(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6364533
(24)【登録日】2018年7月6日
(45)【発行日】2018年7月25日
(54)【発明の名称】フロントフードのための歩行者保護手段が一体化されたヒンジ装置
(51)【国際特許分類】
B60R 21/38 20110101AFI20180712BHJP
B62D 25/10 20060101ALI20180712BHJP
B62D 25/12 20060101ALI20180712BHJP
【FI】
B60R21/38 323
B62D25/10 E
B62D25/12 B
【請求項の数】8
【外国語出願】
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-142537(P2017-142537)
(22)【出願日】2017年7月24日
(65)【公開番号】特開2018-16307(P2018-16307A)
(43)【公開日】2018年2月1日
【審査請求日】2017年7月24日
(31)【優先権主張番号】10 2016 113 684.0
(32)【優先日】2016年7月25日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510238096
【氏名又は名称】ドクター エンジニール ハー ツェー エフ ポルシェ アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Dr. Ing. h.c. F. Porsche Aktiengesellschaft
(74)【代理人】
【識別番号】100094525
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 健二
(74)【代理人】
【識別番号】100094514
【弁理士】
【氏名又は名称】林 恒徳
(72)【発明者】
【氏名】ティモ チェクティツキー
【審査官】
鈴木 敏史
(56)【参考文献】
【文献】
特開2016−107729(JP,A)
【文献】
特開2006−44652(JP,A)
【文献】
特開2004−352126(JP,A)
【文献】
特表2007−522027(JP,A)
【文献】
欧州特許出願公開第2634048(EP,A1)
【文献】
独国特許出願公開第102009008459(DE,A1)
【文献】
独国特許出願公開第102015120287(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 21/38
B62D 25/10
B62D 25/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の本体(3)のフロントフード(2)のための歩行者保護手段が一体化されたヒンジ装置(1)であって、ストップリンク(50)を有するリンク配置構成(5)を介して関節連結方式で本体側締結配置構成(6)へ接続されたフード側締結配置構成(4)を含み、前記フード側締結配置構成(4)がヒンジ上部(40)と連結手段(41)とを有し、前記本体側締結配置構成(6)が、少なくとも1つの係止手段(60)であって前記連結手段(41)へ作用し、前記フロントフード(2)を通常動作状態に係止し、衝撃の際には燃焼式アクチュエータ(9)により前記フロントフード(2)を係止解除する少なくとも1つの係止手段(60)を有し、前記燃焼式アクチュエータ(9)が、前記係止手段(60)および前記ストップリンク(50)に作用するような方法で配置される、ヒンジ装置(1)において、前記燃焼式アクチュエータ(9)がハウジング(92)を有し、前記ハウジング(92)内には、軸方向に可動なピストンロッド(90)と前記ピストンロッド(90)を起動させるための点火装置とが収容され、前記ピストンロッド(90)が、前記係止手段(60)に関節連結された自由端部(91)を有し、前記ハウジング(92)が、外端部(93)であって前記ピストンロッド(90)の前記自由端部(91)の反対側にあるとともに前記ストップリンク(50)に関節連結された外端部(93)を有することを特徴とする、ヒンジ装置(1)。
【請求項2】
前記点火装置が、前記外端部(93)の近傍で前記ハウジング(92)に収容されることを特徴とする、請求項1に記載のヒンジ装置(1)。
【請求項3】
前記点火装置が、前記外端部(93)の領域において前記燃焼式アクチュエータ(9)の前記ハウジング(92)から出るように案内された少なくとも1つの点火ケーブル(10)を有することを特徴とする、請求項1または2に記載のヒンジ装置(1)。
【請求項4】
前記ヒンジ装置(1)が第1本体側停止要素(7)と第2本体側停止要素(8)とを含み、前記第1停止要素(7)が前記係止手段(60)へ割り当てられ、前記第2停止要素(8)が前記リンク配置構成(5)の前記ストップリンク(50)へ割り当てられることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のヒンジ装置(1)。
【請求項5】
