(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記インジケーター要素は、完全に又は部分的に、磁性粒子を含有するポリマー材料で形成され、前記ポリマー材料は、空間磁場を生成する磁石を形成するように磁化されており、前記インジケーター要素はリング形とすることができる、請求項3に記載の薬剤送達システム。
複数の軸に対応する磁場を測定するための少なくとも1つのセンサー(345)を備えるセンサーアセンブリを備え、前記第1のセンサー手段は、第1の数の軸に対応する磁場を測定するように動作するセンサーアセンブリによって提供され、前記第2のセンサー手段は、より少ない第2の数の軸に対応する磁場を測定するように動作するセンサーアセンブリによって提供される、請求項5又は6に記載の記録装置。
【発明の概要】
【0007】
上記に鑑みて、本発明の目的は、吐出される薬剤の量を決定するために薬剤送達吐出機構によって生成される動きの、信頼性がありコスト効率の良い検出を可能にするコンポーネント、装置及び方法を提供することである。
【0008】
本発明の開示において、上記の目的のうちの少なくとも1つに対処するか、又は以下の開示及び例示的な実施形態の説明から明らかな目的に対処する実施形態及び態様について説明する。
【0009】
このため、本発明の第1の態様では、薬剤送達装置に着脱自在に装着される記録装置が提供される。薬剤送達装置は、薬剤容器又は薬剤容器収納手段と、吐出される薬剤の用量をユーザー側で設定可能な用量設定手段を備える薬剤吐出手段と、第1の作動状態と第2の作動状態との間で作動可能な作動手段とを備え、第1の状態では、用量が設定可能となり、第2の状態では、薬剤吐出手段が設定用量を吐出可能となる。第1の状態は通常、作動手段が初期静止状態にあることに対応し、第2の状態は通常、ユーザーが部材を押下して吐出機構を解除又は駆動することに対応する。薬剤送達装置は、連動する磁石を備えた第1のインジケーター手段を更に備える。この磁石は空間磁場を生成するように構成され、この空間磁場は、磁石の空間位置及び向き、したがって第1のインジケーター手段の空間位置及び向きに応じて外部センサー手段に対し変動する。第1のインジケーター手段は、吐出手段の動作中、回転軸に応じて回転するように構成され、回転量は吐出手段によって容器から吐出される薬剤量に対応する。第2のインジケーター手段は、第1の作動状態に対応する第1のインジケーター状態と、第2の作動状態に対応する第2のインジケーター状態との間で動作可能である。記録装置は、少なくとも2つの軸に対応する磁場を測定するように構成された少なくとも1つのセンサーを備えるセンサーアセンブリを備え、状態センサー手段は、第2のインジケーター手段が第1のインジケーター状態にあるか又は第2のインジケーター状態にあるかを検出するように構成される。例えば2つの軸に対応する磁場を測定する能力は、2つの1軸センサーの組合せによって、又は単一の2軸センサーによって提供され得る。これに応じて、例えば4つの3軸センサーを組み合わせることによって、合計12本の軸を有するセンサーアセンブリを実現することができる。実際に、より多くのセンサー軸が用いられると、検出がより正確で確実となる。記録装置は、(i)測定磁場値に基づいて第1のインジケーター手段の回転位置を求め、(ii)第1のインジケーター手段の求められた回転位置、例えば回転開始位置及び回転停止位置に基づいて吐出用量を算出するプロセッサ手段と、1回又は通常は複数回の用量を記憶して投与の記録を作成する記憶手段とを更に備える。算出される用量は、第2のインジケーター手段が第1のインジケーター状態にあることが検出されたときに求められる第1のインジケーター手段の回転位置に基づく。
【0010】
この構成によって、吐出機構が「弛緩」状態、すなわち、ユーザーが例えばボタンを押下することによって、例えば吐出機構の様々なコンポーネントが初期静止位置に戻され、伸長されていない状態にあるときに、所与の回転位置が求められることが保証される。この状態は、吐出が終了した後にユーザーが解除ボタンを押下し続ける場合に当てはまり得るが、この場合、第1のインジケーター手段は、「真の」終了位置にない場合がある。
【0011】
薬剤送達装置の第2のインジケーター手段は磁石を備えることができ、記録装置の状態センサー手段はこれに応じて磁気センサーを備えることができる。インジケーター状態の検出は、磁気センサーからの測定に基づく。状態センサー手段はセンサーアセンブリによって提供され得る。すなわち、センサーアセンブリは、第1のインジケーター手段の位置及び第2のインジケーター手段の状態の双方を検出する役割を果たす。代替的に、第2のインジケーター手段は、光学手段によって検出されるコンポーネント又は機械スイッチを作動するコンポーネントであり得る。
【0012】
上記で説明した記録装置は、上記で説明したような薬剤送達装置と組み合わせて提供され、それによって薬剤送達システムを形成することができる。
【0013】
この種のシステムにおいて、第1のインジケーター手段は、インジケーター要素であって、このインジケーター要素とともに動く磁石を備えた、インジケーター要素の形態をとることができる。この磁石は、空間磁場を生成するように構成され、この空間磁場は、磁石、したがってインジケーター要素の空間位置及び向きに応じてセンサーアセンブリに対し変動し、それによって、各センサーに対し固有に変動する空間磁場を生成する。インジケーター要素は、吐出手段の動作中に回転するように構成される。インジケーター要素は第2のインジケーター手段を更に形成し、インジケーター要素は、第1のインジケーター状態及び第2のインジケーター状態に対応する位置間で軸方向にも動くように構成される。
【0014】
例示的な実施形態では、センサーアセンブリは状態センサー手段の磁気センサーも形成する。すなわち、少なくとも2つの軸に対応する磁場を測定するように構成されたセンサーも、インジケーター要素の軸位置を検出するのに用いられる。
【0015】
インジケーター要素は、完全に又は部分的に、磁性粒子を含有するポリマー材料で形成されてもよく、ポリマー材料は、磁性空間場を生成する磁石を形成するように磁化されている。例示的な実施形態では、インジケーター要素はリング形である。
【0016】
本発明の第2の態様では、薬剤送達装置に着脱自在に装着される更なる記録装置が設けられる。薬剤送達装置は、薬剤容器又は薬剤容器収納手段と、ユーザーが吐出される薬剤の用量を設定可能な用量設定手段を備える薬剤吐出手段と、インジケーター要素であって、このインジケーター要素とともに動く磁石を備えた、インジケーター要素とを備える。この磁石は、空間磁場を生成するように構成され、この空間磁場は、磁石、したがってインジケーター要素の回転の向きに応じて外部センサー手段に対し変動する。インジケーター要素は、吐出手段の動作中、回転軸に応じて回転するように構成され、回転量は吐出手段によって容器から吐出される薬剤量に対応する。記録装置は、少なくとも2つの軸に対応する磁場を測定するための第1のセンサー手段と、磁気特性を測定するための第2のセンサー手段とを備える。記録装置は、プロセッサ手段であって、このプロセッサ手段は、(i)第1のセンサー手段からの測定値に基づいて、インジケーター要素の回転位置を求め、(ii)第2のセンサー手段からの測定値に基づいて、インジケーター要素の回転運動を求めるように構成される、プロセッサ手段と、少なくとも1つの用量を記憶して記録を作成するように構成された記憶手段とを更に備えることができる。
【0017】
この構成によって、360度よりも大きな部材の回転運動を、2つの磁石ベースのセンサーシステム、すなわち、1つは全回転の数を求め、1つは回転位置を求めるセンサーシステムを用いて求めることができ、これによって部分タスクごとに2つのシステムが最適化されることが可能になる記録装置が提供される。
【0018】
例示的な実施形態では、第1のセンサー手段は第1のサンプリング周波数を有し、第2のセンサー手段は、より高い第2のサンプリング周波数を有する。
【0019】
記録装置には、複数の軸に対応する磁場を測定するための少なくとも1つのセンサーを備えるセンサーアセンブリを設けることができる。第1のセンサー手段は、第1の数の軸に対応する磁場を測定するように動作するセンサーアセンブリによって提供され、第2のセンサー手段は、より少ない第2の数の軸に対応する磁場を測定するように動作するセンサーアセンブリによって提供される。センサーは、それぞれx方向、y方向及びz方向における磁場を測定するための3軸磁気「コンパス」センサーの形態をとることができる。例えば、4つの3軸センサーを組み合わせることによって、合計12本の軸を有するセンサーアセンブリを実現することができ、これによって、第1のセンサー手段が12個の方向の磁場を測定し、第2のセンサー手段が、例えば4方向の磁場を測定することが可能になる。実際に、より多くのセンサー軸が用いられると、推定がより正確で確実となる。
