【実施例】
【0022】
図1はこの実施例に係る内径判定装置の平面図、
図2は内径判定装置の正面図である。
【0023】
図1および
図2において、符号10は内径判定装置(以下「装置」という)を示す。装置10は、チューブ(中空部材)12の内径が予め定められた適正範囲内にあるか否か判定する装置であり、チューブ12に挿入自在に形成されるテーパ部14aを有するテーパゲージ(内径検査部材)14と、テーパゲージ14をチューブ12の長手方向に沿って移動自在に支持するテーパゲージ支持部16と、テーパ部14aにチューブ12が挿入されたときのテーパゲージ14の移動量を検出するストロークセンサ(内径検査部材移動量検出手段)18と、検出されたテーパゲージ14の移動量に基づいてチューブ12の内径が予め定められた適正範囲内にあるか否か判定するコントローラ(内径判定手段)20とを備える。
【0024】
また、装置10には、チューブ12の内径が適正範囲内にあると判定されるときに点灯するOKランプ22aと適正範囲内にないと判定されるときに点灯するNGランプ22bが設けられており、いずれのランプ22a,22bもコントローラ20に接続され、コントローラ20からの指令によって点灯する。
【0025】
テーパゲージ14は、円錐状のテーパ部14aと、テーパ部14aに接続されるほぼ円柱状を呈する本体部14bとからなる。装置10にてチューブ12の内径を検査するときはテーパ部14aにチューブ12が挿入される。
【0026】
テーパ部14aの近傍には、テーパ部14aに挿入されたチューブ12の先端部に当接してテーパゲージ14に対するチューブ12の挿入度合い(挿入深さ(挿入量))を規制するストッパ24が設けられる。ストッパ24は、テーパ部14aが貫通する貫通孔24aを有する板状部材からなり、貫通孔24aにテーパ部14aを貫通した状態で台座26(
図2参照)に固定される。ストッパ24は、テーパ部14aに挿入されたチューブ12の先端部が所定位置にくると(チューブ12の挿入深さが所定の深さになると)、チューブ12の先端部に当接してチューブ12をそれ以上奥に挿入させないようにする。
【0027】
また、ストッパ24には、
図1に示すように、チューブ12の先端部がストッパ24に当接したことを検知するレバースイッチ28が設けられる。レバースイッチ28は、ストッパ24に回動自在に支持されるレバー28aと、レバー28aによってオンされるスイッチ28bとを備える。
【0028】
図3はレバースイッチ28を説明する説明図である。レバー28aは、
図3に示すように、ストッパ24に対して支点28a1を中心として回動自在に支持される。また、レバー28aは、一端部28a2がテーパ部14aに挿入されたチューブ12の先端部と接触可能なように構成され、他端部28a3がスイッチ28bと接触可能なように構成される。具体的には、
図3(a)(b)に示すように、チューブ12がテーパ部14aに挿入されて所定の位置までくると、チューブ12の先端部がレバー28aの一端部28a2と接触し、レバー28aは回動を開始する。そして、
図3(c)に示すように、チューブ12の先端部がストッパ24に当接するまで挿入されると、レバー28aはさらに回動し、このときレバー28aの他端部28a3がスイッチ28bをオンする。
【0029】
レバースイッチ28は、スイッチ28bがオンされると、その旨の信号をコントローラ20に出力する。そのため、コントローラ20は、レバースイッチ28からの出力をモニタすることによってチューブ12がストッパ24に当接したか否かを判定することができる。
【0030】
なお、レバー28aは、
図3(a)に示すように、チューブ12が作用する力点から支点までの距離d1よりも支点から作用点までの距離d2が大きくなるように構成される。これは、レバー28aの一端部(力点)28a2の少ない回動量で他端部(作用点)28a3を大きく回動させるためであり、これによりチューブ12によってレバー28aの一端部28a2を僅かに押すだけでスイッチ28bをオンすることができる。
【0031】
図1および
図2の説明に戻ると、テーパゲージ支持部16は、テーパゲージ14の本体部14bを支持(固定)する第1ブロック部材16aと、テーパゲージ14と第1ブロック部材16aをテーパゲージ14の長手方向に移動自在に支持する第2ブロック部材16bとからなる。第1ブロック部材16aは、
図2に示すように、第2ブロック部材16bに形成されたレール16b1上をスライドすることによって移動する。
【0032】
ストロークセンサ18は、テーパゲージ14とテーパゲージ支持部16の後方(
図2右側)に設置されるが、具体的には、検出部18aの先端がテーパゲージ支持部16の第1ブロック部材16aの壁面に接触するように設置される。従って、第1ブロック部材16aがストロークセンサ18の方向に移動すると、検出部18aが収縮して第1ブロック部材16aと共に移動するテーパゲージ14の移動量を検出することができる。
【0033】
