特許第6363973号(P6363973)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6363973薄い水蒸気バリア層を具備するゴルフボール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6363973
(24)【登録日】2018年7月6日
(45)【発行日】2018年7月25日
(54)【発明の名称】薄い水蒸気バリア層を具備するゴルフボール
(51)【国際特許分類】
   A63B 37/00 20060101AFI20180712BHJP
【FI】
   A63B37/00 660
   A63B37/00 412
   A63B37/00 418
   A63B37/00 422
   A63B37/00 540
   A63B37/00 332
【請求項の数】17
【外国語出願】
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-123797(P2015-123797)
(22)【出願日】2015年6月19日
(65)【公開番号】特開2016-13432(P2016-13432A)
(43)【公開日】2016年1月28日
【審査請求日】2015年9月2日
(31)【優先権主張番号】14/319,200
(32)【優先日】2014年6月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390023593
【氏名又は名称】アクシュネット カンパニー
【氏名又は名称原語表記】ACUSHNET COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100086531
【弁理士】
【氏名又は名称】澤田 俊夫
(74)【代理人】
【識別番号】100093241
【弁理士】
【氏名又は名称】宮田 正昭
(74)【代理人】
【識別番号】100101801
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 英治
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ディー. ファレル
【審査官】 ▲吉▼川 康史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−126062(JP,A)
【文献】 特開2011−195408(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/038600(WO,A1)
【文献】 特開2010−275186(JP,A)
【文献】 特開2012−196521(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部分組立体を包囲する外側カバー層を有するゴルフボールにおいて、上記部分組立体がコアを包囲するバリア層を有し、このバリア層は、グラフェンを有する組成物から形成された厚さが0.3から3ナノメートルのフィルムであることを特徴とするゴルフボール。
【請求項2】
上記グラフェンはグラフェンの先駆体を有する請求項1記載のゴルフボール。
【請求項3】
上記グラフェンはグラフェン酸化物を有する請求項1記載のゴルフボール。
【請求項4】
上記グラフェンはグラファイト還元グラフェン酸化物である請求項1記載のゴルフボール。
【請求項5】
上記組成物は水蒸気浸入に対する曲がりくねった経路を形成する請求項1記載のゴルフボール。
【請求項6】
上記部分組立体のショアD硬度は60未満である請求項1記載のゴルフボール。
【請求項7】
上記バリア層は、第1の水蒸気透過率を有し、上記カバーは第2の水蒸気透過率を有し、上記第1の水蒸気透過率は上記第2の水蒸気透過率より小さい請求項1記載のゴルフボール。
【請求項8】
上記第1の水蒸気透過率は、38°Cおよび90%相対湿度で10−1グラム・mm/m.日未満である請求項1記載のゴルフボール。
【請求項9】
上記バリア層は上記コアの回りに直接に配される請求項1記載のゴルフボール。
【請求項10】
上記バリア層は上記コアおよび上記カバー層の間に配される請求項1記載のゴルフボール。
【請求項11】
コア、上記コアをケーシングするカバー層、および上記カバー層をケーシングするバリア層を有し、上記バリア層は、グラフェンから形成された厚さが0.3から3ナノメートルのフィルムであることを特徴とするゴルフボール。
【請求項12】
上記コアは半径が少なくとも3.81cm(1.5インチ)であるソリッドコアである請求項1記載のゴルフボール。
【請求項13】
上記ソリッドコアの直径は少なくとも3.94cm(1.55インチ)である請求項12記載のゴルフボール。
【請求項14】
上記カバー層の厚さは0.0254cm(0.010インチ)から0.203cm(0.080インチ)である請求項1記載のゴルフボール。
【請求項15】
ゴルフボール中にバリアを形成する方法において、上記ゴルフボールは外側カバーを有し、この外側カバーは、コアを具備するゴルフボール部品を包囲するバリア層を有する部分組立体を包囲し、
上記バリア層を、
グラフェンを含む水性溶液を形成するステップと、
上記水性溶液中で上記ゴルフボール部品をコーティングするステップと、
溶媒を蒸発させるステップとを有する手順で形成し、
