特許第6364528号(P6364528)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6364528
(24)【登録日】2018年7月6日
(45)【発行日】2018年7月25日
(54)【発明の名称】ファン制御システム
(51)【国際特許分類】
   F04D 27/00 20060101AFI20180712BHJP
   F24F 11/32 20180101ALI20180712BHJP
   F24F 11/50 20180101ALI20180712BHJP
   F24F 11/58 20180101ALI20180712BHJP
【FI】
   F04D27/00 P
   F04D27/00 F
   F24F11/32
   F24F11/50
   F24F11/58
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-117211(P2017-117211)
(22)【出願日】2017年6月14日
【審査請求日】2017年8月16日
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000180025
【氏名又は名称】山洋電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】特許業務法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村上 直樹
(72)【発明者】
【氏名】村上 昌志
【審査官】 町田 豊隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−048525(JP,A)
【文献】 特開2016−196978(JP,A)
【文献】 特表2017−503143(JP,A)
【文献】 特開2006−016999(JP,A)
【文献】 特開2004−325027(JP,A)
【文献】 特開2008−241165(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/024444(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/32
F24F 11/50
F24F 11/58
F04D 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信モジュールを有する複数のセンサ付きファンと、
前記センサ付きファンを複数台制御する制御部と、
前記制御部から出力されるファン制御信号とファンから出力されるセンサ信号とのやり取りを無線通信により行う無線通信装置と、
前記無線通信装置とインターネットを介した無線通信が可能な端末であって、前記無線通信モジュールと前記無線通信装置との間で無線通信によりやり取りされる前記ファン制御信号と前記センサ信号とを無線で監視する端末と、を有し、
前記センサ信号は、それぞれのファンの回転速度に基づくパルス信号であり、
前記パルス信号をファン停止のロック信号に変換するファン制御システム。
【請求項2】
前記端末の表示部には、
表示されたファン毎に前記ファン制御信号と前記センサ信号とに対応させて、各ファンの異常を報知する異常報知表示がされることを特徴とする
請求項1に記載のファン制御システム。
【請求項3】
前記ファンに無線通信モジュールが内蔵されている
請求項1又は2に記載のファン制御システム。
【請求項4】
さらに、前記ファンと有線で接続される無線通信モジュールを有する
請求項1又は2に記載のファン制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファン制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
空調システムなどのファンを用いたシステムにおいて、室外ユニットと、室内ユニットと、空調装置と、換気用のファンと、を備え、空調装置の操作を制御する空調制御部と、換気装置と有線で接続され換気装置の動作を制御する換気制御部と、を備え、換気制御部、換気装置の動作を制御可能な状態にある場合、空調制御部へ報知信号を送信し、空調制御部は、報知信号を受信しない場合には、空調装置の運転を開始させないような制御を行う技術がある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016−211762号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1を含む従来技術では、装置内のコントロール回路とファンとの間の配線を有線(ケーブル)接続している。
【0005】
最近、できるだけ多くのファンを制御することが求められている。多数のファンを制御する場合に、制御部と複数のファンそれぞれとの間に、制御部から各ファンに出力されるファン制御信号用の有線ケーブルと、各ファンから制御部に出力されるパルスセンサ(モータ回転速度計測)信号用の有線ケーブルと、を設ける必要がある。従って、有線ケーブル数が非常に多くなり、装置間で交錯するおそれもある。
