特許第6364047号(P6364047)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6364047
(24)【登録日】2018年7月6日
(45)【発行日】2018年7月25日
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20180712BHJP
【FI】
   A63F7/02 320
【請求項の数】1
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2016-127336(P2016-127336)
(22)【出願日】2016年6月28日
(62)【分割の表示】特願2014-176865(P2014-176865)の分割
【原出願日】2010年7月26日
(65)【公開番号】特開2016-168424(P2016-168424A)
(43)【公開日】2016年9月23日
【審査請求日】2016年6月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000154679
【氏名又は名称】株式会社平和
(74)【代理人】
【識別番号】100104547
【弁理士】
【氏名又は名称】栗林 三男
(72)【発明者】
【氏名】西川 勝
(72)【発明者】
【氏名】吉澤 恵
(72)【発明者】
【氏名】中西 健二
【審査官】 河本 明彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−239987(JP,A)
【文献】 特開2002−204862(JP,A)
【文献】 特開2003−175220(JP,A)
【文献】 特開2006−122478(JP,A)
【文献】 特開2012−024383(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技盤面上の遊技領域に遊技球が入賞可能に設けられた第1始動入賞口および第2始動入賞口と、
前記第1始動入賞口への遊技球の入賞または前記第2始動入賞口への遊技球の入賞に基づいて変動表示ゲームを開始するとともに、第2始動入賞口への遊技球の入賞に基づいて開始すべき変動表示ゲームが無い場合に第1始動入賞口への遊技球の入賞に基づく変動表示ゲームを開始する変動表示ゲーム開始手段と、
複数種の図柄を表示画面の複数箇所でそれぞれ変動して表示させる変動表示ゲームを表示する表示装置と、
所定条件の成立に基づいて前記変動表示ゲームの当たりおよびはずれを決める抽選を行う抽選手段と、
前記抽選手段の抽選結果に基づいて行われる前記変動表示ゲームの図柄の変動のパターンを示す複数の変動パターンから1つの変動パターンを選択する変動パターン選択手段と、
前記抽選手段の抽選結果と、前記変動パターン選択手段に選択された変動パターンに基づいて、前記変動表示ゲームとして、前記表示画面の複数箇所でそれぞれ複数種からなる図柄を変動する表示を行わせた後に、各箇所で一種の図柄を停止表示させ、これら停止表示された複数の図柄の組合わせにより前記当たりおよびはずれの抽選結果のいずれかを示す表示を行わせる変動表示ゲーム表示制御手段とを備え、
前記変動表示ゲーム表示制御手段は、前記変動パターン選択手段により、前記抽選手段の抽選結果が当たりとされる変動表示ゲームおよびはずれとされる変動表示ゲームの一部の変動パターンとして、リーチの変動パターンが選択された場合に、前記表示画面の複数箇所のそれぞれにおける図柄を停止表示する際に、複数の前記箇所のうちの一部となる複数の所定箇所で図柄を停止表示させるとともに、複数の前記箇所のうちの前記所定箇所を除く残りの箇所で図柄を未だ変動表示させている状態で、全ての箇所で図柄が停止表示された際に、当たりとなる図柄の組合わせとなる可能性があるリーチ表示を行うようになっている遊技機において、
前記変動表示ゲーム表示制御手段は、
リーチとなるか否かを演出する特定演出表示を行うかまたは前記特定演出表示なしでリーチとなるか否かが確定する非特定演出表示を行うかを選択する特定演出決定手段と、
前記表示画面の前記所定箇所にそれぞれ停止表示されることにより前記リーチ表示となるリーチ図柄を選択するリーチ図柄選択手段と、
前記特定演出決定手段が特定演出表示を行うことを決定した場合に、前回の変動表示ゲームでリーチ表示とならない異なる種類の図柄の組合わせで停止表示された複数の停止図柄のうちの前記所定箇所で停止表示された停止図柄と、前記リーチ図柄選択手段に選択されたリーチ図柄とを、それぞれ少なくとも図柄の一部を同時に視認可能に表示させ、かつ、前記変動パターン選択手段に選択された変動パターンがリーチの変動パターンの場合に、複数の前記所定箇所にそれぞれ前記リーチ図柄を停止表示させる特定演出表示制御手段とを備え、
前記表示画面の複数箇所のそれぞれに図柄を停止表示する際に、リーチの変動パターンが選択された場合は、複数の前記所定箇所で停止表示させる図柄を同種の図柄にし、リーチの変動パターンが選択されなかった場合は、複数の前記所定箇所に停止表示させる図柄を異なる種類の図柄にすることを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ店などの遊技場に設置して使用される遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的なパチンコ遊技機として、所謂デジパチと呼ばれるものが知られている。
デジパチと称されるパチンコ遊技機においては、遊技球が打ち込まれて流下する遊技盤面に形成された遊技領域に始動入賞口が設けられ、当該始動入賞口に遊技球が始動入賞することに基づき、内部の制御装置において、大当たり、はずれ(小当たりを含む場合がある)の抽選が行われ、抽選で大当たりになると遊技領域に設けられたアタッカが開放して、アタッカに遊技球が入賞可能になる大当たり状態が発生する。
【0003】
なお、大当たりには、一般的に、通常大当たり、確変大当たり、突確大当たり、潜確大当たり等があり、大当たりおよびはずれを決定する抽選とともに、大当たりの場合の大当たりの種類を決定する抽選が行われる。
【0004】
また、所定の変動表示ゲームの開始条件が成立すると、制御装置における複数種の大当たり、はずれの抽選が行われるとともに、特図表示器および演出表示装置(可変表示装置)で複数種の大当たりのいずれかもしくははずれになる同じ抽選結果を報知するための変動表示ゲームが同時進行的に行われ、変動表示ゲームが終了する直前に各種大当たりもしくははずれを識別情報としての1つの特別図柄(以下特図と略す)や、複数の装飾図柄の組み合わせで表示する。
【0005】
遊技者は、可変表示装置に表示される演出用の装飾図柄の変動表示ゲームを見ることによっても遊技を楽しむことになる。装飾図柄の変動表示ゲームでは、可変表示装置の画面を例えば3つの領域に分け、それぞれの領域(箇所)に、複数の装飾図柄を変動させながら表示させた後に、それぞれの領域に複数の装飾図柄のうちのいずれか1つを停止表示することになる。この際に、全ての領域で同じ装飾図柄が停止表示された場合に大当たりとすることが一般的である。また、3つの領域でそれぞれ装飾図柄を同時に停止表示するのではなく、1つの領域ずつ順番に装飾図柄を停止していき、最終的に全ての領域で装飾図柄を停止表示するのが一般的である。
【0006】
装飾図柄としては、図柄に数字を含ませることが一般的であり、例えば、1〜9の数字をそれぞれ1つ含む図柄が用いられる。この場合に、数字を含む複数の図柄が111,222等のぞろ目の停止表示(同じ図柄が揃った停止表示)となった場合に大当たりとなる。
このような装飾図柄による変動表示ゲームの演出が、各デジパチの販売台数や、遊技店に設置された際の遊技機の稼働率に影響を与えることから、様々な変動表示ゲームの表示演出が開発されている。
【0007】
例えば、上述の装飾図柄の変動表示においては、装飾図柄を上から下に移動させて、表示される装飾図柄を切り替える縦スクロールの変動表示と、装飾図柄を右から左に移動させて表示される装飾図柄を切り替える横スクロールの変動表示とが一般的であり、いずれかひとつの方向で装飾図柄がスクロールされる。それに対して、装飾図柄のスクロール方向を変更して表示可能とした遊技機が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0008】
また、装飾図柄のスクロール方向が切り替えられた場合に、切り替えられない場合よりも、大当たりが発生し易く設定されており、遊技者は、スクロール方向が切り替えられて、装飾図柄の表示方法が変更されることに興味を持つとともに、スクロール方向が切り替えられたことにより、大当たりとなるのでないかという期待感が高められる。
