特許第6364080号(P6364080)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6364080
(24)【登録日】2018年7月6日
(45)【発行日】2018年7月25日
(54)【発明の名称】かど部品を備える密封断熱容器
(51)【国際特許分類】
   F17C 3/04 20060101AFI20180712BHJP
   B65D 90/04 20060101ALI20180712BHJP
   B65D 90/02 20060101ALI20180712BHJP
   B63B 25/16 20060101ALI20180712BHJP
   B63B 27/24 20060101ALI20180712BHJP
   B63B 27/30 20060101ALI20180712BHJP
【FI】
   F17C3/04 A
   B65D90/04 A
   B65D90/02 B
   B63B25/16 103
   B63B27/24 A
   B63B27/30
【請求項の数】23
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2016-533943(P2016-533943)
(86)(22)【出願日】2014年8月14日
(65)【公表番号】特表2016-532066(P2016-532066A)
(43)【公表日】2016年10月13日
(86)【国際出願番号】FR2014052094
(87)【国際公開番号】WO2015022473
(87)【国際公開日】20150219
【審査請求日】2017年7月27日
(31)【優先権主張番号】1358031
(32)【優先日】2013年8月15日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】515220317
【氏名又は名称】ギャズトランスポルト エ テクニギャズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ボワイオー マルク
【審査官】 矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭52−121811(JP,A)
【文献】 特開平09−126393(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3175526(JP,U)
【文献】 実開昭51−023995(JP,U)
【文献】 特開昭56−020897(JP,A)
【文献】 特表平07−500406(JP,A)
【文献】 特開昭59−170367(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F17C 1/00−13/12
B65D 88/00−90/66
B63B 1/00−69/00
B63J 1/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多角形の支持構造に組み込むための密封断熱タンクであって、前記タンクは、複数の平面タンク壁を含み、各タンク壁は、少なくとも1つの断熱バリア(2)と、少なくとも1つの密封メンブレン(3)とを含み、前記断熱バリアは、複数の断熱要素を備え、各断熱要素は、断熱発泡体のブロックを含み、前記断熱バリアは、前記密封メンブレンを形成するために互いに密封的に固定された複数の密封金属プレート(5)を担持している、密封断熱タンクであって、第1のタンク壁(6)と隣接する第2のタンク壁(7)とがエッジ(8)を形成し、前記タンクはさらに、前記エッジのレベルに配置された密封されたかど片(32)を含み、前記かど片は、
−前記エッジに沿って配置された板金かど山形鋼(37)であって、前記第1のタンク壁の前記密封メンブレンの平面に延在する第1のセクション(58)と、前記第2のタンク壁の前記密封メンブレンの平面に延在する第2のセクション(59)とを含む、板金かど山形鋼(37)と、
−第1の補強フランジ(35)および第2の補強フランジ(36)であって、各補強フランジは、それぞれのメンブレン・セクション(46,54)と、それぞれのアンカー・セクション(47,55)とを含む、第1の補強フランジ(35)および第2の補強フランジ(36)と、
−第1のロック片(33)および第2のロック片(34)とを含み、
前記かど山形鋼の前記第1のセクションと前記第2のセクションまたは前記かど片の前記第1の補強フランジと前記第2の補強フランジは、一方では前記第1のタンク壁の前記密封メンブレンの金属エッジ・プレートに、もう一方では前記第2のタンク壁の前記密封メンブレンの金属エッジ・プレートに密封的に固定されており、前記タンクにおいて、
−前記第1のタンク壁の前記断熱バリアは、前記エッジに沿って前記断熱発泡体のブロックに形成された、第1の隙間(22)を含み、
−前記第2のタンク壁の前記断熱バリアは、前記エッジに沿って前記断熱発泡体のブロックに形成された、第2の隙間(23)を含み、前記第1の隙間と前記第2の隙間とは、前記エッジに沿って配置された溝(30)を一緒に形成し、
−前記第1の補強フランジの前記メンブレン・セクションは、前記かど山形鋼の前記第1のセクションと前記第1のタンク壁の前記断熱バリアまたは前記第1のロック片との間で前記第1のタンク壁の前記密封メンブレンの前記平面に延在し、前記かど山形鋼の前記第1のセクションは、前記第1の補強フランジの前記メンブレン・セクションに固定され、
−前記第2の補強フランジの前記メンブレン・セクションは、前記かど山形鋼の前記第2のセクションと前記第2のタンク壁の前記断熱バリアまたは前記第2のロック片との間で前記第2のタンク壁の前記密封メンブレンの前記平面に延在し、前記かど山形鋼の前記第2のセクションは、前記第2の補強フランジの前記メンブレン・セクションに固定され、
−前記第1の補強フランジの前記アンカー・セクション、前記第2の補強フランジの前記アンカー・セクション、および前記ロック片は、前記溝内に収容され、
−前記第1のロック片は、前記第1の隙間内で前記第1のタンク壁の前記断熱バリアに固定され、前記第1の補強フランジの前記メンブレン・セクションで覆われた上部表面(38)を有し、
−前記第2のロック片は、前記第2の隙間内で前記第2のタンク壁の前記断熱バリアに固定され、前記第2の補強フランジの前記メンブレン・セクションで覆われた上部表面(42)を有し、
−前記第1の補強フランジの前記アンカー・セクションと、前記第2の補強フランジの前記アンカー・セクションは、それぞれ、前記かど片が嵌合しているときに、前記第1のロック片と前記第2のロック片との間に配置され、前記第1の補強フランジの前記メンブレン・セクションおよび前記第2の補強フランジの前記メンブレン・セクションから前記溝(31)の底部にまで延在する、連結セクション(49,56)を含み、
−前記第1の補強フランジの前記アンカー・セクションと、前記第2の補強フランジの前記アンカー・セクションは、それぞれ、前記第1のロック片(41)の下部面と前記第2のロック片(45)の下部面のそれぞれに対してそれぞれ屈曲され、前記溝の前記底部に配置された、タブ(50,57)を含み、
−前記第1の補強フランジの前記タブは、前記第1のロック片の前記下部面に固定され、前記第2の補強フランジの前記タブは、前記第2のロック片の前記下部面に固定されている、タンク。
【請求項2】
−前記第1の隙間は、一方では前記タンク壁の厚さ方向に延在する内側側表面(26)を含み、もう一方では底部(24)を含み、
−前記第2の隙間は、一方では前記タンク壁の厚さ内に延在する内側側表面(27)を含み、もう一方では底部(25)を含み、前記第1の隙間の前記底部と前記第2の隙間の前記底部とは、前記溝の前記底部を一緒に形成しており、
−前記第1のロック片は、前記第2のロック片の反対側に外側側表面(39)を含み、前記第1のロック片の前記外側側面は、前記第1の隙間の前記内側側面に固定されており、
−前記第2のロック片は、第1のロック片の反対側に外側側表面(43)を含み、前記第2のロック片の前記外側側面は、前記第2の隙間の前記内側側面に固定されており、
−前記第1のロック片の前記下部面と前記第1の補強フランジの前記タブとは、前記第1の隙間の前記底部に固定されており、
−前記第2のロック片の前記下部面と前記第2の補強フランジの前記タブとは、前記第2の隙間の前記底部に固定されている、
請求項1に記載のタンク。
【請求項3】
前記第1のロック片の前記下部面と、前記第2のロック片の前記下部面は、それぞれ座ぐり部(63,71)を含み、前記第1の補強フランジの前記タブと前記第2の補強フランジの前記タブがそれぞれ前記座ぐり部に収容され、前記座ぐり部を含まない前記第1のロック片の前記下部面(65)の表面は、前記第1の隙間の前記底部(24)に固定され、前記座ぐり部を含まない前記第2のロック片の前記下部面(72)の表面は、前記第2の隙間の前記底部(25)に固定されている、請求項1または請求項2のいずれか一項に記載のタンク。
【請求項4】
前記第1のロック片は、前記エッジに対して垂直に前記ロック片に係合する機械的要素(70,67)によって、前記第2のロック片に接続されている、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のタンク。
【請求項5】
前記機械的要素は、ナット(67)と組み合わされたねじ(70)を含む、請求項4に記載のタンク。
【請求項6】
−各ロック片は、前記エッジに沿って延在する細長い梁を備え、前記第1のロック片の前記梁は、前記第2のロック片の前記梁と平行に延在し、
−複数の機械的要素が、前記第1のロック片と前記第2のロック片とを前記梁に沿って接続し、
−前記補強フランジの前記アンカー・セクションは、2つの連続する機械的要素間で前記第1のロック片と前記第2のロック片との間に延在し、前記機械的要素のレベルで中断されている、
請求項4または請求項5のいずれか一項に記載のタンク。
【請求項7】
前記タンクの各壁が、前記タンクの内部から前記タンクの外部に向けて、
−互いに密封的に固定された前記複数の密封金属プレートで形成された、一次密封メンブレンと、
−一次断熱バリアと、
