【実施例】
【0033】
以下、具体的な実施例と比較例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0034】
〔共役ジエン系重合体の製造〕
後述する実施例及び比較例において使用する共役ジエン系重合体を、下記のようにして重合した。
(共役ジエン系重合体(BR1と略記)の重合)
内容積100リットルの、回転撹拌翼とジャケットを備えた重合槽を用い、100ppmの1,2−ブタジエンを含む1,3−ブタジエン100質量部と150ppmのテトラヒドロフランを含むシクロヘキサン溶液560質量部を重合槽に仕込み、0.12質量部の開始剤n−ブチルリチウムを添加して撹拌下で反応ピーキング温度90℃で重合を行い、リビングポリマー溶液を得た。
さらに、この溶液に、n−ブチルリチウムに対し0.27倍モルのテトラメトキシシランを加えてカップリング反応させ、共役ジエン系重合体(BR1)の重合を完了させた。
【0035】
(共役ジエン系重合体(SBR1と略記)の重合)
内容積100リットルの、回転撹拌翼とジャケットを備えた重合槽を用い、100ppmの1,2−ブタジエンを含む1,3−ブタジエン85質量部と150ppmのテトラヒドロフランを含むシクロヘキサン溶液560質量部を重合槽に仕込み、0.095質量部の開始剤n−ブチルリチウムを添加して撹拌下で反応ピーキング温度90℃で重合を行い、そのピーキング温度に達してから2分後にスチレン15質量部を添加して重合を行った後、メタノールを開始剤n−ブチルリチウムの1.0倍モル添加して失活させることにより、共役ジエン系重合体(SBR1)の重合反応を完了させた。
【0036】
(共役ジエン系重合体(SBR2と略記)の重合)
内容積100リットルの、回転撹拌翼とジャケットを備えた重合槽を用い、100ppmの1,2−ブタジエンを含む1,3−ブタジエン75質量部とスチレン25質量部、および150ppmのテトラヒドロフランを含むシクロヘキサン溶液560質量部を重合槽に仕込み、0.095質量部の開始剤n−ブチルリチウムを添加して撹拌下で反応ピーキング温度90℃で重合を行った後、メタノールを開始剤n−ブチルリチウムの1.0倍モル添加して失活させることにより、共役ジエン系重合体(SBR2)の重合反応を完了させた。
【0037】
(共役ジエン系重合体(SBS1と略記)の重合)
内容積100リットルの、回転撹拌翼とジャケットを備えた重合槽を用い、スチレン20質量部、150ppmのテトラヒドロフランを含むシクロヘキサン溶液550質量部を重合槽に仕込み、0.13質量部の開始剤n−ブチルリチウムを添加して撹拌下で反応ピーキング温度55℃で重合を行い、そのピーキング温度に達してから2分後に50ppmの1,2−ブタジエンを含む1,3−ブタジエン60質量部を添加して、ピーキング温度95℃まで重合を行い、そのピーキング温度に達してから2分後にスチレン20質量部を添加して重合を行った後、メタノールを開始剤n−ブチルリチウムの1.0倍モル添加して失活させることにより、共役ジエン系重合体(SBS1)の重合反応を完了させた。
【0038】
(共役ジエン系重合体(SBS2と略記)の重合)
内容積100リットルの、回転撹拌翼とジャケットを備えた重合槽を用い、スチレン35質量部、150ppmのテトラヒドロフランを含むシクロヘキサン溶液550質量部を重合槽に仕込み、0.17質量部の開始剤n−ブチルリチウムを添加して撹拌下で反応ピーキング温度55℃で重合を行い、そのピーキング温度に達してから2分後に50ppmの1,2−ブタジエンを含む1,3−ブタジエン65質量部を添加して、ピーキング温度95℃まで重合を行い、リビングポリマー溶液を得た。
