(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
長手方向に沿って貫通する中空部を有する複数の中空部材のうちの隣接する2つの前記中空部材が、前記長手方向に対して斜めに形成された小口同士を突き合わせて溶着することにより接合されて枠状をなし、
前記隣接する前記中空部材の前記中空部内に前記長手方向に沿って、前記中空部材より融点が高い材料で形成された補強部材を備え、
前記補強部材は、前記中空部の小口における内周側の縁より先端側に延出した先端延出部を有し、
前記先端延出部の内周側に加熱されて発泡する加熱発泡材を備えていることを特徴とする枠体。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態に係る建具について図面を参照して説明する。
本実施形態では、
図1に示すような内障子3外障子4を備えた引き違い窓用の建具1を例に挙げて説明する。
【0017】
本実施形態の建具1は、引き違い方式にて移動可能な2枚の障子3、4と、躯体2に取り付けられて2枚の障子3、4により閉塞可能な開口10aを形成する合成樹脂製の枠状をなす枠体としての窓枠10とを有している。
【0018】
以下の説明においては、躯体2の取り付けられた建具1を室内側から見たときに、上下となる方向を上下方向、左右となる方向を左右方向、室内外方向である奥行き方向を見込み方向とするとともに、窓枠10の面内方向において開口10aの中央側を内周側、窓枠10の外側を外周側として示す。また、建具1を構成する各部材及び各部位については、単体の状態であっても建具1が取り付けられた状態で上下方向、左右方向、見込み方向等となる方向、及び、枠体の内周側、外周側にて方向を特定して説明する。
【0019】
窓枠10は、合成樹脂製の4本の押出成形部材でなる枠材11、12、13、14が上枠11、下枠12、左枠13及び右枠14をなすように矩形状に枠組みされて形成されている。上枠11、下枠12、左枠13及び右枠14は、
図1に示すように、各々所定の長さにて小口11a、12a、13a、14aが、長手方向に対して45度をなすように斜めに切断され、互いに隣接する枠材11、12、13、14の小口11a、12a、13a、14a同士を突き合わされて溶着されている。ここで、各枠材11、12、13、14の断面形状がほぼ同一であり、互いに隣り合う枠材11、12、13、14同士が90度をなすように接合するため、各枠材11、12、13、14の小口11a、12a、13a、14aを45度に切断しているが、接合する枠材の断面形状が相違する場合など、枠材の小口は必ずしも45度でなくとも構わない。
【0020】
上枠11、下枠12、左枠13及び右枠14は、同一の断面形状をなしており、矩形状に接合された窓枠10の各接合部において共通する構成について、上枠11と左枠13との接合部を例に挙げて説明する。また、ほぼ同一の形状をなす、上枠11、下枠12、左枠13及び右枠14の構造については上枠11を例に挙げて説明し、下枠12、左枠13及び右枠14については、上枠11と同一の部位に、各々の枠材を示す番号、例えば左枠の場合には「13」の後に同一の数字およびアルファベット添えた符号を付して示すものとする。
【0021】
上枠11は、
図2、
図3に示すように、長手方向となる左右方向に貫通し見込み方向に並べて設けられた5つの中空部111a、111b、111c、111d、111eを有する枠本体部111と、枠本体部111をなし開口10aの中央側に臨む平面を形成する本体内板部112の室内側の端から下方に垂設された内壁部113と、本体内板部112の室外側の端から下方に垂設された外壁部114と、内壁部113と外壁部114との間にて見込み方向において互いに間隔を隔てて本体内板部112から窓枠10の内周側に突出する内突出部115および外突出部116と、枠本体部111の上側となる外周面117に設けられて躯体2に固定される上躯体固定部118と、内壁部113の室内に臨む面に設けられて躯体2に固定される内躯体固定部119と、を有している。
【0022】
内突出部115は、枠本体部111が有する室内側から2つめの中空部111dの下に突出しており、外突出部116は、室外側から2つめの中空部111bの下に突出している。
【0023】
上枠11の内突出部115と下枠12の内突出部125は、内障子3を案内するレールをなし、上枠11の外突出部116と下枠12の外突出部126は、外障子4を案内するレールをなす。また、左枠13の外突出部136は、
図4に示すように、外障子4を閉じた際に外障子4の戸先框23に入り込み、右枠14の内突出部145は、
