(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6364082
(24)【登録日】2018年7月6日
(45)【発行日】2018年7月25日
(54)【発明の名称】硬質合金切削工具ホルダブレードおよびそのようなホルダブレードを有する切削工具
(51)【国際特許分類】
B23B 27/16 20060101AFI20180712BHJP
B23B 29/00 20060101ALI20180712BHJP
B23B 27/04 20060101ALI20180712BHJP
【FI】
B23B27/16 B
B23B29/00 C
B23B27/04
【請求項の数】13
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-537428(P2016-537428)
(86)(22)【出願日】2014年6月24日
(65)【公表番号】特表2016-529125(P2016-529125A)
(43)【公表日】2016年9月23日
(86)【国際出願番号】IL2014050565
(87)【国際公開番号】WO2015029009
(87)【国際公開日】20150305
【審査請求日】2017年4月26日
(31)【優先権主張番号】14/011,425
(32)【優先日】2013年8月27日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514105826
【氏名又は名称】イスカル リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ヘクト,ギル
【審査官】
亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】
実開平04−112705(JP,U)
【文献】
特開平08−215904(JP,A)
【文献】
国際公開第2013/102893(WO,A1)
【文献】
特開平10−029105(JP,A)
【文献】
特開平08−229705(JP,A)
【文献】
特表2007−532332(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23B 27/00 − 27/16
B23B 29/00
DWPI(Derwent Innovation)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
相対する端部(136)と、中央平面(P)に位置し前記相対する端部(136)間に延在する長手方向中央軸(A)とを有する切削工具ホルダブレード(100)であって、前記切削工具ホルダブレード(100)が、
前記中央平面(P)に垂直な前平面(F)を備える少なくとも1つのインサート締付部分(102)であって、前記インサート締付部分(102)が少なくとも1つのインサートポケット(104)を有し、前記インサートポケット(104)が、
ベースジョー当接面(108)を有するベースジョー(106)と、
一体の継ぎ目のない構成で前記ベースジョーに弾性的に接続される締付ジョー(110)であって、前記締付ジョー(110)が前記ベースジョー当接面(108)に向かい合って面する締付表面(112)とインサート停止面(114)とを有する、締付ジョー(110)と、
前記ベースジョー当接面(108)から前記締付ジョー(110)に向かってかつ前記締付ジョー(110)に沿って延在する湾曲内面(116)であって、前記湾曲内面(116)が前端部分(118)を有する、湾曲内面(116)と
を含む、少なくとも1つのインサート締付部分(102)を含み、
前記ホルダブレード(100)が硬質合金で作られ、
前記前端部分(118)と前記前平面(F)との間の第1最小長手方向距離(Dl)が前記締付表面(112)と前記前平面(F)との間の第2最小長手方向距離(D2)より小さく、
前記切削工具ホルダブレード(100)が前記中央平面(P)の周りで鏡面対称であり、前記少なくとも1つのインサート締付部分(102)が前記中央平面(P)の相対する側に位置する2つのインサートポケット(104)を有し、
前記湾曲内面(116)が、前記前端部分(118)から間隔を空けて、内端部分(120)を有し、最小横断距離(H)が同じインサート締付部分(102)における両方のインサートポケット(104)の前記内端部分(120)間に延在し、
