ロール5が中空である場合、前記断熱ロール5は収容孔18および第1温度センサ19の配線の保護のほか、空間を囲うことにより、加工ロール1や支持ロール4に対する保温効果を発揮する。
【0041】
図1の前記断熱ロール5は前記加工ロール1や支持ロール4よりも熱が伝導され難い素材で形成されてもよい。たとえば加工ロール1や支持ロール4は金属製で、断熱ロール5は合成樹脂で形成されていてもよい。
【0042】
前記加工ロール1と加工ロール1との間にはスペーサロール100が配置されていてもよい。前記一対の加工ロール1,1とスペーサロール100とは、図示しないボルトなどの締結具により、互いに締結されて軸方向に連結されていてもよい。
【0043】
つぎに、前記加工装置を用いた加工方法の一例が説明される。
まず、前記加工装置による加工に先立って、予め前記加工装置の温調および圧力調節を行う。
【0044】
すなわち、まず、第1〜第3ヒータH1〜H3に通電し、加工ロール1、アンビルロール2および支持ロール4を昇温させる。前記加工ロール1およびアンビルロール2が昇温することで、加工部11Bがヒートシールに適した所定の温度に設定される。このとき、
図1の加工ロール1およびアンビルロール2が熱膨張するため、加工ロール1およびアンビルロール2の半径も大きくなる。
【0045】
一方、
図3Bのヒータ領域Ahにおいて、支持ロール4が昇温することで、ヒータ領域Ahにおける支持ロール4が熱膨張し、支持ロール4の半径が大きくなる。
【0046】
図1において、制御装置6は第2温度センサ40からの出力により、前記支持ロール4の温度を制御する。たとえば、制御装置6は第2温度センサ40の温度が所定の温度となるように第3ヒータH3への供給電力を調節する。これにより、加工ロール1とアンビルロール2との軸間距離が所定の寸法に維持され、前記アンビルロール2と前記加工部11Bとの間の押付け力および/または隙間が一定の値となるように調節される。同調節において、加工部11B以外の加工ロール1の部分(および断熱ロール5)とアンビルロール2との間には隙間Spが形成されている。
【0047】
前記調節後、前記軸1Sおよび軸部2Sを回転駆動させながら、前記アンビルロール2と前記加工ロール1との間の隙間Spに前記対象物Wを供給する。前記加工ロール1の前記加工部11Bは前記アンビルロール2と協働して前記対象物Wを加工する。前記調節は対象物Wの加工中においてもなされる。
前記調節により、加工部11Bがカッターの場合は押付け力が調節されて対象物が確実に切断され、一方、ヒートシールの場合は加工部11Bとアンビルロール2との間の隙間が調節されて対象物に穴が開くことなく熱溶着される。
【0048】
こうした調節をすることにより、室温の低い朝から室温の高い正午以後において、バラツキの小さい加工を行うことができる。
支持ロール4の温度調節は、外気温などの条件に応じてあらかじめ設定される。しかし、最終的には、表示器61に表示された温度や、加工された対象物Wの被加工部Wsの状態を見て、オペレータが操作部60を操作することで温度調節が行われてもよい。
【0049】
温度変更装置としては、たとえば、バイメタル式スイッチのように、当該スイッチの温度が所定の第1温度まで上昇すると給電を停止させ、一方、当該スイッチの温度が所定の第2温度まで下がると給電を開始するスイッチを設けてもよい。
更に、温度センサ40および制御装置6を全く設けなくてもよい。これらの代わりに例えば出力の小さなヒータやクーラ等を支持ロール4に設けて加工装置の運転中に常時稼働させておけば、支持ロール4の温度のバラつきは若干でも小さくなるだろう。
【0050】
本加工装置においては、支持ロール4の位置において軸間距離が変化すればよい。したがって、
図5のように、支持ロール4はアンビル側に設けられてもよい。この場合、支持ロール4は第1の軸線L1上に配置され、加工ロール1の外周面10に接していてもよい。
なお、アンビルロール2は一般に全体が均一な棒状ないし円筒状に形成されるので、通常は、加工ロール1を設けた軸1S上に支持ロール4が設けられる。
【0051】
図6に示すように、前記第3ヒータH3は支持ロール4に装着されずに、放射伝熱により支持ロール4を昇温させるものであってもよい。この場合、支持ロール4の厚みを小さくできるかもしれない。
【0052】
本加工装置において、温度変更装置はヒータのような加熱による温調のほか、クーラやペルチェ素子のような冷却による温調でもよい。更に、エアコンのようにヒータ及びクーラの双方の機能が備えられていてもよい。あるいはヒータとクーラの双方を備えていてもよい。また、オイルで昇温したり、クーラントで冷却してもよい。
なお、溶着など加熱による加工の場合は、一般に加熱の方が効率や応答性が良いであろう。
【0053】
支持ロール4と加工部11Bとで温度を異ならせるように制御がなされる場合、両者間の熱伝導を妨げる手段として断熱ロール5を中空に形成している。しかし、断熱ロール5としては、内部にグラスウール等を充填したものや、中実の断熱材が配置されてもよい。
【0054】
支持ロール4は、一対の加工部11B,11Bの間に配置されてもよい。この場合、支持ロール4は一対でなく、1個だけ設けられるだろう。しかし、対象物Wが通過する範囲と干渉しないように、一般に、加工部11Bの軸1Sの両端に設けられるのが好ましい。
【0055】
支持ロール4は軸受けBよりも外側に配置されてもよい。しかし、装置をコンパクトにするため、一般に、支持ロール4は軸受けB,B間に配置される。
【0056】
以上のとおり、図面を参照しながら好適な実施例を説明したが、当業者であれば、本明細書を見て、自明な範囲で種々の変更および修正を容易に想定するであろう。
たとえば、加工ロールや加工部は一対ではなく、1つのみ設けられていてもよく、あるいは3以上設けられていてもよい。
また、加工ロールがカッタロールである場合など、第1及び第2のヒータは設けられなくてもよい。
また、加工ロールに軸が一体に形成されていてもよく、一方、アンビルロールの軸部はアンビルロールと別体に形成されていてもよい。
また、スペーサロール100を設けずに一対の加工部を1つの加工ロールに設けてもよい。
また、断熱ロール5は分割されていない1つのロールであってもよいし、更には、断熱ロール5は設けられなくてもよい。
また、加工部が加工ロールの周方向の一部の領域に設けられている場合と全周にわたって設けられている場合とにかかわらず、支持ロールの全周にわたって断続的にヒータが設けられていてもよい。
また、ヒータは第2の軸線の軸方向に平行に設けられる必要はなく、たとえば、支持ロールの外周の円弧の弦に沿った方向に埋設されていてもよい。
したがって、そのような変更および修正は、請求の範囲から定まる本発明の範囲内のものと解釈される。