図7に示すように、内障子3を閉じた際に内障子3の戸先框23に入り込むように構成されている。
【0024】
上枠11の枠本体部111の5つの中空部111a、111b、111c、111d、111eのうちの、最も室外側の中空部111aと最も室内側の中空部111eを除き、3つの中空部111b、111c、111d内に、長手方向に沿ってほぼ全長に渡り、窓枠10の各枠材11、12、13、14をなす合成樹脂より融点が高い、例えば鉄製の枠補強部材30、31、32がそれぞれ設けられている。また、内突出部115および外突出部116は、長手方向に沿って中空部115a、116aを備え、中空部115a、116a内に長手方向に沿ってほぼ全長に渡り、例えば鉄製の突部補強部材33がそれぞれ設けられている。
【0025】
左枠13の枠本体部の5つの中空部131a、131b、131c、131d、131eのうちの、室外側から2つめと3つめの中空部131b、131c内には、長手方向に沿ってほぼ全長に渡り、例えば鉄製の枠補強部材30、31が設けられており、外突出部136の中空部136a内には、長手方向に沿ってほぼ全長に亘り、例えば鉄製の突部補強部材33が設けられている。
【0026】
枠補強部材30、31、32は、いずれも断面がコ字状をなし、各中空部111b、111c、111dの外周側の面に対向する外周板部30a、31a、32aと、内周側の面に対向する内周板部30b、31b、32bと、外周板部30a、31a、32aの室外側の縁と内周板部30b、31b、32bの室外側の縁とを連結する連結板部30c、31c、32cとを有している。枠補強部材30、31、32は、長手方向における両端部が、上枠11および左枠13の両端の小口11a、13aの傾斜と同じ側に傾斜するように、長手方向に対して45度をなすように斜めに形成されており、枠補強部材30、31、32の端部が上枠11および左枠13の小口11a、13aより中空部111b、111c、111dの内側に位置して小口11a、13aの外に枠補強部材30、31、32が突出しないように配置されている。
【0027】
上枠11の室外側から2つの中空部111bに設けられる枠補強部材30には、連結板部30cの室内側の面に、加熱発泡材としての熱膨張性黒鉛8が設けられている。連結板部30cに設けられる熱膨張性黒鉛8は、
図2に示すように、枠補強部材30の長手方向において内周板部30bとほぼ同じ範囲に設けられている。すなわち、連結板部30cにおいて内周板部30bより端部側に突出している部位には、熱膨張性黒鉛8は設けられていない。
【0028】
枠補強部材30の外周板部30aには、上枠11の左端において中空部111bの小口11aの内周側の縁11bより先端側に延出した先端延出部11dに位置する突出対向板部30dから内周板部30bと対向する部位の一部に亘って、その内周側に熱膨張性黒鉛8が設けられている。すなわち、上枠11に設けられた枠補強部材30の外周板部30aの左端に設けられた熱膨張性黒鉛8は、上枠11が左枠13と接合されたときに左枠13の中空部131bに向くように外周板部30aの突出対向板部30dに貼り付けられているので、加熱された際には左枠13の中空部131bに向かって発泡する。
【0029】
また、上枠11の室内側から2つの中空部111dに設けられる枠補強部材32には、連結板部32cの室外側の面に、熱膨張性黒鉛8が設けられている。連結板部32cに設けられる熱膨張性黒鉛8は、
図2に示すように、枠補強部材32の長手方向において内周板部32bとほぼ同じ範囲に設けられている。すなわち、連結板部32cの内周板部32bより端部側に突出している部位には、熱膨張性黒鉛8は設けられていない。
【0030】
枠補強部材32の外周板部32aには、上枠11の右端において中空部111dの小口11aの内周側の縁(不図示)より先端側に延出した先端延出部11dに位置する突出対向板部32dから内周板部32bと対向する部位の一部に亘って、その内周側に熱膨張性黒鉛8が設けられている。すなわち、上枠11に設けられた枠補強部材32の外周板部32aの右端に設けられた熱膨張性黒鉛8は、上枠11が右枠14と接合されたときに右枠14の中空部141dに向くように外周板部32aの突出対向板部32dに貼り付けられているので、加熱された際には右枠14の中空部141dに向かって発泡する。
【0031】
枠補強部材30が設けられる中空部111bと、枠補強部材32が設けられる中空部111dとの間の、中央の中空部111cに設けられる枠補強部材31には、外周板部31aの外周側の面に、長手方向に沿って全長に亘り熱膨張性黒鉛8が設けられている。