上記バリア層は厚さが0.3から3ナノメートルのフィルムである、上記方法。
【請求項16】
上記グラフェンを含む上記水性溶液を形成するステップは、
グラファイトをグラファイト酸化物に酸化するステップと、
水の中で上記グラファイト酸化物を超音波によって剥離してグラファイト酸化物コロイドを形成するステップと、
グラファイト酸化物コロイドを、溶媒還元による脱酸素化処理を通じてグラファイトコロイドに変換するステップとを有する、請求項15記載の上記方法。
【請求項17】
上記溶媒はヒドラジンである請求項16記載の上記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はゴルフボールのための新しい構造に関し、より具体的には、水蒸気バリア層を具備するゴルフボールに関する。
【背景技術】
【0002】
ソリッドコアのゴルフボールはこの技術分野では周知である。典型的には、コアはポリブタジエンゴム材料から製造され、これはゴルフボールの反発力の主たる源泉をなす。米国特許第3,241,834号明細書および同第3,313,545号明細書はポリブタジエン化学分野における初期の取り組みを開示している。また、この技術分野では、ポリブタジエンの架橋密度を増大させるとコアの反発力を増大させることができることも周知である。コアは典型的にはカバーによってゴルフクラブによる衝撃の繰り返しから防護されている。ゴルフボールは付加的な層を有して良く、これは外側コア層または内側カバー層であって良い。
【0003】
過酸化物および/または亜鉛アクリレートで架橋されたポリブタジエンのコアの既知の欠点は、材料が湿気によって悪影響を受けるということである。水蒸気はコアの反発力を減殺し、その特性を劣化させる。ポリブタジエンのコアは水を吸収しその反発力を失う。したがって、これらのコアは、最適なボール特性を維持するために速やかに被覆されなければならない。カバーは、アイオノマー樹脂、バラタ、およびウレタン、その他の材料から製造される。アイオノマーカバー、とくに硬質のアイオノマーは水蒸気に浸透に対してある程度の防護を実現する。しかしながら、硬いカバーによって、ボールを制御しスピンを付与することはより困難なことである。慣用的なウレタンカバーは、他方で、より良好なボールコントロールを実現するけれども、アイオノマーカバーに較べて水蒸気に対する防護がより少ない。
【0004】
長期に渡り水蒸気に露呈され、高温に曝されると、いくつかの商業的に入手可能なゴルフボールでは、それらのコアに水蒸気が浸入可能になってしまう。例えば、6日間の間、110°Fで90%の湿度であると、水蒸気が顕著な量だけコアに浸入してボールの初速度を、1.8ft/sから4.0ft/sまたはそれ以上の分だけ減殺させる。圧縮も5PGAから約10PGAまたはそれ以上の量だけ変化する。吸収された水蒸気によってボールの反発係数(CoR)も減少する。ゴルフボールが、25〜35%RHの雰囲気環境とともに、高温および高湿度の環境でも、長期間にわたって使用されると、ゴルフボールのCORは水蒸気吸収のために時間の経過とともに減少する傾向がある。
【0005】
いくつかの先行特許が水蒸気吸収問題に対処してきた。米国特許第5,820,488号明細書は、ソリッド内側コア、外側コア、およびそれらの間に配される水蒸気バリア層を具備するゴルフボールを開示している。水蒸気バリア層は、好ましくは、カバー層より小さな水蒸気透過率を有する。水蒸気バリア層はポリビニリデンクロライド(PVDC)層であって良い。これは、バリア形成材料およびコアの外側表面の間のその場での反応によって形成されても良い。代替的には、水蒸気バリア層はバーミキュレート層であって良い。米国特許第5,885,172号および同第6,132,324号明細書、その他は、ポリブタジエンまたは糸巻のコアで、アイオノマー樹脂の内側カバーおよび比較的柔らかい外側カバーを具備するゴルフボールを開示している。硬いアイオノマーカバーは水蒸気浸入に対してある程度の防護を提供し、ソフトな外側カバーは所望のボールコントロールを実現する。このアイオノマー層はゴルフボールの特性、例えばボール速度に悪影響を与えるかもしれないことが見いだされている。さらに、米国特許第5,875,891号明細書はゴルフボールの非透過性パッケージングについて開示している。非透過性パッケージングは水蒸気バリアとして働き、使用期間ではないけれども、保管期間にゴルフボールが蒸気を吸収するのを制限できる。
【0006】
また、所定のポリマー材料を高温で硬化させてゴルフボールの回りに水蒸気バリア層または他の外側層を形成することは実現するのが困難である。なぜならば、そのような硬化または架橋はゴルフボールの部分組立体の全体を加熱するからである。このように加熱する方法では、部分組立体中の目的外の部品または層が劣化してしまう。さらに、この硬化方法では、適切な外側層材料を、硬化温度が、内側層またはコアの軟化温度、または溶融温度より低い材料に制限してしまう。
【0007】
したがって、水蒸気バリア層が改善され、水蒸気バリア層を非着する方法を改善したゴルフボールに対する要望が依然として存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第3,241,834号明細書
【特許文献2】米国特許第3,313,545号明細書
【特許文献3】米国特許第5,820,488号明細書
【特許文献4】米国特許第5,885,172号明細書
【特許文献5】米国特許第6,132,324号明細書
