(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様の構成要素には同一の符号を付し、適宜に説明を省略する。
本実施形態の説明において示す方向は、特に断りのない限り、遊技者が遊技機10に正対して視たときの方向、すなわち
図1に示す遊技機10の正面図における方向とする。
また、以下の説明においては、特に断りのない限り、遊技機10には電源が投入され正常に動作していることを前提として説明する。
【0013】
<遊技機10の概要>
まず、本実施形態における遊技機10の概要について、
図1または
図4を用いて説明する。
図1は、遊技機10の正面図である。また、
図4は、遊技機10の機能ブロック図である。
【0014】
遊技機10は、遊技または遊技に関連する演出を繰り返し実行させる制御手段(メイン基板100とサブ基板200)を備えている。
また、遊技機10は、複数列に(複数のリールに跨がって)図柄を表示し、遊技の開始に応じて図柄の変動表示を始動し、当該遊技の終了までに変動表示を停止し、図柄の組合せから構成される停止パターンを停止表示する図柄表示手段(リールユニット50)を備えている。
メイン基板100またはサブ基板200は、繰り返し実行される遊技の一部において契機演出を実行させる。そして、メイン基板100またはサブ基板200は、契機演出の実行を契機として、特定演出を実行させうる遊技である演出遊技を、当該演出遊技までに実行される遊技の実行に起因して累積される累積値によって特定する。さらに、メイン基板100またはサブ基板200は、特定された演出遊技に到達して特定演出を実行させたとき、当該特定演出を契機演出として扱い、当該特定演出を契機として次回の演出遊技を特定する。
【0015】
上記のように契機演出または特定演出を実行させるので、本実施形態の遊技機10は演出遊技のタイミングを連鎖的に決定することができ、契機演出および特定演出の間に経時的な関連性を持たせることができる。従って、特定演出への期待感を常態的に喚起させることができ、この期待感を基軸とした斬新な遊技性を実現することができる。
【0016】
ここで契機演出または特定演出は、どちらも遊技に関連する演出の一種であり、その内容は一致しても一致しなくてもよい。
本実施形態における契機演出または特定演出は、どちらも同種のフリーズ中のリール回胴演出であるという点で共通しており、ストップボタン28(停止操作受付手段)の押下を許容しない状態(回動停止条件が不成立である状態)においてリール52が回動する。従って、本実施形態における契機演出または特定演出は、リールユニット50を制御するメイン基板100(回動制御部150)とサブ基板200とが協働することによって実行される。
【0017】
なお、契機演出または特定演出の実施例はこの態様に限らず、その変形例としては、リール回動を伴わないフリーズ演出、液晶演出、音声演出、発光演出、またはこれらの組合せが挙げられる。すなわち、契機演出または特定演出の実行のために、必ずしもメイン基板100とサブ基板200とが協働しなくてもよい。
ここでリール回動を伴わないフリーズ演出とは、回動停止条件が不成立である時間が所定の遅延時間(ウェイト時間)より長時間にわたって維持され、その期間中にリールユニット50を除く構成要素(例えば、演出表示装置16等)を用いて実行される演出をいう。
【0018】
本実施形態におけるメイン基板100またはサブ基板200は、契機演出(または契機演出として扱われた特定演出)を実行させた遊技から演出遊技までの遊技数を累積値として定めることによって演出遊技を特定する態様を採る。本実施形態において演出遊技を特定する構成要素は演出遊技特定部163であり、演出遊技特定部163はメイン基板100に含まれる。
なお、本発明の実施例はこの態様に限らず、その他の態様を変形例として採りうる。例えば、メイン基板100またはサブ基板200は、繰り返し実行される遊技の一部または全部において一または複数が加算される累積値を定め、その累積値が予め定められた値に到達する遊技を演出遊技とする態様であってもよい。
【0019】
ここで演出遊技とは、特定演出を実行させうる特定の遊技である。また「演出遊技を特定する」とは、複数の遊技の中から特定演出を実行させうる遊技を選択することを意味する。すなわち本実施形態における演出遊技特定部163によって特定される対象は、特定演出を実行させうる遊技(演出遊技)の実行タイミング(実行時期)である。
【0020】
なお、上記において「特定演出を実行させうる遊技である演出遊技」と記載しているように、本発明における演出遊技の全てにおいて特定演出が実行される必要はなく、演出遊技に到達しても特定演出が実行されない場合があってもよい。
【0021】
なお、本実施形態の説明においては、全ての演出遊技において特定演出を実行する態様で説明する。すなわち、メイン基板100またはサブ基板200(制御手段)は、特定された演出遊技に到達するごとに特定演出を実行させ、特定演出を実行するごとに当該特定演出を契機として次回の演出遊技を特定する。
従って、初回の契機演出が実行された以降については、演出遊技に到達する度に次回の演出遊技が特定されるので、当該遊技機の遊技性を持続することができる。
【0022】
なお、初回の契機演出を実行する遊技を定める方式については、いくつかの態様が考えられる。例えば、遊技機10の起動した最初の遊技において契機演出を実行してもよいし、遊技機10の起動した最初の遊技において抽選で決定された遊技数を経て実行される遊技で契機演出を実行してもよい。
【0023】
<遊技機10の外観>
次に、遊技機10の外観について、
図1〜
図4を用いて説明する。
図1は、遊技機10の正面図である。
図2は、リールユニット50の斜視図である。
図3は、各リール52の外周に描かれている図柄の配列を示す図である。
図4は、遊技機10の機能ブロック図である。
遊技機10は、前面を開口した直方体状の本体(図示せず)と、当該本体の左側縁側に対して回動開閉可能に軸支された前面扉12と、を備えている。
前面扉12には、中央パネル14と、BETボタン20と、MAXBETボタン22と、メダル投入口24と、スタートレバー26と、ストップボタン28と、精算スイッチ30と、メダル排出口32と、スピーカ34と、装飾ランプ36と、下皿38と、が配設されている。
【0024】
スタートレバー26は、回動開始条件が成立しているとき、遊技者の始動操作を受け付けることができる。ここで始動操作とは、具体的には初期状態において前面扉12に対して略垂直に設けられているスタートレバー26をいずれかの方向に倒すことである。
また、ここで回動開始条件とはスタートレバー26が始動操作を受け付けるための前提条件であり、回動開始条件が成立する要件は種々想定される。
例えば、当該要件の一つは、メダル投入口24から所定のベット数だけメダルを投入することである。ここで所定のベット数とは、遊技機10が行う1回の遊技において、投入可能なメダル数の上限値をいう。本実施形態の遊技機10においては、所定のベット数が3枚に設定されている。
また、当該要件の一つは、遊技機10に貯留されているメダル枚数(いわゆるクレジット)をBETボタン20およびMAXBETボタン22の押下によって減算させ、減算させた値を所定のベット数に到達させることである。本実施形態において、BETボタン20は1回の押下でクレジットを最大で1つ減算させることができ、MAXBETボタン22は1回の押下でクレジットを最大で3つ減算させることができる。なお、BETボタン20およびMAXBETボタン22を押下しても、当該遊技におけるクレジットの減算値が所定のベット数に達している場合には、それを超えてクレジットを減算させることができない。
また、当該要件の一つは、メダル投入口24から投入したメダル数と、BETボタン20またはMAXBETボタン22の押下で減算したクレジット数と、の合算値が所定のベット数に到達することである。
また、当該要件の一つは、前回の遊技において再遊技が作動した場合においては、当該再遊技の作動に起因して遊技機10が再遊技処理を行うことである。この場合、遊技者がメダル投入やクレジット減算を行わずとも、自動的に回動開始条件が成立する。ここで述べた再遊技については、後に詳述する。
【0025】
以上列挙した要件のいずれかを満足する場合、回動開始条件が成立する。ただし、遊技機10が遊技不能である場合は除く。
ここで遊技不能である場合としては、(i)前面扉12が開扉している場合、(ii)遊技機10に内蔵されているメダル払出装置70(
図4参照)の中にメダルが無い場合、(iii)貯留されているクレジットに相当するメダルを、精算スイッチ30の押下に起因してメダル排出口32からメダルを排出する処理が行われている場合、等が挙げられる。
【0026】
ここでメダルの貯留とは、遊技者の所有するメダルの一部または全部に代えて、その数に相当する数値(クレジット)を遊技機10の内部で記憶する機能をいう。メダルが貯留される(クレジットが増大する)場合は、例えば(i)所定のベット数を超えてメダル投入口24からメダルが投入された場合、(ii)遊技において入賞し、当該入賞の特典としてメダルが付与された場合、等が挙げられる。
なお、本実施形態においてクレジットの上限は「50」に設定されており、クレジットが上限値を超えるメダル投入またはメダル付与がなされる場合、上限値を超えた分に相当するメダルがメダル排出口32から下皿38に払い出される。より詳細には、クレジットが上限値に到達するとメダルブロッカ(図示せず)が作動し、当該メダルブロッカが作動しているときにメダル投入口24からメダルが投入された場合、投入されたメダルがそのままメダル排出口32から排出される。また、クレジットの上限値を超えてメダルが付与された場合、付与されたメダル数に相当するメダルがメダル払出装置70から取り出され、メダル排出口32から排出される。
【0027】