【0032】
中空部115a、116aに設けられた突部補強部材33は、中空部115a、116aの外周側の内面と対面する外周対面部33aと、中空部115a、116aの側面と対面する側対面部33bと、側対面部33bの内周側の縁11cから斜めに延出された斜延出部33cと、を有している。
【0033】
突部補強部材33は、
図2に示すように、長手方向における両端部が、上枠11の両端の小口11aと同様に、長手方向に対して45度をなすように斜めに形成されており、突部補強部材33の端部が上枠11の小口11aより中空部115a、116aの内側に位置して中空部115a、116aから突部補強部材33が突出しないように配置されている。また、突部補強部材33は、下方から中空部115a、116aを貫通して中空部111b、111dに設けられた枠補強部材30、32に螺合するビスにより固定されている。
【0034】
内突出部115の中空部115a内に設けられる突部補強部材33は、側対面部33bが中空部115aの室外側の側面に対向させて配置され、側対面部33bの室内側の面に熱膨張性黒鉛8が設けられている。側対面部33bに設けられる熱膨張性黒鉛8は、
図2に示すように、突部補強部材33の長手方向において斜延出部33cとほぼ同じ範囲に設けられている。すなわち、側対面部33bの斜延出部33cより突出している部位には、熱膨張性黒鉛8は設けられていない。
【0035】
内突出部115の突部補強部材33の外周対面部33aには、内突出部115の右端において中空部115aの小口11aの内周側の縁(不図示)より先端側に延出した先端延出部11dに位置する突出対向板部33dから斜延出部33cと対向する部位の一部に亘って、その内周側に熱膨張性黒鉛8が設けられている。すなわち、上枠11の外周対面部33aの右端に設けられた熱膨張性黒鉛8は、上枠11が右枠14と接合されたときに右枠14の中空部145aに向くように外周対面部33aの突出対向板部33dに貼り付けられているので、加熱された際には右枠14の中空部145aに向かって発泡する。内突出部115における上枠11と右枠14との接合部は、外突出部116における上枠11と左枠13との接合部と、左右方向が反転した構成なので、図示を省略している。
【0036】
外突出部116の中空部116a内に設けられる突部補強部材33は、側対面部33bが中空部115aの室内側の側面に対向させて配置され、側対面部33bの室外側の面に熱膨張性黒鉛8が設けられている。側対面部33bに設けられる熱膨張性黒鉛8は、
図2に示すように、突部補強部材33の長手方向において斜延出部33cとほぼ同じ範囲に設けられている。すなわち、側対面部33bの斜延出部33cより突出している部位には、熱膨張性黒鉛8は設けられていない。
【0037】
外突出部116の突部補強部材33の外周対面部33aには、外突出部116の左端において中空部116aの小口11aの内周側の縁11cより先端側に延出した先端延出部11dに位置する突出対向板部33dから斜延出部33cと対向する部位の一部に亘って、その内周側に熱膨張性黒鉛8が設けられている。すなわち、上枠11の外周対面部33aの左端に設けられた熱膨張性黒鉛8は、上枠11が左枠13と接合されたときに左枠13の中空部136aに向くように外周対面部33aの突出対向板部33dに貼り付けられているので、加熱された際には左枠13の中空部136aに向かって発泡する。
【0038】
上枠11は、上躯体固定部118に室外側から当接されて躯体2にビス止めされる縦板部28aと、枠本体部111の上面117に上方から当接されて枠補強部材30、32の外周板部30a、32aにビス止めされる横板部28bとを有する断面L字状の躯体固定金具28と、最も室内側の中空部111eを形成する外周側の部位を貫通するビスおよび内躯体固定部119を貫通するビスにより躯体2に固定されている。
下枠12には、
図6に示すように、上枠11と上下が反転した状態で、枠補強部材30、31、32、突部補強部材33および熱膨張性黒鉛8が設けられている。
【0039】
図4に示すように、左枠13の室外側から2つの中空部131bに設けられる枠補強部材30には、連結板部30cの室内側の面に熱膨張性黒鉛8が設けられている。連結板部30cに設けられる熱膨張性黒鉛8は、2に示すように、枠補強部材30の長手方向において内周板部30bとほぼ同じ範囲に設けられている。すなわち、連結板部30cの内周板部30bより端部側に突出している部位には、熱膨張性黒鉛8は設けられていない。
【0040】
