(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
(a)導電性を有するチップ搭載部上に、絶縁性を有する第1接合材を介して第1半導体チップを搭載し、導電性を有する第2接合材を介して第2半導体チップを搭載する工程、
(b)前記第1半導体チップ、前記第2半導体チップ、および前記チップ搭載部の少なくとも一部を封止する封止体を形成する工程、
を有し、
前記(a)工程では、前記第1半導体チップと前記第2半導体チップとは、前記チップ搭載部上に並んで配置され、
前記第2半導体チップは、パワートランジスタを含み、
前記第1半導体チップは、前記第2半導体チップを制御し、
前記第2半導体チップは、裏面電極を有し、前記第2半導体チップの前記裏面電極が、前記第2接合材を介して前記チップ搭載部と電気的に接続され、
前記第1接合材は、絶縁性ペースト型接合材であり、
前記第2接合材は、導電性ペースト型接合材であり、
前記第1半導体チップの第1側面と第2側面とが交差して形成される第1の辺における、前記第1接合材で覆われた部分の第1の長さは、前記第2半導体チップの第3側面と第4側面とが交差して形成される第2の辺における、前記第2接合材で覆われた部分の第2の長さよりも大きい、半導体装置の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0012】
以下、実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態では、特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
【0013】
また、実施の形態で用いる図面においては、断面図であっても図面を見易くするためにハッチングを省略する場合もある。また、平面図であっても図面を見易くするためにハッチングを付す場合もある。
【0014】
(実施の形態1)
本発明の一実施の形態の半導体装置を図面を参照して説明する。
【0015】
<半導体装置(半導体パッケージ)の構造について>
図1は、本発明の一実施の形態である半導体装置PKGの上面図であり、
図2〜
図4は、半導体装置PKGの平面透視図であり、
図5は、半導体装置PKGの下面図(裏面図)であり、
図6〜
図8は、半導体装置PKGの断面図である。
図2には、封止部MRを透視したときの半導体装置PKGの上面側の平面透視図が示されている。また、
図3は、
図2において、更にワイヤBWを透視(省略)したときの半導体装置PKGの上面側の平面透視図が示されている。また、
図4は、
図3において、更に半導体チップCP1,CP2を透視(省略)したときの半導体装置PKGの上面側の平面透視図が示されている。なお、
図1〜
図4では、半導体装置PKGの向きは同じである。また、
図2〜
図4では、封止部MRの外周の位置を点線で示してある。また、
図1、
図2および
図5のA−A線の位置での半導体装置PKGの断面が、
図6にほぼ対応し、
図1、
図2および
図5のB−B線の位置での半導体装置PKGの断面が、
図7にほぼ対応し、
図1、
図2および
図5のC−C線の位置での半導体装置PKGの断面が、
図8にほぼ対応している。また、
図9は、
図2の一部を拡大した部分拡大平面透視図である。
【0016】
図1〜
図9に示される本実施の形態の半導体装置(半導体パッケージ)PKGは、樹脂封止型の半導体パッケージ形態の半導体装置であり、ここではQFP(Quad Flat Package)形態の半導体装置である。以下、
図1〜
図9を参照しながら、半導体装置PKGの構成について説明する。
【0017】
図1〜
図9に示される本実施の形態の半導体装置PKGは、半導体チップCP1,CP2と、半導体チップCP1,CP2を搭載するダイパッドDPと、導電体によって形成された複数のリードLDと、半導体チップCP1,CP2の複数のパッド電極P1,P2と複数のリードLDとを電気的に接続する複数のワイヤBWと、これらを封止する封止部MRとを有している。
【0018】
封止体としての封止部(封止樹脂部、封止体)MRは、例えば熱硬化性樹脂材料などの樹脂材料などからなり、フィラーなどを含むこともできる。例えば、フィラーを含むエポキシ樹脂などを用いて封止部MRを形成することができる。エポキシ系の樹脂以外にも、低応力化を図る等の理由から、例えばフェノール系硬化剤、シリコーンゴムおよびフィラー等が添加されたビフェニール系の熱硬化性樹脂を、封止部MRの材料として用いても良い。
【0019】
封止部MRは、一方の主面である上面(表面)MRaと、上面MRaの反対側の主面である下面(裏面、底面)MRbと、上面MRaおよび下面MRbに交差する側面MRc1,MRc2,MRc3,MRc4と、を有している(
図1および
図5〜
図8参照)。すなわち、封止部MRの外観は、上面MRa、下面MRbおよび側面MRc1,MRc2,MRc3,MRc4で囲まれた薄板状とされている。なお、平面視において、封止部MRの各側面MRc1,MRc2,MRc3,MRc4は、封止部MRの辺とみなすこともできる。
【0020】
封止部MRの上面MRaおよび下面MRbの平面形状は、例えば矩形状に形成されており、この矩形(平面矩形)の角に丸みを帯びさせることもできる。また、この矩形(平面矩形)の4つの角のうち、任意の角を落とすこともできる。封止部MRの上面MRaおよび下面MRbの平面形状を矩形とした場合には、封止部MRは、その厚さと交差する平面形状(外形形状)が矩形(四角形)となる。封止部MRの側面MRc1,MRc2,MRc3,MRc4のうち、側面MRc1と側面MRc3とが互いに対向し、側面MRc2と側面MRc4とが互いに対向し、側面MRc1と側面MRc2,MRc4とが互いに交差し、側面MRc3と側面MRc2,MRc4とが互いに交差している。
【0021】
複数のリード(リード部)LDは、導電体で構成されており、好ましくは銅(Cu)または銅合金などの金属材料からなる。複数のリードLDのそれぞれは、一部が封止部MR内に封止され、他の一部が封止部MRの側面から封止部MRの外部に突出している。以下では、リードLDのうちの封止部MR内に位置する部分をインナリード部と呼び、リードLDのうちの封止部MR外に位置する部分をアウタリード部と呼ぶものとする。
【0022】
なお、本実施の形態の半導体装置PKGは、各リードLDの一部(アウタリード部)が封止部MRの側面から突出した構造であり、以下ではこの構造に基づいて説明するが、この構造に限定されるものではなく、例えば、封止部MRの側面から各リードLDがほとんど突出せず、かつ封止部MRの下面MRbで各リードLDの一部が露出した構成(QFN型の構成)などを採用することもできる。
【0023】
複数のリードLDは、封止部MRの側面MRc1側に配置された複数のリードLDと、封止部MRの側面MRc2側に配置された複数のリードLDと、封止部MRの側面MRc3側に配置された複数のリードLDと、封止部MRの側面MRc4側に配置された複数のリードLDとで構成されている。
【0024】
封止部MRの側面MRc1側に配置された複数のリードLDの各アウタリード部は、封止部MRの側面MRc1から封止部MR外に突出している。また、封止部MRの側面MRc2側に配置された複数のリードLDの各アウタリード部は、封止部MRの側面MRc2から封止部MR外に突出している。また、封止部MRの側面MRc3側に配置された複数のリードLDの各アウタリード部は、封止部MRの側面MRc3から封止部MR外に突出している。また、封止部MRの側面MRc4側に配置された複数のリードLDの各アウタリード部は、封止部MRの側面MRc4から封止部MR外に突出している。
【0025】
各リードLDのアウタリード部は、アウタリード部の端部近傍の下面が封止部MRの下面MRbとほぼ同一平面上に位置するように、折り曲げ加工されている。リードLDのアウタリード部は、半導体装置PKGの外部接続用端子部(外部端子)として機能する。
【0026】
ダイパッド(チップ搭載部、タブ)DPは、半導体チップCP1および半導体チップCP2を搭載するチップ搭載部である。ダイパッドDPの平面形状は、例えば矩形状に形成されている。半導体チップCP1と半導体チップCP2とは、ダイパッドDP上に並んで配置され、封止部MRは、ダイパッドDPの一部を封止し、複数のリードLDは、ダイパッドDPの周囲に配置されている。
【0027】
ダイパッドDPは、側面MRc1側の辺(側面)DP1と、側面MRc2側の辺(側面)DP2と、側面MRc3側の辺(側面)DP3と、側面MRc4側の辺(側面)DP4と、を有している(
図1、
図3および
図4参照)。ダイパッドDPの辺(側面)DP1は、封止部MRの側面MRc1に沿った辺(側面)であり、ダイパッドDPの辺(側面)DP2は、封止部MRの側面MRc2に沿った辺(側面)であり、ダイパッドDPの辺(側面)DP3は、封止部MRの側面MRc3に沿った辺(側面)であり、ダイパッドDPの辺(側面)DP4は、封止部MRの側面MRc4に沿った辺(側面)である。
【0028】
封止部MRの側面MRc1側に配置された複数のリードLDは、ダイパッドDPの辺DP1に沿って配置(配列)され、封止部MRの側面MRc2側に配置された複数のリードLDは、ダイパッドDPの辺DP2に沿って配置(配列)されている。また、封止部MRの側面MRc3側に配置された複数のリードLDは、ダイパッドDPの辺DP3に沿って配置(配列)され、封止部MRの側面MRc4側に配置された複数のリードLDは、ダイパッドDPの辺DP4に沿って配置(配列)されている。
【0029】
すなわち、ダイパッドDPの辺DP1と封止部MRの側面MRc1との間に、封止部MRの側面MRc1に沿って、複数のリードLD(のインナリード部)が配置(配列)され、ダイパッドDPの辺DP2と封止部MRの側面MRc2との間に、封止部MRの側面MRc2に沿って、複数のリードLD(のインナリード部)が配置(配列)されている。また、ダイパッドDPの辺DP3と封止部MRの側面MRc3との間に、封止部MRの側面MRc3に沿って、複数のリードLD(のインナリード部)が配置(配列)され、ダイパッドDPの辺DP4と封止部MRの側面MRc4との間に、封止部MRの側面MRc4に沿って、複数のリードLD(のインナリード部)が配置(配列)されている。
【0030】
封止部MRの下面MRbでは、ダイパッドDPの下面(裏面)が露出されている。封止部MRの上面MRaでは、ダイパッドDPは露出されていない。
【0031】
ダイパッドDPは導電体で構成されており、好ましくは銅(Cu)または銅合金などの金属材料からなる。半導体装置PKGを構成するダイパッドDPおよび複数のリードLDが同じ材料(同じ金属材料)で形成されていれば、より好ましい。これにより、ダイパッドDPおよび複数のリードLDが連結されたリードフレームを作製しやすくなり、リードフレームを用いた半導体装置PKGの製造が容易になる。
【0032】
ダイパッドDPの平面形状を構成する矩形の四隅には、それぞれ吊りリードTLが一体的に形成されている。各吊りリードTLは、ダイパッドDPと同じ材料によりダイパッドDPと一体的に形成されている。ダイパッドDPの外縁の四隅のそれぞれに、吊りリードTLが一体的に形成され、各吊りリードTLのダイパッドDPに接続されている側とは反対側の端部が平面矩形状の封止部MRの四隅(角部)側面に達するまで、封止部MR内を延在している。吊りリードTLは、封止部MRの形成後に封止部MRから突出する部分が切断されており、吊りリードTLの切断により生じた切断面(端面)が封止部MRの四隅側面で露出している。
【0033】
ダイパッドDPの上面(主面)上には、半導体チップCP1が、その表面(主面、上面)を上に向け、かつ、その裏面(下面)をダイパッドDPに向けた状態で搭載されている(
図2、
図3、
図6、
図7および
図9参照)。また、ダイパッドDPの上面(主面)上には、半導体チップCP2が、その表面(主面、上面)を上に向け、かつ、その裏面(下面)をダイパッドDPに向けた状態で搭載されている(
図2、
図3、
図6、
図8および
図9参照)。ダイパッドDPの上面において、半導体チップCP1が搭載された領域と半導体チップCP2が搭載された領域とは、互いに離間しており、従って、半導体チップCP1と半導体チップCP2とは、平面視において、互いに離間している。
【0034】
すなわち、半導体チップCP1と半導体チップCP2とは、ダイパッドDPの上面上に並んで配置されている。つまり、半導体チップCP1と半導体チップCP2とは、互いに積み重ねられてはおらず、ダイパッドDPの上面上に互いに離間して並んで配置されている。ダイパッドDPの平面寸法(平面積)は、半導体チップCP1,CP2の各平面寸法(平面積)よりも大きく、平面視において、半導体チップCP1および半導体チップCP2は、ダイパッドDPの上面に内包されているが、半導体チップCP1と半導体チップCP2とは重なってはいない。