第3長手方向距離(D3)が各インサートポケット(104)の前記内端部分(120)と前記前平面(F)との間に延在し、
前記最小横断距離(H)が前記第3長手方向距離(D3)より大きい、切削工具ホルダブレード(100)。
【請求項2】
前記最小横断距離(H)が前記第3長手方向距離(D3)の少なくとも2倍である、請求項1に記載の切削工具ホルダブレード(100)。
【請求項3】
前面(122)が前記インサートポケット(104)から離れて前記インサート締付部分(102)に沿って延在し、前記前面(122)が、前記前平面(F)から離れて前記切削工具ホルダブレード内へ凹んだ中心凹部分(124)を有する、請求項1または2に記載の切削工具ホルダブレード(100)。
【請求項4】
前記切削工具ホルダブレード(100)が超硬合金で作られる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の切削工具ホルダブレード(100)。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の切削工具ホルダブレード(100)と、
前記切削工具ホルダブレード(100)の前記少なくとも1つのインサートポケット(104)の1つに弾性的に保持される切削インサート(150)と
を含む、切削工具(140)。
【請求項6】
前記切削インサート(150)が、
切削部分(152)および位置決め部分(154)であって、前記切削部分(152)がすくい面(158)と逃げ面(160)との交差部に形成される切れ刃(156)を有する、切削部分(152)および位置決め部分(154)と、
上面(162)、下面(164)およびそれらの間に延在する外周側面(166)であって、前記位置決め部分(154)が前記切削部分(152)および前記上面(162)から離れて延在し、前記位置決め部分(154)が相対する前方および後方位置決め面(168、170)を有し、前記前方位置決め面(168)が前記下面(164)に位置し、
前記外周側面(166)が、
相対する前方および後方面(172、174)ならびに前記前方および後方面(172、174)の間に延在する、相対する側面(176)であって、前記逃げ面(160)が前記前方面(172)に位置し、前記すくい面(158)が前記上面(162)に位置し、前記後方位置決め面(170)が前記後方面(174)に位置する、相対する前方および後方面(172、174)ならびに前方および後方面(172、174)の間に延在する、相対する側面(176)と、
前記下面(164)に位置し、前記上面(162)に相対し、前記前方面(172)と前記前方位置決め面(168)との間に延在する、下方位置決め面(178)とを含む、上面(162)、下面(164)、およびそれらの間に延在する外周側面(166)と
を含む、請求項5に記載の切削工具(140)。
【請求項7】
前記ベースジョー(106)の前記ベースジョー当接面(108)が前記切削インサート(150)の前記後方面(174)に当接し、
前記締付ジョー(110)の前記締付表面(112)が前記切削インサート(150)の前記前方位置決め面(168)に当接し、
前記締付ジョー(106)の前記インサート停止面(114)が前記切削インサート(150)の前記下方位置決め面(178)に当接する、請求項5または6に記載の切削工具(140)。
【請求項8】
前記切削工具ホルダブレード(100)および前記切削インサート(150)の両方が超硬合金で作られ、
前記切削インサート(150)が前記湾曲内面(116)の前記前端部分(118)から間隔を空けて配される、請求項5〜7のいずれか一項に記載の切削工具(140)。
【請求項9】
相対する端部(136)と、中央平面(P)に位置し前記相対する端部(136)間に延在する長手方向中央軸(A)とを有する切削工具ホルダブレード(100)であって、前記切削工具ホルダブレード(100)が、
少なくとも1つのインサートポケット(104)を有する少なくとも1つのインサート締付部分(102)であって、前記インサートポケット(104)が、
ベースジョー当接面(108)を有するベースジョー(106)と、
