(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6364034
(24)【登録日】2018年7月6日
(45)【発行日】2018年7月25日
(54)【発明の名称】織布オンライン検査装置
(51)【国際特許分類】
D06H 3/08 20060101AFI20180712BHJP
G01N 21/898 20060101ALI20180712BHJP
【FI】
D06H3/08
G01N21/898 A
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-10083(P2016-10083)
(22)【出願日】2016年1月21日
(65)【公開番号】特開2017-128832(P2017-128832A)
(43)【公開日】2017年7月27日
【審査請求日】2017年9月22日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】599140770
【氏名又は名称】フロンティアシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001069
【氏名又は名称】特許業務法人京都国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古田 俊治
【審査官】
蔵田 真彦
(56)【参考文献】
【文献】
特開2001−192963(JP,A)
【文献】
特開平08−311750(JP,A)
【文献】
特開平08−201310(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2006/0090319(US,A1)
【文献】
特開平06−272139(JP,A)
【文献】
特開平05−186939(JP,A)
【文献】
特開2000−148981(JP,A)
【文献】
特表2007−527016(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06H 3/00−3/16
G01N 21/84−21/958
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a) 複数の織機のそれぞれに設けられた、該織機で製造された織布を撮影する撮影機と、該撮影機を前記織布の幅方向に移動させる移動機構とから成る撮影部と、
b) 前記複数の織機の各撮影部の撮影機からの画像データを受け、該画像データに基づき前記織布の欠陥を検出する一の欠陥検出部と、
c) 前記複数の織機のそれぞれの織布の幅と織り速度の情報、及び各撮影機の撮影範囲の情報に基づき、各移動機構による撮影機の移動及び各撮影機の撮影タイミングを制御する一の制御部と、
を有し、
前記制御部が、前記撮影機による撮影を前記織機毎に異なるタイミングで実行させることを特徴とする織布オンライン検査装置。
【請求項2】
a) 複数の織機のそれぞれに設けられた、該織機で製造された織布を撮影する撮影機と、該撮影機を前記織布の幅方向に移動させる移動機構とから成る撮影部と、
b) 前記複数の織機の各撮影部の撮影機からの画像データを受け、該画像データに基づき前記織布の欠陥を検出する一の欠陥検出部と、
c) 前記複数の織機のそれぞれの織布の幅と織り速度の情報、及び各撮影機の撮影範囲の情報に基づき、各移動機構による撮影機の移動及び各撮影機の撮影タイミングを制御する一の制御部と、
を有し、
前記撮影部は、前記移動機構が前記撮影機の移動を停止した状態で、前記撮影機が前記織布を撮影するように構成され、
前記複数の撮影部のうち一の撮影部の撮影機が撮影を行う間に、他の撮影部の移動機構が撮影機を次の撮影位置に移動させるように、前記制御部は前記複数の移動機構を制御することを特徴とする織布オンライン検査装置。
【請求項3】
前記移動機構は前記撮影機を前記織布の幅方向を往復移動させるように構成され、
前記撮影機は、往路と復路の両方で前記織布の撮影を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の織布オンライン検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数台の織機でそれぞれ製造される織布の欠陥の有無をオンラインで検査する検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
フィルター用織布等の産業用織布を製造する織機には一般に、製造された織布に発生する糸の切れや穴等の欠陥をその場で検査するためのオンライン検査装置が設けられる。この検査装置には、織機から送り出される織布の表面を撮影し、得られた画像データを画像解析することで、織布の欠陥の有無を検査するものがある。
【0003】