【0035】
半導体チップCP1の裏面は、接合材(接合材層、接着層)BD1を介してダイパッドDPの上面に接着(接合)されて固定され、半導体チップCP2の裏面は、接合材(接合材層、接着層)BD2を介してダイパッドDPの上面に接着(接合)されて固定されている(
図6〜
図8参照)。半導体チップCP1,CP2は、封止部MR内に封止されており、封止部MRから露出されない。
【0036】
半導体チップCP1は、その裏面(ダイパッドDPに接着される側の主面)に裏面電極BEが形成されている(
図6および
図7参照)。このため、半導体チップCP1を接着するための接合材BD1は導電性を有しており、この導電性の接合材BD1を介して、半導体チップCP1の裏面電極BEがダイパッドDPに接合されて固定されるとともに、電気的に接続されている。このため、ダイパッドDPから導電性の接合材BD1を介して半導体チップCP1の裏面電極BEに、所望の電位を供給することができる。半導体チップCP1の裏面電極BEは、半導体チップCP1内に形成されたパワーMOSFET(後述のパワーMOSFETQ1に対応)のドレインに電気的に接続されている。接合材BD1としては、例えば銀(Ag)ペーストなどの導電性ペースト型の接合材(接着材)を好適に用いることができる。また、接合材BD1用の導電性ペースト型接合材としては、熱硬化型の接合材を好適に用いることができるが、製造された半導体装置PKGにおいては、接合材BD1は既に硬化している。
【0037】
ダイパッドDPの上面のうち、半導体チップCP1が搭載されている領域には、銀(Ag)メッキ層GMが形成されている。銀メッキ層GMは、ダイパッドDPの上面の一部に形成されており、平面視において、半導体チップCP1は、銀メッキ層GMに内包されている。半導体チップCP1は、ダイパッドDPの上面の銀メッキ層GM上に、導電性の接合材BD1を介して搭載されて接合されている。すなわち、半導体チップCP1の裏面電極BEが、導電性の接合材BD1を介して、ダイパッドDPの上面の銀メッキ層GMに接合されて固定されるとともに、電気的に接続されている。従って、半導体チップCP1の裏面電極BEは、導電性の接合材BD1と銀メッキ層GMを介して、ダイパッドDPに電気的に接続されていることになる。
【0038】
銀メッキ層GMは、省略することも可能であり、銀メッキ層GMを設けなかった場合は、銅(Cu)または銅(Cu)合金などからなるダイパッドDP上に、接合材BD1を介して半導体チップCP1が搭載されることになる。しかしながら、ダイパッドDPの上面の一部に銀メッキ層GMを設けて、その銀メッキ層GM上に接合材BD1を介して半導体チップCP1を搭載することが、より好ましい。銅(Cu)または銅(Cu)合金などからなるダイパッドDPの上面に酸化物層が形成され、その酸化物層が形成された領域上に半導体チップCP1が接合材BD1を介して搭載されると、半導体チップCP1の裏面電極BEとダイパッドDPとの間を電気的に接続できても、その間の接続抵抗が高くなる虞がある。それに対して、銀メッキ層GMの表面はダイパッドDPの表面に比べて酸化されにくいため、ダイパッドDPの上面に銀メッキ層GMを設けて、その銀メッキ層GM上に接合材BD1を介して半導体チップCP1を搭載すれば、半導体チップCP1の裏面電極BEとダイパッドDPとの間を、低抵抗で的確に電気的に接続することができるようになる。
【0039】
一方、半導体チップCP2の裏面には裏面電極は形成されていない(
図6および
図8参照)。半導体チップCP2を接着するための接合材BD2は、導電性を有しておらず、絶縁性を有している。すなわち、接合材BD2は、絶縁性の接合材からなる。これにより、ダイパッドDPと半導体チップCP2とは、絶縁性の接合材BD2を介して絶縁され、ダイパッドDPから導電性の接合材BD1を介して半導体チップCP1の裏面電極BEに供給する電位は、半導体チップCP2の裏面には供給されなくなる。接合材BD2としては、絶縁性ペースト型の接合材(接着材)を好適に用いることができる。また、接合材BD2用の絶縁性ペースト型接合材としては、熱硬化型の接合材を好適に用いることができるが、製造された半導体装置PKGにおいては、接合材BD2は既に硬化している。
【0040】
また、ダイパッドDPの上面のうち、半導体チップCP2が搭載されている領域には、銀メッキ層GMは形成されていない。このため、半導体チップCP2は、銀メッキ層GMが形成されていない領域のダイパッドDPの上面上に、絶縁性の接合材BD2を介して搭載されて接合されている。
【0041】
ダイパッドDPの上面において、半導体チップCP2を搭載する領域にも銀メッキ層GMのような銀メッキ層を設けて、その銀メッキ層上に接合材BD2を介して半導体チップCP2を搭載することも可能である。しかしながら、ダイパッドDPの上面において、半導体チップCP2を搭載する領域には銀メッキ層GMのような銀メッキ層は設けずに、銀メッキ層が形成されていない領域のダイパッドDPの上面上に接合材BD2を介して半導体チップCP2を搭載することが、より好ましい。すなわち、銅または銅合金からなるダイパッドDPの露出面上に接合材BD2を介して半導体チップCP2を搭載することが、より好ましい。なぜなら、銀メッキ層GMと封止部MRとの密着性(密着強度)よりも、封止部MRとダイパッドDPとの密着性(密着強度)の方が、高いからである。ダイパッドDPと電気的に接続する必要が無い半導体チップCP2については、その搭載領域に銀メッキ層GMを設けないことで、封止部MRとダイパッドDPとの高い密着性を確保することができる。一方、ダイパッドDPと電気的に接続する必要がある半導体チップCP1については、その搭載領域に銀メッキ層GMを設けることで、半導体チップCP1の裏面電極BEとダイパッドDPとの間の電気的接続の信頼性を向上させることができる。
【0042】
ダイパッドDPは、半導体チップCP1で発生した熱を放散するためのヒートシンクとしての機能も有することができる。半導体チップCP1で発生した熱は、接合材BD1を介してダイパッドDPに伝導され、封止部MRから露出されるダイパッドDPの下面(裏面)から、半導体装置PKGの外部に放散することができる。半導体チップCP1とダイパッドDPとの間に介在する接合材BD1は、導電性を有しているため、半導体チップCP2とダイパッドDPとの間に介在する絶縁性の接合材BD2に比べて、熱伝導率が高くなる。半導体チップCP1とダイパッドDPとの間に介在する接合材BD1の熱伝導率が高いことは、半導体チップCP1で発生した熱を、接合材BD1およびダイパッドDPを介して半導体装置PKGの外部に放散させる上では、有利に作用する。
【0043】
一方、半導体チップCP2の発熱量は、半導体チップCP1の発熱量よりも小さい。これは、後述のように、半導体チップCP1は大電流が流れるパワートランジスタを内蔵しているのに対して、半導体チップCP2は、そのようなパワートランジスタを内蔵しておらず、半導体チップCP1に流れる電流に比べて、半導体チップCP2に流れる電流が小さいためである。このため、半導体チップCP2とダイパッドDPとの間に介在する接合材BD2が、絶縁性を有することで熱伝導率が低くなったとしても、半導体チップCP2の発熱に関連した問題は生じにくい。
【0044】
半導体チップCP1,CP2は、例えば、単結晶シリコンなどからなる半導体基板(半導体ウエハ)の主面に種々の半導体素子または半導体集積回路を形成した後、ダイシングなどにより半導体基板を各半導体チップに分離して製造したものである。半導体チップCP1,CP2は、その厚さと交差する平面形状が矩形(四角形)である。
【0045】
半導体チップCP1は、IPD(Intelligent Power Device)チップである。このため、詳細は後述するが、半導体チップCP1は、パワートランジスタ(後述のパワーMOSFETQ1に対応)と、そのパワートランジスタを制御する制御回路(後述の制御回路CLCに対応)とを有している。半導体チップCP2は、マイコンチップである。このため、半導体チップCP2は、半導体チップCP1(特に半導体チップCP1の制御回路CLC)を制御する回路を有しており、例えば演算回路(CPU)やメモリ回路などを有している。半導体チップCP2は、半導体チップCP1を制御する制御用チップ(制御用の半導体チップ)として用いることができる。すなわち、半導体チップCP2は、半導体チップCP1を制御するための半導体チップである。
【0046】
半導体チップCP1は半導体チップCP2よりも平面積が大きいが、この平面積の違いは、以下の理由からである。すなわち、半導体チップCP2は、半導体装置PKG全体の寸法を考慮して、できるだけ外形サイズを小さくしたい。これに対し、半導体チップCP1は、パワートランジスタが形成されているが、このパワートランジスタでは、トランジスタ内に生じるオン抵抗をできるだけ低減したい。オン抵抗の低減は、パワートランジスタを構成する複数の単位トランジスタセルのチャネル幅を広げることで実現できる。このため、半導体チップCP1の外形サイズは、半導体チップCP2の外形サイズよりも大きくなっている。
【0047】
半導体チップCP1の表面(主面、上面)には、複数のパッド電極(パッド、ボンディングパッド、端子)P1が形成されている(
図2、
図3、
図6、
図7および
図9参照)。また、半導体チップCP2の表面(主面、上面)には、複数のパッド電極(パッド、ボンディングパッド、端子)P2が形成されている(
図2、
図3、
図6、
図8および
図9参照)。なお、以下では、「パッド電極」を単に「パッド」と称する場合もある。
【0048】
ここで、半導体チップCP1において、互いに反対側に位置する2つの主面のうち、複数のパッド電極P1が形成されている側の主面を半導体チップCP1の表面と呼び、この表面とは反対側でかつダイパッドDPに対向する側の主面を半導体チップCP1の裏面と呼ぶものとする。同様に、半導体チップCP2において、互いに反対側に位置する2つの主面のうち、複数のパッド電極P2が形成されている側の主面を半導体チップCP2の表面と呼び、この表面とは反対側でかつダイパッドDPに対向する側の主面を半導体チップCP2の裏面と呼ぶものとする。
【0049】
半導体チップCP1の表面は、矩形状の平面形状を有している(
図3および
図9参照)。このため、半導体チップCP1は、半導体チップCP1の表面と半導体チップCP1の裏面とを連結する4つの側面SM1,SM2,SM3,SM4を有している。すなわち、半導体チップCP1は、一方の主面である表面と、表面とは反対側の主面である裏面と、表面および裏面に交差する側面SM1,SM2,SM3,SM4と、を有している。ここで、半導体チップCP1において、側面SM1と側面SM3とは互いに反対側に位置し、側面SM2と側面SM4とは互いに反対側に位置し、側面SM1と側面SM3とは互いに平行で、側面SM2と側面SM4とは互いに平行で、側面SM1は側面SM2,SM4と直交し、側面SM3は側面SM2,SM4と直交している。なお、平面視において、半導体チップCP1の各側面SM1,SM2,SM3,SM4は、半導体チップCP1の辺とみなすこともできる。
【0050】
また、半導体チップCP2の表面は、矩形状の平面形状を有している(
図3および
図9参照)。このため、半導体チップCP2は、半導体チップCP2の表面と半導体チップCP2の裏面とを連結する4つの側面SM5,SM6,SM7,SM8を有している。すなわち、半導体チップCP2は、一方の主面である表面と、表面とは反対側の主面である裏面と、表面および裏面に交差する側面SM5,SM6,SM7,SM8と、を有している。ここで、半導体チップCP2において、側面SM5と側面SM7とは互いに反対側に位置し、側面SM6と側面SM8とは互いに反対側に位置し、側面SM5と側面SM7とは互いに平行で、側面SM6と側面SM8とは互いに平行で、側面SM5は側面SM6,SM8と直交し、側面SM7は側面SM6,SM8と直交している。なお、平面視において、半導体チップCP2の各側面SM5,SM6,SM7,SM8は、半導体チップCP2の辺とみなすこともできる。
【0051】
半導体チップCP1および半導体チップCP2は、半導体チップCP1の側面SM3と半導体チップCP2の側面SM5とが対向するように、ダイパッドDPの上面上に搭載されている(
図3および