【特許文献6】米国特許第5,875,891号明細書
【発明の開示】
【0009】
この発明は、ゴルフボールを有し、このゴルフボールは、部分組立体を包囲する外側カバー層を有する。部分組立体はコアを包囲するバリア層を有し、このバリア層がグラフェンを有する組成物から形成される。1実施例において、グラフェンはグラフェンの先駆体を有する。他の実施例において、グラフェンはグラフェン酸化物を有する。さらに他の実施例において、グラフェンは還元したグラフェン酸化物を有する。好ましくは、組成物は水蒸気浸入に対する曲がりくねった経路を形成する。他の実施例において、部分組立体のショアD硬度は約60未満である。
【0010】
さらに他の実施例において、上記バリア層は、第1の水蒸気透過率を有し、上記カバーは第2の水蒸気透過率を有し、上記第1の水蒸気透過率は上記第2の水蒸気透過率より小さい。好ましくは、上記第1の水蒸気透過率は、38°Cおよび90%相対湿度で約10−1グラム・mm/m.日未満である。
【0011】
1実施例において、上記バリア層は上記コアの回りに直接に形成される。他の実施例において、上記バリア層は上記コアおよび上記カバー層の間に配される。さらに他の実施例において、上記バリア層は上記カバー層の回りに配される。好ましくは、上記バリア層の厚さは約0.2から3ナノメートルである。さらに好ましくは、上記バリア層の厚さは約0.3から2ナノメートルである。
【0012】
1実施例において、上記コアは少なくとも半径が約1.5インチであるソリッドコアである。好ましくは、上記ソリッドコアの直径は少なくとも約1.55インチである。他の実施例において、上記カバー層の厚さは約0.010インチから約0.080インチである。
【0013】
ゴルフボール中にバリアを形成する方法に従うと、上記ゴルフボールは、部分組立体を包囲する外側カバー層を有する。部分組立体は、コアを具備するゴルフボール部品を包囲するバリア層を有する部分組立体を包囲する。このバリア層は以下の方法で形成される。すなわち、この方法は、グラフェンを含む水性溶液を形成するステップと;上記水性溶液中で上記ゴルフボール部品をコーティングするステップ;溶媒を蒸発させるステップとを有する。好ましくは、グラフェンを含む水性溶液を形成するステップは、さらに、グラファイトをグラファイト酸化物に酸化するステップと;水の中で上記グラファイト酸化物を超音波によって剥離してグラファイト酸化物コロイドを形成するステップと;グラファイト酸化物コロイドを、溶媒還元による脱酸素化処理を通じてグラファイトコロイドに変換するステップとを有する。好ましくは、上記溶媒はヒドラジンである。
【0014】
添付図面は明細書の一部を構成しこれとの関連で理解される。ただし、図示する実施例は単に実例にすぎず、限定を意図するものではない。種々の図面において類似の参照番号および名称は類似の要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】この発明に従う、ディンプル付きのゴルフボールの正面図である。
図2図1のゴルフボールの断面図であり、薄い水蒸気バリア層およびカバーにより包囲されたソリッドコアを示す。
図3図1のゴルフボールの断面図であり、薄い水蒸気バリア層、中間層、およびカバーにより包囲されたソリッドコアを示す。
図4】この発明に従う他のゴルフボールの断面図であり、薄い水蒸気バリア層およびカバーによって包囲された、ソリッド二重コアを示す。
図5】この発明に従う他のゴルフボールの断面図であり、中間層、カバー、および薄い水蒸気バリア層によって包囲された、ソリッドコアを示す。
【好ましい実施例の詳細な説明】
【0016】
この発明は、広くは、薄い水蒸気バリア(Moisture Vapor Barrier:「MVB」)層を有するゴルフボールに向けられている。このボールは、2ピース、マルチピース、または糸巻ボールであってよく、コア、中間層、カバー、および/またはコーティングを具備し、ここで開示されるタイプの薄いMVB層を有する。このボールは一様なコア、および薄いMVB層を有するコーティングを具備するワンピースボールであってよい。
【0017】
「カバー」または「コア」は、その用語がここで使用される範囲で、単一の塊、または2層またはそれ以上の層を具備するものを有する構造を含む。ここで用いられる場合、単一の塊しか有しないと説明されるコアは、単位またはワンピースのコアを意味する。したがって、この層は、コアのセンタからその外側周囲までのコア全体を含む。コアは、単一の塊、2またはそれ以上の層、または液体センタのいずれから形成されるにしろ、糸巻ボールに対してはセンタとして機能して良い。1つの中間層は、例えば、単一層またはマルチ層のカバーとともに、単一の塊またはマルチ層のコアとともに、単一層カバーおよびコアの双方とともに、またはマルチ層のカバーおよびマルチ層のコアの双方とともに、組み込まれて良い。さらに、1つの層が、張力が付された弾性材料から構成されよい。先に説明したタイプの中間層は、この分野において、しばしばそのように呼ばれ、ここでも同様に、内側カバー層、外側コア層、またはマントル層と呼ばれる。
【0018】
