(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
別のプラスチックを収容する別のチャンバと、前記別のチャンバ内に配置された別のプッシャとをさらに備え、前記プッシャ及び前記別のプッシャが、前記プラスチックを前記摩擦加熱器に向けて押すように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【発明の概要】
【0008】
プラスチックを処理するためのシステムであって、使用時に前記プラスチックを摩擦加熱するように構成されているシステムである。
【0009】
有利には、前記摩擦加熱は、前記プラスチックの混合を容易にする。
【0010】
好ましくは、前記システムは摩擦加熱器を備える。
好ましくは、前記摩擦加熱器は、使用時に前記プラスチックに接するように構成されている。
好ましくは、前記摩擦加熱器が回転するように構成されている。
好ましくは、前記摩擦加熱器が、均質混合するのに十分な速度で回転するように構成されている。
好ましくは、前記摩擦加熱器を110rpm以上で回転させる。
好ましくは、前記摩擦加熱器に作動的に接続された駆動部をさらに備える。
好ましくは、前記駆動部と前記摩擦加熱器との間で作動可能なギアをさらに備える。
好ましくは、前記駆動部が電気駆動装置である。
好ましくは、前記駆動部が内燃機関である。
好ましくは、前記内燃機関がディーゼル内燃機関である。
好ましくは、前記摩擦加熱器は、回転軸に実質的に沿って前記プラスチックに接するように構成されている。
好ましくは、前記摩擦加熱器は、回転軸に略垂直な方向において前記プラスチックに接するように構成されている。
好ましくは、前記摩擦加熱器は、80℃よりも高温で前記プラスチックを加熱するように構成されている。
好ましくは、前記摩擦加熱器は、100℃よりも高温で前記プラスチックを加熱するように構成されている。
好ましくは、前記摩擦加熱器は、160℃よりも高温で前記プラスチックを加熱するように構成されている。
好ましくは、前記摩擦加熱器は、少なくとも1個の溶融プラスチック導管を備えている。
好ましくは、前記摩擦加熱器は、略円筒形状である。
好ましくは、前記摩擦加熱器は、溶融プラスチックを円筒内に実質的に導入可能な溶融プラスチック導管を少なくとも1個備えている。
好ましくは、使用時に前記溶融プラスチックを前記摩擦加熱器から流出させる流出部をさらに備える。
好ましくは、前記摩擦加熱器は、使用時に溶融プラスチックが重力下で前記摩擦加熱器内から流出可能に配置されている。
【0011】
好ましくは、使用時に前記プラスチックを収容するチャンバをさらに備える。
好ましくは、前記チャンバは、前記プラスチックを前記摩擦加熱器に移動させるように構成されている。
好ましくは、前記チャンバは流入部を備える。
好ましくは、前記プッシャは、前記プラスチックを前記摩擦加熱器に向けて押すように構成されている。
好ましくは、前記プッシャが油圧駆動式である。
好ましくは、前記プッシャによって加えられる圧力が、操作パラメータに応じて設定される。
好ましくは、前記操作パラメータにはプラスチックの種類が含まれる。
好ましくは、前記プッシャは、前記チャンバの内側輪郭に沿った形状を有している。
好ましくは、前記プッシャ及び前記別のプッシャが、前記プラスチックを前記摩擦加熱器に向けて押すように構成されている。
好ましくは、前記プッシャ及び前記別のプッシャによって付与される圧力を可変に設定可能である。
【0012】
別の側面において、プラスチックを処理するための方法であって、前記プラスチックを摩擦加熱する工程を含む方法が提供される。
【0013】
好ましくは、前記摩擦加熱する工程は、摩擦加熱器によって実施される。
好ましくは、前記方法は、前記摩擦加熱器に向けて前記プラスチックを押す工程をさらに含む。
好ましくは、前記摩擦加熱器が回転摩擦加熱器である。
好ましくは、前記摩擦加熱器は、均質混合するのに十分な速度で回転するように構成されている。
好ましくは、前記摩擦加熱器を110rpm以上で回転させる。
好ましくは、前記プラスチックを前記摩擦加熱器に向けて押す方向が、前記摩擦加熱器の回転軸に略平行な方向である。
好ましくは、前記プラスチックを前記摩擦加熱器に向けて押す方向が、前記摩擦加熱器の回転軸に実質的に垂直な方向である。
好ましくは、前記方法は、80℃よりも高温で前記プラスチックを加熱する。
好ましくは、前記方法は、100℃よりも高温で前記プラスチックを加熱する。
好ましくは、前記方法は、160℃よりも高温で前記プラスチックを加熱する。