図9参照)。半導体チップCP1の側面SM3と半導体チップCP2の側面SM5とが対向しているが、半導体チップCP1の側面SM3と半導体チップCP2の側面SM5とは、略平行とすることができる。
【0052】
半導体チップCP1において、側面SM1は、封止部MRの側面MRc1やダイパッドDPの辺DP1に沿った側面であり、側面SM2は、封止部MRの側面MRc2やダイパッドDPの辺DP2に沿った側面である。また、半導体チップCP1において、側面SM3は、封止部MRの側面MRc3やダイパッドDPの辺DP3に沿った側面であり、側面SM4は、封止部MRの側面MRc4やダイパッドDPの辺DP4に沿った側面である。また、半導体チップCP2において、側面SM5は、封止部MRの側面MRc1やダイパッドDPの辺DP1に沿った側面であり、側面SM6は、封止部MRの側面MRc2やダイパッドDPの辺DP2に沿った側面である。また、半導体チップCP2において、側面SM7は、封止部MRの側面MRc3やダイパッドDPの辺DP3に沿った側面であり、側面SM8は、封止部MRの側面MRc4やダイパッドDPの辺DP4に沿った側面である。
【0053】
ダイパッドDPの上面上において、半導体チップCP1,CP2のうち、半導体チップCP1が封止部MRの側面MRc1に近い側に配置され、半導体チップCP2が封止部MRの側面MRc3に近い側に配置されている。すなわち、ダイパッドDPの上面上において、半導体チップCP1,CP2のうち、半導体チップCP1がダイパッドDPの辺DP1に近い側に配置され、半導体チップCP2がダイパッドDPの辺DP3に近い側に配置されている。
【0054】
平面視において、半導体チップCP1の側面SM1は、封止部MRの側面MRc1側に配置された複数のリードLDのインナリード部と対向し、半導体チップCP1の側面SM2は、封止部MRの側面MRc2側に配置された複数のリードLDのインナリード部と対向している。また、半導体チップCP1の側面SM3は、半導体チップCP2の側面SM5と対向し、半導体チップCP1の側面SM4は、封止部MRの側面MRc4側に配置された複数のリードLDのインナリード部と対向している。また、平面視において、半導体チップCP2の側面SM5は、半導体チップCP1の側面SM3と対向し、半導体チップCP2の側面SM6は、封止部MRの側面MRc2側に配置された複数のリードLDのインナリード部と対向している。また、半導体チップCP2の側面SM7は、封止部MRの側面MRc3側に配置された複数のリードLDのインナリード部と対向し、半導体チップCP2の側面SM8は、封止部MRの側面MRc4側に配置された複数のリードLDのインナリード部と対向している。
【0055】
半導体チップCP1,CP2の複数のパッド電極P1,P2と、複数のリードLDと、が複数のワイヤ(ボンディングワイヤ)BWを介してそれぞれ電気的に接続され、また、半導体チップCP1の複数のパッド電極P1と半導体チップCP2の複数のパッド電極P2とが、複数のワイヤBWを介してそれぞれ電気的に接続されている。
【0056】
つまり、半導体チップCP1の複数のパッド電極P1は、ワイヤBWを介してリードLDに電気的に接続されたパッド電極P1と、ワイヤBWを介して半導体チップCP2のパッド電極P2に電気的に接続されたパッド電極P1とからなる。また、半導体チップCP2の複数のパッド電極P2は、ワイヤBWを介してリードLDに電気的に接続されたパッド電極P2と、ワイヤBWを介して半導体チップCP1のパッド電極P1に電気的に接続されたパッド電極P2とからなる。また、半導体装置PKGは、複数のワイヤBWを有しているが、それら複数のワイヤBWは、半導体チップCP1のパッド電極P1とリードLDとを電気的に接続するワイヤBWと、半導体チップCP2のパッド電極P2とリードLDとを電気的に接続するワイヤBWと、半導体チップCP1のパッド電極P1と半導体チップCP2のパッド電極P2とを電気的に接続するワイヤBWとからなる。
【0057】
なお、半導体チップCP1の表面に形成された複数のパッド電極P1のうち、側面SM1に沿って配置された複数のパッド電極P1は、封止部MRの側面MRc1側に配置された複数のリードLDに、複数のワイヤBWを介してそれぞれ電気的に接続されている。また、半導体チップCP1の表面に形成された複数のパッド電極P1のうち、側面SM2に沿って配置された複数のパッド電極P1は、封止部MRの側面MRc2側に配置された複数のリードLDに、複数のワイヤBWを介してそれぞれ電気的に接続されている。また、半導体チップCP1の表面に形成された複数のパッド電極P1のうち、側面SM4に沿って配置された複数のパッド電極P1は、封止部MRの側面MRc4側に配置された複数のリードLDに、複数のワイヤBWを介してそれぞれ電気的に接続されている。また、半導体チップCP2の表面に形成された複数のパッド電極P2のうち、側面SM6に沿って配置された複数のパッド電極P2は、封止部MRの側面MRc2側に配置された複数のリードLDに、複数のワイヤBWを介してそれぞれ電気的に接続されている。また、半導体チップCP2の表面に形成された複数のパッド電極P2のうち、側面SM7に沿って配置された複数のパッド電極P2は、封止部MRの側面MRc3側に配置された複数のリードLDに、複数のワイヤBWを介してそれぞれ電気的に接続されている。また、半導体チップCP2の表面に形成された複数のパッド電極P2のうち、側面SM8に沿って配置された複数のパッド電極P2は、封止部MRの側面MRc4側に配置された複数のリードLDに、複数のワイヤBWを介してそれぞれ電気的に接続されている。また、半導体チップCP1の表面に形成された複数のパッド電極P1のうちの側面SM3に沿って配置された複数のパッド電極P1と、半導体チップCP2の表面に形成された複数のパッド電極P2のうちの側面SM5に沿って配置された複数のパッド電極P2とは、複数のワイヤBWを介してそれぞれ電気的に接続されている。
【0058】
また、半導体チップCP1の表面に形成された複数のパッド電極P1は、複数のソース用パッド電極P1Sを含んでいる(
図9参照)。半導体チップCP1の表面において、ソース用パッド電極P1Sは、側面SM1に沿って複数配置されており、それぞれ、封止部MRの側面MRc1側に配置されたリードLDにワイヤBWを介して電気的に接続されている。このため、ソース用パッド電極P1Sは、ワイヤBWを介してリードLDに電気的に接続されたパッド電極P1に含まれている。ソース用パッド電極P1Sは、ソース用のパッド電極(パッド、ボンディングパッド)であり、半導体チップCP1内に形成されたパワートランジスタ(後述のパワーMOSFETQ1に対応)のソースに電気的に接続されている。ソース用パッド電極P1Sは、半導体チップCP1の表面において、側面SM1に沿って複数配置することができるが、側面SM1からある程度離間して配置することもできる。
【0059】
ワイヤ(ボンディングワイヤ)BWは、導電性の接続部材であり、より特定的には導電性のワイヤである。ワイヤBWは、金属からなるため、金属線(金属細線)とみなすこともできる。ワイヤBWは、封止部MR内に封止されており、封止部MRから露出されない。各リードLDにおいて、ワイヤBWの接続箇所は、封止部MR内に位置するインナリード部である。
【0060】
半導体装置PKGが有する複数のワイヤBW(
図2に示されるワイヤBWに対応)において、全てのワイヤBWを同じ太さ(直径)にすることもできる。しかしながら、半導体装置PKGが有する複数のワイヤBW(
図2に示されるワイヤBWに対応)において、半導体チップCP1のソース用パッド電極P1SとリードLDとを接続するワイヤBWの太さ(直径)を、他のワイヤBWの太さ(直径)よりも大きくすれば、より好ましい。すなわち、半導体装置PKGが有する複数のワイヤBW(
図2に示されるワイヤBWに対応)のうち、ソース用パッド電極P1Sに接続されたワイヤBWの太さ(直径)を、ソース用パッド電極P1S以外のパッド電極P1,P2に接続されたワイヤBWの太さ(直径)よりも大きくすれば、より好ましい。そうする理由は、次のようなものである。
【0061】
すなわち、半導体チップCP1のソース用パッド電極P1SとリードLDとを接続するワイヤBWは、他のワイヤBWに比べて大きな電流が流れるため、太さ(直径)を大きくすることで、抵抗を低減して損失を少なくすることができる。一方、半導体チップCP1のソース用パッド電極P1SとリードLDとを接続するワイヤBW以外のワイヤBWについては、それほど大きな電流は流れないため、ワイヤBWの太さ(直径)を小さくすることで、そのワイヤBWに接続されるパッド電極P1,P2の寸法を小さくすることが可能になり、半導体チップCP1,CP2の小型化に有利となる。一例を挙げれば、ソース用パッド電極P1Sに接続されたワイヤBWの直径を35μm程度とし、ソース用パッド電極P1S以外のパッド電極P1,P2に接続されたワイヤBWの直径は、20μm程度とすることができる。
【0062】
ワイヤBWとしては、金(Au)ワイヤ、銅(Cu)ワイヤ、あるいはアルミニウム(Al)ワイヤなどを好適に用いることができる。
【0063】
また、上述のように、ソース用パッド電極P1Sに接続されたワイヤBWについては、太さ(直径)を大きくするとともに銅ワイヤを使用し、ソース用パッド電極P1S以外のパッド電極P1,P2に接続されたワイヤBWについては、太さ(直径)を小さくするとともに金ワイヤを使用することもできる。つまり、ソース用パッド電極P1Sに接続されたワイヤBWと、ソース用パッド電極P1S以外のパッド電極P1,P2に接続されたワイヤBWとで材料を異ならせ、前者については、直径が大きな銅(Cu)ワイヤを使用し、後者については直径が小さな金(Au)ワイヤを使用することができる。直径が大きなワイヤBW(すなわちソース用パッド電極P1Sに接続されたワイヤBW)には、銅(Cu)ワイヤを使用することで、半導体装置PKGの製造コストを抑制することができる。また、直径が小さなワイヤBW(すなわちソース用パッド電極P1S以外のパッド電極P1,P2に接続されたワイヤBW)には、金(Au)ワイヤを使用することで、そのワイヤBWを接続するパッド電極P1,P2の寸法を小さくしたとしても、小さなパッド電極P1,P2に対してワイヤBWを容易かつ的確に接続することができるようになる。これは、小さなパッドに対しては、銅ワイヤよりも金ワイヤの方が接続しやすいためである。これにより、製造コストを抑制しながら、ワイヤBWの接続信頼性の向上を図ることができる。
【0064】
また、パッド電極P1,P2の寸法などの面で、パッド電極P1,P2に対して銅ワイヤを接続することに問題がなければ、ソース用パッド電極P1Sに接続されたワイヤBWだけでなく、ソース用パッド電極P1S以外のパッド電極P1,P2に接続されたワイヤBWについても銅(Cu)ワイヤを使用することができる。すなわち、半導体装置PKGが有する全てのワイヤBWについて、銅(Cu)ワイヤを使用することもできる。これにより、半導体装置PKGの製造コストを更に抑制することができる。
【0065】
<半導体装置の製造工程について>
次に、上記
図1〜
図9に示される半導体装置PKGの製造工程について説明する。
図10は、上記
図1〜
図9に示される半導体装置PKGの製造工程を示すプロセスフロー図である。
図11〜
図15は、半導体装置PKGの製造工程中の断面図である。なお、
図11〜
図15には、上記
図6に相当する断面が示されている。
【0066】
半導体装置PKGを製造するには、まず、リードフレームLFおよび半導体チップCP1,CP2を準備する(
図10のステップS1)。
【0067】
図11に示されるように、リードフレームLFは、フレーム枠(図示せず)と、フレーム枠に連結された複数のリードLDと、フレーム枠に複数の吊りリードTLを介して連結されたダイパッドDPとを、一体的に有している。
【0068】
ステップS1では、リードフレームLFの準備と、半導体チップCP1の準備と、半導体チップCP2の準備とは、いずれの順序で行ってもよく、また、同時に行ってもよい。
【0069】
次に、
図12に示されるように、半導体チップCP1,CP2のダイボンディング工程を行って、リードフレームのダイパッドDP上に半導体チップCP1を導電性の接合材BD1を介して搭載して接合し、かつ、リードフレームのダイパッドDP上に半導体チップCP2を絶縁性の接合材BD2を介して搭載して接合する(
図10のステップS2)。半導体チップCP1の裏面には裏面電極BEが形成されているため、ステップS2では、半導体チップCP1の裏面電極BEが、導電性の接合材BD1を介してダイパッドDPに接合される。ステップS2については、後でより詳細に説明する。
