特許第6364534号(P6364534)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6364534
(24)【登録日】2018年7月6日
(45)【発行日】2018年7月25日
(54)【発明の名称】投入装置および遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 5/04 20060101AFI20180712BHJP
【FI】
   A63F5/04 512Q
【請求項の数】7
【全頁数】36
(21)【出願番号】特願2017-149780(P2017-149780)
(22)【出願日】2017年8月2日
【審査請求日】2017年10月11日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390026620
【氏名又は名称】山佐株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105980
【弁理士】
【氏名又は名称】梁瀬 右司
(74)【代理人】
【識別番号】100121027
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100178995
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 陽介
(72)【発明者】
【氏名】割石 健
【審査官】 佐藤 海
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−240056(JP,A)
【文献】 特開平04−078989(JP,A)
【文献】 特開2001−232053(JP,A)
【文献】 特開2014−008066(JP,A)
【文献】 特開2005−190098(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 5/04、9/00−9/34
G07F 1/00−1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向に対する所定の傾斜角の下り勾配をもつメダルまたはコインの通路となる案内溝を備える溝部と、
前記溝部の下り方向端部に連接され、略鉛直方向に立設された背面板部と、
前記溝部の下り方向端部と前記背面板部との間に介設され、メダルまたはコインが通過するスリット状の開口部と
を有するメダルまたはコインの投入装置であって、
記案内溝は、それぞれがメダルまたはコインの滑る速度を調節する複数段の溝を、下り方向に連接するように並べられることによって形成されており
前記複数段の溝のうちの最下段の溝を除く溝それぞれは、当該溝と当該溝の1段下の前記溝との境界面において、メダルまたはコインの下り方向の速度を減速させる衝突用壁面を有し、
前記衝突用壁面は、前記溝部を鉛直上方から見た場合における前記溝部の中心線から左又は右にずれた位置に設置され、
連続する2つの前記では、一方のの前記衝突用壁面が前記溝部の中心線から左と右のうちの一方にずれて配置され、他方のの前記衝突用壁面が前記溝部の中心線から左と右のうちの他方にずれて配置されている
ことを特徴とする投入装置。
【請求項2】
前記段以上あり、
一の前記溝が有する前記衝突用壁面と当該一のより2段下の前記溝が有する前記衝突用壁面とは、前記溝部の中心線からの距離が略等しい
ことを特徴とする請求項1に記載の投入装置。
【請求項3】
前記複数段の溝の底面は、それぞれ水平方向に対する傾斜角が前記所定の傾斜角より小さくなっており
前記複数段の溝のうちの少なくとも一部の溝は、さらに、当該溝と当該溝の1段上の前記溝との境界面において、水平方向に対する傾斜角が前記所定の傾斜角より大きい加速用壁面を有する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の投入装置。
【請求項4】
前記複数段の溝の底面は、それぞれ前記溝部を水平前方から見て、略鉛直方向の線に対して線対称に構成されていることを特徴とする請求項3に記載の投入装置。
【請求項5】
前記複数段の溝のうちの少なくとも一部の溝の前記衝突用壁面は、当該溝と当該溝の1段下の前記溝との形状または形成位置の差異を基に形成されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の投入装置。
【請求項6】
水平方向に対する所定の傾斜角の下り勾配をもつメダルまたはコインの通路となる案内溝を備える溝部と、
前記溝部の下り方向端部に連接され、略鉛直方向に立設された背面板部と、
前記溝部の下り方向端部と前記背面板部との間に介設され、メダルまたはコインが通過するスリット状の開口部と
を有するメダルまたはコインの投入装置であって、
前記案内溝は、底面が下り方向に前記所定の傾斜角の下り勾配をもつ溝と、当該溝の前記底面に設けられた複数段の突起部により形成されており、
前記複数段の突起部は、それぞれ前記溝部を鉛直上方から見た場合における前記溝部の中心線から左又は右にずれた位置に設置され、
連続する2段の前記突起部では、一方の突起部が前記溝部の中心線から左と右のうちの一方にずれて配置され、他方の突起部が前記溝部の中心線から左と右のうちの他方にずれて配置されている
ことを特徴とする投入装置。
【請求項7】
請求項1ないしのいずれか1項に記載のメダルが投入される前記投入装置を備え、メダルを遊技媒体として遊技を行うことができることを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数枚のメダルまたはコインを同時投入可能な投入装置および複数枚のメダルが同時投入可能な当該投入装置を備える遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パチンコ機やスロットマシン等の遊技機ではメダルの投入口が設けられ、また、自動販売機等の各種機器ではコイン(硬貨)の投入口が設けられている。
【0003】
例えば、従来のメダルの投入口は平板状部材のベース部と、ベース部に貫設されたスリット状のメダル通過用開口部と、メダル通過用開口部から隣接してベース部から突出するように立設された背面板と、ベース部の手前側から背面板にかけて形成された断面円弧状の溝であるメダル案内溝とを備える。
【0004】
このようなメダルの投入口に対して遊技者が複数枚のメダルを投入口に一度に投入した場合に、複数枚のメダルは重なったままメダル案内溝を滑り落ちていき、重なり合ったままメダル通過用開口部に至る。このため、メダルがメダル通過用開口部で詰まるという問題が起こる。この問題を解決するためのメダル送り出し装置が例えば特許文献1に開示されている。
【0005】
特許文献1に記載されているメダル送り出し装置は、投入されたメダルが通過することのできる開口部を底部に設けたメダル受け部と、メダル受け部の下側に設けられ、開口部からメダルを受けてこれを搬送するベルト、およびメダル受け部とベルトの間に設けられ、複数のメダルが重なっている場合にこの複数のメダルを分離することのできるローラを含み、例えばベルトとローラの間にメダルが詰まったとき、ベルトは一時的に逆方向に駆動される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−334293号公報(段落0019、図1等参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1のメダル送り出し装置には、ローラやベルト等のコストがかかるという問題や、それらの設置スペースが必要になるという問題がある。また、特許文献1のメダル送り出し装置は、メダルが詰まった場合におけるメダル詰まりを解消するものであり、メダルが最初に詰まること自体を軽減するものではなく、メダルが詰まることによる遊技者の煩わしさを十分に解消できているとは言い難い。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、複数枚のメダルまたはコインが同時に投入されてもメダルまたはコイン詰まりが起こりにくくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明にかかる一の投入装置は、水平方向に対する所定の傾斜角の下り勾配をもつメダルまたはコインの通路となる案内溝を備える溝部と、前記溝部の下り方向端部に連接され、略鉛直方向に立設された背面板部と、前記溝部の下り方向端部と前記背面板部との間に介設され、メダルまたはコインが通過するスリット状の開口部とを有するメダルまたはコインの投入装置であって、記案内溝は、それぞれがメダルまたはコインの滑る速度を調節する複数段の溝を、下り方向に連接するように並べられることによって形成されており前記複数段の溝のうちの最下段の溝を除く溝それぞれは、当該溝と当該溝の1段下の前記溝との境界面において、メダルまたはコインの下り方向の速度を減速させる衝突用壁面を有し、前記衝突用壁面は、前記溝部を鉛直上方から見た場合における前記溝部の中心線から左又は右にずれた位置に設置され、連続する2つの前記では、一方のの前記衝突用壁面が前記溝部の中心線から左と右のうちの一方にずれて配置され、他方のの前記衝突用壁面が前記溝部の中心線から左と右のうちの他方にずれて配置されていることを特徴としている。
【0010】
この構成によれば、連続する2つのでは、一方の衝突用壁面が溝部の中心線から左と右のうちの一方にずれて配置され、他方の衝突用壁面が溝部の中心線から左と右のうちの他方にずれて配置されている。このため、一方の衝突用壁面によりメダルまたはコインの向きが変えられる方向と他方の衝突用壁面によりメダルまたはコインの向きが変えられる方向が下り方向に対して逆になり、案内溝に投入されたメダルまたはコインはジグザグしながら溝部を滑り落ちていくことになる。したがって、複数枚のメダルまたはコインが同時に投入されても、あるメダルまたはコインの位置に次のメダルまたはコインが到達するまでに時間を要することになるので、複数枚のメダルまたはコインが重なった状態ではなくて間隔を空けた状態で開口部に到達することになり、これにより、メダル詰まりが起こりにくくすることができる。
【0011】
また、前記段以上あり、一の前記溝が有する前記衝突用壁面と当該一のより2段下の前記溝が有する前記衝突用壁面とは、前記溝部の中心線からの距離が略等しいとしてもよい。
【0012】
この構成によれば、溝部を滑り落ちていくメダルまたはコインの挙動が安定するので、メダルまたはコインが案内溝外に飛び出したり、メダルまたはコインが大きく回転したりすることを防ぐことができる。
【0013】
また、前記複数段の溝の底面は、それぞれ水平方向に対する傾斜角が前記所定の傾斜角より小さくなっており前記複数段の溝のうちの少なくとも一部の溝は、さらに、当該溝と当該溝の1段上の前記溝との境界面において、水平方向に対する傾斜角が前記所定の傾斜角より大きい加速用壁面を有するとしてもよい。
【0014】
この構成によれば、例えばメダルまたはコインを溝の底面により減速、加速用壁面により加速するように溝の底面および加速用壁面それぞれの傾斜角を調節することにより、メダルまたはコインは溝の底面で減速した後に加速用壁面で加速するので、同時に投入される複数枚のメダルまたはコインのうち、連続して滑り落ちる2枚のメダルまたはコインを効果的に引き離すことができ、これにより効果的にメダルまたはコイン詰まりを起こりにくくすることができる。
【0015】
また、前記複数段の溝の底面は、それぞれ前記溝部を水平前方から見て、略鉛直方向の線に対して線対称に構成されているとしてもよい。
【0016】
この構成によれば、溝部をジグザグしながら滑り落ちていくメダルまたはコインの挙動が安定するので、メダルまたはコインが案内溝外に飛び出したり、メダルまたはコインが大きく回転したりすることを防ぐことができる。
【0017】
また、前記複数段の溝のうちの少なくとも一部の溝の前記衝突用壁面は、当該溝と当該溝の1段下の前記溝との形状または形成位置の差異を基に形成されているとしてもよい。
【0018】
この構成によれば、第1調節部を簡易に形成することができる。
また、本発明にかかる他の投入装置は、水平方向に対する所定の傾斜角の下り勾配をもつメダルまたはコインの通路となる案内溝を備える溝部と、前記溝部の下り方向端部に連接され、略鉛直方向に立設された背面板部と、前記溝部の下り方向端部と前記背面板部との間に介設され、メダルまたはコインが通過するスリット状の開口部とを有するメダルまたはコインの投入装置であって、前記案内溝は、底面が下り方向に前記所定の傾斜角の下り勾配をもつ溝と、当該溝の前記底面に設けられた複数段の突起部により形成されており、前記複数段の突起部は、それぞれ前記溝部を鉛直上方から見た場合における前記溝部の中心線から左又は右にずれた位置に設置され、連続する2段の前記突起部では、一方の突起部が前記溝部の中心線から左と右のうちの一方にずれて配置され、他方の突起部が前記溝部の中心線から左と右のうちの他方にずれて配置されていることを特徴としている。