【0014】
好ましくは、前記プラスチックの種類に応じた力で前記プラスチックを前記摩擦加熱器に向けて押す。
好ましくは、前記プラスチックを前記摩擦加熱器に向けて押す工程は、前記プラスチックを複数の方向から前記摩擦加熱器に向けて押す工程である。
好ましくは、前記方法は、前記プラスチックを前記第1の力で前記摩擦加熱器に向けて押す工程と、別のプラスチックを第2の力で前記摩擦加熱器に向けて押す工程とをさらに含む。
【0015】
別の側面において、上述したシステムで処理されたプラスチックが提供される。
別の側面において、上述した方法で処理されたプラスチックが提供される。
別の側面において、上述したシステムで処理されたプラスチックでコーティングされた材料が提供される。
別の側面において、上述した方法で処理されたプラスチックでコーティングされた材料が提供される。
本発明の他の態様も開示されている。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下の説明において、異なる実施形態における同一の参照番号は、同一又は類似の特徴を有することを意味する。
【0018】
図1に、プラスチック処理システム100の一実施形態を示す。以下の説明から明らかなように、システム100は、プラスチックのリサイクル等、プラスチックの処理に適している。また、以下の説明から明らかなように、システム100は、エネルギ効率や、汚染物質耐性、様々な種類のプラスチックに適用可能等の点で有利である。また、システム100は、一般に輸送やリサイクルに適さないフィルム状プラスチックのように、埋立地に運搬される他ないようなプラスチックの処理にも適している。
【0019】
従来技術のプラスチック処理システムは、プラスチックを溶融するために、例えば電気ヒータ等の加熱器を利用するのに対し、システム100は、プラスチックの摩擦加熱を適用する。
【0020】
特に、システム100は、プラスチックを溶融するために摩擦を利用するように構成されている。プラスチックの溶融に摩擦を利用することによって、プラスチック全体を加熱する従来の構成とは対照的に、プラスチックの局所的な摩擦面でプラスチックを溶融するだけでよく、エネルギ効率の点で有利である。さらに、システム100はロバスト性の点で有利である。すなわち、後に詳述するように、従来のプラスチック処理システムと比較して摩擦加熱器は長持ちする。この従来のプラスチック処理システムとしては、高い耐性を必要とするシュレッダーやハサミ型のプラスチック処理システムがある。そのため、特にプラスチック内の異物のような混入物がある場合には破損しやすく、カッターの尖鋭化等といった修理がしばしば必要になる傾向がある。
【0021】
このように、システム100は、摩擦加熱器145を備えている。好ましい態様において、摩擦加熱器145は、プラスチックに接した状態で回転することにより、摩擦加熱器145の摩擦面でプラスチックを加熱するように構成されている。上記で言及したように、システム100では、プラスチックの加熱を摩擦面で局所的に行うことで、従来の構成に比べて、エネルギ必要量を低減させることができる。一般に、摩擦加熱器145は、以下にさらに詳述するように、プラスチックが溶融プラスチック導管等を介して流れるようになるまで、ちょうど融点でプラスチックを加熱するように構成されている。溶融プラスチックが流れ出ると、未溶融プラスチックが置き換わり、同様に溶融される。
【0022】
もちろん、プラスチックの種類によって融点が異なる。例えば、特定のプラスチックは、160℃で溶融する可能性があるが、ナイロンのような他の種類のプラスチックは、溶融までに最大で240℃まで昇温される。しかしながら、上述したように、システム100では、プラスチックが溶融状態になると同時に自動制御されることによって、溶融プラスチックが摩擦加熱145を介して流れ出て、隣接する非溶融プラスチックに置き換えられる。
【0023】
摩擦加熱器145は、プラスチックに接した状態で回転することで、プラスチックを加熱して溶融するため、粘性プラスチック混合物の回転による剪断運動によって、原料の固体成分と液体成分が破断及び分散されて、均質な混合が行われ、均一でまとまりのある生成物及びコポリマーが製造される。
【0024】
上述した好ましい実施形態では、摩擦加熱器145は回転する構成としたが、他の実施形態において、摩擦加熱器145は必ずしも回転する必要はなく、例えばプラスチック等の近傍を通過する金属バンドのように、プラスチック側から見て表面に沿って動くように構成してもよい。
【0025】