枠補強部材30の外周板部30aには、上下両端にて左枠13において中空部131bの小口13aの内周側の縁13bより先端側に延出した先端延出部13dに位置する突出対向板部30dから内周板部30bと対向する部位の一部に亘って、その内周側に熱膨張性黒鉛8が設けられている。すなわち、左枠13に設けられた枠補強部材30の外周板部30aの上下両端に設けられた熱膨張性黒鉛8は、
図2、
図5に示すように、左枠13が上枠11及び下枠12と接合されたときに上枠11の中空部111bおよび下枠12の中空部121bに向くように外周板部30aに貼り付けられているので、加熱された際には上枠11の中空部111bおよび下枠12の中空部121bに向かって発泡する。左枠13と下枠12との接合部は、左枠13と下枠12との接合部と、上下方向が反転した構成なので、図示を省略している。
【0041】
左枠13において外障子4を閉じた際に外障子4の戸先框23に入り込む外突出部136は、
図4に示すように、長手方向に沿って中空部136aを備え、中空部136a内にほぼ全長にわたり、上枠11と同様の突部補強部材33が設けられている。外突出部136の中空部136a内に設けられる突部補強部材33は、長手方向における両端部が、左枠13の両端の小口13aと同様に長手方向に対して45度をなすように斜めに形成されており、突部補強部材33の端部が左枠13の小口13aより中空部136aの内側に位置して中空部136aから外に突部補強部材33が突出しないように配置されている。また、突部補強部材33は、内周側から中空部136aを貫通して中空部131dに設けられた枠補強部材30に螺合するビスにて固定されている。また、上枠11と左枠13とが接合される角部においては、上枠11の外突出部116の突部補強部材33と、左枠13の外突出部136の突部補強部材33とが、不燃性である鉄製の連結金具15とともに枠補強部材30に螺合するビスにて固定されて連結されている。
【0042】
左枠13の外突出部136の中空部136a内に設けられる突部補強部材33は、側対面部33bが中空部136aの室内側の側面に対向させて配置され、側対面部33bの室外側の面に、熱膨張性黒鉛8が設けられている。側対面部33bに設けられる熱膨張性黒鉛8は、
図2に示すように、突部補強部材33の長手方向において斜延出部33cとほぼ同じ範囲に設けられている。すなわち、側対面部33bの斜延出部33cより突出している部位には、熱膨張性黒鉛8は設けられていない。
【0043】
左枠13の突部補強部材33の外周対面部33aには、上下両端にて斜延出部33cより突出している突出対向板部33dから斜延出部33cと対向する部位の一部に亘って、その内周側に熱膨張性黒鉛8が設けられている。すなわち、左枠13の外周対面部33aの上下両端に設けられた熱膨張性黒鉛8は、上枠11と左枠13とが接合されたときに上枠11の中空部116aおよび下枠12の中空部126aに向くように外周対面部33aの突出対向板部33dに貼り付けられているので、加熱された際には上枠11の中空部116aおよび下枠12の中空部126aに向かって発泡する。
【0044】
右枠14には、
図7に示すように、室内側から2つの中空部141dに枠補強部材32が設けられ、連結板部32cの室外側の面に熱膨張性黒鉛8が設けられている。連結板部32cに設けられる熱膨張性黒鉛8は、
図5に示すように、枠補強部材30の長手方向において内周板部32bとほぼ同じ範囲に設けられている。すなわち、連結板部32cの内周板部32bより端部側に突出している部位には、熱膨張性黒鉛8は設けられていない。
【0045】
枠補強部材32の外周板部32aには、上下両端にて右枠14において中空部141bの小口14aの内周側の縁14bより先端側に延出した先端延出部14dに位置する突出対向板部32dから内周板部32bと対向する部位の一部に亘って、その内周側に熱膨張性黒鉛8が設けられている。すなわち、右枠14の外周板部32aの上下両端に設けられた熱膨張性黒鉛8は、
図2、
図5に示すように、右枠14と上枠11及び左枠13とが接合されたときに、上枠11の中空部111dおよび下枠12の中空部に向くように外周板部32aに貼り付けられているので、加熱された際には上枠11の中空部111dおよび下枠12の中空部121dに向かって発泡する。
【0046】
右枠14において内障子3を閉じた際に内障子3の戸先框23に入り込む内突出部145は、