【0070】
ステップS2のダイボンディング工程が行われた後、
図13に示されるように、ワイヤボンディング工程を行う(
図10のステップS3)。
【0071】
このステップS3では、半導体チップCP1の複数のパッド電極P1とリードフレームLFの複数のリードLDとの間、半導体チップCP2の複数のパッド電極P2とリードフレームLFの複数のリードLDとの間、および、半導体チップCP1の複数のパッド電極P1と半導体チップCP2の複数のパッド電極P2との間を、複数のワイヤBWを介してそれぞれ電気的に接続する。
【0072】
上述のように、半導体チップCP1のソース用パッド電極P1SとリードLDとを接続するワイヤBWの太さ(直径)を、他のワイヤBWの太さ(直径)よりも大きくする場合は、ステップS3では、ワイヤボンディング工程を2段階で行うことが好ましい。すなわち、まず1段階目として、直径が大きなワイヤBWを用いるワイヤボンディングを行ってから、2段階目として、直径が小さなワイヤBWを用いるワイヤボンディングを行う。
【0073】
具体的には、まず1段階目として、上記
図10に示されるワイヤBWについてのワイヤボンディングを行う。これにより、半導体チップCP1の複数のソース用パッド電極P1Sと複数のリードLDとの間を、直径が大きなワイヤBWを介してそれぞれ電気的に接続する。その後、上記
図11に示されるワイヤBWについてのワイヤボンディングを行う。これにより、ソース用パッド電極P1S以外の半導体チップCP1の複数のパッド電極P1と複数のリードLDとの間、半導体チップCP2の複数のパッド電極P2と複数のリードLDとの間、および、半導体チップCP1の複数のパッド電極P1と半導体チップCP2の複数のパッド電極P2との間を、直径が小さなワイヤBWを介してそれぞれ電気的に接続する。
【0074】
直径が大きなワイヤよりも直径が小さなワイヤの方が変形しやすい。このため、ステップS3において、先に、直径が大きなワイヤBWを用いるワイヤボンディングを行ってから、その後で、直径が小さなワイヤBWを用いるワイヤボンディングを行うことにより、ステップS3のワイヤボンディング工程でワイヤBWが変形する可能性を低減することができる。
【0075】
次に、モールド工程(樹脂成形工程)による樹脂封止を行って、
図14に示されるように、半導体チップCP1,CP2およびそれに接続された複数のワイヤBWを封止部MRによって封止する(
図10のステップS4)。このステップS4のモールド工程によって、半導体チップCP1,CP2、ダイパッドDP、複数のリードLDのインナリード部、複数のワイヤBWおよび吊りリードTLを封止する封止部MRが形成される。
【0076】
次に、封止部MRから露出しているリードLDのアウタリード部に必要に応じてめっき処理を施してから、封止部MRの外部において、リードLDおよび吊りリードTLを所定の位置で切断して、リードフレームLFのフレーム枠から分離する(
図10のステップS5)。
【0077】
次に、
図15に示されるように、封止部MRから突出するリードLDのアウタリード部を折り曲げ加工(リード加工、リード成形)する(
図10のステップS6)。
【0078】
このようにして、上記
図1〜
図9に示されるような半導体装置PKGが製造される。
【0080】
図20は、ステップS2のダイボンディング工程を行う前の段階のリードフレームLFの平面図が示されており、そこから1つの半導体装置PKGが取得される領域の平面図が示されている。
図21、
図23、
図25、
図27、
図29および
図30は、
図20と同じ平面領域が示されている。
【0081】
ステップS2は、具体的には、
図16のようにして行うことができる。
【0082】
すなわち、まず、
図21および
図22に示されるように、ダイパッドDPの上面の半導体チップCP2搭載予定領域に絶縁性の接合材BD2を供給する(
図16のステップS2a)。
【0083】
それから、
図23および
図24に示されるように、ダイパッドDPの上面上に接合材BD2を介して半導体チップCP2を搭載する(
図16のステップS2b)。
【0084】
接合材BD2は、好ましくは、絶縁性ペースト型の接合材(接着材)からなる。ステップS2a,S2bでは、接合材BD2はまだ硬化しておらず、粘性を有するペースト状である。
【0085】
接合材BD2として、絶縁性スペーサ(絶縁性粒子、絶縁性スペーサ粒子)を含有する絶縁性ペースト型の接合材(接着材)を用いれば、更に好ましい。接合材BD2中に含まれる絶縁性スペーサが半導体チップCP2とダイパッドDPとの間に介在することによって、半導体チップCP2とダイパッドDPとの間の間隔を確保することができる。すなわち、半導体チップCP2とダイパッドDPとの間の間隔は、接合材BD2中に含まれる絶縁性スペーサの大きさ(直径)と同程度になる。これにより、半導体チップCP2とダイパッドDPとの間に介在する接合材BD2の厚みが薄くなるのを防止することができ、半導体チップCP2とダイパッドDPとの間に、所望の厚みの接合材BD2を介在させることができる。このため、半導体チップCP2とダイパッドDPとの間に介在する接合材BD2の厚みが薄くなって半導体チップCP2とダイパッドDPとの間の耐圧が低下してしまうのを防止することができる。
【0086】
接合材BD2中に含まれる絶縁性スペーサは、例えばメタクリル酸エステル共重合物などからなり、その大きさ(平均粒径)は、例えば10〜40μm程度とすることができる。これにより、半導体チップCP2とダイパッドDPとの間に介在する接合材BD2の厚みは、例えば10〜40μm程度とすることができる。
【0087】
それから、
図25および
図26に示されるように、ダイパッドDPの上面の半導体チップCP1搭載予定領域に導電性の接合材BD1を供給する(
図16のステップS2c)。
【0088】
それから、
図27および
図28に示されるように、ダイパッドDPの上面上に接合材BD1を介して半導体チップCP1を搭載する(
図16のステップS2d)。
【0089】
接合材BD1は、好ましくは、銀(Ag)ペーストなどの導電性ペースト型の接合材(接着材)からなる。ステップS2c,S2dでは、接合材BD1はまだ硬化しておらず、粘性を有するペースト状である。
【0090】
接合材BD1として、絶縁性スペーサ(絶縁性粒子、絶縁性スペーサ粒子)を含有する導電性ペースト型の接合材(接着材)を用いれば、更に好ましい。接合材BD1中に含まれる絶縁性スペーサが半導体チップCP1とダイパッドDPとの間に介在することによって、半導体チップCP1とダイパッドDPとの間の間隔を確保することができる。すなわち、半導体チップCP1とダイパッドDPとの間の間隔は、接合材BD1中に含まれる絶縁性スペーサの大きさ(直径)と同程度になる。これにより、半導体チップCP1とダイパッドDPとの間に介在する接合材BD1の厚みが薄くなるのを防止することができ、半導体チップCP1とダイパッドDPとの間に、所望の厚みの接合材BD1を介在させることができる。半導体チップCP1とダイパッドDPとの間に介在する接合材BD1の厚みが薄くなると、半導体チップCP
1とダイパッドDPとの間の接合材BD1に熱ストレスなどに起因したクラックが発生しやすくなる懸念があるが、接合材BD1中に絶縁性スペーサを介在させることで、そのような懸念を解消することができる。
【0091】
接合材BD1中に含まれる絶縁性スペーサの大きさ(平均粒径)は、例えば10〜20μm程度とすることができる。これにより、半導体チップCP1とダイパッドDPとの間に介在する接合材BD1の厚みは、例えば10〜20μm程度とすることができる。
【0092】
その後、熱処理(ベーク処理)を行って、接合材BD1および接合材BD2を硬化させる(
図16のステップS2e)。ステップS2aで供給する接合材BD2とステップS2cで供給する接合材BD1とを、いずれも熱硬化型の接合材にしておけば、ステップS2eにおいて、熱処理を行うことにより接合材BD1,BD2を硬化させることができる。
【0093】
これにより、半導体チップCP1は、リードフレームのダイパッドDP上に接合材BD1を介して搭載されて固定され、半導体チップCP2は、リードフレームのダイパッドDP上に接合材BD2を介して搭載されて固定される。
【0094】
このようにして、ステップS2のダイボンディング工程を行うことができる。
【0095】
ステップS2は、
図17のようにして行うこともできる。
【0096】
すなわち、まず、
図21および
図22に示されるように、ダイパッドDPの上面の半導体チップCP2搭載予定領域に絶縁性の接合材BD2を供給する(
図17のステップS2a)。接合材BD2の材料については、
図21〜
図24の場合に説明したのと同様である。
【0097】
それから、
図23および
図24に示されるように、ダイパッドDPの上面上に接合材BD2を介して半導体チップCP2を搭載する(
図17のステップS2b)。
【0098】
それから、熱処理(ベーク処理)を行って、接合材BD2を硬化させる(
図17のステップS2e1)。ステップS2aで供給する接合材BD2を熱硬化型の接合材にしておけば、ステップS2e1において、熱処理を行うことにより接合材BD2を硬化させることができる。
【0099】
これにより、半導体チップCP2は、リードフレームのダイパッドDP上に接合材BD2を介して搭載されて固定される。
【0100】
それから、
図25および
図26に示されるように、ダイパッドDPの上面の半導体チップCP1搭載予定領域に導電性の接合材BD1を供給する(
図16のステップS2c)。接合材BD1の材料については、
図25〜
図28の場合に説明したのと同様である。
【0101】
それから、
図27および
図28に示されるように、ダイパッドDPの上面上に接合材BD1を介して半導体チップCP1を搭載する(
図17のステップS2d)。
【0102】
その後、熱処理(ベーク処理)を行って、接合材BD1を硬化させる(
図17のステップS2e2)。ステップS2cで供給する接合材BD1を熱硬化型の接合材にしておけば、ステップS2e2において、熱処理を行うことにより接合材BD1を硬化させることができる。
【0103】
これにより、半導体チップCP1は、リードフレームのダイパッドDP上に接合材BD1を介して搭載されて固定される。
【0104】
このようにして、ステップS2のダイボンディング工程を行うことができる。
【0105】
図21および
図22には、ステップS2aにおいてノズル(接合材BD2供給用のノズル)から接合材BD2をダイパッドDP上に供給した場合が図示され、
図25および
図26には、ステップS2cにおいてノズル(接合材BD1供給用のノズル)から接合材BD1をダイパッドDP上に供給した場合が図示されている。他の形態として、ステップS2aにおいて、印刷法により接合材BD2をダイパッドDP上に供給(印刷)することもでき、その場合が
図29に示されている。また、ステップS2cにおいて、印刷法により接合材BD1をダイパッドDP上に供給(印刷)することもでき、その場合が
図30に示されている。
【0106】
なお、
図21および
図29は、平面図であるが、図面を見やすくするために、ダイパッドDP上に供給された接合材BD2にハッチングを付し、また、
図25および
図30も、平面図であるが、図面を見やすくするために、ダイパッドDP上に供給された接合材BD1にハッチングを付してある。また、
図21および
図29において、ステップS2bで半導体チップCP2が搭載される位置(半導体チップCP2の搭載予定位置)を点線で示してある。また、
図25および
図30において、ステップS2dで半導体チップCP1が搭載される位置(半導体チップCP1の搭載予定位置)を点線で示してある。
【0107】
図16のプロセスフローと
図17のプロセスフローが相違しているのは、
図16のプロセスフローの場合は、接合材BD1の硬化と接合材BD2の硬化とを、同じ工程(同じ熱処理工程)で行っているのに対して、
図17プロセスフローの場合は、接合材BD1の硬化と接合材BD2の硬化とを、別工程で行っていることである。すなわち、
図16のプロセスフローの場合は、接合材BD1の硬化と接合材BD2の硬化とを、ステップS2eの熱処理によって行い、一方、
図17プロセスフローの場合は、接合材BD1の硬化はステップS2e2の熱処理により行い、接合材BD2の硬化はステップS2e1の熱処理により行う。
【0108】
図16のプロセスフローと