この構成によれば、連続する2つの突起部では、一方の突起部が溝部の中心線から左と右のうちの一方にずれて配置され、他方の突起部が溝部の中心線から左と右のうちの他方にずれて配置されている。このため、一方の突起部によりメダルまたはコインの向きが変えられる方向と他方の突起部によりメダルまたはコインの向きが変えられる方向が下り方向に対して逆になり、案内溝に投入されたメダルまたはコインはジグザグしながら溝部を滑り落ちていくことになる。したがって、複数枚のメダルまたはコインが同時に投入されても、あるメダルまたはコインの位置に次のメダルまたはコインが到達するまでに時間を要することになるので、複数枚のメダルまたはコインが重なった状態ではなくて間隔を空けた状態で開口部に到達することになり、これにより、メダル詰まりが起こりにくくすることができる。
【0019】
また、本発明にかかる遊技機は、上記のいずれかのメダルが投入される前記投入装置を備え、メダルを遊技媒体として遊技を行うことができることを特徴としている。
【0020】
この構成によれば、大量のメダルを投入する必要のある遊技機において、複数枚のメダルが同時に投入されてもメダル詰まりが起こりにくい投入装置を備えることにより、メダル詰まりを原因とする遊技者の煩わしさを軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の第1実施形態にかかるスロットマシンの斜視図である。
図2図1のスロットマシンの前面扉が開いた状態での斜視図である。
図3図1のスロットマシンの電気的構成を示すブロック図である。
図4図1のスロットマシンが備えるメダル投入口の概略平面図である。
図5】(a)〜(e)は、図4のA1−A1’矢視、A2−A2’矢視、A3−A3’矢視、A4−A4’矢視、A5−A5’矢視のメダル投入口の概略断面図である。
図6図4のB−B’矢視のメダル投入口の概略断面図である。
図7】第1実施形態でのメダルの動作をメダル投入口の概略平面図を用いて説明するための図である。
図8】第1実施形態でのメダルの動作をメダル投入口の概略断面図を用いて説明するための図である。
図9】本発明の第2実施形態にかかるスロットマシンが備えるメダル投入口の概略平面図である。
図10】(a)〜(d)は、図9のC1−C1’矢視、C2−C2’矢視、C3−C3’矢視、C4−C4’矢視のメダル投入口の概略断面図である。
図11図9のD−D’矢視のメダル投入口の概略断面図である。
図12】第2実施形態でのメダルの動作をメダル投入口の概略平面図を用いて説明するための図である。
図13】本発明の第3実施形態にかかるスロットマシンが備えるメダル投入口の概略平面図である。
図14】(a)〜(e)は、図13のE1−E1’矢視、E2−E2’矢視、E3−E3’矢視、E4−E4’矢視、E5−E5’矢視のメダル投入口の概略断面図である。
図15】(a)、(b)は図13のF1−F1’矢視、F2−F2’矢視のメダル投入口の概略断面図である。
図16】第3実施形態でのメダルの動作をメダル投入口の概略平面図を用いて説明するための図である。
図17】本発明の第4実施形態にかかるスロットマシンが備えるメダル投入口の概略平面図である。
図18】(a)〜(e)は、図17のG1−G1’矢視、G2−G2’矢視、G3−G3’矢視、G4−G4’矢視、G5−G5’矢視のメダル投入口の概略断面図である。
図19図17のH−H’矢視のメダル投入口の概略断面図である。
図20】第4実施形態でのメダルの動作をメダル投入口の概略平面図を用いて説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態に係る遊技機の一例であるスロットマシン1について、図1図8を参照して説明する。
【0023】
(構成)
スロットマシン1の構成の概略について図1図2を参照して説明する。
【0024】
この実施形態におけるスロットマシン1は、予め設定された複数の遊技状態のうちのいずれかの遊技状態において、メダルを遊技媒体として用い、メダルが規定数投入されることを条件とする遊技者の操作に基づいて一回の遊技が実行されるものであって、例えば図1に示すように構成されている。すなわち、このスロットマシン1では、筐体3の前面が前面扉5により開閉自在に閉塞され、この前面扉5のほぼ中央高さの位置に操作板7が配設されると共に、この操作板7の上方に正面板9が配設されている。
【0025】
なお、本件書類において、筐体3をスロットマシン1の前方から見て、筐体3の左側から右側に向かう方向をX方向、筐体3の前方から後方に向かう方向をY方向、筐体3の下側から上側に向かう方向をZ方向とする(図1図2参照)。
【0026】
そして、この正面板9には横長矩形の表示窓11が設けられている。また、表示窓11の内側には、図1図2に示すように、複数種類の図柄を予め定められた順序で可変表示する左・中・右リール13L,13M,13Rが配置されている。これら左・中・右リール13L,13M,13Rには、複数種類の図柄が合計21個、所定の配列でそれぞれ設けられている。また、各図柄には、0番から20番までのコマ番号が順に付されている。そして、例えば、コマ番号0番から20番までの図柄が印刷されたリールテープがリールの周面に貼り付けられて各リール13L,13M,13Rがそれぞれ形成される。また、各リール13L,13M,13Rが回転すると、コマ番号20番、19番、…、0番、20番、…の予め定められた順に複数の図柄がそれぞれ表示窓11に変動表示される。表示窓11からは、各リール13L,13M,13Rの回転が停止すると、図柄が上段、中段および下段にそれぞれ1個の合計3個ずつ覗くように設定されている。すなわち、3個すべてのリール13L,13M,13Rが停止すると、縦3列横3行に配列された合計9個の図柄が表示窓11に停止表示されるようになっている。なお、例えば、上段ライン、中段ライン、下段ライン、右上がりライン、右下がりラインの5ラインが入賞ラインとして設定されている。
【0027】
また、各リール13L,13M,13Rをそれぞれ独立して回転駆動できるように、各リール13L,13M,13Rには、それぞれステッピングモータにより構成される図3に示すリールモータ14L,14M,14Rが連結されている。
【0028】
更に、操作板7には、内部に貯留されているクレジットメダルから1枚ずつのメダル投入を指示するためのベットスイッチ15、クレジットメダルから1ゲーム(遊技)あたりの最大投入枚数(3枚に設定されている)のメダル投入を指示するための最大ベットスイッチ17、各リール13L,13M,13Rを回転させて各図柄の可変表示を開始させるレバー状のスタートスイッチ19、左・中・右リール13L,13M,13Rの回転をそれぞれ停止させて各図柄の可変表示を停止させる左・中・右ストップスイッチ21L,21M,21R、クレジットメダルを払い出すための精算スイッチ23、およびメダル投入口(本発明の「投入装置」に相当)25が設けられている。なお、メダル投入口25の詳細については図4図8を参照して後に詳述する。また、各リール13L,13M,13Rにより複数種類の図柄を可変表示する複数の可変表示列が形成されており、各ストップスイッチ21L,21M,21Rは、各リール13L,13M,13Rそれぞれに対応して設けられている。
【0029】
また、正面板9の上方のほぼ中央には、動画などを表示して遊技者に当選や入賞などを告知したり、各ストップスイッチ21L,21M,21Rの操作態様を報知したりする演出を行うための液晶表示器27が設けられている。また、液晶表示器27のすぐ上方には、各種の入賞図柄が表示された説明パネル29が設けられ、液晶表示器27および説明パネル29の左右には、音楽や音声などによる演出を行うためのスピーカ31L,31Rがそれぞれ設けられている。なお、図2に示すように、後述するメダル払出口39の左右にもスピーカ31L,31Rがそれぞれ設けられている。また、説明パネル29およびスピーカ31L,31Rの上辺には中央ランプ部33Mが配設され、その左右には左・右ランプ部33L,33Rがそれぞれ配設されている。各ランプ部33M,33L,33Rには、それぞれ発光ダイオードなどの光源が配設されている。これらのランプ部33M,33L,33Rは一体的に形成され、遊技者に当選や入賞を告知するなどの演出を行うための上部ランプ部33を構成している。
【0030】
また、操作板7の下方には、装飾画などが表示された下部パネル35が設けられ、この下部パネル35の左右には、それぞれ複数の光源が例えば2列に並んで配置された下部ランプ部37L,37Rが設けられている。また、下部パネル35の下方には、メダル払出口39や、このメダル払出口39から払い出されるメダルを受けるメダル受け41が設けられている。また、正面板9の右下隅には、3つのリールに対する入賞ラインの位置を示す図形(図示省略)が描かれ、正面板9の左下隅にはクレジットメダルの貯留枚数を表示するクレジット表示器45が配設されている。このクレジット表示器45は、例えば2個の7セグメントLEDで構成され、2桁の貯留枚数(最大で50枚)が表示可能になっている。
【0031】
また、図2に示すように、各リール13L,13M,13Rを支持する支持枠体13が、筐体3内の後壁に固定されている。筐体3内の支持枠体13の下方には、図2に示すように、メダルをメダル払出口39に排出するためのホッパーユニット43が配設されている。また、メダル投入口25付近の裏面側には、図2に示すように、メダル投入口25に投入されたメダルが正規のものか否かを選別して正規のメダルのみをホッパーユニット43に導くメダルセレクタ48が配設されている。なお、筐体3内部には、メダル通路が設けられており、メダルセレクタ48において非正規のメダルとして排除されたメダルや、ホッパーユニット43から払い出されたメダルが、このメダル通路を通過してメダル払出口39から払い出される。また、ホッパーユニット43の左側には、図2に示すように、操作ボックス49が筐体3内の左側壁に固定されている。この操作ボックス49には、電源のオンオフを切り替える電源スイッチ50(図3参照)が設けられるとともに、オンとオフとが切り替えられる設定変更開始処理用のキーシリンダからなる変更処理開始スイッチ56(図3参照)、設定変更時の設定値の切り替えを行うのに用いられるリセットスイッチ52(図3参照)が設けられている。ただし、変更処理開始スイッチ56がオンの状態で電源スイッチ50がオンにされると、リセットスイッチ52を用いた設定変更処理が開始される。
【0032】
続いて、スロットマシン1の電気的な構成について図3を参照して説明する。図3はスロットマシンの電気的構成を示すブロック図である。
【0033】
図3において、投入センサ53は、筐体3内部のメダル投入口25近傍であってメダルセレクタ48部分に設けられ、メダル投入口25に投入されたメダルを1枚ずつ検出するものである。払出センサ54は、ホッパーユニット43の出口に設けられ、メダル払出口39に払い出されるメダルを1枚ずつ検出するものである。
【0034】
左・中・右位置センサ55L,55M,55Rは、左・中・右リール13L,13M,13Rの回転位置をそれぞれ検出するためのもので、例えば左・中・右リール13L,13M,13Rにそれぞれ設けられた突起部を検出するフォトインタラプタからなり、左・中・右リール13L,13M,13Rが回転すると、一周ごとに突起部を検出してその検出信号をメイン制御基板63に出力する。この実施形態では、例えば左・中・右位置センサ55L,55M,55Rが上記突起部を検出したときに、それぞれコマ番号20番の図柄が表示窓11の中段に位置するように構成されている。
【0035】
ホッパーモータ57はホッパーユニット43に配設され、その駆動によりメダルをメダル払出口39に向けて払い出すものである。
【0036】
また、このスロットマシン1では、遊技の進行に関する制御を行うメインCPU61が実装されたメイン制御基板63と、メイン制御基板63に実装されたメインCPU61から送信された情報に基づき所定の演出(例えば、遊技の進行に合わせた演出)に関する制御を行うサブCPU71が実装されたサブ制御基板73とが別々に設けられており、メイン制御基板63からサブ制御基板73に対して各種の遊技情報が一方向で送信される。メイン制御基板63、サブ制御基板73それぞれは、外部から不正にアクセスすることが困難なように、基板ケース内に収容された上、基板ケースが痕跡を残さずに開放することが困難なように厳重に封印されている。また、これらの基板ケースには、不正に開放されたことを視認することができるように、種々の対策が講じられている。メイン制御基板63を収容した基板ケースは図2に示すように筐体3内の後側壁に支持枠体13より高い位置に設置されており、サブ制御基板73を収容した基板ケースは図2に示すように筐体3内の左側壁にメイン制御基板63を収容した基板ケースと略同じ高さの位置に設置されている。
【0037】
メイン制御基板63のRAM65はスロットマシン1の遊技状態などの遊技に関するデータを一時的に記憶するものであり、各種のデータを格納するための各種の記憶領域が形成されている。
【0038】
また、メイン制御基板63のROM67は予め設定されたデータを含む遊技機用プログラム(スロットマシン1用のプログラム)を記憶する。
【0039】