−複合膜の層で形成された、二次密封メンブレンと、
−二次断熱バリアとを含み、
前記一次断熱バリアと前記二次断熱バリアは、それぞれ、並置された断熱発泡体のブロックを含み、前記一次断熱バリアの前記発泡体ブロックは、前記二次密封メンブレンに接着され、前記二次密封メンブレンは、前記二次断熱バリアの前記発泡体ブロックに接着され、前記第1のタンク壁の前記一次断熱バリアの前記発泡体ブロックは、前記エッジに沿って配置された前記第1の隙間を含み、前記第2のタンク壁の前記一次断熱バリアの前記発泡体ブロックは、前記エッジに沿って配置された前記第2の隙間を含んでいる、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のタンク。
【請求項8】
前記第1の隙間と前記第2の隙間は、前記第1のタンク壁と前記第2のタンク壁それぞれの前記一次断熱バリアの前記断熱発泡体のブロックの厚さ全体に形成されるので、前記溝の前記底部は、前記第1のタンク壁と前記第2のタンク壁それぞれの前記二次密封メンブレンの前記密封複合膜層で形成されている、請求項7に記載のタンク。
【請求項9】
前記かど山形鋼は、互いに固定された下部かどシートとそれに重なる上部かどシートとを含み、前記補強フランジの前記メンブレン・セクションは、前記下部かどシートに固定され、前記上部かどシートの前記第1のセクションと前記第2のセクションは、前記第1のタンク壁と前記第2のタンク壁それぞれの前記一次密封メンブレンの前記エッジ・プレートと共働する、請求項8に記載のタンク。
【請求項10】
前記第1のロック片は、前記第1のタンク壁の平面に、前記一次断熱バリアの厚さよりも大きい長さを有し、前記第2のロック片は、前記第2のタンク壁の平面に、前記一次断熱バリアの厚さよりも大きい長さを有している、請求項7から請求項9のいずれか一項に記載のタンク。
【請求項11】
前記タンクは、全体的に多角筒形であり、前記タンクの前記平面壁は、多角形の底部壁と、前記多角形の底部壁の各辺からそれぞれ立ち上がっている前記底部壁の周囲の複数の周縁側壁とを含み、前記タンクは、複数の前記かど片を含み、各かど片は、前記底部壁の一辺とそれに対応する前記側壁との間に形成されたエッジのレベルに配置されている、請求項1から請求項10のいずれか一項に記載のタンク。
【請求項12】
前記第1のタンク壁の前記断熱バリアと前記第2のタンク壁の前記断熱バリアは、それぞれ、前記タンク壁の厚さ方向に互いに平行に延在するエッジ表面を有し、前記第1のタンク壁の前記断熱バリアの前記エッジ表面と前記第2のタンク壁の前記断熱バリアの前記エッジ表面とは、互いに固定されておらず、前記第1のロック片と前記第2のロック片とを接続する前記機械的要素は、前記断熱バリアの前記エッジ表面に対し垂直方向に弾性変形するので、前記第1のロック片と前記第2のロック片との間の接続は弾性である、請求項4から請求項6のいずれか一項に記載のタンク。
【請求項13】
前記第1のタンク壁の前記断熱バリアと前記第2のタンク壁の前記断熱バリアは、それぞれ、前記タンク壁の厚さ方向に互いに平行に延在するエッジ表面(12,13)を有し、前記第1のタンク壁の前記断熱バリアの前記エッジ表面と前記第2のタンク壁の前記断熱バリアの前記エッジ表面とは、互いに接着されている、請求項1から請求項11のいずれか一項に記載のタンク。
【請求項14】
前記補強フランジのうちの一方の前記アンカー・セクションは、前記エッジに対し垂直な平面に、前記補強フランジの前記連結セクションと前記タブとを接続するスチフナを含み、前記補強フランジの前記メンブレン・セクションで覆われた前記ロック片は、前記スチフナが収容される溝を含んでいる、請求項1から請求項13のいずれか一項に記載のタンク。
【請求項15】
複数のスチフナ(81)が、各補強フランジに配置され、前記タブと前記連結セクションとの間の屈曲部に沿って等間隔に離間され、各ロック片は、前記複数のスチフナが収容される複数の溝を含んでいる、請求項14に記載のタンク。
【請求項16】
前記山形鋼は、連続的な金属シートであり、前記かど片の前記山形鋼および前記補強フランジは、低膨張係数の板金で作製されている、請求項1から請求項15のいずれか一項に記載のタンク。
【請求項17】
前記第1の補強フランジの前記タブと前記第2の補強フランジの前記タブは、それぞれ前記第1のロック片と前記第2のロック片に、ねじで固定されている、請求項1から請求項16のいずれか一項に記載のタンク。
【請求項18】
前記第1のタンク壁の前記密封メンブレンは、前記かど山形鋼の前記第1のセクションに密封的に固定され、前記第2のタンク壁の前記密封メンブレンは、前記かど山形鋼の前記第2のセクションに密封的に固定されている、請求項1から請求項17のいずれか一項に記載のタンク。
【請求項19】
前記かど山形鋼(37)は、前記エッジ(8)の軸線に沿って、前記かど片(32)の外部に向けて前記ロック片を越えて延在している、請求項1から請求項18のいずれか一項に記載のタンク。
【請求項20】
前記かど山形鋼(37)は、前記タンクの内部に向けられ、かつ前記エッジ(8)に対し垂直に展開されている波(101)を含んでいる、請求項1から請求項19のいずれか一項に記載のタンク。
【請求項21】
低温液体製品の輸送用の船(86)であって、二重船殻(88)と、前記二重船殻内に配置された請求項1から請求項20のいずれか一項に記載のタンク(87)とを含む、船。
【請求項22】
請求項21に記載の船(86)の船積みまたは陸揚げの方法であって、低温液体製品が、断熱パイプ(91,95)経由で、浮体貯蔵設備(92)もしくは陸上貯蔵設備(92)から船のタンク(87)に、又は船のタンク(87)から浮体貯蔵設備(92)もしくは陸上貯蔵設備(92)に送られる、方法。
【請求項23】
低温液体製品の移送システムであって、請求項21に記載の船(86)と、前記船の前記船殻内に設置された前記タンク(87)を浮体貯蔵設備または陸上貯蔵設備に接続するように配置された断熱パイプ(91,95)と、低温液体製品のフローを前記断熱パイプ経由で前記浮体貯蔵設備もしくは前記陸上貯蔵設備から前記船の前記タンクに、又は前記船の前記タンクから前記浮体貯蔵設備もしくは前記陸上貯蔵設備に駆動するためのポンプとを含む、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、密封断熱容器の製造分野に関する。詳細には、本発明は、低温液体を収容するためのタンク、たとえば液化ガスを貯蔵および/または海上輸送するためのタンクに関する。
【背景技術】
【0002】
密封断熱タンクは、様々な産業で高温または低温製品を貯蔵するのに使用され得る。たとえば、エネルギー分野では、液化天然ガス(LNG)は、陸上の貯蔵タンク内または浮体構造に搭載されたタンク内で、大気圧でおよそ−163℃で貯蔵され得る液体である。そのような搭載タンクの目的は、たとえばLNGの輸送または船の推進機械への燃料供給であり得る。
【0003】
そのようなタンクの1つが、仏国特許出願公開第2691520号の文書に記載されている。そのタンクは、長手方向に隣接してエッジを形成している複数の面を含む支持構造内に組み込まれる。タンクの壁は、複数の波形プレートを含む密封メンブレンを含む。プレートの波形は、タンク内部に向けて延在しており、短手方向に変形して、密封メンブレンを支持するタンクの壁要素のあらゆる変形またはメンブレンの熱変形に弾性的に追従する。メンブレンは、エッジのレベルに、可撓性のかど片を含む。これらのかど片は、エッジを形成するタンクの2つの壁によって担持されるメンブレンの波形プレートに設けられた波に相補的な波を有するセクションを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】仏国特許出願公開第2691520号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明のある基本概念は、容易に作製でき、様々なタンクの形状に合わせやすく、密封メンブレンが受ける力に有効に耐える、タンク密封メンブレンのかど片の製造を可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態によると、本発明は、多角形支持構造内に組み込むための密封断熱タンクを提供し、タンクは、複数の平面タンク壁を含み、各タンク壁は、少なくとも1つの断熱バリアと、少なくとも1つの密封メンブレンとを含み、該断熱バリアは、複数の断熱要素を備え、各断熱要素は、断熱発泡体のブロックを含み、該断熱バリアは、密封メンブレンを形成するために互いに密封的に固定された複数の密封金属プレートを担持し、ここで第1のタンク壁と隣接する第2のタンク壁とがエッジを形成し、タンクはさらに、エッジのレベルに配置された、密封されたかど片を含み、かど片は、
−エッジに沿って配置された板金かど山形鋼であって、第1のタンク壁の密封メンブレンの平面に延在する第1のセクションと、第2のタンク壁の密封メンブレンの平面に延在する第2のセクションとを含む、かど山形鋼と、
−第1の補強フランジおよび第2の補強フランジであって、各補強フランジは、それぞれのメンブレン・セクションと、それぞれのアンカー・セクションとを含む、第1の補強フランジおよび第2の補強フランジと、
−第1のロック片および第2のロック片とを含み、
かど山形鋼の第1のセクションと第2のセクションまたはかど片の第1の補強フランジと第2の補強フランジは、一方では第1のタンク壁の密封メンブレンの金属エッジ・プレートに、もう一方では第2のタンク壁の密封メンブレンの金属エッジ・プレートに密封的に固定されており、該タンクにおいて、
−第1のタンク壁の断熱バリアは、エッジに沿って断熱発泡体のブロックに形成された、第1の隙間を含み、
−第2のタンク壁の断熱バリアは、エッジに沿って断熱発泡体のブロックに形成された、第2の隙間を含み、第1の隙間と第2の隙間とは、エッジに沿って配置された溝を一緒に形成し、
−第1の補強フランジのメンブレン・セクションは、かど山形鋼の第1のセクションと第1のタンク壁の断熱バリアまたは第1のロック片との間で第1のタンク壁の密封メンブレンの平面に延在し、かど山形鋼の第1のセクションは、第1の補強フランジのメンブレン・セクションに固定され、