また一方、好ましい実施形態において、摩擦加熱器145は回転するように構成されており、
図1に明確に示すように、摩擦加熱器145は、円筒形状であって、回転軸の周りを回転するように構成されている。そして、プラスチックは、回転軸に略垂直な方向において摩擦加熱器145に接するようになっている。換言すれば、プラスチックは、摩擦加熱器145の外周によって加熱されるように、摩擦加熱器145に向かって動くようになっている。
【0026】
また一方、他の実施形態では、摩擦加熱器145を回転板とし、回転板の回転軸に略平行な方向でプラスチックが回転板に接するようにしてもよい。この実施形態では、回転板を固定してプラスチックを回転板に向かって動かしてもよいし、あるいはさらに回転板をプラスチックに向かって動かしてもよい。この実施形態では、回転板によって加熱されたプラスチックを回転板の縁部方向へ分散させ、回転板の縁部の周りに流出させ、略円筒形状にして一旦冷却することができる。
【0027】
ここで、好ましい実施形態では、摩擦加熱器は、実質的に110rpmで回転するように構成されており、均質混合するのに十分な速度で回転される。なお、回転速度を用途に応じて設定する実施形態もある。一つの実施形態では、摩擦加熱器145の回転速度は、所望のスループット等といった操作パラメータに応じて制御可能とすることができる。
【0028】
注目すべきは、システム100では、摩擦加熱器145に弾力性を確保する必要が実質的にないという利点があることであり、実施形態では、軟鋼から摩擦加熱器145を製造することができる。
【0029】
図1に示すように、システム100は、摩擦加熱器145を駆動する駆動部105を備えている。駆動部105と摩擦加熱器145との間には、駆動や操作パラメータ等に応じて適切なギア比に設定されるギア155が配置されている。一つの実施形態では、駆動部105は、電気駆動装置とすることができる。例えば、電気駆動装置としては、55kWの電気モータを使用することができ、1時間あたり実質的に250kgのプラスチックを処理することができる。また、携帯型の構成では、駆動部145は、ディーゼル内燃機関のような内燃機関とすることができる。
【0030】
システム100は、摩擦加熱器145とチャンバ110(後述する)との境界面において実質的にプラスチックタイトなベアリング160をさらに備えている。これにより、使用中にそこから溶融プラスチックが漏れるのを実質的に防止できるようになっている。
【0031】
摩擦加熱器145について、特に好ましくは、本実施形態で示すように、摩擦加熱器145は、少なくとも1個の溶融プラスチック導管140(本実施形態では、摩擦加熱器145内に設けられた小孔)を備え、溶融プラスチックが溶融プラスチック導管から流れ出る構成となっている。そのように構成することで、非溶融プラスチックが、実質的に溶融するまで摩擦加熱器145に接することとなる。この段階では、溶融プラスチックは、溶融プラスチック導管140に向かって移動することができる。
図1に示す構成では、略円筒形状である摩擦加熱器145は、半径方向、かつ略垂直な方向に配置された溶融プラスチック導管140を複数備えている。摩擦加熱器145によって溶融されたプラスチックは、1個以上の溶融プラスチック導管145を通って摩擦加熱器145の実質的に内部へ移動する。
【0032】
異なる種類の溶融プラスチックが溶融プラスチック導管140を介して移動することにより、均質混合が行われ、さらに、混入物(油、紙、アルミニウム箔、土壌等)が粘性のある溶融プラスチックの回転及び流出による剪断力によって断片化され、これら混入物は溶融物の全体にわたって微細に分散される。
【0033】
一方、より好ましくはないが、プラスチックが摩擦加熱器の内部に配置されて、一旦溶融されると、溶融プラスチック導管140を通って、摩擦加熱器145の外部に流出する実施形態も可能であることに留意すべきである。
【0034】
システム100はさらに、溶融プラスチックが流れ出ることを許容する流出部135を備えている。特に、本実施形態では、溶融プラスチック130が流出部135から流れ出る状態を示している。
図1に示す実施形態では、溶融プラスチックは溶融プラスチック導管140を介して流れ出ると、重力の影響下で流出部135を通って外へ流出する。
【0035】
溶融プラスチックが流出部135から流出すると、溶融プラスチックは、多様な方法で処理される。一つの方法としては、溶融プラスチックをペレット化し、その後に再加熱し、例えば従来型の射出成形機を使用する射出成形に適用される。しかしながら、好ましくは、プラスチックの熱エネルギを保持し、エネルギ効率を確保できるように、その場で溶融プラスチックを処理する。この点において、押出機や射出成形機等に溶融プラスチックを直接供給することができる。