また、メイン制御基板63のメインCPU61は、タイマ割込などの割込機能を有し、ROM67に記憶された遊技機用プログラムを実行することにより、遊技の進行に関する処理を行う。また、メインCPU61は、役抽選結果に関する情報、各ストップスイッチ21L,21M,21R、スタートスイッチ19等の遊技者により操作される操作器具の操作に関する情報などの種々の遊技情報をコマンド形式でサブ制御基板73(サブCPU71)に送信する。
【0040】
また、サブ制御基板73のメモリ75は、各種データを一時的に記憶するRAM部と、演出用の各種プログラムなどを記憶するROM部とを備えている。また、サブ制御基板73のサブCPU71は、タイマ割込などの割込機能を有し、サブCPU71は、メインCPU61から送信されるスロットマシン1に関する各種の遊技情報等に基づいてメモリ75に格納されたプログラムを実行することで、遊技者に対する遊技に関連する演出の内容を決定する。また、サブ制御基板73のサブCPU71は、決定された演出の内容に基づいて、サブ制御基板73が有するI/Oポートを介して、液晶表示器27やスピーカ31L,31Rなどの演出機器の制御を行う。
【0041】
(メイン制御基板)
次に、メイン制御基板63について説明する。
【0042】
メイン制御基板63は、ROM67に格納されたプログラムを実行することにより実現される種々の機能や、ハードウェアが制御されることにより実現される種々の機能を備えている。
【0043】
メインCPU61は、当選した当選役グループ(1または複数の役を構成役として有する。)の種類や役の入賞・非入賞等により、スロットマシン1が備える複数の遊技状態のうちいずれか一つの遊技状態にスロットマシン1の遊技を制御する。
【0044】
また、メインCPU61は、電源スイッチ50、変更処理開始スイッチ56、リセットスイッチ52に対する所定の設定変更操作に基づいて、出玉率(獲得メダル数÷投入メダル数×100[%])の調整をするための設定(設定1〜設定6)を変更する。
【0045】
また、メインCPU61は、制御した遊技状態の種類、および、設定した設定値(設定1から設定6)に基づき、複数の役抽選テーブルから1つの役抽選テーブルを選択する。この役抽選テーブルには、予め設定された複数の当選役グループそれぞれについて、当選役グループと当該当選役グループが役抽選において当選となる抽選値の範囲とが対応づけて記憶されている。
【0046】
また、メインCPU61は、スタートスイッチ19が遊技者により操作されると、役抽選用の乱数を所定の範囲内で発生させ、発生させた乱数値を抽選値としてスタートスイッチ19が操作されたタイミングで抽出する。そして、メインCPU61は、選択した役抽選値テーブルと抽出した抽選値とを用いて当選役グループの当選かどうかの決定を行う。
【0047】
また、メインCPU61は、スタートスイッチ19が遊技者により操作されると、各リール13L,13M,13Rの回転を開始させ、左・中・右位置センサ55L,55M,55Rの検出信号と、左・中・右リール13L,13M,13Rを駆動する各リールモータ14L,14M,14Rへの供給パルス数とに基づき、左・中・右リール13L,13M,13Rの回転位置をそれぞれ検出する。メインCPU61は、全てのリール13L,13M,13Rが定速回転となったときに、各ストップスイッチ21L,21M,21Rの操作を有効操作として受付ける状態となる。この状態で各ストップスイッチ21L,21M,21Rの操作が遊技者により行われると、メインCPU61は、検出した各左・中・右リール13L,13M,13Rの回転位置と、遊技者による各ストップスイッチ21L,21M,21Rの操作態様(例えば押し順や操作タイミング)と、役抽選結果とに基づき、予め設定されているすべりコマ数(引き込み可能範囲:通常、最大4コマ)の範囲内で各リール13L,13M,13Rが停止するように停止制御を行う。
【0048】
全てのリール13L,13M,13Rの回転が停止した後、メインCPU61は、リール13L,13M,13Rの入賞ラインの図柄組合せが、役抽選により当選した当選役グループを構成する役に対応する図柄組合せであるかどうかの判定を行い、入賞ラインの図柄組合せが当該役に対応する図柄組合せである場合は、当該役に入賞したと判定し、そうでない場合はハズレと判定する。メインCPU61は、役抽選により当選した当選役グループを構成する役に入賞したと判定したときに、それがメダル払い出しのある役の入賞であれば、ホッパーユニット43を動作させて、入賞した役に対応した払出数だけメダルを払い出すものである。ただし、メインCPU61はクレジットメダルの貯留枚数が上限値(この実施形態では例えば50枚)に達していない場合は、払出数分だけクレジットメダルの枚数を増加させる。
【0049】
また、メインCPU61は、メダルセレクタ48の動作を制御することにより、メダル受入可と受入不可とを切り替える。
【0050】
また、メインCPU61は、設定値、遊技状態、役抽選結果に関する情報、図柄判定結果に関する情報、各リール13L,13M,13Rの回転・停止状態、メダルの払出状態、前面扉5の開放または閉塞の状態、スロットマシン1のエラー状態などスロットマシン1の状態を表すデータ、各ストップスイッチ21L,21M,21R、スタートスイッチ19等の遊技者により操作される操作器具の操作に関する情報などの種々の情報をサブ制御基板73(サブCPU71)に送信するためのコマンドを生成し、生成したコマンドをサブ制御基板73のサブCPU71に送信する。なお、コマンドはメイン制御基板63からサブ制御基板73に一方通行で送信される。
【0051】
(サブ制御基板)
次に、サブ制御基板73について説明する。サブ制御基板73は、メイン制御基板63から送信されたコマンドを受信し、メイン制御基板63の動作や状態に応じた演出を行うものである。サブ制御基板73は、メモリ75に格納されたプログラムを実行することにより実現される種々の機能や、ハードウェアにより実現される種々の機能を備えている。
【0052】
サブCPU71は、メイン制御基板63(メインCPU61)により送信された種々のデータを含むコマンドを受信する。そして、サブCPU71は、受信したコマンドに応じて、演出の内容を決定し、決定した演出の内容に応じて、例えば、液晶表示器27に動画等の画像を表示する表示制御を行ったり、スピーカ31L,31Rからの音声の出力制御を行ったり、上部ランプ部33や下部ランプ部37L,37Rの光源を一斉にあるいは個別に点滅させる制御を行ったりする。
【0053】
(メダル投入口)
続いて、メダル投入口25の構造及びメダル投入口25に投入したメダルの動作について図4図8を参照して説明する。
【0054】
(メダル投入口の構造)
まず、メダル投入口25の構造について図4図6を参照して説明する。
【0055】
メダル投入口25は、Y軸方向に対する後述する所定の傾斜角θの下り勾配をもつメダル案内溝(本発明の「案内溝」に相当)105を備える溝部101と、溝部101の下り方向端部に連接され、Z軸と略同じ方向(本発明の「略鉛直方向」に相当)に立設された背面板部102と、溝部101の下り方向端部と背面板部102との間に介設され、メダルが通過するスリット状の開口部103とを有する。開口部103は、Z軸方向に貫通しており(図6参照)、XY平面と平行な平面において、X軸方向の幅がメダルの直径より大きく、Y軸方向の幅はメダルの厚みより大きいサイズに形成され、メダルが開口部103をZ軸と略同じ方向に通過することが可能になっている。
【0056】
メダル案内溝105は複数の溝111〜115を下り方向(Y軸方向)に連接するように並べることによって形成されている。なお、溝111〜115により本発明の「複数段の速度調節部」が形成される。
【0057】
ただし、第1実施形態では、溝部101は、XY平面に関して、矩形をしており、溝111〜115を全て包含する領域である。さらに記載すると、溝部101は、XY平面に関して、Y軸と平行で溝112,114のX座標の最小値を通る直線、Y軸と平行で溝111,113,115のX座標の最大値を通る直線、X軸と平行で溝111のY座標の最小値を通る直線、X軸と平行で溝115のY座標の最大値を通る直線とで囲まれる領域である。なお、XY平面における溝部101のX軸に関する各中心を結ぶ中心線CLが本発明の「溝部を鉛直上方から見た場合における溝部の中心線」に相当する。
【0058】
また、上記したY軸方向に対する所定の傾斜角θは、点P1(図6参照)と点P2(図6参照)とを結ぶ直線LD1(図6参照)とY軸と平行で点P1を通る直線LDS(図6参照)とのなす角であって、直線LD1と直線LDSとを含む平面を当該平面のX座標の値よりX座標の値が小さい方から見た場合に直線LDSのうちの点P1よりY座標の値が大きい半直線が点P1を中心として反時計回りに回転して直線LD1に最初に到達するまでの回転角である(図6参照)。ただし、点P1は、XY平面における溝部101の中心線CLを含み且つX軸を法線とする平面と、溝111の底面121とが交わる線分における中点である。また、点P2は、溝部101の中心線CLを含み且つX軸を法線とする平面と、溝115の底面125とが交わる線分における中点である。なお、第1実施形態では、Y軸方向に対する所定の傾斜角θが本発明の「水平方向に対する所定の傾斜角」に相当する。
【0059】
この所定の傾斜角θは、メダルが立った状態(図7中の「(a)の状態」でのメダル170を参照)でメダル案内溝105を滑り落ちることが可能な角度であり、例えば、傾斜角θを異ならせた複数のメダル投入口25を作って試験してメダルが立った状態でメダル案内溝105を滑り落ちるような角度を求めて設計する。
【0060】
溝111は、ZX平面と平行な断面(図5(e)の断面)では、基準線LSから第1の距離zz5まで両側に形成された直線状の側壁を有する(X軸に関する側壁間の距離は一定のx1:x1に関しては図4参照)とともに、直径がメダルの直径より大きい円弧状の底面121を有している。溝111は、ZX平面と平行な断面(図5(e)の断面)では、Z軸方向と平行な線(以下、「中心線」と記載する。)CL1に対して線対称となっている。
【0061】
溝112は、ZX平面と平行な断面(図5(d)の断面)では、基準線LSから第2の距離zz4まで両側に形成された直線状の側壁を有する(X軸に関する側壁間の距離は一定のx1)とともに、直径がメダルの直径より大きい円弧状の底面122を有している。溝112は、ZX平面と平行な断面(図5(d)の断面)では、Z軸方向と平行な線であって、中心線CL1よりもX座標の値が小さい線(以下、「中心線」と記載する。)CL2に対して線対称となっている。
【0062】
溝113は、ZX平面と平行な断面(図5(c)の断面)では、基準線LSから第3の距離zz3まで両側に形成された直線状の側壁を有する(X軸に関する側壁間の距離は一定のx1)とともに、直径がメダルの直径より大きい円弧状の底面123を有している。溝113は、ZX平面と平行な断面(図5(c)の断面)では、中心線CL1に対して線対称となっている。
【0063】
溝114は、ZX平面と平行な断面(図5(b)の断面)では、基準線LSから第4の距離zz2まで両側に形成された直線状の側壁を有する(X軸に関する側壁間の距離は一定のx1)とともに、直径がメダルの直径より大きい円弧状の底面124を有している。溝114は、ZX平面と平行な断面(図5(b)の断面)では、中心線CL2に対して線対称となっている。
【0064】
溝115は、ZX平面と平行な断面(図5(a)の断面)では、基準線LSから第5の距離zz1まで両側に形成された直線状の側壁を有する(X軸に関する側壁間の距離は一定のx1)とともに、直径がメダルの直径より大きい円弧状の底面125を有している。溝115は、ZX平面と平行な断面(図5(a)の断面)では、中心線CL1に対して線対称となっている。
【0065】
ただし、中心線CL1はZX平面における溝部101の中心線CLよりX座標の大きい方(右側)にあり、中心線CL2はZX平面における溝部101の中心線CLよりX座標の小さい方(左側)にある。
【0066】
なお、第5の距離zz1、第4の距離zz2、第3の距離zz3、第2の距離zz4、第1の距離zz5は、その記載順に、大きくなっている(zz1>zz2>zz3>zz4>zz5)。また、基準線SLから溝115の最深部までの距離z1、基準線SLから溝114の最深部までの距離z2、基準線SLから溝113の最深部までの距離z3、基準線SLから溝112の最深部までの距離z4、基準線SLから溝111の最深部までの距離z5は、その記載順に、大きくなっている(z1>z2>z3>z4>z5)。
【0067】
なお、溝111〜115それぞれは、ZX平面と平行な平面において、メダル案内溝105の一端側から他端側にかけて形成されている。
【0068】