さらにこの溶液に、n−ブチルリチウムに対し0.15倍モルのジメトキシジメチルシランを加えてカップリング反応させ、共役ジエン系重合体(SBS2)の重合反応を完了させた。
【0039】
〔共役ジエン系重合体の特性〕
次に、後述する実施例、比較例において得られる共役ジエン系重合体の特性の測定方法について示す。
<(1)結合スチレン量>
測定用の試料(共役ジエン系重合体)をクロロホルム溶液とし、測定器として、JASCO製 V−550を用いて、スチレンのフェニル基による波長254nmの紫外線(UV)の吸収量を測定し、結合スチレン量(質量%)を測定した。
【0040】
<(2)5質量%スチレン溶液粘度:5%SV>
共役ジエン系重合体5質量部をスチレン95質量部に溶解して5質量%の溶液を調製し、測定温度25℃で、キャノンフェンスケ型粘度計を用いて測定した。
【0041】
<(3)ムーニー粘度>
JIS K 6300に従って、L型ローターを用い、100℃で1分間予熱を行い、4分間室温にて静置した後の粘度を測定した。
【0042】
<(4)メルトフローレート>
JIS K7210に従って、試験温度190℃、荷重2.16kgにて測定した。
【0043】
<(5)共役ジエン系重合体中のリチウム残渣>
前処理として、密閉容器中に共役ジエン系重合体0.25g、酸(96%硫酸5mL、60%硝酸3mL)を入れて、マイルストーン ゼネラル社製ETHOS1にて酸分解させ、分解液を純水で50mLにメスアップして分析試料とした。
分析試料を、島津製作所製ICP発光分析装置ICPS−7510を用いて、リチウムの波長670.85nmで発光度を測定し、あらかじめ作成した検量線から、共役ジエン系重合体中のリチウム残渣量を算出した。
【0044】
<(6)フィルター詰まりの簡易評価:5A濾紙による吸引濾過時間>
共役ジエン系重合体20gをトルエン600mLに溶解させた後、その共役ジエン系重合体溶液を、直径9cmの定量濾紙(5A濾紙:粒子保持能が20〜25μm)をビフネルロート(ブフナーロート)に敷き、吸引ポンプ(減圧吸引0.06MPa)で吸引濾過し、濾過時間を測定した。
【0045】
<(7)ベールb値>
実施例及び比較例で得た共役ジエン系重合体を用いて厚さ約0.6mmのシート状ベールを製造し、当該ベールを200℃×30分間加熱した後、b値を測定した。
測定には、日本電色工業社製SE6000を用いた。
【0046】
<(8)ペレットb値>
実施例及び比較例で得た共役ジエン系重合体を用いてサンプルペレットを製造し、160℃×30分間加熱処理した。当該サンプルペレットを50mLガラスセルに満たして試料台にセットし、b値を測定した。
測定には、スガ試験機(株)製MSC−CH型を用いた。
【0047】
〔実施例1〕
上述のようにして作製した共役ジエン系重合体(BR1)の重合体溶液を、
図1に示すように、重合槽から所定の配管を介してタンク方向へ移送する工程において、下記表1に示す添加量の水を
図1中符号(1)の位置で添加し、撹拌翼付き小型ミキサー(M1)でミキシングした後、牛脂系脂肪酸(花王製ルナックTH)を5質量%溶解させたシクロヘキサン溶液を
図1中符号(2)の位置で添加し、タンクへ移送した。牛脂系脂肪酸の添加量(有機リチウム化合物1モルに対するモル量)を表1に示す。
タンクへ移送した共役ジエン系重合体溶液を、タンクに併設の循環ポンプ(P)にてタンク下部から抜き出して、矢印Bの循環方向へと移送し、タンク上部から投入して、共役ジエン系重合体の溶液全量を、2時間かけて2回循環させた。
循環後に、タンクから共役ジエン系重合体溶液を2L容器に採取し、共役ジエン系重合体溶液の白濁状態を確認した後、水と共役ジエン系重合体溶液が2相分離するまでの時間を測定し、微分散状態を評価した。