産業用織布は単価が低いため、検査に掛けられるコストも極めて限られたものとなる。特許文献1には、複数台の織機でそれぞれ製造される織布の欠陥をまとめて検査するオンライン検査装置が開示されている。この検査装置は、複数台の織機520a〜520cの上方に設けられた1台の撮影部510と、撮影部510で取得した画像データから織布の欠陥を検出する画像処理部540と、撮影部510を織布の幅方向に移動させる移動部530を有する(
図4)。
【0004】
この検査装置は、撮影部510を織機520aで製造される織布の織幅始端から該織布の幅方向に移動させ、撮影部510がその撮影幅だけ移動する度に織布の表面を撮影し、得られた画像データを画像処理部540に送信する。画像処理部540は該画像データを、予め画像処理部540内に保存された正常な織布の画像データと比較することで欠陥の検査を行う。その後、撮影部510を次の織機520b及び520cの上に移動させ、これら織機でそれぞれ製造される織布についても同様に欠陥の検査を行うことで、複数の織布の検査を一括して実施している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平05-186939号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の検査装置では、対象となる複数の織機を横並びにして揃えなければならず、配置が限定されてしまう。また、織機の台数が増えるにつれて、各織機において織布の撮影が終了してから次の撮影を開始するまでの時間(間隔)が長くなるため、各織機において広い範囲を撮影しておかなければならない。これは、検査精度の低下につながる。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、構造及び設置が比較的簡単であり、且つ、織機の台数が増えても全織機における織布の検査を高精度で行うことができる織布オンライン検査装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために成された本発明に係る織布オンライン検査装置は、
a) 複数の織機のそれぞれに設けられた、該織機で製造された織布を撮影する撮影機と、該撮影機を前記織布の幅方向に移動させる移動機構とから成る撮影部と、
b) 前記複数の織機の各撮影部の撮影機からの画像データを受け、該画像データに基づき前記織布の欠陥を検出する一の欠陥検出部と、
c) 前記複数の織機のそれぞれの織布の幅と織り速度の情報、及び各撮影機の撮影範囲の情報に基づき、各移動機構による撮影機の移動及び各撮影機の撮影タイミングを制御する一の制御部と
を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る織布オンライン検査装置は、複数の織機のそれぞれに撮影部が設けられており、各撮影部では、制御部の制御の下、移動機構が撮影機を織布の幅方向に移動させる。制御部は、各織機が製造する織布の幅と織り速度の情報、及び各撮影機の撮影範囲の情報に基づき、各撮影部における撮影機の移動速度を決定し、移動機構により撮影機の移動を制御するとともに、各撮影機の撮影タイミングを制御する。このとき、通常、織機により製造される織布の全面を撮影するように制御するが、全面検査が必要ではない場合は、抜き取り撮影とする。全面を撮影する場合は、織布が撮影範囲の織り方向の長さだけ製造される間に撮影機が織布の幅方向の長さだけ移動するように、撮影機の移動速度を決定する。この際、撮影機が織布の幅方向における元の位置に戻るために必要な時間も考慮しておく。欠陥検出部は、各撮影機からの画像データに基づき、各織機において製造されている織布の欠陥を検出する。画像データに基づく欠陥の検出に必要な時間(及び、1枚の画像を撮影するに要する時間)は、通常、撮影機が撮影範囲の織布の幅方向の長さだけ移動するのに必要な時間と比較して非常に短い(1/10以下)ため、複数台の織機の撮影機からの画像データは1台の欠陥検出器により処理することが可能であり、全織機において製造される織布をオンラインで検査することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る織布オンライン検査装置によると、織機毎に撮影部を構成すればよいため、各織機の配置は任意であり、様々に配置された多数の織機に対応することができる。また、各撮影機は各織機で製造される織布の幅方向の長さだけ往復動するため、各撮影機は比較的狭い範囲の織布を撮影すればよく、全織機において高精度の検査を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明に係る織布オンライン検査装置と織機の概略構成図。
【
図2】織布が移動する速度と撮影機の撮影範囲の関係を説明する図。
【
図3】撮影機とPCの処理内容と処理タイミングを示す図。
【