【0020】
代替的に、専用センサーによって第2のセンサー手段を提供することができる。例えば、第2のセンサーアセンブリは、単に磁気状態変化を検出するように構成されているが電力消費がより低い、少なくとも1つのGMR(巨大磁気抵抗)センサーを利用することができる。
【0021】
上記で説明した記録装置は、上記で説明した薬剤送達装置と組み合わせて提供され、それによって薬剤送達システムを形成することができる。これに応じて、インジケーター要素は、完全に又は部分的に、磁性粒子を含有するポリマー材料で形成されてもよく、ポリマー材料は、磁性空間場を生成する磁石を形成するように磁化されている。同様に、インジケーター要素はリング形であってもよい。
【0022】
上記で説明した記録装置に組み込むことができる更なる例示的な機能部(features)が以下で説明される。
【0023】
このため、本発明の更により一般的な態様では、少なくとも3つの軸に対応する磁場を測定するようにそれぞれ構成された少なくとも1つのセンサーを備えるセンサーアセンブリと、インジケーター要素であって、このインジケーター要素とともに動く磁石を備えた、インジケーター要素を備える機械アセンブリとを備えるシステムが提供される。この磁石は空間磁場を生成するように構成され、この空間磁場は、磁石、このためインジケーター要素の空間位置及び向きに応じてセンサーアセンブリに対し変動し、それによって、各センサーに対し固有に変動する空間磁場を生成する。インジケーター要素は、(i)アセンブリの動作中に回転し、(ii)アセンブリの動作中に軸方向に動くように構成される。システムは、測定値に基づいて、(i)インジケーター要素の回転位置と、(ii)インジケーター要素の軸方向位置とを求めるように構成されたプロセッサ手段を更に備える。この構成によって、単一の磁石を用いて様々な動きが検出され、これによって、小型でコスト効率の良いシステムが設計されることが可能になる。
【0024】
例示的な実施形態では、システムは薬剤送達システムの形態をとり、この薬剤送達システムにおいて、機械アセンブリは、ある量の薬剤を容器から吐出するための吐出アセンブリを形成し、吐出アセンブリは、ユーザーが吐出される薬剤の用量を設定可能な設定手段と、薬剤吐出アセンブリを解除又は駆動して、設定用量を吐出するための作動手段とを備える。インジケーター要素は、(i)アセンブリの作動動作中に、用量設定状態と吐出状態との間で軸方向に動き、(ii)薬剤の吐出中に回転するように構成される。プロセッサ手段は、設定用量の吐出中に吐出アセンブリによって容器から吐出される薬剤量に関連する特性を表すデータを取得するための電子制御取得システムの一部を形成する。特性はインジケーター要素の回転運動である。
【0025】
このようにして取得した情報を用いて、吐出用量を効果的に求めることができる。取得システムがオンにされると、例えば、キャップが取り除かれると、インジケーター要素の第1の絶対回転位置が求められ、次に、インジケーター要素が吐出位置まで軸方向に動かされるとき、及びその投与位置に戻されるときを求めることができる。インジケーター要素が投与位置に戻されることは、用量が吐出されたことを示す。次に、インジケーター要素の第2の絶対回転位置を求めることによって、吐出用量が求められることが可能になる。吐出が停止されたばかりである場合、次の作動サイクルの結果、第2の用量が求められることになる。
【0026】
実際に、インジケーター要素が2ターン以上回転し得る場合、例えば、インジケーター要素の完全なターンを検出することによって、又はカートリッジピストンに応じて軸方向に動かされる要素の軸方向の動きを検出することによって、ターン数を求めなくてはならない。カートリッジピストンの例はピストンロッド又は内容物終了(end-of-content)部材である。
【0027】
これに応じて、本発明のまた更なる一般的な態様において、少なくとも2つの軸に対応する磁場を測定するようにそれぞれ構成された少なくとも1つのセンサーを備える第1のセンサーアセンブリと、少なくとも1つの軸に対応する磁場を測定するようにそれぞれ構成された少なくとも1つのセンサーを備える第2のセンサーアセンブリとを備えるシステムが提供される。システムは、インジケーター要素であって、このインジケーター要素とともに動く磁石を備えた、インジケーター要素を備える機械アセンブリを更に備え、この磁石は空間磁場を生成するように構成され、この空間磁場は、磁石、このためインジケーター要素の空間向きに応じてセンサーアセンブリに対し変動し、それによって、各センサーに対し固有に変動する空間磁場を生成する。システムはまた、(i)第1のセンサーアセンブリからの測定値に基づいて、インジケーター要素の回転位置を求め、(ii)第2のセンサーアセンブリからの測定値に基づいて、インジケーター要素の回転運動を求めるように構成されるプロセッサ手段も備える。プロセッサ手段は、第2のセンサーアセンブリからの測定値に基づいて、インジケーター要素の完全な回転の数を求めるように構成され得る。
【0028】
第1のセンサーアセンブリは第1のサンプリング周波数を有することができ、第2のセンサーアセンブリは、より高い第2のサンプリング周波数を有することができる。この構成によって、よりエネルギー効率の良いシステムが可能になる、なぜなら、「単純な」回転は通常、例えば単一の低電力センサーを用いて測定することができるのに対し、所与の位置の正確な決定には通常、2つ以上の高電力センサーの使用が必要であるためである。
【0029】
上記で説明したシステムでは、インジケーター要素は、完全に又は部分的に、磁性粒子を含有するポリマー材料で形成されてもよく、ポリマー材料は、磁性空間場を生成する磁石を形成するように磁化されている。見てわかるように、インジケーター要素自体が磁石を形成してもよい。インジケーター要素は、所与の機械アセンブリに適した任意の設計、例えばリング形を有することができる。
【0030】
システムは薬剤送達システムの形態をとることができ、この薬剤送達システムにおいて、機械アセンブリは、ある量の薬剤を容器から吐出するための吐出アセンブリを形成し、吐出アセンブリは、(a)ユーザーが吐出される薬剤の用量を設定可能な設定手段と、(b)薬剤吐出アセンブリを解除又は駆動して、設定用量を吐出するための作動手段とを備える。プロセッサ手段は、設定用量の吐出中に吐出アセンブリによって容器から吐出される薬剤量に関連する特性を表すデータを取得するための電子制御取得システムの一部を形成する。特性はインジケーター要素の回転運動である。
【0031】
インジケーター要素の回転位置を求めるために、システムは、複数のシステムパラメーターを含むシステムの公称モデルが記憶されるメモリ手段を備えることができ、プロセッサ手段は、センサーごと及び軸ごとに、センサー測定値と公称センサー期待値との間の差を算出し、差を選択されたシステムパラメーターの偏差に変換し、システムパラメーター偏差に基づいてセンサー期待値を(例えば線形化された)補正センサー値に再調整し、センサー測定値と(線形化された)補正センサー値との間の算出された差に基づいて移動可能な要素の軸位置を求めるように構成される。本発明は、対応する方法も提供する。
【0032】
薬剤送達システムは、薬剤容器又は薬剤容器収納手段と、吐出手段と、薬剤送達装置に着脱自在に取り付け可能であり、薬剤の吐出用量の記録を作成するように構成された電子回路を備える記録装置(モジュール)とを備える薬剤送達装置を備えるアセンブリの形態をとることができる。記録モジュールは、吐出イベント中に吐出手段によって容器から吐出される薬剤の用量に関連する特性値を取得するように構成されたセンサーアセンブリと、取得された特性値に基づいて用量を求めるように構成されたプロセッサ手段とを備える。キャップは、搭載された薬剤容器の出口部分をカバーするように記録モジュールに着脱自在に取り付け可能である。
【0033】
所与の記録モジュールが結果として投与データの誤った決定をもたらすように用いられることを防ぐために、システムは、例示的な実施形態において、所与の状態の所与の記録モジュールが対応する薬剤と組み合わせて用いられることを確実にする手段を備える。
【0034】
これに応じて、記録ユニットには、薬剤送達装置上の識別子から情報を取得し、所与の識別子について記録が作成されるようにするための電子制御手段を設けられてもよい。識別子は、所与の特定のタイプの薬剤又は所与の固有の薬剤送達装置を表すことができる。識別子は、カラーマーカー、バーコード(例えば、2D)の形態又は導体素子パターンの形態をとることができる。識別子から情報を取得する手段は、識別子に対しセンサーが動く間に情報を取得するように構成されたセンサーを備えることができる。
【0035】