その後、共役ジエン系重合体溶液を、タンク内から次工程へ移送する際に、
図1中符号(3)の位置で、熱安定剤として、共役ジエン系重合体100質量部あたりヒンダードフェノール系化合物(BASF社製イルガノックス、Irg.1076)を0.15質量部、硫黄含有フェノール化合物(BASF社製商品名イルガノックス、Irg.1520L)を0.15質量部添加し、さらに(4)の位置で炭酸ガスを添加して中和した。
その後、この共役ジエン系重合体溶液を、水に対して20ppmのジイソブチレン−無水マレイン酸共重合体ナトリウム塩と10ppmの硫酸マグネシウムを分散剤として添加した後、スチームにて85〜98℃に加熱した条件下でスチームストリッピングした。
溶媒除去後のクラムを回収し、クラムをステンレス板に挟んで30℃で圧縮して脱水した後、ロール温度110℃でクラムを乾燥して共役ジエン系重合体を得た。
【0048】
〔実施例2〕
上述のようにして作製した共役ジエン系重合体(BR1)の重合体溶液を、
図1に示すように、重合槽から所定の配管を介してタンク方向へ移送する工程において、下記表1に示す添加量の水を
図1中符号(1)の位置で添加し、撹拌翼付き小型ミキサー(M1)でミキシングした後、牛脂系脂肪酸(花王製ルナックTH)を5質量%溶解させたシクロヘキサン溶液を
図1中符号(2)の位置で添加し、撹拌翼付き小型ミキサー(M2)でのミキシングを経由してタンクへ移送した。牛脂系脂肪酸の添加量(有機リチウム化合物1モルに対するモル量)を表1に示す。
タンクへ移送した共役ジエン系重合体溶液を、タンク内の攪拌機(A)で撹拌するとともに、併設の循環ポンプ(P)にて、タンク内の共役ジエン系重合体溶液全量を、実施例1と同様に2時間かけて2回循環させた。
循環後に、タンクから共役ジエン系重合体溶液を2L容器に採取し、共役ジエン系重合体溶液の白濁状態を確認した後、水と共役ジエン系重合体溶液が2相分離するまでの時間を測定し、微分散状態を評価した。
その後、共役ジエン系重合体溶液を、タンク内から次工程へ移送する際に、
図1中符号(3)の位置で、熱安定剤として、共役ジエン系重合体100質量部あたりヒンダードフェノール系化合物(BASF社製イルガノックス、Irg.1076)を0.15質量部、硫黄含有フェノール化合物(BASF社製商品名イルガノックス、Irg.1520L)を0.15質量部添加し、さらに(4)の位置で炭酸ガスを添加して中和した。
その後、この共役ジエン系重合体溶液を、水に対して20ppmのジイソブチレン−無水マレイン酸共重合体ナトリウム塩と10ppmの硫酸マグネシウムを分散剤として添加した後、スチームにて85〜98℃に加熱した条件下でスチームストリッピングした。
溶媒除去後のクラムを回収し、クラムをステンレス板に挟んで30℃で圧縮して脱水した後、ロール温度110℃でクラムを乾燥して共役ジエン系重合体を得た。
【0049】
〔実施例3〕
上述のようにして作製した共役ジエン系重合体(SBR1)の重合体溶液を、
図1に示すように、重合槽から所定の配管を介してタンク方向へ移送する工程において、下記表1に示す添加量の水を
図1中符号(1)の位置で添加し、撹拌翼付き小型ミキサー(M1)でミキシングした後、ステアリン酸(花王製ルナックS−90)を5質量%溶解させたシクロヘキサン溶液を
図1中符号(2)の位置で添加し、撹拌翼付き小型ミキサー(M2)でのミキシングを経由してタンクへ移送した。ステアリン酸の添加量(有機リチウム化合物1モルに対するモル量)を表1に示す。