一体の継ぎ目のない構成で前記ベースジョーに弾性的に接続される締付ジョー(110)であって、前記締付ジョー(110)が前記ベースジョー当接面(108)に向かい合って面する締付表面(112)とインサート停止面(114)とを有する、締付ジョー(110)と、
前記ベースジョー当接面(108)から前記締付ジョー(110)に向かってかつ前記締付ジョー(110)に沿って延在する湾曲内面(116)であって、前記湾曲内面(116)が前端部分(118)を有する、湾曲内面(116)と
を含む、少なくとも1つのインサート締付部分(102)を含み、
前記ホルダブレード(100)が硬質合金で作られ、
前記少なくとも1つのインサート締付部分(102)が前記中央平面(P)に垂直に延在する前平面(F)を有し、前記前平面(F)が前記少なくとも1つのインサート締付部分(102)の前面(122)の最前方部分を通り、
前記締付表面(112)が、湾曲内面(116)の前記前端部分(118)の上に、前記ベースジョー(106)に向かってかつ前記前平面(F)から離れる方向に張り出し、
前記切削工具ホルダブレード(100)が前記中央平面(P)の周りで鏡面対称であり、前記少なくとも1つのインサート締付部分(102)が前記中央平面(P)の相対する側に位置する2つのインサートポケット(104)を有し、
前記湾曲内面(116)が、前記前端部分(118)から間隔を空けて、内端部分(120)を有し、最小横断距離(H)が同じインサート締付部分(102)における両方のインサートポケット(104)の前記内端部分(120)間に延在し、
第3長手方向距離(D3)が各インサートポケット(104)の前記内端部分(120)と前記前平面(F)との間に延在し、
前記最小横断距離(H)が前記第3長手方向距離(D3)より大きい、切削工具ホルダブレード(100)。
【請求項10】
前記最小横断距離(H)が前記第3長手方向距離(D3)の少なくとも2倍である、請求項9に記載の切削工具ホルダブレード(100)。
【請求項11】
前記前面(122)が、前記前平面(F)から離れた前記前面(122)の中心部において前記切削工具ホルダブレード内へ凹んだ中心凹部分(124)を有する、請求項9または10のいずれか一項に記載の切削工具ホルダブレード(100)。
【請求項12】
前記硬質合金が超硬合金を含む、請求項9〜11のいずれか一項に記載の切削工具ホルダブレード(100)。
【請求項13】
請求項9〜12のいずれか一項に記載の切削工具ホルダブレード(100)と、
前記切削工具ホルダブレード(100)の前記少なくとも1つのインサートポケット(104)内に弾性的に保持される切削インサート(150)とを含み、
前記切削工具ホルダブレード(100)と前記切削インサート(150)の両方が超硬合金で作られ、
前記切削インサート(150)が前記湾曲内面(116)の前記前端部分(118)から間隔を空けて配される、切削工具(140)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
[001]本発明は、概して切削工具ホルダブレードおよびそのための切削工具、ならびに特に硬質合金でできている切削工具ホルダブレードに関する。
【背景技術】
【0002】
背景技術
[002]旋削作業において用いられる金属切削工具は、工具ホルダブレードに着脱可能に固定された切削インサートを含む。工具ホルダがあまり硬質でない材料(例えば、鋼)または硬質材料(例えば、硬質合金)で作られていてもよく、摩耗したまたは損傷を受けた切削インサートの廃棄の後に再利用できる場合、切削インサートは通常、適切に硬質な材料、すなわち超硬合金で作られていてもよい。
【0003】
[003]ホルダブレードタイプの切削工具ホルダは、切削インサートを受け入れかつ保持する部分を有する。切削インサートを受け入れる部分は、切削インサートがインサートポケットの内部に配置されるときに自由に動くことができる弾性締付部を備えるインサートポケットを有してもよい。上述のとおりの切削工具ホルダブレードは、例えば以下の特許公報:米国特許第4604004号、同第4909677号、同第5054967号、同第7163361号および同第7578640号に開示されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
発明の概要
[004]本出願の主題によると、中央平面に位置する長手方向中央軸を有する切削工具ホルダブレードであって、切削工具ホルダブレードが、