図4】従来技術に係る織布オンライン検査装置の概略構成図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係る織布オンライン検査装置について図面を参照しつつ説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る織布オンライン検査装置100と、織布オンライン検査装置100の検査対象である織布を製造する複数の織機300a〜300dの概略構成図である。織布オンライン検査装置100は、複数の織機300a〜300dのそれぞれに設けられた撮影部110a〜110dと、欠陥検出部120と、制御部130と、画像選択部150を有する。
【0013】
撮影部110a及び織機300aの上面図を
図1(b)に、側面図を
図1(c)にそれぞれ示す。撮影部110aは、撮影機111aと、照明具112aと、移動機構113aを有する。撮影機111aは織布400aの上方に配置されたカメラであり、2次元に配列された受光素子やレンズ等を備える。本実施形態では該受光素子は可視光の波長帯を受光するものとする。撮影機111aは後述する撮影制御部131から撮影トリガ信号が送られる毎に、織布400aの幅方向の所定の長さ(撮影横幅)と長手方向の所定の長さ(撮影縦幅)の範囲を撮影する。撮影機111aのレンズの周囲には、織布400aに可視光を照射する照明具112aが取り付けられている。移動機構113aは織布400aの幅方向に延設されたレール115aと、レール115aに沿って移動するモータや歯車等からなる駆動機構114aで構成される。撮影機111aは駆動機構114aに取り付けられている。なお、撮影部110b〜110dは撮影部110aと同一の構成である。
【0014】
欠陥検出部120と制御部130の実態は汎用コンピュータ(PC)140であり、中央演算装置(CPU)、メモリ、ハードディスクドライブ(HDD)やソリッドステートドライブ(SSD)等から構成される大容量記憶装置等を含む。この大容量記憶装置には撮影機の撮影範囲である撮影縦幅と撮影横幅が予め保存されている。PC140には、液晶ディスプレイ等から構成され、各種の情報を表示する表示部141と、マウスやキーボードから構成され、ユーザが各種の命令を入力する入力部142とが接続されている。欠陥検出部120と制御部130は、PC140にインストールされたプログラムを実行することによりソフトウエア的に実現される機能手段である。
【0015】
画像選択部150は各撮影機111a〜111dと、PC140に接続されている。画像選択部150は、撮影トリガ信号を撮影制御部131が指定した撮影機111に送信する。また、各撮影機111a〜111dから送信される画像データを受信し、画像制御部133から送信される制御信号で指定された画像データを欠陥検出部120に送信する。
【0016】
欠陥検出部120は、画像選択部150を経由して撮影部110a〜110dから送られる画像データを受け、該画像データに二値化、比較演算等の画像処理を適用することで織布400の欠陥を検出する。
【0017】
制御部130は複数の撮影機111a〜111dをそれぞれ制御する撮影制御部131と、複数の移動機構113a〜113dをそれぞれ制御する移動制御部132と、画像選択部150を制御する画像制御部133と、各撮影機111a〜111dの移動速度を算出する速度算出部134を有する。
【0018】
織機300aは、織成装置310aと、織布巻き取り機320aを有する。織成装置310aは所定幅の織布400aを一定の速度(織り速度)で製造する。織布巻き取り機320aは、織成装置310aが製造した織布400aを織り速度に合わせて巻き取ることで、織布400aの織り方向(
図1(c)の矢印の方向)に移動させる。織機300b〜300dも同一の構成である。
【0019】
次に、織布オンライン検査装置100の動作について
図1〜
図3を参照しつつ説明する。
【0020】
織布オンライン検査装置100を動作させる前に、ユーザは各織機300a〜300dの織布400a〜400dのそれぞれの織り速度と、織布400a〜400dのそれぞれの幅をPC140の入力部142から入力する。速度算出部134は、入力された情報とPC140内に保存されている各撮影機111a〜111dのそれぞれの撮影縦幅と撮影横幅から撮影機111a〜111dの移動速度を算出する。具体的には、ある時点で撮影された撮影範囲における織布400aの織り方向の上流側の端部が、該撮影範囲の下流側の端部の位置に到達するまでの時間(下端到達時間)を撮影縦幅と織り速度から算出する。そして、この下端到達時間よりも短い時間で撮影機111aが織布400aの幅方向の長さだけ往復動する移動速度を算出する。
また、制御部130は、撮影横幅を前記移動速度で除算した値を各撮影機111a〜111dが撮影する時間間隔(本発明における撮影タイミング)として算出する。
【0021】