【0036】
一実施形態では、さらなる家庭内又は商業的な使用のためにリサイクルされるのとは対照的であるが、溶融プラスチックは、特定の材料について、マテリアル・ハンドリング及び共焼成の利点を得るために利用することができる。例えば、高炉用コークスについて、システム100から得られた溶融プラスチックで高炉用コークスをコーティングすることができる。これにより、コークスのハンドリング、輸送、燃焼等や、炉で燃焼させたときのコークスの発熱インデックスで利点を得ることができる。もちろん、システム100から流出する溶融プラスチックは、他の材料のコーティングにも適しており、特に、プラスチックによる保護コーティング及び封入コーティングで利点を持つような有害な材料にも適している。材料のコーティングにおいて、材料は、回転ドラム等に導入することができ、溶融プラスチックもまた、溶融プラスチックが材料の表面に付着するように回転ドラムに導入することができる。これらを高温で行うことによって、溶融プラスチックが材料の表面に付着しやすくすることができる。もちろん、他の方法によってコーティングや封入を行ってもよい。例えば、溶融プラスチック槽内に材料を浸漬する方法や、溶融プラスチックを材料に注ぐ方法等が挙げられる。
【0037】
図1を再び参照すると、システム100は、使用中にプラスチックを収容するチャンバ110を備えている。特に、チャンバ110は、使用中にプラスチックを摩擦加熱器145に導くように構成されている。さらに、システム100は、流入部115を備えており、使用中にチャンバ110内にプラスチックを導入するために利用できるようになっている。
【0038】
特定の用途では、リサイクルのためのプラスチックは水を含んでいてもよい。したがって、一実施形態では、システム100は、少なくとも1個の通気孔を備えており、圧力を上昇させずに水蒸気(及び他の気体)を通気孔から排出できるようになっている。少なくとも1個の通気孔は、用途に応じて、チャンバ110本体やプッシャ125(後述)を含む様々な位置に配置されている。少なくとも1個の通気孔を、気体や水蒸気を監視するために使用することができ、気体の副生成物の問題に対処するために、当業者に知られているスクラバーを適用してもよい。
【0039】
また、システム100は、摩擦加熱器145に対してプラスチックを押し当てるためのプッシャ125を備えている。本実施形態から明らかなように、プッシャ125は、チャンバ110の内部の横断面の形状に実質的に一致するように構成されたプッシャ面を備えており、実質的に平坦面で当接し、摩擦加熱器145にプラスチックを効率的に押し当てるようになっている。
【0040】
好ましい実施形態において、プッシャ125は、油圧ラム120等によって押圧されている。一実施形態では、油圧ラムは、1500〜2000psiで加圧している。油圧ラムの押圧面に対するプッシャの押圧面の比が1〜50であると仮定すると、溶融プラスチックに及ぼされる圧力は実質的に30〜40psiとなる。
【0041】
本実施形態から明らかなように、プッシャ125は、後方に引くことができるようになっている。これにより、流入部145内にプラスチックを導入可能になっており、また、導入されたプラスチックを摩擦加熱器145に実質的に押し付けて接触させることができるようになっている。
【0042】
プラスチックの導入は自動化することができる。具体的には、コンベヤーベルト等と連動したコンピュータ制御等によってチャンバ110の再充填を制御し、プラスチックの自動バッチ処理を可能にする。
【0043】
図2を参照すると、システム100の別の実施形態が示されている。明らかなように、
図2に示すシステム100は、複数のチャンバ110と、それぞれのチャンバ110に配置された複数のプッシャ135とを備えている点で、
図1に示す実施形態と少なくとも区別される。
【0044】
この実施形態では、プラスチックは、摩擦加熱器145に向かって複数の方向から押される。特に、第1のチャンバ110に配置された第1のプッシャ125は、第1の方向から摩擦加熱器145に向かって押し、第2のチャンバ110に配置された第2のプッシャ125は、第2の方向から摩擦加熱器145に向かって押す。
【0045】