図7に示すように、長手方向に沿って中空部145aを備え、中空部145a内にほぼ全長にわたり、上枠11と同様の突部補強部材33が設けられている。内突出部145の中空部145a内に設けられる突部補強部材33は、長手方向における両端部が、右枠14の両端の小口14aと同様に長手方向に対して45度をなすように斜めに形成されており、突部補強部材33の端部が右枠14の小口14aより中空部145aの内側に位置して中空部145aから突部補強部材33が突出しないように配置されている。また、突部補強部材33は、内周側から中空部145aを貫通して中空部141dに設けられた枠補強部材32に螺合するビスにて固定されている。また、上枠11と右枠14とが接合される角部においては、上枠11の内突出部115の突部補強部材33と、右枠14の内突出部145の突部補強部材33とが、不燃性である鉄製の連結金具15とともに枠補強部材32に螺合するビスにて固定されて連結されている。
【0047】
右枠14の内突出部145の中空部145a内に設けられる突部補強部材33は、側対面部33bが中空部145aの室外側の内面に対向させて配置され、側対面部33bの室内側の面に、熱膨張性黒鉛8が設けられている。側対面部33bに設けられる熱膨張性黒鉛8は、
図5に示すように、突部補強部材33の長手方向において斜延出部33cとほぼ同じ範囲に設けられている。すなわち、側対面部33bの斜延出部33cより突出している部位には、熱膨張性黒鉛8は設けられていない。
【0048】
右枠14の突部補強部材33の外周対面部33aには、上下両端にて右枠14において中空部141bの小口14aの内周側の縁14cより先端側に延出した先端延出部14dに位置する突出対向板部33dから斜延出部33cと対向する部位の一部に亘って、その内周側に熱膨張性黒鉛8が設けられている。すなわち、右枠14の外周対面部33aの上下両端に設けられた熱膨張性黒鉛8は、
図5に示すように、右枠14が上枠11及び下枠12と接合されたときに上枠11の中空部115aおよび下枠12の中空部125bに向くように外周対面部33aの突出対向板部33dに貼り付けられており、加熱された際には上枠11の中空部115aおよび下枠12の中空部125bに向かって発泡する。
【0049】
上枠11、下枠12、左枠13及び右枠14の小口11a、12a、13a、14a同士を突き合わせて溶着して枠状の窓枠10を形成する場合には、中空部111b、111d、121b、121d、131b、131d、141b、141d、115a、116a、125a、126a、136a、145a内に設ける補強部材30、31、32、33を上枠11、下枠12、左枠13及び右枠14の小口11a、12a、13a、14aから突出させることができないため、接合する2つの枠材11、12、13、14の接合部においては各々の中空部111b、111d、121b、121d、131b、131d、141b、141d、115a、116a、125a、126a、136a、145aに設けられた補強部材30、31、32、33同士を当接させることができず、隙間が生じてしまう。
【0050】
本実施形態の建具1の窓枠10によれば、補強部材30、31、32、33の端部において、中空部111b、111d、121b、121d、131b、131d、141b、141d、115a、116a、125a、126a、136a、145aの内周側の縁11b、11c、12b、12c、13b、13c、14b、14cより長手方向に突出する突出対向板部30d、32d、33dに熱膨張性黒鉛8を設けることにより、窓枠10が火炎等により加熱された際には、小口11a、12a、13a、14aから、接合される上枠11、下枠12、左枠13及び右枠14の中空部111b、111d、121b、121d、131b、131d、141b、141d、115a、116a、125a、126a、136a、145aに向かって熱膨張性黒鉛8が発泡して、隣接する上枠11、下枠12、左枠13及び右枠14間に充満するので、2つの上枠11、下枠12、左枠13及び右枠14の接合部にて火炎が貫通することを防止することが可能である。
【0051】
このとき、熱膨張性黒鉛8は中空部111b、111d、121b、121d、131b、131d、141b、141d、115a、116a、125a、126a、136a、145aに長手方向に沿って設けられる補強部材30、31、32、33の、端部において中空部111b、111d、131b、131d、141b、141d、135a、136aの内周側の縁11b、11c、12b、12c、13b、13c、14b、14cより長手方向に突出する突出対向板部30d、32d、33dに設ける構成としたので、容易に熱膨張性黒鉛8を設けることが可能である。このため、製造性および防火性により優れた窓枠10を提供することが可能である。