すなわち、変動表示ゲームの装飾図柄の表示方法だけではなく、大当たりが発生し易いか否かにも遊技者が興味を持つことになる。
【0009】
また、大当たりの場合に発生しやすい演出などにより、大当たりが発生するかもしれないという期待感を持たせることで、変動表示ゲームの演出をより興味深いものとすることができる。
例えば、変動表示ゲームは、前の変動表示ゲームの終了の際に、装飾図柄が表示画面の複数の領域でそれぞれ停止表示された状態で、次の変動表示ゲームが開始されることになる。
【0010】
この際に、停止表示された装飾図柄がスクロールすることで変動表示ゲームが開始される場合と、変動表示開始時に停止表示された装飾図柄と異なる種類の装飾図柄が新たに表示されてからスクロールが開始される場合とがあるように設定し、大当たりとなる変動表示ゲームでは、はずれとなる変動表示ゲームより、後者となる場合を多くする提案が為されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2003−275419号公報
【特許文献2】特開2004−261513号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところで、遊技者にとっては、上述の装飾図柄の変動表示ゲームによる演出の中でも、リーチ演出が興味深いものとなっている。一般的に変動表示ゲームでは、上述のように複数の領域で変動表示させた装飾図柄を順番に停止表示させた際に、複数の装飾図柄が予め定められた態様で停止表示されるとともに、停止されずに変動表示されている装飾図柄がある段階で、未だ大当たりとなる可能性がある場合をリーチと称している。
【0013】
例えば、上述のように可変表示装置の画面が3つの領域に分割されている場合に、2つの領域で装飾図柄が停止して表示され、1つの領域で装飾図柄が未だ変動表示している状態の場合に、2つの領域で同じ装飾図柄が停止表示されていれば未だ大当たりの可能性があるのでリーチとなる。また、2つの領域で異なる装飾図柄が停止表示されていれば、残りの領域でどの装飾図柄が停止してもはずれが確定となり、この場合はリーチとならないはずれとなる。
【0014】
リーチでは、残りの1つの装飾図柄が停止した際に大当たりとなる場合があるので、遊技者が大当たりの発生を期待することになる。それに対して、デジパチでは、リーチを盛り上げるための様々な演出が行われている。デジパチ系のパチンコ遊技機において、変動表示ゲームがリーチとなった場合の演出がメーカーにおけるパチンコ遊技機の売り上げや、遊技店におけるパチンコ遊技機の稼働率を左右する重要な要素となっている。
【0015】
遊技者は、変動表示ゲームが開始した後にリーチとなった際に、リーチから大当たりになるか否かに興味を持つとともに、変動表示ゲームの開始時には、リーチとなるか否かに興味を持つことになる。
したがって、変動表示ゲームの開始時にリーチとなるか否かに対して遊技者の興趣を高められるような変動表示ゲームの演出を可能とする表示演出の制御方法が求められている。
【0016】
本発明は、前記事情に鑑みて為されたもので、変動表示ゲームの開始時に、遊技者の注意を促し、リーチになるか否かに興味を抱かせることにより、変動表示ゲームに対する興趣を高め、かつ、遊技者に分かり易い演出表示とすることが可能な遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
請求項1に記載の遊技機は、
遊技盤面上の遊技領域に遊技球が入賞可能に設けられた第1始動入賞口および第2始動入賞口と、
前記第1始動入賞口への遊技球の入賞または前記第2始動入賞口への遊技球の入賞に基づいて変動表示ゲームを開始するとともに、第2始動入賞口への遊技球の入賞に基づいて開始すべき変動表示ゲームが無い場合に第1始動入賞口への遊技球の入賞に基づく変動表示ゲームを開始する変動表示ゲーム開始手段と、
複数種の図柄を表示画面の複数箇所でそれぞれ変動して表示させる変動表示ゲームを表示する表示装置と、
所定条件の成立に基づいて前記変動表示ゲームの当たりおよびはずれを決める抽選を行う抽選手段と、
前記抽選手段の抽選結果に基づいて行われる前記変動表示ゲームの図柄の変動のパターンを示す複数の変動パターンから1つの変動パターンを選択する変動パターン選択手段と、
前記抽選手段の抽選結果と、前記変動パターン選択手段に選択された変動パターンに基づいて、前記変動表示ゲームとして、前記表示画面の複数箇所でそれぞれ複数種からなる図柄を変動する表示を行わせた後に、各箇所で一種の図柄を停止表示させ、これら停止表示された複数の図柄の組合わせにより前記当たりおよびはずれの抽選結果のいずれかを示す表示を行わせる変動表示ゲーム表示制御手段とを備え、
前記変動表示ゲーム表示制御手段は、前記変動パターン選択手段により、前記抽選手段の抽選結果が当たりとされる変動表示ゲームおよびはずれとされる変動表示ゲームの一部の変動パターンとして、リーチの変動パターンが選択された場合に、前記表示画面の複数箇所のそれぞれにおける図柄を停止表示する際に、複数の前記箇所のうちの一部となる複数の所定箇所で図柄を停止表示させるとともに、複数の前記箇所のうちの前記所定箇所を除く残りの箇所で図柄を未だ変動表示させている状態で、全ての箇所で図柄が停止表示された際に、当たりとなる図柄の組合わせとなる可能性があるリーチ表示を行うようになっている遊技機において、
前記変動表示ゲーム表示制御手段は、
リーチとなるか否かを演出する特定演出表示を行うかまたは前記特定演出表示なしでリーチとなるか否かが確定する非特定演出表示を行うかを選択する特定演出決定手段と、
前記表示画面の前記所定箇所にそれぞれ停止表示されることにより前記リーチ表示となるリーチ図柄を選択するリーチ図柄選択手段と、
前記特定演出決定手段が特定演出表示を行うことを決定した場合に、前回の変動表示ゲームでリーチ表示とならない異なる種類の図柄の組合わせで停止表示された複数の停止図柄のうちの前記所定箇所で停止表示された停止図柄と、前記リーチ図柄選択手段に選択されたリーチ図柄とを、それぞれ少なくとも図柄の一部を同時に視認可能に表示させ、かつ、前記変動パターン選択手段に選択された変動パターンがリーチの変動パターンの場合に、複数の前記所定箇所にそれぞれ前記リーチ図柄を停止表示させる特定演出表示制御手段とを備え、
前記表示画面の複数箇所のそれぞれに図柄を停止表示する際に、リーチの変動パターンが選択された場合は、複数の前記所定箇所で停止表示させる図柄を同種の図柄にし、リーチの変動パターンが選択されなかった場合は、複数の前記所定箇所に停止表示させる図柄を異なる種類の図柄にすることを特徴とする。
【0018】
請求項1に記載の発明においては、リーチ表示となるか否かを演出する特定演出表示として、前回の変動表示ゲームがリーチでない場合で、かつ、特定演出表示を行うと決定された場合に、前回の変動表示ゲームで複数の所定箇所に表示されて記憶された記憶図柄を表示する。また、残り箇所では、例えば、図柄が順次変更されるような変動表示が行われる。
【0019】
なお、所定箇所は、リーチとなった際に図柄が停止表示される箇所であり、残りの箇所は、リーチとなった際に、未だ図柄が変動表示されている箇所である。
次に、所定箇所のそれぞれで、前回の変動表示ゲームの際の停止図柄としての記憶図柄と、停止表示された際にリーチとなる組み合わせのリーチ図柄とが、少なくとも一部を同時に表示させた状態となる。
【0020】
例えば、記憶図柄を複数に分割するとともに、各分割部分を離すことで生じた隙間から記憶図柄の後側に隠されたリーチ図柄が垣間見えるような演出表示を行う。
この変動表示ゲームの変動パターンがリーチとなる場合には、所定箇所から記憶図柄が消えてリーチ図柄が停止表示される。変動パターンがリーチでない場合には、所定箇所からリーチ図柄が消え、記憶図柄が停止表示される。
【0021】
この際に前回の変動表示ゲームがリーチの場合には、特定演出が行われないので、特定演出が行われる場合には、記憶図柄が所定箇所に停止表示されてもリーチとなることはない。
なお、前回の変動表示ゲームがリーチの場合でも、特定演出を行うものとすると、記憶図柄もリーチとなる組み合わせのリーチの図柄の組み合わせとなり、記憶図柄とリーチ図柄との一方が停止図柄として表示された場合に、記憶図柄でもリーチとなり、リーチ図柄でもリーチとなる。
【0022】
ここで、記憶図柄とリーチ図柄との少なくとも一部を同時に表示するのは、リーチ図柄が停止してリーチとなるか、記憶図柄が停止してリーチとならないかを演出表示することにより、遊技者のリーチへの期待感を高めるためである。