タンクへ移送した共役ジエン系重合体溶液を、タンク内の攪拌機(A)で撹拌するとともに、併設の循環ポンプ(P)にて、タンク内の共役ジエン系重合体溶液全量を、6時間かけて5回循環させた。
循環後に、タンクから共役ジエン系重合体溶液を2L容器に採取し、共役ジエン系重合体溶液の白濁状態を確認した後、水と共役ジエン系重合体溶液が2相分離するまでの時間を測定し、微分散状態を評価した。
その後、共役ジエン系重合体溶液を、タンク内から次工程へ移送する際に、
図1中符号(3)の位置で、熱安定剤として、共役ジエン系重合体100質量部あたりヒンダードフェノール系化合物(BASF社製イルガノックス、Irg.1076)を0.1質量部、硫黄含有フェノール化合物(BASF社製商品名イルガノックス、Irg.1520L)を0.1質量部添加し、さらに(4)の位置で炭酸ガスを添加して中和した。
その後、この共役ジエン系重合体溶液を、水に対して10ppmのジイソブチレン−無水マレイン酸共重合体ナトリウム塩と5ppmの硫酸マグネシウムを分散剤として添加した後、スチームにて85〜98℃に加熱した条件下でスチームストリッピングした。
溶媒除去後のクラムを回収し、クラムをステンレス板に挟んで30℃で圧縮して脱水した後、ロール温度110℃でクラムを乾燥して共役ジエン系重合体を得た。
【0050】
〔実施例4〕
ステアリン酸をカプリン酸(日本油脂製 NAA−102)に変えた。その他の条件は、実施例3と同様に実施し、共役ジエン系重合体を得た。
【0051】
〔実施例5〕
上述のようにして作製した共役ジエン系重合体(SBR1)の重合体溶液を、
図1に示すように、重合槽から所定の配管を介してタンク方向へ移送する工程において、下記表1に示す添加量の水を
図1中符号(1)の位置で添加し、撹拌翼付き小型ミキサー(M1)でミキシングした後、牛脂系脂肪酸(花王製ルナックTH)を5質量%溶解させたシクロヘキサン溶液を
図1中符号(2)の位置で添加し、タンクへ移送した。牛脂系脂肪酸の添加量(有機リチウム化合物1モルに対するモル量)を表1に示す。
タンクへ移送した共役ジエン系重合体溶液を、タンク内の攪拌機(A)で撹拌するとともに、併設の循環ポンプ(P)にて、タンク内の共役ジエン系重合体溶液全量を5回循環させた。
なお、循環ポンプ(P)にて共役ジエン系重合体溶液を循環させる際、回転分散機(R)(ユーロテック製キャビトロンCD1010型)を経由し混合した。
循環後に、タンクから共役ジエン系重合体溶液を2L容器に採取し、共役ジエン系重合体溶液の白濁状態を確認した後、水と共役ジエン系重合体溶液が2相分離するまでの時間を測定し、微分散状態を評価した。
その後、共役ジエン系重合体溶液を、タンク内から次工程へ移送する際に、
図1中符号(3)の位置で、熱安定剤として、共役ジエン系重合体100質量部あたりヒンダードフェノール系化合物(BASF社製イルガノックス、Irg.1076)を0.1質量部、硫黄含有フェノール化合物(BASF社製商品名イルガノックス、Irg.1520L)を0.1質量部添加し、さらに(4)の位置で炭酸ガスを添加して中和した。
その後、この共役ジエン系重合体溶液を、水に対して10ppmのジイソブチレン−無水マレイン酸共重合体ナトリウム塩と5ppmの硫酸マグネシウムを分散剤として添加した後、スチームにて85〜98℃に加熱した条件下でスチームストリッピングした。
溶媒除去後のクラムを回収し、クラムをステンレス板に挟んで30℃で圧縮して脱水した後、ロール温度110℃でクラムを乾燥して共役ジエン系重合体を得た。
【0052】
〔実施例6〕
上述のようにして作製した共役ジエン系重合体(SBR1)の重合体溶液を、
図1に示すように、重合槽から所定の配管を介してタンク方向へ移送する工程において、下記表1に示す添加量の水を