中央平面に垂直な前平面を備える少なくとも1つのインサート締付部分であって、インサート締付部分が少なくとも1つのインサートポケットを有し、インサートポケットが、
ベースジョー当接面を有するベースジョーと、
一体の継ぎ目のない構成でベースジョーに弾性的に接続される締付ジョーであって、締付ジョーがベースジョー当接面に向かい合って面する締付表面とインサート停止面とを有する締付ジョーと、
ベースジョー当接面から締付ジョーに向かってかつ締付ジョーに沿って延在する湾曲内面であって、湾曲内面が前端部分を有する、湾曲内面と、を含む少なくとも1つのインサート締付部分を含み、
ホルダブレードが硬質合金で作られ、
前端部分と前平面との間の第1最小長手方向距離が締付表面と前平面との間の第2最小長手方向距離より小さい、切削工具ホルダブレードが提供される。
【0005】
[005]本発明の幾つかの実施形態において、上述の切削工具ホルダブレードは中央平面の周りで鏡面対称であり、インサート締付部分は中央平面の相対する側に位置する2つのインサートポケットを有し、湾曲内面は、前端部分から間隔を空けて、内端部分を有し、最小横断距離が同じインサート締付部分における両方のインサートポケットの内端部分間に延在し、第3長手方向距離が各インサートポケットの内端部分と前平面との間に延在し、最小横断距離は第3長手方向距離より大きい。
【0006】
[006]本出願の主題の別の態様によると、
上述の切削工具ホルダブレードと、
切削工具ホルダブレードの少なくとも1つのインサートポケットの1つに弾性的に保持される切削インサートと
を含む切削工具が提供される。
切削インサートは、
切削部分および位置決め部分であって、切削部分がすくい面と逃げ面との交差部に形成される切れ刃を有する、切削部分および位置決め部分と、
上面、下面、およびそれらの間に延在する外周側面であって、位置決め部分が切削部分から、上面から離れて延在し、位置決め部分が相対する前方および後方位置決め面を有し、前方位置決め面が下面に位置し、外周側面が、
相対する前方および後方面ならびに前方および後方面の間に延在する、相対する側面であって、逃げ面が前方面に位置し、すくい面が上面に位置し、後方位置決め面が後方面に位置する、相対する前方および後方面ならびに前方および後方面の間に延在する、相対する側面と、
下面に位置し上面に相対し、前方面と前方位置決め面との間に延在する下方位置決め面と
を含む上面、下面、およびそれらの間に延在する外周側面と
を含み得る。
【0007】
[007]このような切削工具において、ベースジョーのベースジョー当接面は切削インサートの後方面に当接し、締付ジョーの締付表面は切削インサートの前方位置決め面に当接し、締付ジョーのインサート停止面は切削インサートの下方位置決め面に当接する。
【0008】
[008]本出願の主題のさらに別の態様によると、相対する端部と、中央平面に位置し相対する端部間に延在する長手方向中央軸とを有する切削工具ホルダブレードであって、切削工具ホルダブレードが、
少なくとも1つのインサートポケットを有する少なくとも1つのインサート締付部分であって、インサートポケットが、
ベースジョー当接面を有するベースジョーと、
一体の継ぎ目のない構成でベースジョーに弾性的に接続される締付ジョーであって、締付ジョーがベースジョー当接面に向かい合って面する締付表面とインサート停止面とを有する、締付ジョーと、
ベースジョー当接面から締付ジョーに向かってかつ締付ジョーに沿って延在する湾曲内面であって、湾曲内面が前端部分を有する湾曲内面と
を含む少なくとも1つのインサート締付部分を含み、
ホルダブレードが硬質合金で作られ、
少なくとも1つのインサート締付部分が中央平面に垂直に延在する前平面を有し、前平面が少なくとも1つのインサート締付部分の前面の最前方部分を通り、
締付表面が湾曲内面の前端部分の上に、ベースジョーに向かってかつ前平面から離れる方向に張り出す、切削工具ホルダブレードが提供される。
【0009】
図面の簡単な説明
[009]本発明のよりよい理解のため、およびそれがどのようにして実際に実施され得るか示すため、ここで添付図面が参照される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態による切削工具の概略図である。
【
図2】