様々な内容物を有する薬剤送達装置を自動で識別及び認識することができる電子記録ユニットを設計することによって、製造者がより単純でよりコスト効率の良い生産を行うことが可能になり、ユーザーの安全性の向上をもたらす。
【0036】
本願の文脈において、明細書及び特許請求の範囲において用いられるとき、プロセッサという用語は、特定の機能、例えばデータの処理及び記憶、並びに全ての接続された入出力装置の制御を提供するのに適した電子回路の任意の組合せをカバーする。プロセッサは通常、少なくとも1つのCPU又はマイクロプロセッサを備えることができ、これを、サポート、記憶又は制御機能のための追加の装置で補うことができる。例えば、通信インターフェースが設けられる場合(例えば、無線)、送信機及び受信機は完全に又は部分的にプロセッサと一体に形成されてもよく、個々のユニットによって提供されてもよい。プロセッサ回路を形成するコンポーネントのそれぞれは、専用装置であってもよく、汎用装置であってもよい。表示手段という用語は、特定の機能を視覚的に提供することが可能な任意のタイプのディスプレイ、例えばLCD又はOLEDをカバーする。
【0037】
本明細書において用いられるとき、「インスリン」という用語は、液体、溶液、ゲル又は微細懸濁液等、制御された方式でカニューレ又は中空針等の送達手段を通過させることが可能であり、血糖制御効果を有する任意の薬剤を含む流動性の薬、例えばヒトインスリン及びその類似物、並びにGLP−1等の非インスリン及びその類似物を包含することが意図される。例示的な実施形態の説明では、インスリンの使用を参照する。
【0038】
以下において、図面を参照して本発明を更に説明する。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図面において、類似の構造は主に類似の参照符号によって識別される。
【0041】
以下において、「上側」及び「下側」などの用語又は同様の相対表現が用いられるとき、これらは、添付の図面のみを指し、必ずしも実際の使用状況を指すものではない。示す図は概略図であり、このため、様々な構造体の構造及びそれらの相対的な寸法は、単なる例示としての役割を果たすことが意図される。所与のコンポーネントについて、部材又は要素という用語が用いられるとき、これは通常、説明される実施形態において、そのコンポーネントがユニタリーコンポーネントであることを示すが、代替的に、同じ部材又は要素が複数のサブコンポーネントを備えてもよく、同様に、説明されるコンポーネントのうちの2つ以上が、ユニタリーコンポーネントとして提供され、例えば、単一の射出成形部として製造されてもよい。部材が互いに対し軸方向に自由に搭載されることが規定されているとき、これは概して、これらの部材が、通常、規定された停止位置間で互いに対し動かされ得ることを示し、それに対し、部材が互いに対し回転方向に自由に搭載されることが規定されているとき、これは概して、これらの部材が自由に又は規定の停止位置間で互いに対して回転され得ることを示す。「アセンブリ」及び「サブアセンブリ」という用語は、説明されるコンポーネントが、所与の組み立て手順中に、ユニタリーアセンブリ若しくはサブアセンブリ又は機能アセンブリ若しくはサブアセンブリを提供するように組み立てられ得ることを必ずしも意味しておらず、単に、複数のコンポーネントを機能的により密に関係するものとしてまとめてグループにしたものを表すのに用いられる。
【0042】
図1A及び
図1Bは、電子記録装置(又はモジュール)100が搭載されたペン形薬剤送達装置200を有する薬剤送達アセンブリ1を示す。この文脈において、装置とは、本発明の実施形態に組み合わせて用いられることが意図されるか又は本発明の態様の基礎をなすことができる装置の特殊な例を提供する「包括的な」薬剤送達装置を表す。
【0043】
より詳細には、記録モジュール100は、本体部分110と、モジュールが概ね円筒形のペン装置に搭載されることを可能にするリング形部分120とを備える。本体部分は、カートリッジから吐出される薬剤量を表す特性が検出されることを可能にする電子回路及びセンサー手段と、データをユーザーに表示するためのディスプレイ130とを備える。リング部分は、モジュールがペン本体にしっかりと正しく搭載されることを可能にする結合手段を備える。電子回路及びセンサー手段は、部分的にリング部分内に配置されてもよい。記録モジュールの例示的な実施形態を以下で
図6〜
図10を参照して説明する。
【0044】
ペン装置200は、キャップ部207と、主要部とを備え、主要部は、薬剤吐出機構が配置又は一体化されるハウジング201を有する近位本体又はドライブアセンブリ部分と、遠位に針により貫通可能な隔膜を有する、薬剤で満たされた透明カートリッジ213が、近位部分に取り付けられた取り外し不可能なカートリッジホルダーによって所定の位置に配置され保持される、遠位カートリッジホルダー部分とを有し、カートリッジホルダーは、カートリッジの一部分が検査されることを可能にする開口と、針アセンブリが着脱自在に搭載されることを可能にする遠位結合手段215と、を有する。カートリッジには、吐出機構の一部を形成するピストンロッドによって駆動されるピストンが設けられ、このカートリッジは例えば、インスリン、GLP−1又は成長ホルモン製剤を収容することができる。最も近位の回転可能な投与部材280は、表示ウィンドウ202に示される薬剤の所望の用量を手動で設定する役割を果たし、そして、この用量はボタン290が作動されると吐出され得る。薬剤送達装置において実現される吐出機構のタイプに応じて、吐出機構は、示す実施形態のようにばねを備えることができる。このばねは、用量設定中に伸張され、次に解除ボタンが作動されると、解除されてピストンロッドを駆動する。代替的に、吐出機構は完全に手動であってもよく、この場合、投与部材及び作動ボタンが、用量設定中、設定される用量に応じて近位方向に移動し、次に、設定用量を吐出するようにユーザーによって遠位方向に動かされる。
【0045】
見てわかるように、
図1は、プレフィルドタイプの薬剤送達装置を示す。すなわち、この薬剤送達装置は、予め搭載されたカートリッジを供給され、カートリッジが空になると廃棄される。代替的な実施形態では、薬剤送達装置は、装填されたカートリッジが交換されることを可能にするように設計されてもよく、例えば、カートリッジホルダーが装置の主要部分から取り除かれるようになっている「背面装填」形態をとるか、又は代替的に、カートリッジが、装置の主要部に取り外し不可能に取り付けられたカートリッジホルダー内の遠位開口を通じて挿入される、「前面装填」装置の形態をとってもよい。
【0046】
薬剤送達装置に固定され、薬剤送達装置と相互作用するように構成されたモジュール、及びそのような相互作用を可能にする薬剤送達装置に関して、本発明のより良好な理解のためにそのような装置の例示的な実施形態を説明する。
【0047】
図2は、
図1に示すペン形薬剤送達装置200の展開図を示す。より詳細には、ペンは、ウィンドウ開口202を有する管状のハウジング201を備え、その上にカートリッジホルダーが固定して搭載され、薬剤が充填されたカートリッジ213がカートリッジホルダー内に配置される。カートリッジホルダーには、針アセンブリ216が着脱自在に搭載されることを可能にする遠位結合手段215と、キャップ207がカートリッジホルダー及び搭載された針アセンブリを覆って着脱自在に搭載されることを可能にする2つの対向する突出部211の形態の近位結合手段と、ペンが例えばテーブル上で転がることを防ぐ突出部212とが設けられる。ハウジング遠位端において、中央ねじ穴226を備えるナット要素225が固定して搭載され、ハウジング近位端において、中央開口を有するばね基材208が固定して搭載される。駆動システムは、2つの対向する長手方向の溝を有し、ナット要素ねじ穴内に受けられるねじ切りされたピストンロッド220と、ハウジング内に回転可能に配置されるリング形ピストンロッド駆動要素230と、駆動要素と回転係合する(以下を参照)リング形クラッチ要素240とを備え、係合によって、クラッチ要素の軸方向の移動が可能になる。クラッチ要素には、ハウジング内面において対応するスプライン204(
図4Bを参照)に係合するように構成された外側スプライン要素241が設けられ、これによって、クラッチ要素が、スプラインが係合している、回転方向にロックされた近位位置と、スプラインが係合していない、回転方向に自由な遠位位置との間で動かされることが可能になる。今述べたように、双方の位置において、クラッチ要素は駆動要素に回転方向にロックされている。駆動要素は、ピストンロッド上の溝に係合した2つの対向する突出部231を有する中央穴を備え、それによって、駆動要素の回転の結果として回転が生じ、それにより、ピストンロッドとナット要素との間の螺合に起因してピストンロッドの遠位方向への軸方向の移動が生じる。駆動要素は、ハウジング内面に配置された対応するラチェット歯205に係合するように構成された、円周方向に延在する一対の対向する可撓性のラチェットアーム235を更に備える。駆動要素及びクラッチ要素は、これらを合わせて回転方向にロックするが、クラッチ要素が軸方向に動かされることを可能にする、協働する結合構造体を備え、これによってクラッチ要素がその遠位位置まで軸方向に動かされることを可能にし、この遠位位置においてクラッチ要素は回転することを可能にされ、それによって、ダイアルシステム(以下を参照)から駆動システムへ回転運動を伝達する。クラッチ要素と、駆動要素と、ハウジングとの間の相互作用が示され、