リールユニット50は、スタートレバー26が受け付けた始動操作に起因して回動を開始する。このとき、前回の遊技における回動開始から当該遊技における回動開始までの時間が所定の遅延時間、いわゆるウェイト時間を超えていることを要する。すなわち、スタートレバー26にてウェイト時間が経過する前に始動操作が受け付けられた場合、ウェイト時間が経過するまで待機した後にリールユニット50は回動を開始する。なお、本実施形態におけるウェイト時間は4.1秒に設定されている。
【0028】
リールユニット50が回動している最中、各リール52は原則として上から下へと回動する。以下の説明において、リール52における上から下への回動を「順方向」、下から上への回動を「逆方向」と称する。
【0029】
リールユニット50が回動を開始した後に回動停止条件が成立し、ストップボタン28は遊技者から停止操作を受け付け可能となる。ここで停止操作とは、具体的にはストップボタン28を押下することである。
また、ここで回動停止条件とはリールユニット50の停止操作を受け付けるための前提条件であり、回動停止条件が成立する要件は種々想定される。
例えば、(i)回動停止条件のすべてのリール52の速度が所定の回動速度に到達する、(ii)回動開始から当該回動速度の到達に十分な時間が経過する、(iii)回動開始位置を基準として当該回動速度の到達に十分な回動角度に到達する、等が挙げられる。
【0030】
ストップボタン28は、各リール52に対して一つずつ設けられている。具体的には、ストップボタン28Lは、リール52Lを停止させるための停止操作を受け付ける。ストップボタン28Cは、リール52Cを停止させるための停止操作を受け付ける。ストップボタン28Rは、リール52Rを停止させるための停止操作を受け付ける。
ここで挙げたストップボタン28は遊技者の任意の順番で押すことも可能であるが、多くの遊技においてストップボタン28Lを最初に押下しないと特典が受けられない等のペナルティが付与される。従って、ART等の特定の遊技状態を除いて、遊技者はストップボタン28Lを最初に押下して遊技を進行させる。
【0031】
前段で挙げたすべてのストップボタン28について回動停止条件が一旦は同時に成立するが、一のストップボタン28を押下すると所定の時間だけ回動停止条件が解除され、他のストップボタン28の停止操作を受け付けなくなる。そして、当該時間が経過した後に他のストップボタン28に対して再び回動停止条件が成立し、他のストップボタン28の停止操作を受け付けることが可能となる。このとき、停止操作受付済みの一のストップボタン28については回動停止条件が成立しない。
回動停止条件は以上のように成立するので、遊技者はストップボタン28の停止操作を当該時間未満の間隔で行えない。
なお、本実施形態におけるストップボタン28は、LEDランプ(図示せず)を内包し、その周囲を透過性の部材で覆う構成となっている。そして、ストップボタン28は、LEDランプの点灯色で回動停止条件の成立の可否を遊技者に報知する仕様となっている。
【0032】
ストップボタン28で受け付けた停止操作に起因して、当該停止操作を受け付けたストップボタン28に対応するリール52が停止する。リール52の停止位置は、ストップボタン28の押下時におけるリール52の位置を基準として最大4コマまで移動しうる。ストップボタン28を押下してからリール52が停止するまでのリール52の回動制御を、一般的にはすべり制御という。
ここでコマとは、リール52の外周(帯58)に示されている図柄の一つに対して与えられている領域をいい、1コマとは、一つの当該領域、または、一つの当該領域の上下方向の寸法をいう。本実施形態において、リール52の外周は21コマに等分されており、各コマにそれぞれ一つずつ図柄が配列されている(
図3参照)。
なお、本実施形態においてリール52の停止とは、所定のコマを基準に1コマ未満の変動幅でリール52が揺動している状態も含むものとする。
【0033】
中央パネル14には、上部に演出表示装置16が配置されており、下部に視認窓18が形成されている。
【0034】
演出表示装置16は、前面扉12の前面上部に配置されており、遊技機10の遊技に関する各種演出または各種情報を表示することができる。演出表示装置16には、例えば、液晶ディスプレイ型の表示装置や、ドットマトリクス型の表示装置などが用いられる。
演出表示装置16で表示される演出は、スピーカ34からの音声出力や装飾ランプ36の発光と連動しており、遊技者の興趣を好適に喚起させることができる。
また、演出表示装置16は、指令生成部170(
図4参照)から伝送される制御信号に従って表示出力することによって、特定の遊技を遊技者にとって有利な状態に遷移させることができる。当該機能については後に詳述する。
【0035】
視認窓18は、本体内部(前面扉12の裏面側)に備えられたリールユニット50の前面側に形成された窓枠で、内部領域と外部領域とに区画されている。
視認窓18の内部領域は透明部材で形成することによって、当該内部領域を介してリールユニット50の一部が視認可能にすると共に、リールユニット50を保護している。
また、視認窓18の外部領域は不透明部材(半透明部材や透明部材を着色した部材を含む)で形成されており、外部領域を介したリールユニット50の視認を困難としている。
【0036】
リールユニット50は、縦方向(上下方向)に回動可能な三つのリール52L、リール52C、リール52Rが横方向(左右方向)に配列され、フレーム54に収容されている。
リール52は、ドラム56の外周に帯58が貼られたものである。ドラム56は、その内側に内包されたステッピングモータ(図示せず)によって駆動されて回動する構成となっている。なお、当該ステッピングモータは、
図4に図示するリール駆動部511、リール駆動部512、およびリール駆動部513の主要構成部品であり、
図4に図示するメイン基板100(回動制御部150)からの制御信号に応じて動作する。
【0037】
帯58には21個の図柄(
図3参照)が描かれており、これらの図柄の一部が視認窓18の内部領域を介して遊技者に対して視認される。
より詳細には、視認窓18の内部領域は縦方向に三コマ分の寸法となっている。また、各リール52は視認窓18の内部領域の縦方向に3個の図柄が収まるように停止制御され、遊技者は当該3個の図柄を視認窓18の内部領域を介して視認できるようになっている。すなわち、リール52が横方向に3つ配置されているので、各リール52が停止している場合において、遊技者が3個の図柄×3リール=9個の図柄を視認可能になっている。
【0038】
前段のように各リール52が停止制御されるとき、各リール52において停止する図柄のうち上段・中段・下段に停止する図柄が形成する略直線(
図1等において一点鎖線で示す)をそれぞれラインL1・ラインL2・ラインL3と称す。
また、リール52Lの上段と、リール52Cの中段と、リール52Rの下段に停止する図柄が形成する略直線(
図1等において一点鎖線で示す)をラインL4と称す。リール52Lの下段と、リール52Cの中段と、リール52Rの上段に停止する図柄が形成する略直線(
図1等において一点鎖線で示す)をラインL5と称す。
【0039】
<遊技状態と内部抽選について>
次に、本実施形態の遊技機10における遊技状態と内部抽選について
図3〜
図6を用いて説明する。
図3は、各リール52の外周に描かれている図柄の配列を示す図である。
図4は、遊技機10の機能ブロック図である。
図5は、遊技機10における遊技状態の遷移図である。
図6は、内部抽選部120が用いる抽選テーブルを示す図である。
なお、ここで述べる遊技状態や入賞役(条件装置130)は一例であり、必ずしも図示したものに限られない。
【0040】
ここで条件装置130とは、入賞または再遊技を作動させる機能を有する。より具体的には、条件装置130は、内部抽選部120による内部抽選の当選によって作動を開始し、ストップボタン28が受け付けた停止操作に起因して停止した配列目に応じて特典付与部160を作動させる。
ここで入賞とは、入賞役が内部抽選部120によって抽選され、その入賞役に対応している図柄の組み合わせが入賞ライン上に停止することをいう。
ここで再遊技とは、次の遊技をメダル投入に因らずに行うことができる特典に対応している入賞役が内部抽選部120によって抽選され、その特典に対応している図柄の組み合わせが入賞ライン上に停止することをいう。
ここで入賞ラインとは、リールユニット50の回動方向に対して交差する略直線方向のいずれかであって遊技者に視認可能な位置に設けられているラインL1からラインL5のうち一又は複数に対して設定される。なお、本実施形態における入賞ラインは、ラインL1のみである。
上記のような構成になっているので、内部抽選部120によって入賞役が抽選されることは、その入賞役が入賞されることが許容される状態になると換言することができる。
なお、以下の説明において、内部抽選部120によって入賞役が抽選されることを「入賞役の当選」と表現する場合があるが、この表現は「入賞」の前提条件の少なくとも一部が満たされ、その入賞役に入賞されることが許容されていることを意味する。
【0041】
本実施形態における遊技状態にはメインモードM1〜M4とサブモードS1〜S5とが含まれ、それぞれ遊技管理部110によって管理されている。
メインモードM1〜M4には、それぞれ異なる抽選テーブルRT0〜RT3が割り当てられている。また、内部抽選部120は、その遊技において滞在しているメインモードに割り当てられた抽選テーブルを参照して各入賞役を抽選する。
また、サブモードS1〜S5は、サブ基板200によって実行される演出内容と密接に関わっており、それぞれ異なる態様の演出が割り当てられている。なお、本実施形態における各サブモードについて、メイン基板100(遊技管理部110)が各サブモードS1〜S5のいずれに滞在するかを管理する実施例で説明するが、この態様に限られない。例えば、後述する移行条件の成立をメイン基板100で制御し、当該移行条件の成立を契機として生成される制御信号に応じてサブ基板200が各サブモードを制御してもよい。
【0042】
メインモードM1〜M4とサブモードS1〜S5について、
図5と
図6を用いてより具体的に説明する。
なお、
図6に示す「条件番号」とは、各入賞役に対応して割り当てられている条件装置130の種別を示す番号であり、本実施形態における条件装置130には「00」〜「18」の19通りの種別が含まれる。