図1の切削工具ホルダブレードの側面部分詳細図である。
【
図5】
図3に示される切削工具の一部の第1分解図である。
【
図6】
図3に示される切削工具の一部の第2分解図である。
【
図7】本発明の別の実施形態による切削工具の概略図である。
【
図8】
図7の切削工具ホルダブレードの側面詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[010]例示の簡潔さおよび明瞭さのために、図に示される要素は必ずしも縮尺どおりではないことが理解されよう。例えば、要素のうちのいくつかの寸法は明瞭さのために他の要素と比較して強調されてもよく、または、いくつかの物理的構成要素が1つの機能ブロックまたは要素の中に含まれてもよい。さらに、適切であると考えられる場合は、参照符号は、対応するまたは類似の要素を示すために図中で繰り返されてもよい。
【0012】
発明の詳細な説明
[011]以下の説明において、本発明の様々な態様が説明される。説明の目的上、特定の構成および詳細が、本発明の徹底した理解を提供するために定められる。しかしながら、本明細書において提示される特定の細部がなくても本発明が実施され得ることも当業者には理解されよう。さらに、周知の特徴が、本発明を曖昧にしないようにするために省略または単純化されてもよい。
【0013】
[012]ここで、本発明の第1実施形態による切削工具140を示す
図1を参照する。切削工具140は、切削工具ホルダブレード100とその中に保持された切削インサート150とを有する旋削用切削工具である。切削工具ホルダブレード100は、長尺状の長方形のホルダブレードであって、相対する端部136と長方形の各角に1つずつ4つの同一のインサートポケット104とを有する長尺状の長方形のホルダブレードである。
【0014】
[013]さらに、切削工具140およびその切削工具ホルダブレード100の様々な図を示す
図2〜6を参照する。切削工具ホルダブレード100は硬質合金、例えば超硬合金で作られる。硬質合金構成で形成された弾性締付配置は、硬質合金の大きな弾性係数のため、締付力下で割れるまたは破損する傾向があり得る。比べて、超硬合金の弾性係数は鋼の弾性係数よりほぼ3倍大きい。したがって、硬質合金の弾性締付配置が使用されるとき、切削工具における切削インサートの弾性締付により引き起こされる弾性変形に耐えるより高い弾性を有することが望ましい。
【0015】
[014]上述のとおり、切削工具140は切削工具ホルダブレード100を含み、切削インサート150は切削工具ホルダブレード100のインサートポケット104の1つに弾性的に保持される。切削工具ホルダブレード100は、中央平面Pに位置し、相対する端部136間に延在する長手方向中央軸Aを有する。切削工具ホルダブレード100は少なくとも1つのインサート締付部分102を含む。インサート締付部分102は中央平面Pに垂直な前平面Fを画定する前面122を有する。特に、前平面Fは中央軸Aに垂直に延在し、前面122の最前方部分を通過する。
【0016】
[015]各インサート締付部分102は少なくとも1つのインサートポケット104を有する。各インサートポケット104はベースジョー106および締付ジョー110を含む。ベースジョー106はベースジョー当接面108を有する。締付ジョー110は一体の継ぎ目のない構成でベースジョー106に弾性的に接続される。締付ジョー110は、ベースジョー当接面108と向かい合って面する締付表面112と、締付表面112の横断方向に面するインサート停止面114とを有する。切削工具ホルダブレード100の中央軸Aに沿った側面図において、インサート停止面114は中央軸Aに実質的に平行に延在する。
【0017】
[016]湾曲内面116はベースジョー当接面108から締付ジョー110に向かって延在し、さらに、締付ジョー110に沿ってインサート停止面114に向かって延在する。湾曲内面116は、前平面Fから第1最小長手方向距離D1だけ(すなわち、中央軸Aに平行方向に)間隔を空けて、前端部分118を有する。第1最小長手方向距離D1は、湾曲内面116のいずれかの部分と前平面Fとの間の最も短い長手方向距離である。中央平面Pに最も近いポイントで、湾曲内面116は、前端部分118から間隔を空けて、内端部分120を有する。
【0018】