−第2の補強フランジのメンブレン・セクションは、かど山形鋼の第2のセクションと第2のタンク壁の断熱バリアまたは第2のロック片との間で第2のタンク壁の密封メンブレンの平面に延在し、かど山形鋼の第2のセクションは、第2の補強フランジのメンブレン・セクションに固定され、
−第1の補強フランジのアンカー・セクション、第2の補強フランジのアンカー・セクション、およびロック片は、溝内に収容され、
−第1のロック片は、第1の隙間内で第1のタンク壁の断熱バリアに固定され、第1の補強フランジのメンブレン・セクションで覆われた上部表面を有し、
−第2のロック片は、第2の隙間内で第2のタンク壁の断熱バリアに固定され、第2の補強フランジのメンブレン・セクションで覆われた上部表面を有し、
−第1の補強フランジのアンカー・セクションと、第2の補強フランジのアンカー・セクションは、それぞれ、かど片が嵌合しているときに、2つのロック片間に配置され、第1の補強フランジのメンブレン・セクションおよび第2の補強フランジのメンブレン・セクションから溝の底部にまで延在する、連結セクションを含み、
−第1の補強フランジのアンカー・セクションと第2の補強フランジのアンカー・セクションは、それぞれ、第1のロック片の下部面と第2のロック片の下部面のそれぞれに対してそれぞれ屈曲された、溝の底部に配置された、タブを含み、
−第1の補強フランジのタブは、第1のロック片の下部面に固定され、第2の補強フランジのタブは、第2のロック片の下部面に固定されている。
【0007】
そのようなタンクの実施形態は、以下の特徴を1つ以上含み得る。
【0008】
一実施形態によると、
−第1の隙間は、一方ではタンク壁の厚さ方向に延在する内側側表面を含み、もう一方では底部を含み、
−第2の隙間は、一方ではタンク壁の厚さ内に延在する内側側表面を含み、もう一方では底部を含み、第1の隙間の底部と第2の隙間の底部とは、溝の底部を一緒に形成し、
−第1のロック片は、第2のロック片の反対側に外側側表面を含み、第1のロック片の外側側面は、第1の隙間の内側側面にたとえば接着されて固定され、
−第2のロック片は、第1のロック片の反対側に外側側表面を含み、第2のロック片の外側側面は、第2の隙間の内側側面にたとえば接着されて固定され、
−第1のロック片の下部面と第1の補強フランジのタブとは、第1の隙間の底部にたとえば接着されて固定され、
−第2のロック片の下部面と第2の補強フランジのタブとは、第2の隙間の底部にたとえば接着されて固定されている。
【0009】
一実施形態によると、第1のロック片の下部面と第2のロック片の下部面は、それぞれ座ぐり部を含み、第1の補強フランジのタブと第2の補強フランジのタブがそれぞれ収容されている。座ぐり部を含まない第1のロック片の下部面の表面は、第1の隙間の底部に固定され、座ぐり部を含まない第2のロック片の下部面は、第2の隙間の底部に固定されている。
【0010】
一実施形態によると、第1のロック片は、エッジに対し垂直にロック片に係合する機械的要素によって、第2のロック片に接続している。
【0011】
一実施形態によると、機械的要素は、ナットと組み合わされたねじを含む。
【0012】
一実施形態によると、
−各ロック片は、エッジに沿って延在する細長い梁を備え、第1のロック片の梁は、第2のロック片の梁と平行に延在し、
−複数の機械的要素が、第1のロック片と第2のロック片とを梁に沿って接続し、
−補強フランジのアンカー・セクションは、2つの連続する機械的要素間で2つのロック片間に延在し、機械的要素のレベルで中断されている。
【0013】
一実施形態によると、第1のタンク壁の断熱バリアと第2のタンク壁の断熱バリアは、それぞれ、タンク壁の厚さ方向に互いに平行に延在するエッジ表面を有し、第1のタンク壁の断熱バリアのエッジ表面と第2のタンク壁の断熱バリアのエッジ表面とは、互いに固定されている。
【0014】
一実施形態によると、第1のタンク壁の断熱バリアのエッジ表面と第2のタンク壁の断熱バリアのエッジ表面とは、互いに接着されている。
【0015】
一実施形態によると、第1のタンク壁の断熱バリアと第2のタンク壁の断熱バリアは、それぞれ、タンク壁の厚さ方向に互いに平行に延在するエッジ表面を有し、第1のタンク壁の断熱バリアのエッジ表面と第2のタンク壁の断熱バリアのエッジ表面とは、互いに固定されていない。
【0016】
一実施形態によると、第1のロック片と第2のロック片とを接続する機械的要素は、第1のタンク壁の断熱バリアのエッジ表面と第2のタンク壁の断熱バリアのエッジ表面に対し垂直方向に弾性変形するので、第1のロック片と第2のロック片間の接続は弾性である。
【0017】
一実施形態によると、補強フランジのうちの一方のアンカー・セクションは、エッジに対し垂直な平面に、補強フランジの連結セクションとタブとを接続するスチフナを含み、該補強フランジのメンブレン・セクションで覆われたロック片は、スチフナが収容される溝を含む。
【0018】
一実施形態によると、複数のスチフナが各補強フランジに配置され、タブと連結セクションとの間の屈曲部に沿って等間隔に離間され、各ロック片は、複数のスチフナが収容される溝を含む。
【0019】
一実施形態によると、ロック片は、高密度の発泡体で作製される。
【0020】
一実施形態によると、ロック片は、木製である。
【0021】
一実施形態によると、山形鋼は、連続的な金属シートである。
【0022】
一実施形態によると、かど片の山形鋼および補強フランジは、低膨張係数の板金で作製される。
【0023】
一実施形態によると、第1の補強フランジのタブと第2の補強フランジのタブは、それぞれ第1のロック片と第2のロック片に、ねじで固定されている。
【0024】
一実施形態によると、各壁の断熱バリアは、断熱発泡体のブロックと、木製パネルとを含み、木製パネルは、断熱発泡体のブロックの上部面を覆っている。
【0025】
一実施形態によると、第1のタンク壁の密封メンブレンは、かど山形鋼の第1のセクションに密封的に固定され、第2のタンク壁の密封メンブレンは、かど山形鋼の第2のセクションに密封的に固定されている。
【0026】
一実施形態によると、かど山形鋼は、エッジの軸線に沿って、かど片の外部に向けてロック片を越えて延在している。
【0027】
一実施形態によると、かど山形鋼は、タンクの内部に向けられ、かつエッジに対し垂直に延在している、波を含む。
【0028】
一実施形態によると、タンクの各壁は、タンク内部からタンク外部に向けて、
−互いに密封的に固定された複数の密封金属プレートで形成された、一次密封メンブレンと、
−一次断熱バリアと、
−複合膜の層で形成された、二次密封メンブレンと、
−二次断熱バリアとを含み、
一次断熱バリアと二次断熱バリアは、それぞれ、並置された断熱発泡体のブロックを含み、一次断熱バリアの発泡体ブロックは、二次密封メンブレンに接着され、二次密封メンブレンは、二次断熱バリアの発泡体ブロックに接着され、第1のタンク壁の一次断熱バリアの発泡体ブロックは、エッジに沿って配置された第1の隙間を含み、第2のタンク壁の一次断熱バリアの発泡体ブロックは、エッジに沿って配置された第2の隙間を含んでいる。
【0029】
一実施形態によると、第1の隙間と第2の隙間は、第1のタンク壁と第2のタンク壁それぞれの一次断熱バリアの断熱発泡体のブロックの厚さ全体に形成されるので、溝の底部は、第1のタンク壁と第2のタンク壁それぞれの二次密封メンブレンの密封複合膜層で形成されている。
【0030】
一実施形態によると、かど山形鋼は、互いに固定された下部かどシートとそれに重なる上部かどシートとを含み、補強フランジのメンブレン・セクションは、下部かどシートに固定され、上部かどシートの第1のセクションと第2のセクションは、第1のタンク壁と第2のタンク壁それぞれの一次密封メンブレンのエッジ・プレートと共働する。
【0031】
一実施形態によると、第1のロック片は、第1のタンク壁の平面に、一次断熱バリアの厚さよりも大きい長さを有し、第2のロック片は、第2のタンク壁の平面に、一次断熱バリアの厚さよりも大きい長さを有する。
【0032】
一実施形態によると、タンクは、全体的に多角筒形を有し、タンクの平面壁は、多角形の底部壁と、多角形の底部壁の各辺からそれぞれ立ち上がっている底部壁の周囲の複数の周縁側壁とを含み、タンクは、複数の上記かど片を含み、各かど片は、底部壁の一辺とそれに対応する側壁との間に形成されたエッジのレベルに配置されている。
【0033】
そのようなタンクは、たとえばLNGを貯蔵するための陸上貯蔵設備の一部を形成し得、またはよく知られるところではメタン・タンカー、浮体式貯蔵再ガス化設備(FSRU)、浮体式生産貯蔵積出設備(FPSO)といった近海または沖合の浮体構造内に設置され得る。
【0034】
一実施形態によると、低温液体製品の輸送用の船が、二重船殻と、二重船殻内に配置された前述のタンクのいずれか1つとを含む。
【0035】
一実施形態によると、本発明は、そのような船の船積みまたは陸揚げの方法も提供し、低温液体製品は、断熱パイプ経由で、浮体貯蔵設備もしくは陸上貯蔵設備からもしくはそこに、船のタンクにもしくはそこから、送られる。
【0036】
一実施形態によると、本発明は、低温液体製品の移送システムも提供し、システムは、前述の船と、船殻内に設置されたタンクを浮体貯蔵設備もしくは陸上貯蔵設備に接続するように配置された断熱パイプと、低温液体製品のフローを断熱パイプ経由で浮体貯蔵設備もしくは陸上貯蔵設備からもしくはそこに、船のタンクにもしくはそこから駆動するためのポンプとを含む。
【発明の効果】
【0037】
本発明のいくつかの態様は、密封メンブレンに負荷がかかる様々な状況に耐えるかど片を提供するという概念に基づく。本発明の別の態様は、二重密封メンブレンを有するタンクの、そのようなかど片の製造を可能にすることであって、該かど片は、一次メンブレンにも二次メンブレンにも使用され得る。本発明の一態様は、エッジを形成する2つの隣接するタンク壁の断熱バリア間の可撓性の接続を可能にするという概念に基づく。本発明の一態様は、熱応力によってもたらされるかど片にかかる負荷を減じることである。本発明の別の態様は、ロック片と断熱バリアとの間のしっかりした接続を可能にすることである。このために、本発明の一態様は、ロック片と断熱バリアとの間の固定がせん断力ではなく牽引力の中で働くことを選択するという概念に基づく。