図1および図2に全般的に示されるように、参照番号10は広くはこの発明に従うゴルフボールを指す。ゴルフボール10は、好ましくは、ソリッドコア12、水蒸気バリア(MVB)層14、およびカバー16を具備する。ソリッドコア12は単一の球状部品であり、または、球状部品を有し、この球状部品を覆う1またはそれ以上の中間層を有して良い。ソリッドコア12は任意の適切なコア材料から製造でき、これは、天然ゴム、ポリブタジエン(PBD)、ポリイソプレン、スチレンブタジエン、またはスチレン−プロピレン−ジエンゴムのような熱硬化性プラスチック;および、アイオノマー樹脂、ポリアミド、ポリエステル、または熱可塑性エラストマーのような熱可塑性材料を含む。適切な熱可塑性エラストマーは、ポリエーテルアミドコポリマーを有すると考えられるPebax(商標)、ポリエーテルエステルコポリマーを有すると考えられるHytel(商標)、熱可塑性ウレタン、スチレンブロックコポリマーエラストマーを有すると考えられるKraton(商標)を含む。これらの製品はElf−Atochem、E.I.Du Pont de Nemours and Company、種々の製造業者、およびShell Chemical Companyからそれぞれ商業的に入手できる。コア材料は注型可能な材料からも製造できる。適切な注型可能な材料は、ウレタン、ポリ尿素、エポキシ、シリコーン、IPN、その他を有する材料を含む。
【0019】
さらに、適切なコア材料は、反応性射出成型ポリウレタンまたはポリ尿素を含んで良く、これは、有核性と呼ばれるそれらの形態を含み、この場合、気体、典型的には窒素が、過剰な攪拌または混合によってポリウレタンの少なくとも1つの成分、典型的にはプレポリマーに、閉じた金型に成分を射出するのに先立って、組み込まれる。閉じた金型において基本的には全反応が行われ、この結果、比重の小さな硬化ポリマーがもたらされる。これら材料は反応性射出成型(RIM)材料と呼ばれる。代替的にはコアは液体センタを具備して良い。
【0020】
カバー16は好ましくは堅牢で、切断抵抗があり、所望の性能特性に基づいて、ゴルフボールカバーとして用いられる慣用的な材料から選択される。カバー16は1またはそれ以上の層を有して良い。適切なカバー材料はDuPontから入手可能なSurlyn(商標)のようなアイオノマー樹脂、アイオノマー樹脂のブレンド、熱可塑性または熱硬化性ウレタン、アクリル酸、メタクリル酸、分子のエラストマー性ミッドブロックが不飽和ゴムまたは飽和オレフィンゴム、例えばShell Chemical Co.から入手可能なKraton(商標)である、熱可塑性ゴムポリマー、ポリエチレン、および、合成または天然の加硫ゴム、例えばバラタを含む。
【0021】
さらに、他の適切なコアおよびカバー材料は米国特許第5,919,100号明細書および国際公開WO 00/23519およびWO 01/29129号パンフレットに開示されている。これらの開示は参照してここに組み入れる、好ましくは、コア12はポリブタジエンゴム材料から製造され、カバー16は熱硬化性または熱可塑性ウレタンを有する組成物、またはアイオノマー樹脂を有する組成物から製造される。
【0022】
好ましくは、MVB層14はグラフェンを有する。グラフェンは、SPの六角形結合構造の炭素原子の単一の原子層のハニカム格子である。横寸法は数十ナノメートルから数ミクロンであり、厚さは原子スケール(オングストロームスケール、ここで1オングストロームは0.1nm)である。グラフェンはかつて測定された材料のなかで最も強固であるとして知られており、ヤング率で1TPaである。理想的には、欠陥無し、単一結晶、単一層のグラフェンは優れた機構的な特性および大きな透明性を具備するだけでなく、気体非透過性でもある。グラフェンの気体非透過性はその独特の二次元の、原子レベルのハニカム結晶構造に由来する。グラフェンの芳香環の電子密度は原子または分子の浸入を排除するのに充分大きい。例えば、Heのような単原子分子が、非欠陥性のグラフェンの単一層中の炭素環に近づいてくるとき、エネルギバリアは局所密度近似で約18.8eVである。He原子の運動エネルギ(18.6eV)は浸入のためのエネルギバリアより小さい。したがって、欠陥無し、単一結晶のグラフェン単一層は室温において気体伝達に対する良好なバリアとして働く。グラフェンにおける芳香環の電子密度は原子または分子の浸入を排除するのに充分なほど大きく、これにはHe、H、CO、O、N、CH、およびHOのような種々の気体が含まれる。
【0023】
電子密度の観点から炭素環の孔の径はHe(2.6オングストローム)、H(2.89A)、CO(3.3A)、O(3.46A)、N(3.64A)、CH(3.8A)のような種々の気体の運動径より小さい。八角形環の孔径(電子密度を考慮して)は1.5Aしかない。5Aを越えるサイズの大きな空間しか気体分子が透過できず、これは2つの格子パラメータである。したがって、グラフェンは良好なMVB層材料である。
【0024】
大面積、無欠陥のグラフェンシートを合成することは容易ではなかった。なぜならば、グラフェン境界、点欠陥、および6個より少ないまたは多い炭素原子を含む炭素環に由来するいくつかの欠陥があるからである。独立支持のグラフェンを、グラフェンのエピタキシャル成長、および化学蒸着(CVD)成長からエッチング、フォトリソグラフィ処理してマイクロスケールでグラフェンを機械的に剥離することによって準備できる。欠陥のあるグラフェンも、多数のグラフェンシートを積み上げてバリアフィルム用途に使用できる。
【0025】