[017]第2最小長手方向距離D2は締付表面112と前平面Fとの間の最小距離である。第2最小長手方向距離D2は締付表面112のいずれかの部分と前平面Fとの間の最も短い長手方向距離である。場合により、例えば、
図2に示されるとおり、締付表面112は、ベースジョー当接面108と楔形態を形成するために中央平面Pに対して角度をなす。このような場合、第2最小長手方向距離D2は前平面Fとインサート停止面114に最も近い締付表面112の端部との間に延在する。
【0019】
[018]本発明によると、第1最小長手方向距離D1は第2最小長手方向距離D2より小さい。換言すると、締付ジョー110は、長手方向において、湾曲内面116の前端部分118に隣接して、締付表面112でよりも狭くなっている。言い換えると、締付表面112は、湾曲内面116の前端部分118の上に、ベースジョー106に向かってかつ前平面Fから離れる方向に張り出す。また、
図3において見られるとおり、この張り出しは切削インサート150がインサートポケット104内に保持されるときでさえ存在する。加えて、保持された切削インサート150は湾曲内面116の前端部分118から間隔を空けて配される。この方法により、締付ジョー110は切削インサート150がインサートポケット104に挿入されるときより高い弾性を有する。切削工具ホルダブレード100が硬質合金で作られるため、締付ジョー110が弾性変形に可能な限り耐えることができるようにし、同時に、例えば締付ジョー110に隣接したホルダブレード100における破損および割れを防止することが望ましい。
【0020】
[019]ベースジョー当接面108、締付表面112およびインサート停止面114のいずれか1つが、V字形面として形成されてもよいことは理解されよう。V字形面を形成するためには、その面は望ましい方向に研削されなければならない。第1最小長手方向距離D1を第2最小長手方向距離D2より小さくすることにより、ベースジョー当接面108のより安全な研削が可能になる。研削砥石がベースジョー当接面108を研削するためにインサートポケット104に入れられるとき、研削砥石が締付ジョー110と湾曲内面116で接触するのを回避するために、湾曲内面116の前端部分118内に十分なスペースがある。この方法により、研削砥石による締付ジョー110への起こり得る損傷が回避され得る。
【0021】
[020]
図1〜6に示される実施形態によると、切削工具ホルダブレード100は中央平面Pの周りで鏡面対称である。したがって、インサート締付部分102は中央平面Pの相対する側に位置する2つの同一の左右反対のインサートポケット104を有する。同じインサート締付部分102における両方のインサートポケット104の湾曲内面116の内端部分120は、
図2に示されるとおり、最小横断距離Hだけ間隔を空けて配される。最小横断距離Hは両方のインサートポケット104の湾曲内面116のいずれかの部分間の最も短い横断距離(すなわち、中央平面Pに垂直な方向)である。第3長手方向距離D3(
図2)は内端部分120と前平面Fとの間に延在する。本発明のこの実施形態によると、最小横断距離Hは第3長手方向距離D3より大きい。特定の場合において、最小横断距離Hは第3長手方向距離D3の少なくとも2倍であってもよい。
【0022】
[021]前面122は、前平面Fから離れて切削工具ホルダブレード内へ湾曲する中心凹部分124を有してもよい。第4長手方向距離D4は凹部分124の最内部分と前平面Fとの間に延在する(
図2)。第4長手方向距離D4は前面122のいずれかの部分と前平面Fとの間の最大長手方向距離である。弾性締付ジョー110に隣接する前面122におけるこの湾曲した凹みにより中央平面Pの近傍の締付ジョー110が狭くなる。この方法により、締付ジョー110の各々はさらに可撓性となり、切削インサート150を締め付けるときに弾性変形の影響を受けやすくなる。
【0023】
[022]
図5および6を特に参照すると、切削インサート150は、例えば
図5および6に示されるその位置から中央平面Pに向かって、
図1に示される取付け位置に到達するまで、インサートポケット104の内部に取り付けられる。切削インサート150は切削部分152と位置決め部分154とを有する。切削部分152は、すくい面158と逃げ面160との交差部に形成される切れ刃156を有する。インサート150は上面162、下面164およびそれらの間に延在する外周側面166をさらに有する。