織布オンライン検査装置100を動作させると、各撮影部110a〜110dの各撮影機111a〜111dを上記移動速度で往復動させる。そして該往復移動と並行して、前記撮影の時間間隔毎に撮影制御部131から各撮影機111a〜111dにそれぞれ異なるタイミングで撮影トリガ信号を送る。また、この撮影トリガ信号と同時に、画像制御部133はトリガ信号が送られた撮影機からの画像データを欠陥検出部120に送信させる制御信号を画像選択部150に送る。撮影機が撮影トリガ信号を受けると、該撮影機が設けられている織機の織布を撮影して画像データを取得し、該画像データを画像選択部150を経由して欠陥検出部120に送信する。これらの処理により取得される画像データの撮影範囲について以下に説明する。
【0022】
図2は上記手順によりに織布400a撮影したときの撮影範囲である。撮影機111aの往路における撮影範囲を領域a1〜an(斜線で塗りつぶした領域)、復路における撮影範囲を領域b2〜bn(太線の一点鎖線で囲んだ領域)で示す。領域a1を撮影した撮影機111aは上記移動速度で織布400aの幅方向に移動し、撮影横幅だけ移動した時点で2回目の撮影として領域a2の撮影を行う。撮影機111aが移動する間に織布400aが長手方向に移動するため、領域a1と領域a2はΔLだけ織布400aの織り方向にずれた位置となる。撮影する毎に前回の撮影位置から縦幅ΔLだけずれるため、撮影位置と領域a1の長手方向のずれ量は徐々に大きくなる。
【0023】
織布オンライン検査装置100では、撮影機111aの移動速度が上述のとおり設定されているため、撮影機111aは前記下端到達時間よりも短い時間で織布400aの幅方向を往復して元の位置に戻る。これにより、往路の最初に撮影した領域a1と復路の最後に撮影した領域bnの一部が重なり(前記ずれ量が撮影縦幅より小さい状態)、織布400aの織り方向についてもれなく撮影される。また、撮影の時間間隔は、撮影機111aが、その撮影横幅だけ移動する毎に撮影を行うように設定されているため、織布400aの幅方向についてももれなく撮影される。そして、領域bnを撮影した後、撮影機111aは、領域a1〜anと同様にして再び往路の撮影を行う。
撮影した画像データは、撮影の度に画像選択部150を経由して欠陥検出部120に送られる。欠陥検出部120は受け取った画像データに画像処理を行うことで、織布400aの欠陥の有無を判定する。
【0024】
撮影機111b〜111dについても撮影機111aと同様にして、織布400b〜400dの撮影をそれぞれ行う。
図3は各撮影機111a〜111dにおける撮影と、各撮影機から欠陥検出部120への画像データ転送と、欠陥検出部120による画像処理時間の関係を示すタイミング図である。撮影制御部133は、各撮影機111a〜111dへの撮影トリガ信号を撮影機毎にタイミングをずらして送信する。これによりPC140には各撮影機111a〜111dの画像データが順番に入力され、欠陥検出部120はこれら画像データを順番に処理する。そして、前記撮影の時間間隔が経過する毎に、各撮影機111a〜111dが撮影及び画像の転送等の処理を行うことで、織布が検査される。
【0025】
なお、上記実施形態は一例であって、本発明の趣旨に沿って適宜変形や修正を行えることは明らかである。例えば、撮影部及び織機をそれぞれ4台としたが、これよりも多くても少なくても良い。
【0026】
上記実施形態では、撮影機を移動させたまま該撮影機で撮影するものとしたが、撮影横幅毎に撮影機を停止させて撮影するようにしてもよい。停止させてから撮影することで像のブレを防ぎ、より鮮明な画像データを取得することができる。この構成において全面検査を行うためには、撮影機の停止時間に応じて移動速度を速くする必要があるため、速度算出部は下端到達時間から停止時間を減算した時間と織布の幅から撮影機の移動速度を算出する。また、この構成において、一の撮影機が停止して撮影を行っている間に、他の撮影機が次の撮影位置に移動するように移動制御部が移動機構を制御することで、停止による時間のロスを最小限とし、上記移動速度の増加を抑えることができる。
【0027】
また、撮影機の移動における往路と復路の両方で撮影を行ったが、往路のみで撮影を行う構成とすることもできる。この構成では、撮影を行わない復路の移動速度を往路よりも速く設定することで、往復に必要な時間を短縮することができる。
【0028】
織布の全面検査が必要でない場合は、撮影タイミングを上記の算出値よりも長くしたり、移動速度を遅くしたりしてもよい。このようにすることで取得する画像データの量が少なくなり、欠陥検出部の負荷を軽減することができる。
【0029】
上記実施形態では、各織機と各撮影部を全て同一の構成としたが、織機の織り速度や織布の幅方向の長さ、撮影機の撮影範囲等を、織機や撮影部毎に異なるものとしてもよい。この場合でも、制御部において織機や撮影部毎に移動速度を算出し、制御を行うことで織布を検査することができる。
【符号の説明】
【0030】
100…織布オンライン検査装置
110…撮影部
111…撮影機
112…照明具
113…移動機構
120…欠陥検出部
130…制御部
131…撮影制御部
132…移動制御部
133…画像制御部
134…速度算出部
300…織機
310…織布製造部
320…織布巻き取り部
400…織布