図4A及び
図4Bを参照して詳細に説明される。
【0048】
ピストンロッドにおいて、内容物終了(EOC)部材228がねじ込みにより搭載され、遠位端において、ワッシャー227が回転可能に搭載される。内容物終了部材は、リセット管(以下を参照)に係合するための、一対の対向する径方向の突起229を備える。
【0049】
ダイアルシステムは、ラチェット管250と、リセット管260と、用量の数字の列が外側にらせん状に配列されたスケールドラム270と、吐出される薬剤の用量を設定するためのユーザー操作式ダイアル部材280と、解除ボタン290と、トルクばね255(
図3を参照)とを備える。リセット管はラチェット管内に軸方向にロックされて搭載されるが、数度回転することを可能にされる(以下を参照)。リセット管は、その内面に、内容物終了部材の放射状突起229に係合するように構成された2つの対向する長手方向の溝269を備え、それによって内容物終了部材はリセット管によって回転され得るが、軸方向に動くことを可能にされる。ラチェット管250の外側の遠位端部分上に軸方向にロックされてクラッチ要素が搭載される。これにより、ラチェット管はクラッチ要素を介して、ハウジングと軸方向に回転係合されるように、また回転係合を解除されるように、軸方向に動かされ得る。ハウジングの近位端に、軸方向にロックされるが回転方向に自由にダイアル部材280が搭載される。ダイアルリングは通常動作時はリセット管に回転方向にロックされ(以下を参照)、それによって、ダイアルリングの回転の結果として、リセット管の対応する回転が生じ、それによってラチェット管の対応する回転が生じる。解除ボタン290は、リセット管に対し軸方向にロックされるが、自由に回転する。戻りばね295が、ボタン及びそこに搭載されるリセット管に対し近位方向の力を与える。スケールドラム270は、ラチェット管とハウジングとの間の円周空間内に配置される。このドラムは、協働する長手方向のスプライン251、271を介してラチェット管に対し回転可能にロックされ、協働するねじ構造203、273を介してハウジングの内面に回転螺合し、それによって、ラチェット管によってドラムがハウジングに対して回転されるとき、数字の列がハウジングのウィンドウ開口203を通過する。トルクばねは、ラチェット管とリセット管との間の円周空間内に配置され、その近位端においてばね基材208に固定され、その遠位端においてラチェット管に固定され、それによって、ラチェット管がダイアル部材の回転によってハウジングに対し回転されるとき、ばねが伸張される。可撓性のラチェットアーム252を有するラチェット機構がラチェット管とクラッチ要素との間に設けられる。クラッチ要素には内周歯構造242が設けられ、各歯は、ラチェット係止部を提供し、用量が設定されたときにユーザーによってリセット管を介して回転される位置にラチェット管が保持されるようにする。設定用量を低減することを可能にするために、リセット管にラチェット解除機構262が設けられ、ラチェット管に対し作用する。これによって、ダイアル部材を反対方向に回すことによって、設定用量を少なくとも1つのラチェットインクリメント分低減することが可能になる。解除機構は、リセット管がラチェット管に対し上記で説明した数度回転されたときに作動される。
【0050】
吐出機構の様々なコンポーネント及びそれらの機能的関係について説明してきたが、次に、主に
図3A及び
図3Bを参照して機構の動作を説明する。
【0051】
ペン機構は、2つの相互作用するシステム、すなわち投与システム及びダイアルシステムとみなすことができる。これについては上記で説明した通りである。用量設定中、ダイアル機構は回転し、トーションばねに荷重がかかる。投与機構はハウジングにロックされ、動くことができない。プッシュボタンが押下されると、投与機構はハウジングから解除され、ダイアルシステムへの係合に起因して、ここでトーションばねはダイアルシステムを開始位置に戻すように回転させ、これと共に投与システムを回転させる。
【0052】
投与機構の中央部分はピストンロッド220であり、プランジャーの実際の変位はピストンロッドによって行われる。用量の送達中、ピストンロッドは駆動要素230によって回転され、ハウジングに固定されたナット要素225とのねじによる相互作用に起因して、ピストンロッドは遠位方向に前方に動く。ゴム製ピストンとピストンロッドとの間に、回転ピストンロッドのための軸方向ベアリングとしての役割を果たすピストンワッシャー227が設置され、ゴム製ピストンにかかる圧力を均一にする。ピストンロッドは非円形の断面を有し、この断面においてピストンロッド駆動要素がピストンロッドに係合するので、駆動要素はピストンロッドに対し回転方向にロックされるが、ピストンロッド軸に沿って自由に移動する。したがって、駆動要素の回転の結果として、ピストンの線形の前方移動が生じる。駆動要素には、駆動要素が(プッシュボタン側から見て)時計回りに回転することを阻止する小さなラチェットアーム234が設けられる。駆動要素との係合に起因して、このためピストンロッドは前方にしか移動することができない。用量の送達中、駆動要素は半時計回りに回転し、ラチェットアーム235は、ラチェット歯205との係合に起因して小さなクリック音、例えば吐出されるインスリン1単位あたり1クリック音をユーザーに与えることができる。
【0053】
ダイアルシステムを参照すると、ダイアル部材280を回すことによって用量が設定及びリセットされる。ダイアルを回すとき、リセット管260、内容物終了部材228、ラチェット管250及びスケールドラム270は全てダイアルと共に回る。ラチェット管はトルクばね255の遠位端に接続されているので、ばねに荷重がかかる。用量設定中、ラチェットのアーム252は、クラッチ要素の内側歯構造242との相互作用に起因して、ダイアルされる単位ごとにダイアルクリックを行う。示す実施形態では、クラッチ要素には、ハウジングに対する360度の全回転について24個のクリック音(インクリメント)を与える24個のラチェット係止部が設けられる。ばねは、組み立て中に予め荷重をかけられ、これによって、機構が受容可能な速度間隔内で小さな用量及び大きな用量の双方を送達することが可能になる。スケールドラムはラチェット管と回転方向に係合するが、軸方向に移動可能であり、スケールドラムはハウジングと螺合しているので、スケールドラムは、ダイアルシステムが回されると、らせん状パターンで動き、設定用量に対応する数がハウジングウィンドウ202内に示される。
【0054】
ラチェット管とクラッチ要素240との間のラチェット252、242によって、ばねが部品を逆に回すことが防がれる。リセット中、リセット管がラチェットアーム252を動かし、それによってラチェットを1クリックずつ解除する。説明される実施形態では、1つのクリックはインスリンの1単位IUに対応する。より詳細には、ダイアル部材が時計回りに回されると、リセット管は単にラチェット管を回転させ、ラチェットのアームがクラッチ要素の歯構造242と自由に相互作用することを可能にする。ダイアル部材が反時計回りに回されると、リセット管はラチェットクリックアームと直接相互作用して、クリックアームをクラッチの歯から離れたペンの中央部に向かって進め、これによって、ラチェットのクリックアームが、荷重をかけられたばねによって生じるトルクに起因して「1クリック」後方に動くことを可能にする。
【0055】
設定用量を送達するために、
図3Bに示すように、ユーザーによってプッシュボタン290が遠位方向に押し込まれる。リセット管260はダイアル部材から切り離され、その後、クラッチ要素240がハウジングスプライン204を切り離す。ここで、ダイアル機構は駆動要素230と共に「ゼロ」に戻り、これによって薬剤の用量が吐出される。薬剤送達中の任意の時点でプッシュボタンを解除するか又は押すことによって、任意の時点で投与を停止及び開始することが可能である。5IU未満の投与は通常、中断することができない。なぜなら、ゴム製ピストンは非常に迅速に圧縮され、ゴム製ピストンの圧縮をもたらし、その後、ピストンが元の寸法に戻るときにインスリンの送達をもたらすためである。
【0056】