コントローラ20は、CPU、メモリなどを備えたマイクロコンピュータからなり、ストロークセンサ18やレバースイッチ28(スイッチ28b)などに接続される。コントローラ20は、レバースイッチ28からスイッチ28bがオンされた旨の信号を受信すると、そのときのストロークセンサ18からの出力値、すなわち、テーパゲージ14の移動量を検出し、検出された移動量に基づいてチューブ12の内径が適正範囲内にあるか否かを判定する。この詳細については後述する。
【0034】
なお、テーパゲージ14やストッパ24と対向する位置には、チューブ12を所定の向きに案内するチューブガイド30が設けられる。チューブガイド30は、チューブ12が挿入可能なチューブ挿入孔30aを有する。チューブ挿入孔30aは、自身の軸心(チューブ挿入孔30aの中心)とテーパゲージ14の軸心とがほぼ一致するように位置させられる。よって、
図3に示すように、チューブ12をチューブ挿入孔30aに挿通することで、チューブ12はテーパ部14aにほぼまっすぐ挿入されるようになる。
【0035】
以上が、装置10の構成であるが、次に装置10の動作について説明する。
図4はコントローラ20の制御動作を示すフロー・チャート、
図5はチューブ12の内径とテーパゲージ14の移動量との関係について説明する説明図である。なお、
図4においてSはプログラムの処理ステップを示す。
【0036】
以下説明すると、先ずS10においてスイッチ28bがオンされたか否か判断し、肯定されるときはS12に進んでストロークセンサ18の出力値に基づいてテーパゲージ14の移動量xが適正範囲内、具体的には、b(mm)以上a(mm)以下か否か判定する。
【0037】
S12で肯定されるときはチューブ12の内径が適正範囲内にあると判定できることから、S14に進んでOKランプ22aを点灯させる。
【0038】
一方、S12で否定されるときはチューブ12の内径が適正範囲内にないと判定できることから、S16に進んでNGランプ22bを点灯させる。なお、チューブ12の内径が適正範囲内にないとは、チューブ12の内径が小さすぎる場合(この場合、テーパゲージ14の移動量がa(mm)を超える)または大きすぎる場合(この場合、テーパゲージ14の移動量がb(mm)未満となる)を意味する。
【0039】
ここで、チューブ12の内径が適正範囲内か否かの判定について
図5を参照して具体的に説明すると、チューブ12の内径が適正範囲内のときは、
図5(a)に示すように、チューブ12の先端部がテーパ部14aに接触してからストッパ24に当接するまでにテーパゲージ14の移動量xはb(mm)以上a(mm)以下となる。これに対してチューブ12の内径が小さすぎる場合は、
図5(b)に示すように、チューブ12の先端部がテーパ部14aに接触してからストッパ24に当接するまでにテーパゲージ14の移動量xはa(mm)を超える。一方、チューブ12の内径が大きすぎる場合は、チューブ12の先端部がテーパ部14aに接触してからストッパ24に当接するまでにテーパゲージ14の移動量xはb(mm)未満となる。例えば
図5(c)の例では、チューブ12の内径がテーパゲージ14の外径を超えるため、テーパゲージ14の移動量xはゼロ、すなわち、テーパゲージ14は移動しない。このように、テーパゲージ14の移動量xを計測することによってチューブ12の内径が適正範囲内にあるか否かを判定することができる。
【0040】
図4の説明に戻ると、S10で否定、すなわち、スイッチ28bがオンされていないと判断されるときはS18に進んでテーパゲージ14の移動量xがa(mm)を超えるか否か判定する。
【0041】
S18で否定されるときはS10に戻る一方、肯定されるときはS16に進んでNGランプ22bを点灯させる。すなわち、コントローラ20は、上記したように、スイッチ28bがオンされたことを契機としてテーパゲージ14の移動量xを計測し、このときの移動量xに基づいてチューブ12の内径が適正範囲内か否か判定するようにしている(S10,S12)。しかしながら、S10,S18に示すように、たとえスイッチ28bがオンされていない場合であってもテーパゲージ14の移動量xが所定量(a(mm))を超えたときは、スイッチ28bがオンされたかどうかにかかわらずチューブ12の内径が小さすぎると判断できることから(チューブ12の内径が小さすぎると、チューブ12がテーパ部14aの浅い位置で停止してしまい、それ以上奥へ進めずにスイッチ28bをオンできないこともある)、NGランプ22bを点灯させるようにした。
【0042】