マルチチャンバシステム100を使用することによって、摩擦加熱を大容量で実施できるだけでなく、再充填を大容量で実施でき、高いスループットを実現することができる。一つの実施形態では、複数のプッシャ125の各々を、非同期的に動かすことができる。具体的には、一方のチャンバの内容物がプッシャで押されている間に、他方のチャンバの再充填を許容するようにすることができる。
【0046】
マルチチャンバシステム100は、さらに、プラスチックの混合にも適用できる利点がある。この方法において、プラスチックを性質に応じて選択することができ、得られる溶融プラスチックはそれぞれのプラスチック成分の特性を融合することができる。例えば、硬いプラスチックは、より軟らかいプラスチックとブレンドすることによって半硬性の特性を示すようになる。一実施形態において、混合する工程の間、それぞれのプッシャによってもたらされる圧力又は力は、得られるプラスチックの所望の特性に応じて制御することができる。例えば、より軟らかいプラスチックを設計する場合には、軟らかいプラスチックを含むチャンバに配置されたプッシャを、より硬いプラスチックを含むチャンバよりも大きい圧力又は力で押す。
【0047】
本実施形態では、2つのチャンバ115を示しているが、他の実施形態では、2つ以上のチャンバ110を用いてもよい。
【0048】
上述した実施形態によれば、プラスチックを摩擦加熱するプラスチック処理方法、及び本明細書に記載されるシステム又は方法で処理したプラスチックも提供される。また、本明細書に記載されるシステム又は方法で処理したプラスチックでコーティングされた材料が提供される。
【0049】
下の付録A及び付録Bは、原料として異なる種類のプラスチックを用いて試験システム100で製造したプラスチック製品について、該プラスチック製品の様々な特性を列挙した実験に基づくプラスチック混合物データを示している。
【0050】
付録
付録A−第1実施例のプラスチック混合物データ
リサイクル及び廃棄物処理から利用できる共通のプラスチック
・高密度ポリエチレン(HDPE) 例えば、化学容器、洗剤や洗浄剤容器、レジ袋(カサカサ音を立てる買い物袋)、シャンプー容器
・低密度ポリエチレン(LDPE) 例えば、ほとんどのビニール袋
・直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE) 例えば、サイレージ用ラップ、パレットラップ、グラッドラップ(glad wrap)、ほとんどの伸縮型フィルム
・ポリプロピレン(PP) 例えば、持ち帰り用食品容器、アイスクリーム容器、荷造りひも、ブルカバッグ(bulka bags)、不織布バッグ、防水シート
・ポリ塩化ビニル(PVC) 例えば、電気ケーブルの絶縁体、接合可能な(glueable)配管パイプ及び継手、コーディアルやジュースの透明な容器
・耐衝撃性ポリスチレン(HIPS) 例えば、ヨーグルトやバター等の食品容器
・ポリエチレンテレフタラート(PET) 例えば、炭酸飲料ボトル、洗剤ボトル、包装ストラップ
・LDPE、HDPEを用いた多層積層パッケージ、アルミニウム箔、例えば液体食品容器等の紙ボード
【0051】
これまでの小型試験装置による実験から、粘性のある溶融プラスチックの回転による剪断及び摩擦が、供給原料の均質混合を実現するうえで重要であることが分かる。したがって、適切な配合、混合及び溶融パラメータによって、他の方法では効果的にリサイクルできなかった多くのプラスチック及びプラスチック複合材料を利用することができる。また、投入及び産出できるプラスチック混合物の範囲は制限がない。一般的な実施例のいくつかは以下のとおりである。
【0052】
・HDPE、LDPE及びLLDPEは、混合して処理されたときも、分別されたときも、互いに十分に結合する。それらのプラスチックは、非常に広く利用可能であり、最高の耐久性を必要とする製品を製造するのに好適である。
・HDPE単独では、硬い製品を製造することができるのに対し、LDPE及びLLDPEは軟らかい製品を製造することができる。最適なブレンドは、要求に合うように選択される。排水管やポスト(posts)等の製品の場合には、50%HDPEと、50%LLDPE又はLDPEとのブレンドが最適である。50-50 HDPE-LLDPEのブレンドは、パイプ製造に最も適した耐久性のある製品を製造することができる。
【0053】
・経年劣化やプラスチックの加熱の度に可塑剤が失われる。そのため、リサイクルを繰り返すと脆弱性を引き起こすことになる。LDPEやLLDPEや鉱物油を添加することにより、プラスチックを複数回リサイクルする例において、脆弱性を解消する可塑剤が効果的に加えられる。可塑剤の添加は有用であるが、非常に高価である。