内容物終了機能は、ユーザーがカートリッジ内に残っているよりも多くの用量を設定することを防ぐ。内容物終了部材228は、リセット管に対し回転方向にロックされている。これによって、用量の設定、リセット及び用量の送達中に内容物終了部材が回転し、この間、内容物終了部材はピストンロッドのねじに従って軸方向に前後に動くことができる。内容物終了部材がピストンロッドの近位端に到達すると、係止が与えられ、これによって、ダイアル部材を含む全ての連結された部品が用量設定方向に更に回転されることを防ぐ。すなわち、ここで設定用量はカートリッジ内の残りの薬剤内容量に対応する。
【0057】
スケールドラム270には、ハウジング内面の対応する係止面に係合するように構成された遠位係止面が設けられる。これによって、スケールドラムが、ダイアル部材を含む全ての連結された部品が用量設定方向に更に回転されることを防ぐための最大用量係止を提供する。示す実施形態では、最大用量は80IUに設定される。これに応じて、スケールドラムには、ばねに基材において対応する係止面に係合するように構成された近位係止面が設けられる。これによって、ダイアル部材を含む全ての連結された部品が、用量吐出方向に更に回転されることを防ぎ、それによって吐出機構全体に「ゼロ」係止を提供する。
【0058】
ダイアル機構において何らかの故障が生じ、スケールドラムがそのゼロ位置を超えて動くことが可能になった場合の誤った過剰投薬を防ぐために、内容物終了部材はセキュリティシステムを提供する役割を果たす。より詳細には、フルカートリッジを有する初期状態において、内容物終了部材は、駆動要素と接触して最も遠位の軸位置に位置決めされる。所与の用量が吐出された後、内容物終了部材は再び駆動要素と接触して位置決めされる。これに応じて、内容物終了部材は、機構がゼロ位置を超えて用量を送達しようとする場合に、駆動要素に対しロックをかける。機構の様々な部品の耐性及び可撓性に起因して、内容物終了部材は短い距離進み、薬剤の僅かな「過剰用量」、例えば3〜5IUのインスリンが吐出されることを可能にする。
【0059】
吐出機構は、吐出用量の終了時に、薬剤の全量が吐出されたことをユーザーに通知する別個のフィードバックを与える投与終了(EOD)クリック音機能部を更に備える。より詳細には、投与終了機能は、ばね基部とスケールドラムとの間の相互作用によって成される。スケールドラムがゼロに戻ると、前進するスケールドラムによって、ばね基部の小さなクリックアーム206が後方に進められる。「ゼロ」の直前でアームは解除され、アームはスケールドラムの皿頭表面を打つ。
【0060】
示す機構には、ダイアル部材を介してユーザーによって加えられる過負荷から機構を保護するために、トルクリミッターが更に設けられる。この機能部は、上記で説明したように互いに対し回転方向にロックされたダイアル部材とリセット管との間の境界部によって提供される。より詳細には、ダイアル部材には、リセット管の可撓性の保持部261上に配置された複数の対応する歯に係合する円周状の内側歯構造281が設けられる。リセット管の歯は、所与の指定の最大サイズ、例えば150Nmm〜300Nmmのトルクを伝達するように設計され、この上方に可撓性の保持部及び歯が内側に屈曲し、ダイアル機構の残り部分を回転させることなくダイアル部材を回す。このため、ペンの内部の機構は、トルクリミッターが歯を通じて伝達するよりも高い負荷で応力をかけられ得ない。
【0061】
図4Aにおいて、クラッチ要素、駆動要素及びハウジング(一部)が用量設定状態で示されおり、
図4Bにおいて、同じコンポーネントが吐出状態で示されている。見てわかるように、駆動要素が配置されるピストンロッド及びクラッチ要素が搭載されるラチェット管は示されていない。ハウジングの内面に設けられる構造をより良く示すために、
図4Cは、ハウジング201内に配置される部分的なクラッチ要素240を示す。
【0062】
ハウジング201の内面は、それぞれ鋭い遠位端209を有する、内部に突出する軸方向に向けられたスプライン要素204の円周状のリング形アレイと、一方向ラチェット歯205の円周状のリング形アレイとを備える。この内面は、スケールドラム270においてらせん形雌ねじ273に係合するように構成されたらせん形雄ねじ203を更に備える。ナット要素225に係合し、ナット要素255を搭載するための遠位の円周状の溝が形成される。クラッチ要素240は、ラチェットアーム252をラチェット管250に係合するように構成されたラチェット歯242の内周リング形アレイと、ハウジングのスプライン要素204に係合するように構成された軸方向に向けられたスプライン要素241の外周リング形アレイと、駆動要素内の結合スロット(以下を参照)とを備え、各スプラインは鋭い近位端243を有する。駆動要素230は、一対の対向する結合部分を備え、これらの結合部分はそれぞれ、2つの近位方向に延在するスカート部分232を備え、これらのスカート部分の間に、軸方向に延在する結合スロット233が形成され、このスロットは、クラッチ要素のスプライン要素の一部分に係合するように構成される。このようにして、係合面は、吐出状態において、クラッチ要素から駆動要素に回転力、したがってトルクを伝達する役割を果たす。駆動要素は、一方向ラチェット歯205のリング形アレイに係合するように構成された、一対の対向する円周状に延在する可撓性のラチェットアームを更に備える。用量送達中、駆動要素は反時計回りに回転し、ラチェットアーム235はまた、ラチェット歯205との係合に起因する小さなクリック音、例えば吐出されるインスリンの1単位あたり1クリック音をユーザーに与える。示す実施形態では、インスリンの1単位あたり15度の回転に対応する24個のラチェット歯が設けられる。駆動要素の中央穴は、ピストンロッド上の軸方向に向けられた溝と係合するように構成された2つの対向する突出部231を備える。
【0063】
図4Aに示す用量設定状態において、クラッチ要素のスプライン要素241がハウジングのスプライン要素204と係合され、それによってハウジングに対しクラッチ要素を回転方向にロックする。
図4A図から見てとることができるように、クラッチスプライン要素のグループは、僅かな回転方向の遊びを有して対応するスロット内に受けられている。
図4Bに示す吐出状態において、クラッチ要素のスプライン要素241は、ハウジングのスプライン要素204との係合を解かれ遠位方向に動かされ、それによって、ハウジングに対してクラッチ要素が回転することが可能になる。
図4Bから見てとることができるように、このとき、クラッチスプライン要素のグループは、回転方向の遊びなしで対応する結合スロット内に受けられている。
【0064】
用量が吐出されたばかりのとき、クラッチ要素の動きは停止するが、依然としてその遠位位置にある。その後、ユーザーが解除ボタンに対する圧力を解除すると、クラッチ要素はその近位位置に戻る。しかし、スプライン数が限られていることに起因して、クラッチ要素は多くの場合、近位位置に戻る際に僅かな量回転する。これに応じて、吐出機構は、クラッチ要素が初期近位位置に戻るまで安定状態にない。
【0065】
図5は、上記で説明した、ラチェット歯242の内周リング形アレイと、軸方向に向けられたスプライン要素241の外周リング形アレイとを示すクラッチ要素240の詳細図を示す。見てわかるように、スプライン要素は、リング上で等距離に配置されるのではなく、グループで配置される。このグループは、結合スロット233に係合する結合手段としての役割を果たす2つの対向する結合グループ245を備える。このため、スプライン要素のうちのいくつかのみがクラッチ要素と駆動要素との間の結合手段としての役割を果たすのに対し、これらのスプライン要素は全て、クラッチ要素とハウジングスプライン204との間の結合手段としての役割を果たす。示す実施形態では、クラッチ要素全体が磁性材料で製造され、好ましくは、挽砕された磁性粒子を含有する磁性高分子化合物を用いて成形される。なぜなら、この技法によって複雑な形状を生成することができるためである。その後、部品全体を磁化し、それによって単に部品の一領域のみが磁性である場合に可能であるよりも大きな磁気モーメントを用いてより大きな外部磁場を得ることによって、大きな磁気ボリュームが得られる。示す例では、A−A方向に向けられた磁気双極子が作製される。以下でより詳細に説明するように、磁場は電子感知コンポーネントによって検出することができ、情報を用いてセンサー手段に対するクラッチ要素の回転位置及び/又は軸位置を求めることができ、それによってクラッチ要素は標識要素としての役割を果たす。
【0066】