ここで、底面121〜125のY軸方向に対する傾斜角は、XY平面における溝111〜115の中心線を含み且つX軸を法線とする平面と、底面121〜125とが交わる線分を含む第1の直線と、Y軸と平行で当該線分のY座標の値が最小である点を通る第2の直線とのなす角であって、第1の直線と第2の直線とを含む平面を当該平面のX座標の値よりX座標の値が小さい方から見た場合に第2の直線のうちの当該線分のY座標の値が最小である点よりY座標の値が大きい半直線が当該線分のY座標の値が最小である点を中心として反時計回りに回転して第1の直線に最初に到達するまでの回転角である。ただし、XY平面における溝111〜115の中心線は、Y座標の各値において、X座標の値が(溝111〜115のX座標の最小値+溝111〜115のX座標の最大値)÷2である直線である。
【0069】
底面121〜125のY軸方向に対する傾斜角は、メダル案内溝105の上記したY軸方向に対する所定の傾斜角θより小さく、メダル案内溝105に投入されたメダルが立った状態で止まることなくメダル案内溝105を滑り落ちることができる角度であり、例えば略0度である。この底面121〜125のY軸方向に対する傾斜角は、例えば底面121〜125のY軸方向に対する傾斜角を異ならせた複数のメダル投入口25を作ってメダル詰まりがどの程度起こるかを試験することにより求めて設計する。なお、底面121〜125が本発明の「第2調節部」に相当し、底面121〜125のY軸方向に対する傾斜角が本発明の「第2調節部の水平方向に対する傾斜角」に相当し、底面121,123,125の場合には中心線CL1、底面122,124の場合には中心線CL2が本発明の「略鉛直方向の線」に相当する。
【0070】
溝111〜115のX軸方向の幅は全てx1であり(図4参照)、XY平面、ZX平面では、X軸に関して、溝111,113,115が溝112,114に対してX座標の値が大きくなる側(右側)にずれるように(図4図5参照)、溝111〜115が形成されている。このように溝111〜115が形成されることにより、図4図5に示すように、溝112,114のXY平面、ZX平面における右側(X座標の値が大きい方)の端が、溝111,113,115のXY平面、ZX平面における右側の端よりも、左側(X座標の値が小さい方)に存在する。また、図4図5に示すように、溝111,113,115のXY平面、ZX平面における左側の端が、溝112,114のXY平面、ZX平面における左側の端よりも、右側に存在する。
【0071】
これにより、メダル案内溝105には、溝111と溝112との境界面(ZX平面と平行な面)において溝111の左側(X座標の小さい方)の端部から右側(X座標の大きい方)の端部までのうちの右側に、メダルがメダル案内溝105を滑り落ちる際に衝突する壁面(以下、「衝突用壁面」と記載する。)131が形成される(図4図5(e)参照)。また、メダル案内溝105には、溝112と溝113との境界面(ZX平面と平行な面)において溝112の左側の端部から右側の端部までのうちの左側に、メダルがメダル案内溝105を滑り落ちる際に衝突する壁面(衝突用壁面)132が形成される(図4図5(d)参照)。また、メダル案内溝105には、溝113と溝114との境界面(ZX平面と平行な面)において溝113の左側の端部から右側の端部までのうちの右側に、メダルがメダル案内溝105を滑り落ちる際に衝突する壁面(衝突用壁面)133が形成される(図4図5(c)参照)。また、メダル案内溝105には、溝114と溝115との境界面(ZX平面と平行な面)において溝114の左側の端部から右側の端部までのうちの左側に、メダルがメダル案内溝105を滑り落ちる際に衝突する壁面(衝突用壁面)134が形成される(図4図5(b)参照)。衝突用壁面131〜134は、溝111〜115の形成位置の差異を基に形成される。なお、衝突用壁面131〜134が本発明の「第1調節部」に相当する。
【0072】
衝突用壁面131〜134は、XY平面、ZX平面において、溝部101の中心線CLから左側(X座標の値が小さくなる側)と右側(X座標の値が大きくなる側)のうちの一方にずれており、衝突用壁面131,133は右側にずれ、衝突用壁面132,134は左側にずれている(図4図5参照)。つまり、衝突用壁面131〜134のうち連続する2段の衝突用壁面は、溝部101の中心線CLからずれる側が逆になっている。
【0073】
また、衝突用壁面131と2段下の衝突用壁面133とはXY平面、ZX平面において溝部101の中心線CLからの距離が略等しくなっており、衝突用壁面132と2段下の衝突用壁面134とはXY平面、ZX平面において溝部101の中心線CLからの距離が略等しくなっている(図4図5参照)。また、衝突用壁面131,133と、衝突用壁面132,134とはXY平面において溝部101の中心線CLからの距離が略等しくなっている(図4図5参照)。
【0074】
溝111の底面121、溝112の底面122、溝113の底面123、溝114の底面124、溝115の底面125は、その記載順に、Z座標の値が小さくなる(Z軸において低くなる)ように、形成されている(図5図6参照)。
【0075】
これにより、メダル案内溝105には、溝112と溝111との境界面(ZX平面と平行な面)において溝112の底面122と溝111の底面121との間に、メダルが落下することにより加速するための段差の一部を形成する壁面(以下、「加速用壁面」と記載する。)141が形成される(図6参照)。また、メダル案内溝105には、溝113と溝112との境界面(ZX平面と平行な面)において溝113の底面123と溝112の底面122との間に、メダルが落下することにより加速するための段差の一部を形成する壁面(加速用壁面)142が形成される(図6参照)。また、メダル案内溝105には、溝114と溝113との境界面(ZX平面と平行な面)において溝114の底面124と溝113の底面123との間に、メダルが落下することにより加速するための段差の一部を形成する壁面(加速用壁面)143が形成される(図6参照)。また、メダル案内溝105には、溝115と溝114との境界面(ZX平面と平行な面)において溝115の底面125と溝114の底面124との間に、メダルが落下することにより加速するための段差の一部を形成する壁面(加速用壁面)144が形成される(図6参照)。
【0076】
ここで、加速用壁面141〜144のY軸方向に対する傾斜角は、XY平面における溝111〜114の中心線を含み且つX軸を法線とする平面と、加速用壁面141〜144とが交わる線分を含む第1の直線と、Y軸と平行で当該線分のZ座標の値が最大である点を通る第2の直線とのなす角であって、第1の直線と第2の直線とを含む平面を当該平面のX座標の値よりX座標の値が小さい方から見た場合に第2の直線のうちの当該線分のY座標の値が最小である点よりY座標の値が大きい半直線が当該線分のY座標の値が最小である点を中心として反時計回りに回転して第1の直線に最初に到達するまでの回転角である。ただし、XY平面における溝111〜114の中心線は、Y座標の各値において、X座標の値が(溝111〜114のX座標の最小値+溝111〜114のX座標の最大値)÷2である直線である。
【0077】
加速用壁面141〜144のY軸方向に対する傾斜角は、メダル案内溝105の上記したY軸方向に対する所定の傾斜角θより大きく、例えば略90度である。この加速用壁面141〜144のY軸方向に対する傾斜角は、例えば加速用壁面141〜144のY軸方向に対する傾斜角を異ならせた複数のメダル投入口25を作ってメダル詰まりがどの程度起こるかを試験することにより求めて設計する。加速用壁面141〜144が本発明の「第3調節部」に相当し、加速用壁面141〜144のY軸方向に対する傾斜角が本発明の「第3調節部の水平方向に対する傾斜角」に相当する。
【0078】
なお、メダル投入口25では、底面121、加速用壁面141、底面122、加速用壁面142、底面123、加速用壁面143、底面124、加速用壁面144、底面125が、メダル案内溝105の下り方向に、その記載順に、形成されている。
【0079】
上述した溝部101では、溝111〜115は、XY平面における溝111〜115のX軸方向の幅x1(図4参照)がメダルの直径より大きくなるように、かつ、XY平面における溝111,113,115のX座標が最小値である箇所と、溝112,114のX座標が最大値である箇所との間のX軸方向の距離x2(図4参照)がメダルの直径より小さくなるように形成されている。また、溝111〜115は、XY平面における溝111〜115のY軸方向の幅がメダルの厚みより大きくなるように形成されている。これにより、メダルは衝突用壁面131〜134に衝突しながらメダル案内溝105を滑り落ちることになる。なお、溝111〜115の形状や寸法や形成位置等は、メダルが衝突用壁面131〜134に衝突しながらメダル案内溝105を滑り落ちることができればよい。
【0080】
(メダルの動作)
続いて、メダル投入口25に投入されたメダルの動作について図7図8を参照して説明する。なお、図7図8では、メダル170の投入枚数を1枚としているが、遊技者は複数枚数のメダル170を同時に投入することが可能になっている。なお、図7図8ではメダル170が最上段の溝111に投入される場合を例に挙げるが、メダル170の投入位置は最上段の溝111である必要なない。
【0081】
メダル170が最上段の溝111に投入され(図7(a)、図8(a)参照)、メダル170が溝111の底面121を1段下の溝112に向かって移動し、メダル170の右側が衝突用壁面131に衝突する(図7(b)、図8(b)参照)。そして、メダル170は衝突用壁面131を回転軸として溝部101を当該溝部101のZ座標の値よりZ座標の値が大きい方から見た場合にメダル面の垂線方向がY軸方向から時計回りに回転するとともに衝突用壁面131を避けるように左方向(X座標の値が小さくなる方向)に動いて、底面121と加速用壁面141と底面122とで形成される段差部を加速しながら落下する(図7(c)、図8(c)、および、図7(d)、図8(d)参照)。
【0082】
メダル面の垂線方向がY軸方向から時計回りの方向にずれたメダル170は、溝112の底面122を1段下の溝113に向かう方向に移動し、この移動に際して溝112の左方向(X座標の値が小さくなる方向)にも移動する。この底面122上での移動において、メダル170は減速する。そして、メダル170の左側が衝突用壁面132に衝突する(図7(e)、図8(e)参照)。なお、底面122のサイズ等によっては、メダル170は、その左側が衝突用壁面132に衝突する前に、溝112の左側の側面に衝突することがある。
【0083】
そして、メダル170は衝突用壁面132を回転軸として溝部101を当該溝部101のZ座標の値よりZ座標の値が大きい方から見た場合にメダル面の垂線方向がY軸方向から反時計回りに回転するとともに衝突用壁面132を避けるように右方向(X座標の値が大きくなる方向)に動いて、底面122と加速用壁面142と底面123とで形成される段差部を加速しながら落下する(図7(f)、図8(f)、および、図7(g)、図8(g)、および、図7(h)、図8(h)参照)。
【0084】
メダル面の垂線方向がY軸方向から反時計回りの方向にずれたメダル170は、溝113の底面123を1段下の溝114に向かう方向に移動し、この移動に際して溝113の右方向(X座標の値が大きくなる方向)にも移動する。この底面123上の移動において、メダル170は減速する。そして、メダル170の右側が衝突用壁面133に衝突する。なお、底面123のサイズ等によっては、メダル170は、その右側が衝突用壁面133に衝突する前に、溝113の右側の側面に衝突することがある。
【0085】
したがって上記した第1実施形態によれば、衝突用壁面131〜134は、連続する2つの衝突用壁面では、一方の衝突用壁面が溝部101の中心線CLから左と右のうちの一方にずれて配置され、他方の衝突用壁面が溝部101の中心線CLから左と右のうちの他方にずれて配置されている。このため、一方の衝突用壁面によりメダル170の向きが変えられる方向と他方の衝突用壁面によりメダル170の向きが変えられる方向が下り方向に対して逆になり、メダル案内溝105に投入されたメダル170はジグザグしながら溝部101を滑り落ちていくことになる。したがって、複数枚のメダル170が同時に投入された場合に、あるメダル170の位置に次のメダル170が到達するまでに時間を要するので、複数枚のメダル170が重なった状態ではなくて間隔を空けた状態で開口部103に到達することになる。これにより、メダル詰まりを起こりにくくすることができる。
【0086】
また、衝突用壁面131と2段下の衝突用壁面133とは溝部101の中心線CLからの距離が略等しくなっており、衝突用壁面132と2段下の衝突用壁面134とは溝部101の中心線CLからの距離が略等しくなっている。このため、溝部101を滑り落ちていくメダル170の挙動が安定するので、メダル170がメダル案内溝105外に飛び出したり、メダル170が大きく回転したりすることを防ぐことができる。
【0087】
また、メダル170は、例えば底面122で減速した後に、加速用壁面142で加速するので、連続して滑り落ちる2枚のメダル170を効果的に引き離すことができ、これにより効果的にメダル詰まりを起こりにくくすることができる。
【0088】