【0052】
また、熱膨張性黒鉛8が設けられる部位は、中空部111b、111d、121b、121d、131b、131d、141b、141d、115a、116a、125a、126a、136a、145a内にて窓枠10の外周側に沿って設けられた外周板部30a、32a、33aの、中空部111b、111d、121b、121d、131b、131d、141b、141d、115a、116a、125a、126a、136a、145aの小口11a、12a、13a、14aの内周側の縁11b、11c、12b、12c、13b、13c、14b、14cより長手方向に突出する突出対向板部30d、32d、33dなので、加熱された際に発泡した熱膨張性黒鉛8をより確実に、接合される上枠11、下枠12、左枠13及び右枠14の中空部111b、111d、121b、121d、131b、131d、141b、141d、115a、116a、125a、126a、136a、145a内に進入させることが可能である。
【0053】
また、補強部材30、32、33において外周板部30a、32a、33aと内周板部30b、32b、33bとを連結する連結板部30c、32c、33cの端部の縁が上枠11、下枠12、左枠13及び右枠14の小口11a、12a、13a、14aの傾斜と同じ側に傾斜するように形成されているので、補強部材30、32、33の縁を、補強部材30、32、33が設けられている上枠11、下枠12、左枠13及び右枠14の縁のより近くまで配置することが可能である。このため、接合する2つの上枠11、下枠12、左枠13及び右枠14の接合部において補強部材30、32、33同士の間に生じてしまう隙間を、より狭くすることが可能であり、より防火性に優れた窓枠10を提供することが可能である。
【0054】
内障子3および外障子4は、各々面材としての複層ガラス5と、複層ガラス5を囲む合成樹脂製の枠体としての框20とを有している。框20は、複層ガラス5を囲むとともに当該複層ガラス5の各端部が挿入される合成樹脂製の框材でなる上框21、下框22、戸先框23および戸尻框24を有している。内障子3および外障子4の上框21、下框22、戸先框23は、ほぼ同一の断面形状をなしており、内障子3の戸尻框24と外障子4の戸尻框24とは、見込み方向において互いに対向する部位に設けられた煙返しを構成する部位の形状が相違している。
【0055】
框20は、
図1に示すように、上框21、下框22、戸先框23および戸尻框24が各々の長手方向における小口210、220、230、240が長手方向に対して45度をなすように斜めに切断され、互いに隣接する框材21、22、23、24の小口210、220、230、240同士を突き合わせて溶着することにより形成されている。内障子3および外障子4の内部構造は、ほぼ同様なので、以下の説明においては、外障子4の上框21と戸先框23との接合部を例に挙げて構造を説明する。
【0056】
外障子4の上框21および戸先框23は、
図2、
図3に示すように、框本体21a、23aと、框本体21a、23aに設けられた係合溝21b、23bに各々係合される押縁6と、を有している。框本体21a、23aに係合された押縁6は、矩形状に接合された框20の状態において、その内周側に、複層ガラス5の端部が挿入される面材挿入部としてのガラス挿入部21c、23cを框本体22a、23aとともに形成する。
【0057】
上框21および戸先框23は、ガラス挿入部21c、23cの外周側に各々長手方向に貫通する中空部21d、23dを有し、さらに中空部21d、23dの外周側に窓枠10に設けられ窓枠10の内周側に突出する上枠11の外突出部116または左枠13の外突出部136が挿入される溝状凹部21e、23eを有している。ガラス挿入部21c、23c、中空部21d、23d、溝状凹部21e、23eは、いずれも上框21、戸先框23の各々全長に渡って設けられている。
【0058】
すなわち、複層ガラス5の上に位置する上框21においては、下部に複層ガラス5の上端が挿入されるガラス挿入部21cが設けられており、ガラス挿入部21cの上(外周側)に中空部(以下、上框中空部ともいう)21dが設けられており、中空部21dの上(外周側)に、窓枠10の上枠11に設けられた外突出部116が挿入される溝状凹部21eが、いずれも上框21の全長に亘って設けられている。
【0059】