【0038】
例示的な単なる非限定的な例として提供される本発明の具体的な実施形態の添付図面を参照しながら、以下の説明を読んでいくと、本発明をよりよく理解でき、本発明の他の目的、詳細、特徴、および利点がより明白になる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】密封断熱貯蔵タンクの断熱バリア内に固着されたかど片を含む、該タンクの2つの長手方向壁間のかど部の図3の線I−IIにおける断面図である。
図2図1のかど片の概略分解斜視図である。
図3図2のかど片の嵌合時の概略斜視図である。
図4】別の実施形態のかど片の嵌合時の概略斜視図である。
図5図3の線IV−IVにおける、つまり第1のロック片と第2のロック片とを接続する機械的要素のレベルでの図1のタンクかど部の断面図である。
図6】二重断熱バリアと二重密封メンブレンとを含み、図2および図3のかど片が各密封メンブレンに設けられている、タンクかど部の断面図である。
図7】第2の実施形態によるかど片が使用されている、図6のタンクかど部の切欠き斜視図である。
図8】一次バリアがかど部のレベルで省略されて、二次バリアが見えるようにされている、図6のタンクかど部の切欠き斜視図である。
図9】別の実施形態による複数のかど山形鋼を含んでいる、図8のタンクかど部の一変形実施形態の概略切欠き斜視図である。
図10】メタン・タンカーに組み込まれた密封断熱タンク、およびそのタンクの積載/荷揚げのためのターミナルの概略切欠き図である。
図11】別の実施形態によるタンクの2つの垂直壁間のかど部に使用されるプレハブ式かど要素から山形鋼が省略されている、概略分解斜視図である。
図12図11の2つのプレハブ式かど要素の組立体の概略部分斜視図である。
図13】下部山形鋼が補強フランジに固定されている、嵌合時の図11のプレハブ式かど要素の概略部分斜視図である。
図14】エッジと周縁かど要素に隣接する断熱ブロックに沿って山形鋼が配置されている図11の実施形態によるプレハブ式かど要素を用いるタンクかど部から一次メンブレンが省略されている、概略断面斜視図である。
図15図11の実施形態によるプレハブ式かど要素を含み、一次メンブレンの一部を示している、多角柱形タンクの多角形底部壁と側壁との間のかど部の部分斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
メタン・タンカーの二重船殻の内壁で構成される支持構造の枠内で各図面を説明する。そのような支持構造は、角柱構造を有する。より具体的には、長手方向壁が、船の長手方向と平行に延在して、船の長手方向に対し垂直な平面に多角形断面を形成する。長手方向壁同士は、たとえば八角形の形状寸法では約135度の角度を形成する長手方向エッジで接合している。
【0041】
支持構造の長手方向壁は、船の長手方向に対し垂直な短手方向支持壁によって、船の長手方向に中断される。長手方向壁と短手方向壁とは、前側エッジと後側エッジのレベルで接合している。
【0042】
図1を参照すると、支持構造(図示せず)の各壁が、タンク壁を担持する。各タンク壁は、密封メンブレン3を担持する少なくとも1つの断熱バリア2を備える。
【0043】
1つの断熱バリア2は、複数の断熱要素(図示せず)で構成される。各断熱要素は、合板パネルが取り付けられた断熱発泡体のブロックを含む。これら断熱要素は、規則的な長方形のメッシュ・パターンにしたがって支持構造の壁の全表面に並置されて、密封メンブレン3が固着される平面表面を形成する。アンカー部材(図示せず)が、断熱要素を支持構造に押し付けて保持する。そのようなアンカー部材は、仏国特許出願公開第2691520号明細書に明白に記載されている。アンカー部材は、支持構造に溶接されたピン(図示せず)によって支持構造に固定される。断熱バリア2の断熱要素は、平行直線または蛇行線を形成するマスチック・ビーズを介して支持壁に載っている。
【0044】
密封メンブレン3は、一部重複して互いに並置される複数の金属プレート5で構成される。これら金属プレート5は、密封メンブレン3を密封するために、互いに溶接されている。タンクが受ける様々な負荷に応答して、特に−163℃のLNGをタンクに積載することで生じる熱収縮に応答して、密封メンブレン3が変形できるように、金属プレート5は、タンク内部に向けられた複数の波形を含む。これら波形は、密封メンブレン3の密封を維持するために、これら負荷に応答して変形する。
【0045】
慣例によって、地球重力場に対するタンク壁の相対的な向きにかかわらず、タンクの要素に用いられる「上部の(upper)」という形容詞は、その要素のその部分がタンク内部に向いていることを示し、「下部の(lower)」という形容詞は、その要素のその部分がタンク外部に向いていることを示す。同様に、地球重力場に対するタンク壁の相対的な向きにかかわらず、「上方の(above)」という用語は、タンク内部に近いほうの位置を示し、「下方の(below)」という用語は、支持構造1に近いほうの位置を示す。
【0046】
図1は、密封断熱貯蔵タンクの断熱バリア内に固着されたかど片を含む、船の長手方向エッジのレベルでの該タンクのかど部の断面詳細図である。
【0047】
第1の長手方向タンク壁6と、隣接する第2の長手方向タンク壁7とが、タンクの長手方向エッジ8を一緒に形成する。エッジ8のレベルで断熱バリア2の連続性を確保するために、断熱かど要素9,10が、2つのタンク壁6および7によって形成される二分面11の両側で断熱バリア2内に配置される。第1のタンク壁6のかど断熱要素9のエッジ面12が、エッジ8に沿って、第2のタンク壁7のかど断熱要素10のエッジ面13と接合される。かど要素9,10はしたがって、二分面11の両側から互いに隣接している。かど要素9,10はそれぞれ、断熱発泡体のブロック14,15を含む。この断熱発泡体のブロック14,15は、たとえば高密度ウレタン発泡体のブロックであり、たとえば約130kg/mの密度を有する。かど断熱要素9,10はまた、合板パネル16,17を含む。この合板パネル16,17は、断熱発泡体ブロック14,15それぞれの上部面18,19それぞれに配置される。かど要素9,10は、支持構造(図示せず)の壁と平行に延在する。かど要素9,10は、第1のタンク壁6と第2のタンク壁7それぞれに隣接するその他の断熱要素(図示せず)から独立している。
【0048】
各かど断熱要素9,10は、切抜き部を含む。この切抜き部は、二分面11に隣接する、かど断熱要素9,10の上部長手方向エッジ20,21に沿って作製される。これらかど断熱要素9,10の切抜き部は、それぞれの半溝22,23を定める。各半溝22,23は、二分面11に対し垂直な平面に存在する底部24,25を含む。各半溝22,23は、二分面11と平行な平面に存在する内側側面26,27を含む。各半溝22,23の内側側面26,27は、半溝の底部24,25からかど断熱要素9,10の上部面28,29にまで延在する。半溝22,23を形成する切抜き部は、断熱発泡体のブロック14,15および合板パネル16,17に作られる。この2つの半溝22,23は、二分面11について対称であり、一緒に溝30を形成する。第1の半溝22の底部24と第2の半溝23の底部25とが、溝の底部31を一緒に形成する。
【0049】
エッジ8のレベルで密封メンブレン3の連続性を確保するために、かど片32が、溝30内に収容される。第1のタンク壁6の金属エッジ・プレート5と第2のタンク壁7の金属エッジ・プレート5の両方が、かど片32に密封的に固定される。そのような密封的な固定は、タンク壁6,7の金属エッジ・プレート5をかど片32にたとえば溶接することでもたらされる。かど片32は、第1のロック片33と第2のロック片34とを含む。かど片32はまた、第1の補強フランジ35と第2の補強フランジ36とを含む。かど片32はさらに、かど山形鋼37を含む。
【0050】
第1のロック片33は、第1の半溝22の形状に相補的な形状を有する。第1のロック片33は、第1の半溝22内をエッジ8に沿って延在する木製梁の形態をとる。第1のロック片33は、第1のタンク壁6のかど断熱要素9の上部面28の平面に存在する上部面38を含む。第1のロック片33は、第1の半溝22の内側側面26に沿って延在する外側側面39を含む。第1のロック片33は、外側側面39の反対側に、二分面11と平行に延在する内側側面40を含む。第1のロック片33は、第1の半溝22の底部24に沿って延在する内部面41を含む。第1のロック片33の外側側面39は、第1の半溝22の内側側面26に、たとえば接着するなどして、固定されることになる。同様に、第1のロック片33の下部面41は、第1の半溝22の底部24に、たとえば接着するなどして、固定されることになる。
【0051】
第2のロック片34の形状は、第2の半溝23の形状に相補的であって、二分面11について第1のロック片33と対称である。したがって、第2のロック片34は、上部面42と、外側側面43と、内側側面44と、下部面45とを有する。同様に、第2のロック片34の外側側面43は、第2の半溝23の内側側面27に、たとえば接着するなどして、固定されることになる。第2のロック片34の下部面45は、第2の半溝23の底部25に、たとえば接着するなどして、固定されることになる。
【0052】
第1の補強フランジ35は、メンブレン・セクション46とアンカー・セクション47とを含む。第1の補強フランジ35は、エッジ8に沿って延在する、屈曲された金属シートの形態をとる。
【0053】
第1の補強フランジ35のメンブレン・セクション46は、第1のタンク壁6の密封メンブレン3の平面に延在する。第1の補強フランジ35のメンブレン・セクション46は、第1のロック片33の上部面38を覆う。メンブレン・セクション46のエッジ48は、第1の補強フランジ35のアンカー・セクション47に接合する。メンブレン・セクション46の第1のエッジ48は、二分面11に隣接している。
【0054】
第1の補強フランジ35のアンカー・セクション47は、連結セクション49とタブ50とを含む。連結セクション49は、二分面11に沿って該二分面11と平行に延在する。連結セクション49の第1のエッジ51が、メンブレン・セクション46のエッジ48に接合される。連結セクション49の第1のエッジ51の反対側の第2のエッジ52は、溝30の底部31に隣接している。第2のエッジ52は、タブ50に接合される。