前記リンク配置構成(5)が、第1端部(510)により前記本体(3)に関節連結されるとともに第2端部(511)により前記連結手段(41)に関節連結された上部リンク(51)と、第1端部(520)により前記上部リンク(51)に関節連結されるとともに第2端部(521)により前記ストップリンク(50)に関節連結された中央リンク(52)と、第1端部(530)により前記本体(3)に関節連結されるとともに第2端部(531)により前記連結手段(41)に関節連結された下部リンク(53)とを有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のヒンジ装置(1)。
【請求項6】
前記中央リンク(52)および前記ストップリンク(50)が、トグルレバー配置構成であって、前記通常動作状態において、前記中央リンク(52)の前記第2端部(521)により形成されたその関節点で、角度が付いた方式で前記係止手段(60)の方向を指すトグルレバー配置構成を形成するような方法で配置されることを特徴とする、請求項5に記載のヒンジ装置(1)。
【請求項7】
前記係止手段(60)がフック要素として構成されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載のヒンジ装置(1)。
【請求項8】
前記第2停止要素(8)が変形要素として構成されるか、予め決められた切断点を有することを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載のヒンジ装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の本体のフロントフードのための歩行者保護手段が一体化されたヒンジ装置であって、ストップリンクを有するリンク配置構成を介して関節連結方式で本体側締結配置構成へ接続されたフード側締結配置構成を含み、フード側締結配置構成がヒンジ上部と連結手段とを有し、本体側締結配置構成が、少なくとも1つの係止(locking)手段であって連結手段へ作用し、フロントフードを通常動作状態に係止し、衝撃の際には燃焼式(pyrotechnical)アクチュエータによりフロントフードを係止解除する少なくとも1つの係止手段を有し、燃焼式アクチュエータが、係止手段およびストップリンクに作用するような方法で配置される、ヒンジ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
能動的歩行者保護手段が一体化されたヒンジ装置は、先行技術から、異なる実施形態において公知である。それらは、結果として歩行者にとっての負傷のリスクを減らすために、歩行者衝突の際に自動車のフロントフードを直立させるという目的に適うものである。
【0003】
能動的歩行者保護手段が一体化されたヒンジ装置は、例えば(特許文献1)から公知である。前記ヒンジ装置は、自動車の通常動作状態において、フロントフードを本体に係止する2つの閉鎖要素を有する。さらに、フロントフードは、4本のバーからなる連結配置構成により関節連結方式で本体へ接続される。歩行者衝突の際、係止手段が最初に、第1閉鎖要素が解放され4本のバーからなる連結配置構成がフロントフードを直立させ得るような方法で、アクチュエータにより駆動される。続いて、第2閉鎖要素が解放され、その結果、衝撃保護を確実にするためにフロントフードがその後方エッジ上でさらに上向きに持ち上げられる。アクチュエータが4本のバーからなる連結配置構成に、係止手段を介して直接作用するという事実により、直立の間にフロントフードの後方エッジの好ましくない速度プロファイルがもたらされ、この速度プロファイルは特に直立運動の終わりに向かって、高速となり、このことはフロントフードの不利な振動を招く。
【0004】
冒頭で言及されたタイプのヒンジ装置は、先行文献ではない(特許文献2)から公知である。前記ヒンジ装置は、燃焼式アクチュエータの設置位置において、特に係止手段の領域において、比較的多くの設置スペースが必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】独国特許出願公開第10 2011 056 844 A1号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第20 2015 120 287.5号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
燃焼式アクチュエータの設置位置において必要とされる設置スペースがより小さい、一般タイプのヒンジ装置を特定することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的は、請求項1の特徴部分の特徴を有する、冒頭で言及されたタイプのヒンジ装置により達成される。下位クレームは本発明の有利な展開形態に関する。
【0008】