また、底面121〜125それぞれを中心線CL1,L2のいずれかに対して線対称に構成することにより、溝部101をジグザグしながら滑り落ちていくメダル170の挙動が安定するので、メダル170がメダル案内溝105外に飛び出したり、メダル170が大きく回転したりすることを防ぐことができる。
【0089】
また、メダル170が溝部101を滑り落ちる際に衝突する衝突用壁面131〜134を溝111〜115の形成位置を変えることにより簡易に形成することができる。
【0090】
また、メダル詰まりを防止するために、ローラやベルト等の部品を用いていないため、ローラやベルト等の部品にコストがかかるという問題や、それらの設置スペースが必要になるという問題がない。
【0091】
また、大量のメダル170を投入する必要のあるスロットマシン1において、複数枚のメダル170が同時に投入されてもメダル詰まりが起こりにくいメダル投入口25を備えることにより、メダル詰まりを原因とする遊技者の煩わしさを軽減することができる。
【0092】
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態に係る遊技機の一例であるスロットマシンについて説明する。第2実施形態に係るスロットマシンは、第1実施形態で説明したスロットマシン1が備えるメダル投入口25と異なる構造のメダル投入口25Aを有する点においてスロットマシン1と異なっており、以下では、メダル投入口25Aの構造及びメダル投入口25Aに投入したメダルの動作について図9図12を参照して説明する。
【0093】
(メダル投入口の構造)
まず、メダル投入口25Aの構造について図9図11を参照して説明する。
【0094】
メダル投入口25Aは、Y軸方向に対する後述する所定の傾斜角の下り勾配をもつメダル案内溝(本発明の「案内溝」に相当)205を備える溝部201と、溝部201の下り方向端部に連接され、Z軸と略同じ方向(本発明の「略鉛直方向」に相当)に立設された背面板部202と、溝部201の下り方向端部と背面板部202との間に介設され、メダルが通過するZ軸方向に貫通したスリット状の開口部203(メダルが通過可能なサイズ)とを有する。
【0095】
メダル案内溝205は、溝211と、溝211の底面221に設けられた4つの突起部231〜234によって形成されている。なお、突起部231〜234が本発明の「速度調節部」、「第1調節部」に相当する。
【0096】
ただし、第2実施形態では、溝部201は、XY平面に関して、矩形をしており、溝211を全て包含する領域である。さらに記載すると、溝部201は、XY平面において、Y軸と平行で溝211のX座標の最小値を通る直線、Y軸と平行で溝211のX座標の最大値を通る直線、X軸と平行で溝211のY座標の最小値を通る直線、X軸と平行で溝211のY座標の最大値を通る直線とで囲まれる領域である。なお、XY平面における溝部201のX軸に関する各中心を結ぶ中心線CLAが本発明の「溝部を鉛直上方から見た場合における溝部の中心線」に相当する。
【0097】
また、上記したY軸方向に対する所定の傾斜角は、XY平面における溝部201の中心線CLAを含み且つX軸を法線とする平面と溝211の底面221とが交わる線分を含む第1の直線と、Y軸と平行で当該線分のY座標の値が最小である点を通る第2の直線とのなす角であって、第1の直線と第2の直線とを含む平面を当該平面のX座標の値よりX座標の値が小さい方から見た場合に第2の直線のうちの当該線分のY座標の値が最小である点よりY座標の値が大きい半直線が当該線分のY座標の値が最小である点を中心として反時計回りに回転して第1の直線に最初に到達するまでの回転角である。なお、第2実施形態では、Y軸方向に対する所定の傾斜角が本発明の「水平方向に対する所定の傾斜角」に相当する。
【0098】
この所定の傾斜角は、メダルが立った状態でメダル案内溝205を滑り落ちることが可能な角度であり、例えば、傾斜角を異ならせた複数のメダル投入口25Aを作って試験してメダルが立った状態でメダル案内溝205を滑り落ちるような角度を求めて設計する。
【0099】
溝211は、ZX平面と平行な断面(図10(a)〜(d)の断面)では、基準線LSから所定の距離まで両側に形成された直線状の側壁を有する(x軸に関する側壁間の距離は一定のxA1:xA1に関しては図9参照)とともに、直径がメダルの直径より大きい円弧状の底面221を有している。溝211は、ZX平面と平行な断面(図10(a)〜(d)の断面)では、Z軸方向と平行な線(以下、「中心線」と記載する。)CLAに対して線対称となっている。なお、所定の距離はY軸方向にいくにしたがって大きくなる(図10(a)の断面での所定の距離zzA1>図10(b)の断面での所定の距離zzA2>図10(c)の断面での所定の距離zzA3>図10(d)の断面での所定の距離zzA4、図10図11参照)。また、基準線SLから溝211の最深部までの距離はY軸方向にいくにしたがって大きくなる(図10(a)の断面での基準線SLから溝211の最深部までの距離zA1>図10(b)の断面での基準線SLから溝211の最深部までの距離zA2>図10(c)の断面での基準線SLから溝211の最深部までの距離zA3>図10(d)の断面での基準線SLから溝211の最深部までの距離zA4、図10図11参照)。なお、溝211は、ZX平面と平行な平面において、メダル案内溝205の一端側から他端にかけて形成されている。
【0100】
4つの突起部231〜234は溝211の底面221の所定位置に同じ形状で形成されている。
【0101】
突起部231、突起部232、突起部233、突起部234の形成位置はY軸に関してはその記載順にY軸の座標値が大きくなる。
【0102】
また、XY平面、ZX平面では、突起部231,233の形成位置は溝部201の中心線CLAから右側(X座標の値が大きくなる側)にずれており、突起部232,234の形成位置は溝部201の中心線CLAから左側(X座標の値が小さくなる側)にずれている(図9図10参照)。このように、Y軸方向に連続する2つの突起部は一方が溝部201の中心線CLAから左側にずれ、他方が溝部201の中心線CLAから右側にずれている。
【0103】
また、XY平面、ZX平面では、突起部231,233の形成位置は溝部201の中心線CLAからの距離が略等しく、突起部232,234の形成位置は溝部201の中心線CLAからの距離が略等しくなっている(図9図10参照)。このように、ある突起部と当該ある突起部より2段下の突起部とは溝部201の中心線CLAからの距離が略等しくなっている。また、突起部231,233と突起部232,234とは溝部201の中心線CLAからの距離が略等しくなっている(図9図10参照)。
【0104】
なお、XY平面において、溝211の幅xA1(図9参照)や突起部231〜234のうちY軸方向に連続する2つの突起部間のX軸での最短距離xA2(図9参照)等の溝211の形状や寸法、突起部231〜234の形状や寸法や形成位置等は、メダルが突起部231〜234に衝突しながらメダル案内溝205を滑り落ちることができればよい。
【0105】
(メダルの動作)
続いて、メダル投入口25Aに投入されたメダルの動作について図12を参照して説明する。なお、図12では、メダル170の投入枚数を1枚としているが、遊技者は複数枚数のメダル170を同時に投入することが可能になっている。なお、図12ではメダル170が最上段の突起部231より高い位置に投入される場合を例に挙げるが、メダル170の投入位置は最上段の突起部231より高い位置である必要なない。
【0106】
メダル170が溝211の最上段の突起部231より開口部203から離れた位置に投入され(図12(a)参照)、メダル170が最上段の突起部231に向かって移動し、メダル170の右側が突起部231に到達する(図12(b)参照)。そして、メダル170の右側が突起部231に乗り上げる際、メダル170は突起部231を回転軸として溝部201を当該溝部201のZ座標の値よりZ座標の値が大きい方から見た場合にメダル面の垂線方向がY軸方向から時計回りに回転しながら突起部231を通過する(図12(c)参照)。
【0107】
メダル面の垂線方向がY軸方向から時計回りの方向にずれたメダル170は、溝211の底面221を開口部203に向かう方向に移動し、この移動に際して溝211の左方向(X座標の値が小さくなる方向)にも移動する。そして、メダル170の左側が突起部232に到達する(図12(d)参照)。なお、底面221のサイズ等によっては、メダル170は、その左側が突起部232に衝突する前に、溝211の左側の側面に衝突することがある。
【0108】
そして、メダル170の左側が突起部232に乗り上げる際、メダルは突起部232を回転軸として溝部201を当該溝部201のZ座標の値よりZ座標の値が大きい方から見た場合にメダル面の垂線方向がY軸方向から反時計回りに回転しながら突起部232を通過する(図12(e)、(f)参照)。
【0109】
メダル面の垂線方向がY軸方向から時計回りの方向にずれたメダル170は、溝211の底面221を開口部203に向かう方向に移動し、この移動に際して溝211の右方向(X座標の値が大きくなる方向)にも移動する。そして、メダル170の右側が突起部233に到達する。なお、底面221のサイズ等によっては、メダル170は、その右側が突起部232に衝突する前に、溝211の右側の側面に衝突することがある。
【0110】
したがって上記した第2実施形態によれば、突起部231〜234は、連続する2つの突起部231〜234では、一方の突起部が溝部201の中心線CLAから左と右のうちの一方にずれて配置され、他方の突起部が溝部201の中心線CLAから左と右のうちの他方にずれて配置されている。このため、一方の突起部によりメダル170の向きが変えられる方向と他方の突起部によりメダル170の向きが変えられる方向が下り方向に対して逆になり、メダル案内溝205に投入されたメダル170はジグザグしながら溝部201を滑り落ちていくことになる。したがって、複数枚のメダル170が同時に投入された場合に、あるメダル170の位置に次のメダル170が到達するまでに時間を要するので、複数枚のメダル170が重なった状態ではなくて間隔を空けた状態で開口部203に到達することになる。これにより、メダル詰まりを起こりにくくすることができる。
【0111】
また、突起部231と2段下の突起部233とは溝部201の中心線CLAからの距離が略等しくなっており、突起部232と2段下の突起部234とは溝部201の中心線CLAからの距離が略等しくなっている。このため、溝部201を滑り落ちていくメダル170の挙動が安定するので、メダル170がメダル案内溝205外に飛び出したり、メダル170が大きく回転したりすることを防ぐことができる。
【0112】
また、底面211を中心線CLAに対して線対称に構成することにより、溝部201をジグザグしながら滑り落ちていくメダル170の挙動が安定するので、メダル170がメダル案内溝205外に飛び出したり、メダル170が大きく回転したりすることを防ぐことができる。
【0113】
また、メダル詰まりを防止するために、ローラやベルト等の部品を用いていないため、ローラやベルト等の部品にコストがかかるという問題や、それらの設置スペースが必要になるという問題がない。
【0114】
また、大量のメダル170を投入する必要のあるスロットマシンにおいて、複数枚のメダル170が同時に投入されてもメダル詰まりが起こりにくいメダル投入口25Aを備えることにより、メダル詰まりを原因とする遊技者の煩わしさを軽減することができる。
【0115】
<第3実施形態>
本発明の第3実施形態に係る遊技機の一例であるスロットマシンについて説明する。第3実施形態に係るスロットマシンは、第1実施形態で説明したスロットマシン1が備えるメダル投入口25と異なる構造のメダル投入口25Bを有する点においてスロットマシン1と異なっており、以下では、メダル投入口25Bの構造及びメダル投入口25Bに投入したメダルの動作について図13図16を参照して説明する。
【0116】
(メダル投入口の構造)
まず、メダル投入口25Bの構造について図13図15を参照して説明する。
【0117】
メダル投入口25Bは、Y軸方向に対する後述する所定の傾斜角の下り勾配をもつメダル案内溝(本発明の「案内溝」に相当)305を備える溝部301と、溝部301の下り方向端部に連接され、Z軸と略同じ方向(本発明の「略鉛直方向」に相当)に立設された背面板部302と、溝部301の下り方向端部と背面板部302との間に介設され、メダルが通過するZ軸方向に貫通したスリット状の開口部303(メダルが通過可能なサイズ)とを有する。
【0118】
メダル案内溝305は複数の溝311〜315を下り方向(Y軸方向)に連接するように並べることによって形成されている。なお、溝311〜315により本発明の「複数段の速度調節部」が形成される。
【0119】
ただし、第3実施形態では、溝部301は、XY平面に関して、矩形をしており、溝311〜315を全て包含する領域である。さらに記載すると、溝部301は、XY平面に関して、Y軸と平行で溝311のX座標の最小値を通る直線、Y軸と平行で溝311のX座標の最大値を通る直線、X軸と平行で溝311のY座標の最小値を通る直線、X軸と平行で溝311のY座標の最大値を通る直線とで囲まれる領域である。なお、XY平面における溝部301のX軸に関する各中心を結ぶ中心線CLBが本発明の「溝部を鉛直上方から見た場合における溝部の中心線」に相当する。