上述のように記憶図柄もリーチとなる図柄となってしまうと、記憶図柄を停止表示しても、リーチ図柄を停止表示しても、リーチとなってしまうので、リーチとなるか否かを演出表示するものではなくなってしまう。
【0023】
すなわち、リーチが確定となる表示となってしまい、演出の意味合いが違ってしまう。
なお、この場合には、必ずリーチになるので、前回の変動表示ゲームがリーチの場合に特定演出を行うためには、特定演出を行う変動表示ゲームの変動パターンがリーチである必要がある。
【0024】
また、リーチ演出として、最後に停止した際に大当たり確定となる図柄と、その前に表示された別の図柄とが同時に表示された後に、いずれか一方が表示されるような演出が知られている。この場合には、大当たりが確定となる図柄と、その前に表示された図柄とは必ず別の図柄となる。それに対して、この発明では、前回の変動表示ゲームの記憶図柄と、リーチ図柄とであるため、例えば、複数の所定箇所全てで、順番に並んだ図柄の隣合う図柄を、記憶図柄とリーチ図柄とすることはできない。
【0025】
したがって、リーチ図柄をランダムに選択した場合に、上述の所定箇所のいずれかで記憶図柄とリーチ図柄とが同じ図柄となる可能性がある。
この場合に同じ図柄が2つ同時に表示され、どちらがリーチ図柄か記憶図柄か区別がつかず、わかり難い演出となる。すなわち、上述の前回の変動表示ゲームがリーチだった場合のように、記憶図柄でもリーチとなるわけではないので、一方はリーチとならない図柄、他方はリーチとなる図柄のはずなのに、同じ図柄が同じ箇所で同時に表示されてどちらかが停止図柄となる演出表示が行われ、遊技者に分かり難い演出となってしまう。
【0026】
そこで、記憶図柄と異なる図柄からなるリーチ図柄を選択することで、同じ箇所で同じ図柄が同時に表示される状態となるのを防止している。
なお、同じ所定箇所で同じ図柄が同時に表示される状態とならなければ良いので、各所定箇所に表示される図柄が異なるようにすればよい。但し、例えば、大当たりとなる図柄の組み合わせを全て同じ図柄となる組み合わせとした場合に、記憶図柄のいずれかとリーチ図柄とが一致すれば、どれかの所定箇所で、同じ図柄が記憶図柄とリーチ図柄とで表示されてしまうことになるので、このような場合には、記憶図柄の全てとリーチ図柄とが異なる必要がある。
【0027】
このような遊技機においては、前回の変動表示ゲームの停止図柄からいきなりリーチ図柄が表示される演出を可能とすることで、遊技者に対して衝撃的で印象的な演出を行うことができる。また、リーチ図柄の最初の表示は、前回の変動表示ゲームの停止図柄と同時に行われ、その後に停止表示されるのがリーチ図柄か前回の停止図柄かに遊技者が注視することなり、遊技者の興趣を高めることができる。特に、変動表示ゲームにおいて、上述の残り箇所における図柄の変動表示が行われた状態で、所定箇所における図柄が停止表示されるまでの変動表示ゲームの前半部分に対して遊技者に興味を持たせることができる。
【0028】
本発明において、前記変動表示ゲーム表示制御手段は、それぞれ異なる数字が描かれるとともに、複数の数字毎に関連付けられた色で複数に色分けされた図柄を変動表示し、
変動表示ゲームとして前記表示画面の三箇所で図柄を変動表示するとともに停止表示し、変動表示ゲームが当たりとなる場合に三箇所で停止表示される図柄が全て同じとなる組み合わせの表示を行い、前記変動表示ゲームがリーチとなる場合に、三箇所のうちの所定の二箇所に同じ図柄を停止表示し、残りの一箇所で図柄を変動表示し、
前記リーチ図柄選択手段は、前記図柄の色を選択した後に、前記色に対応する複数の数字の図柄から、前回の変動表示ゲームで停止表示された複数の停止図柄のうちの前記所定箇所のそれぞれで停止表示された停止図柄の数字と異なる数字の図柄を選択することが好ましい。
【0029】
このような構成によれば、色分けされた数字の図柄を変動表示ゲームに用いており、特定演出の際に同じ数字の図柄が記憶図柄とリーチ図柄として同じ箇所に停止表示されないようにしている。
また、数字を色分けすることで、数字の色に対応した意味を持たせることができる。例えば、数字を青、紫、赤に色分けした状態で、リーチとなった際に、リーチで所定の二箇所で停止表示される図柄が青、紫、赤の順で大当たりになりやすいものとしてもよい。また、青、紫、赤の順で通常大当たりより確変大当たりの可能性が高い等の設定をすることが可能となる。
【0030】
また、色分けにおいては、例えば、2,4,6,8を青、1,5,9を紫、3,7を赤などとして、色と数字を関連付け、かつ、1つの色に対して複数の数字を関連付けた状態となっている。ここで、例えば、確変大当たりとなる変動表示ゲームで上述の特定演出が行われる場合に、色として例えば紫や赤が選択される可能性が高くなる。
【0031】
紫が選択された場合に、紫となる図柄の数字は、1,5,9となる。また、前回の変動表示ゲームでは、リーチとなっていないので、所定の二箇所にそれぞれ異なる数字の図柄が停止表示され、これら2つの図柄が記憶図柄として記憶される。この場合に、例えば、3と5が停止表示されて記憶図柄として記憶された場合に、紫の図柄となる1,5,9の数字のうちの5が記憶図柄と同じとなるので、5の図柄が使えないことになり、リーチ図柄として使用される数字の図柄は、1と9とになり、紫の1と9のうちのいずれかの数字が選択されることになる。
【0032】
これにより、同じ図柄が記憶図柄とリーチ図柄として同時に表示されることがなくなり、分かり易い特定演出を行うことができる。また、図柄を色と数字の組合わせとすることで、各図柄に意味を持たせ、その意味に対応してリーチ図柄を決定することで、リーチ図柄に意味を持たせることができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、変動表示ゲームのリーチ演出を行う遊技機において、変動表示ゲームでリーチもしくは非リーチが確定する前の段階で、リーチになるか否かの特定演出を行うことにより、リーチになる前もしくはリーチにならない場合でも、遊技者に変動表示ゲームに対して興味を持たせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明の実施の形態に係るパチンコ遊技機の遊技盤上の遊技領域を示す正面図である。
図2】前記パチンコ遊技機の制御係を示すブロック図である。
図3】前記パチンコ遊技機における変動表示ゲームの装飾図柄を示す図である。
図4】前記パチンコ遊技機の変動表示ゲームの特定演出を説明するための図である。
図5】前記パチンコ遊技機の図柄制御装置の変動表示ゲーム開始処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1に示すように、この実施の形態のパチンコ遊技機は、所謂デジパチと呼ばれる種類のパチンコ遊技機としての基本的な構成を有するものである。
遊技盤1の盤面上の遊技領域2内には、その略中央部に可変表示装置(表示装置)3が設けられている。可変表示装置3は、例えば、液晶表示装置からなるもので、抽選手段として機能する後述の主制御装置14で行われる抽選の各種大当たりおよびはずれの抽選結果を表示するものであり、抽選結果の表示に際し装飾図柄の変動表示ゲームを表示し、この変動表示ゲームの大当たりおよびはずれによって上述の抽選結果を報知するようになっている。
【0036】
遊技領域2の下部には、第1および第2特図表示器4a,4bが設けられている。第1および第2特図表示器4a,4bは、例えば、7セグのLED表示装置からなる。なお、第1および第2特図表示器4a,4bは、数字を表示可能な7セグの表示装置である必要はなく、例えば、6から8個程度の任意の形状のセグメントが任意の位置に配置されたものでよく、各セグメントの点灯および消灯を個別に制御できるようになっていればよい。第1および第2特図表示器4a,4bは、上述の変動表示時間だけ変動表示(一部のセグメントを点滅表示)した後に特図(抽選結果表示)を停止表示する。
【0037】
ここで、第1および第2特図表示器4a,4bの前記点滅表示後に特図を停止表示する特図の変動表示ゲームを特図ゲームと称する。また、特図ゲームには、第1特図表示器4aで行われる第1特図ゲームと、第2特図表示器4bで行われる第2特図ゲームとがあるが、同時に第1特図ゲームと第2特図ゲームとが行われることがなく、第1特図ゲームと第2特図ゲームとの両方が開始可能な場合には、第2特図ゲームが先に開始され、開始すべき第2特図ゲームが無い場合にだけ、第1特図ゲームが開始される。可変表示装置3で表示される変動表示ゲームは、実行されている第1特図ゲームもしくは第2特図ゲームに対応したものであり、第1特図ゲームが実行されている際には、この第1特図ゲームと同様の結果になる変動表示ゲームが表示され、第2特図ゲームが実行されている際には、この第2特図ゲームと同様の結果になる変動表示ゲームが表示されている。