【0055】
第1の補強フランジ35のアンカー・セクション47のタブ50は、第1のロック片31の下部面41に対して屈曲している。第1の補強フランジ35は、典型的には、第1のロック片33の形状に相補的な形状を有する。第1の補強フランジ35は、第1のロック片33の上部面38、内側側面40、および下部面41に沿う。第1の補強フランジ35は、任意の適切な手段によって、たとえば第1の補強フランジ35のタブ50を第1のロック片33の下部面41にねじ留めすることによって、第1のロック片33に固定されている。このようなねじ留めには、たとえば木ねじ53が使用される。
【0056】
第2の補強フランジ36は、第1の補強フランジ35と同様である。この第2の補強フランジは、メンブレン・セクション54とアンカー・セクション55とを含む。第2の補強フランジ36のアンカー・セクション55は、連結セクション56とタブ57とを含む。
【0057】
第2の補強フランジ36は、二分面11について第1の補強フランジ35と対称であり、第2のロック片34の上部面42、内側側面44、および下部面45の形状に沿う。第2の補強フランジ36は、任意の適切な手段によって、たとえば第2の補強フランジ36のタブ57を第2のロック片34の下部面45にねじ留めすることによって、第2のロック片34に固定されている。
【0058】
かど山形鋼37は、第1のタンク壁6と第2のタンク壁7とによって形成される角度、たとえば135度に屈曲された金属シートの形態をとる。かど山形鋼37は、エッジ8に沿って延在する。かど山形鋼37の第1のセクション58は、第1のタンク壁6の密封メンブレン3の平面に延在する。かど山形鋼37の第2のセクション59は、第2のタンク壁7の密封メンブレン3の平面に延在する。
【0059】
密封メンブレン3の密封を維持するために、第1のタンク壁6の金属エッジ・プレート5は、かど山形鋼37の第1のセクション58に密封的に溶接され、第2のタンク壁7の金属エッジ・プレート5は、かど山形鋼の第2のセクション59に密封的に溶接されている。この実施形態では、かど山形鋼37と補強フランジ35,36と間の固定は密封する必要がなく、密封はかど山形鋼37と金属エッジ・プレート5によって提供される。
【0060】
一変形実施形態では、かど山形鋼37は、補強フランジ35,36に密封的に固定され得る。その場合タンク壁6,7の密封メンブレン3は、補強フランジ35,36に直接密封的に固定され得る。そのような変形の1つは、たとえば図8からわかる。
【0061】
かど山形鋼37の第1のセクション58は、第1の補強フランジ35のメンブレン・セクション46に固定される。第1の補強フランジ35のメンブレン・セクション46は、第1のロック片33の上部面38とかど山形鋼37の第1のセクション58の下部面60との間に配置される。
【0062】
かど山形鋼37の第2のセクション59は、第2の補強フランジ36のメンブレン・セクション54に固定され、第2の補強フランジ36のメンブレン・セクション54は、第2のロック片34の上部面42とかど山形鋼37の第2のセクション59の下部面61との間に配置される。かど山形鋼37は、任意の適当な手段によって、たとえば溶接によって、補強フランジ35,36のメンブレン・セクション46,54に固定される。
【0063】
補強フランジ35,36およびかど山形鋼37は、低膨張係数の板金、たとえばINVAR(登録商標)として知られるニッケル合金から作製される。かど山形鋼37の製造は極めて簡単であるが、これは金属シートを第1のタンク壁6と第2のタンク壁7とで形成される所定の角度、たとえば135°に曲げるだけでよいからである。同様に、補強フランジ35,36の製造も非常に簡単であるが、これも金属シートを所要の角度に曲げるだけでよいからである。第1のシート屈曲操作は、連結セクション49,56とタブ50,57と間の90°の角度の形成を可能にする。第2の屈曲操作は、メンブレン・セクション46,54とアンカー・セクション47,55と間の、二分面11とかど断熱要素9,10の上部面28,29との間に形成される角度に相当する角度の形成を可能にする。
【0064】
同様に、ロック片33,34も簡単に製造できるが、これはそれらが単に、二分面11とかど断熱要素9,10の上部面28,29とによって形成される角度の斜面にされた上部面38,42を有する木製梁だからである。
【0065】
タンク積載時の応力、特にLNGをタンクに積載する際の熱収縮に関する応力をエッジ8のレベルで吸収するために、アンカー片32が溝30内に固着される。そのために、ロック片33,34の外側側面39,43が、半溝22,23の内側側面26,27にそれぞれ接着される。同様に、かど片32の下部面が、溝30の底部31に固定される。最後に、かど断熱ブロック9,10のエッジ面12,13が互いに接着され得る。かど断熱ブロック9,10のエッジ面12,13間のそのような接着は、連続的であっても断続的であってもよい。
【0066】
タンクにLNGを積載するとき、第1のタンク壁6の密封メンブレン3および第2のタンク壁7の密封メンブレン3の収縮は、かど片32に牽引力を及ぼす。かど片32を溝30内に固着することで、かど片32がこれらの応力を吸収することが可能になる。より具体的には、タンクにLNGを積載するとき、金属エッジ・プレート5がかど山形鋼37に固定されているせいで密封メンブレン3によってかど山形鋼37に牽引力が及ぼされる。かど山形鋼37と補強フランジ35,36との間の接続によって、この牽引力が補強フランジ35,36に伝わる。補強フランジ35,36は、ロック片33,34に固着されているので、牽引力はロック片33,34に伝わる。ロック片33,34は溝30内に固着されているので、これらの牽引応力を吸収することが可能になる。かど山形鋼37を連続的な板金製の機械的部品として製造し、金属エッジ・プレート5をかど山形鋼37に固定することで、密封メンブレン3はエッジ8のレベルで密封される。
【0067】
図2は、図1のかど片の概略分解斜視図である。
【0068】
第1のロック片33は、第1のロック片33の下部面41中心部に配置された座ぐり部63を含む。座ぐり部63の両側に配置された下部面41の両端部が、第1のロック片33の下部エッジ表面65を形成する。座ぐり部63は、第1の補強フランジ34のタブ50の厚さとほぼ同じ厚さにされる。複数のねじ穴が座ぐり部63の底部で等間隔に互いに離間している。
【0069】
第1のロック片33は、外側側面39に、下部エッジ表面65と揃い、ナット67の形状に相補的な形状を有する、ナット・ハウジング66を含む。ナット・ハウジング66の底部68は、それを貫通する穴を有する(図示せず)。この穴は、一方では第1のロック片33の内側側面40に開いており、もう一方では該ナット・ハウジング66の底部68に開いている。この穴の直径は、締め付けねじ70のねじ切り部64の直径よりもわずかに大きい。
【0070】
第2のロック片34は、その下部面45に、第1のロック片33に関して上述した座ぐり部63およびエッジ表面65と似た、座ぐり部71と下部エッジ表面72とを有する。第2のロック片34は、その内側側面44に、第1のロック片33のナット・ハウジング66の各穴に面する、貫通した穴73を含む。第2のロック片34の穴73は、一方では第2のロック片34の内側側面44に開いており、もう一方では締め付けねじ頭部ハウジング内に開いている。この穴73の直径は、締め付けねじ70のねじ切り部64の直径よりもわずかに大きい。ねじ頭部ハウジング(図示せず)は、各下部エッジ表面72と揃って、第2のロック片34の外側側面43に配置されており、締め付けねじ70の頭部75の形状に相補的な形状を有する。
【0071】
補強フランジ35,36は、ロック片33,34の座ぐり部63,71のレベルにしか延在しない。エッジ8の軸線に沿う補強フランジ35,36の長さは、典型的には、エッジ8の同じ軸線に沿う座ぐり部63,71の長さと同じである。同様に、エッジ8の軸線に沿うかど山形鋼37の長さは、エッジ8の同じ軸線に沿う座ぐり部63,71の長さと同じである。各補強フランジ35,36のアンカー・セクション47,55とメンブレン・セクション46,54は、したがって、エッジ8の軸線に垂直な2つの平面の間のみに延在し、座ぐり部63,71と下部エッジ表面65,72の両方に接合されている。かど山形鋼37も、エッジ8の軸線に垂直なこれら2つの平面の間のみに延在し、座ぐり部63,71と下部エッジ表面65,72の両方に接合されている。
【0072】
図3は、図1のかど片の嵌合時の概略斜視図である。
【0073】
かど片32が嵌合すると、補強フランジ35,36のタブ50,57は、ロック片33,34の下部面41,45の座ぐり部63,71に収容される。タブ50,57の下部面76,77は、下部エッジ表面65,72と面一である。補強フランジ35,36のタブ50,57は、座ぐり部63,71のレベルで複数のねじ78がロック片33,34にねじ込まれることによって、ロック片33,34にねじ留めされる。
【0074】
第1のロック片33は、締め付けねじ70によって第2のロック片34に接続される。締め付けねじ70の頭部75は、第2のロック片34のねじ頭部ハウジングの底部に当接する。ナット67は、ねじ70のねじ切り部64に取り付けられ、第1のロック片33のナット・ハウジング66の底部68に当接する。
【0075】
長手方向エッジ8のレベルで、嵌合時のかど片32は、溝30内を長手方向エッジ8のほぼ全長にわたって延在する。このために、複数のかど片32が次々に溝30内に固着される。山形片32は、ロック片33,34の下部エッジ表面65,72および補強フランジ35,36のタブ50,57の下部面76,77の両方のレベルで、接着によって溝30内に固着される。
【0076】
板金、たとえばINVAR(登録商標)で作製した溶接細片が、2つの連続するかど片32の端部に密封的に固定される。そのような溶接細片はまた、補強フランジ35,36で覆われていない、2つの連続するロック片33,34のエッジの上部面を覆う。この溶接細片は、2つの連続するかど片32間でエッジ8に沿って密封メンブレン3を密封する。