・構造的に安定した製品を製造するために、ブレンドされたプラスチックは溶融されている間十分に混合されなければならず、混入物が混合物の全体にわたって細かく分散される。
・HDPE、LDPE及びLLDPEの混合物において、PPはHDPEの代替物として適しており、より硬い製品を製造できる。PP単独では脆い傾向があるが、ブレンドすることによってポストやパックスペーサーのような製品に適用することができる。
【0054】
・試験装置においてPVC単独の処理は、有毒なガスを発生した。これはおそらく、固定ディスクが回転バレルに接触した際にできたホットスポットによるものであった。システム100は金属と金属との接触がないため、PVCの処理に適しているが、PVCの過熱及び有害で有毒なガスの発生を生じないように細心の注意を必要とするだろう。当業者に一般に知られているスクラバーを、少なくとも1個の通気孔に設けることによって、ガス副生成物の問題に対処した。最終生成物は非常に柔らかくフレキシブルであった。PCVは他のプラスチックとの混合可能性を示さない。
・システム100ではPETの処理に成功したが、遠心成形技術は脆弱性を引き起こした。他の試験では、脆弱化を引き起こさないようにするにはPETは溶融しながら成形する必要があることが明らかとなった。
【0055】
・試験装置によるHIPSの処理は成功したが、製品は脆かった。通常では相溶性を示さない混合プラスチックは、回転粘性混合処理の剪断作用によって断片化すれば、限られた量でも扱うことができる。また、これら混合プラスチックは、紙やアルミニウム箔、土壌等の他の混入物といった、最終的には小さな粒子になるものと同様に考えられるが、このような混入物は製品中に均質に分散され、単にフィラーとして作用し、プラスチック構造物又は押出成形製品への影響を最小限に抑える。フィラーは樹脂よりも安価であるという単純な理由のため、フィラーを添加したプラスチック製品もある。
【0056】
・パイプやポスト等の製品には適していないが、非相溶性プラスチック及び食品残渣のような他の混入物の配合比が高い混合プラスチックは、燃料ペーストとして(例えば、他の可燃性物質に接着させて一緒に燃焼させるために)利用することができる。ペーストのプラスチック成分をなお成形できる限り、プラスチックの耐久性は殆ど重要でない。サンプルの一つは、コークスとLDPEとが50-50のブレンド、つまり50%の混入物を含むものであるが、この技術において製品をなお成形することができる。
・白色のポストに適した混合物は、48%白色20ltr容器のHDPE−48%透明フィルム−4%白色のマスターバッチである。
【0057】
・システム100は、材料回収施設(MRFs)、商業的工業的廃棄回収施設(Dirty MRFs)及び代替廃棄物処理施設(AWTs)等の廃棄選鉱施設から、混入物を含む混合プラスチックを導入する能力を有する。MRFs、Dirty MRFs及びAWTsのような施設は、商業的価値がない汚染混合プラスチックの廃棄の流れの引き取り手である。例えば、施設のオペレーターは、後続の処理のためにこの原料を受け取るために、第3者に支払わなければならない。典型的な後続の処理は、廃棄物からのエネルギの取り出し、仕分け、洗浄及び剥離を含む。しかしながら、システム100は、この廃棄の流れの引き取りをそのまま処理として許容し、混合プラスチックを溶融し、混合し、可燃性物質の上に押出成形して、廃棄物施設や製鋼炉やセメント炉等のエネルギで一緒に燃焼させる。
【0058】
・システム100は、混合プラスチックを導入し、これを溶融する能力を有する。その混合プラスチックの組成は、それぞれのプラスチックがシステム100に供給されるときの組成を実際に測定することによっても決定されるし、個々のプラスチックが分離されず混合比の制御なしで混合された状態で放置された廃棄物処理から生じる混合プラスチックを供給することによっても決定される。
【0059】
前述の一般的な例に加えて、以下の具体的な例は、リサイクルできるプラスチックと得られる製品との両方で利用可能な適応性を実証することに関係する。
【0061】
・従来では、動物性脂肪(チーズ)等で汚染されたプラスチックフィルムは、脆弱性を引き起こしてプラスチックを分解する傾向があったのに対して、10%鉱物油(エンジンオイル)を含む50-50HDPE/LDPEは、脆弱しにくい良好なプラスチック製品を製造できることを示す結果を得た。実際、鉱物油は可塑剤として作用するように見える。
・植物油と鉱物油の両方を含むHDPEは、システム100に導入されるのに適しており、それ故、低コストのプラスチックの豊富な供給源として好適である。