また、各抽選テーブルRT0〜RT3に割り振られている数値は、各入賞役に対応している抽選用乱数の基数であり、各抽選テーブルに割り振られている基数の合計はそれぞれ65536になっている。
【0043】
メインモードM1は、遊技機10を起動した際に滞在している遊技状態であり、抽選テーブルRT0が割り当てられている。メインモードM1は「ベル溢し」の成立によってメインモードM2に移行する一方で、他のメインモードM2、M3、M4から移行しないので、メインモードM1に滞在している遊技は限定的である。
【0044】
ここで「ベル溢し」とは、「押し順ベル」に関する入賞役のいずれかが当選しているにも関わらず、これらの入賞役を規定している所定の押し順で停止操作がされた場合に停止表示される停止パターンとは異なる停止パターンで各リール52が停止することをいう。より具体的には、本実施形態において以下のいずれかの場合において「ベル溢し」が成立する。
(i)ストップボタン28Lを第1停止と規定している条件番号「11」の「押し順ベル」が当選しており、規定されたその押し順で押下されない場合
(ii)ストップボタン28Cを第1停止と規定している条件番号「12」の「押し順ベル」が当選しており、規定されたその押し順で押下されない場合
(iii)ストップボタン28Rを第1停止と規定している条件番号「13」の「押し順ベル」が当選しており、規定されたその押し順で押下されない場合
【0045】
メインモードM2は、遊技機10にて行われる遊技において最も滞在する確率の高い遊技状態であり、抽選テーブルRT1が割り当てられている。メインモードM2は「移行リプレイ」の作動によってメインモードM3へ移行する。
【0046】
ここで「移行リプレイ」は、メインモードM3に移行するための条件として設けられている入賞役(再遊技)であり、より具体的には、本実施形態において以下のいずれかの場合において「移行リプレイ」が作動される。
(i)ストップボタン28Cを第1停止、ストップボタン28Rを第2停止として規定している条件番号「02」の「移行リプレイ」が当選しており、規定されたその押し順で押下される場合
(ii)ストップボタン28Cを第1停止、ストップボタン28Lを第2停止として規定している条件番号「03」の「移行リプレイ」が当選しており、規定されたその押し順で押下される場合
(iii)ストップボタン28Rを第1停止として規定している条件番号「04」の「移行リプレイ」が当選しており、規定されたその押し順で押下される場合
【0047】
メインモードM3は、メインモードM4への移行契機となる「赤7揃い」の抽選確率が高い遊技状態であり、抽選テーブルRT2が割り当てられている。メインモードM3は「赤7揃い」の作動によってメインモードM4に移行する一方で、「ベル溢し」または「維持リプレイ溢し」の成立によってメインモードM2に移行する。
【0048】
ここで「赤7揃い」は、メインモードM4に移行するための条件として設けられている入賞役(再遊技)であり、より具体的には、本実施形態において以下のいずれかの場合において「赤7揃い」が作動される。
(i)ストップボタン28Rを第1停止として規定している条件番号「09」の「赤7揃い」が当選しており、規定されたその押し順で押下される場合
(ii)ストップボタン28Rを第1停止として規定している条件番号「10」の「赤7揃い」が当選しており、規定されたその押し順で押下される場合
なお、上記のいずれかの場合において、各ストップボタン28を適切なタイミングで押下することにより、ラインL1〜L5のいずれかに「赤7」図柄が揃うようになっている。ここで「赤7」図柄とは、リール52Lにおける「LZ04」であり、リール52Cにおける「CZ04」であり、リール52Rにおける「RZ04」である。また、「赤7」図柄が揃ったときの停止パターンによって、遊技者は(i)の場合か(ii)の場合かを判別できるようになっている。
【0049】
ここで「維持リプレイ溢し」は、「維持リプレイ」に関する入賞役のいずれかが当選しているにも関わらず、これらの入賞役を規定している所定の押し順で停止操作がされた場合に停止表示される停止パターンとは異なる停止パターンで各リール52が停止することをいう。より具体的には、本実施形態において以下のいずれかの場合において「維持リプレイ溢し」が成立する。
(i)ストップボタン28Lを第1停止として規定している条件番号「05」の「維持リプレイ」が当選しており、規定されたその押し順で押下されない場合
(ii)ストップボタン28Cを第1停止、ストップボタン28Lを第2停止として規定している条件番号「06」の「維持リプレイ」が当選しており、規定されたその押し順で押下されない場合
(iii)ストップボタン28Cを第1停止、ストップボタン28Rを第2停止として規定している条件番号「07」の「維持リプレイ」が当選しており、規定されたその押し順で押下されない場合
(iv)ストップボタン28Rを第1停止として規定している条件番号「08」の「維持リプレイ」が当選しており、規定されたその押し順で押下されない場合
【0050】
メインモードM4は、主にART(サブモードS4)が行われている遊技状態であり、抽選テーブルRT3が割り当てられている。メインモードM4は「ベル溢し」または「維持リプレイ溢し」の成立によってメインモードM2に移行する。
【0051】
ここまで、各メインモードM1〜M4の移行条件の成立について、内部抽選部120による入賞役の当選とストップボタン28の押し順とを関連付けて説明したが、これは外部から認識しうる現象として捉えた説明である。遊技機10の内部処理としては、各移行条件の成立に対応している停止パターンがリールユニット50に停止表示された場合に、その停止パターンに対応している移行条件の成立を肯定する処理が行われる。
従って、例えば「ベル溢し」については、その成立に対応している停止パターンが存在し、当該停止パターンの停止表示を契機として「ベル溢し」が判定される構成になっている。また、「維持リプレイ溢し」についても、その成立に対応している停止パターンが存在し、当該停止パターンの停止表示を契機として「維持リプレイ溢し」が判定されると共に、当該停止パターンも再遊技の作動の契機となっており、次回の遊技にて再遊技処理が実行される。
【0052】
前段で述べた「ベル溢し」や「維持リプレイ溢し」等の押し順が規定される入賞役について、より具体的な処理は以下の手順となる。
(i)内部抽選部120によって押し順が規定される入賞役に当選する。
(ii)規定された押し順で停止操作された場合に対応している条件装置130および当該押し順で停止操作されない場合に対応している条件装置130が重複して作動する。
(iii−a)規定された押し順で停止操作された場合、それに対応している停止パターン(一の停止パターン)を他方(他の停止パターン)より優先して視認窓18の内部領域に停止表示させるように、通常回動制御部151が各リール52を制御する。
(iii−b)規定された押し順で停止操作されない場合、それに対応している停止パターン(他の停止パターン)を他方(一の停止パターン)より優先して視認窓18の内部領域に停止表示させるように、通常回動制御部151が各リール52を制御する。
(iv)表示図柄判定部153が、(iii−a)または(iii−b)にて停止表示された停止パターンを判定する。
【0053】
サブモードS1は、「通常モード」と称される遊技状態であり、メインモードM1またはメインモードM2に滞在している場合に行われる。なお、本実施形態における通常遊技状態はサブモードS1が含まれる。
【0054】
サブモードS2は、「チャンスゾーン」と称される遊技状態であり、ART(サブモードS4)への移行確率がサブモードS1より高確率となる遊技状態をいう。サブモードS2は、メインモードM1またはメインモードM2に滞在している場合に行われる。なお、本実施形態における通常遊技状態はサブモードS2が含まれる。
ただし、変形例によっては「チャンスゾーン」であるサブモードS2が有利遊技状態となる態様も採りうる。すなわち、サブモードS1に比べてARTへの移行確率が高確率であるという点に着目すれば、サブモードS2はサブモードS1に比べて有利な遊技状態であるともいえる。
【0055】
本実施形態におけるサブモードS2は、いわゆるバトル演出であり、敵キャラクターに与えたダメージが許容量を超えるときに特典付与部160によって特典が付与される。与えるダメージは、内部抽選部120によって抽選された入賞役や表示図柄判定部153によって判定された入賞の成立に応じて抽選される。また、バトル演出の結果として付与される特典は、本実施形態においてはサブモードS3(ART確定画面)への移行である。
【0056】
サブモードS3は、「ART確定画面」が演出表示装置16に表示される遊技状態であり、メインモードM1、メインモードM2またはメインモードM3に滞在している場合に行われる。なお、本実施形態における有利遊技状態はサブモードS3が含まれる。
ここで「ART確定画面」とは、サブモードS4への移行を確定的にする表示演出である。より具体的には、「ART確定画面」が演出表示装置16に表示されている間には、以下の報知が行われることによって、メインモードM4への移行(サブモードS4への移行)を担保している。
(i)「移行リプレイ」が抽選されたとき、対応しているストップボタン28の押し順を報知して、メインモードM2からメインモードM3への移行(昇格)を促す。
(ii)「維持リプレイ」が抽選されたとき、その「維持リプレイ」に対応しているストップボタン28の押し順を報知して、メインモードM3からメインモードM2への移行(転落)を防止する。
(iii)「赤7揃い」が抽選されたとき、第1停止をストップボタン28Rとするように報知して、メインモードM3からメインモードM4への移行(昇格)を促す。
(iv)「押し順ベル」が抽選されたとき、その「押し順ベル」に対応しているストップボタン28の押し順を報知して、メインモードM3からメインモードM2への移行(転落)を防止する。
【0057】