【0006】
本発明は、有線ケーブルの本数を減らすことを目的とする。
また、ファン等の動作状態を簡単に検知できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一観点によれば、無線通信モジュールを有する複数のセンサ付きファンと、前記センサ付きファンを複数台制御する制御部と、前記制御部から出力されるファン制御信号とファンから出力されるセンサ信号とのやり取りを無線通信により行う無線通信装置と、前記無線通信装置と無線通信可能な端末と、を有するファン制御システムが提供される。前記センサ信号は、それぞれのファンの回転速度に基づくパルス信号であることが好ましい。前記パルス信号をファン停止のロック信号に変換するように構成しても良い。
【0008】
前記端末は、前記ファン制御信号と前記センサ信号とを前記無線通信装置から取得し、前記端末の表示部に表示させることを特徴とする。
【0009】
前記端末の前記表示部には、表示されたファン毎に前記ファン制御信号と前記センサ信号とに対応させて、各ファンの異常を報知する異常報知表示がされることが好ましい。
【0010】
前記ファンに無線通信モジュールが内蔵されているように構成すると良い。さらに、前記ファンと有線で接続される無線通信モジュールを有するように構成しても良い。
【0011】
本発明は、無線通信モジュールを有する複数のセンサ付きファンを制御する制御部との間においてファン制御信号とセンサ信号とのやり取りを無線通信により行うとともに端末と無線通信を行う無線通信装置であって、前記センサ信号に基づいて、停止しているファンを検出する停止ファン検出部と、前記停止ファン検出部においてファンの停止を検出すると前記制御部に異常信号を送信し、前記端末には異常報知と、前記ファン制御信号と、ファン回転速度との現状値を送信する無線通信装置である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、有線ケーブルの本数を減らすことができる。また、ファン等の動作状態を簡単に検知できるように構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1A】本発明の第1の実施の形態によるファン制御システムの一構成例を示す機能ブロック図である。
図1B】端末の正面図の一例(a)と、表示部に表示される情報の一例(b)を示す図である。
図2A】無線通信装置の動作の流れの一例を示すフローチャート図である。
図2B】無線通信装置の一構成例を示す機能ブロック図である。
図2C】センサ付きファンの一構成例を示す機能ブロック図である。
図3A】本発明の第2の実施の形態によるファン制御の処理の流れを示すフローチャート図である。
図3B】発明の第2の実施の形態によるファン制御システムの一構成例を示す機能ブロック図である。
図4】本発明の第3の実施の形態によるファン制御システムの一構成例を示す機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書において、ファンに設けられているパルスセンサとは、ファンの回転数信号を出力するためのセンサである。
【0015】
以下、本発明の実施の形態によるファン制御技術について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0016】
(第1の実施の形態)
図1Aは、本発明の第1の実施の形態によるファン制御システムの一構成例を示す機能ブロック図である。図1Aに示すように、ファン制御システムAは、制御部1と、複数のセンサ付きファン3a,3b,3c,…と、無線通信装置1aと、無線通信装置1aと無線通信可能な端末5(複数でも良い)とを有する。
【0017】
制御部1は、例えば、電源1−1と、ファン制御信号出力部1−2と、各ファンのセンサ信号を受信するセンサ信号入力部1−3とを有している。
【0018】
複数のセンサ付きファン3a,3b,3c,…は、無線通信モジュール3a−1、3b−1,3c−1,…を有する。無線通信装置1aは、制御部1との間においてファン制御信号とファンセンサ信号とのやり取りを無線通信により行うことができる。端末5は、無線通信装置1aとの間において、インターネットにより通信を行うことができる端末であれば、専用端末、汎用のスマートフォンなどの携帯端末のいずれでも良い。
【0019】
図1Bは、端末5の正面図の一例(a)と、端末5の表示部5−1に表示される情報の一例(b)を示す図である。端末5は、内蔵され図示しない無線通信部の他に、例えばその正面側に、LCD表示部5−1と、各種操作釦5−2と、を有している。LCD表示部5−1は、タッチパネル機能を有していても良い。図1B(b)に示すように、表示部5−1には、例えば、複数(n)のファンの識別子(ID)と、それぞれのファン毎のファン制御値xと、ファンの回転速度(回転数)rと、を表示する。加えて、表示部5−1には、ファン毎に、そのファンの異常を報知する例えば異常報知ランプ6−nを有していても良い。例えば、ファン毎のファン制御値xと、ファンの回転速度(回転数)rと、を表示に基づいて、ファンの動作が異常になる方向にあることなどを予め知ることができる。さらに、異常報知ランプ6−1により、ファンの異常を視覚的に認知することができる。