上框21および戸先框23のガラス挿入部21c、23c内には、複層ガラス5の周端部を覆うように不燃性である鉄製の保持部材7が設けられ、上框21および戸先框23の中空部21d、23d内には、不燃性である鉄製の框補強部材25が設けられ、溝状凹部21e、23e内には、不燃性である鉄製の溝補強部材26が各々設けられている。保持部材7、框補強部材25、溝補強部材26は、各々上框21および戸先框23のほぼ全長に亘って設けられ、保持部材7と框補強部材25とはガラス挿入部21c、23cから中空部21d、23dに貫通するビスまたはリベットにより接合され、框補強部材25と溝補強部材26とは、溝状凹部21e、23eから中空部21d、23dに貫通するビスまたはリベットにより接合されている。また、互いに隣接して接合される上框21と戸先框23とに設けられた框補強部材25同士は不燃性である鉄製の連結金具9により連結されている。
【0060】
框補強部材25は、断面がコ字状をなし、複層ガラス5の面内方向において対向する一対の対向壁部25aと、対向壁部25aの一方の端同士を連結する連結壁部25bと、を有している。一対の対向壁部25aは、中空部21d、23dにおいて複層ガラス5の面内方向において対向する内面と対面し、連結壁部25bは、中空部21d、23dの室外側の内面と対面するように配置されている。
【0061】
框補強部材25は、長手方向における両端部が、上框21および戸先框23の両端の小口210、230と同様に長手方向に対して45度をなすように斜めに形成されており、框補強部材25の端部が上框21および戸先框23の小口210、230より中空部21d、23dの内側に位置して中空部21d、23dから框補強部材25が突出しないように配置されている。框補強部材25の連結壁部25bの両面にはそれぞれ加熱発泡材としての熱膨張性黒鉛8が設けられている。連結壁部25bに設けられる熱膨張性黒鉛8は、
図2に示すように、框補強部材25の長手方向において内周側に位置する対向壁部(内対向壁部)25aとほぼ同じ範囲に設けられている。すなわち、連結壁部25bの内対向壁部25aより端部側に突出している部位には、熱膨張性黒鉛8は設けられていない。
【0062】
また、一対の対向壁部25aのうち、框20の外周側に位置する対向壁部(外対向壁部)25aの両端部には、小口210、230の内周側の縁210a、230aより先端側に延出した先端延出部210b、230bに位置する突出対向壁部25cから内対向壁部25aの一部に亘って、その内周側に熱膨張性黒鉛8が設けられている。すなわち、上框21および戸先框23の外対向壁部25aの両端部に設けられた熱膨張性黒鉛8は、上框21と戸先框23とが接合されたときに上框21および戸先框23の中空部21d、23dに向くように外対向壁部25aに貼り付けられているので、加熱された際には相手となる上框21および戸先框23の中空部21d、23dに向かって発泡する。
【0063】
溝補強部材26は、断面がコ字状をなし、溝状凹部21e、23eの対向する壁部21f、23fにそれぞれ沿うとともに対面する室内側壁部26aおよび室外側壁部26bと、室内側壁部26aおよび室外側壁部26bの一方の端同士を連結し底部23gに沿うとともに対面する底側連結部26cと、を有している。
【0064】
溝補強部材26の長手方向における両端部は、上框21および戸先框23の両端の小口210、230と同様に長手方向に対して45度をなすように斜めに形成されており、溝補強部材26の端部が上框21および戸先框23の小口210、230より溝状凹部21e、23eの内側に位置して溝状凹部21e、23eから溝補強部材26が突出しないように配置されている。溝補強部材26の底側連結部26cの外周側の面には全長に亘って熱膨張性黒鉛8が設けられている。また、室内側壁部26aの室内側の面および室外側壁部26bの室外側の面にも、全長に亘って熱膨張性黒鉛8が設けられている。
【0065】
上框21、下框22、戸先框23および戸尻框24のうちの隣接する框材21、22、23、24の小口210、220、230、240同士を突き合わせて溶着して枠状の框20を形成する場合には、中空部21d、22d、23d、24d内に設ける補強部材25を上框21、下框22、戸先框23および戸尻框24の小口210、220、230、240から突出させることができないため、接合する2つの框材21、22、23、24の接合部においては各々の中空部21d、23dに設けられた補強部材25同士を当接させることができず、隙間が生じてしまう。
【0066】