・オイルは、プラスチックを分解するとは考えられず、LDPEと同じように可塑剤として実際に作用する。10%オイルは、50%LDPEフィルムと同じ効果が得られる。
・オイルを混入したHDPEは、押出成形によって高価値の製品とすることができた。
・植物油は鉱物油と同じ効果が得られると思われる。
・オイルは、プラスチックと摩擦加熱器145との間の摩擦を低減させたが、溶融速度は、単に摩擦加熱器145の負荷を増大させることによって維持することができた。
・廃油は、何度もリサイクルされる製品にとって効果的に低コストの可塑剤になるかもしれない。
【0062】
付録B−第2実施例のプラスチック混合物データ
2種類の製品の混合物が説明されている。
1. 押出成形又はモールド成形用の混合物であって、耐久性のある製品を製造するためのもの。例えば、パイプ、ポスト、厚板、スペーサー、保護パッケージ(手荷物)、ベアリングパッド(防振、及びその他WPCs(木材プラスチック複合材料)等;及び
2. 押出成形又はモールド成形用の混合物であって、成形又はコーティングされた製品を製造するためのもの。例えば、固形燃料、コーティングされた燃料、カプセル化された廃棄物等。
【0063】
混合組成物を構成する4種類の材料について記載する:
1.主要プラスチック材料は、混合物の基礎を構成する。例えば、HDPE(高密度ポリエチレン)、LDPE(低密度ポリエチレン)、LLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、HIPS(耐衝撃性ポリスチレン)、PET(ポリエチレンテレフタラート);及び
2.主要プラスチック材料への添加剤材料は、混合物の物理的特性(剛性、柔軟性、UV安定性、可塑性、熱膨張率)を向上させる。例えば、鉱物油、植物油、カーボンブラック、クラムラバー及びおがくず等の他の粒状パウダー;添加剤材料は、溶融相とする前に混合物に添加してもよいし、溶融相とした後に添加してもよい;及び
3.混入材料は、主要プラスチック材料と一緒に又は付随して含有させることができる。このとき、混入材料は、最終生成物に特有の値又は有用な特性をもたらさない一方、製造された製品の有用性に大きな損害を与えないように混合物中に配合するようにする。
4.副産物材料は、例えば焼却炉、セメント炉、製鋼炉、火力発電所等の燃焼装置で燃やすのに適切な複合燃料を生成するために、原料混合物でコーティングされたものである。副産物材料は、また、石炭、コークス、木炭、木材、おがくずや、プラスチックや紙製品等の他の可燃性物質といった、従来の固体燃料及び/又は他の可燃性物質を含むものとすることができる。;副産物材料は、溶融相となる前に混合物に添加してもよいし、溶融相とした後に添加してもよい。
【0064】
典型的な混合物を以下の表に示す。
【表2】
【0065】
注釈
1. 耐久性のある製品を製造するための混合物においては、主要プラスチックを様々な比率でブレンドし、剛性や柔軟性等の物理的特性が異なる混合物を製造することができる。
2.成形又はコーティングされた製品を製造するための混合物においては、主要プラスチックは任意の組み合わせによって配合することができる。
3.LDPE及びLLDPEを添加剤材料として混合させ、可塑性を増加させたり、熱で失われたり破壊された可塑剤に置き換えることができる。
4.他のプラスチックは、主要プラスチック以外のプラスチックである。例えば、PS/EPS(ポリスチレン/発泡ポリスチレン)、PVC(ポリ塩化ビニル)、ABS/SAN(アクリロニトリル ブタジエン スチレン/スチレン アクリロニトリル)、PU(ポリウレタン)、ポリエステル、ナイロン及び他の集約ポリマー。
5.関連物質は、混合物中の主要プラスチックを構成する製品に関連する材料又は製品を含む。例えば、プラスチックボトルのプラスチックキャップ及びラベル、接着剤及び接合体(tales on join)、複合物中のアルミニウム箔及び紙製品等。
6.付着物質は、混合物中に主要プラスチックを取り込む前の使用、利用、処理又はハンドリングで主要プラスチックの表面に付着した無関係な材料及び物質を含む。例えば、土壌、草木及び植物材料、食品残渣、オイル、洗剤、石鹸及び他の化学物質等。ただし、動物性脂肪及び潤滑油を除く。
【0066】
解説
実施例:
本明細書における「一実施形態」又は「実施形態」の用語は、実施形態に関連して記載される特定の特徴、構造又は特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書中の様々な箇所に記載された「一実施形態において」又は「実施形態において」の文言は、全て同じ実施形態を示しているとは限らないが、示している可能性もある。また、本開示から当業者に明らかなように、一以上の実施形態において、特定の特徴、構造又は特性は、任意の適切な方法で組み合わせることができる。
【0067】
本発明の例示的な実施形態を上記記載で明らかにすると同時に、開示の合理化を図り、また、本発明の上記実施形態の記載においては、開示を簡易化させ、かつ、1つ以上の多様な発明の態様の理解を助けることを目的として、本発明の様々な特徴を、時には単一の実施形態、図又は説明にまとめている。しかしながら、この方法による開示は、特許請求の範囲に記載される発明が、各請求項に明示的に記載されているよりも多くの特徴を必要とするという意図を反映するものと解釈されるべきではない。むしろ、以下の請求項に反映されているように、発明の態様は、上記で開示された単一の実施形態で示される全ての特徴よりも少ない。したがって、特定の実施形態の詳細な説明に従った特許請求の範囲は、本発明の別個の実施形態として独立している各々の請求項と共に、この詳細な説明の中に明示的に組み込まれている。
【0068】
また、本明細書に記載のいくつかの実施形態は、他の実施形態に含まれない他の特徴を含んでいてもよい。ただし、当業者に理解されるように、異なる実施形態の特徴の組み合わせは、本発明の範囲内であり、また別の実施形態を形成することを意味する。例えば、以下の特許請求の範囲では、クレーム化された実施形態のいくつかを組み合わせて使用することができる。
【0069】
対象の異なる例
本明細書で使用する場合、他の方法で特定されていない限り、共通の対象を説明するための「第1の」、「第2の」、「第3の」等の序形容詞の使用は、対象が異なる例が参照されていることを単に示しており、記載されている対象が、時系列的に、空間的に、ランキング的に又はその他の態様で、指定された順序でなければならないということを意味するものではない。
【0070】
具体的詳細
本明細書の説明には、多数の具体的詳細が記載されている。しかしながら、本発明の実施形態は、それらの具体的詳細なしで実施できることを理解されたい。他の例において、周知の方法、構造及び技術は詳細に示さず、本明細書の理解を曖昧にしないようにしている。
【0071】
用語
図面に示された本発明の好ましい実施形態の記載において、明確化の目的で特定の用語が用いられている。しかしながら、本発明は、そのように選ばれた特定の用語に限定されるものではなく、各々の特定の用語は、同様の技術的目的を達成するために同様に作用する全ての技術的に均等なものを含むことを理解されたい。「前方」、「後方」、「半径方向」、「水平方向」、「上方」、「下方」のような用語は、基準点を与えるための便宜的な用語として使用されており、限定する用語として解釈されるものではない。
【0072】
Comprising及びIncluding
以下の特許請求の範囲及び本発明の上記説明において、言葉又は必要な暗示を表さざるを得ない文脈で必要な場合を除いて、「Comprise」の単語又は「Comprises」、「Comprising」のような変形した単語は、包括的な意味で使用するものであり、例えば、記載された特徴の存在を明示するが、本発明の種々の実施形態におけるさらなる特徴の存在又は追加を排除するものではない。
【0073】
本明細書で使われているincluding、which includes又はthat includesもまた、少なくとも用語に従うが、他の物を排除しない要素/特徴を含むことを意味するオープンな用語である。このように、IncludingはComprisingと同義であり、Comprisingを意味する。
【0074】
本発明の範囲
このように、本発明の好ましい実施形態と考えられるものについて説明したが、当業者は、本発明の主旨から逸脱しない範囲で、他の又はさらなる変更を行うことができること、及び、本発明の範囲に含まれるこのような変更及び修正の全てをクレームする意図であることを理解するであろう。例えば、上記のいくつかの形態は、使用することができる手順の単なる代表例である。ブロック図に機能が追加されてもよく、削除されてもよい。また、機能ブロック図の間で処理が交換されてもよい。本発明の範囲内で記載された方法によって、ステップが追加されてもよく、削除されてもよい。
【0075】
特定の実施例を参照して本発明を説明したが、本発明は多くの他の形態で実施され得ることが、当業者によって理解されるであろう。