図1中符号(1)の位置で添加し、撹拌翼付き小型ミキサー(M1)でミキシングした後、クエン酸を5質量%溶解させたシクロヘキサン溶液を
図1中符号(2)の位置で添加し、タンクへ移送した。クエン酸の添加量(有機リチウム化合物1モルに対するモル量)を表1に示す。
タンクへ移送した共役ジエン系重合体溶液を、タンク内の攪拌機(A)で撹拌するとともに、併設の循環ポンプ(P)にて、タンク内の共役ジエン系重合体溶液全量を5回循環させた。
なお、循環ポンプ(P)にて共役ジエン系重合体溶液を循環させる際、回転分散機(R)(ユーロテック製キャビトロンCD1010型)を経由し混合した。
循環後に、タンクから共役ジエン系重合体溶液を2L容器に採取し、共役ジエン系重合体溶液の白濁状態を確認した後、水と共役ジエン系重合体溶液が2相分離するまでの時間を測定し、微分散状態を評価した。
その後、共役ジエン系重合体溶液を、タンク内から次工程へ移送する際に、
図1中符号(3)の位置で、熱安定剤として、共役ジエン系重合体100質量部あたりヒンダードフェノール系化合物(BASF社製イルガノックス、Irg.1076)を0.1質量部、硫黄含有フェノール化合物(BASF社製商品名イルガノックス、Irg.1520L)を0.1質量部添加し、さらに(4)の位置で炭酸ガスを添加して中和した。
その後、この共役ジエン系重合体溶液を、水に対して10ppmのジイソブチレン−無水マレイン酸共重合体ナトリウム塩と5ppmの硫酸マグネシウムを分散剤として添加した後、スチームにて85〜98℃に加熱した条件下でスチームストリッピングした。
溶媒除去後のクラムを回収し、クラムをステンレス板に挟んで30℃で圧縮して脱水した後、ロール温度110℃でクラムを乾燥して共役ジエン系重合体を得た。
【0053】
〔実施例7〕
上述のようにして作製した共役ジエン系重合体(SBR1)の重合体溶液に、テトラメ
チルエチレンジアミンを開始剤n−ブチルリチウムの0.6倍モル添加した。
その後、
図1に示すように、重合槽から所定の配管を介してタンク方向へ移送する工程
において、下記表1に示す添加量の水を
図1中符号(1)の位置で
添加し、撹拌翼付き小型ミキサー(M1)でミキシングした後、タンクへ移送した。
タンクへ移送した共役ジエン系重合体溶液を、タンク内の攪拌機(A)で撹拌するとともに、併設の循環ポンプ(P)にて、タンク内の共役ジエン系重合体溶液全量を5回循環
させた。
なお、循環ポンプ(P)にて共役ジエン系重合体溶液を循環させる際、回転分散機(R)(ユーロテック製キャビトロンCD1010型)を経由し混合した。
循環後に、タンクから共役ジエン系重合体溶液を2L容器に採取し、共役ジエン系重合
体溶液の白濁状態を確認した後、水と共役ジエン系重合体溶液が2相分離するまでの時間
を測定し、微分散状態を評価した。
その後、共役ジエン系重合体溶液を、タンク内から次工程へ移送する際に、
図1中符号
(3)の位置で、熱安定剤として、共役ジエン系重合体100質量部あたりヒンダードフ
ェノール系化合物(BASF社製イルガノックス、Irg.1076)を0.1質量部、
硫黄含有フェノール化合物(BASF社製商品名イルガノックス、Irg.1520L)
を0.1質量部添加し、さらに(4)の位置で炭酸ガスを添加して中和した。
その後、この共役ジエン系重合体溶液を、水に対して10ppmのジイソブチレン−無
水マレイン酸共重合体ナトリウム塩と5ppmの硫酸マグネシウムを分散剤として添加し
た後、スチームにて85〜98℃に加熱した条件下でスチームストリッピングした。
溶媒除去後のクラムを回収し、クラムをステンレス板に挟んで30℃で圧縮して脱水し