【0038】
前記可変表示装置3の直ぐ下には、第1始動入賞口52が設けられている。
また、第1始動入賞口52の直ぐ下には第2始動入賞口54を備えた所謂電チューと呼ばれる普通変動入賞装置5が設けられている。
この普通変動入賞装置5は、開閉動作自在な1対の可動片51,51を備え、第2始動入賞口54に遊技球が入賞できないように可動片51,51が閉じた状態(閉状態)と、遊技球が入賞し易くなるように可動片51,51が開いた状態(開状態)との間で変動するようになっている。
【0039】
第1始動入賞口52には、遊技球の入賞を検知する第1始動入賞球検知センサ53a(図2に図示)が設けられており、第1始動入賞球検知センサ53aは、各種大当たりおよびはずれを決定する抽選を行う抽選手段として機能する主制御装置14に、遊技球が第1始動入賞口52に入賞した際に第1始動入賞信号を出力する。また、第2始動入賞口54には、遊技球の入賞を検知する第2始動入賞球検知センサ53b(図2に図示)が設けられており、第2始動入賞球検知センサ53bは、主制御装置14に、遊技球が第2始動入賞口54に入賞した際に第2始動入賞信号を出力する。主制御装置14は、第1始動入賞信号の入力(所定条件の一部の成立)に基づいて第1特図ゲーム(変動表示ゲーム)の各大当たりおよびはずれを決める抽選を行い、第2始動入賞信号の入力(所定条件の一部の成立)に基づいて第2特図ゲーム(変動表示ゲーム)の各大当たりおよびはずれを決める抽選を行う。
【0040】
また、可変表示装置3には、画面の周縁部分に後述の特図保留数の表示が行われる特図保留数表示領域31が設定されている。主制御装置14では、第1始動入賞球検知センサ53aから始動入賞信号が入力した場合に、上限になる数値(たとえば4)の範囲内で第1特図保留数に1加算し、この始動入賞に基づいて特図ゲームおよび変動表示ゲームが開始される場合に、特図保留数から1減算する。この特図保留数が特図保留数表示領域31にマークの数として表示される。同様に、主制御装置14では、第2始動入賞球検知センサ53bから始動入賞信号が入力した場合に、上限になる数値(たとえば4)の範囲内で第2特図保留数に1加算し、この始動入賞に基づいて特図ゲームおよび変動表示ゲームが開始される場合に、特図保留数から1減算する。この特図保留数が特図保留数表示領域31にマークの数として表示される。
【0041】
また、可変表示装置3の下方で、さらに普通変動入賞装置5の下方に、大入賞口61を有する特別変動入賞装置6が設けられている。この特別変動入賞装置6には、いわゆるアタッカとしての構成を有するもので、大入賞口61を開閉する可動扉62が備えられ、通常行われる通常遊技状態では、可動扉62が遊技球を大入賞口61に流入させないように立って閉じた閉状態になり、第1特図ゲームまたは第2特図ゲームの結果が各大当たりとなった場合に遊技球が流入し易いように前に倒れて開いた開状態になる。特別変動入賞装置6には、その大入賞口61に入賞した遊技球を検知する大入賞球検知センサ63が設けられている。
【0042】
なお、大当たりとなった場合には、大当たり状態として、例えば、特別変動入賞装置6が閉塞状態から開閉状態となって再び閉塞状態になる開閉動作を所定回数例えば10回行う一ラウンドの動作を、所定ラウンド数だけ行うようになっている。例えば、10ラウンド程度から16ラウンド程度が行われる。なお、ラウンド数は、当たりの種類によって異なるものとなっている。
また、特別変動入賞装置6は、1ラウンドで開閉動作を複数回行うものとしたが、いわゆる突確、突時、潜確等の2ラウンド当たりでは、各ラウンドで一回だけ開閉動作を行うものとなっている。
【0043】
可変表示装置3の左側方には、普通図柄(普図と略す)始動口(スルーチャッカー)7が設けられている。また、普図始動口7に対応して、普図始動口7内を通過した遊技球を検知する通過球検知センサ71が設けられ、通過球検知センサ71は遊技球を検知すると主制御装置14に通過球検知信号を出力する。当該通過球検知信号の入力に基づいて主制御装置14は、普通変動入賞装置5を開状態とする当たりと、普通変動入賞装置5を閉状態のままとするはずれとを抽選する普図抽選を行う。なお、この普図抽選の結果は、普図の変動表示ゲーム(以下、普図ゲーム)を普図表示装置8で表示することにより報知される。上述の普図表示装置8の下には、普図保留数表示ランプ9が設けられており、特図保留数と同様に求められる普図保留数が表示される。
【0044】
上述のように、普図ゲームが当たりとなった場合に、普通変動入賞装置5が開放し、普通変動入賞装置5(始動入賞口)への遊技球の入賞率が高まり、特図ゲームの開始機会が増加するようになっている。また、遊技領域2の左側部には、複数の一般入賞口10,10が設けられている。また、一般入賞口10,10に対応して、一般入賞口10,10に入賞した遊技球を検知する一般入賞球検知センサ11がそれぞれ設けられている。
【0045】
また、特別変動入賞装置6の下方の遊技領域2の最下端部には、いずれの入賞口にも入賞しなかった遊技球を遊技領域2の外部になる遊技盤1裏面に排出させるアウト口12が設けられている。また、遊技盤1の前面には、遊技球の流下方向を規制するとともに流下方向を転換する遊技釘81(一部だけ図示)や風車(図示略)等の流下規制転換部材が設けられている。
【0046】
次に、この例のパチンコ遊技機の制御系を図2に示されるブロック図を参照して説明する。パチンコ遊技機の制御系は、大きく分けて主制御部(主基板)15と、副制御部(サブ基板)16と、これら主制御部15および副制御部16に電力を供給する電源供給装置82とから構成されている。主制御部15には、例えば、遊技機用のワンチップマイコン等で構成される主制御装置14が備えられ、主制御装置14には、プログラムを実行するCPU14a、プログラムやプログラムで使用するデータを記憶したROM14bや、プログラムに基づいて発生したデータやROM14bから読み出した各種データ等を記憶するRAM14cや周波数発生回路部14d等が備えられている。
【0047】
主制御装置14(CPU14a)には、パチンコ遊技機に設けられた各種センサからの信号が入力可能となっており、前述の第1および第2始動入賞球検知センサ53a,53b、大入賞球検知センサ63、通過球検知センサ71、一般入賞球検知センサ11が接続されるとともに、遊技球の入賞に対応して賞球を払出す遊技球払出装置17から払い出された賞球を検知する遊技球払出検知センサ18、パチンコ遊技機におけるエラーを検知するエラー検知センサ19等が接続されている。
【0048】
また、主制御装置14は、パチンコ遊技機の各種装置を動作させるため各種信号を出力するようになっている。例えば、主制御装置14には、遊技店において設置された各遊技機のデータを集計管理するための集中管理装置20が主制御装置14からデータを入力可能に接続されている。また、主制御装置14には、サブ制御装置としての払出制御装置22、図柄制御装置23、ランプ制御装置24、音声制御装置25が接続され、これらサブ制御装置に対してコマンド(制御指令)を出力可能とされている。
【0049】
なお、ここで、払出制御装置22は実質的に賞球を払出すためのパチンコ遊技機における遊技の主要な制御を行うことから主制御部15に含まれるものとし、遊技の演出に係わる図柄制御装置23、ランプ制御装置24、音声制御装置25は副制御部16に含まれるものとなっている。
【0050】
また、主制御装置14には、第1および第2特図表示器4a,4bが接続され、主制御装置14が第1および第2特図表示器4a,4bにおける特図の表示制御を行う。
また、主制御装置14には、上述の普通変動入賞装置5の可動片51,51を駆動する普通変動ソレノイド55が接続されるとともに、特別変動入賞装置6の可動扉62を駆動する特別変動ソレノイド64が接続される。
【0051】
また、払出制御装置22には、払出制御装置22により制御されて賞球および貸球を払出す遊技球払出装置17が接続されるとともに、プリペードカード(記録媒体)26のデータを読み込で遊技球の貸出制御を行うためのCRユニット27が球貸信号制御装置28を介して接続されている。払出制御装置22は、主制御装置14からのコマンドに基づいて賞球を払出すとともに、CRユニット27から球貸信号制御装置28を介して入力される球貸信号に基づいて貸球を払出す制御を行う。