グラフェン製造の大規模化の技術的な制約も、グラフェンの先駆体、グラファイトおよび/またはグラフェン酸化物を使用することにより対処可能である。グラフェン酸化物(GO)は、グラフェンのオキシデート形態であり、これは酸素官能基を基礎平面および端部に有する。GOは約1〜1.3ナノメートルだけ単一層グラフェン(0.34ナノメートル)より厚い。GOは、化学または熱還元方法あるいは他の適切な還元方法を通じてグラフェンの先駆体でって良い。GO中の酸素含有官能基は還元過程においてほとんど除去され、グラフェン酸化物の還元形態(rGO)を形成し、これはグラフェンの特性を再現する。一般的には、種々の還元方法があり、例えば、高温熱還元、低温化学還元、および照射支援還元がある。好ましくは、低温化学還元および照射支援還元が用いられる。典型的には、いくつかの酸素基が還元プロセスの後に表面に残存する。
【0026】
グラフェン酸化物は、その親水性ゆえに、水性極性溶媒(すなわち水)中に分散可能である。薄いGOフィルムは、ラングミュア−ブロジェット(Langmuir−Blodgett)、ドロップキャスティング、ディップコーティング、スプレイ、電気泳動、真空濾過、およびスピンコーティングの方法によって準備できる。スプレイおよびディップコーティング技術がGOフィルムを製造する好ましい方法である。これらの手法ではグラフェン酸化物の自己凝集によって一様でない被着がもたらされるかもしれないことがわかる。フィルムの厚さはGO濃度調整を通じて、またコーティングサイクルの回数によって制御して良い。
【0027】
ポリマー上での層ごと(layer−by−layer:LBL)の自己集合は、バリアGO/ポリマーフィルムを準備する有益な方法である。LBL自己集合を用いて、ナノメートル厚のGO層は、ポリマー基体状の逆帯電高分子電解質の吸収性を用いて実現できる。GOは表面に負の電荷を有している。したがって、GOはLBL被着のポリカチオンで薄膜バリアを形成するのに使用できる。
【0028】
剥離グラファイト酸化物(グラフェン酸化物)は、良好に分散した水性コロイドを形成できる。安定したGOコロイドの形成は、実際には、GOの親水性ではなく、静電的な排斥力に起因されて良い。グラフェン酸化物コロイドを還元すると、安定した、良好に分散した、化学的に変換されたグラフェン(または「還元された」)コロイドを含有する溶液を製造できる。安定したグラフェン酸化物コロイドを実現可能にする静電的な反発力機構は、グラフェンコロイドが安定している理由でもある。
【0029】
グラフェンをMBV層14として使用するために、異なる製造戦略を使用する必要がある。MBV層はゴルフボール部品上の層として形成されて良い。ゴルフボール部品はゴルフボールの任意の部分であってよく、例えば、コア、多層コア、コアおよび中間層、コアおよびカバー層、コア、中間層およびカバー層であって良い。グラフェンを伴う層をゴルフボール部品の上に塗布するための1つの戦略は、水性溶液中にグラフェンを分散させることである。グラフェンコロイドを含む溶液は以下のようにして合成される。(1)グラファイトを酸化してグラファイト酸化物を生成する。(2)水の中でグラファイト酸化物を超音波処理により剥離して、静電排斥力により安定化されたGOコロイドを取得する。(3)溶媒還元による脱酸素化を通じてGOコロイドを導電性グラフェンコロイドへ変換するように制御する。ステップ(3)の溶液でゴルフボール部品をコーティングし、溶媒を蒸発させることによって、この溶液をつぎに薄いフィルムを形成するのに使用してよい。乾燥すると、薄い、耐水性のグラフェンフィルムがゴルフボール部品をコーティングする。コーティングのステップは、漬、スプレイ、または、ゴルフボール部品を溶液で塗布するための他の方法により実施して良いことに留意されたい。さらに、コーティングまたは薄膜はゴルフボール部品の上に被着された少なくとも1つの層を有して良く、好ましくは1〜6枚の層、より好ましくは1〜3枚の層を含んで良いことに留意されたい。ヒドラジンが溶媒還元の好ましい溶媒であるけれども、他の適切な溶媒を使用して良いことに留意されたい。多くの他の疎溶媒性コロイドと同様に、グラフェンコロイドが一旦乾燥されると、水中に再分散可能でなく、調整されたグラフェンコーティングを耐水性にする。
【0030】
グラフェンシートの大きなアスペクト比のために、非常に薄いグラフェンコーティングによって連続した導電性ネットワークがもたらされるということは特に重要である。MVB層におけるグラフェンがゴルフボールのためにどのような電子部品または回路に組み込んでよいことに留意されたい。例えば、電子装置をゴルフボールに組み込むことが知られており、これは、例えば、有機発光ダイオード、ゴルフボールを位置決めするための装置、ゴルフボール飛行特性を測定するための装置である。これらの組み込まれた装置は、MVB層のグラフェンの導電性特性を利用してゴルフボールにおけるそれらの利用を改善できる。極めて薄いグラフェンコーティングは少なくとも96%の可視光を透過させて透明である。したがって、グラフェンは、(1)GOをボール層の上に被着して還元させ、または、(2)rGOをボール層の上に被着して溶媒が蒸発するのを待つことにより、ゴルフボール部品の上に被着して良いことに留意されたい。
【0031】