以上の如く、この発明の実施例にあっては、中空部材(チューブ等)12の内径が予め定められた適正範囲内にあるか否か判定する装置10であって、前記中空部材に挿入自在に形成されるテーパ部14aを有する内径検査部材(テーパゲージ)14を備える内径判定装置10において、前記内径検査部材を前記中空部材の長手方向に沿って移動自在に支持する内径検査部材支持部(テーパゲージ支持部)16と、前記テーパ部に前記中空部材が挿入されたときの前記内径検査部材の移動量xを検出する内径検査部材移動量検出手段(ストロークセンサ)18と、前記検出された内径検査部材の移動量に基づいて前記中空部材の内径が予め定められた適正範囲内にあるか否か判定する内径判定手段(コントローラ20。S12)とを備えるように構成したので、テーパゲージ14にチューブ等12を挿入するだけでチューブ等12の内径を判定できると共に、テーパゲージ14はテーパゲージ支持部16に支持されているので、例えば手のふるえがあったり、片手であってもチューブ等12をテーパゲージ14に挿入することも可能となり、容易にチューブ等12の内径を判定することができる。また、テーパゲージ14と、テーパゲージ14を支持するテーパゲージ支持部16と、テーパゲージ14の移動量xを検出するストロークセンサ18と、コントローラ20のみの簡易な構成でチューブ等12の内径を判定することができる。
【0043】
また、前記テーパ部に挿入される前記中空部材の先端部に当接して前記内径検査部材に対する前記中空部材の挿入度合いを規制するストッパ24を備えるように構成したので、例えば中空部材12がチューブの場合でも、チューブ12をストッパ24によって適正位置に停止させることができるため、テーパ部14aにチューブ12を挿入し過ぎてチューブ12が拡径するということはない。すなわち、中空部材12がチューブの場合にはテーパ部14aへの挿入加減(挿入強さ)をうまく調節しないと、チューブ12を強く挿入し過ぎてチューブ12が拡径してしまうといった不都合が生じる。しかし、ストッパ24を設けることでこのような不都合が生じることはない。
【0044】
また、前記中空部材の先端部が前記ストッパに当接したか否か判定する当接判定手段(レバースイッチ)28を備え、内径判定手段は、前記中空部材の先端部が前記ストッパに当接したと判定されるとき、前記検出された内径検査部材の移動量に基づいて前記中空部材の内径が予め定められた適正範囲内にあるか否か判定する(S10,S12)ように構成したので、チューブ等12の先端部がストッパ24に当接したことを契機としてチューブ等12の内径を判定できるため、一層容易にチューブ等12の内径を判定することができる。
【0045】
また、前記当接判定手段は、前記ストッパに対して支点28a1を中心として回動自在に支持されるレバー28aを有し、前記レバーが前記テーパ部に挿入された前記中空部材の先端部に接触して回動させられるとき、前記レバーの回動量に基づいて前記中空部材の先端部が前記ストッパに当接したか否か判定するように構成、すなわち、チューブ等12の先端部がストッパ24に当接するとレバー28aの回動量が所定量以上になってスイッチ28bをオンするように構成したので、簡易な構成でチューブ等12の先端部がストッパ24に当接したか否か判定することができる。
【0046】
また、前記レバーは、前記中空部材の先端部が接触して作用する力点から前記支点までの距離d1よりも前記支点から作用点までの距離d2が大きくなるように構成したので、小さな力点の回動量で大きな作用点の回動量を得ることができるため、チューブ等12の先端部による僅かなレバー28aの押し込み量でチューブ等12の先端部がストッパ24に当接したか否か判定することができる。
【0047】
また、前記中空部材はチューブからなると共に、前記内径検査部材と対向する位置に、前記チューブを所定の向きに案内するチューブガイド30を備えるように構成したので、容易、かつ正確にチューブ12をテーパゲージ14に挿入することができる。より具体的には、チューブガイド30によってチューブ12がテーパ部14aに案内されるので、例えば手のふるえがあったり、片手であってもチューブ12をテーパ部14aにまっすぐ挿入することができる。よって作業員が手の不自由な手指機能弱者や片手作業者などでも容易にチューブ12をテーパゲージ14に挿入することができる。
【0048】
なお、実施例では、円錐状のテーパ部14aを示したが、テーパ部14aの形状はこれに限定されるものではなく、例えば三角錐状、四角錐状あるいは平板状等であってもよい。
【0049】
また、テーパゲージ14は第1ブロック部材16aを介して第2ブロック部材16bに移動自在に支持されていたが、テーパゲージ14は必ずしも第1ブロック部材を介さずに、移動できるようにしてもよい。
【0050】
また、ストロークセンサ18として、検出部18aが第1ブロック部材16aに接触する接触式のものを示したが、ストロークセンサ18はこれに限定されるものではなく、例えば非接触式のものであってもよい。すなわち、テーパゲージ14の移動量が検出できるのであれば、センサの構成は特定のものに限定されるものではない。
【0051】
また、チューブ12の内径が適正範囲内にあるか否かをランプ(OKランプ22a,NGランプ22b)の点灯によって報知するようにしたが、ランプの代わりに、例えばディスプレイへのメッセージの表示や警告音などによって報知するようにしてもよい。