【0052】
また、主制御部15には、主制御装置14と直接接続されていないが、遊技球を遊技領域2に発射する打球発射装置(図示略)の発射駆動装置29を制御する発射制御装置29aが設けられ、発射制御装置29aには、遊技球の発射を操作するための回転式操作ハンドル29b、発射停止釦29c、タッチセンサ29dが接続されている。
【0053】
主制御部15の主制御装置14は、パチンコ遊技機における遊技の進行を制御するもので、第1および第2始動入賞球検知センサ53a,53b、大入賞球検知センサ63、一般入賞球検知センサ11から遊技球の検知信号が入力された場合、すなわち、各入賞口に遊技球が入賞した場合に、払出制御装置22にコマンドを出力して、賞球として遊技球の排出を行わせる。
【0054】
また、主制御装置14は、通過球検知センサ71から遊技球の検知信号が入力した場合に、上述の普図保留数の加算する処理を行うとともに、普図ゲームの当たり外れを決定する抽選処理で用いられる各種乱数を取得し、普図保留数が上限未満の場合に乱数を記憶する。また、所定の開始条件として、前の普図ゲームのはずれでの終了もしくは当たり後の普通変動入賞装置5の開閉動作の終了で普図ゲームを開始するとともに普図保留数を1減算する。この際に抽選処理によって、普図ゲームの当たり外れを決定し、普図ゲームの表示や結果の報知や演出のために図柄制御装置23やランプ制御装置24や音声制御装置25にコマンドを出力する。
【0055】
また、主制御装置14は、第1および第2始動入賞球検知センサ53a,53bからの始動入賞信号の入力と特図ゲームの開始に基づいて、上述の特図保留数の処理を行うとともに、特図ゲームの大当たり外れを決定する抽選処理で用いられる抽選決定情報としての各種乱数(当たり判定乱数、図柄乱数、演出乱数)を取得し、特図保留数が上限未満の場合に当該乱数をRAM(抽選結果記憶装置)14cに記憶する。なお、前記抽選処理によって、当たり判定乱数に基づいて第1および第2特図ゲームの大当たりおよびはずれを決定し、第1および第2特図表示器4a,4bを制御して第1および第2特図ゲームを表示するとともに、可変表示装置3における装飾図柄の変動表示ゲームの表示や結果の報知や演出のために図柄制御装置23やランプ制御装置24や音声制御装置25等にコマンドを出力する。
【0056】
なお、第1および第2特図ゲーム(変動表示ゲーム)の開始条件は、前の第1特図ゲームまたは第2特図ゲームがはずれで終了した際と、第1特図ゲームまたは第2特図ゲームが大当たりとなったことにより、特別変動入賞装置6を開放する大当たり状態となった場合に、この大当たり状態が終了した際に、第1特図保留数(第2特図保留数)が1以上となっているか、第1始動入賞信号または第2始動入賞信号が入力した場合である。また、それに加えて第1特図ゲームでは、開始すべき第2特図ゲームが無いこと(第2特図保留数が0となっていること)が開始条件の1つになる。
【0057】
また、主制御装置14は、普図ゲームが当たりとなった場合には、普通変動入賞装置5の可動片51,51を駆動する普通変動ソレノイド55を制御して普通変動入賞装置5を閉状態から開状態とする制御を行う。また、主制御装置14は、第1特図ゲームまたは第2特図ゲームが各大当たりとなった場合には、特別変動入賞装置6の可動扉62の特別変動ソレノイド64を制御して所定の条件に基づいて特別変動入賞装置6を閉状態から開状態に変動させて上述の大当たり状態を発生させる制御を行う。
【0058】
また、抽選手段としての主制御装置14は、前述の始動入賞信号に基づいて第1特図ゲームおよび第2特図ゲームが大当たりになるかはずれになるかを決める抽選処理を行う。また、主制御装置14は、大当たりとはずれとのいずれかを示す第1特図ゲームまたは第2特図ゲームを順次表示する際に、確変大当たり等の発生に基づいて前記抽選処理により第1特図ゲームおよび第2特図ゲームが大当たりになる確率を低確率状態より高い高確率状態とし、通常大当たり等の発生に基づいて前記抽選処理により第1特図ゲームおよび第2特図ゲームが大当たりになる確率を高確率状態より低い低確率状態とする制御を行う。また、主制御装置14は、所定の大当たりの発生に基づいて、通常状態より普通変動入賞装置の単位時間当たりの開放時間(開放回数)が多くなる時短状態(電チユーサポート状態)とする制御を行う。なお、確変状態(高確率支援状態)では、基本的に高確率状態になるとともに電チユーサポート状態になり、時短状態(支援状態)では、電チユーサポート状態となる。
【0059】
また、副制御部16の変動表示ゲーム表示制御手段としての図柄制御装置23は、可変表示装置3と、普図表示装置(LED表示装置)8とを制御するものであり、可変表示装置3がビデオディスプレイプロセッサ35を介して接続されている。上述の主制御装置14により決定された各大当たりおよびはずれと、変動パターンとしての変動表示時間等に基づいて、図柄制御装置23により装飾図柄の変動表示ゲームの可変表示装置3における表示が制御される。また、図柄制御装置23は、主制御装置14において、算出される特図保留数に基づいて、可変表示装置3の特図保留数表示領域31における特図保留数のマークの表示を制御する。また、図柄制御装置23は、パチンコ遊技機の遊技盤1を支持する前面枠等に設けられたボタンスイッチ23aを遊技者等が操作した場合に、ボタンスイッチ23aからの外部入力信号が入力するようになっている。
【0060】
副制御部16のランプ制御装置24は、遊技盤1の盤面に設けられた盤面関係の電飾(LED等の光源)24aと、パチンコ遊技機の遊技盤1を支持する前面枠に設けられ、遊技盤1の前面を覆うガラス枠等の枠扉関係の電飾(LED等の光源)24bとが接続され、LEDやランプ等による演出を制御する。また、ランプ制御装置24には、普図保留数表示ランプ9が接続されている。
【0061】
音声制御装置25には、サウンドプロセッサ、アンプ、スピーカ等からなる音声発生装置25aが接続されており、音声制御装置25は、演出用の効果音、音声、音楽等の出力を制御する。
【0062】
この実施の形態において、抽選決定情報取得記憶手段としての主制御装置14は、特図ゲーム開始の際に、第1および第2始動入賞球検知センサ53a,53bからの始動入賞信号に基づいて取得された3つずつの乱数(当たり判定乱数、図柄乱数、演出乱数)を用いて第1および第2特図ゲームを表示するための抽選処理を行う。抽選処理においては、当たり判定乱数と、設定されている当たり判定値とを比較する。当たり判定値は、当たり判定乱数になる数値のうちから予め決められた数値であり、大当たり確率は、当たり判定値の数/当たり判定乱数になる数値の数になる。また、当たり判定値には、低確率になる通常時の当たり判定値と、確変大当たり後の高確率時の当たり判定値とがあり、例えば、通常時の当たり判定値の数に対して、高確率時の当たり判定値の数が約10倍とされる。これにより、低確率時に対して高確率時の大当たり確率が約10倍とされる。
【0063】
取得された当たり乱数の数値と、当たり判定値とが一致した場合に、大当たりとなり、一致しない場合にはずれになる。
図柄乱数は、第1および第2特図表示器4a,4bに表示される特図の種類を決定するものであるが、特図ゲームがはずれの場合には、たとえば一種類の特図となり、大当たりの場合には、各大当たりの種類毎、例えば、通常大当たり、確変大当たりでそれぞれ複数種類の特図が設定されており、図柄乱数と関連付けられた特図が選択される。
【0064】
したがって、大当たりの場合に図柄乱数によって、通常大当たり(時短有り)なのか確変大当たりなのかが決定される。
また、演出乱数は、特図ゲームの表示時間を含む変動パターンを決定するものであり、はずれの場合にリーチになるか否か、また、リーチの場合に表示時間が短いノーマルリーチか、表示時間の長いスーパーリーチやプレミアムリーチになるかを決定するものである。大当たりの場合も、ノーマルリーチかスーパーリーチかなどのリーチの演出を決定するものになる。なお、変動パターン選択手段としての主制御装置14は、変動パターンの選択に際して、はすれや大当たりの種類毎に設定された抽選確率と複数の変動パターンの組み合わせからなる変動パターンのデータテーブルに従って抽選を行い、変動パターンを選択する。
【0065】
なお、リーチとは、変動表示ゲームにおいて、一部の停止表示される装飾図柄が確定し、一部が未だ変動表示されている段階で、大当たりの可能性が残っている状態であり、同時に表示される装飾図柄が3つの場合に、2つの装飾図柄が停止表示され、未だ1つの装飾図柄が変動表示されている段階で、大当たりの可能性がある状態である。