た後、ロール温度110℃でクラムを乾燥して共役ジエン系重合体を得た。
【0054】
〔実施例8〕
上述のようにして作製した共役ジエン系重合体(SBR2)の重合体溶液を、
図1に示すように、重合槽から所定の配管を介してタンク方向へ移送する工程において、下記表1に示す添加量の水を
図1中符号(1)の位置で添加し、撹拌翼付き小型ミキサー(M1)でミキシングした後、ラウリン酸(日本油脂社製NAA−122)を5質量%溶解させたシクロヘキサン溶液を
図1中符号(2)の位置で添加し、撹拌翼付き小型ミキサー(M2)でのミキシングを経由してタンクへ移送した。ラウリン酸の添加量(有機リチウム化合物1モルに対するモル量)を表1に示す。
タンクへ移送した共役ジエン系重合体溶液を、タンク内の攪拌機(A)で撹拌するとともに、併設の循環ポンプ(P)にて、タンク内の共役ジエン系重合体溶液全量を6時間かけて5回循環させた。
循環後に、タンクから共役ジエン系重合体溶液を2L容器に採取し、共役ジエン系重合体溶液の白濁状態を確認した後、水と共役ジエン系重合体溶液が2相分離するまでの時間を測定し、微分散状態を評価した。
その後、共役ジエン系重合体溶液を、タンク内から次工程へ移送する際に、
図1中符号(3)の位置で、熱安定剤として、共役ジエン系重合体100質量部あたり、硫黄含有フェノール化合物(BASF社製商品名イルガノックス、Irg.1520L)を0.2質量部添加し、さらに(4)の位置で炭酸ガスを添加して中和した。
その後、共役ジエン系重合体溶液を、水に対して10ppmのジイソブチレン−無水マレイン酸共重合体ナトリウム塩と5ppmの硫酸マグネシウムを分散剤として添加した後、スチームにて85〜98℃に加熱した条件下でスチームストリッピングした。
溶媒除去後のクラムを回収し、クラムをステンレス板に挟んで30℃で圧縮して脱水した後、ロール温度110℃でクラムを乾燥して共役ジエン系重合体を得た。
【0055】
〔実施例9〕
上述のようにして作製した共役ジエン系重合体(SBS1)の重合体溶液を、
図1に示すように、重合槽から所定の配管を介してタンク方向へ移送する工程において、下記表1に示す添加量の水を
図1中符号(1)の位置で添加し、撹拌翼付き小型ミキサー(M1)でミキシングした後、ステアリン酸(花王社製ルナックS−90)を5質量%溶解させたシクロヘキサン溶液を
図1中符号(2)の位置で添加し、タンクへ移送した。ステアリン酸の添加量(有機リチウム化合物1モルに対するモル量)を表1に示す。
タンクへ移送した共役ジエン系重合体溶液を、タンク内の攪拌機(A)で撹拌するとともに、併設の循環ポンプ(P)にて、タンク内の共役ジエン系重合体溶液全量を8時間かけて7回循環させた。
循環後に、タンクから共役ジエン系重合体溶液を2L容器に採取し、共役ジエン系重合体溶液の白濁状態を確認した後、水と共役ジエン系重合体溶液が2相分離するまでの時間を測定し、微分散状態を評価した。
その後、共役ジエン系重合体溶液を、タンク内から次工程へ移送する際に、
図1中符号(3)の位置で、熱安定剤として、共役ジエン系重合体100質量部あたりヒンダードフェノール系化合物(BASF社製イルガノックス、Irg.1076)を0.2質量部、硫黄含有フェノール化合物(BASF社製商品名イルガノックス、Irg.1520L)を0.08質量部添加し、さらに炭酸ガスを添加して中和した。
その後、共役ジエン系重合体溶液を、水に対して20ppmのスチレン−無水マレイン酸共重合体ナトリウム塩と5ppmの硫酸マグネシウムを分散剤として添加し、スチームにて85〜98℃に加熱した条件下でスチームストリッピングした。