図6を参照すると、内部の設計及びコンポーネントが現れるように外部ハウジングが除去された、記録モジュール300の例示的な実施形態が示されている。モジュールは、通常円筒形のリング形部分320及び本体部分330を有する主要本体310を備え、リング形部分320及び本体部分330は合わせてシャーシを形成し、このシャーシ上に電子回路の大部分が搭載される。主要本体はLDSポリマーから形成され、それによって、LDS(レーザー直接構造化)技術を用いることによって集積配線を達成することができ、このポリマーは、可撓性の蝶番式ラッチが一体に形成されることを可能にする弾性特性を有する。より詳細には、リング部分は、薬剤送達ペン本体上に搭載されるように構成された通常円筒形の内面と、ペン装置上の対応する結合構造に係合して、モジュールが固定して搭載されることを確実にするように構成された、対向して一体に形成された一対の結合構造321とを備える。リング部分の遠位部はより大きな直径を有し、遠位方向に向いた円周状の係止面329が、モジュールがペン上に搭載されるときに、キャップを受け、キャップに係合するように構成されている。これについては以下を参照されたい。
【0067】
内側リング面及び外側ペン本体面は、形状が合致して係合するか又は僅かに摩擦を有して係合する。モジュールにおける各結合構造は、近位部分323と、遠位部分324と、中央部分とを有するラッチ322の形態をとり、中央部分は、ラッチが円周軸に対応して数度旋回することを可能にする一体に形成された可撓性の蝶番325によってリング部分に旋回可能に接続される。この構成によって、遠位ラッチ部分は、近位部分が外側に動かされるとき内側に動き、逆の場合も同様である。近位ラッチ部分はそれぞれ、ペン装置上の対応する結合構造に係合するように構成された内側突出部326を備え、遠位ラッチ部分はそれぞれ、キャップがペン本体上に搭載されるときにキャップに係合するように構成された突出部327を備える。ペンにおけるモジュールの正しい回転方向の搭載を確実にするために、示すモジュールには、ペン上の対応する突出部に軸方向に係合するように構成された漏斗形のスロット528(
図8を参照)が設けられる。示す
図1Aの実施形態では、突出部12がペンカートリッジホルダー210に設けられ、ペン表示ウィンドウ202の反対側に配置され、それによって、モジュールがペン上に搭載されたときに電子ディスプレイ130がペン表示ウィンドウの隣に配置されることになる。記録モジュール、ペン本体及びキャップの間の相互作用を以下でより詳細に説明する。
【0068】
本体部分330上に、プロセッサ手段、ディスプレイ341、可撓性キャップスイッチ342及びバッテリー343を含む電子コンポーネント340の大部分が搭載される。示す実施形態では、記録モジュールには、リング部分320上に等距離に搭載された3つの「コンパス」センサーユニット345を備える第1のセンサーアセンブリが設けられる。各センサーユニットは、3つの軸に対応する磁場を測定するための磁力計の形態をとる。センサーと、電子コンポーネントの大部分とは、LDSを用いて接続される。例えば、装置のタイプが認識されることを可能にする更なるセンサーを設けることができる。記録モジュールには、例えば、ユーザーがモジュールを制御することを可能にする少なくとも1つのボタン(図示せず)の形態のユーザー入力手段を設けることができる。記録モジュールには、モジュールに対しデータを送信するか又はモジュールからデータを送信することを可能にする送信手段を更に設けることができ、例えば、NFC又は他の無線手段によって記録データをユーザーのスマートフォンに送信することができる。
【0069】
図7は、センサーを備える電子機器が可撓性PCB440上に搭載され、この可撓性PCBが更に金属クリップ446を用いて主要本体410に搭載される代替的な実施形態400を示す。更なる代替として、可撓性PCBは、両面接着剤を用いてシャーシコンポーネントにこの可撓性PCBを全体的に又は部分的に接着することによって搭載することができ、これによって、正確で信頼性があり小型の設計が可能になる。
【0070】
図6及び
図7の実施形態では、LCDは従来の硬いタイプであり、別個の表示ウィンドウによって覆われるが、代替的に、透明プラスチックカバーに可撓性LCDを直接接着し、小型で頑健な設計をもたらすこともできる。
【0071】
図8は、通常円筒形のリング形部分520及び本体部分530を備えるモジュール主要本体510の代替的な実施形態を示す。主要本体はLDSポリマーから形成される。
図6の実施形態に対応して、リング部分520には、近位及び遠位の結合突出部526、527と、結合スロット528とを有する対向する一対の結合ラッチ522が設けられる。
【0072】
図9は、通常円筒形のリング部分620を備えるモジュール主要本体610の更なる代替的な実施形態を示すが、一体に形成されたラッチを備える上記で説明した実施形態と対照的に、ここではラッチ構造は、リング部分に取り付けられた別個の金属ラッチ部材621として設けられる。一体に形成されたラッチに対応して、各ラッチ部材は、ペン装置上に対応する結合構造に係合するように構成された内側突出部626を有する近位部分623と、キャップがペン本体上に搭載されるときにキャップに係合するように構成された内側突出部327を有する遠位部分624とを備える。示す実施形態では、金属ラッチ部材はそれぞれ、リベットによってリング部分に取り付けられた一対の近位レッグを備える。示す金属ラッチの実施形態は、特定の蝶番構造を備えないが、ペン上に搭載されると、ラッチ部材が、一体に形成されたラッチと同じ「二重目的」機能を与える。これについては以下を参照されたい。
図10は、円周状の係止面629を備え、金属ラッチ部材622を設けられた、記録モジュール600に組み込まれた主要本体610を示す。
【0073】
図2及び
図8を参照して、
図1A及び
図1Bに示すタイプの記録モジュールの搭載及び動作を説明する。ペン本体上にモジュールを搭載するために、キャップが取り除かれ、モジュールがカートリッジホルダー210上にスライドすることを可能にする。搭載中、ユーザーはモジュールディスプレイ130をペンディスプレイ202に合わせるように向ける。それによって漏斗形のスロット528が突出部212を取得し、この突出部212が次にモジュールを回転方向に正しく向ける。これによって、近位ラッチ突出部526がカートリッジ突出部211とスナップ係合することが確実になる。このとき、モジュールは動作位置にあり、これによって薬剤送達装置と記録モジュール(以下を参照)との間で情報が転送されることが可能になる。
図1Bを見てわかるように、搭載位置において、カートリッジホルダーとモジュールの遠位部分との間にリング形間隙214が形成され、これによって、
図1B及び
図8に示すように、間隙にキャップを挿入することが可能になる。搭載された記録モジュールを有しない通常使用の場合、キャップは、カートリッジ突出部211に係合するように構成された内側結合手段を備えるが、搭載された記録モジュールを有する場合、カートリッジ突出部は「占有される」。これに応じて、モジュールには、上記で説明した遠位ラッチ突出部527が設けられる。遠位ラッチ突出部527は、示す実施形態では、外側キャップ面を適所にしっかりと保持するために、この外側キャップ面に摩擦係合する。更に、可撓性キャップスイッチ342も、キャップを適所に保持することに寄与する。代替的に、キャップには、結合手段、例えば円周状の溝を設けることができる。この溝は、キャップがスナップ動作によってモジュールに係合することを可能にする。
【0074】
ペン主要部とモジュールとの間の結合は、通常使用中の取り付け並びに安定した確実なグリップの双方を容易にするように設計される。しかし、これは、キャップがモジュールと協働してペンに取り付けられる場合にも当てはまるべきである。これに応じて、キャップがペンから取り除かれると、遠位方向に向けられた力が、モジュールとキャップとの間の結合部を介してモジュールとペンとの間の結合部に伝達される。この結果、所与の状況下ではモジュールが意図せずにペンから外れる場合がある。これが発生するリスクを低減するために、モジュール結合ラッチ522には、「スナップブースター」機能部が設けられる。より詳細には、各ラッチは、
図6を参照して説明されるような蝶番式設計を有し、これによって、モジュールがペン上に搭載される際に近位ラッチ部分が外方向に動かされるときに、遠位ラッチ部分が円周状の間隙内へ内側方向に(更に)動く。モジュールが搭載されるときに近位ラッチ部分を内側方向に更に動かすことができないので、キャップを間隙214内に挿入することに起因した遠位ラッチ部分の外側方向の移動の結果として、ラッチ中央部分を介して近位ラッチ部分に対し加わる、内側方向に向けられた力が生じ、これによって、キャップが取り付けられたときのモジュールとペンとの間の強化されたグリップが確実にされ、これによって、キャップが取り外されるときにモジュールが意図せずにペンから外れるリスクが低減する。キャップの近位係止部がモジュールの円周状の係止面によって設けられる。
【0075】
システムの様々なコンポーネントについて説明してきたが、次に、典型的な使用状況を
図1A及び