【0120】
また、上記したY軸方向に対する所定の傾斜角は、第1の点(XY平面における溝部301の中心線CLBを含み且つX軸を法線とする平面と溝311の底面321とが交わる線分の中点)と、第2の点(XY平面における溝部301の中心線CLBを含み且つX軸を法線とする平面と溝315の底面325とが交わる線分の中点)とを結ぶ第1の直線と、Y軸と平行で第1の点を通る第2の直線とのなす角であって、第1の直線と第2の直線とを含む平面を当該平面のX座標の値よりX座標の値が小さい方から見た場合に第2の直線のうちの第1の点よりY座標の値が大きい半直線が第1の点を中心として反時計回りに回転して第1の直線に最初に到達するまでの回転角である。なお、第3実施形態では、Y軸方向に対する所定の傾斜角が本発明の「水平方向に対する所定の傾斜角」に相当する。
【0121】
この所定の傾斜角は、メダルが立った状態でメダル案内溝305を滑り落ちることが可能な角度であり、例えば、傾斜角を異ならせた複数のメダル投入口25Bを作って試験してメダルが立った状態でメダル案内溝305を滑り落ちるような角度を求めて設計する。
【0122】
溝311は、ZX平面と平行な断面(図14(e)の断面)では、基準線LSから第1の距離zzB5まで両側に形成された直線状の側壁を有する(X軸に関する側壁間の距離は一定のxB:xBに関しては図13参照)とともに、Z軸での最小値の点が中心線(Z軸と平行でX軸での側壁間の中点を通る直線)CLBよりもX座標の大きい側(右側)に位置する曲線状をした底面321を有している。
【0123】
溝312は、ZX平面と平行な断面(図14(d)の断面)では、基準線LSから第2の距離zzB4まで両側に形成された直線状の側壁を有する(X軸に関する側壁間の距離は一定のxB)とともに、Z軸での最小値の点が中心線CLBよりもX座標の小さい側(左側)に位置する曲線状をした底面322を有している。
【0124】
溝313は、ZX平面と平行な断面(図14(c)の断面)では、基準線LSから第3の距離zzB3まで両側に形成された直線状の側壁を有する(X軸に関する側壁間の距離は一定のxB)とともに、Z軸での最小値の点が中心線CLBよりもX座標の大きい側(右側)に位置する曲線状をした底面323を有している。
【0125】
溝314は、ZX平面と平行な断面(図14(b)の断面)では、基準線LSから第4の距離zzB2まで両側に形成された直線状の側壁を有する(X軸に関する側壁間の距離は一定のxB)とともに、Z軸での最小値の点が中心線CLBよりもX座標の小さい側(左側)に位置する曲線状をした底面324を有している。
【0126】
溝315は、ZX平面と平行な断面(図14(a)の断面)では、基準線LSから第5の距離zzB1まで両側に形成された直線状の側壁を有する(X軸に関する側壁間の距離は一定のxB)とともに、Z軸での最小値の点が中心線CLBよりもX座標の大きい側(右側)に位置する曲線状をした底面325を有している。
【0127】
なお、第5の距離zzB1、第4の距離zzB2、第3の距離zzB3、第2の距離zzB4、第1の距離zzB5は、その記載順に、大きくなっている(zzB1>zzB2>zzB3>zzB4>zzB5)。また、基準線SLから溝315の最深部までの距離zB1、基準線SLから溝314の最深部までの距離zB2、基準線SLから溝313の最深部までの距離zB3、基準線SLから溝312の最深部までの距離zB4、基準線SLから溝311の最深部までの距離zB5は、その記載順に、大きくなっている(zB1>zB2>zB3>zB4>zB5)。
【0128】
なお、溝311〜315それぞれは、ZX平面と平行な平面において、メダル案内溝305の一端側から他端側にかけて形成されている。
【0129】
ここで、底面321〜325のY軸方向に対する傾斜角は、XY平面における溝311〜315の中心線を含み且つX軸を法線とする平面と、底面321〜325とが交わる線分を含む第1の直線と、Y軸と平行で当該線分のY座標の値が最小である点を通る第2の直線とのなす角であって、第1の直線と第2の直線とを含む平面を当該平面のX座標の値よりX座標の値が小さい方から見た場合に第2の直線のうちの当該線分のY座標の値が最小である点よりY座標の値が大きい半直線が当該線分のY座標の値が最小である点を中心として反時計回りに回転して第1の直線に最初に到達するまでの回転角である。ただし、XY平面における溝311〜315の中心線は、Y座標の各値において、X座標の値が(溝311〜315のX座標の最小値+溝311〜315のX座標の最大値)÷2である直線である。
【0130】
底面321〜325のY軸方向に対する傾斜角は、メダル案内溝305の上記したY軸方向に対する所定の傾斜角より小さく、メダル案内溝305に投入されたメダルが立った状態で止まることなくメダル案内溝305を滑り落ちることができる角度であり、例えば略0度である。この底面321〜325のY軸方向に対する傾斜角は、例えば底面321〜325のY軸方向に対する傾斜角を異ならせた複数のメダル投入口25Bを作ってメダル詰まりがどの程度起こるかを試験することにより求めて設計する。なお、底面321〜325が本発明の「第2調節部」に相当し、底面321〜325のY軸方向に対する傾斜角が本発明の「第2調節部の水平方向に対する傾斜角」に相当する。
【0131】
ZX平面において、X座標の値が点線BのX座標の値より大きい方(点線Bより右側)では、溝311の底面321のZ座標の値が溝312の底面322のZ座標の値より一部小さくなっており、X座標の値が点線BのX座標の値より小さい方(点線Bより左側)では、溝311の底面321のZ座標の値が溝312の底面322のZ座標の値より大きくなっている(図14(d)、(e)、図15参照)。また、ZX平面において、X座標の値が点線AのX座標の値より小さい方(点線Aより左側)では、溝312の底面322のZ座標の値が溝313の底面323のZ座標の値より一部小さくなっており、X座標の値が点線AのX座標の値より大きい方(点線Aより右側)では、溝312の底面322のZ座標の値が溝313の底面323のZ座標の値より大きくなっている(図14(c)、(d)、図15参照)。また、ZX平面において、点線Bより右側では、溝313の底面323のZ座標の値が溝314の底面324のZ座標の値より一部小さくなっており、点線Bより左側では、溝313の底面323のZ座標の値が溝314の底面324のZ座標の値より大きくなっている(図14(b)、(c)、図15参照)。また、ZX平面において、点線Aより左側では、溝314の底面324のZ座標の値が溝315の底面325のZ座標の値より一部小さくなっており、点線Aより右側では、溝314の底面324のZ座標の値が溝315の底面325のZ座標の値より大きくなっている(図14(a)、(b)、図15参照)。
【0132】
このように溝311〜315が形成されることにより、メダル案内溝305には、溝311と溝312との境界面(ZX平面と平行な面)において点線Bより右側に、メダルがメダル案内溝305を滑り落ちる際に衝突する壁面(以下、「衝突用壁面」と記載する。)331が形成される(図14(e)、図15(b)参照)。また、メダル案内溝305には、溝312と溝313との境界面(ZX平面と平行な面)において点線Aより左側に、メダルがメダル案内溝305を滑り落ちる際に衝突する壁面(衝突用壁面)332が形成される(図14(d)、図15(a)参照)。また、メダル案内溝305には、溝313と溝314との境界面(ZX平面と平行な平面)において点線Bより右側に、メダルがメダル案内溝305を滑り落ちる際に衝突する壁面(衝突用壁面)333が形成される(図14(c)、図15(b)参照)。また、メダル案内溝305には、溝314と溝315との境界面(ZX平面と平行な平面)において点線Aより左側に、メダルがメダル案内溝305を滑り落ちる際に衝突する壁面(衝突用壁面)334が形成される(図14(b)、図15(a)参照)。衝突用壁面331〜334は、溝311〜315の形状の差異を基に形成される。なお、衝突用壁面331〜334が本発明の「第1調節部」に相当する。
【0133】
衝突用壁面331〜334は、XY平面、ZX平面において、溝部301の中心線CLBから左側(X座標の値が小さくなる側)と右側(X座標の値が大きくなる側)のうちの一方にずれており、衝突用壁面331,333は右側にずれ、衝突用壁面332,334は左側にずれている(図14参照)。つまり、衝突用壁面331〜334のうち連続する2段の衝突用壁面は、溝部301の中心線CLBからずれる側が逆になっている。
【0134】
また、衝突用壁面331と2段下の衝突用壁面333とはXY平面、ZX平面において溝部301の中心線CLBからの距離が略等しくなっており、衝突用壁面332と2段下の衝突用壁面334とはXY平面、ZX平面において溝部301の中心線CLBからの距離が略等しくなっている(図14参照)。また、衝突用壁面331,333と、衝突用壁面332,334とはXY平面、ZX平面において溝部301の中心線CLBからの距離が略等しくなっている(図14参照)。
【0135】
上記のように溝311〜315が形成されることにより、メダル案内溝305には、溝312と溝311との境界面(ZX平面と平行な面)において点線Bより左側の底面322と底面321との間に、メダルが落下することにより加速するための段差の一部を形成する壁面(以下、「加速用壁面」と記載する。)341が形成される(図15(a)参照)。また、メダル案内溝305には、溝313と溝312との境界面(ZX平面と平行な平面)において点線Aより右側の底面323と底面322との間に、メダルが落下することにより加速するための段差の一部を形成する壁面(加速用壁面)342が形成される(図15(b)参照)。また、メダル案内溝305には、溝314と溝313との境界面(ZX平面と平行な面)において点線Bより左側の底面324と底面323との間に、メダルが落下することにより加速するための段差の一部を形成する壁面(加速用壁面)343が形成される(図15(a)参照)。また、メダル案内溝305には、溝315と溝314との境界面(ZX平面と平行な平面)において点線Aより右側の底面325と底面324との間に、メダルが落下することにより加速するための段差の一部を形成する壁面(加速用壁面)344が形成される(図15(b)参照)。
【0136】
ここで、加速用壁面341〜344のY軸方向に対する傾斜角は、XY平面における溝311〜314の中心線CLBを含み且つX軸を法線とする平面と、加速用壁面341〜344とが交わる線分を含む第1の直線と、Y軸と平行で当該線分のZ座標の値が最大である点を通る第2の直線とのなす角であって、第1の直線と第2の直線とを含む平面を当該平面のX座標の値よりX座標の値が小さい方から見た場合に第2の直線のうちの当該線分のY座標の値が最小である点よりY座標の値が大きい半直線が当該線分のY座標の値が最小である点を中心として反時計回りに回転して第1の直線に最初に到達するまでの回転角である。ただし、XY平面における溝311〜314の中心線CLBは、Y座標の各値において、X座標の値が(溝311〜314のX座標の最小値+溝311〜314のX座標の最大値)÷2である直線である。
【0137】
加速用壁面341〜344のY軸方向に対する傾斜角は、メダル案内溝305の上記したY軸方向に対する所定の傾斜角より大きく、例えば略90度である。この加速用壁面341〜344のY軸方向に対する傾斜角は、例えば加速用壁面341〜344のY軸方向に対する傾斜角を異ならせた複数のメダル投入口25Bを作ってメダル詰まりがどの程度起こるかを試験することにより求めて設計する。加速用壁面341〜344が本発明の「第3調節部」に相当し、加速用壁面341〜344のY軸方向に対する傾斜角が本発明の「第3調節部の水平方向に対する傾斜角」に相当する。
【0138】
なお、メダル投入口25Bでは、底面321、加速用壁面341、底面322、加速用壁面342、底面323、加速用壁面343、底面324、加速用壁面344、底面325が、メダル案内溝305の下り方向に、記載順に、形成されている。
【0139】
なお、XY平面における溝311〜315の幅xB(図13参照)がメダルの直径より大きい等、溝311〜315の形状や寸法等は、メダルが衝突用壁面331〜334に衝突しながらメダル案内溝305を滑り落ちることができればよい。
【0140】
(メダルの動作)
続いて、メダル投入口25Bに投入されたメダルの動作について図16を参照して説明する。なお、図16では、メダル170の投入枚数を1枚としているが、遊技者は複数枚数のメダル170を同時に投入することが可能になっている。なお、図16ではメダルが最上段の溝311に投入される場合を例に挙げるが、メダルの投入位置は最上段の溝311である必要なない。
【0141】