(i)から(iv)の報知に従う限りにおいて、メインモードM3からメインモードM4(サブモードS3からサブモードS4)への移行は確定的であり、数回程度の遊技の間に当該移行がなされるように
図6に示す各抽選テーブルが設定されている。
また、(i)から(iv)の報知に従う限りにおいて、サブモードS3において獲得可能となる遊技媒体の数は、サブモードS1またはサブモードS2(通常遊技状態)において獲得可能となる遊技媒体の数より多くなる。
なお、(i)から(iv)の報知は、報知制御部180によって制御される。報知制御部180の詳細については、後に詳述する。
【0058】
サブモードS4は、「ART」と称される遊技状態であり、本実施形態における有利遊技状態にはサブモードS4が含まれる。ここでARTとは、通常遊技状態より再遊技が成立する確率を高くすると共に、特定の入賞役に対応している停止操作を報知して当該特定の入賞役が成立する確率を実質的に高くする遊技状態をいう。なお、本実施形態における特定の入賞役とは「移行リプレイ」、「維持リプレイ」または「押し順ベル」である。
なお、上述のように設定されているので、サブモードS4において獲得可能となる遊技媒体の数は、サブモードS1またはサブモードS2(通常遊技状態)において獲得可能となる遊技媒体の数より多くなる。
【0059】
本実施形態では、原則として、メインモードM3からメインモードM4に移行(昇格)するときに合わせて、サブモードS3からサブモードS4移行するように設定されている。
ただし、サブモードS4に滞在している最中に「ベル溢し」または「維持リプレイ溢し」が成立した場合には、メインモードM4からメインモードM2に移行(転落)するが、サブモードS4は規定の遊技数が消化されるまでサブモードS1に転落しないように設定されている。従って、サブモードS4に滞在している最中に、メインモードM4からメインモードM2に転落して、メインモードM3を経由してメインモードM4に再び昇格する場合もありうる。
【0060】
本実施形態のART(サブモードS4)は、メインモードM4に滞在している場合において、以下のような態様で実行される。
(i)「維持リプレイ」が抽選されたとき、その「維持リプレイ」に対応しているストップボタン28の押し順を報知して、メインモードM4からメインモードM2への移行(転落)を防止する。
(ii)「赤7揃い」が抽選されたとき、第1停止をストップボタン28Rとして報知し、「赤7揃い」に対応する停止パターンを停止させるように促す。
(iii)「押し順ベル」が抽選されたとき、その「押し順ベル」に対応しているストップボタン28の押し順を報知して、メインモードM4からメインモードM2への移行(転落)を防止する。
なお、(i)から(iii)の報知は、報知制御部180によって制御される。報知制御部180の詳細については、後に詳述する。
また、上記の(ii)の報知に従ってARTにて「赤7揃い」が成立した場合、その時点で滞在しているARTの遊技数を延長させる、いわゆる上乗せ処理の契機となる。
【0061】
また、前段で説明した報知に従わずにストップボタン28が操作されてメインモードM4から転落した場合、本実施形態のART(サブモードS4)は、サブモードS3で説明した態様と同様の報知を実行することによって、メインモードM4への昇格を促すように設定されている。
【0062】
また、サブモードS4に付与された遊技数が消化された場合、サブモードS4は終了してサブモードS1に終了するが、移行条件である「ベル溢し」「維持リプレイ溢し」が成立するまでサブモードS1に対応しているメインモードM2に移行しないので、メインモードM4が維持される。
ただし、このような場合はサブモードS1に滞在しており、サブモードS4で行われる報知が行われないので、「押し順ベル」や「維持リプレイ」に当選した場合に、遊技者はその入賞役に対して規定されている押し順で停止操作しがたい。従って、サブモードS1に移行した後はメインモードM4に滞在していたとしてもそれを維持しがたく、数回程度の遊技が実行される間に「ベル溢し」「維持リプレイ溢し」が成立してメインモードM2に移行される。
【0063】
サブモードS5は、「ART特化ゾーン」と称される遊技状態であり、本実施形態における有利遊技状態にはサブモードS5が含まれる。サブモードS5は、サブモードS4と同様に、通常遊技状態より再遊技が成立する確率を高くすると共に、特定の入賞役に対応している停止操作を報知して当該特定の入賞役が成立する確率を実質的に高くする遊技状態である。従って、サブモードS5において獲得可能となる遊技媒体の数は、サブモードS1またはサブモードS2(通常遊技状態)において獲得可能となる遊技媒体の数より多くなる。
【0064】
なお、サブモードS5(ART特化ゾーン)は、有利遊技状態を延長させるための遊技状態であり、一部の入賞役の成立に応じてサブモードS5またはサブモードS4(ART)の遊技数の上乗せ処理を行う。このとき、上乗せされる遊技数は、成立された入賞役に起因して抽選される抽選テーブル(図示せず)に基づいて決定される。
【0065】
サブモードS5は、移行条件を満たすときサブモードS4から移行し、終了条件を満たすときサブモードS4へと移行する。ここで「移行条件」または「終了条件」については、様々な態様を採りうる。
例えば、「移行条件」の実施例としては(i)昇格に対応する入賞役に当選する(ii)特定の演出で成功する等が挙げられる。
また、「終了条件」としては(i)付与された遊技数を消化する(ii)転落に対応する入賞役に当選する等が挙げられる。
サブモードS5は終了してもサブモードS4に移行するのみであり、場合によっては再びサブモードS4から移行することがありうる。この点を鑑みるとサブモードS5はサブモードS4に比べて有利な遊技状態であるともいえる。
【0066】
本実施形態の遊技機10によって行われる遊技の多くは、サブモードS1またはサブモードS2に滞在するように設定されている。また、サブモードS1またはサブモードS2において所定の条件が成立することによってサブモードS3に移行し、サブモードS3を経由してサブモードS4に移行する。また、サブモードS4からはサブモードS5に移行する機会もある。
本実施形態では、サブモードS4またはサブモードS5において遊技媒体(メダル)の払出を多く受けることが遊技者の最大の関心事であり、サブモードS4またはサブモードS5に移行するプロセスにおいて遊技者の興趣を喚起させることが遊技機10の主な遊技性となる。
なお、サブモードS1またはサブモードS2からサブモードS3に移行する条件や、サブモードS4からサブモードS5に移行する条件については、後に詳述する。
【0067】
<遊技機10の機能構成>
次に、遊技機10の機能構成について、主に
図4を用いて説明する。ただし、先に説明した
図1や
図2に図示される構成要素についても言及するので適宜参照されたい。
なお、
図4は、遊技機10の機能ブロック図である。
【0068】
遊技機10は、主要な構成要素としてメイン基板100とサブ基板200とを内蔵している。
メイン基板100は、CPU(図示せず)、ROM(図示せず)またはRAM(図示せず)等の電子部品が実装されており、これらの電子部品や各種センサ等の間で授受するデータや制御信号の処理を実行することによって、遊技に関する各種機能を実現している。また、メイン基板100はリールユニット50やメダル払出装置70も制御している。
一方で、サブ基板200も、CPU(図示せず)、ROM(図示せず)またはRAM(図示せず)等の電子部品が実装され、情報処理によって各種機能を実現している点においてはメイン基板100と同様である。しかし、サブ基板200は、メイン基板100(指令生成部170)からの制御信号(サブ送信コマンド)によって制御されている点、および、演出表示装置16、スピーカ34または装飾ランプ36等の主に遊技に関する演出に用いられる周辺機器がその制御対象である点においてメイン基板100とは異なる。
【0069】
メイン基板100は、遊技管理部110、内部抽選部120、条件装置130、メダル処理部140、回動制御部150、特典付与部160、指令生成部170および報知制御部180を備える。
【0070】
遊技管理部110は、他の機能や各種センサを監視または制御して遊技状態を管理し、少なくとも以下の処理を実行する。
(i)遊技不能である場合に、遊技を停止(中断)させる
(ii)前回の遊技において再遊技が成立している場合に、再遊技処理を行って回動開始条件を成立させる
(iii)回動開始条件が成立している場合に、始動操作センサ326を作動させて遊技者の始動操作を待機する
(iv)メインモードの移行条件が成立した場合に、該当するメインモードに移行させる
(v)サブモードの移行条件が成立した場合に、該当するサブモードに移行させる
【0071】
また、遊技管理部110は、遊技機10の遊技設定値も管理しており、遊技が実行されるごとに各種機能に当該遊技設定値を出力している。ここで遊技設定値とは、遊技機10に内蔵されている設定変更装置(図示せず)によって変更される値であり、前面扉12を開放した状態において設定キー(図示せず)を挿入することにより変更操作が可能となる。遊技設定値は、内部抽選部120における各種抽選の当選確率、または、サブ基板200によって制御される各種演出の発生確率、等に影響を与える。
【0072】
内部抽選部120は、始動操作センサ326による始動操作の検知に応じて入賞役の抽選を行う。また、内部抽選部120は、抽選された入賞役に対応している条件装置130を作動させる。
【0073】
メダル処理部140は、クレジットを記憶し、その増減を管理する機能を有する。より詳細には、BETボタンセンサ320がBETボタン20の押下を検知したとき、または、MAXBETボタンセンサ322がMAXBETボタン22の押下を検知したとき、メダル処理部140は記憶しているクレジットから所定の値を減算する。
また、メダル処理部140は、特典付与部160によって付与されたメダル数に相当する値を、記憶しているクレジットに加算する。
記憶しているクレジットが上限値であるときに特典付与部160から特典としてメダルが付与された場合、メダル処理部140は、メダル払出部370を介してメダル払出装置70に働きかけて、超過したメダル数に相当するメダルを払い出させる。