図1Bを参照して説明する。ユーザーが薬剤の用量を分注することを望む場合、例えば、ある量のインスリン製剤の静脈内注射を行う場合、キャップ207が取り外され、ニードルアセンブリが、既に適所にない場合、カートリッジホルダー結合手段215上に搭載される。キャップが取り外されると、記録モジュールは、モジュールキャップスイッチを「オン」位置に作動することによって、スリープ状態からオンにされ、例えば、センサーシステムを有する電子回路が電源オンにされ、ディスプレイがオンにされ、例えば最後に記録された用量及びそこからの時間を示す。次に、ユーザーは回転可能な投与部材280を回して表示ウィンドウ202に示す薬剤の所望の用量を手動で設定し、次に、ボタン290が作動されるとこの用量が吐出され得る。記録モジュールの設計に依拠して、設定用量、吐出用量又はその双方に対応する所与の用量が登録され得る。クラッチ要素の動きが検出される示す実施形態では、吐出用量のみが登録され得ることになる。これに応じて、モジュールディスプレイは、設定用量に関する情報を示さない。用量が設定されると、ユーザーはばね駆動吐出機構を解除し、これによってクラッチ要素が解除され、関係が固定された状態で吐出量まで回転し始め、これによって、記録モジュールによって吐出量を求めることが可能になる。モジュールは設定用量に関して情報を取得しておらず、設定用量の吐出は、解除ボタンに対する圧力を解除することによって中断することができるので、解除ボタンに対する圧力を解除することによって、所与の用量、例えば大きな用量を、2つ以上の量に分割することができ、この結果、2つ以上の吐出用量が記録される。これに応じて、そのような分割用量を単一の用量として扱うために、示す記録モジュールは、所与の状況下で、通常は所与の時間ウィンドウ内、例えば5分以内の複数の個々の用量を単一の用量として組み合わせて記録するように設計される。この所与の時間ウィンドウの後、「組合せ機能部」は時間切れとなる。また、そのような機能部は、所与の所望の用量が使用されるペンのカートリッジ内に残っている薬剤量よりも大きい場合、モジュールが新たなペンに移されることを可能にする。何らかの理由で、分割された用量を個々に記録することが望ましい場合、ペン上にキャップを搭載し、それによってキャップスイッチをその「オフ」位置に入れ、記録イベントを終了させることによって、「組合せウィンドウ」を閉じることができる。これに応じて、所与の用量が単一の薬剤量として吐出される通常動作中、キャップが搭載されるときに組合せウィンドウが閉じられ、この結果、求められた用量(単一又は組合せ)が時間値とともにメモリ内に記録され、所与の時間量、例えば30秒にわたって電子ディスプレイに表示され、その後、電子機器の電源が切られ、ディスプレイがオフにされる。
【0076】
記録モジュールのセンサーシステムを参照すると、示される実施形態は、少なくとも1つの磁性部材の少なくとも1つの動きを検出するように設計され得る。例えば、クラッチ要素のインクリメント回転運動数、すなわち、各インクリメントがインスリンの1単位(IU)に対応する15度のインクリメント数がカウントされる、「単純な」設計を実施することができる。システムは、クラッチ要素が、それぞれ15度の回転に対応し、このため1IUに対応する新たな24個の所定のセクターに移動したことを確実に検出するのに十分高い周波数でペンを走査するように設計される。同じ基本センサー設計及びセンサー位置を用いて、磁性駆動要素を代替的な磁性要素として用いることができる。同じ一般的なセンサー設計を用いる更なる代替形態として、設定用量及び吐出用量の双方に従って動かされるコンポーネントを、磁性要素、例えばラチェット管として用いることができる。ラチェット管は、モジュールリングによって包囲されるペンの部分の外側に軸方向に延在するので、ラチェット管の一部分のみが、例えば別個の要素によって提供される磁性特性を有することができる。
【0077】
また更なる代替形態として、センサーシステムは、所与の要素の絶対的な回転位置を求めるように設計することができるが、回転吐出機構を用いるほとんどのペンは、所与の要素の2回以上の全回転を必要とする用量を吐出するように設計されるとき、完全な旋回数をカウントすることが必要となる。これは、同じ磁性要素を用いてインクリメント運動(ここでは回転数)及び絶対位置の双方をカウントすることにより達成され得る。2つのタイプの情報を検出するのに、同じ又は異なるセンサーシステムを設けることができる。絶対位置を求めることにより、カウントを逃すことに起因する誤りが防がれる。代替的に、センサーシステムは、用量が吐出されるときに軸方向に動かされる追加の「二次」要素を用いて、「一次」回転要素、例えば磁性内容物終了部材の全回転を示すように設計され得るが、そのような要素の動きは主にモジュールリングによって包囲されるペンの部分の外側で起こるので、更なるセンサーを設けることが必要となる場合がある。
【0078】
以下において、所定の方式で、例えば軸に対し回転して動く磁石の位置を基本的に正確に検出することができる磁力計ベースの検出システムを説明する。したがって、システムは、正確な非接触位置検知が関連する多くの技術分野に適用可能である。以下において、回転運動及び軸方向運動を行うように構成される磁性部材を備える薬剤送達システムにおける応用のためにセットアップされ(例えば、
図4Aを参照)、磁性部材の絶対回転位置を求めるシステムを説明する。
【0079】
図6において、ペン形薬剤送達装置の遠位部分の内部で回転する上記で説明したリング形クラッチ要素の所定の軸の回りに等距離で3つの3D磁性センサー345を備えるセンサーアセンブリの例示的な実施形態が構成される。
【0080】
以下において、磁石の現在の向きを推定するための例示的な「位置」アルゴリズムを説明する。このアルゴリズムは、磁石の任意の動きに対し一般的であるが、本出願では、磁石の回転運動を有するシステムに適用される。
【0081】
アルゴリズムは、磁石の公称運動からの偏差を有するシステムのために構成される。したがって、アルゴリズムは、偏差を導出することができる磁石運動の所定のモデルを必要とする。
がシステムの公称ジオメトリを有するフィールドを表すものとする。ここで、nは軸方向変位の位置であり、kは場を測定するセンサーである。
【0082】
磁石が所与のジオメトリを有し、かつセンサーと磁石との間の相対距離が全ての位置について遠距離磁場内にあると仮定される場合、双極子場モデルを用いて所定のモデルを推定することができる。このため、以下によって全ての位置に対する
を推定することができる。
[1]
ここで、mは所与の位置nの双極子モーメントベクトルであり、rは磁石とセンサーkとの間の距離ベクトルであり、rは磁石とセンサーkとの間の距離である。
【0083】
センサーが近距離磁場内に位置決めされる場合、B
nom(n)は磁石ジオメトリの有限要素解析を用いて推定することができる。
【0084】
構想は、非公称挙動を推定し、かつ非公称挙動が受容可能であることがわかった場合に所定の公称モデルを補償するモデルを有するというものである。これを行うために、所定のモデルの線形化モデルが規定される:[2]
【0085】
ここで、以下の偏差パラメーターが線形化モデル内に含まれている。
B
ext 一様背景場
Δx,Δy 公称モデルに対する磁石位置の径方向オフセット
Δz 公称モデルに対する磁石位置の軸方向オフセット
Δm 公称磁石強度からの偏差
Δφ 回転オフセット
Δψ 傾きオフセット
【0086】
偏差パラメーターを列ベクトルEにスタックすると、以下が得られる:
[3]
【0087】
線形化モデルを以下のように書くことができる:
[4]
ここで、
はヤコビ行列である。次に、測定された場と線形モデルとの間の差を最小にするEを求める。すなわち:
[5]
ここで、G
nは、センサーk及び位置nごとの重みを有する対角行列を表す。このため、Eは以下によって与えられる:
[6]
【0088】
上記の式は以下に簡略化することができる:
[7]
ここで、以下の式が成り立つ:
[8]
【0089】
この行列は一定である。このため、この行列は、算出能力を節減するためにプロセッサに記憶することができる。
【0090】
次に、パラメータオフセットベクトル
を線形化モデルに挿入することができる。
[9]
【0091】
これは、測定された場と公称モデルとの間の差を計上する公称モデルの更新版を提供する。推定位置は、最も小さい差を有する、すなわち残差を最小にする位置となるように算出される:
[10]
【0092】
上記のアルゴリズムの利点は以下である:
アルゴリズムは、プロセッサに記憶することができる定数テーブルを利用する。すなわち、この定数テーブルは、
、J
n及びM
nからなる。アルゴリズムは、フェールセーフ手段として用いることができる手段を提供する。すなわち、構成品質を、
及び残余の大きさr
nから推定することができる。示す列ベクトルEは、選択される偏差パラメーターの一例にすぎない。
【0093】
上記で説明したのと同じ原理を用いて、所与の部材、例えばクラッチ部材の軸方向のz位置を求めることができる。
【0094】