メダル170が最上段の溝311に投入され(図16(a)参照)、メダル170が溝311の底面321を1段下の溝312に向かって移動し、メダル170の右側が衝突用壁面331に衝突する(図16(b)参照)。そして、メダル170は衝突用壁面331を回転軸として溝部301を当該溝部301のZ座標の値よりZ座標の値が大きい方から見た場合にメダル面の垂線方向がY軸方向から時計回りに回転するとともに衝突用壁面331を避けるように左方向(X座標の値が小さくなる方向)に動いて、底面321と加速用壁面341と底面322とで形成される段差部(図15(a)参照)を加速しながら落下する(図16(c)、および、図16(d)参照)。
【0142】
メダル面の垂線方向がY軸方向から時計回りの方向にずれたメダル170は、溝312の底面322を1段下の溝313に向かう方向に移動し、この移動に際して溝312の左方向(X座標の値が小さくなる方向)にも移動する。この底面322上での移動において、メダル170は減速する。そして、メダル170の左側が衝突用壁面332に衝突する(図16(e)参照)。なお、底面322のサイズ等によっては、メダル170は、その左側が衝突用壁面332に衝突する前に、溝312の左側の側面に衝突することがある。
【0143】
そして、メダル170は衝突用壁面332を回転軸として溝部301を当該溝部301のZ座標の値よりZ座標の値が大きい方から見た場合にメダル面の垂線方向がY軸方向から反時計回りに回転するとともに衝突用壁面332を避けるように右方向(X座標の値が大きくなる方向)に動いて、底面322と加速用壁面342と底面323とで形成される段差部(図15(b)参照)を加速しながら落下する(図16(f)、および、図16(g)、および、図16(h)参照)。
【0144】
メダル面の垂線方向がY軸方向から反時計回りの方向にずれたメダル170は、溝313の底面323を1段下の溝314に向かう方向に移動し、この移動に際して溝313の右方向(X座標の値が大きくなる方向)にも移動する。この底面323上の移動において、メダル170は減速する。そして、メダル170の右側が衝突用壁面333に衝突する。なお、底面323のサイズ等によっては、メダル170は、その右側が衝突用壁面333に衝突する前に、溝313の右側の側面に衝突することがある。
【0145】
したがって上記した第3実施形態によれば、衝突用壁面331〜334は、連続する2つの衝突用壁面では、一方の衝突用壁面が溝部301の中心線CLBから左と右のうちの一方にずれて配置され、他方の衝突用壁面が溝部301の中心線CLBから左と右のうちの他方にずれて配置されている。このため、一方の衝突用壁面によりメダル170の向きが変えられる方向と他方の衝突用壁面によりメダル170の向きが変えられる方向が下り方向に対して逆になり、メダル案内溝305に投入されたメダル170はジグザグしながら溝部301を滑り落ちていくことになる。したがって、複数枚のメダル170が同時に投入された場合に、あるメダル170の位置に次のメダル170が到達するまでに時間を要するので、複数枚のメダル170が重なった状態ではなくて間隔を空けた状態で開口部303に到達することになる。これにより、メダル詰まりを起こりにくくすることができる。
【0146】
また、衝突用壁面331と2段下の衝突用壁面333とは溝部301の中心線CLBからの距離が略等しくなっており、衝突用壁面332と2段下の衝突用壁面334とは溝部301の中心線CLBからの距離が略等しくなっている。このため、溝部301を滑り落ちていくメダル170の挙動が安定するので、メダル170がメダル案内溝305外に飛び出したり、メダル170が大きく回転したりすることを防ぐことができる。
【0147】
また、メダル170は、例えば底面322で減速した後に、加速用壁面342で加速するので、連続して滑り落ちる2枚のメダル170を効果的に引き離すことができ、これにより効果的にメダル詰まりを起こりにくくすることができる。
【0148】
また、メダル170が溝部301を滑り落ちる際に衝突する衝突用壁面331〜334を溝311〜315の形状を変えることにより簡易に形成することができる。
【0149】
また、メダル詰まりを防止するために、ローラやベルト等の部品を用いていないため、ローラやベルト等の部品にコストがかかるという問題や、それらの設置スペースが必要になるという問題がない。
【0150】
また、大量のメダル170を投入する必要のあるスロットマシンにおいて、複数枚のメダル170が同時に投入されてもメダル詰まりが起こりにくいメダル投入口25Bを備えることにより、メダル詰まりを原因とする遊技者の煩わしさを軽減することができる。
【0151】
<第4実施形態>
本発明の第4実施形態に係る遊技機の一例であるスロットマシンについて説明する。第4実施形態に係るスロットマシンは、第1実施形態で説明したスロットマシン1が備えるメダル投入口25と異なる構造のメダル投入口25Cを有する点においてスロットマシン1と異なっており、以下では、メダル投入口25Cの構造及びメダル投入口25Cに投入したメダルの動作について図17図20を参照して説明する。
【0152】
(メダル投入口の構造)
まず、メダル投入口25Cの構造について図17図19を参照して説明する。
【0153】
メダル投入口25Cは、後述する所定の傾斜角の下り勾配をもつメダル案内溝405を備える溝部401と、溝部401の下り方向端部に連接され、Z軸と略同じ方向に立設された背面板部402と、溝部401の下り方向端部と背面板部402との間に介設され、メダルが通過するZ軸方向に貫通したスリット状の開口部403(メダルが通過可能なサイズ)とを有する。
【0154】
メダル案内溝405は複数の溝411〜415を下り方向(Y軸方向)に連接するように並べることによって形成されている。なお、溝411〜415によりメダルの滑る速度を調節する速度調節部が形成される。
【0155】
ただし、第4実施形態では、溝部401は、XY平面に関して、平行四辺形をしており、溝411〜415を包含する領域である。さらに記載すると、溝部401は、XY平面に関して、(X,Y)=(溝411のX座標の最小値,溝411のY座標の最大値)である点と(X,Y)=(溝415のX座標の最小値,溝415のY座標の最大値)である点とを通る直線、(X,Y)=(X座溝411のX座標の最大値,溝411のY座標の最小値)である点と(X,Y)=(溝415のX座標の最大値,溝415のY座標の最小値)である点とを通る直線、X軸と平行で溝411のY座標の最小値を通る直線、X軸と平行で溝415のY座標の最大値を通る直線とで囲まれる領域である。また、XY平面における溝部401溝部401のX軸に関する各中心点を結ぶ中心線CLCが溝部401を鉛直上方から見た場合における溝部401の中心線に相当する。
【0156】
また、上記した所定の傾斜角は、第1の点(XY平面における溝部401の中心線CLCを含み且つXY平面と直交する平面と溝411の底面421とが交わる線分の中点)と、第2の点(溝部401の中心線CLCを含み且つXY平面と直交する平面と溝415の底面425とが交わる線分の中点)とを結ぶ第1の直線と、XY平面における溝部401の中心線CLCに一致する第2の直線とのなす角であって、第1の直線と第2の直線とを含む平面を当該平面の法線におけるX座標の値が小さい方から大きい方に見た場合に第2の直線のうちの第1の直線と第2の直線とが交わる交点よりY座標の値が大きい半直線が当該交点を中心として反時計回りに回転して第1の直線に最初に到達するまでの回転角である。なお、当該所定の傾斜角がメダル案内溝405の水平方向に対する所定の傾斜角に相当する。
【0157】
この所定の傾斜角は、メダルが立った状態でメダル案内溝405を滑り落ちることが可能な角度であり、例えば、傾斜角を異ならせた複数のメダル投入口25Cを作って試験してメダルが立った状態でメダル案内溝405を滑り落ちるような角度を求めて設計する。
【0158】
溝411は、ZX平面と平行な断面(図18(e)の断面)では、基準線LSから第1の距離zzC5まで両側に形成された直線状の側壁を有する(X軸に関する側壁間の距離は一定のxC1:xC1に関しては図17参照)とともに、直径がメダルの直径より大きい円弧状の底面421を有している。溝411は、ZX平面と平行な断面(図18(e)の断面)では、Z軸方向と平行な線(以下、「中心線」と記載する。)CLC1に対して線対称となっている。
【0159】
溝412は、ZX平面と平行な断面(図18(d)の断面)では、基準線LSから第2の距離zzC4まで両側に形成された直線状の側壁を有する(X軸に関する側壁間の距離は一定のxC1)とともに、直径がメダルの直径より大きい円弧状の底面422を有している。溝412は、ZX平面と平行な断面(図18(d)の断面)では、Z軸方向と平行な線であって、中心線CLC1よりもX座標の値が大きい線(以下、「中心線」と記載する。)CLC2に対して線対称となっている。
【0160】
溝413は、ZX平面と平行な断面(図18(c)の断面)では、基準線LSから第3の距離zzC3まで両側に形成された直線状の側壁を有する(X軸に関する側壁間の距離は一定のxC1)とともに、直径がメダルの直径より大きい円弧状の底面423を有している。溝413は、ZX平面と平行な断面(図18(c)の断面)では、Z軸方向と平行な線であって、中心線CLC2よりもX座標の値が大きい線(以下、「中心線」と記載する。)CLC3に対して線対称となっている。
【0161】
溝414は、ZX平面と平行な断面(図18(b)の断面)では、基準線LSから第4の距離zzC2まで両側に形成された直線状の側壁を有する(X軸に関する側壁間の距離は一定のxC1)とともに、直径がメダルの直径より大きい円弧状の底面424を有している。溝414は、ZX平面と平行な断面(図18(b)の断面)では、Z軸方向と平行な線であって、中心線CLC3よりもX座標の値が大きい線(以下、「中心線」と記載する。)CLC4に対して線対称となっている。
【0162】
溝415は、ZX平面と平行な断面(図18(a)の断面)では、基準線LSから第5の距離zzC1まで両側に形成された直線状の側壁を有する(X軸に関する側壁間の距離は一定のxC1)とともに、直径がメダルの直径より大きい円弧状の底面425を有している。溝415は、ZX平面と平行な断面(図18(a)の断面)では、Z軸方向と平行な線であって、中心線CLC4よりもX座標の値が大きい線(以下、「中心線」と記載する。)CLC5に対して線対称となっている。
【0163】
なお、第5の距離zzC1、第4の距離zzC2、第3の距離zzC3、第2の距離zzC4、第1の距離zzC5は、その記載順に、大きくなっている(zzC1>zzC2>zzC3>zzC4>zzC5)。また、基準線SLから溝415の最深部までの距離zC1、基準線SLから溝414の最深部までの距離zC2、基準線SLから溝413の最深部までの距離zC3、基準線SLから溝412の最深部までの距離zC4、基準線SLから溝411の最深部までの距離zC5は、その記載順に、大きくなっている(zC1>zC2>zC3>zC4>zC5)。
【0164】
なお、溝411〜415それぞれは、ZX平面と平行な平面において、メダル案内溝405の一端側から他端側にかけて形成されている。
【0165】
ここで、底面421〜425の傾斜角は、XY平面における溝部401の中心線CLCを含み且つXY平面と直交する平面と、溝411〜415の底面421〜425とが交わる線分を含む第1の直線と、XY平面における溝部401の中心線CLCと平行で当該線分のY座標の最小値を通る第2の直線とのなす角であって、第1の直線と第2の直線とを含む平面を当該平面の法線におけるX座標の値が小さい方から大きい方に見た場合に第2の直線のうちの当該線分のY座標の最小値である点よりY座標の値が大きい半直線が当該点を中心として反時計回りに回転して第1の直線に最初に到達するまでの回転角である。
【0166】
底面421〜425の上記の傾斜角は、メダル案内溝405の上記した所定の傾斜角より小さく、メダル案内溝405に投入されたメダルが立った状態で止まることなくメダル案内溝405を滑り落ちることができる角度であり、例えば略0度である。この底面421〜425の上記の傾斜角は、例えば底面421〜425の上記の傾斜角を異ならせた複数のメダル投入口25Cを作ってメダル詰まりがどの程度起こるかを試験することにより求めて設計する。なお、底面421〜425がメダルの下り方向に滑る速度を調節する第2調節部として作用し、底面421〜425の上記の傾斜角が第2調節部の水平方向に対する傾斜角に相当し、底面421〜425の中心線CLC1〜CLC5が略鉛直方向の線に相当する。
【0167】
溝411〜415のX軸方向の幅は全てxC1であり(図17参照)、XY平面、ZX平面では、X軸に関して、溝411が溝412に対して、溝412が溝413に対して、溝413が溝414に対して、溝414が溝415に対して、X座標の値が小さくなる側(左側)にずれるように(図17図18参照)、溝411〜415が形成されている。このように溝411〜415が形成されることにより、図17図18に示すように、溝411,412,413,414それぞれのXY平面、ZX平面における左側(X座標の値が小さい)の端が、溝412,413,414,415それぞれのXY平面、ZX平面における左側の端よりも、左側(X座標の値が小さい方)に存在する。