【0024】
[023]位置決め部分154は切削部分152から、上面162から離れて延在する。位置決め部分154は相対する前方および後方位置決め面168、170を有し、前方位置決め面168は下面164に位置する。外周側面166は、相対する前方および後方面172、174ならびにそれらの間に延在する、相対する側面176を含む。逃げ面160は前方面172に位置し、すくい面158は上面162に位置する。後方位置決め面170は後方面174に位置する。加えて、下方位置決め面178は下面164に上面162に相対して位置し、前方面172と前方位置決め面168との間に延在する。
【0025】
[024]切削インサート150がインサートポケット104の内部に取り付けられるとき、ベースジョー106のベースジョー当接面108が切削インサート150の後方面174に当接する。締付ジョー110の締付表面112は切削インサート150の前方位置決め面168に当接する。締付ジョー106のインサート停止面114は切削インサート150の下方位置決め面178に当接する。
【0026】
[025]
図7および8を参照すると、本発明の第2実施形態による、切削工具ホルダブレード101と切削インサート150とを含む別の切削工具141が示される。切削工具ホルダブレード101は切削工具ホルダブレード100と同様であるが、長方形の相対する角に位置するインサートポケット104を2つしか有しない。かくして、ホルダブレード101は長手方向軸Aに垂直で中央平面P上に位置する中心軸Cの周りで180°回転対称を有するが、中央平面Pの周りでの鏡面対称を欠いている。
図8に示されるとおり、切削工具ホルダブレード101のインサートポケット104の各々について、切削工具ホルダブレード100においてと同様、第1最小長手方向距離D1は第2最小長手方向距離D2より小さい。
【0027】
[026]切削工具ホルダブレード100、101はインサートポケット104の各々に隣接して貫通孔126をさらに有してもよい。各貫通孔126は、切削インサート150をインサートポケット104へ前進させかつそこから出すのに役立つ作動キーのそれぞれの部材を受けるよう適合される。作動キーの別の部材は、湾曲内面116に隣接するインサートポケット104に、または切削インサート150の上面162の上方に、のいずれかに同時に嵌合するように構成される。作動キーは、他方の部材が上面162の上方に位置しキーが第1方向に回転するとき、切削インサート150をインサートポケット104内へ前進させ、他方の部材が湾曲内面116に隣接して位置しキーが反対の方向に回転するとき、切削インサート150を抜き出するように構成される。
【0028】
[027]切削工具ホルダブレード100、101が硬質合金で作られるため、鋼よりも、例えば金属切削の間の熱への耐久性の点で耐久性があることは理解されよう。硬質合金は金属切削の間に形成される熱への耐性があるため、切削油剤を切削工具の切削領域へ加えるための外部または内部配置構成の必要がなく、ホルダブレード100、101を製造するのがより複雑ではなくかつより容易になる。
【0029】
[028]加えて、硬質合金ホルダブレード、例えばホルダブレード100、101を有する切削工具は、金属切削作業の間、より安定しより振動しにくい。これにより切削工具の寿命および作業可能な時間の合計が増える。切削工具ホルダブレードがより安定している場合、旋削用切削工具のより深い旋削深さを提供し得る。
【0030】
[029]切削工具140、141において、切削インサート150は、摩耗したとき、または作業時間の所定の期間の後に交換され得る。硬質合金切削工具ホルダブレード100、101において、締付ジョー110のレジリエンスおよび弾性は、時間が経つにつれてかつ繰り返し使用されるにつれて損なわれる(すなわち、これは例えば鋼ホルダブレードにおいて起こり得る)可能性が低いことが理解されよう。
【0031】
[030]本発明は1つまたは複数の特定の実施形態を参照して説明されたが、本説明は全体として例証であることが意図され、本発明を示された実施形態に限定するものとして解釈されるものではない。本明細書において具体的には示されないが、それにも関わらず本発明の範囲内にある様々な修正形態を当業者は想到することができることが理解される。