この発明の他の側面によれば、図3に示すように、ここに開示されるグラフェンを有する薄いMVB層14は、任意の、すべてのゴルフボール構造に適用可能であり、水蒸気流入を最小化する。ゴルフボール構造は、コア12およびカバー16の間に配された少なくとも1つの中間層18を有して良い。1枚またはそれ以上のMVB層14がコア12およびカバー16の間に配されて良い。好ましくは、第1の薄いMVB層14が直接にコア12の周りに配される。オプションとして、第2の薄いMVB層14が中間層18およびカバー16の間に、好ましくは中間層18の周りに直接に配される。複数の薄いMVB層を塗布すると、1または複数のゴルフボール部品層または最も内側のコアセンタがゴムまたはポリブタジエン材料から、または、水蒸気から悪影響を受ける他の材料から製造されるときに、とくに有利である。有益なことに、薄いMVB層14の各々がゴルフボールの予め定められた部分を防護し、このため、水蒸気が外側のMVB層14に侵入しても、内側の層は依然として内側の薄いMVB層により防護されたままである。薄いMVB層の各々の組成物は同一でも良く、相互に異なっていても良く、グラフェン・ベースの層を有しても有していなくても良い。好ましくは、薄いMVB層14の少なくとも1つがグラフェンを有する。
【0032】
図4に示す、この発明の他の実施例において、グラフェン・ベースの薄いMVB層14が多層コア12のゴルフボール10に使用されて層12a、12b、および12cを具備する多層コア12の任意の部分への水蒸気の透過を最小化する。図示の通り、ゴルフボール構造は、センタ12aおよび少なくとも2つの外側コア層12bおよび12cを有するコア12を具備する。薄いMVB層14は、先に検討したグラフェンを有し、外側コア層12cに直接に隣接してコア12を包囲する。カバー16は、単一層を有しても良いし、少なくとも1つの内側カバー層および少なくとも1つの外側カバー層を具備する多層構造を有しても良い。好ましい実施例において、ゴルフボールは二重コア構造を有し、コア12がセンタ12aおよび外側コア層12bを具備する。センタ12aの外側径は約0.75インチから約1.25インチであって良く、外側コア層12bの厚さは約0.01インチから約0.50インチであって良い。薄いMVB層14は、先に検討したグラフェンを有し、外側コア層12bに直接に隣接してコア12を包囲する。カバー16は、単一層を有しても良いし、少なくとも1つの内側カバー層および少なくとも1つの外側カバー層を具備する多層構造を有しても良い。好ましくは、カバー16は内側カバー層および外側カバー層を具備する二重カバーである。オプションとして、ゴルフボール構造は、さらに、コアおよびカバーの間に少なくとも1つの中間層18を有して良い。二重コア、二重カバー構造の変形、並びに、各層に適した材料は、米国特許第6,913,547号明細書、同第6,653,716号明細書、および同第6,849,006号明細書に説明されており、その内容については参照してここに組み入れる。
【0033】
この発明の他の側面によれば、図5に示すように、MVB層14がここで説明されたグラフェンを有し、カバー16の周りにトップコーティングとして被着される。ゴルフボール構造はコア12、コア12およびカバー16の間に配された、少なくとも1つの中間層18を有して良い。1または複数の薄いMVB層14がカバー16の周りに配されてトップコーティングを形成する。有益なことに、この実施例においては、MVB層14がゴルフボール10の全体を防護し湿気の浸透を阻止する。上述のとおり、グラフェンコーティングは透明であり、可視光について少なくとも96%の透過性を有する。したがって、この材料はゴルフボール10にとって理想的なMVB層トップコーティングを形成する。
【0034】
グラフェン・ベースのMVB層14は、さらに、水蒸気がゴルフボール10から出て行くのを阻止するように働いて良く、とくに、ボール10が流体充填コア12を有する場合にそうである。流体充填コア用に適した流体は、これに限定されないが、空気、水性溶液、液体、ゲル、フォーム、ホットメルト、他の流体材料、およびこれらの組み合わせを含む。好ましい流体は、水、オイル、グリコール、塩水およびコーンシロップのような溶液、ならびにこれらの混合物を含む。流体はさらにペーストやクレイおよびバライトのようなコロイド懸濁物を含んで良い。適切なゲルの例は、水ゼラチンゲル、ヒドロゲル、水/メチルセルロースゲル、コポリマーゴム・ベースの材料、例えば、スチレン−ブタジエン−スチレンゴム、およびパラフィンおよび/またはナフテン油を含む。適切なメルトの例は、ワックスおよびホットメルトを含む。ホットメルトは、通常の室温またはそのあたりでは、固体で、高い温度で液体になる材料である。液体コアは、コアセンタ、外側コア層、およびカバーを成型する際に液体コアは高温に加熱されるので、高い溶融温度が好ましい。代替的には、適切な流体は、SAE 10 オイル、SAE 30 オイル、メタノール、エタノール、アンモニア等のような低比重流体、または、グリセリンおよび四塩化炭素のような比重流体を含んでもよい。
【0035】