【0066】
上述の3つの乱数により、特図ゲームの表示が決定されて特図ゲームの結果に基づいてはずれおよび大当たりの第1および第2特図ゲームが行われる。また、主制御装置14からこれらの抽選決定情報に基づく情報(変動パターンを含む)が、図柄制御装置23に送られ、可変表示装置3における装飾図柄の変動表示ゲームの表示制御が行われる。
【0067】
すなわち、主制御装置14は、第1特図ゲームもしくは第2特図ゲームを開始する際に、上述の抽選結果に基づいて、図柄制御装置23に、大当たりおよびはずれのいずれかを示すデータと、変動パターンのデータと、大当たりの場合の大当たりの種類(確変大当り、通常大当り等)データとを送信するとともに、変動表示ゲームの開始コマンドを送信するようになっている。
【0068】
このような遊技機において、順次、可変表示装置3で行われる装飾図柄(以下、図柄と略称する)の変動表示ゲームの一部で、リーチになるか否かを演出する特定演出を行うようになっている。
この遊技機における図柄は、図3に示すように、1から9の数字のいずれか1つが描かれたもので、1から9の数字に対応して9種類の図柄が可変表示装置で表示されるようになっている。
【0069】
また、図柄は複数の数字毎に色分けされており、例えば、1から9の数字のうちの偶数である2,4,6,8の数字の図柄は、青い図柄となっている。また、1から9の数字のうちの3,7を除く奇数である1,5,9の数字の図柄は、紫の図柄となっている。また、1から9の数字のうちの3,7の数字の図柄は、赤い図柄となっている。
なお、図柄の色は、数字の色であっても良いし、数字の背景の色であってもよい。
【0070】
また、図柄の色は、2つの意味を持つものであって、1つは、リーチとなった場合に大当たりとなる可能性を示すもので、青、紫、赤の順で大当たりとなる信頼度が高くなるようになっている。例えば、変動表示ゲームにおいて可変表示装置3の表示画面の左、中、右の三箇所(三つの領域)で、それぞれ図柄が変動表示される場合に、リーチになると左と右の所定の二箇所で同じ図柄が停止表示されることになる。
【0071】
この変動表示ゲームの基本的な表示では、左、右、中の順で、変動表示されている図柄が停止表示される。したがって、可変表示装置3の表示画面の左側で停止表示される図柄を第1停止図柄と称し、右側で停止表示される図柄を第2停止図柄と称し、左右の間となる中で停止表示される図柄を第3停止図柄と称する。
第1停止図柄および第2停止図柄が同じ図柄の場合にリーチとなり、第3停止図柄が確定するまで、すなわち、表示画面の中央の図柄が変動表示を終了して停止表示されるまで、リーチ演出が可変表示装置3に表示される。
【0072】
このように、停止表示される3つの図柄は、図柄制御装置23において、上述の当たりおよびはずれと、変動パターン(主にリーチか否か)と、当たりの種類に基づく抽選確率で抽選されるようになっている。
【0073】
リーチとならずにはずれとなる場合には、基本的に左右の第1停止図柄と第2停止図柄が異なるという条件で、各停止図柄がランダムに決定される。すなわち、停止図柄が抽選により決定される。なお、この遊技機においては、後述のようにリーチとならずにはずれとなる変動表示ゲームでは、表示画面の右に停止する第2停止図柄が、赤の図柄である3および7図柄となることがないようになっている。すなわち、リーチとならないはずれの場合に、第1停止図柄と第2停止図柄が異なるものとなり、かつ、第2停止図柄から赤い図柄の3,7を除外するようになっている。
【0074】
また、はずれでリーチとなる場合には、第1停止図柄と第2停止図柄とが同じ図柄となり、これらの図柄と第3停止図柄とが異なるものとなる。第1停止図柄および第2停止図柄の決定に際して、青、紫、赤の図柄を抽選するようになっており、抽選に際して、青、紫、赤の順で、抽選確率が低くなるように設定されたはずれのリーチ用のデータテーブルを用いるようになっている。データテーブルでは、各色の図柄毎に抽選確率が設定されている。そして、はずれのリーチ用のデータテーブルでは、抽選確率が赤、紫、青の順で高くなっており、紫より青が選択されやすく、赤より紫が選択され易くなっている。
【0075】
また、大当たりでリーチとなる場合には、さらに、確変大当たりか、通常大当たりかで抽選確率が異なるようになっている。基本的に大当たりのリーチでは、大当たりのリーチ用のデータテーブルが用いられるが、大当たりのリーチでは、データテーブルがさらに確変大当たり用と通常大当たり用とに分けられ、通常大当たりのデータテーブルにおける抽選確率は、青、赤、紫の順で高くなるように設定されている。また、確変大当たりのデータテーブルにおける抽選確率は、青、紫、赤の順で高くなるように設定されている。
【0076】
以上のことから、赤の図柄でリーチとなった場合に、青や紫の図柄より大当たりとなる可能性が高く、かつ、大当たりとなった場合に確変となる可能性が高い。
また、紫の図柄でリーチとなった場合には、赤の場合よりも大当たりとなる可能性が低く、また、大当たりとなった場合に確変大当たりとなる確率が低くなる。
さらに、青の図柄でリーチとなった場合には、紫の場合よりも大当たりとなる可能性が低く、また、大当たりとなった場合に確変大当たりとなる確率が低くなる。
【0077】
この遊技機においては、例えば、赤の3や7で大当たりなった場合でも、必ずしも確変大当たりでない場合がある。また、この遊技機では、通常大当たりの大当たり後に例えば変動表示ゲーム100回分程度の時短状態が発生し、確変大当たりの場合に、時短状態の期間と同じ変動表示ゲーム(100回分程度)が実行されることで、確変大当たりが終了するようになっている。これにより、確変状態か時短状態かが遊技者に分かり難い状態となっている。
【0078】
リーチになるか否かを演出表示する特定演出は、図4の(a)に示すように、前回の変動表示ゲームの終了後に、前回の変動表示ゲームの停止図柄が表示された状態で、変動表示ゲーム開始時に、(b)に示すように、上述の表示画面の三箇所(所定の二箇所になる左右と、残りの一箇所になる中)で停止表示されている3つの図柄が切り裂かれる。この際に中の図柄が上下にスクロールする変動表示を開始するとともに、左右の図柄は揺れるように変動表示する。この際に左右の図柄は、揺れるだけで、上述の停止図柄がそのまま表示された状態となる。
【0079】
次に(c)から(e)に示すように、左右の二箇所では、切り裂かれた図柄が上下2つに分かれるとともに、分かれた上下の図柄に間隔が開く。この際に、上下に分かれるとともに揺れている図柄の間から別の図柄が見え隠れする。上下に分かれた前回の停止図柄の間から見える図柄は、左右で同じ図柄となっておりリーチ図柄となっている。この状態で、前回の変動表示ゲームの停止図柄と、上述のリーチ図柄の一部とが同時に表示された状態となる。
【0080】
リーチ図柄は、遊技者に図柄の種類を認識できる程度に少なくとも数字部分が表示される。
次に、変動パターンがはずれの場合には、上下に分かれた前回の停止図柄が再び1つに接続された状態となることで、リーチ図柄が隠されるとともに、揺れた変動表示の状態から左右の図柄が停止した状態となり、これによりはずれが確定する。次に、(f)に示すように、中の図柄も停止表示され変動表示が終了し、変動表示ゲームのはずれがはずれとなる。
【0081】
また、変動パターンがはずれもしくは当たりのリーチの場合には、(g)に示すように、上下に分かれた前回の停止図柄がさらに上下に離れて消え、リーチ図柄だけが表示される。その後、リーチ図柄の揺れがとまり停止表示となる。なお、表示画面の中央では未だ図柄が変動表示されている。この状態でリーチ確定となる。
ノーマルリーチの場合には、次に、表示画面の中央の図柄が停止表示され、変動表示が終了する。
【0082】
スーパーリーチの場合には、表示画面の左右でリーチ図柄が停止表示され、中央で図柄が変動表示された状態で、スーパーリーチの演出に移行し、変動表示ゲームがさらに続くことになる。
このような特定演出においては、次の条件がある。すなわち、特定演出を行う場合には、前回の変動表示ゲームがリーチ(はずれおよび大当りの場合を含む)でないリーチでないことが条件となり、前回の変動表示ゲームがリーチとなった場合には、その次の変動表示ゲームで特定演出は行われない。
【0083】
前回の変動表示ゲームがリーチの場合には、前回の変動表示ゲームの表示画面の左右に表示される停止図柄が同じ図柄となっており、そのまま停止表示されればリーチとなる。また、上述のように上下に分かれた前回の停止図柄の間から見える図柄は、左右で同じリーチ図柄となる。
【0084】