【0020】
このように、無線通信装置1aとインターネット接続される端末5とを用いることで、ファン等の動作状態を簡単に検知できる。
【0021】
図2Aは、無線通信装置1aの動作の流れの一例を示すフローチャート図であり、図2Bは、無線通信装置1aの一構成例を示す機能ブロック図である。図2Cは、センサ付きファンの一構成例を示す機能ブロック図である。図2Cに示すように、センサ付きファン3aは、制御信号受信部3a−1aと、パルスセンサ信号送信部3a−1bを有する。
【0022】
まず、処理が開始されると(Start)、ステップS1において、ユーザがパルスセンサ/ロックセンサ選択スイッチ1a−1等で、パルスセンサ出力/ロックセンサ出力のいずれかを選択する。例えば、パルスセンサ出力を選択した場合には、ステップS2へ、ロックセンサ出力を選択した場合にはステップS9へ進む。
【0023】
ステップS2においては、制御部1から例えば3台のファン制御信号が新たに入力され、ステップS3において、制御信号受信部1a−2が制御信号を受信すると、ステップS4において、制御信号送信部1a−3が無線通信モジュール3n−1に向けて制御信号を送信し、ステップS5において、無線通信モジュール3n−1が制御信号を受信し、その制御信号に基づいてファン3nが動作する。ステップS6において、無線通信モジュール3n−1からパルスセンサ信号が無線通信装置1aに送信される。ステップS7において、無線通信装置1aのパルスセンサ信号受信部1a−4がパルスセンサ信号を取得した後、パルスセンサ信号送信部1a−5が制御部1に各々のパルスセンサ信号を送信し、現状値送信部1a−6が外部端末5に現状値(制御信号、ファン回転速度)を送信する。ステップS8において、制御信号変化検出部1a−7が、制御信号は変化したか否かを検出し、noの場合には、ステップS7に戻る。yesの場合には、ステップS2に戻る。
【0024】
一方、パルスセンサ/ロックセンサ選択スイッチ1a−1等により、ユーザがロックセンサ出力を選択すると、ステップS9において、制御部1から3台のファン制御信号が新たに入力され、ステップS10において、制御信号受信部1a−2が制御信号を受信すると、ステップS11において、制御信号送信部1a−3が無線通信モジュール3n−1に向けて制御信号を送信し、ステップS12において、無線通信モジュール3n−1が制御信号を受信し、その制御信号に基づいてファン3nが動作する。ステップS13において、無線通信モジュール3n−1からパルスセンサ信号が無線通信装置1aに送信されると、ステップS14において、無線通信装置1aのパルスセンサ信号受信部1a−4がパルスセンサ信号を取得し、ステップS15において、停止ファン検出部1a−8が、停止しているファンの有無を判定する。no(停止しているファンがない)の場合には、ステップS16に進み、制御部1には正常信号(Low)を送信し、端末5には現状値(制御信号、ファン回転速度)を送信する。そして、ステップS17において、制御信号変化検出部1a−7が、制御信号が変化したか否かを判定し、yesであれば、ステップS9に戻り、noであれば、ステップS15に戻る。
【0025】
ステップS15において、yesであれば、ステップS18に進み、異常信号/アラーム・現状値送信部1a−9が制御部1に異常信号(High)を送信し、正常信号送信部/現状値送信部1a−10が端末5にアラームと現状値(制御信号、ファン回転速度)を送信する。
【0026】
以上の処理を行うことで、信号線なしに複数のファンの動作状態に合わせた制御を行うことができる。また、ファン等の動作状態を端末によりどこでも簡単に検知できるようにすることができる。
【0027】
本実施の形態によれば、ファンには無線通信モジュールが内蔵され、制御部には無線通信装置が接続される。無線通信モジュールと無線通信装置との間でファン制御信号とパルスセンサ(回転速度)信号は無線で監視し、送受信される。
【0028】
無線通信装置がインターネットに接続され、外部の端末からファン制御値とファン回転速度を監視することができる。
【0029】
ファンに異常が発生した場合、無線通信装置から外部の端末へアラームが通知される。
無線通信装置でパルスセンサをロックセンサ(ファン停止)信号に変換し制御部に入力することも可能である。制御信号とパルスセンサ信号を無線接続することで装置内の配線を簡素化することができる。
【0030】
(第2の実施の形態)
図3Aは、本発明の第2の実施の形態によるファン制御の処理の流れを示すフローチャート図であり、図3Bが、そのシステムBの一構成例を示す機能ブロック図である。
【0031】
図3Bに示すように、図1Aと異なり、制御部1のセンサ信号入力部1−3が1つのセンサ信号で複数のファン3a,3b,3c,…を監視する構成例について説明する。
【0032】
上記の構成によれば、無線通信装置がファン(1)3a、ファン(2)3b、ファン(3)3cのパルスセンサ(回転速度)信号を受信し、全てのファンと無線接続される。
【0033】