本発明によるヒンジ装置は、燃焼式アクチュエータがハウジングを有するという事実により区別され、ハウジング内には、軸方向に可動なピストンロッドとピストンロッドを起動させるための点火装置とが収容され、ピストンロッドは係止手段に関節連結された自由端部を有し、ハウジングは、外端部であってピストンロッドの自由端部の反対側にあるとともにストップリンクに関節連結された外端部を有する。アクチュエータは、係止手段とストップリンクの両方に(好ましくは直接的に)作用するような方法で構成されるため、フロントフードの後方エッジでの直立(起立)運動の速度プロファイルが有利には提供され得、この速度プロファイルは直立運動の始めでは非常に高速であり、直立運動の終わりでは非常に低速である。本発明によると、ピストンロッドの自由端部が係止手段に関節連結され、アクチュエータのハウジングの反対側の外端部がストップリンクに関節連結されるという事実により、ピストンロッドが本体側締結配置構成の係止手段に関節連結される関節点の周辺領域における設置スペース上の利点がもたらされる。
【0009】
有利な一実施形態において、点火装置が、外端部の近傍でハウジング内に収容されることが提案されている。したがって、点火装置が常にハウジング内の「上部に」配置され、ピストンロッドの自由端部が対照的に、常に「底部に」配置される配置構成が作られる。
【0010】
特に有利な一実施形態において、点火装置は、外端部の領域において燃焼式アクチュエータのハウジングから出るように案内された少なくとも1つの点火ケーブルを有するようにすることができる。前記方策は、例えば、少なくとも1つの点火ケーブルのケーブル出力の、係止手段の近傍に設けられた端壁との締め付けまたは衝突を回避することができる。
【0011】
好ましい一実施形態において、ヒンジ装置が第1本体側停止要素と第2本体側停止要素とを含み、第1停止要素が係止手段へ割り当てられ、第2停止要素がリンク配置構成のストップリンクへ割り当てられるという可能性がある。フロントフードの直立運動の終わりに向かって生じる不利なカバー振動は、前記方策により、および係止手段とストップリンクとの間の燃焼式アクチュエータの配置構成との組合せで、有利な方法で効果的に回避され得る。
【0012】
有利な一実施形態は、リンク配置構成が、第1端部により本体に関節連結されるとともに第2端部により連結手段に関節連結された上部リンクと、第1端部により上部リンクに関節連結されるとともに第2端部によりストップリンクに関節連結された中央リンクと、第1端部により本体に関節連結されるとともに第2端部により連結手段に関節連結された下部リンクとを有するという事実に由来する。
【0013】
特に有利な一実施形態において、中央リンクおよびストップリンクが、トグルレバー配置構成であって、通常動作状態において、中央リンクの第2端部により形成されたその関節点で、角度が付いた方式で係止手段の方向を指すトグルレバー配置構成を形成するような方法で配置されることが提案される。
【0014】
係止手段は、好ましくはフック要素として構成され得る。アクチュエータの起動後、そのピストンロッドはフック要素に直接作用し、フロントフードの閉位置は単純な方法で取り消され得る。
【0015】
さらに有利な実施形態において、第2停止要素が変形要素として構成されるか、予め決められた切断点を有するようにされ得る。歩行者衝突の際のフロントフードの規定のコンプライアンスが、前記の方策により設定され得る。
【0016】
本発明のさらなる特徴および利点は、添付図面を参照した、好ましい例示的実施形態の以下の説明を使用して、明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】フロントフードの閉位置にある、自動車の本体のフロントフードのためのヒンジ装置の単純化した概略側面図を示す。
【
図2】ヒンジ装置の燃焼式アクチュエータの起動後の、
図1によるヒンジ装置を示す。
【
図3】中間位置にある、
図1によるヒンジ装置を示す。
【
図4】完全に伸長された位置にある、
図1によるヒンジ装置を示す。
【
図5】荷重ケースにある、
図1によるヒンジ装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1を参照すると、自動車の本体3(ここでは部分的にのみ図示される)のフロントフード2のための歩行者保護手段が一体化されたヒンジ装置1の概略側面図が前記図において示される。この図において、フロントフード2は閉位置に位置する。自動車(より詳細には図示せず)の駆動方向は、この図においては矢印FRにより表されている。
【0019】
ヒンジ装置1は、ここで示される例示的実施形態において、フロントフード2の下側に取り付けられたヒンジ上部40と連結手段41とを含むフード側締結配置構成4を含む。
【0020】
フード側締結配置構成4は、リンク配置構成5を介して関節連結方式で本体側締結配置構成6へ連結される。ここで示される例示的実施形態において、本体側締結配置構成6は、本体3に枢動可能に取り付けられるとともに、本ケースの場合においてはフック要素として構成される係止手段60を有する。フロントフード2の閉位置において、連結手段41は、フック要素として構成される係止手段60へそれ自体公知の方法で係合するとともに、結果としてフロントフード2をその閉位置に係止する。
【0021】