湿気、典型的には水蒸気がゴルフボール10のコア12へ侵入するのを阻止または最小化するために、MVB層14が好ましくはコア12の周りに配される。好ましくは、MVB層14の吸い蒸気透過率は、カバーの水蒸気透過率より小さい。より好ましくは、MVB層14の水蒸気透過率はSurlyn(商標)のようなアイオノマー樹脂の水蒸気透過率より小さく、Surlyn(商標)の水蒸気透過率は約0.45から約0.95グラム・mm/m.日の範囲である。典型的には、アイオノマー樹脂の水蒸気透過率は、Plastic Design Library(1995)により発行された"Permeability and other Film Properties of Plastics and Elastomer"において報告されているように、0.6グラム・mm/m.日未満である。水蒸気透過率は、所定の厚さの材料に、単位面積、単位時間当たり拡散してくる水蒸気の質量として定義される。水蒸気透過率を測定するための好ましい標準は、"Standard Test Method for Water Vapor Transmission Rate Through Plastic Film and Sheeting Using a Modurated Infrared Sensor"というタイトルのASTM F1249−90、"Standard Test Method for Water Vapor Transmission Rate of Flexible Barrier Materials Using an Infrared Detection Technique"というタイトルのASTM F372−94、その他を含む。グラフェンの水蒸気透過率は38°Cおよび90%相対湿度で約10−1グラム・mm/m.日未満であると評価される。
【0036】
この発明の1つの側面によれば、コア12およびMVB層14の部分組立体のショアD硬度の値は約60より小さく、より具体的には、約5〜50の範囲である。
【0037】
好ましくは、MVB層は、先に検討した適切グラフェンの1枚の薄い層または複数層であり、好ましくは、その厚さが約0.2から約3ナノメートル、より好ましくは約0.3から2ナノメートルである。また、好ましくは、MVB層14はゴルフボールの反発係数(CoR)に顕著には影響せず、または悪くは影響せず、MVBsou14を含むゴルフボール部品について少なくとも0.79のCORを維持することが好ましい。好ましくは、ポリブタジエンコア12および薄いMVB層14は比較的柔らかいポリマーカバーにより被覆され、その厚さは約0.010から約0.050インチ、より好ましくは約0.030インチであり、そのショアD硬度は約65未満、または約30から約60、より好ましくは約35から約50、さらに好ましくは約40から約45である。そのようなカバーは米国特許第5,885,172号明細書および同第6,132,324号明細書に十分に開示されており、その内容は参照してここに組み入れる。
【0038】
1実施例において、この発明に従いゴルフボールは、ソリッドまたは多層ソリッド・ポリブタジエンコア12を有し、その外側径は約1.53インチより大きく、より好ましくは約1.58インチより大きく、最も好ましくは約1.62インチである。コアの圧縮は約65〜75、好ましくは約70である。MVB層14は、先に検討したグラフェンを有する1枚または複数の薄い層であり、その厚さは好ましくは約0.2から約3ナノメートル、より好ましくは約0.3から2ナノメートルである。カバー16はウレタンカバーであり、1.680インチのゴルフボールを形成するのに十分な厚さを有する。ゴルフボールのボール圧縮は約85〜95、好ましくは約87である。
【0039】
他の実施例において、この発明に従いゴルフボールは、ソリッドまたは多層ソリッド・ポリブタジエンコア12を有し、その外側径は約1.5インチより大きく、より好ましくは約1.55インチより大きく、最も好ましくは約1.62インチである。コアの圧縮は約45〜55、好ましくは約49である。MVB層14は、先に検討したグラフェンを有する1枚または複数の薄い層であり、その厚さは好ましくは約0.2から約3ナノメートル、より好ましくは約0.3から2ナノメートルである。カバー16はウレタンカバーであり、1.680インチのゴルフボールを形成するのに十分な厚さを有する。ゴルフボールのボール圧縮は約70〜80、好ましくは約77である。
【0040】
他の実施例において、ゴルフボール10は、層12aおよび12bを具備する二重コア12であり、これがMVB層14およびカバー16によって包囲されている。コア層12bは一体のソリッド層でも相互にその上に成型された個別層であってもよい。代替的には、外側コア層12bは1または複数の糸巻層であり、最も内側のコア12aが液体充填であって良い。他の実施例において、この発明に従うゴルフボールはソリッドまたは多層ソリッドポリブタジエンコア12であり、これは層12aおよび12bを具備する。二重コア12の外側径は約1.55インチより大きく、より好ましくは1.58インチより大きく、最も好ましくは約1.62インチより大きい。コアの圧縮は約85〜95、好ましくは約88である。MVB層14は、先に検討したグラフェンの1または複数の薄い層であり、その厚さは好ましくは約0.2から約約3ナノメートル、より好ましくは約0.3から2ナノメートルである。カバー16はウレタンカバーであり、1.680インチのゴルフボールを形成するのに十分な厚さを有する。ゴルフボールのボール圧縮は約95〜105、好ましくは約100である。
【0041】