また、メダル処理部140は、精算スイッチセンサ330が精算スイッチ30の押下を検知したとき、メダル処理部140はメダル払出部370を制御し、メダル払出装置70に蓄えられているメダルを払い出させる。
【0074】
回動制御部150は、リールユニット50の回動を制御する機能を有している。より詳細には、回動制御部150は、通常回動制御部151、特別回動制御部152および表示図柄判定部153を有している。通常回動制御部151は、通常の回動態様でリールユニット50を制御する(通常回動制御)。特別回動制御部152は、フリーズ中のリール回動演出における回動態様でリールユニット50を制御する(特別回動制御)。表示図柄判定部153は、作動している条件装置130とリールユニット50によって表示されている停止パターンとを比較し、入賞の成否を判定する。
ここでフリーズ中のリール回動演出とは、ストップボタン28(停止操作受付手段)の押下を許容しない状態(回動停止条件が不成立である状態)においてリール52が回動する演出をいう。なお、通常回動制御部151による通常回動制御および特別回動制御部152による特別回動制御については、後に詳述する。
【0075】
始動操作センサ326がスタートレバー26の操作(始動操作)を検知したとき、遊技管理部110は通常回動制御部151に制御信号を出力する。当該制御信号を受けた通常回動制御部151は、いわゆるウェイト時間が経過した後に、通常回動態様で各リール52を回動させるようにリール駆動部511、リール駆動部512およびリール駆動部513にパルス信号を出力する。リール駆動部511はリール52Lを、リール駆動部512はリール52Cを、リール駆動部513はリール52Rを、それぞれ回動させる機能を有する。より詳細には、リール駆動部511、リール駆動部512およびリール駆動部513の主要な構成部品はステッピングモータ(図示せず)であり、通常回動制御部151が出力するパルス信号を入力することによって、断続的に可変な回動態様で各リール52を回動させることができる。
なお、リール52の回動角度(移動コマ数)は、通常回動制御部151が出力したパルス信号の長さに比例して増大する。また、リール52の回動速度は、通常回動制御部151が出力したパルス信号の周波数に比例して増大する。
【0076】
特典付与部160は、遊技者にとって有利な特典を付与する機能を有する。
ここで特典とは、遊技者にとって好まれる遊技機10の遊技に関する恩恵をいう。より具体的には、以下の態様等が挙げられる。
(i)クレジットまたはメダルの増加処理
(ii)有利遊技状態への移行処理
(iii)有利遊技状態の延長処理
(iv)希少な確率の演出(いわゆるプレミアム演出)、または通常は秘匿されている遊技状態または遊技設定値を示唆する演出処理
(v)遊技機10で行う遊技と外部システム(例えばウェブサイト)とを連携させるために必要な種々のデータの付与処理
先に述べたサブモードS3、サブモードS4またはサブモードS5への移行は、ここでは(ii)に該当する特典である。すなわち、所定の条件を満たすとき、特典付与部160は遊技管理部110を制御してサブモードS3、サブモードS4またはサブモードS5に移行させることができる。
【0077】
なお、前段の(i)から(v)の分類は便宜的に区分したに過ぎず、同一の処理が複数の分類に含まれることを排除するものではない。例えば、本実施形態におけるARTへの移行は(ii)に該当する特典であるが、その結果として再遊技や入賞機会が増えてメダル払出が増大するため(i)にも該当する特典といえる。
【0078】
特典付与部160は、第一特典付与部161(特典付与手段)、演出結果選択部162(演出結果選択手段)および演出遊技特定部163(制御手段)を含んでいる。
演出遊技特定部163は、上述の演出遊技を特定する。
演出結果選択部162は、演出遊技特定部163によって演出遊技が特定されるとき、当該演出遊技において実行させる特定演出の演出結果を選択する。
第一特典付与部161は、演出遊技特定部163によって特定演出が実行される演出遊技において、選択された演出結果に応じて特典を付与する。
なお、本実施形態における第一特典付与部161は、初回の契機演出(フリーズ中のリール回動演出)が行われる遊技においても特定演出が実行された場合と同様に、その演出結果に応じて特典を付与する。
【0079】
ここで「演出遊技が特定されるとき」とは、演出遊技特定部163によって演出遊技を特定する処理が実行される遊技のことをいう。
また、ここで「特定演出の演出結果を選択する」とは、その特定演出が最終的に肯定的な結果(「成功」)となるか、または否定的な結果(「失敗」)となるかのいずれかを選択することをいい、必ずしも特定演出の内容を全て決定する必要はない。なお、本実施形態における演出結果選択部162は「演出結果」には「成功」/「失敗」の選択の他に、特定演出の実行時間の選択も行う。
【0080】
また、特典付与部160は、契機演出(または契機演出として扱われた特定演出)が実行された後に実行された遊技の回数(遊技数)を計数する遊技計数部164を含んでいる。
ここで挙げた第一特典付与部161、演出結果選択部162、演出遊技特定部163、遊技計数部164の処理については、後に詳述する。
【0081】
指令生成部170は、メイン基板100が有する種々の機能から出力されたデータを入力し、入力されたデータに基づいてサブ基板200を制御する制御信号(サブ送信コマンド)を生成して伝送する機能を有している。より詳細には、指令生成部170は、演出表示制御部210とランプ制御部220とスピーカ制御部230とに制御信号を伝送する。
【0082】
演出表示制御部210は、演出表示装置16を制御する機能を有し、メイン基板100によって制御される遊技と連動して表示出力による演出を演出表示装置16に実行させる。
ランプ制御部220は、装飾ランプ36を制御する機能を有し、メイン基板100によって制御される遊技と連動して発光出力による演出を装飾ランプ36に実行させる。
スピーカ制御部230は、スピーカ34を制御する機能を有し、メイン基板100によって制御される遊技と連動して音声出力による演出をスピーカ34に実行させる。
【0083】
指令生成部170は、遊技管理部110によって管理されている遊技状態や遊技管理部110から通知される遊技設定値に基づいて演出テーブル(図示せず)を選択する。また、指令生成部170は、回動制御部150によって制御される各リール52の回動態様(各リール52の停止した順番および停止した配列目を含む)、または特典付与部160によって付与される特典に起因して実行する演出処理を演出テーブルから選択または決定する。
また、指令生成部170は、その時点で滞在している遊技状態(サブモードS1〜S5)および報知制御部180からの制御信号に応じてストップボタン28の停止操作を報知する報知処理を演出表示装置16、装飾ランプ36、スピーカ34等に実行させる。
【0084】
なお、前段では指令生成部170が演出処理を抽選するように説明したが、メイン基板100またはサブ基板200によって実行される演出処理の全部を指令生成部170によって抽選する必要はない。例えば、指令生成部170は演出処理の種別や実行時間を抽選し、抽選された演出処理の種部や実行時間に即した具体的な演出内容についてはサブ基板200が抽選してもよい。
また変形例としては、指令生成部170はメイン基板100で成立した各条件に関する情報を制御信号に含めてサブ基板200に伝送する機能のみを有し、演出処理に関する抽選はサブ基板200が担う態様を採ってもよい。
【0085】
報知制御部180は、適切なストップボタン28の停止操作を報知する報知処理を演出表示装置16、装飾ランプ36またはスピーカ34等の出力手段を制御して実行させる。
より具体的には、報知制御部180は、内部抽選部120によって押し順が定められている入賞役が抽選された遊技の少なくとも一部(例えばサブモードS4に滞在している遊技)において、その入賞役に対応する押し順を示す報知処理を、指令生成部170を介してサブ基板200を制御して各出力手段に実行させる。
【0086】
なお、本実施形態においてはメイン基板100(報知制御部180)がサブ基板200を介して上記の各出力手段を制御して報知処理を実行させるように述べたが、この態様に限られない。例えば、メイン基板100が各出力手段を直接に制御して報知処理を実行させてもよい。
また、本実施形態においてはメイン基板100に報知制御部180が含まれる実施例で説明したが、この態様に限られない。例えば、メイン基板100ではARTへの移行契機(例えば「赤7揃い」の成立)とARTからの転落契機(例えば、ARTの遊技数が零となる)を管理しており、ART中の報知処理についてはサブ基板200が報知制御部180に相当する制御を実行する態様であってもよい。この場合、メイン基板100は、内部抽選部120によって抽選された入賞役を情報として含んでいる制御信号を指令生成部170からサブ基板200に伝送してもよい。
【0087】
また、報知制御部180は、ARTが開始される遊技(サブモードS4に移行する遊技)においてARTの遊技数を抽選で決定し、この抽選の結果を示す特別演出を指令生成部170を介してサブ基板200に実行させる。このとき、指令生成部170は、特別回動制御部152、演出表示制御部210、ランプ制御部220およびスピーカ制御部230に制御信号を伝送して、リールユニット50、演出表示装置16、装飾ランプ36およびスピーカ34に特別演出を実行させる。
【0088】
<特典付与部160について>
図4で説明した特典付与部160について、主に
図9を用いて説明する。ただし、先に説明した
図4に図示される構成要素についても言及するので適宜参照されたい。
なお、ここでは特典付与部160による処理のうち本発明に関する特徴的な処理を説明する。従って、特典付与部160は、以下で説明する特典の他にも遊技者に特典を付与できる。
【0089】
図9は遊技数の抽選に用いる抽選テーブルを示す図である。