【0077】
図4は、かど片32の嵌合時の一実施形態の概略斜視図である。
【0078】
この実施形態では、ロック片および補強フランジは、図2のロック片および補強フランジと同じ特徴を有するので、同じ参照番号がついている。ロック片33,34は、図2および図3に関して説明したように、締め付けねじ70とナット66によって互いに接続している。
【0079】
この実施形態では、かど山形鋼37は、図2および図3のかど片のものと同様の形状を有するが、エッジ8の軸線に沿って異なる寸法を有する。したがって、図4に示す実施形態では、かど山形鋼37の第1の長手方向端部98は、エッジ8の軸線に沿って、かど片32の外側に向けてロック片33,34を越えて延在する。かど山形鋼37の第2の長手方向端部99は、第1の長手方向端部98の反対側にあり、エッジ8の軸線と平行な平面内に投影されると、補強フランジ35,36のメンブレン・セクション46,54とかど片32の長手方向エッジ面100との間に延在する。
【0080】
かど片32は、溝30内に取り付けられ、長手方向エッジ8全体にわたり互いに並置される。第1のかど片が、そのかど山形鋼37の第1の長手方向端部98が隣接する第2のかど片の第2の長手方向端部98を覆うように、溝30内に取り付けられる。第1のかど片のかど山形鋼37の第1の長手方向端部98は次に、第2のかど片のかど山形鋼37の第2の長手方向端部98に密封的に固定される。
【0081】
そのような密封溶接により、密封メンブレンの密封を保証することが可能になる。さらに、この実施形態によるかど片32は、図2および図3のかど片とは違って溶接細片の設置を必要としない。溝内の2つの連続するかど片間の密封を保証するのに、1回の密封溶接が必要十分である。
【0082】
図5は、第1のロック片33と第2のロック片34との間の接続が弾性的であるときの第1のロック片と第2のロック片とを接続する機械的要素のレベルでの、図1のタンクのかど部の断面図である。そのような接続は、任意の適切な手段によって、たとえば皿ばね座金80をナット67とナット・ハウジング66の底部68との間に挿入することによって、もたらされ得る。これら皿ばね座金80は、ロック片33,34間の機械的接続に可撓性を与える。この変形では、タンク壁6,7のかど断熱要素9,10は互いに接着されない。
【0083】
したがって、たとえば密封メンブレン3の熱収縮によってもたらされる応力が存在する場合、一方ではかど断熱要素9,10間の接続の不在、もう一方ではロック片33,34間の接続の弾性によって提供される可撓性によって、少なくとも部分的に応力を吸収することが、ロック片33,34間の接続の弾性によって可能になる。
【0084】
図6から図9は、二重断熱バリアと、図2および図3のかど片が各密封メンブレンにある二重密封メンブレンとを含む、タンクのかど部を示している。
【0085】
単一の断熱バリア2と単一の密封メンブレン3とを含むタンクについて上述したのと同じ要素が、二重断熱バリアと二重密封メンブレンとを有するタンクの文脈でも全般的に示されており、そのような要素には同じ参照番号を付すが、これが二次断熱バリアまたは二次密封メンブレンを指す場合は番号に「A」を加え、これが一次断熱バリアまたは一次密封メンブレンを指す場合は番号に「B」を加える。
【0086】
したがって、二重メンブレン・タンクは、支持構造からタンク内部までに、二次断熱バリア2Aと、二次密封部材3Aと、一次断熱バリア2Bと、一次密封メンブレン3Bとを含む。
【0087】
エッジ8のレベルで、二次密封メンブレン3Aは、二次エッジ8Aを形成し、一次密封メンブレン3Bは、一次エッジ8Bを形成する。二次断熱バリア2Aは、上述したかど断熱要素9A,10Aを含み、一次断熱バリア2Bは、上述したかど断熱要素9B,10Bを含む。上述した二次かど片32Aが、二次断熱バリア2Aの二次かど断熱要素9A,10Aによって形成される二次溝30A内に固着される。一次かど片32Bが、一次断熱バリア2Bの一次かど断熱要素9B,10Bによって形成される一次溝30B内に固着される。第1のタンク壁6の二次金属エッジ・プレート5Aが、二次かど片32Aに密封的に固着される。第2のタンク壁7の二次金属プレート5Aが、二次かど片32Aに密封的に固着される。第1のタンク壁6の一次金属プレート5Bが、一次かど片32Bに密封的に固着される。第2のタンク壁7の一次金属プレート5Bが、一次かど片32Bに密封的に固着される。
【0088】
二分面11に配置された二次断熱バリア2Aのかど断熱要素9A,10Aのエッジ面12A,13Aが、互いに接着される。二分面11に配置された一次断熱バリア2Bのかど断熱要素9B,10Bのエッジ面12B,13Bが、互いに接着される。
【0089】
図7は、図6のタンクのかど部の切欠き図であるが、かど片は改造されて、スチフナ81が、第2の一次補強フランジ36Bのアンカー・セクション55Bのタブ57Bと連結セクション56Bとの間に設置されている。
【0090】
スチフナ81Bは、第2の一次補強フランジ36Bの連結セクション56Bの第2のエッジ62B全体に沿って等間隔で互いに離間している。これらスチフナ81Bは、たとえば、エッジ8の方向に対し垂直な面内に延在する単なる三角形の平坦な板金小片である。第2の二次ロック片34Bは、スチフナ81Bの形状に相補的な形状を有する溝(図示せず)を有利には含む。スチフナ81Bは、これら溝内に収容される。
【0091】
たとえばタンク1内にLNGを積載することに応答しての熱収縮によって、密封部材3に応力がかかると、かど片32に及ぼされる力は、第2の一次補強フランジ36Bのタブ57Bと第2の一次ロック片34Bの下部面45B間のアンカーねじ78に、せん断力として転送される。タブ57Bは、典型的には、第2の一次補強フランジ36Bの連結セクション56Bに向けて引かれ、外側の直角の輪郭に沿う一枚の紙のように、連結セクション56Bとタブ57Bとの間の屈曲部は、アンカー・セクション55Bに沿って移動し、二分面11に対し垂直な軸線に沿ってタブ57Bの幅を減じる傾向がある。
【0092】
屈曲部のこの移動は、タブ57Bを第2のロック片34の所定位置に保持するアンカーねじ78によって妨げられる。しかし、そのためにアンカーねじ78は有害なせん断力に晒される。スチフナ81Bが連結セクション56Bとタブ57Bとの間の屈曲部を強化し、それによって屈曲部はアンカー・セクション55Bに沿って移動できなくなる。強化された屈曲部はしたがって、アンカー・セクション55Bにおいて所定位置に留まり、その形状を維持する。したがって、かど片32に及ぼされる応力は、アンカーねじ78にかかるせん断力に反映されるのではなく、アンカーねじ78を第2のロック片34から引き出そうとする牽引力に反映される。そのようなスチフナ81Bが存在する場合は、タブ57Bと第2の二次ロック片34Bとの間のねじ固定はなくてもよくなり得、アンカー・セクション55Bと第2のロック片34の相補的な関係に伴う連結セクション56Bとタブ57Bとの間の屈曲部の特徴の維持によって、たとえ応力が存在しても、第2の補強フランジ36が第2のロック片34に保持されることが可能になる。そのようなスチフナ81Bは、各密封メンブレン3A,3Bの各補強フランジ35,36にも同様に設置してよい。
【0093】
この変形では、中間二次金属プレートが二次かど山形鋼37Aに密封的に固定され、タンク壁6,7の金属エッジ・プレート(図示せず)がこの中間二次金属プレートに密封的に固定される。
【0094】
図8は、二重密封メンブレンと二重断熱バリアとを含む、密封断熱タンクのかど部の切欠き図である。一次断熱バリアおよび一次密封メンブレンをエッジのレベルで省略して、二次密封メンブレンのレベルのかど片を示す。
【0095】
この実施形態では、二次密封メンブレン3Aは、複数の並置された二次波形密封金属プレート5Aを含む。二次波形金属プレート5Aは、互いに密封的に固定される。
【0096】
二次断熱バリア2Aは、複数の二次断熱要素4Aを含む。二次断熱要素4Aの上部面が、二次密封メンブレン3Aの波形金属プレート5Aがそれに固着される金属アンカー・ブレード82Aを含む。保護シェル83が、二次密封金属プレート5Aの波形を覆う。
【0097】
一次断熱要素4Bは、保護シェル83に載っている。一次断熱要素4Bの上部面が、一次波形密封プレート5Bがそれに固着されるアンカー・ブレード82Bを含む。これら一次波形密封プレート5Bは、タンク1内に貯蔵されたLNGに接触することになる。
【0098】
図7に関して上述したように、複数の二次かど断熱要素9A,10Aが二次エッジ8Aに沿って配置される。二次かど断熱要素9A,10Aは、二次エッジ8Aに沿って延在する二次溝30Aを形成する。各二次かど断熱要素9A,10Aは、その上部面28A,29Aに座ぐり部を含む。複数の金属ブレード84が、二次かど断熱要素9A,10Aの上部面28A,29Aの座ぐり部に収容される。
【0099】
複数の二次かど片32Aが、次々に二次溝30A内に固着される。各アンカー片32Aの二次補強フランジ35A,36Aのメンブレン・セクション46A,54Aが、かど断熱要素9A,10Aの金属ブレード84に固定される。この固定は、任意の適切な手段によって、たとえば溶接によって、達成される。
【0100】
二次補強フランジ35A,36Aのメンブレン・セクション46A,54Aは、補強フランジ35A,36Aのメンブレン・セクション46A,54Aの第1のエッジ48Aの反対側に、第2のエッジ85を有する。第1のタンク壁6の二次金属エッジ・プレート5Aは、メンブレン・セクション46Aの第1のエッジ48Aの反対側の、第1の二次補強フランジ35Aの第2のエッジ85に密封的に固着される。二次かど山形鋼37Aの第1のセクション58Aは、第1の二次補強フランジ35Aのメンブレン・セクション46Aに密封的に溶接される。
【0101】
同様に、第2のタンク壁7の二次金属エッジ・プレート5Aは、第2の二次補強フランジ36Bのメンブレン・セクション54のエッジ85に密封的に固着される。二次かど山形鋼37Aの第2のセクション59Aは、第2の二次補強フランジ36Bのメンブレン・セクション54Aに密封的に固定される。
【0102】