図17のプロセスフローとで共通しているのは、先に、ステップS2a,S2bを行って、ダイパッドDPの上面上に接合材BD2を介して半導体チップCP2を搭載した後で、ステップS2c,S2dを行って、ダイパッドDPの上面上に接合材BD1を介して半導体チップCP1を搭載していることである。
【0109】
図18は、
図16のプロセスフローにおいて、ステップS2a,S2bとステップS2c,S2dとの順番を入れ替え、ステップS2cおよびステップS2dを先に行ってから、ステップS2aおよびステップS2bを行う場合に対応している。また、
図19は、
図17のプロセスフローにおいて、ステップS2a,S2b,S2e1とステップS2c,S2d,S2e2との順番を入れ替え、ステップS2c、ステップS2dおよびステップS2e2を先に行ってから、ステップS2a、ステップS2bおよびステップS2e1を行う場合に対応している。
【0110】
ステップS2のダイボンディング工程として、
図16のプロセスフロー、
図17のプロセスフロー、
図18のプロセスフロー、および
図19のプロセスフローのいずれを用いることも可能である。
【0111】
しかしながら、ステップS2のダイボンディング工程として、
図18のプロセスフローや
図19のプロセスフローではなく、
図16のプロセスフローおよび
図17のプロセスフローのどちらかを採用することが好ましい。すなわち、
図16のプロセスフローまたは
図17のプロセスフローに示された順番で、各ステップを行うことが好ましく、従って、ステップS2aおよびステップS2bを先に行ってから、ステップS2cおよびステップS2dを行うことが好ましい。その理由は、次のようなものである。
【0112】
すなわち、半導体チップCP1は、裏面電極BEを有しており、その裏面電極BEをダイパッドDPに電気的に接続する必要がある。一方、半導体チップCP2は、裏面電極を有しておらず、ダイパッドDPに電気的に接続せずに、電気的に絶縁する必要がある。このため、半導体チップCP1用のダイボンディング材(ここでは接合材BD1)は導電性を有し、半導体チップCP2用のダイボンディング材(ここでは接合材BD2)は絶縁性を有するものとなる。しかしながら、導電性を有するダイボンディング材(ここでは接合材BD1)の一部が、ダイパッドDPにおける半導体チップCP2搭載予定領域に付着し、その上に半導体チップCP2を搭載してしまうと、半導体チップCP2とダイパッドDPとの間の絶縁を阻害し、半導体チップCP2とダイパッドDPとの間が電気的に接続(短絡)してしまう虞がある。半導体チップCP2とダイパッドDPとの間が電気的に接続(短絡)された場合は、製造後の検査工程で、そのような現象が生じた半導体装置を取り除くことになるため、半導体装置の製造歩留まりを低下させ、半導体装置の製造コストの増加につながってしまう。このため、ダイパッドDPにおける半導体チップCP2搭載予定領域に導電性を有するダイボンディング材(ここでは接合材BD1)が付着することは、できるだけ防ぐ必要がある。
【0113】
それに対して、
図16のプロセスフローの場合や
図17のプロセスフローの場合には、先にステップS2aおよびステップS2bを行って半導体チップCP2をダイパッドDPの上面上に絶縁性の接合材BD2を介して搭載した後で、ステップS2cおよびステップS2dを行って半導体チップCP1をダイパッドDPの上面上に導電性の接合材BD1を介して搭載している。このため、既にダイパッドDPの上面上に半導体チップCP2が絶縁性の接合材BD2を介して搭載された状態で、ステップS2cでダイパッドDPの上面上に導電性のダイボンディング材(ここでは接合材BD1)を供給することになる。このため、ダイパッドDPにおける半導体チップCP2搭載予定領域に導電性を有するダイボンディング材(ここでは接合材BD1)が付着してしまうのを防止しやすくなり、従って、半導体チップCP2とダイパッドDPとの間が導電性のダイボンディング材を介して電気的に接続(短絡)されてしまうのを防止しやすくなる。このため、半導体装置の製造歩留まりを向上させることができ、また、半導体装置の製造コストを低減することができる。従って、ステップS2のダイボンディング工程は、
図16のプロセスフローまたは
図17のプロセスフローに示される順番で、各ステップを行うことが好ましく、すなわち、ステップS2aおよびステップS2bを先に行ってから、ステップS2cおよびステップS2dを行うことが好ましい。
【0114】
また、半導体チップCP1の裏面電極BEを導電性の接合材BD1を介してダイパッドDPに電気的に接続させる必要があるため、導電性の接合材BD1を介した半導体チップCP1とダイパッドDPとの接合状態を良好にすることは、重要である。しかしながら、ダイパッドDP上に接合材BD1を供給した後、接合材BD1の硬化工程を行う前に、接合材BD1中の溶剤が揮発してしまうと、接合材BD1の接合性が低下する虞がある。このため、ダイパッドDP上に接合材BD1を供給した後、接合材BD1の硬化工程を行うまでに要する時間は、ある程度短くすることが好ましく、それにより、接合材BD1の硬化工程を行う前に接合材BD1中の溶剤が揮発してしまうのを抑制または防止することができる。この観点でも、
図16のプロセスフローおよび
図17のプロセスフローは好ましい。
【0115】
すなわち、
図18のプロセスフローおよび
図19のプロセスフローに比べて、
図16のプロセスフローおよび
図17のプロセスフローは、半導体チップCP1の搭載工程(ステップS2d)から接合材BD1の硬化工程(ステップS2e,S2e2)までの間の時間を短くすることができる。
図16のプロセスフローおよび
図17のプロセスフローは、ステップS2cでダイパッドDP上に接合材BD1を供給した後、接合材BD1の硬化工程(ステップS2e,S2e2)の前に接合材BD1中の溶剤が揮発してしまうのを抑制または防止することができるため、接合材BD1中の溶剤が揮発することによる接合材BD1の接合性の低下を抑制または防止することができる。このため、接合材BD1の接合性を向上させ、導電性の接合材BD1を介した半導体チップCP1とダイパッドDPとの接合状態を良好にすることができる。
【0116】
このように、
図18のプロセスフローおよび
図19のプロセスフローに比べて、
図16のプロセスフローおよび
図17のプロセスフローが好ましい。
【0117】
また、
図16のプロセスフローと
図17のプロセスフローとを比べると、
図16のプロセスフローは、次のような利点を有している。
【0118】
すなわち、
図17のプロセスフローの場合は、接合材BD2の硬化工程(ステップS2e1)と接合材BD1の硬化工程(ステップS2e2)とを、別々に行っているが、
図16のプロセスフローの場合は、接合材BD2の硬化工程と接合材BD1の硬化工程とを、同工程(ステップS2e)で行っている。このため、
図17のプロセスフローに比べて、
図16のプロセスフローの方が、半導体装置PKGの製造工程数を低減することができる。従って、半導体装置PKGの製造コストを抑制することができる。また、半導体装置PKGのスループットを向上させることができる。
【0119】
また、
図16のプロセスフローと
図17のプロセスフローとを比べると、
図17のプロセスフローは、次のような利点を有している。
【0120】
すなわち、
図16のプロセスフローは、ステップS2eで接合材BD1と接合材BD2の両方を硬化させるため、接合材BD1を硬化させるための熱処理温度と、接合材BD2を硬化させるための熱処理温度とが同じになる。それに対して、
図17のプロセスフローは、接合材BD2の硬化工程(ステップS2e1)と接合材BD1の硬化工程(ステップS2e2)とを別々に行っているため、接合材BD1を硬化させるための熱処理温度(ステップS2e2の熱処理温度)と、接合材BD2を硬化させるための熱処理温度(ステップS2e1の熱処理温度)とを、異ならせることができる。このため、
図17のプロセスフローの場合は、ステップS2e1において接合材BD2を硬化させるのに最適な熱処理温度で接合材BD2を硬化させることができ、また、ステップS2e2において接合材BD1を硬化させるのに最適な熱処理温度で接合材BD1を硬化させることができる。
【0121】
<半導体装置の回路構成について>
次に、
図31を参照しながら、半導体装置PKGの回路構成について説明する。
図31は、半導体装置PKGの回路図(回路ブロック図)である。
【0122】
上述のように、本実施の形態の半導体装置PKGは、半導体チップCP1,CP2を内蔵している。半導体チップCP1内には、パワートランジスタとしてのパワーMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)Q1と、パワーMOSFETQ1に流れる電流を検知するためのセンスMOSFETQ2と、制御回路CLCとが形成されている。パワーMOSFETQ1は、スイッチ用のパワートランジスタとして機能することができる。
【0123】
なお、本願において、MOSFETというときは、ゲート絶縁膜に酸化膜(酸化シリコン膜)を用いたMISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor:MIS型電界効果トランジスタ)だけでなく、酸化膜(酸化シリコン膜)以外の絶縁膜をゲート絶縁膜に用いたMISFETも含むものとする。
【0124】
制御回路CLCは、パワーMOSFETQ1およびセンスMOSFETQ2を駆動するドライバ回路(駆動回路)を含んでいる。このため、制御回路CLCは、半導体チップCP1の外部から制御回路CLCに供給された信号に応じて、パワーMOSFETQ1のゲート(後述のゲート電極8に対応)の電位を制御し、パワーMOSFETQ1の動作を制御することができる。すなわち、パワーMOSFETQ1のゲートは、制御回路CLCに接続されており、制御回路CLCからパワーMOSFETQ1のゲートにオン信号(パワーMOSFETQ1をオン状態とするゲート電圧)を供給することで、パワーMOSFETQ1をオン状態とすることができるようになっている。
【0125】
制御回路CLCからパワーMOSFETQ1のゲートにオン信号を供給することでパワーMOSFETQ1がオン状態になると、電源BATの電圧がパワーMOSFETQ1から出力されて負荷LODに供給される。制御回路CLCからパワーMOSFETQ1のゲートにオフ信号を供給する(あるいはオン信号の供給を停止する)ことでパワーMOSFETQ1がオフ状態になると、電源BATから負荷LODへの電圧の供給が停止される。このような半導体チップCP1のパワーMOSFETQ1のオン/オフの制御は、半導体チップCP1の制御回路CLCによって行われる。
【0126】
このように、半導体装置PKGは、電源BATから負荷LODへの電圧の印加のオン・オフの切換を行う、スイッチ用の半導体装置として機能することができる。また、半導体チップCP1のパワーMOSFETQ1はスイッチング素子として機能することができる。また、パワーMOSFETQ1の出力が負荷LODに供給されるため、パワーMOSFETQ1は出力回路とみなすこともできる。また、負荷LODとしては、スイッチ用の半導体装置PKGを介して電源BATに接続することが望まれる任意の電子装置または電子部品を適用することができる。例えば、モータ、ランプあるいはヒータなどを、負荷LODとして用いることができる。
【0127】
また、半導体装置PKGの半導体チップCP1内には、電流検知用のセンスMOSFETQ2が設けられている。パワーMOSFETQ1に流れる電流はセンスMOSFETQ2により検知され、センスMOSFETQ2を流れる電流に応じて、パワーMOSFETQ1が制御される。例えば、センスMOSFETQ2を流れる電流により、パワーMOSFETQ1に過剰な電流(規定値以上の電流)が流れていると判断(検知)したときには、制御回路CLCは、パワーMOSFETQ1のゲート電圧を制御して、パワーMOSFETQ1の電流を所定値以下に制限したり、あるいは、パワーMOSFETQ1を強制的にオフしたりする。これにより、パワーMOSFETQ1に過剰な電流が流れるのを防止することができ、半導体装置PKGおよびそれを用いた電子装置を保護することができる。
【0128】
センスMOSFETQ2は、ドレインおよびゲートがパワーMOSFETQ1と共通とされている。すなわち、半導体チップCP1内に形成されたパワーMOSFETQ1のドレインとセンスMOSFETQ2のドレインとは、いずれも半導体チップCP1の上記裏面電極BEに電気的に接続されているため、互いに電気的に接続されている。このため、半導体チップCP1の上記裏面電極BEは、パワーMOSFETQ1およびセンスMOSFETQ2のドレイン用の裏面電極である。