【0168】
これにより、メダル案内溝405には、溝411と溝412との境界面(ZX平面と平行な面)において溝411の左側(X座標の小さい方)の端部から右側(X座標の大きい方)の端部までのうちの左側に、メダルがメダル案内溝405を滑り落ちる際に衝突する壁面(以下、「衝突用壁面」と記載する。)431が形成される(図17図18(e)参照)。また、メダル案内溝405には、溝412と溝413との境界面(ZX平面と平行な面)において溝412の左側の端部から右側の端部までのうちの左側に、メダルがメダル案内溝405を滑り落ちる際に衝突する壁面(衝突用壁面)432が形成される(図17図18(d)参照)。また、メダル案内溝405には、溝413と溝414との境界面(ZX平面と平行な面)において溝413の左側の端部から右側の端部までのうちの左側に、メダルがメダル案内溝405を滑り落ちる際に衝突する壁面(衝突用壁面)433が形成される(図17図18(c)参照)。また、メダル案内溝405には、溝414と溝415との境界面(ZX平面と平行な面)において溝414の左側の端部から右側の端部までのうちの左側に、メダルがメダル案内溝405を滑り落ちる際に衝突する壁面(衝突用壁面)434が形成される(図17図18(b)参照)。衝突用壁面431〜434は、溝411〜415の形成位置の差異を基に形成される。なお、衝突用壁面431〜434がメダルの下り方向の速度を調節する第1調節部として作用する。
【0169】
溝411の底面421、溝412の底面422、溝413の底面423、溝414の底面424、溝415の底面425は、その記載順に、Z座標の値が小さくなる(Z軸において低くなる)ように、形成されている(図17図18参照)。
【0170】
これにより、メダル案内溝405には、溝412と溝411との境界面(ZX平面と平行な面)において溝412の底面422と溝411の底面421との間に、メダルが落下することにより加速するための段差の一部を形成する壁面(以下、「加速用壁面」と記載する。)441が形成される(図19参照)。また、メダル案内溝405には、溝413と溝412との境界面(ZX平面と平行な面)において溝413の底面423と溝412の底面422との間に、メダルが落下することにより加速するための段差の一部を形成する壁面(加速用壁面)442が形成される(図19参照)。また、メダル案内溝405には、溝414と溝413との境界面(ZX平面と平行な面)において溝414の底面424と溝413の底面423との間に、メダルが落下することにより加速するための段差の一部を形成する壁面(加速用壁面)443が形成される(図19参照)。また、メダル案内溝405には、溝415と溝414との境界面(ZX平面と平行な面)において溝415の底面425と溝414の底面424との間に、メダルが落下することにより加速するための段差の一部を形成する壁面(加速用壁面)444が形成される(図19参照)。
【0171】
ここで、加速用壁面441〜444の傾斜角は、XY平面における溝部401の中心線CLCを含み且つXY平面と直交する平面と、加速用壁面441〜444とが交わる線分を含む第1の直線と、XY平面における溝部401の中心線CLCと平行で当該線分のZ座標の最大値を通る第2の直線とのなす角であって、第1の直線と第2の直線とを含む平面を当該平面の法線におけるX座標の値が小さい方から大きい方に見た場合に第2の直線のうちの当該線分のY座標の最小値である点よりY座標の値が大きい半直線が当該点を中心として反時計回りに回転して第1の直線に最初に到達するまでの回転角である。
【0172】
加速用壁面441〜444の上記の傾斜角は、メダル案内溝405の上記した所定の傾斜角より大きく、例えば略90度である。この加速用壁面441〜444の上記の傾斜角は、例えば加速用壁面441〜444の上記の傾斜角を異ならせた複数のメダル投入口25Cを作ってメダル詰まりがどの程度起こるかを試験することにより求めて設計する。加速用壁面441〜444がメダルの下り方向に滑り落ちる速度を調節する第3調節部として作用し、加速用壁面441〜444の上記の傾斜角が第3調節部の水平方向に対する傾斜角に相当する。
【0173】
なお、メダル投入口25Cでは、底面421、加速用壁面441、底面422、加速用壁面442、底面423、加速用壁面443、底面424、加速用壁面444、底面425が、メダル案内溝405の下り方向に、その記載順に、形成されている。
【0174】
上述した溝部401では、XY平面における溝411〜415のX軸方向の幅xC1(図17参照)がメダルの直径より大きく、XY平面における溝412,413,414,415のX座標が最小値である箇所と、溝411,412,413,414のX座標が最大値である箇所との間のX軸方向の距離xC2(図17参照)がメダルの直径より小さい等、溝411〜415の形状や寸法や形成位置等は、メダルが衝突用壁面431〜434に衝突しながらメダル案内溝405を滑り落ちることができればよい。
【0175】
(メダルの動作)
続いて、メダル投入口25Cに投入されたメダルの動作について図20を参照して説明する。なお、図20では、メダル170の投入枚数を1枚としているが、遊技者は複数枚数のメダル170を同時に投入することが可能になっている。なお、図20ではメダル170が最上段の溝411に投入される場合を例に挙げるが、メダル170の投入位置は最上段の溝411である必要なない。
【0176】
メダル170が最上段の溝411に投入され(図20(a)参照)、メダル170が溝411の底面421を1段下の溝412に向かって移動し、メダル170の左側が衝突用壁面431に衝突する(図20(b)参照)。そして、メダル170は衝突用壁面431を回転軸として溝部401を当該溝部401のZ座標の値よりZ座標の値が大きい方から見た場合にメダル面の垂線方向がY軸方向から反時計回りに回転するとともに衝突用壁面431を避けるように右方向(X座標の値が大きくなる方向)に動いて、底面421と加速用壁面441と底面422とで形成される段差部(図19参照)を加速しながら落下する(図20(c)、および、図20(d)参照)。メダル面の垂線方向がY軸方向から反時計回りの方向にずれたメダル170は、溝412の底面422を1段下の溝413に向かう方向に移動し、この移動に際して溝412の右方向(X座標の値が大きくなる方向)にも移動する。
【0177】
したがって上記した第4実施形態によれば、メダル170は衝突用壁面431〜434に衝突しては減速しながら、メダル案内溝405を滑り落ちていくことになるので、複数枚のメダル170が同時に投入された場合に、あるメダル170の位置に次のメダル170が到達するまでに時間を要するので、複数枚のメダル170が重なった状態ではなくて間隔を空けた状態で開口部403に到達することになる。これにより、メダル詰まりを起こりにくくすることができる。
【0178】
また、メダル170は、例えば底面422で減速した後に、加速用壁面442で加速するので、連続して滑り落ちる2枚のメダル170を効果的に引き離すことができ、これにより効果的にメダル詰まりを起こりにくくすることができる。
【0179】
また、底面421〜425それぞれを中心線CLC1〜CLC5に対して線対称に構成することにより、溝部401を滑り落ちていくメダル170の挙動が安定するので、メダル170がメダル案内溝405外に飛び出したり、メダル170が大きく回転したりすることを防ぐことができる。
【0180】
また、メダル170が溝部401を滑り落ちる際に衝突する衝突用壁面431〜434を溝411〜415の形成位置を変えることにより簡易に形成することができる。
【0181】
また、メダル詰まりを防止するために、ローラやベルト等の部品を用いていないため、ローラやベルト等の部品にコストがかかるという問題や、それらの設置スペースが必要になるという問題がない。
【0182】
また、大量のメダル170を投入する必要のあるスロットマシンにおいて、複数枚のメダル170が同時に投入されてもメダル詰まりが起こりにくいメダル投入口25Cを備えることにより、メダル詰まりを原因とする遊技者の煩わしさを軽減することができる。
【0183】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、上記したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。
【0184】
例えば、上記した第1、第3、第4実施形態ではメダル投入口25,25B,25Cは5段の溝111〜115,311〜315,411〜415を備えるようにしているが、これに限定されるものではなく、例えば4段の溝や6段以上の溝を備えるようにしてもよい。
【0185】
また、上記した第2実施形態ではメダル投入口25Aは4段の突起部231〜234を備えるようにしているが、これに限定されるものではなく、例えば3段の突起部や5段以上の突起部を備えるようにしてもよい。
【0186】
また、上記した第1実施形態では、XY平面において衝突用壁面131,133,135が中心線CLより右側にあり、衝突用壁面132,134が中心線CLより左側にあるとして説明したが、これに限定されるものではなく、衝突用壁面131,132,135が中心線CLより右側にあり、衝突用壁面133,134が中心線CLより左側にあるなど、連続する1以上の衝突用壁面が中心線CLより右側にあり、次の連続する1以上の衝突用壁面が中心線CLより左側にあり、次の連続する1以上の衝突用壁面が中心線CLより右側にあるなどであってもよい。上記した第3実施形態においても同様である。
【0187】
また、上記した第2実施形態では、XY平面において突起部231,233が中心線CLより右側にあり、突起部232,234が中心線CLより左側にあるとして説明したが、これに限定されるものではなく、突起部231,232,234が中心線CLAより右側にあり、突起部233が中心線CLAより左側にあるなど、連続する1以上の突起部が中心線CLAより右側にあり、次の連続する1以上の突起部が中心線CLAより左側にあり、次の連続する1以上の突起部が中心線CLAより右側にあるなどであってもよい。
【0188】
また、上記した第1、第3、第4実施形態では、衝突用壁面131〜134,331〜334,431〜433が溝と溝との境界に設けられているが、これに限定されるものではなく、例えばメダルが衝突する突起部を溝の底面に設けたりするなどしてもよい。
【0189】
また、上記した第1、第3、第4実施形態では、溝113,213,215などの一つの溝に対して一つの衝突用壁面が形成されるようになっているが、これに限定されるものではなく、一つの溝に対して二つ以上の衝突用壁面が形成されるようにしてもよい。
【0190】
また、上記した第1〜第4実施形態では、スロットマシンを対象として説明したが、これに限定されるものではなく、上記したメダル投入口25,25A〜25Cはパチンコ機などの他の遊技機にも適用することができる。また、ゲーム機、自動販売機、自動券売機などの複数枚のコインを同時投入可能な各種機器が備えるコイン投入口が上記したメダル投入口25,25A〜25Cや変形例のメダル投入口と同様の構造を備えるとしてもよい。
【0191】
また、上記実施形態や上記変形例等の内容を適宜組み合わせることができる。
【0192】
本発明は、複数枚のメダルまたはコインを同時投入可能な投入装置および複数枚のメダルが同時投入可能な当該投入装置を備える遊技機に関する。
【符号の説明】
【0193】
1…スロットマシン
25,25A,25B,25C…メダル投入口
101,201,301,401…溝部
102,202,302,402…背面板部
103,203,303,403…開口部
105,205,305,405…メダル案内溝
111〜115,211,311〜315,411〜415…溝
121〜125,221,321〜325,421〜425…底面
131〜134,331〜334,431〜434…衝突用壁面
141〜144,341〜344,441〜444…加速用壁面
231〜234…突起部
170…メダル
【要約】
【課題】複数枚のメダルまたはコインが同時に投入されてもメダルまたはコイン詰まりが開口部で起こりにくくする
【解決手段】下り勾配をもつメダル案内溝105を備える溝部101と、溝部101の下り方向端部に連接された背面板部102と、溝部101の下り方向端部と背面板部102との間に介設された開口部103とを有するメダル投入口25であって、溝部101はメダル案内溝105にメダルの滑る速度を調節する溝111〜115を下り方向に複数段有し、溝111〜115を基に衝突用壁面131〜134が形成され、衝突用壁面131〜134は、溝部101の中心線CLから左又は右にずれた位置に設置され、連続する2つの衝突用壁面では、一方が溝部101の中心線CLから左と右のうちの一方にずれて配置され、他方が溝部101の中心線CLから左と右のうちの他方にずれて配置されている。
【選択図】図4
図1
図2
図3
図4
図5
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図20