溶媒除去後のクラムを回収し、ロール温度140℃でクラムを乾燥して共役ジエン系重合体を得た後、2軸押出機を用いて180℃でペレタイズした。
【0056】
〔実施例10、11〕
上述のようにして作製した共役ジエン系重合体(SBS2)の重合体溶液を、
図1に示すように、重合槽から所定の配管を介してタンク方向へ移送する工程において、下記表1に示す添加量の水を
図1中符号(1)の位置で添加し、撹拌翼付き小型ミキサー(M1)でミキシングした後、ステアリン酸(花王社製ルナックS−90)を5質量%溶解させたシクロヘキサン溶液を、
図1中(2)の位置で添加し、タンクへ移送した。ステアリン酸の添加量(有機リチウム化合物1モルに対するモル量)を表1に示す。
タンクへ移送した共役ジエン系重合体溶液を、タンク内の攪拌機(A)で撹拌するとともに、併設の循環ポンプ(P)にて、タンク内の共役ジエン系重合体溶液全量を5回循環させた。
なお、循環ポンプ(P)にて共役ジエン系重合体溶液を循環させる際、回転分散機(R)(ユーロテック製キャビトロンCD1010型)を経由し混合した。
循環後に、タンクから共役ジエン系重合体溶液を2L容器に採取し、共役ジエン系重合体溶液の白濁状態を確認した後、水と共役ジエン系重合体溶液が2相分離するまでの時間を測定し、微分散状態を評価した。
その後、共役ジエン系重合体溶液を、タンク内から次工程へ移送する際に、
図1中符号(3)の位置で、熱安定剤として、共役ジエン系重合体100質量部あたりヒンダードフェノール系化合物(BASF社製イルガノックス、Irg.1076)を0.2質量部、硫黄含有フェノール化合物(BASF社製商品名イルガノックス、Irg.1520L)を0.08質量部添加し、さらに炭酸ガスを添加して中和した。
その後、共役ジエン系重合体溶液を、水に対して20ppmのスチレン−無水マレイン酸共重合体ナトリウム塩と5ppmの硫酸マグネシウムを分散剤として添加し、スチームにて85〜98℃に加熱した条件下でスチームストリッピングした。
溶媒除去後のクラムを回収し、ロール温度140℃でクラムを乾燥して共役ジエン系重合体を得た後、2軸押出機を用いて180℃でペレタイズした。
【0057】
〔比較例1〕
上述のようにして作製した共役ジエン系重合体(BR1)の重合体溶液を、
図1に示すように、重合槽から所定の配管を介してタンク方向へ移送する工程において、下記表1に示す添加量の水を
図1中符号(1)の位置で添加し、撹拌翼付き小型ミキサー(M1)でミキシングした後、牛脂系脂肪酸(花王製ルナックTH)を5質量%溶解させたシクロヘキサン溶液を
図1中符号(2)の位置で添加し、タンクへ移送した。牛脂系脂肪酸の添加量(有機リチウム化合物1モルに対するモル量)を表1に示す。
タンクへ移送した共役ジエン系重合体溶液を、タンク内の攪拌機(A)で3時間撹拌した。
撹拌後に、タンクから共役ジエン系重合体溶液を2L容器に採取し、共役ジエン系重合体溶液の白濁状態を確認した後、水と共役ジエン系重合体溶液が2相分離するまでの時間を測定し、微分散状態を評価した。
その後、共役ジエン系重合体溶液を、タンク内から次工程へ移送する際に、
図1中符号(3)の位置で、熱安定剤として、共役ジエン系重合体100質量部あたりヒンダードフェノール系化合物(BASF社製イルガノックス、Irg.1076)を0.15質量部、硫黄含有フェノール化合物(BASF社製商品名イルガノックス、Irg.1520L)を0.15質量部添加し、さらに(4)の位置で炭酸ガスを添加して中和した。
その後、この共役ジエン系重合体溶液を、水に対して20ppmのジイソブチレン−無水マレイン酸共重合体ナトリウム塩と10ppmの硫酸マグネシウムを分散剤として添加し、スチームにて85〜98℃に加熱した条件下でスチームストリッピングした。