【0129】
パワーMOSFETQ1およびセンスMOSFETQ2のドレインが接続された半導体チップCP1の裏面電極BEは、半導体装置PKGの端子TE1に接続されている。上記ダイパッドDPがこの端子TE1に対応している。半導体装置PKGの端子TE1(すなわちダイパッドDP)から、上記接合材BD1および半導体チップCP1の裏面電極BEを介して、センスMOSFETQ2のドレインおよびパワーMOSFETQ1のドレインに同じ電位が供給されるようになっている。端子TE1(ダイパッドDP)は、半導体装置PKGの外部に配置された電源(バッテリ)BATと接続されているため、電源BATの電圧が、半導体装置PKGの端子TE1(すなわちダイパッドDP)から、上記接合材BD1および半導体チップCP1の裏面電極BEを介して、パワーMOSFETQ1のドレインおよびセンスMOSFETQ2のドレインに供給される。
【0130】
また、センスMOSFETQ2とパワーMOSFETQ1とは、ゲート同士が電気的に接続されて共通とされており、この共通ゲートが制御回路CLCに接続されて、制御回路CLCからセンスMOSFETQ2のゲートおよびパワーMOSFETQ1のゲートに同じゲート信号(ゲート電圧)が入力されるようになっている。具体的には、半導体チップCP1内に形成されたセンスMOSFETQ2のゲート(ゲート電極)とパワーMOSFETQ1のゲート(ゲート電極)は、半導体チップCP1の内部配線を介して、半導体チップCP1内の制御回路CLCに電気的に接続されている。
【0131】
一方、センスMOSFETQ2のソースはパワーMOSFETQ1のソースと共通ではなく、パワーMOSFETQ1のソースとセンスMOSFETQ2のソースとの間は短絡されていない。
【0132】
パワーMOSFETQ1のソースは、半導体装置PKGの端子TE2に接続され、この端子TE2には、半導体装置PKGの外部に配置された負荷LODに接続されている。すなわち、パワーMOSFETQ1のソースは、負荷LODに接続されている。半導体装置PKGが有する複数のリードLDのうち、半導体チップCP1のソース用パッド電極P1SにワイヤBWを介して電気的に接続されたリードLDが、この端子TE2に対応している。具体的には、半導体チップCP1内に形成されたパワーMOSFETQ1のソースは、半導体チップCP1の内部配線を介して、半導体チップCP1のソース用パッド電極P1Sに電気的に接続され、このソース用パッド電極P1Sは、ワイヤBWを介して端子TE2(リードLD)に電気的に接続され、この端子TE2(リードLD)に、負荷LODが接続されている。このため、制御回路CLCからパワーMOSFETQ1のゲートにオン信号を供給することでパワーMOSFETQ1がオン状態(導通状態)になると、電源BATの電圧が、オン状態のパワーMOSFETQ1を介して、負荷LODに供給されることになる。
【0133】
一方、センスMOSFETQ2のソースは、制御回路CLCに接続されている。具体的には、半導体チップCP1内に形成されたセンスMOSFETQ2のソースは、半導体チップCP1の内部配線を介して、半導体チップCP1内の制御回路CLCに電気的に接続されている。
【0134】
なお、
図31において、符
号のD1はパワーMOSFETQ1のドレインを示し、符号のS1はパワーMOSFETQ1のソースを示し、符
号のD2はセンスMOSFETQ2のドレインを示し、符号のS2はセンスMOSFETQ2のソースを示している。
【0135】
センスMOSFETQ2は、パワーMOSFETQ1とともに、半導体チップCP1内に形成されており、このセンスMOSFETQ2は、半導体チップCP1内でパワーMOSFETQ1とカレントミラー回路を構成するように形成され、例えば、パワーMOSFETQ1の1/20000のサイズを備えている。このサイズ比は必要に応じて変更可能である。
【0136】
また、半導体チップCP1内に形成された制御回路CLCは、半導体チップCP1の内部配線を介して、半導体チップCP1の複数のパッド電極P1のうちのいくつかのパッド電極P1に電気的に接続されている。半導体チップCP1の複数のパッド電極P1は、入力用のパッド電極、出力用のパッド電極およびグランド用のパッド電極を含んでおり、これらのパッド電極P1から、制御回路CLCに信号(入力信号)やグランド電位が入力または供給され、また、制御回路CLCから出力された信号(出力信号)が、これらのパッド電極P1から出力される。
【0137】
半導体チップCP1の各パッド電極P1は、ワイヤBWを介して、リードLDまたは半導体チップCP2のパッド電極P2に電気的にされている。すなわち、半導体チップCP1のパッド電極P1には、ワイヤBWを介してリードLDに電気的にされたパッド電極P1と、ワイヤBWを介して半導体チップCP2のパッド電極P2に電気的にされたパッド電極P1とがある。
【0138】
半導体チップCP2は、マイコンチップ(制御用チップ)であり、半導体チップCP1の動作を制御する制御用の半導体チップとして機能することができる。
【0139】
図31では、半導体チップCP2内の回路は示していないが、実際には、半導体チップCP2内には、半導体チップCP1(半導体チップCP1内の回路)を制御する回路が形成されている。すなわち、半導体チップCP1内に形成された制御回路CLCを制御する回路が、半導体チップCP2内に形成されている。
【0140】
半導体チップCP2の内部回路は、半導体チップCP2の内部配線を介して、半導体チップCP2の複数のパッド電極P2に電気的に接続されている。半導体チップCP2の各パッド電極P2は、ワイヤBWを介して、リードLDまたは半導体チップCP1のパッド電極P1に電気的にされている。すなわち、半導体チップCP2のパッド電極P2には、ワイヤBWを介してリードLDに電気的にされたパッド電極P2と、ワイヤBWを介して半導体チップCP1のパッド電極P1に電気的にされたパッド電極P2とがある。
【0141】
半導体チップCP2にワイヤBWを介して接続された複数のリードLDは、入力用のリード、出力用のリードおよびグランド用のリードを含んでおり、これらのリードLDから、半導体チップCP2の内部回路に信号(入力信号)やグランド電位が入力または供給され、また、半導体チップCP2の内部回路から出力された信号(出力信号)が、これらのリードLDから出力される。
【0142】
半導体チップCP2にワイヤBWを介して接続された複数のリードLDのいずれかは、半導体装置PKGの外部に配置された電源BATにレギュレータREGを介して接続されている。電源BATの電圧は、レギュレータREGで半導体チップCP2の電源電圧として相応しい電圧に変換されてから、レギュレータREGが接続されたリードLDに供給され、そのリードLDに接続されたワイヤBWを介して半導体チップCP2に供給されるようになっている。
【0143】
半導体チップCP2の複数のパッド電極P2のうちのいくつかのパッド電極P2は、半導体チップCP1の複数のパッド電極P1のうちのいくつかのパッド電極P1と、それぞれワイヤBWを介して電気的に接続されている。半導体チップCP2の内部回路を、半導体チップCP2のパッド電極P2、ワイヤBW(パッド電極P1,P2間を接続するワイヤBW)および半導体チップCP1のパッド電極P1を介して、半導体チップCP1の内部回路(例えば制御回路CLC)に電気的に接続することができる。
【0144】
また、半導体チップCP2に電気的に接続されたリードLDと、半導体チップCP1に電気的に接続されたリードLDとを、半導体装置PKGの外部において電気的に接続することも可能である。例えば、半導体装置PKGを配線基板(実装基板)に実装し、この配線基板において、半導体チップCP2に電気的に接続されたリードLDと、半導体チップCP1に電気的に接続されたリードLDとを、その配線基板の配線などを介して電気的に接続することができる。これにより、半導体チップCP2の内部回路を、半導体装置PKGの外部の配線(例えば半導体装置PKGを実装した配線基板の配線)などを経由して、半導体チップCP1の内部回路(例えば制御回路CLC)に電気的に接続することもできる。
【0145】
ここで、半導体チップCP1の内部回路とは、半導体チップCP1内に形成された回路に対応し、半導体チップCP2の内部回路とは、半導体チップCP2内に形成された回路に対応する。半導体チップCP1の内部配線とは、半導体チップCP1内に形成された配線に対応し、半導体チップCP2の内部配線とは、半導体チップCP2内に形成された配線に対応する。
【0146】
<半導体チップの構造について>
次に、半導体チップCP1の構造について説明する。
【0147】
図32は、半導体チップCP1の要部断面図であり、半導体チップCP1において、上記パワーMOSFETQ1を構成するトランジスタが形成されている領域(パワーMOSFET形成領域)の要部断面図が示されている。
【0148】
ここで、半導体チップCP1において、上記パワーMOSFETQ1を構成するトランジスタが形成されている領域(平面領域)を、パワーMOSFET形成領域と称することとする。また、半導体チップCP1において、上記センスMOSFETQ2を構成するトランジスタが形成されている領域(平面領域)を、センスMOSFET形成領域と称することとする。また、半導体チップCP1において、上記制御回路CLCが形成されている領域(平面領域)を、制御回路形成領域と称することとする。半導体チップCP1,CP2は、半導体チップCP1のパワーMOSFET形成領域よりも半導体チップCP1の制御回路形成領域が半導体チップCP2に近くなるように、上記ダイパッドDP上に並んで配置されている。
【0149】
半導体チップCP1において、上記パワーMOSFETQ1を構成するトランジスタが形成されている領域(パワーMOSFET形成領域)の構造について、
図32を参照して説明する。なお、
図32は、パワーMOSFET形成領域の断面構造を図示しているが、センスMOSFET形成領域の断面構造も、
図32の構造と基本的には同じであるが、センスMOSFET形成領域では、後述のソース配線M2Sは、保護膜13で覆われており、露出されていない。
【0150】
上記パワーMOSFETQ1は、半導体チップCP1を構成する半導体基板1の主面に形成されている。
【0151】
図32に示されるように、半導体チップCP1を構成する半導体基板1は、例えばヒ素(As)などのn型の不純物が導入されたn型の単結晶シリコンなどからなる。半導体基板1として、n型の単結晶シリコン基板からなる基板本体上にそれよりも低不純物濃度のn
−型の単結晶シリコンからなるエピタキシャル層(半導体層)を形成した半導体基板(いわゆるエピタキシャルウエハ)を用いることも可能である。
【0152】
半導体基板1の主面には、例えば酸化シリコンなどからなるフィールド絶縁膜(図示せず)が形成されている。
【0153】
パワーMOSFET形成領域において、フィールド絶縁膜で囲まれた活性領域に、パワーMOSFETQ1を構成する複数の単位トランジスタセルが形成されており、パワーMOSFETQ1は、パワーMOSFET形成領域に設けられたこれら複数の単位トランジスタセルが並列に接続されることで形成されている。また、センスMOSFET形成領域において、フィールド絶縁膜で囲まれた活性領域に、センスMOSFETQ2を構成する複数の単位トランジスタセルが形成されており、センスMOSFETQ2は、センスMOSFET形成領域に設けられたこれら複数の単位トランジスタセルが並列に接続されることで形成されている。
【0154】
パワーMOSFET形成領域に形成される個々の単位トランジスタセルと、センスMOSFET形成領域に形成される個々の単位トランジスタセルとは、基本的には同じ構造(構成)を有しているが、パワーMOSFET形成領域とセンスMOSFET形成領域とは、その面積が相違しており、センスMOSFET形成領域の面積はパワーMOSFET形成領域の面積よりも小さい。このため、単位トランジスタセルの接続数は、パワーMOSFETQ1とセンスMOSFETQ2とで異なり、センスMOSFETQ2を構成する並列接続された単位トランジスタセルの数は、パワーMOSFETQ1を構成する並列接続された単位トランジスタセルの数よりも少ない。このため、センスMOSFETQ2とパワーMOSFETQ1とでソース電位が同じであれば、センスMOSFETQ2には、パワーMOSFETQ1に流れる電流よりも小さな電流が流れるようになっている。パワーMOSFET形成領域およびセンスMOSFET形成領域の各単位トランジスタセルは、例えばトレンチゲート構造のnチャネル型のMOSFETで形成されている。