図9(a)は、契機演出または特定演出の演出内容を決定するための抽選テーブルを示す図である。
図9(b)は、「遊技数」の10の位を決定するための抽選テーブルを示す図である。
図9(c)は、「遊技数」の1の位を決定するための抽選テーブルを示す図である。
なお、
図9(a)の抽選テーブルは演出結果選択部162によって用いられる抽選テーブルであり、
図9(b)および
図9(c)は演出遊技特定部163によって用いられる抽選テーブルである。また、ここで「遊技数」とは、演出遊技の特定のために演出遊技特定部163によって定められる遊技数のことをいう。
【0090】
まず、演出結果選択部162と演出遊技特定部163とは、契機演出または契機演出として扱われる特定演出が実行される遊技において、
図9に示す抽選テーブルを用いて、以下のような抽選を行う。
【0091】
図9(a)に示すように、演出結果選択部162(演出結果選択手段)によって選択される演出結果には、「失敗 短」・「失敗 長」・「成功 短」・「成功 中」・「成功 長」が含まれている。
これらは大別して二種類に分けられる。「成功 短」・「成功 中」・「成功 長」は、第一特典付与部161(特典付与手段)による特典の付与を肯定する「成功」の演出結果(第一演出結果)である。また、「失敗 短」・「失敗 長」は、第一特典付与部161による特典の付与を否定する「失敗」の演出結果(第二演出結果)である。
【0092】
なお、「成功 短」・「成功 中」・「成功 長」は、特定演出が「成功」となる旨を示すだけではなく、その特定演出の実行時間も示しており、それぞれの実行時間は「成功 短」<「成功 中」<「成功 長」の関係になっている。
また、「失敗 短」・「失敗 長」は、特定演出が「失敗」となる旨を示すだけではなく、その特定演出の実行時間も示しており、それぞれの実行時間は「失敗 短」<「失敗 長」の関係になっている。
【0093】
図9(b)または
図9(c)に示されるように、演出遊技特定部163によって特定される遊技数は、演出結果選択部162によって選択された演出結果が「失敗」であるか「成功」であるかに起因して抽選される確率が異なるように設定されている。
すなわち、演出遊技特定部163(制御手段)は、演出結果選択部162(演出結果選択手段)によって選択された演出結果に起因して、契機演出(または契機演出として扱われた演出遊技)を実行させた遊技から演出遊技までの遊技数を累積値として定めることによって当該演出遊技を特定することができる。
【0094】
ここで
図9(b)または
図9(c)から明らかであるように、これらの抽選テーブルにおける抽選確率の配分は以下のような特徴を有している。
(i)演出内容が「成功」である場合と「失敗」である場合とを比較すると、前者の方が10の位が小さくなる確率が高い。すなわち、演出内容が「成功」である場合の方が「基準遊技」の間隔が短くなりやすい。
(ii)演出内容が「成功」であるときに1の位が「0」が抽選される場合はあるが、「失敗」である場合に1の位が「0」が抽選されることはない。すなわち、「累積値」が10の倍数であるときに実行される「基準遊技」における特定演出は必ず成功する。
(iii)演出内容が「成功」である場合と「失敗」である場合とを比較すると、1の位が「7」や「9」のときは前者が抽選される確率が高いが、他の場合は後者が抽選される確率が高い。すなわち、「累積値」によって「成功」する特定演出の可能性が高い場合と「失敗」する特定演出の可能性が高い場合とがある。
【0095】
前段の(i)から(iii)を整理すると、演出遊技特定部163(制御手段)によって定められる遊技数には、「成功」(第一演出結果)が「失敗」(第二演出結果)より高い割合で選択される一の遊技数と、「失敗」が「成功」より高い割合で選択される他の遊技数と、が含まれている(混在している)といえる。
【0096】
以上のような抽選によって次回の特定演出が実行される演出遊技が特定されると、遊技計数部164はこれまで計数した数値をリセットして遊技の計数をやり直す。すなわち、遊技計数部164は、契機演出または契機演出として扱われる演出遊技が実行された遊技を基点として遊技数を計数することができる。
【0097】
遊技計数部164によって計数された遊技数が、演出遊技特定部163によって決定された遊技数に到達したとき、特定演出が実行される。実行された特定演出の演出結果が「成功」である場合には第一特典付与部161は特典を付与し、実行された特定演出の演出結果が「失敗」である場合には第一特典付与部161は特典を付与しない。
【0098】
第一特典付与部161によって付与される特典は、特定演出が実行される遊技(演出遊技)において滞在している遊技状態によって変わる。
例えば、サブモードS1(通常モード)において特定演出が「成功」して第一特典付与部161による特典が付与される場合、サブモードS1からサブモードS2(チャンスモード)またはサブモードS3(ART確定画面)への移行が特典として付与される。すなわち、サブモードS1に滞在しているときの特典は、より有利な遊技状態に移行することである。なお、サブモードS2またはサブモードS3のいずれに移行するかの選択は、抽選によって決定される。ここで、特定演出の実行時間が長いほどサブモードS3を抽選する確率が高く、特定演出の実行時間が短いほどサブモードS2を抽選する確率が高くなるように設定されてもよい。
また、サブモードS2において特定演出が「成功」して第一特典付与部161による特典が付与される場合、バトル演出において敵キャラクターに許容量を超えるダメージを与え、サブモードS3へ移行する。すなわち、サブモードS2における有利度合い(ダメージ付与)の増大が特典であるともいえるし、より有利な遊技状態であるサブモードS3への移行が特典であるともいえる。
また、サブモードS3において特定演出が「成功」して第一特典付与部161による特典が付与される場合、サブモードS3からの移行が確定しているサブモードS4(ART)の延長、すなわちARTの遊技数の上乗せ処理が特典として付与される。なお、当該上乗せ処理において上乗せされるARTの遊技数は抽選によって決定される。ここで、特定演出の実行時間が長いほど抽選されるARTの遊技数の期待値が高く、特定演出の実行時間が短いほど抽選されるARTの遊技数の期待値が低くなるように設定されてもよい。
また、サブモードS4において特定演出が「成功」して第一特典付与部161による特典が付与される場合、サブモードS5(ART特化ゾーン)への移行が特典として付与されうる。すなわち、サブモードS4に滞在しているときの特典は、より有利な遊技状態に移行することである。なお、サブモードS5へ移行するか否かは抽選によって決定される。ここで、特定演出の実行時間が長いほどサブモードS5への移行する確率が高く、特定演出の実行時間が短いほどサブモードS5への移行する確率が低くなるように設定されてもよい。
また、サブモードS5において特定演出が「成功」して第一特典付与部161による特典が付与される場合、サブモードS5の延長、すなわちサブモードS5の遊技数の上乗せ処理が特典として付与される。なお、当該上乗せ処理において上乗せされる遊技数は抽選によって決定される。ここで、特定演出の実行時間が長いほど抽選される遊技数の期待値が高く、特定演出の実行時間が短いほど抽選される遊技数の期待値が低くなるように設定されてもよい。
【0099】
前段で述べた内容を整理すると、以下のようになる。すなわち、第一特典付与部161(特典付与手段)は、演出遊技において滞在している遊技状態の有利度合い(例えば、サブモードS2におけるダメージ量やサブモードS5の遊技数)を増大させる、または、当該演出遊技において滞在している遊技状態より有利な有利遊技状態への移行(例えば、サブモードS1からサブモードS3への移行やサブモードS4からサブモードS5への移行)を遊技管理部110に実行させる、の少なくとも一方を特典として付与する。
なお、遊技管理部110(遊技状態制御手段)が、メイン基板100またはサブ基板200(制御手段)によって実行される遊技を、複数とおりの遊技状態のいずれかに滞在させる(遊技状態を制御する)ことについては既述のとおりである。
【0100】
以上のように説明した処理を特典付与部160が実行するので、特典を付与する際に遊技者に与えられる興趣が特定演出によって好適に高まる。また、特定演出が実行される遊技において滞在している遊技状態に即した特典を付与するので、効果的な興趣喚起を図ることができる。
【0101】
演出結果選択部162によって選択された演出結果の成否によって演出遊技特定部163によって定められる遊技数が変動するので、特定演出を実行させるまで遊技数によって遊技者に与える期待度が複雑に変化する。すなわち、多様な期待感を抱かせることができる。
なお、これをより効果的なものとするために、遊技計数部164によって計数される遊技数は、演出表示装置16に表示させる等によって、遊技者に認識させるとよい。
【0102】
本実施形態における第一特典付与部161の付与する特典の実施例について列挙したが、ここで示す実施例に限定されるものではない。例えば、ボーナス遊技(役物連続作動装置)を有している遊技機に本発明を適用する場合であれば、ARTへの移行やARTの延長の代わりにボーナス遊技の付与を特典としてもよい。
【0103】
また、本実施形態では、特定演出の結果として「成功」「失敗」を設け、「成功」の場合のみ第一特典付与部161による特典付与がなされる態様で説明したが、必ずしもこの態様に限ることはない。例えば、特定演出が発生に伴って第一特典付与部161による特典付与が必ず行われる態様であってもよい。
【0104】
また、本実施形態では、特定演出が「成功」「失敗」であるか否か、またその特定演出の実行時間の長短を事前に決定する態様、すなわち前回の演出遊技において演出結果選択部162が
図9(a)の抽選テーブルを用いて決定する態様で説明したが、これに限られない。例えば、特定演出のタイミング(特定演出から次回の特定演出までの遊技数)のみを事前に決定し、特定演出の演出結果については当該特定演出を実行する遊技において抽選で決定してもよい。
【0105】