以下において、位置アルゴリズムと同じ原理であるが、算出速度及び電力消費に関して最適化された原理に基づいて、完全なクラッチ回転数を求める「追跡」アルゴリズムを説明する。位置アルゴリズムは、全ての利用可能な磁気センサーからの入力を用いるのに対し、追跡アルゴリズムは、3軸磁気センサーのうちの1つ又は複数からの、例えば2本〜4本の軸に基づくことができる。以下において、1つのセンサーからの3本の軸が用いられる。追跡アルゴリズムは、入力として被測定場B
measをとり、位置アルゴリズムから最も近時に推定された背景場B
extをとる。被測定B場と公称B場との間の残差B
nomが以下のように導出される:
[11] r(n)=[B
meas−B
ext−B
nom(n)]
2
ここで、nはテーブル位置数を表す。例において、48個の位置がB
nomに含まれ、24個のクラッチ位置のための場が用量設定に含まれ、24個の位置が投与位置に含まれる。最低残余に基づいて、追跡アルゴリズムは二値軸位置、z=[dose setting;dosing]、及び別個の回転位置、phi=[0 15 30…345]°を出力する。
【0095】
追跡アルゴリズムは位置アルゴリズムよりも低い精度、例えば±30°を有するが、電力消費がより低いことに起因して、より頻繁にサンプリングすることができる。サンプリング周波数は、クラッチの最小回転時間に対し調整されるべきである。例えば、クラッチの最小回転時間が500msであり、回転ごとに少なくとも10個の追跡サンプルを有することが望ましい場合、追跡アルゴリズムのサンプリングレートは少なくとも20Hzであるべきである。このようにして、追跡アルゴリズムは、電力を節減するためにより低い周波数でサンプリングされる位置アルゴリズムによる推定値間のクラッチの旋回数をカウントすることができる。
【0096】
地球の磁場以外の外部の磁場及び近傍の鉄の存在による内部磁場の乱れのリスクを確実に排除することができる場合、表内で得られる実際の位置の最も可能性の高い候補を、実際の位置として中継又は表示することができる。しかしながら、ほとんどの用途において、磁場の乱れのリスクは、多岐にわたる原因から生じる可能性が高いとみなされなくてはならず、いくつかの用途では、位置の間違った決定の結果として、重大で受け入れ不可能な結果を招く可能性がある。そのような用途では、例えば以下の複数のフェールセーフ手段をとることができる:
(1)複数の読み値を取り、読み値間の変動が所定のレベル未満であるときのみ、各センサーからの各軸からの平均軸値を用いること。これによって、磁場の変動する乱れによって生じるセンサーからの間違った読み値を防ぐことができる。
(2)直径方向に反対側のセンサーから読み値を減算して、磁場寄与及び均質な外部場寄与をなくし、これにより、不均質な外部場の勾配を算出すること。読み値を用いるための判断基準として、閾値との比較を用いることができる。
(3)読み値を用いて外部場を算出すること。読み値を用いるための判断基準として、閾値との比較を用いることができる。
(4)過剰決定センサー構成からの読み値を用いて、所定の公称機械ジオメトリ及び磁気特性からの偏差を算出すること。読み値を用いるための判断基準として、閾値との比較を用いることができる。
(5)最も可能性の高い位置の偏差と拒否される位置(例えば2番目に可能性の高い位置)の偏差とを比較して、最も可能性の高い位置の信頼性を求めること。読み値を用いるための判断基準として、閾値との比較を用いることができる。
(6)最も可能性の高い位置と拒否される位置、例えば次に可能性の高い上位10個の位置とを比較して、位置の分散を求めること。分散は、例えば最小位置と最大位置との間に及び、読み値を用いるための判断基準として用いることができる。
(7)最も可能性の高い位置を用いて、磁石からの場寄与を算出し、この寄与を読み値から減算して推定外部場を得ること。推定外部場は、磁石からの場寄与がなくなったためにフェールセーフ手段のうちの1つ又は複数によって拒否されるべき最も可能性の高い位置を算出するための入力として用いることができる。最も可能性の高い位置と異なる位置からの場寄与を算出し、推定外部場に加えることができる。結果として得られる場は、最も可能性の高い位置を算出するための入力として用いることができる。選択される位置と算出される位置との間の対応関係を、読み値を用いるための判断基準として用いることができる。
(8)算出される位置を用いて機械移動、例えば方向、速度及び位置安定性を求めること。読み値を用いるための判断基準として、閾値との比較を用いることができる。
(9)偏差の最小和が所定の値未満である場合、測定値と(期待)テーブル値との間のあるレベルのコヒーレンスを確保するために、実際の位置の最も可能性の高い候補のみを指定する。この所定の値は、動作範囲において最も可能性が高い候補がどこにあるかに依拠し得る。なぜなら、近傍の候補間の距離は、センサーからの距離に応じて変動するためである。これは、ある大きさを超える一定の乱れによって、間違った位置が最も可能性の高い候補であると指定されることを防ぐはずであり、また、センサー軸のうちの1つが飽和モードに入った場合に、最も可能性の高い候補が指定されることも防ぐことができる。センサーが、動作限界を超える強度の磁場に曝される場合、それらは飽和モードに入り、(既知の所定の)最大値の読み値を与える。
【0097】
上述したフェールセーフ手段は単に、読み出しを全く行わないことによって、誤った位置に基づいて投与データが読み出されることを防ぐのに役立つことができる。システムは、次に(位置の変更が防がれるか又は発生しないように監視される場合)、システムから内部磁場の外部の乱れが取り除かれるまで測定を繰り返すことができる。
【0098】
所与のプレフィルド薬剤送達装置はシステムの一部とすることができるので、この装置は、様々なタイプの薬剤、例えば、糖尿病及び成長障害等の様々な状態の治療のための薬剤、糖尿病の治療のためのインスリン及びGLP−1等の所与の状態の治療のための様々な分類の薬剤、長時間作用型で即効性のインスリン製剤等の所与の分類からの様々なタイプの薬剤、又は製剤1mlあたり100IU又は200IUのインスリン等の所与の特定の薬剤の様々な濃度とともにユーザーに提供され得る。上記で説明した記録モジュールは通常、1つのタイプの薬剤送達装置上にのみ搭載されるように設計されるが、理論上は、種々の異なる薬剤を含む装置上に搭載することができる。
【0099】
所与の記録モジュールが、結果として投与データの誤った決定をもたらすように用いられることを防ぐために、所与の状態における所与の記録モジュールが対応する薬剤と組み合わせて用いられることが確実にされるべきである。
【0100】
例えば、所与の記録モジュールは、1つのタイプの薬剤、例えば所与の濃度を有する所与のインスリン製剤のみとともに用いるように構成されてもよい。これは、例えば、テキスト、色又は他の視覚マークによって記録モジュール上に示される。実際に、これは、所与の記録モジュールが間違った送達装置と組み合わせて用いられることを依然として許容してしまう。これが生じることを防ぐために、所与のシステムの記録モジュール及び異なる送達装置をコード化し、互いに、例えば機械的に又は電子的に対応するモジュール及び装置のみの接続を可能にしてもよい。
【0101】
例えば、所与のペンタイプが様々なタイプの薬剤に用いられる場合、それに応じて、例えばテキスト、色及び/又はコードによってマーク付けされる。搭載される記録モジュールによって覆われることになるペン本体上の表面部分にそのような視覚マークを設けることによって、記録モジュールに、そのようなマークを検出するように構成された光センサー手段が設けられ得る。例えば、所与のペン装置は、所与の色を有する材料から完全に若しくは部分的に製造され得るか、又は所与の色を有するラベルを設けられ得る。
【0102】
所与の記録モジュールが、1つのタイプの薬剤のためにのみ用いられるように構成される場合、対応する色が確実に識別されることが必要であり、そうでない場合、記録モジュールはエラー状態を示すことになる。代替的に、記録モジュールは、様々な薬剤と組み合わせて用いるように構成され、所与の予め規定された色の確実な識別によって、それに応じて記録モジュールをセットアップするようにしてもよい。例えば、記録モジュールは、所与の濃度のインスリンを有するペン装置上に搭載されると、正しい数のIUを登録及び表示するのに対し、所与の濃度のGLP−1を有するペン装置上に搭載されると、正しい数のmgを登録及び表示する。薬剤のタイプ又はブランド名は、例えばディスプレイがオンにされる度に短い時間表示することができる。
【0103】
例示的な実施形態の上記の説明において、様々なコンポーネントの記載された機能を提供する様々な構造及び手段を、本発明の構想が当業者である読み手に明らかになる程度まで説明してきた。様々なコンポーネントの詳細な構造及び使用は、当業者によって、本明細書に記載の文言に沿って行われる通常の設計手順の対象とみなされる。