この発明はどのような具体的なディンプルパターンに限定されないことに留意されたい。この発明は、任意の多面体、例えば、八面体、十二面体、立法八面体、または両錐体に基づく配列、あるいは、フィロタクシスのような配列スキームまたはランダム配列に基づく非多面体の配列を有して良い。適切なディンプルパターンの例は、これに限定されないけれども、フィロタクシスをベースにしたパターン;多面体をベースにしたパターン;および、米国特許第8,029,388号明細書に開示されるような、1または複数の非規則的なドメインの複数のコピーに基づくパターンを含み、その内容は参照してここに組み入れる。シームレスなゴルフボール上にディンプルをパッキングするのに特に適したディンプルパターンの非制約的な例は、米国特許第7,927,234号明細書、同第7,887,439号明細書、同第7,503,856号明細書、同第7,258,632号明細書、同第7,179,178号明細書、同第6,969,327号明細書、同第6,702,696号明細書、同第6,699,143号明細書、同第6,533,684号明細書、同第6,338,684号明細書、同第5,842,937号明細書、同第5,562,552号明細書、同第5,575,477号明細書、同第5,957,787号明細書、同第5,249,804号明細書、同第5,060,953号明細書、同第4,960,283号明細書、および、同第4,925,193号明細書、ならびに、米国特許出願公開大2011/0021292号明細書、同第2011/0165968号明細書、および、同第2011/0183778号明細書にされに開示されており、それらの内容は参照してここに組み入れる。シームレスゴルフボールおよびその製造方法の非制約的な例は、さらに、例えば、米国特許第6,849,007号、および同第7,442,529号明細書に開示され、それらの内容は参照してここに組み入れる。
【0042】
作業例における他の事柄、または、とくに明言しなくとも、すべての数値範囲、量、値、百分率、例えば材料の量についてのこれら、および明細書中の他のものは、たとえその値、量または範囲に関連して用語「約」が表示されていなくとも、「約」がその前に配置されているように読むことができる。したがって、そうでないと示されていない限り、明細書および特許請求の範囲に表される数のパラメータは近似的であり、これは、この発明により得られることが企図される所望の特性に応じて変化する。最低限でも、もちろん均等論の適用を制約するものではないが、各数のパラメータは記録されている有効数字の数や通常の丸め処理に照らして解釈されるべきである。
【0043】
この発明の広範な範囲を示す数的範囲およびパラメータは近似的であるけれども、具体例において示された数値は可能な限り正確に記録した。任意の数値は、それでも、それぞれのテスト計測に見いだされる標準偏差に必然的に起因する誤差を含む。さらに、種々のスコープの数値範囲が示される場合には、例示された値を含めた値の任意の組み合わせが利用できると理解されたい。
【0044】
この技術を説明するにあたって、以下の用語が用いられて良い。単数形(「a」、「an」、および「the」)は、文脈において明瞭にそうでないと表示されない限り、複数形態を含む。そのため、例えば、1つの事項に関する説明は、1または複数の事項に関する説明を含む。用語「複数」(「plurality」)は2またはそれ以上の事項を含む。用語「実質的」(「substantially」)は、指摘された、特徴、パラメータ、または値がちょうどである必要がなく、偏差または変動はこの特徴が実現しようと意図していた効果を排除しない範囲で起こって良いことを意味し、これら偏差または変動は、例えば、許容誤差、測定誤差、測定精度制約および当業者に知られている他の要素を含む。複数の事項は簡便のために共通のリストに提示されて良い。ただし、これらのリストでは、リストの構成要素の各々は別のユニークな要素として個別に特定されていると認識されるべきである。したがって、そのようなリストの個別の要素は、当該同一のリストの任意の他の要素の事実上の等価物と解釈すべきであり、これは、反対の表示がなされていないかぎり、共通のグループにおいてそれらが表示されていることのみから由来する。さらに、用語「および」(「and」)、および「または」(「or」)が要素のリストと関連して使用される場合、これらは広く解釈されるべきであり、リストされた要素の任意の1つまたは複数が単独でまたは他のリストされた要素と組合わさって使用されて良いことを意味する。用語「代替的には」(「altrnatively」)は2またはそれ以上の代替物から1つを選択することを意味し、文脈上、明瞭にそのように示される場合を除いて、それらリストされた要素の選択が一時にそれらリストされた代替物のみ、またはそれらリストされた代替物のうちの唯一の1つに限定されることを意図しない。
【0045】
ここに引用した、先行文献を含む、すべての特許、刊行物、テスト手順および他の参照資料は、参照して、この発明と矛盾しない範囲で、ここに完全にくみいれる。
【0046】
この発明の種々の説明がさきになされたけれど、この発明の種々の特徴は単独でも組み合わせても利用できることに留意されたい。したがって、この発明はここに説明された特に好ましい実施例に限定されない。
【0047】
この発明の事例的な実施例を詳細に説明したが、種々の変更や他の実施例をこの発明の趣旨を逸脱することなく当業者が容易に想到できることに留意されたい。したがって、特許請求の範囲はここに示された例や説明に制限されるのでなく、むしろ、特許請求の範囲は、この発明に宿る特許性のある新規な特徴をすべて包囲するように理解され、それはこの発明が関連する分野の当業者により均等なものと扱われるすべての特徴を含むことに留意されたい。
【符号の説明】
【0048】
10 ゴルフボール
12 コア
14 水蒸気バリア(MVB)層
16 カバー
18 中間層
図1
図2
図3
図4
図5