【0155】
半導体基板1は、上記単位トランジスタセルのドレイン領域としての機能を有している。半導体基板1(半導体チップCP1)の裏面全体に、ドレイン用の裏面電極(裏面ドレイン電極、ドレイン電極)BEが形成されている。この裏面電極BEは、例えば半導体基板1の裏面から順にチタン(Ti)層、ニッケル(Ni)層および金(Au)層を積み重ねて形成されている。上記半導体装置PKGにおいては、半導体チップCP1のこの裏面電極BEは、上記接合材BD1を介して上記ダイパッドDPに接合されて電気的に接続される。
【0156】
また、パワーMOSFET形成領域およびセンスMOSFET形成領域において、半導体基板1中に形成されたp型の半導体領域3は、上記単位トランジスタセルのチャネル形成領域としての機能を有している。さらに、そのp型の半導体領域3の上部に形成されたn
+型の半導体領域4は、上記単位トランジスタセルのソース領域としての機能を有している。従って、半導体領域4はソース用の半導体領域である。また、p型の半導体領域3の上部であってn
+型の半導体領域4の隣接間に、p
+型の半導体領域5が形成されている。このp
+型の半導体領域5の不純物濃度は、p型の半導体領域3の不純物濃度よりも高い。
【0157】
また、パワーMOSFET形成領域およびセンスMOSFET形成領域において、半導体基板1には、その主面から半導体基板1の厚さ方向に延びる溝(トレンチ)6が形成されている。溝6は、n
+型の半導体領域4の上面からn
+型の半導体領域4およびp型の半導体領域3を貫通し、その下層の半導体基板1中で終端するように形成されている。この溝6の底面および側面には、酸化シリコンなどからなるゲート絶縁膜7が形成されている。また、溝6内には、ゲート絶縁膜7を介して、ドープトポリシリコンなどからなるゲート電極8が埋め込まれている。ゲート電極8は、上記単位トランジスタセルのゲート電極としての機能を有している。
【0158】
半導体基板1の主面上には、ゲート電極8を覆うように、層間絶縁膜9が形成されている。層間絶縁膜9には、コンタクトホール(貫通孔)が形成され、層間絶縁膜9に形成された各コンタクトホールには、導電性のプラグ(ビア部)10が埋め込まれている。
【0159】
プラグ10が埋めこまれた層間絶縁膜9上には、配線M1が形成されている。配線M1は、第1層目の配線層の配線である。
【0160】
層間絶縁膜9上には、配線M1を覆うように、層間絶縁膜11が形成されている。層間絶縁膜11には、スルーホール(貫通孔)が形成され、層間絶縁膜11に形成された各スルーホールには、導電性のプラグ(ビア部)12が埋め込まれている。
【0161】
プラグ12が埋めこまれた層間絶縁膜11上には、配線M2およびパッド電極(ボンディングパッド)P1が形成されている。配線M2は、第2層目の配線層の配線である。
【0162】
配線M1は、導電膜からなるが、具体的には金属膜からなり、好ましくはアルミニウム膜またはアルミニウム合金膜からなる。同様に、配線M2およびパッド電極P1は、導電膜からなるが、具体的には金属膜からり、好ましくはアルミニウム膜またはアルミニウム合金膜からなる。
【0163】
配線M1は、ゲート配線(図示せず)とソース配線M1Sとを含んでいる。配線M2は、ゲート配線(図示せず)とソース配線M2Sとを含んでいる。
【0164】
ソース用のn
+型の半導体領域4は、半導体領域4上に配置されたプラグ10を介して、ソース配線M1Sに電気的に接続され、そのソース配線M1Sに、p
+型の半導体領域5が、半導体領域5上に配置されたプラグ10を介して電気的に接続されている。すなわち、互いに隣り合う半導体領域4と半導体領域5とは、それぞれプラグ10を介して共通のソース配線M1Sに電気的に接続されている。そして、このソース配線M1Sは、ソース配線M1Sとソース配線M2Sとの間に配置されたプラグ12を介して、ソース配線M2Sと電気的に接続されている。
【0165】
p
+型の半導体領域5は、p型の半導体領域3と同じ導電型でかつp型の半導体領域3と接しているため、p
+型の半導体領域5はp型の半導体領域3と電気的に接続されている。このため、ソース配線M2Sは、プラグ12、ソース配線M1Sおよびプラグ10を通じて、ソース用のn
+型の半導体領域4と電気的に接続されるとともに、チャネル形成用のp型の半導体領域3にも電気的に接続されている。
【0166】
パワーMOSFETQ1のソース(パワーMOSFET形成領域の半導体領域4)に電気的に接続されたソース配線M2Sは、パワーMOSFET形成領域のほぼ全体に形成されており、一部が保護膜13の開口部14から露出され、そのソース配線M2Sの露出部によって上記ソース用パッド電極P1Sが形成されている。
【0167】
また、センスMOSFETQ2のソース(センスMOSFET形成領域の半導体領域4)に電気的に接続されたソース配線M2Sは、センスMOSFET形成領域のほぼ全体に形成されており、保護膜13によって覆われているため、露出されない。センスMOSFETQ2のソースに電気的に接続されたソース配線M1S,M2Sは、半導体チップCP1内に形成された制御回路CLCに電気的に接続されている。パワーMOSFETQ1のソースに電気的に接続されたソース配線M1S,M2Sと、センスMOSFETQ2のソースに電気的に接続されたソース配線M1S,M2Sとは、電気的に接続されておらず、分離されている。
【0168】
また、パワーMOSFET形成領域およびセンスMOSFET形成領域に形成されている複数のゲート電極8は、互いに電気的に接続されるとともに、プラグ10、配線M1のうちのゲート配線(図示せず)、プラグ12、および配線M2のうちのゲート配線(図示せず)を介して、半導体チップCP1内に形成された制御回路CLCに電気的に接続されている。
【0169】
層間絶縁膜11上に、配線M2およびパッド電極を覆うように、絶縁性の保護膜(絶縁膜)13が形成されている。保護膜13は、例えば、ポリイミド樹脂などの樹脂膜からなる。この保護膜13は、半導体チップCP1の最上層の膜である。保護膜13には複数の開口部14が形成されており、各開口部14からは、パッド電極P1を構成する導体パターンの一部あるいはソース配線M2Sの一部が露出されている。但し、上記ソース用パッド電極P1Sは、保護膜13の開口部14から露出するソース配線M2Sによって形成され、上記ソース用パッド電極P1S以外のパッド電極P1は、配線M2と同層に形成された導体パターン(パッド電極P1電極用の導体パターン)によって形成されている。上記ソース用パッド電極P1S以外のパッド電極P1を構成する導体パターン(
図32では図示されない)は、配線M2と同層に同工程で形成されており、例えば矩形状の平面形状を有している。開口部14から露出するパッド電極P1(ソース用パッド電極P1Sも含む)の表面には、メッキ法などで金属層(図示せず)を形成する場合もある。
【0170】
また、上記
図9において、上記パワーMOSFETQ1のソース用のパッド電極である複数のソース用パッド電極P1Sは、最上層の保護膜13によって互いに分離されているが、ソース配線M2Sやソース配線M1Sを通じて互いに電気的に接続されている。
【0171】
このような構成の半導体チップCP1においては、上記パワーMOSFETQ1およびセンスMOSFETQ2の単位トランジスタの動作電流は、ドレイン用のn型の半導体基板1とソース用のn
+型の半導体領域4との間をゲート電極8の側面(すなわち、溝6の側面)に沿って半導体基板1の厚さ方向に流れるようになっている。すなわち、チャネルが半導体チップCP1の厚さ方向に沿って形成される。
【0172】
このように、半導体チップCP1は、トレンチ型ゲート構造を有する縦型のMOSFETが形成された半導体チップであり、上記パワーMOSFETQ1およびセンスMOSFETQ2は、それぞれ、トレンチゲート型MISFETによって形成されている。ここで、縦型のMOSFETとは、ソース・ドレイン間の電流が、半導体基板の厚さ方向(半導体基板の主面に略垂直な方向)に流れるMOSFETに対応する。
【0173】
また、半導体チップCP1において、制御回路形成領
域には、上記制御回路CLCを構成する複数のトランジスタや配線M1,M2が形成されているが、ここではその図示および説明は省略する。
【0174】
また、半導体チップCP1は、上記パワーMOSFETQ1を複数内蔵することもできる。
【0175】
<検討例について>
図33は、本発明者が検討した検討例の半導体装置(半導体パッケージ)PKG101の断面図であり、上記
図6に相当する断面図が示されている。
【0176】
図33に示される検討例の半導体装置PKG101は、主として以下の点が、本実施の形態の半導体装置PKGと相違している。
【0177】
すなわち、
図33に示される検討例の半導体装置PKG101は、2つのダイパッドDP101,DP102を有しており、そのうちの一方のダイパッドDP101上に半導体チップCP
1が接合材BD101を介して搭載され、他方のダイパッドDP102上に半導体チップCP
2が接合材BD102を介して搭載されている。ダイパッドDP101とダイパッドDP102とは、一体的に形成されたものではなく、電気的に分離されている。すなわち、ダイパッドDP101,DP102は、封止部MRに封止されているが、ダイパッドDP101とダイパッドDP102とは、間に封止部MRの一部が介在することで、電気的に分離されている。また、封止部MRの裏面では、ダイパッドDP101,DP102の各下面が露出されている。
【0178】
半導体チップCP1の裏面には裏面電極BEが形成されており、接合材BD101は、導電性を有している。このため、半導体チップCP1の裏面電極BEは、導電性の接合材BD101を介してダイパッドDP101と電気的に接続されている。
【0179】
一方、半導体チップCP2の裏面には裏面電極は形成されておらず、また、半導体チップCP2を搭載するダイパッドDP102と半導体チップCP1を搭載するダイパッドDP101とは、電気的に分離されている。このため、接合材BD102は、導電性を有していても、絶縁性を有していてもよい。
【0180】
ダイパッドDP102とダイパッドDP101とは電気的に分離されているため、ダイパッドDP101から導電性の接合材BD101を介して半導体チップCP1の裏面電極BEに供給する電圧が、ダイパッドDP102に供給されることはない。このため、接合材BD102が導電性を有することで、半導体チップCP
2の裏面がダイパッドDP102に電気的に接続されても、半導体チップCP1の裏面電極BEに供給する電圧が、半導体チップCP
2の裏面に供給されずに済むため、半導体チップCP2の動作に不具合が生じずに済む。
【0181】
しかしながら、このような検討例の半導体装置PKG
101においては、次のような課題が生じてしまう。
【0182】
すなわち、半導体チップCP1搭載用のダイパッドDP101と、半導体チップCP2搭載用のダイパッドDP102とがそれぞれ必要になり、ダイパッドDP101とダイパッドDP102とを封止部MRによって離間させる必要があるため、半導体装置PKG
101の平面寸法が大きくなる。このため、半導体装置PKG101の小型化に不利となる。
【0183】
また、ダイパッドDP101用の吊りリードと、ダイパッドDP102用の吊りリードとが、封止部MR内に存在することになるため、吊りリードの数が多い分、リードLDの数が減少してしまう。このため、半導体装置PKG101のピン数(リードLDの数)の増加に不利である。また、吊りリードの数が多くなることも、半導体装置PKG101の平面寸法の増大を招いてしまう。
【0184】
また、ダイパッドDP101とダイパッドDP102との間に挟まれた部分の封止部MRに応力が発生してクラックが生じる虞がある。これは、半導体装置PKG101の信頼性の低下を招いてしまう。
【0185】
また、半導体チップCP1,CP2のそれぞれの寸法に合わせてダイパッドDP101,DP102を設計する必要が生じるため、半導体装置PKG101を製造するのに使用するリードフレームの汎用性が低くなり、半導体装置PKG101の製造コストの増加を招いてしまう。
【0186】
<ダイパッドの共通化とダイボンディング材について>
そこで、本実施の形態の半導体装置PKGでは、半導体チップCP1と半導体チップCP2とを共通のダイパッドDP上に搭載している。
【0187】
これにより、
図33に示される検討例の半導体装置PKG101に比べて、本実施の形態の半導体装置PKGの平面寸法を小さくすることができるため、半導体装置PKGの小型化を図ることができる。また、