溶媒除去後のクラムを回収し、クラムをステンレス板に挟んで30℃で圧縮して脱水した後、ロール温度110℃でクラムを乾燥して共役ジエン系重合体を得た。
【0058】
〔比較例2〕
水の添加量を重合体100質量部に対して0.07質量部とした。その他の条件は、実施例3と同様に実施し、共役ジエン系重合体を得た。
【0059】
〔比較例3〕
タンク併設の循環ポンプ(P)を作動させず、ポンプによる循環を行わなかった。その他の条件は実施例3と同様に実施し、共役ジエン系重合体を得た。
【0060】
〔比較例4〕
タンク併設の循環ポンプ(P)を作動させず、ポンプによる循環を行わなかった。その他の条件は実施例8と同様に実施し、共役ジエン系重合体を得た。
【0061】
〔比較例5〕
上述のようにして作製した共役ジエン系重合体(SBS2)の重合体溶液を、
図1に示すように、重合槽から所定の配管を介してタンク方向へ移送する工程において、下記表1に示す添加量の水を
図1中符号(1)の位置で添加し、撹拌翼付き小型ミキサー(M1)でミキシングした後、ステアリン酸(花王社製ルナックS−90)を5質量%溶解させたシクロヘキサン溶液を
図1中符号(2)の位置で添加し、タンクへ移送した。ステアリン酸の添加量(有機リチウム化合物1モルに対するモル量)を表1に示す。
タンクへ移送した共役ジエン系重合体溶液を、タンク内の攪拌機(A)で撹拌するとともに、併設の循環ポンプ(P)にて、タンク内の共役ジエン系重合体溶液全量を5回循環させた。
循環後に、タンクから共役ジエン系重合体溶液を2L容器に採取し、共役ジエン系重合体溶液の白濁状態を確認した後、水と共役ジエン系重合体溶液が2相分離するまでの時間を測定し、微分散状態を評価した。
その後、共役ジエン系重合体溶液を、タンク内から次工程へ移送する際に、
図1中符号(3)の位置で、熱安定剤として、共役ジエン系重合体100質量部あたりヒンダードフェノール系化合物(BASF社製イルガノックス、Irg.1076)を0.2質量部、硫黄含有フェノール化合物(BASF社製商品名イルガノックス、Irg.1520L)を0.08質量部添加し、さらに炭酸ガスを添加して中和した。
その後、共役ジエン系重合体溶液を、水に対して20ppmのスチレン−無水マレイン酸共重合体ナトリウム塩と5ppmの硫酸マグネシウムを分散剤として添加し、スチームにて85〜98℃に加熱した条件下でスチームストリッピングした。
溶媒除去後のクラムを回収し、ロール温度140℃でクラムを乾燥して共役ジエン系重合体を得た後、2軸押出機を用いて180℃でペレタイズした。
【0062】
実施例1〜11及び比較例1〜5の共役ジエン系重合体の特性、共役ジエン系重合体中のリチウム残渣量、フィルター詰まりの簡易評価、及びベール、ペレットの加熱着色性の評価結果を表1に示す。
【0063】
【表1】
【0064】
実施例1〜11においては、リチウム残差量の低減化が図られ、また、フィルター詰まりの評価の結果も良好であり、ポリマーの着色の数値も小さく結果が良好であった。
比較例1、3、4においては、添加剤の添加工程での小型ミキサーでのラインミキシングや、タンクでの撹拌だけでは、十分な微分散状態とすることができず、十分にリチウム残渣量を低減化できなかった。
また、比較例2においては、循環ポンプでのミキシングを行ったが、水の添加量が少ないため、十分にリチウム残渣量を低減化できなかった。
さらに比較例5においては、水の添加量が過多であるため、共役ジエン系重合体溶液と水とが十分に微分散状態とならず、すぐに2相分離してしまい、十分にリチウム残渣量を低減化できなかった。