リンク配置構成5は、本体3に取り付けられたストップリンク50と、上部リンク51と、中央リンク52と、下部リンク53とを有する。ここで、上部リンク51は第1端部510により本体3に関節連結されるとともに第2端部511により連結手段41に関節連結される。中央リンク52は第1端部520により上部リンク51に関節連結されるとともに第2端部521によりストップリンク50に関節連結される。下部リンク53は第1端部530により本体3に関節連結されるとともに第2端部531により連結手段41に関節連結される。
【0022】
さらに、ヒンジ装置1は、本体3に取り付けられた2つの停止要素7、8を有する。第1停止要素7は係止手段60を備えた本体側締結配置構成6へ割り当てられ、本ケースの場合において変形要素として構成される第2停止要素8は、リンク配置構成5のストップリンク50へ割り当てられる。
【0023】
さらに、ヒンジ装置は、燃焼式アクチュエータ9であって、係止手段60およびストップリンク50の両方に作用するような方法で配置された燃焼式アクチュエータ9を含む。燃焼式アクチュエータ9はハウジング92を有し、ハウジング92内には軸方向に可動なピストンロッド90が収容されている。前記ピストンロッド90は自由端部91により係止手段60に関節連結される。燃焼式アクチュエータ9のハウジング92は、ピストンロッド90の自由端部91の反対側にある外端部93を有する。ハウジング92は、外端部93の領域においてストップリンク50に関節連結される。点火装置(ここでは明らかには見ることができない)が、外端部93の近傍でハウジング92に収容される。点火装置は、外端部93の領域において燃焼式アクチュエータ9のハウジング92から出るように案内された少なくとも1つの点火ケーブル10を有する。このために、点火装置は、ピストンロッド90の軸方向運動を起動するための燃焼式アクチュエータ9起動時間を確実に短くすることが可能である。
【0024】
ピストンロッド90の自由端部91が係止手段60に関節連結され、ハウジング92の反対側の外端部93がストップリンク50に関節連結されるという事実により、ピストンロッド90がこのとき係止手段60に関節連結される関節点の周辺領域における設置スペース上の利点がもたらされる。点火装置はこのとき常にピストンロッド90の上方に位置する。上で説明された方策は、少なくとも1つの点火ケーブル10のケーブル出力の、前記領域、例えば係止手段60の周辺領域に設けられた端壁との締め付けおよび衝突を防ぎ得る。
【0025】
図1において見られるとおり、中央リンク52およびストップリンク50は、トグルレバー配置構成であって、フロントフード2の閉位置において角度が付いているとともに、中央リンク52の第2端部521により形成されたその関節点で係止手段60の方向を指すトグルレバー配置構成を形成するような方法で、構成されるとともに互いに連結される。
【0026】
燃焼式アクチュエータ9の点火装置が、歩行者の衝突が検出された場合に点火されると、ピストンロッド90が、軸方向に外側に移動する。中央リンク52およびストップリンク50がトグルレバー配置構成を形成するという事実のために、点火装置の点火による燃焼式アクチュエータ9の起動(その結果としてピストンロッド90の軸方向運動が開始される)は、第1に、係止手段60の枢動移動およびしたがってフロントフード2の係止解除をもたらす。
図2に見られるとおり、係止手段60は、ここでは、第1停止要素7と接触するとともに第1停止要素7に支持されるような方法で枢動される。
【0027】
図3に示されるヒンジ装置1の中間位置において、アクチュエータ9のピストンロッド90のさらなる軸方向運動が、次いでストップリンク50の枢動移動を引き起こし、その結果、トグルレバー配置構成が死点を越える位置の方向に移動する。ここで、フロントフード2は同様に上向きに移動するとともに、
図4に示される歩行者保護端位置に移される。ここで、ストップリンク50は第2停止要素8に当接する。中央リンク52およびストップリンク50から形成されたトグルレバー配置構成は、死点を越える位置で係止される。
【0028】
最後に、
図5は荷重ケースを示し、ここでは、歩行者がフロントフード2に当たり、フロントフード2がへこみ、その結果歩行者の深刻な負傷を防ぐことが可能である。ここでは、本発明の例示的実施形態においては、ストップリンク50がさらに第2停止要素8の方向に移動し得るようになっている。これは、第2停止要素8が変形要素として構成されるとともに相応して変形し得るという事実により可能となる。第2停止要素8はまた、代替的実施形態において予め決められた切断点を有し得る。したがって、ここで提案されるヒンジ装置1により、有利には、歩行者衝突の際のストップリンク50のしなやかな移動およびフロントフード2のコンプライアンスが可能となる。
【符号の説明】
【0029】
1 ヒンジ装置
2 フロントフード
3 本体
4 フード側締結配置構成
5 リンク配置構成
6 本体側締結配置構成
9 燃焼式アクチュエータ
40 ヒンジ上部
41 連結手段
50 ストップリンク
60 係止手段
90 ピストンロッド
91 自由端部
92 ハウジング
93 外端部