したがって、上述のように左右の図柄が前回の停止図柄のまま停止表示されてもリーチとなり、前回の停止図柄が消えてその後に隠れていたリーチ図柄だけが停止表示されてもリーチとなり、必ずリーチとなる演出であり、リーチとなるか否かの演出ではなくなってしまう。この遊技機の特定演出は、リーチとなるか否かを演出し、リーチとなるかもしれないと遊技者のリーチに対する期待感を高めるための演出であり、変動表示ゲームを開始して直ぐにリーチ確定となってしまう演出を混在させると、遊技者に分かり難い演出となってしまう。
【0085】
また、リーチ確定の演出となることから、変動パターンがリーチの変動パターンでないとこのような演出を行うことができず、変動パターンがリーチでない場合にこのような演出を行った場合には、この演出後に右側の図柄を滑らすようにスクロール移動させるなどの表示演出を行ってリーチ以外の停止図柄とする必要があり、遊技者の期待感を削ぐとともに、煩雑で遊技者に分かり難い演出となる。
【0086】
また、特定演出の他の条件は、記憶された停止図柄、すなわち、左右の第1停止図柄および第2停止図柄が、これら第1停止図柄および第2停止図柄と同時に表示されるリーチ図柄とが異なる図柄であることである。
この場合に、上述のように特定演出は前回の変動表示ゲームがリーチとなる場合に行われないので、前回の左右の第1停止図柄および第2停止図柄は、互いに異なる図柄となる。
【0087】
これらの第1停止図柄および第2停止図柄とのうちの一方の前回の停止図柄と、これらの裏に配置される表示が行われるリーチ図柄とが一致する場合に、可変表示装置3の表示画面の右もしくは左で、同じ図柄が同時に表示された状態となる。例えば。前回の右の第2停止図柄が8で、リーチ図柄が8である場合に、8の図柄を上下に分割するとともに、分割された8の図柄の間から8の図柄が見えることになり、一方の8が停止表示されればはずれで、他方の8が停止表示されればリーチ確定となる。同じ数字の図柄なのにどちらが停止表示されるかで結果が異なることになることから遊技者に分かり難い演出となってしまう。
そこで、上述のように、この遊技機においては、特定演出において、前回の停止図柄とリーチ図柄とが異なるものとなるように制御されている。
【0088】
ここで、上述のようにリーチの場合に図柄の色が抽選で決定されるようになっており、特定演出となる変動表示ゲームにおいても、リーチ図柄の色が抽選で決定される。また、特定演出の場合には、前回の停止図柄と同時に表示されたリーチ図柄が停止表示されてリーチとなる場合と、前回の停止図柄がそのまま停止表示されてリーチとならない場合とがあり、リーチ図柄が表示されても必ずリーチとなるものではない。
【0089】
しかし、特定演出の場合には、リーチとならない場合でも、リーチ図柄の色を抽選で選択するようになっている。この場合に、はずれとなる場合と、通常大当たりとなる場合と、確変大当たりとなる場合とで上述のように各色の抽選確率が異なるものとされる。また、この特定演出においては、はずれとなる場合が、リーチとならずにはずれとなる場合(変動パターンがリーチでない場合)と、リーチとなってはずれとなる場合(変動パターンがリーチのはずれの場合)とで、抽選確率を代えており、リーチとならない場合の方が、リーチとなる場合と比較して、青となる抽選確率が高く、それに対して紫および赤となる抽選確率が低くなっている。
【0090】
たとえば、青の2の図柄がリーチ図柄として、停止図柄と同時に表示された場合よりも、赤の3の図柄がリーチ図柄として表示された方が、特定演出の最後でリーチ確定となり易いことになる。したがって、遊技者は、特定演出の際に、大当たりとなるか、確変となるかだけではなく、リーチとなるか否かを推測するためにリーチ図柄の色を注視することになる。
【0091】
ここで、リーチ図柄の色として青が選択された場合に、図3に示すように青い図柄には、2,4,6,8の4種類の数字の図柄がある。一方、図柄制御装置23のRAM等に記憶される前回の変動表示ゲームの停止図柄は、2つ(2種類)であり、両方の停止図柄が青い図柄の場合に、リーチ図柄として使える図柄は、4種類の数字に対応した4種の図柄から2種の図柄を除いた残りの2種の図柄となる。例えば、記憶される第1停止図柄が2で第2停止図柄が8の場合に、残りの青色の図柄は、4,6となり、リーチ図柄は、残された4,6の図柄からランダムに1つの図柄が決定される。なお、残りの二種の図柄から1つの図柄をランダムに選択する場合に、上述の乱数を用いた抽選を行ってもよいし、プログラム上でランダムに選択するものとしてもよいし、ランダムに選択される方法ならばどのような方法であってもよい。
【0092】
また、前回の停止図柄に青い図柄が無い場合には、4種類の青い図柄全てから一種類の青い図柄をリーチ図柄としてランダムに選択することになり、前回の停止図柄に青い図柄が1つだけある場合には、4種類の青い図柄から前回の停止図柄にある一種類の青い図柄を除いた3種類の青い図柄から一種類の青い図柄をリーチ図柄としてランダムに選択することになる。
【0093】
ここで、リーチ図柄の色として紫が選択された場合に、図3に示すように紫の図柄には、1,5,9の3種類の数字の図柄がある。一方、上述のように前回の停止図柄は、2つ(2種類)であり、両方の停止図柄が紫の図柄の場合に、リーチ図柄として使える図柄は、3種類の数字に対応した3種の図柄から2種の図柄を除いた残りの一種の図柄となる。例えば、記憶される第1停止図柄が1で第2停止図柄が9の場合に、残りの紫の図柄は、5となり、1つの図柄が決定される。すなわち、選択された図柄の色が紫の場合に、紫の図柄が3種類しかないので、2つの停止図柄が両方紫の図柄になると、リーチ図柄として使用可能な図柄が一種類となり、リーチ図柄となる図柄の種類が一種類の図柄に決定される。
【0094】
また、前回の停止図柄に紫の図柄が無い場合には、3種類の紫の図柄全てから一種類の紫の図柄をリーチ図柄としてランダムに選択することになり、前回の停止図柄に紫の図柄が1つだけある場合には、3種類の紫の図柄から前回の停止図柄にある一種類の紫の図柄を除いた2種類の紫の図柄から一種類の紫の図柄をリーチ図柄としてランダムに選択することになる。
【0095】
ここで、リーチ図柄の色として赤が選択された場合に、図3に示すように赤い図柄には、3,7の2種類の数字の図柄がある。一方、上述のように前回の停止図柄は、2つ(2種類)であり、両方の停止図柄が赤い図柄の場合に、リーチ図柄として使える図柄が無くなってしまう。
そこで、変動表示ゲームでは、リーチにならないはずれの場合に、右の第2停止図柄に赤い図柄である3と7の図柄が表示されないようにしている。変動表示ゲームの停止図柄は、大当たりかはずれかと、はずれの場合に変動パターンがリーチの変動パターンか否かと、当たりの場合の大当たりの種類とにより決定される。なお、リーチとならないはずれの場合には、第1停止図柄と第2停止図柄とが異なる図柄とされ、リーチとなるはずれの場合には、第1停止図柄と第2停止図柄とが同じ図柄で、この図柄と第3停止図柄が異なるものとされ、大当たりの場合には、全ての停止図柄が同じ図柄とされる。
上述の条件を満たした状態で、各図柄は例えば、抽選により決定される。この際にリーチとなる場合(大当りの場合を含む)には、上述のような抽選確率で抽選が行われる。
この抽選で選択される第3停止図柄として、リーチとならないはずれの場合に、3と7の図柄を用いず、残りの1,2,4,5,6,8,9の図柄から第3停止図柄が選択されるようになっている。
これにより、前回の停止図柄となる可能性の赤い図柄は、3の図柄か7の図柄の一方となる。この場合には、赤い図柄が2種類しかないので、停止図柄(第1停止図柄)に赤の3図柄があれば、リーチ図柄は、7の図柄に決定され、停止図柄に赤の7の図柄があれば、リーチ図柄は、3の図柄に決定される。
また、前回の停止図柄に赤い図柄が無い場合には、2種類の赤い図柄全てから一種類の赤い図柄をリーチ図柄としてランダムに選択することになる。
【0096】
次に、変動表示ゲームを開始する際に図柄制御装置23で行われ、特定演出を行うか否かを決定する変動表示ゲーム開始処理を図5のフローチャートを参照して説明する。なお、図柄制御装置23は、特定演出を行うか否かを決定する特定演出決定手段として機能し、また前回の変動表示ゲームの所定の二箇所で停止表示される図柄を記憶する停止図柄記憶手段として機能し、また特定演出で用いられるリーチ図柄を選択するリーチ図柄選択手段として機能し、さらに特定演出を表示制御する特定演出表示制御手段として機能する。
【0097】