また、本実施形態では、演出の結果として「成功」の場合のみ第一特典付与部161による特典付与がなされる態様で説明したが、これでは「失敗」が選択され続けると遊技者の遊技意欲を減退させる虞がある。この対策として、「失敗」の演出結果の選択回数に上限を設けてもよい。
より具体的には、演出結果選択部162(演出結果選択手段)は、「成功」の演出結果(第一演出結果)の選択を基点として「失敗」の演出結果(第二演出結果)を選択した回数を計数してもよい。このとき、演出結果選択部162は、「失敗」の演出結果の特定演出が実行され、かつ、計数された回数が所定の回数に達している演出遊技において、次回の特定演出の演出結果として「成功」の演出結果(第一演出結果)を選択する。このようにすれば、計数回数が所定の回数に達した演出遊技の次回の演出遊技における特定演出の演出結果は「成功」となり、第一特典付与部161によって特典が付与される。これにより、「失敗」の演出結果から受ける遊技意欲の減退を緩和させることができる。
【0106】
また、遊技計数部164による計数は、契機演出または契機演出として扱われる演出遊技が実行された遊技を基点として行われる旨を説明したが、リールユニット50の停止パターン(表示図柄判定部153による判定結果)によって基点を設けない方がよい。
遊技機10(第一特典付与部161)は、特定演出が実行される遊技において滞在している遊技状態に即した特典を付与する遊技性を有している。一方で、停止パターンは停止操作の順番やタイミングによって変動し、遊技者の恣意が反映されうる要因である。例えば、報知制御部180による報知に意図的に従わないことによって遊技計数部164による計数が停止されて特定演出の発生タイミングをずらすことが可能であれば、上記の遊技性を損ないかねない。このような事態を防止するために、遊技計数部164はリールユニット50の停止パターンに関わらずに遊技の計数を実行するとよい。
【0107】
前段のように処理するために、メイン基板100またはサブ基板200(制御手段)は、以下の(i)から(iii)のように各種処理を実行するとよい。
(i)契機演出を実行させた遊技から演出遊技までの遊技数を定めることによって当該演出遊技を特定する(メイン基板100(演出遊技特定部163)による処理)
(ii)契機演出を実行させた遊技を基点として、遊技数を停止パターンに関わらず計数する(メイン基板100(遊技計数部164)による処理)
(iii)計数された遊技数が、定められた遊技数に到達したとき特定演出を実行させうる(メイン基板100およびサブ基板200の協働による処理)
【0108】
<遊技機10における遊技のメインフロー>
次に、遊技機10における遊技のメインフローについて、主に
図7を用いて説明する。ただし、先に説明した
図1または
図4に図示される構成要素についても言及するので適宜参照されたい。
図7は、遊技機10における遊技のメインフローを示すフローチャートである。なお、
図7における遊技開始処理(ステップS102)から遊技終了処理(ステップS136)までの一連の処理を実行することをもって一回の遊技とする。
なお、本実施形態において「遊技に関連する演出」とは、
図7に示すメインフローに含まれる処理(遊技のために実行される一連の処理)と連動して、またはこれらの処理のいずれかを契機として実行され、遊技者が感得可能に出力される演出をいう。「遊技に関連する演出」に用いられる出力手段としては、例えば、演出表示装置16、スピーカ34、装飾ランプ36等が挙げられる。
【0109】
遊技管理部110は、当該遊技における遊技状態や遊技設定値に関する情報を取得し、各種機能に出力して遊技を開始する(ステップS102)。
ここで、当該遊技の前回遊技において「再遊技」が作動している場合(ステップS104のYES)、遊技管理部110は再遊技処理を実行し(ステップS110)、回動開始条件を成立させる(ステップS112)。ここで再遊技処理とは、メダルをベットすることなく回動開始条件を成立させることをいう。
【0110】
また、前回遊技において「再遊技」が作動していない場合(ステップS104のNO)、遊技管理部110は、BETボタンセンサ320、MAXBETボタンセンサ322またはメダル通過センサ324の作動を待機する。これらのいずれかの作動に応じてベット数を増加させ(ステップS106)、ベット数がメダル3枚に達するまで待機し(ステップS108のNO)、ベット数がメダル3枚に達したとき(ステップS108のYES)、遊技管理部110は回動開始条件を成立させる(ステップS112)。
【0111】
回動開始条件が成立している状態において、遊技管理部110は、始動操作センサ326による始動操作の検知を待機する(ステップS114のNO)。また、始動操作センサ326が始動操作を検知したとき(ステップS114のYES)、遊技管理部110はこの通知に起因して内部抽選部120に内部抽選を実行させる(ステップS116)。また、この内部抽選において抽選された入賞役に対応している条件装置130が作動する(ステップS118)。
【0112】
また、遊技管理部110は、ステップS114における始動操作センサ326の検知を回動制御部150にも通知する。
ウェイト時間が経過するのを待ち(ステップS120のNO)、ウェイト時間が経過した後に(ステップS120のYES)、フリーズ中のリール回動演出を行う条件が成立しているか否かの判定を行う(ステップS122)。なお、本実施形態において特別回胴制御とはフリーズ中のリール回胴演出のことをいい、契機演出および特定演出が含まれる。また、ステップS122の判定がYESとなる条件には、上述のように、演出遊技特定部163によって定められた遊技数に遊技計数部164によって計数された遊技数が到達することが含まれる。
ステップS122の判定がYESの場合、特別回動制御部152はリールユニット50を制御してフリーズ中のリール回動演出(特別回動制御)を行う(ステップS124)。
また、ステップS122の判定がNOの場合、またはステップS124の特別回動制御が終了した後、通常回動制御部151は通常回動態様でリールユニット50を制御する(ステップS126)。
【0113】
表示図柄判定部153はステップS126で停止させた各リール52の停止パターンを判別し、ステップS118で作動した条件装置130に対応している図柄の組合せが入賞ラインに停止しているか否か(入賞しているか否か)を判定する(ステップS128)。
ステップS128の判定において入賞している旨が判定された場合(ステップS130のYES)、特典付与部160は判定された入賞に対応している特典を付与し(ステップS132)、メダル処理部140は当該入賞に対するメダル処理を実行する(ステップS134)。また、前述した第一特典付与部161、演出結果選択部162、演出遊技特定部163および遊技計数部164の処理は、所定の条件を満たす場合にはステップS132において実行される。
【0114】
ステップS128の判定において入賞していない旨(はずれ)が判定された場合(ステップS130のNO)、または必要なメダル処理(ステップS134)が終了した後に、
当該遊技を終了させて次回の遊技に移行する(ステップS136)。
【0115】
<通常回動制御について>
次に、通常回動制御部151によって実行される通常回動制御について、主に
図8のフローチャートを用いて説明する。ただし、先に説明した
図1または
図4に図示される構成要素についても言及するので適宜参照されたい。
なお、
図8は、通常回動制御の処理手順を示すフローチャートである。
【0116】
通常回動制御部151は、リールユニット50に含まれるすべてのリール52R、52C、52Lが同一の到達速度で順方向に回動するように、リール駆動部511、512、513にパルス信号を出力する(ステップS202)。
ここで到達速度とは、通常回動制御部151または特別回動制御部152がリール駆動部511、512、513に与える制御上のパラメータであり、当該制御における所望の回動速度をいう。また、本実施形態における到達速度は、通常回動制御部151または特別回動制御部152がリール駆動部511、512、513に出力するパルス信号の周波数に依存して決まる。
【0117】
また、通常回動制御部151は、すべてのリール52の回動速度が定速になるまで(ステップS204の判定がNOであるとき)は回動停止条件を否定しつつ待機する。また、通常回動制御部151は、すべてのリール52の回動速度が定速になったとき(ステップS204の判定がYESであるとき)は回動停止条件を成立させる(ステップS206)。
なお、ステップS204の回動速度の定速判定は、既述のとおり、様々な態様を採ることができ、ここで示す態様は一例である。
また、ステップS206における回動停止条件の成立は、リールユニット50に含まれるすべてのリール52R、52C、52Lについて同時に行われる。
【0118】
通常回動制御部151は、回動停止条件を成立させた状態で、いずれかのストップボタン28が押下され、当該押下を停止操作センサ328が検知するまで(ステップS208の判定がNOであるとき)待機する。最初の停止操作(第1停止操作)を停止操作センサ328の検知が通知されたとき(ステップS208の判定がYESであるとき)、通常回動制御部151は、第1停止操作に対応しているリール52を停止させる(ステップS210)
ここでステップS210の停止処理において、最大4コマまでリールが移動しうる制御(すべり制御)を行うため、停止操作センサ328の検知からリール52の停止までにはタイムラグが生じうる。なお、当該タイムラグは190ms以下となるように設定されている。
【0119】
通常回動制御部151は、回動停止条件を成立させた状態で、停止操作センサ328が次の停止操作(第2停止操作)を検知するまで(ステップS212の判定がNOであるとき)待機する。停止操作センサ328が第2停止操作を検知して通知されたとき(ステップS212の判定がYESであるとき)、通常回動制御部151は、第2停止操作に対応しているリール52を停止させる(ステップS214)