二次溶接細片が、2つの連続する二次アンカー片32Aのエッジに、二次エッジ8Aの方向に密封的に固定されて、二次エッジ8Aのレベルで二次密封メンブレン3Aを密封する。
【0103】
一次かど断熱要素9B,10Bおよび一次かど片(図8には示さない)は、二次かど断熱要素9A,10Aおよび二次かど片32Aの構成に類似の構成を有する。
【0104】
平面壁に載せる密封部材は、様々な方法で製造され得る。図11から図15に示す変形では、一次密封メンブレンは、図8に示すように複数の波形プレートを含み、二次密封部材は、たとえば、仏国特許出願公開第2691520号明細書に記載のように、二次断熱バリアに接着された複合材料の密封シートによって形成される、平面密封層で構成される。
【0105】
図9は、別の実施形態による複数のかど山形鋼を含む、図8のタンクのかど部の一変形実施形態の概略切欠き斜視図である。
【0106】
この実施形態では、二次密封メンブレン3Aは、複数の並置された二次波形密封金属プレート5Aを含む。これら二次波形金属プレート5Aは、互いに密封的に固定される。同様に、タンク1内に貯蔵されたLNGと接触することになる複数の一次波形密封プレート5Bが、互いに密封的に固定されて、一次密封メンブレン3Aを形成する。
【0107】
複数の一次かど断熱要素9B,10Bが、一次エッジ8Bに沿って配置される。これら一次かど断熱要素9B,10Bは、二次かど片32Aを覆う二次保護シェルに載る。
【0108】
複数の一次かど片32Bが、次々に一次溝(図示せず)内に固着される。一次かど山形鋼が、各一次アンカー片32Bの一次補強フランジ35B,36Bのメンブレン・セクション46B,54Bを覆う。
【0109】
第1のタンク壁6の一次金属エッジ・プレート5Bが、一次かど山形鋼37Bの第1のセクション58Bに密封的に固着され、第2のタンク壁7の一次金属エッジ・プレート5Bが、一次かど山形鋼59Bの第2のセクション59Bに密封的に溶接される。
【0110】
この実施形態では、一次エッジ8Bに沿って連続する一次かど片32B同士が、図4に関して記載したように重複する。2つの連続する一次かど片32Bのエッジに、一次エッジ8Bの方向に密封溶接がなされて、一次密封メンブレン3Bが一次エッジ8Bのレベルで密封される。この2つの連続するかど片間の重複および密封溶接によって、溶接細片を使用しなくてもよくなり、したがって設置すべき部品の点数と実施すべき溶接の回数の両方が、制限される。
【0111】
この実施形態では、各かど山形鋼37A,37Bが、プレスされた波101A,101Bを含む。これら波101A,101Bは、たとえば、前記かど山形鋼37A,37Bのエッジ8の軸線沿いに対向している2つのエッジの中間の、各かど山形鋼37A,37Bの中心部に配置される。これら波101A,101Bは、第1のタンク壁6の金属エッジ・プレート5A,5Bが固定されたかど山形鋼37A,37Bの第1のセクション58A,58Bの端部から、第2のタンク壁7の金属エッジ・プレート5A,5Bが固定された該かど山形鋼の第2のセクション59A,59Bのエッジにまで延在する。これら波101A,101Bは、有利には、かど山形鋼37A,37Bの各セクション58A,58B,59A,59Bにおいてエッジ8の軸線に対し垂直に延在する。波101A,101Bは、タンク内部に向けて延在する。
【0112】
一次断熱要素が載る二次保護シェルは、二次かど山形鋼37Aの波101Aを有利にも覆う。
【0113】
そのようなかど片は、メンブレンをかど断熱要素に固着することを可能にするだけでなく、エッジ8に沿って連続的な可撓性を提供し、波101A,101Bの変形による応力の吸収を可能にする。山形鋼がINVAR(登録商標)で作製されている場合、これら波の高さは、波形金属プレートに配置された波101A,101Bの高さよりも低くされ、INVAR(登録商標)のわずかな収縮は、かど片32の限られた変形しか許容しない。
【0114】
別の実施形態では、二次メンブレンおよび/または一次メンブレンは、仏国特許出願公開第2709725号明細書に記載されているように、溶接支持具を使って互いに密封的に溶接された、エッジが立ち上がった複数の板条(strake)で構成される。他の金属メンブレンも使用してよい。
【0115】
図11から図15は、タンクの平面壁が、仏国特許2691520号の文書に記載のものに類似の、プレハブ式平行六面体の形状のブロックから形成されている、一実施形態の図である。図1から図9の要素に類似のまたは同一の要素には、同じ参照番号に200を足した番号がついている。
【0116】
この実施形態では、タンクは、二重メンブレンを含む。タンクの二次断熱バリア、二次密封メンブレン、および一次断熱バリアは、基本的には、支持構造に接して複数の並置されたプレハブ式ブロックを組み立てることによって形成される。プレハブ式平面ブロック102(図14参照)は、並置されてタンクの平面壁を形成し、プレハブ式かどブロック103は、タンクのかど部に配置される。
【0117】
各プレハブ式平面ブロック102は、支持構造1からタンク内部の方向に、以下を含む。
−たとえば合板製の、長方形の底部パネル104と、
−直角平行六面体形の断熱発泡体の二次ブロック105Aと、
−断熱発泡体の二次ブロック105Aを覆う密封膜の層106と、
−直角平行六面体形の断熱発泡体の一次ブロック105Bであって、断熱発泡体の二次ブロック105Aよりも寸法が小さく、断熱発泡体の二次ブロック105Aと同軸に配置されて、密封膜106の一部のみを覆ってプレハブ式平面ブロック102の周縁部で密封膜の細片106を露出させている、断熱発泡体の一次ブロック105Bと、
−断熱発泡体の一次ブロック105Bを覆う、たとえば合板製の、カバー・パネル107。
【0118】
プレハブ式平面ブロックの密封膜の層106は、たとえば、接着剤を塗布した2つの織ガラス繊維層の間に挟まれた薄い金属シートを含む、多層複合材料で形成される。そのような密封膜は、商標名TRIPLEX(登録商標)として知られている。
【0119】
図11を参照すると、第1のタンク壁6と第2のタンク壁7とで形成されるタンクのかど部に設置するためのプレハブ式かどブロック103は、以下を含む。
−第1のタンク壁と平行に延在する、第1の底部パネル108と、
−第2のタンク壁と平行に延在する、第2の底部パネル108と、
−第1のタンク壁と平行に延在する、断熱発泡体の第1の二次ブロック109と、
−第2のタンク壁と平行に延在する、断熱発泡体の第2の二次ブロック109と、
−断熱発泡体の二次ブロック109のそれぞれを覆う、それぞれの第1の密封膜110と、
−2つの発泡体のブロック109間の連結部のレベルで第1の膜110に接着されて、エッジのレベルで二次密封を提供し、エッジの両側に突き出している、第2の密封膜111と、
−第2の密封膜111に接着された、ロック片233,234と、
−補強フランジ235,236。
【0120】
この実施形態では、ロック片233,234は、タンク壁に垂直な方向の厚さよりも、エッジ8と平行な方向およびタンク壁と平行な方向の幅のほうが広い。
【0121】
ロック片233,234の上部面は、座ぐり部112を含む。この座ぐり部112は、補強フランジ235,236のメンブレン・セクション246,254を受けるためである。補強フランジ235,236のメンブレン・セクション246,254は、ロック片233,234よりも細いので、メンブレン・セクション246,254は完全にロック片233,234に載る。
【0122】
この実施形態では、第1のねじ270が、図2に示すのと同様にして、補強フランジ235および236を越えたロック片233および234のエッジに配置される。図2に関して記載したナット・ハウジングが、第1のロック片233の下部面241に配置される。同様に、ねじ頭部ハウジング(図11には示さない)が、第2のロック片234の下部面245に配置される。
【0123】
第2のねじ114については、ナット・ハウジング266とねじ頭部ハウジング115とが、補強フランジ235および236と揃って、ロック片233,234の下部面241,245に開いている。このため、補強フランジ235,236の連結セクション249,256は、ねじ114が通ることができる穴116を含む。
【0124】
第1の密封膜110は、プレハブ式平面ブロック102に使用される密封膜106と同じ種類である。第2の密封膜111は、断熱発泡体の二次ブロック109を部分的に覆うだけである。したがって、第1の密封膜110は、プレハブ式かどブロック103の周縁表面の全体に見えている。ロック片233,234は、第2の密封膜111の一部しか覆わないので、第2の密封膜111の周縁細片が、ロック片233,234の周囲全体に見える。ロック片233,234は、第2の密封膜111に直接接着される。
【0125】
図12は、図11の2つのプレハブ式かどブロックの組立体の概略部分斜視図である。
【0126】
図12では、図11と同じく、一次密封部材は図示していない。2つのプレハブ式かどブロック103を並置することで、接合スペース117が形成される。図12の例示ではこの接合スペース117が拡大されているが、それは純粋に組立体をよりよく理解するためである。実際には、タンクの組み立て中、スペース117はなるべく小さくされ、たとえばガラスウールなどの断熱材を充填される。
【0127】
二次密封メンブレンをこのスペース117と揃えて密封するために、密封膜の可撓性細片118がスペース117を覆う。密封膜の細片118は、スペース117の両側で2つの並置されたプレハブ式かどブロック103に接着され、各プレハブ式かどブロック103の第2の密封膜111にまで延在する。
【0128】
一次断熱バリアの連続性を確保するために、断熱連結ブロック119が、密封膜の細片118を覆う。各断熱連結ブロック119は、概ねL字型であり、第1のカバー・パネルで覆われた断熱発泡体の第1の一次層と、第2のカバー・パネルで覆われた断熱発泡体の第2の一次層とを有する。断熱連結ブロック119の第1の一次断熱発泡体層と第1のカバー・パネルはそれぞれ第1のタンク壁と平行に延在する。断熱連結ブロック119の第2の一次断熱発泡体層と第2のカバー・パネルはそれぞれ第2のタンク壁と平行に延在する。断熱連結ブロック119の各カバー・パネルの上部面は、固定プレート120を含む。