本実施形態の建具1の障子3、4によれば、補強部材25の端部において、中空部21d、23dの内周側の縁210a、230aより長手方向に突出する突出対向壁部25cに熱膨張性黒鉛8を設けることにより、框20が火炎等により加熱された際には、小口210、220、230、240から、接合される上框21、下框22、戸先框23および戸尻框24の中空部21d、23dに向かって熱膨張性黒鉛8が発泡して、隣接する上框21、下框22、戸先框23および戸尻框24間に充満するので、2つの上框21、下框22、戸先框23および戸尻框24の接合部にて火炎が貫通することを防止することが可能である。このとき、熱膨張性黒鉛8は中空部21d、23dに長手方向に沿って設けられる補強部材25の、端部において中空部21d、23dの内周側の縁210a、230aより長手方向に突出する突出対向壁部25cに設ける構成としたので、容易に熱膨張性黒鉛8を設けることが可能である。このため、製造性および防火性により優れた框20を提供することが可能である。
【0067】
また、熱膨張性黒鉛8が設けられる部位は、中空部21d、23d内にて框20の外周側に沿って設けられた外対向壁部25aの、中空部21d、23dの小口210、230、の内周側の縁210a、230aより長手方向に突出する突出対向壁部25cなので、加熱された際に発泡した熱膨張性黒鉛8をより確実に、接合される上框21、下框22、戸先框23および戸尻框24の中空部21d、23d内に進入させることが可能である。
【0068】
また、補強部材25において外対向壁部25aと内対向壁部25aとを連結する連結壁部25bの端部の縁が上框21、下框22、戸先框23および戸尻框24の小口210、220、230、240の傾斜と同じ側に傾斜するように形成されているので、補強部材25の縁を、設けられている上框21、下框22、戸先框23および戸尻框24の縁のより近くまで配置することが可能である。このため、接合する2つの上框21、下框22、戸先框23および戸尻框24の接合部において補強部材25同士の間に生じてしまう隙間を、より狭くすることが可能であり、より防火性に優れた框20を提供することが可能である。
【0069】
また、框20の内周側に複層ガラス5の周端部を収容した障子3、4によれば、框20が製造性および防火性により優れた框20なので、製造性および防火性により優れた障子3、4を提供することが可能である。
【0070】
また、上記窓枠10と、上記障子3、4と、上記窓枠10と、を備えた建具1によれば、製造性および防火性により優れた障子3、4および窓枠10を備えた建具1を提供することが可能である。
【0071】
上記実施形態においては、窓枠10を形成する枠材11、12、13、14および框20を形成する框材21、22、23、24を合成樹脂製とし、補強部材30、31、32,33、25、26を鉄製としたが、これに限らず、補強部材の素材が中空部材の素材よりより融点が高ければ構わない。
【0072】
また、上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0073】
1 建具、3 内障子(障子)、4 外障子(障子)、5 複層ガラス、
8 熱膨張性黒鉛、10 窓枠、10a 開口、11 上枠、11a 小口、
11b 内周側の縁、11c 内周側の縁、11d 先端延出部、12 下枠、
12a 小口、12b 内周側の縁、12c 内周側の縁、12d 先端延出部、
13 左枠、13a 小口、13b 内周側の縁、13c 内周側の縁、
13d 先端延出部、14 右枠、14a 小口、14b 内周側の縁、
14c 内周側の、14d 先端延出部、20 框、21 上框、21d 中空部、
22 下框、22d 中空部、23 戸先框、23d 中空部、
25 框補強部材、25a 外対向壁部、25a 内対向壁部、25b 連結壁部、
25c 突出対向壁部、30 枠補強部材、30a 外周板部、30b 内周板部、
30c 連結板部、30d 突出対向板部、32 枠補強部材、32a 外周板部、
32b 内周板部、32c 連結板部、32d 突出対向板部、33 突部補強部材、
33a 外周対面部、33b 側対面部、33c 斜延出部、33d 突出対向板部、
111b 中空部、111d 中空部、115 内突出部、115a、中空部、
116 外突出部、116a 中空部、121b 中空部、121d 中空部、
125 内突出部、125a、中空部、126 外突出部、126a 中空部、
131b 中空部、131d 中空部、136 外突出部、136a 中空部、
141b 中空部、141d 中空部、145 内突出部、145a、中空部、
210 小口、210a 内周側の縁、210b 先端延出部、220 小口、
220a 内周側の縁、220b 先端延出部、230 小口、230a 内周側の縁、230b 先端延出部、240 小口、240a 内周側の縁、240b 先端延出部、