この変動表示ゲーム開始処理は、変動表示ゲームが開始される度に図柄制御装置23で行われる処理であり、主制御装置14から図柄制御装置23に変動表示ゲームの開始を指示する変動表示ゲーム開始コマンドが入力された際に行われる。
したがって、最初に主制御装置14から図柄制御装置23に変動表示ゲーム開始コマンドが入力されたか否かが判定され(ステップS1)、入力されていない場合に処理を終了する。すなわち、開始コマンドを待機する状態となっている。
【0098】
開始コマンドが入力されている場合には、開始コマンドと略同時に主制御装置14から図柄制御装置23に入力される大当たりおよびはずれのデータと、変動パターンのデータと、大当たりの場合の大当たり種類のデータが入力される(ステップS2)。
【0099】
上述の各データから変動表示ゲームの表示内容が決定されることになるが、この際に上述のように停止図柄を決定しており、決定された停止図柄を記憶する。なお、停止図柄により、大当たりとはずれ、はずれの場合にリーチとなるか否か等が分かることになり、リーチとなるか否かの情報も含まれる。なお、ここでは、特定演出のリーチ図柄を別のステップで決定しているが、この段階でリーチ図柄を決定するものとしてもよい。
【0100】
これらの停止図柄の情報は、図柄制御装置23のRAMに記憶され(ステップS3)、次回の変動表示ゲームで使用される。現状では、前回の変動表示ゲームの停止図柄が記憶された状態となっており、前回の変動表示ゲームの停止図柄のデータが後述のように用いられる。
【0101】
次に、前回の変動表示ゲームがリーチか否かを、前回の変動表示ゲームの記憶されている停止図柄(記憶図柄)から判定する(ステップS4)。前回の変動表示ゲームがリーチだった場合には、変動表示ゲーム開始時に特定演出を行わない、特定演出なしの変動表示ゲームの表示制御を開始し(ステップS5)、処理を終了する。
【0102】
前回の変動表示ゲームがリーチでない場合には、特定演出を行うか否かの特定演出抽選が行われる(ステップS6)。ここで、全ての変動パターンに対して特定演出抽選が行われるわけではなく、特定演出が行われる時間以上の変動表示時間、すなわち、図柄を変動表示する時間が設定されている変動パターンの場合にだけ、特定演出抽選が行われる。すなわち、例えば、特定演出が10秒間行われる場合に、変動表示時間が10秒より長い変動パターンの場合にだけ、特定演出抽選が行われる。
【0103】
また、特定演出抽選においては、リーチとならないはずれの場合、リーチとなるはずれの場合、必ずリーチとなる大当たりの場合(2ラウンド大当りを除く)とで、特定演出抽選の抽選確率を異なるものとしてもよく。リーチとならない場合よりリーチとなる場合に特定演出が発生しやすい設定としてもよい。
【0104】
特定演出抽選を行った後に特定演出抽選に当選したか否かを判定する(ステップS7)。
特定演出抽選に当選しなかった場合には、ステップS5に移行して、特定演出なしの変動表示ゲームの表示制御を開始して処理を終了する。
特定演出抽選に当選した場合には、可変表示装置3の表示画面の所定の2箇所(左:右)で前回の変動表示ゲームの停止図柄と同時に表示されるリーチ図柄の色を上述のように抽選で決定する(ステップS8)。
【0105】
次に、上述の図柄の色の抽選で赤が選択されたか否かを判定する(ステップS9)。赤の場合には、上述のように、前回の停止図柄と数字が同じとならないようにリーチ図柄となる図柄の数字を3,7から決定する(ステップS10)。
【0106】
選択された図柄の色が赤でない場合には、図柄の色の抽選で、紫が選択されたか否かを判定する(ステップS11)
紫の図柄が抽選された場合には、上述のように、前回の停止図柄と数字が同じとならないようにリーチ図柄となる図柄の数字を1,5,9から1つの数字の図柄を決定する(ステップS12)。
青の図柄が抽選された場合には、上述のように、前回の停止図柄と数字が同じとならないよういリーチ図柄として2,4,6,8から1つの数字の図柄を決定する(ステップS13)。
【0107】
リーチ図柄が決定した場合に、特定演出で上述のように上下に切り裂かれる図柄の後に見えるリーチ図柄に、決定された図柄を設定する(ステップS14)。
【0108】
次に変動パターンがリーチか否かが判定され(ステップS15)、リーチの変動パターンの場合にリーチとなるか否かの特定演出を行うとともに特定演出でリーチ確定となる変動表示ゲームの表示制御を開始し(ステップS16)、処理を終了する。
また、リーチとならない変動パターンの場合に、リーチとなるか否かの特定演出を行うとともに、特定演出でリーチとならない変動表示ゲームの表示制御を開始し(ステップS17)、処理を終了する。
【0109】
この遊技機にあっては、変動表示ゲーム開始時にリーチになるか否かを演出する特定演出を行う場合に、可変表示装置3の表示画面のリーチ時に図柄が停止表示される所定の二箇所で、前回の変動表示ゲームの停止図柄と、リーチ確定となるリーチ図柄とが同時に表示される演出が行われる。これにより、遊技者に対しては、変動表示ゲーム開始時に前回の停止図柄と、リーチ図柄とを用いた印象的な演出により、リーチへの期待感が大きくなることで変動表示ゲームへの興趣を高めることができる。
さらに、リーチが確定する場合に、前回の停止図柄からいきなりリーチ図柄で、リーチ確定となることで、遊技者に大きなインパクトを与える演出とすることができる。
【0110】
また、このような印象的な特定演出において、前回の変動表示ゲームがリーチとなるものであった場合に、特定演出を行わない設定することによって、前回の停止図柄がリーチとなる図柄である場合に、この停止図柄と同時に表示されるリーチ図柄がリーチとなる図柄であることから、リーチとなる図柄同士が競う状態となる分かり難い演出を回避し、遊技者に分かり易い演出とすることができる。
また、前回の停止図柄とリーチ図柄とを必ず違う図柄とすることにより、表示画面の所定の二箇所のうちの1箇所で、停止図柄とリーチ図柄が同時に表示される際に、同じ図柄が表示され、同じ図柄が競うような状態となるのを防止することができる。
【0111】
ここで、リーチ演出等において、最後に停止表示される複数種類の図柄同士が競い、一方の図柄が消えて他方の図柄が残るような演出が行われるが、この場合には、たとえば、大当たり確定となる図柄と、その前に変動表示される図柄、もしくはその後に変動表示される図柄とが同時に表示されて競う状態となる。したがって、同時に表示されて競い合う図柄は、必ず異なる図柄となる。
【0112】
それに対して、この遊技機では、競い合う停止図柄が複数種類(2種類)あり、リーチ図柄が全て同じ図柄で一種類となるので、順番に並んだ図柄の前後で隣り合う図柄同士が同時に表示されて競うような演出表示を行う状態とならない。すなわち、一方の前回の停止図柄に対して、リーチ図柄を図柄の順番上で隣り合う組み合わせとした場合に、他方の前回の停止図柄に対してリーチ図柄が、図柄の順番で隣り合う組み合わせとならない可能性が高い。
これにより、前回の停止図柄とリーチ図柄とが同じとなる可能性があり、上述のように前回の停止図柄とリーチ図柄とを異なるようにする処理を行うことで、特定演出を遊技者に分かり易いものとすることができる。
【0113】
なお、上述の特定演出では、表示画面の所定の二箇所において、前回の変動表示ゲームで停止して記憶された停止図柄(記憶図柄)と、リーチとなるリーチ図柄とを同時に表示するに際して、停止図柄を切り裂いて上下に分裂させることで、その裏側のリーチ図柄を見せる演出としたが、前回の停止図柄とリーチ図柄とが同時に表示される演出ならばどのような演出であってもよい。例えば、前回の停止図柄とリーチ図柄とが競い合う(戦う)ような演出であってもよいし、停止図柄が透明になってリーチ図柄が透けてみえるような演出であってもよいし、停止図柄とリーチ図柄とが互いに移動することで、リーチ図柄が見えるような演出であってもよい。
【0114】
以上、本発明者によってなされた発明を適用した実施の形態について説明したが、この実施の形態による本発明の開示の一部をなす論述および図面により本発明は限定されることはない。すなわち、この実施の形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施の形態、実施例および運用技術等は全て本発明の範疇に含まれることは勿論であることを付け加えておく。
【符号の説明】
【0115】
1 遊技盤
3 可変表示装置(表示装置)
14 主制御装置(抽選手段、変動パターン選択手段)
23 図柄制御装置(変動表示ゲーム表示制御手段、特定演出決定手段、停止図柄記憶手段、リーチ図柄選択手段、特定演出表示制御手段)
図1
図2
図3
図4
図5