通常回動制御部151は、回動停止条件を成立させた状態で、停止操作センサ328が最後の停止操作(第3停止操作)を検知するまで(ステップS216の判定がNOであるとき)待機する。停止操作センサ328が第3停止操作を検知して通知されたとき(ステップS216の判定がYESであるとき)、通常回動制御部151は、第3停止操作に対応しているリール52を停止させる(ステップS218)
ステップS214またはステップS218の停止処理において、すべり制御が行われるのは、第1停止操作のときと同様である。
【0120】
ここまで
図7および
図8を用いて説明したように、特別回動制御(ステップS124)である契機演出および特定演出は、始動操作を受け付けて(ステップS114)から停止条件が成立する(ステップS126中のステップS206)までの間に、メイン基板100またはサブ基板200(制御手段)によって実行される。
なお、本実施形態における遊技機10が、リールユニット50(図柄表示手段)による図柄の変動表示を始動可能とする回動開始条件(始動条件)が成立しているとき、遊技者からの始動操作の受付が可能となるスタートレバー26(始動操作受付手段)と、リールユニット50による図柄の変動表示を停止可能とする回動停止条件(停止条件)が成立しているとき、遊技者からの停止操作の受付が可能となるストップボタン28(停止操作受付手段)と、を備えていることは既述のとおりである。
【0121】
<特別回動制御について>
次に、特別回動制御部152によって実行される特別回動制御について、
図10または
図11を用いて説明する。ただし、先に説明した
図1または
図4に図示される構成要素についても言及するので適宜参照されたい。
ただし、先に説明した
図1、
図3または
図4に図示される構成要素や、
図7に示される処理(ステップ)についても言及するので適宜参照されたい。
なお、
図10は、特別回動制御における各リール52の停止パターンを示す図である。
図11は、特別回動制御における各リール52の動作のタイムチャートであり、(a)は「失敗 短」の演出結果となる場合、(b)は「失敗 長」の演出結果となる場合、(c)は「成功 短」・「成功 中」・「成功 長」となる場合をそれぞれ示している。
【0122】
まず、特別回動制御(契機演出または特定演出)が実行される直前において、
図10(a)に示す停止パターンで停止したものとする。特別回動制御は通常回動制御(ステップS126)より前に実行されるので、
図10(a)に示す停止パターンは前回の遊技における停止パターンと一致している。
なお、
図11で示す「初期位置」とは、特別回動制御が実行される遊技の開始時点の停止パターンを意味し、ここでは
図10(a)に示す停止パターンである。
【0123】
次に、特別回動制御が開始されると、各リール52(リール52L、リール52Cおよびリール52R)は、
図10(b)に示す停止位置を基準として上下方向に小刻みに揺れ出す。このリール動作について、以下の説明では「揺動」と称する。なお、
図11で示す「揺動」とは上記のリール動作のことをいう。
「揺動」は特別回動制御の導入として扱われるリール動作であり、いずれの演出結果となる場合についても実行される。
【0124】
「失敗 短」の演出結果となる場合、
図11(a)のタイムチャートに示すとおり、各リール52は所定の時間にわたって「揺動」した後に、「初期位置」で停止する。
【0125】
「失敗 長」の演出結果となる場合、
図11(b)のタイムチャートに示すとおり、各リール52は所定の時間にわたって「揺動」した後に、「上段位置」、「初期位置」、「揺動」の一連の流れを二回繰り返した後に、最終的には「初期位置」で停止する。
図11で示す「上段位置」とは、各リール52において「初期位置」より上方の位置を意味し、ここでは
図10(c)に示すように
図10(a)より1コマ上方に位置する停止パターンになる。
【0126】
「成功 短」・「成功 中」・「成功 長」の演出結果となる場合、
図11(c)のタイムチャートに示すとおり、各リール52は所定の時間にわたって「揺動」した後に、「上段位置」、「初期位置」、「揺動」の一連の流れを二回繰り返した後に、最終的には「上段位置」に停止する。
なお、「成功 短」・「成功 中」・「成功 長」の実行時間がそれぞれ異なる旨を説明したが、本実施形態では最終的に「上段位置」に停止してから通常回動制御に移行する(回動停止条件が成立する)までの時間の長短によって各実行時間が異なるように設定されている。
【0127】
図11(b)および
図11(c)に示すとおり、「上段位置」、「初期位置」、「揺動」の一連の流れを二回繰り返すまでの処理については、「失敗 長」・「成功 短」・「成功 中」・「成功 長」のいずれが実行される場合についても共通であり、遊技者は判別できないようになっている。従って、遊技者は、この一連の処理が終わるまで特別回動制御(契機演出または特定演出)が「成功」するか「失敗」するかについて、高い緊張感をもって見守ることになる。
その結果「成功」した場合(最終的に「上段位置」で停止した場合)には、遊技者は大きな満足感を得ることができる。また、「失敗」した場合(最終的に「初期位置」で停止した場合)には、遊技者は失望感を得る。
本実施形態の特別回動制御(契機演出または特定演出)は、この満足感と失望感のギャップによって遊技者の興趣を向上させ、本遊技機10の遊技性を高めることができる。
【0128】
ここでは各リール52(リールユニット50)の動作について説明したが、リール動作と連動するように演出表示装置16による表示出力、スピーカ34による音声出力、装飾ランプ36の点灯や色彩変動を組み合わせて行うことが好ましい。これにより、契機演出および特定演出の効果をより向上させることができる。
【0129】
なお、ここで説明した特別回動制御の態様は一つの実施例に過ぎず、多様な変形例を採用しうる。
例えば、本実施形態ではリール52L、52C、52Rの全てが動作するように説明したが、一部のリール52のみがリール動作する態様であってもよい。
また、特別回動制御の一部において上下方向に「揺動」するリール動作が含まれる実施例で説明したが、左右方向に横揺れするリール動作が含まれてもよい。
また、「初期位置」と「上段位置」との差は1コマとする実施例で説明したが、2コマ以上の差があってもよく、一回転以上(21コマ以上)のリール動作が行われてもよい。
【0130】
本実施形態は以下の技術思想を包含する。
(1)遊技または前記遊技に関連する演出を繰り返し実行させる制御手段と、複数列に図柄を表示し、前記遊技の開始に応じて前記図柄の変動表示を始動し、当該遊技の終了までに前記変動表示を停止し、前記図柄の組合せから構成される停止パターンを停止表示する図柄表示手段と、前記制御手段は、繰り返し実行される前記遊技の一部において前記契機演出を実行させ、前記契機演出の実行を契機として、特定演出を実行させうる前記遊技である演出遊技を、当該演出遊技までに実行される前記遊技の実行に起因して累積される累積値によって特定し、特定された前記演出遊技に到達して前記特定演出を実行させたとき、当該特定演出を前記契機演出として扱い、当該特定演出を契機として次回の前記演出遊技を特定する遊技機。
(2)前記制御手段は、特定された前記演出遊技に到達するごとに前記特定演出を実行させ、前記特定演出を実行するごとに当該特定演出を契機として次回の前記演出遊技を特定する(1)に記載の遊技機。
(3)前記制御手段によって前記演出遊技が特定されるとき、当該演出遊技において実行させる前記特定演出の演出結果を選択する演出結果選択手段と、前記制御手段によって前記特定演出が実行される前記演出遊技において、選択された前記演出結果に応じて特典を付与する特典付与手段と、を備える(1)または(2)に記載の遊技機。
(4)前記制御手段によって実行される前記遊技を、複数とおりの遊技状態のいずれかに滞在させる遊技状態制御手段を備え、前記特典付与手段は、前記演出遊技において滞在している前記遊技状態の有利度合いを増大させる、または、当該演出遊技において滞在している前記遊技状態より有利な有利遊技状態への移行を前記遊技状態制御手段に実行させる、の少なくとも一方を前記特典として付与する(3)に記載の遊技機。
(5)前記制御手段は、前記演出結果選択手段によって選択された前記演出結果に起因して、前記契機演出を実行させた前記遊技から前記演出遊技までの遊技数を前記累積値として定めることによって当該演出遊技を特定する(3)または(4)に記載の遊技機。
(6)前記演出結果選択手段によって選択される前記演出結果には、前記特典付与手段による前記特典の付与を肯定する第一演出結果と、前記特典付与手段による前記特典の付与を否定する第二演出結果と、が含まれており、前記制御手段によって定められる前記遊技数には、前記第一演出結果が前記第二演出結果より高い割合で選択される一の前記遊技数と、前記第二演出結果が前記第一演出結果より高い割合で選択される他の前記遊技数と、が含まれている(5)に記載の遊技機。
(7)前記演出結果選択手段は、前記第一演出結果の選択を基点として前記第二演出結果を選択した回数を計数し、前記第二演出結果の前記特定演出が実行され、かつ、計数された前記回数が所定の回数に達している前記演出遊技において、次回の前記特定演出の前記演出結果として前記第一演出結果を選択する(6)に記載の遊技機。
(8)前記制御手段は、前記契機演出を実行させた前記遊技から前記演出遊技までの遊技数を定めることによって当該演出遊技を特定し、前記契機演出を実行させた前記遊技を基点として、前記遊技数を前記停止パターンに関わらず計数し、計数された前記遊技数が、定められた前記遊技数に到達したとき前記特定演出を実行させうる(1)から(7)のいずれか一つに記載の遊技機。
(9)前記図柄表示手段による前記図柄の変動表示を始動可能とする始動条件が成立しているとき、遊技者からの始動操作の受付が可能となる始動操作受付手段と、前記図柄表示手段による前記図柄の変動表示を停止可能とする停止条件が成立しているとき、前記遊技者からの停止操作の受付が可能となる停止操作受付手段と、を備え、前記契機演出および前記特定演出は、前記始動操作を受け付けてから前記停止条件が成立するまでの間に、前記制御手段によって実行される(1)から(8)のいずれか一つに記載の遊技機。