【0129】
断熱連結ブロック119は、エッジ208に沿って、2つの並置されたプレハブ式かどブロック103のロック片233,234と一続きに延在する。断熱連結ブロック119の第1のカバー・パネルは、第1のロック片233の上部表面と面一である。断熱連結ブロック119の第2のカバー・パネルは、第2のロック片234の上部表面と面一である。さらに、図14にも示すように、断熱連結ブロック119の外側側面は、ロック片233,234の外側側面239,243と面一である。
【0130】
図12に示すプレハブ式かどブロック103は、陸上の多角筒形のタンクにも設置され得る。そのような陸上のタンクは、多角筒を形成するように配置された垂直壁を含む。図12の2つのプレハブ式かどブロック103は、したがって、スペース117のレベルで、多角形の2つの連続する面間の角度に相当する小さい角度を有する。そのようなタンクの一般的な形状は、たとえば仏国特許出願公開第2951521号の文書に記載されている。
【0131】
図13は、図12の部分XIIIを拡大して、補強フランジ235および236に固定された下部かどシート121が見えるようにした、部分図である。この実施形態では、図14に関して記載するように、山形鋼が最終的に2つの部品として製造されることになる。下部かどシート121は、補強フランジ235,236のメンブレン・セクション246,254に一緒に溶接される。次に、たとえばINVAR(登録商標)で作製された上部かどシート122(図14および図15参照)が、下部かどシート121および固定プレート120に一緒に溶接される。図14からわかるように、タンクを組み立てるとき、プレハブ式平面ブロック102は並置されてタンクの平面壁を形成し、プレハブ式かどブロック103は2つの平面壁の連結部でエッジ208に沿って配置される。図12に関して上述した密封膜の細片118および断熱連結ブロック119に加えて、密封膜の二次細片123および一次断熱ブロック124が、仏国特許出願公開第2691520号の文書の記載と同様にして、すべての隣接するプレハブ式ブロック間に設置される。密封膜の二次細片123は、隣接するプレハブ式ブロックの密封膜106,110に密封的に接着される。一次断熱ブロック124は、隣接するプレハブ式ブロック102および103のエッジを覆う。プレハブ式平面ブロック102とプレハブ式かどブロック103とを結合するように覆う一次断熱ブロック124は、一方ではプレハブ式平面ブロック102の発泡体の一次ブロック105Bと一続きであり、もう一方では該発泡体の一次ブロック105Bと同平面に延在するロック片233または234と一続きである。
【0132】
したがって、一次断熱バリアは、プレハブ式平面ブロック102の断熱発泡体の一次ブロックと、一次断熱ブロック124と、連結断熱ブロック119とで形成される、断熱発泡体の層を含む。図14からわかるように、この断熱発泡体の層は、プレハブ式かどブロック103のレベルで、ロック片233,234と補強フランジ235,236とで形成されたかど片232を収容する溝230を含む。図11から図15の実施形態では、溝230はしたがって、一次断熱バリアの全厚さを延びる。溝230の底部231はしたがって、この実施形態では、プレハブ式かどブロック103の密封膜110および111で形成される。各半溝の内側側面は、プレハブ式かどブロック103とプレハブ式平面ブロック102とを結合するように覆う一次断熱ブロック124の面によって形成される。
【0133】
図12と同様にして、図14および図15に示される、2つの背中合わせのプレハブ式ブロック間に形成されたスペース117は、図を明瞭にするために拡大されている。
【0134】
図14はさらに、下部かどシート121のエッジ208に沿って配置された上部かどシート122を示している。一次メンブレンは図14でもさらに省略されている。
【0135】
図14に示す上部かどシート122は、タンク壁の密封メンブレンで覆われることになる第1のセクション258および第2のセクション259のエッジに、断熱ブロック124の合板カバー・パネルにねじ込まれる木ねじ(図示せず)を受けるための固定穴125を含む。これら固定穴125は、好ましくはエッジ208に対し垂直方向に細長くされて、断熱ブロック124に対する上部かどシート122の少々の摺動的遊びを維持する。
【0136】
上部かどシート122はまた、下部かどシート121に揃えて配置された細長い固定穴126を含む。上部かどシート122は、細長い固定穴126のエッジのレベルで、下部かどシート121に溶接されて、一方では一次密封メンブレンを密封し、もう一方では上部かどシート122を下部かどシート121に固着する。同様に、上部かどシート122は、上部かどシート122が断熱連結ブロック119の固定プレート120に固着できるように丸穴127を含む。
【0137】
陸上の筒形タンクの文脈では、上部かどシート122は、断熱連結ブロック119と揃って2つのプレハブ式かどブロック103間に配置された、垂直タンク壁の溝128(図14に破線で示す)を有する。この溝128は、2つの並置されたプレハブ式かどブロック103間にかど部が存在するにもかかわらず、これらのプレハブ式かどブロック103上でこれらを結合するように伸長するのに十分な上部かどシート122の可撓性を提供する。密封細片129が、この溝128のレベルで一次密封メンブレンを密封する。
【0138】
図15に示す変形実施形態では、上部かどシートは、タンクの内部に延在して、タンクのかど部のレベルでの応力を吸収する、波形部130を含み得る。
【0139】
図示しない変形実施形態では、下部かどシートが省略され、上部かどシート122が補強フランジ235,236に直接溶接される。
【0140】
上述した密封断熱タンクを製造する技法は、他の種類のタンクにも使用でき、たとえば、陸上設備内またはメタン・タンカーなどの浮体構造内のLNGリザーバの密封断熱タンクを構成するのに、または推進機械用の燃料タンクとしての小容積の密封断熱タンクを構成するのにも使用できる。そのようなタンクは、5,000mから30,000mの容積を有する。
【0141】
図10を参照すると、メタン・タンカー86の切欠き図が、船の二重船殻88内に取り付けられた全般的に角柱形の密封断熱タンク87を示している。タンク87の壁は、タンク内に収容されたLNGと接触することになる一次密封バリアと、一次密封バリアと船の二重船殻8との間の二次密封バリアと、一次密封バリアと二次密封バリアとの間および二次密封バリアと二重船殻88との間それぞれの2つの断熱バリアとを含む。
【0142】
船の上甲板に配置された船積み/陸揚げパイプは、自体既知の方法で、適切なコネクタによって海上または港湾ターミナルと接続されて、LNG船荷をタンク87にまたはタンク87から移送することができる。
【0143】
図10は、船積みおよび陸揚げステーション90と、水中パイプ91と、陸上の設備92とを含む海上ターミナルの一例を示している。船積みおよび陸揚げステーション90は、モバイル・アーム89と、モバイル・アーム89を支持するタワー93とを含む、固定されたオフショア設備である。モバイル・アーム89は、船積み/陸揚げパイプに接続され得る断熱可撓性パイプ95の束を担持する。方位付け可能なモバイル・アーム89は、あらゆるサイズのメタン・タンカーに適合する。図示していない接続パイプが、タワー93内に延びる。船積みおよび陸揚げステーション90は、陸上の設備92からまたは陸上の設備92へのメタン・タンカー86の船積みおよび陸揚げを可能にする。陸上の設備92は、液化ガス貯蔵タンク94、96と、水中パイプ91によって船積みまたは陸揚げステーション90に接続された接続パイプ97とを含む。水中パイプ91は、船積みまたは陸揚げステーション90と陸上の設備92との間で液化ガスを遠距離(たとえば5km)にわたって移送することを可能にするので、メタン・タンカー86は、船積みや陸揚げの作業中に岸から遠く離れていることが可能になる。
【0144】
船86に搭載のポンプおよび/または陸上の設備92に備付のポンプおよび/または船積みおよび陸揚げステーション90に備付のポンプを用いて、液化ガスの移送に必要な圧力を生成する。
【0145】
本発明を複数の具体的な実施形態との関係で説明してきたが、本発明はそのような実施形態に限定されるものではなく、請求項の範囲であれば、本明細書に記載した手段のあらゆる技術的均等物およびそれらの組合せをも包含することは明白である。
【0146】
したがって、上述したかど片は、タンクのどのエッジにも、たとえば90°または任意の他の角度を形成するタンクのエッジにも装着することができる。
【0147】
さらに、第1のロック片33および/または第2のロック片34は、木ではなく任意の適切な材料で、たとえば密度約210kg/m以上のたとえば高密度の発泡体で作製することができる。そのような高密度の発泡体を用いてロック片33,34を製造することで、半溝22,23内のロック片33,34を均等に接着することが可能になる。さらに、高密度の発泡体を用いることで、かど断熱要素9,10とロック片33,34との間の熱収縮差が減少する。
【0148】
同様に、ロック片33,34の固着がせん断力ではなく牽引力の中で働くことを選択することによって、ロック片33,34は、その外側側面39,43よりも大きい下部面41,45を有することができる。
【0149】
動詞「含む」または「備える」およびその変化形の使用は、請求項に記載されていない要素やステップの存在を排除するものではない。単数の要素やステップに不定冠詞「a」または「an」を使用しても、特にことわらないかぎり、そのような要素やステップが複数存在することを排除するものではない。
【0150】
請求項中、括弧内のどの参照符号も、その請求項を制限するものではない。
図1
図2
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図5
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図10
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図14
図15