異常が発生した場合は制御部にロックセンサ(ファン停止)信号が入力され、外部の端末には異常発生のアラームが通知される。外部の端末では各ファンの回転速度を監視することができる。
【0034】
図3Aに示すように、処理が開始され(Start)、ステップS21において、制御部1から例えば3台のファンのファン制御信号が新たに入力され、ステップS22において、無線通信装置1aが制御信号を受信する。ステップS23において、無線通信装置1aがファンに設けられた無線通信モジュール3a−1,3b−1,3c−1,…に向けて制御信号を送信し、ステップS24において、無線通信モジュール3a−1,3b−1,3c−1,…が制御信号を受信する。ステップS25において、無線通信モジュール3a−1,3b−1,3c−1,…からパルスセンサ信号が無線通信装置1aに送信され、ステップS26において、無線通信装置1aがパルスセンサ信号を取得する。
【0035】
ステップS27において、無線通信装置1aが、停止しているファンがあるか否かを判断する。その結果が、yesであれば、制御部1には異常信号(High)を送信し、端末5はアラームと現状値(制御信号、ファン回転速度)を参照することができる(端末に送信しても良い)(ステップS30の処理)。
【0036】
noの場合には、ステップS28に進み、制御部1には正常信号(Low)を送信し、端末5には現状値(制御信号、ファン回転速度)を送信する。ステップS29において、制御信号の変化を検出し、検出した場合(yes)には、ステップS21に戻り、検出されない場合には、ステップS27に戻る。
【0037】
本実施の形態によれば、ファンには無線通信モジュールが内蔵され、制御部には無線通信装置が接続される。無線通信モジュールと無線通信装置との間でファン制御信号とパルスセンサ(回転速度)信号は無線で監視し、送受信される。
【0038】
無線通信装置がインターネットに接続され、外部の端末からファン制御値とファン回転速度を監視することができる。
以下の第3、第4の実施の形態は、第1、第2の実施の形態の変形例を示す。
【0039】
(第3の実施の形態)
図4は、本発明の第3の実施の形態によるファン制御システムCの一構成例を示す機能ブロック図である。
【0040】
図4に示す構成と図1Aに示す構成とを比較すると、ファンには無線通信モジュールが設けられておらず、別途、ファン側の無線通信装置11aを設けた構造としている。
【0041】
より詳細には、無線通信装置1aは、MCU1a−11と無線通信モジュール1a−12を有する。無線通信装置11aは、MCU11a−11と無線通信モジュール11a−12を有する。
【0042】
この構成は、例えば、ファンが小型で無線通信モジュールを内蔵しきれない場合などに有効である。ファン側の無線通信装置11aとファン3a,3b,3c、…とは、有線で接続すれば良い。その他の動作等については第1の実施の形態と同様であるため、その詳細は省略する。
【0043】
本実施の形態によれば、ファンに無線通信モジュールを設けられない場合であっても、新たな無線通信装置11aを設け、この無線通信装置11aとファン3a,3b,3cとを有線で接続することで、第1の実施の形態と同様の制御を行わせることができる。
【0044】
本実施の形態によれば、ファンが小型であることで無線通信モジュールを内蔵できない場合の他に、既存の無線通信モジュールを有していないファンにも適用できるという利点がある。
【0045】
加えて、制御部側の無線通信装置1aの無線通信モジュール1a−12と、ファン側の無線通信装置11aの無線通信モジュール11a−12との間の通信量を減らすことができる。
【0046】
上記の実施の形態において、添付図面に図示されている構成等については、これらに限定されるものではなく、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更することが可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
【0047】
また、本発明の各構成要素は、任意に取捨選択することができ、取捨選択した構成を具備する発明も本発明に含まれるものである。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、ファン制御技術に利用可能である。
【符号の説明】
【0049】
A…ファン制御システム
1…制御部
1a…無線通信装置
3a,3b,3c…センサ付きファン
5…端末
5−1…(LCD)表示部
5−2…各種操作釦
【要約】
【課題】有線ケーブルの本数を減らす。また、ファン等の動作状態を簡単に検知できるようにする。
【解決手段】無線通信モジュールを有する複数のセンサ付きファンと、前記センサ付きファンを複数台制御する制御部と、前記制御部から出力されるファン制御信号とファンから出力されるセンサ信号とのやり取りを無線通信により行う無線通信装置と、前記無線通信装置と無線通信可能な端末と、を有するファン制御システム。
【選択図】図1A
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図4