図33に示される検討例の半導体装置PKG101に比べて、本実施の形態の半導体装置PKGでは、吊りリードの数を少なくすることができる。このため、半導体装置PKGのピン数(リードLDの数)を増加させることができる。また、
図33に示される検討例の半導体装置PKG101で生じ得る、ダイパッドDP101とダイパッドDP102との間に挟まれた部分の封止部MRにクラックが発生する懸念が、本実施の形態の半導体装置PKGでは無くなるので、半導体装置PKGの信頼性を向上させることができる。また、本実施の形態の半導体装置PKGでは、半導体チップCP1,CP2のそれぞれの寸法に合わせてダイパッドDP101,DP102を設計せずに済むため、半導体装置PKGを製造するのに使用するリードフレームの汎用性が高くなり、半導体装置PKGの製造コストを低減することができる。また、半導体装置PKGの寸法を大きくしなくとも、ダイパッドDPの寸法を、上記ダイパッドDP101の寸法よりも大きくすることができるため、半導体チップCP1で発生した熱を、ダイパッドDPから半導体装置PKGの外部に放出しやすくなり、半導体装置PKGの放熱特性を向上させることができる。
【0188】
上述のように、本実施の形態の半導体装置PKGにおいては、導電性を有するダイパッド上に、半導体チップCP1と半導体チップCP2とが並んで配置されており、半導体チップCP1,CP2のうち、半導体チップCP1は、導電性を有する接合材BD1を介してダイパッドDP上に搭載され、半導体チップCP2は、絶縁性を有する接合材BD2を介してダイパッドDP上に搭載されている。
【0189】
半導体チップCP1は、裏面電極BEを有しており、半導体チップCP1の裏面電極BEを接合材BD1を介してダイパッドDPに電気的に接続する必要がある。このため、半導体チップCP1用のダイボンディング材である接合材BD1は、導電性を有している必要がある。半導体チップCP1の裏面電極BEには、ダイパッドDPおよび接合材BD1を介して、所望の電圧(例えば上記電源BATの電圧)を供給することができる。
【0190】
一方、半導体チップCP2は、裏面電極を有していない。そして、半導体チップCP2を的確に動作させるためには、ダイパッドDPおよび接合材BD1を介して半導体チップCP1の裏面電極BEに供給する電圧が、半導体チップCP
2に供給されないようにすることが望ましい。このため、半導体チップCP2とダイパッドDPとは電気的に絶縁させることが望ましい。従って、半導体チップCP2用のダイボンディング材である接合材BD2は、導電性を有さずに、絶縁性を有している必要がある。
【0191】
このため、ダイパッドDP上に半導体チップCP1,CP2を搭載し、半導体チップCP1用のダイボンディング材に導電性の接合材BD1を用い、半導体チップCP2用のダイボンディング材に絶縁性の接合材BD2を用いている。これにより、半導体チップCP1の裏面電極BEには、ダイパッドDPおよび接合材BD1を介して、所望の電圧(例えば上記電源BATの電圧)を供給することができるとともに、その電圧が半導体チップCP2の裏面には供給されないようにすることができるため、半導体チップCP1と半導体チップCP2の両方を的確に動作させることができるようになる。
【0192】
<静電破壊について>
半導体チップCP2とダイパッドDPとの間には、絶縁性の接合材BD2が介在しており、電気的に絶縁されているが、半導体装置PKGの信頼性を高めるためには、半導体チップCP2とダイパッドDPとの間の耐圧を高めることが望ましい。例えば、半導体チップCP2とダイパッドDPとの間の耐圧が低いと、半導体チップCP2とダイパッドDPとの間で、静電気放電(ESD:Electro-Static Discharge)による破壊である静電破壊が生じる可能性がある。静電破壊が生じないようにするためには、半導体チップCP2とダイパッドDPとの間の耐圧をできるだけ高めることが望ましい。なお、耐圧とは、絶縁耐圧を意味する。
【0193】
上記
図33に示される検討例の半導体装置PKG101では、半導体チップCP2用のダイボンディング材(上記接合材BD102)に絶縁性の接合材を用いた場合は、半導体チップCP2とダイパッドDP102との間で静電破壊が発生する可能性がある。しかしながら、上記
図33に示される検討例の半導体装置PKG101の場合は、半導体チップCP1を搭載したダイパッドDP101と、半導体チップCP2を搭載したダイパッドDP102とが分離されているため、半導体チップCP2は導電性のダイボンディング材(上記接合材BD102)を介してダイパッドDP102上に搭載することができる。この場合、半導体チップCP2とダイパッドDP102とは導電性のダイボンディング材(上記接合材BD102)を介して導通しているため、半導体チップCP2とダイパッドDP102との接合部に電荷がチャージされることはなく、半導体チップCP2とダイパッドDP102との間で静電気放電は発生せず、従って静電破壊は発生しない。このため、上記
図33に示される検討例の半導体装置PKG101では、半導体チップCP2とダイパッドDP102との間の耐圧を気にしないで済む。
【0194】
また、本実施の形態とは異なり、半導体装置PKGが半導体チップCP1を有しておらず、ダイパッドDP上に半導体チップCP1が搭載されずに半導体チップCP2のみが搭載されている場合を仮定する。この場合は、半導体チップCP2は、絶縁性の接合材BD2の代わりに、導電性のダイボンディング材(例えば銀ペースト)を介してダイパッドDP上に搭載することができる。この場合、半導体チップCP2とダイパッドDPとは導電性のダイボンディング材を介して導通しているため、半導体チップCP2とダイパッドDPとの接合部に電荷がチャージされることはなく、半導体チップCP2とダイパッドDPとの間で静電気放電は発生せず、従って静電破壊は発生しない。このため、半導体チップCP2とダイパッドDPとの間の耐圧を気にしないで済む。
【0195】
しかしながら、本実施の形態の場合は、裏面電極BEを有する半導体チップCP1を、半導体チップCP2とともに、共通のダイパッドDP上に並んで搭載している。このため、半導体チップCP1の裏面電極BEに電気的に接続されたダイパッドDP上に半導体チップCP2を搭載することになるため、半導体チップCP2用のダイボンディング材(ここでは接合材BD2)は、導電性を有さずに、絶縁性を有している必要がある。この場合、半導体チップCP2とダイパッドDPとは絶縁性のダイボンディング材(ここでは接合材BD2)を介して絶縁されているため、半導体チップCP2とダイパッドDPとの接合部に電荷がチャージされる虞があり、半導体チップCP2とダイパッドDPとの間で静電気放電が生じて静電破壊が発生する虞がある。
【0196】
つまり、導電性のダイパッド上に導電性のダイボンディング材を介して半導体チップを搭載した場合は、その半導体チップとダイパッドとの間で静電破壊が生じる懸念は無いが、導電性のダイパッド上に絶縁性のダイボンディング材を介して半導体チップを搭載した場合は、その半導体チップとダイパッドとの間で静電破壊が生じるリスクがある。しかしながら、上述したように、半導体チップCP2は、絶縁性のダイボンディング材を介して導電性のダイパッドDP上に搭載せざるを得ない。
【0197】
このため、半導体装置PKGの信頼性を向上させるためには、半導体チップCP2とダイパッドDPとの間の耐圧をできるだけ高めて、半導体チップCP2とダイパッドDPとの間で静電破壊が発生しないようにすることが望ましい。従って、半導体チップCP2とダイパッドDPとの間の静電破壊を防止するために、半導体装置PKGの正常動作時に半導体チップCP1の裏面電極BEに供給される電圧(例えば数十V程度)よりもかなり高い電圧(例えば2000V以上)が半導体チップCP2とダイパッドDPとの間に印加されても、半導体チップCP2とダイパッドDPとの間が絶縁破壊しないようにすることが望まれる。
【0198】
<半導体チップCP2と接合材BD2について>
図34および
図35は、半導体装置PKGの一部を拡大して示す平面透視図である。
図34には、ダイパッドDP上に接合材BD2を介して搭載された半導体チップCP2が拡大して示され、また、
図35には、ダイパッドDP上に接合材BD1を介して搭載された半導体チップCP1が拡大して示されている。但し、
図34および
図35では、上記
図3と同様に、封止部MRおよびワイヤBWを透視している。このため、
図34では、半導体チップCP2と接合材BD2が図示され、
図35では、半導体チップCP1と接合材BD1が図示されている。
【0199】
図36および
図37は、半導体装置PKGの一部を拡大して示す斜視図であるが、封止部MRは透視してある。ここで、
図36は、
図34の矢印F1,F2,F3,F4のいずれかの方向から半導体チップCP2を見たときの斜視図に対応し、
図37は、
図35の矢印H1,H2,H3,H4のいずれかの方向から半導体チップCP1を見たときの斜視図に対応している。このため、
図36は、半導体チップCP2の辺SD2を正面に見た斜視図が示され、
図37は、半導体チップCP1の辺SD1を正面に見た斜視図が示されている。
【0200】
図38および
図39は、半導体装置PKGの一部を拡大して示す断面図である。
図38は、
図34のE1−E1線、E2−E2線、E3−E3線およびE4−E4線のいずれかの断面図に対応し、
図39は、
図35のG1−G1線、G2−G2線、G3−G3線およびG4−G4線のいずれかの断面図に対応している。このため、
図38は、半導体チップCP2の辺SD2に沿った断面が示され、
図39は、半導体チップCP1の辺SD1に沿った断面が示されている。
【0201】
本発明者は、共通のダイパッドDP上に半導体チップCP1と半導体チップCP2とを搭載した場合には、半導体チップCP2用のダイボンディング材に絶縁性のダイボンディング材を用いる必要があることに起因して、半導体チップCP2とダイパッドDPとの間で静電破壊が生じるリスクがあることから、半導体チップCP2とダイパッドDPとの間の耐圧を高めることを検討した。その結果、半導体チップCP2とダイパッドDPとの間の耐圧を高めるためには、半導体チップCP2の辺SD2を、絶縁性の接合材BD2でできるだけ覆うようにすることが有効であることを見出した。
【0202】
ここで、半導体チップCP2の辺(角)SD2は、半導体チップCP2の2つの側面が交差して形成される辺(角)に対応している(
図34、
図36および
図38参照)。半導体チップCP2は、4つの側面SM5,SM6,SM7,SM8を有しているため、隣り合う側面(SM5,SM6,SM7,SM8)同士が交差して形成される辺SD2も4つある。すなわち、半導体チップCP2の辺SD2には、側面SM5と側面SM6とが交差して形成される辺SD2(SD2a)と、側面SM6と側面SM7とが交差して形成される辺SD2(SD2b)と、側面SM7と側面SM8とが交差して形成される辺SD2(SD2c)と、側面SM8と側面SM5とが交差して形成される辺SD2(SD2d)とがある。
【0203】
ここで、半導体チップCP2において、側面SM5と側面SM6とが交差して形成される辺SD2を、符号SD2aを付して辺SD2aと称し、側面SM6と側面SM7とが交差して形成される辺SD2を、符号SD2bを付して辺SD2bと称することとする。また、半導体チップCP2において、側面SM7と側面SM8とが交差して形成される辺SD2を、符号SD2cを付して辺SD2cと称し、側面SM8と側面SM5とが交差して形成される辺SD2を、符号SD2dを付して辺SD2dと称することとする。辺SD2aは、側面SM5と側面SM6との間に存在し、辺SD2bは、側面SM6と側面SM7との間に存在し、辺SD2cは、側面SM7と側面SM8との間に存在し、辺SD2dは、側面SM8と側面SM5との間に存在する。
【0204】
また、半導体チップCP1の辺(角)SD1は、半導体チップCP1の2つの側面が交差して形成される辺(角)に対応している(
図35、
図37および
図39参照)。半導体チップCP1は、4つの側面SM1、SM2,SM3,SM4を有しているため、隣り合う側面(SM1,SM2,SM3,SM4)同士が交差して形成される辺SD1も4つある。すなわち、半導体チップCP1の辺SD1には、側面SM1と側面SM2とが交差して形成される辺SD1(SD1a)と、側面SM2と側面SM3とが交差して形成される辺SD1(SD1b)と、側面SM3と側面SM4とが交差して形成される辺SD1(SD1c)と、側面SM4と側面SM1とが交差して形成される辺SD1(SD1d)とがある。
【0205】
ここで、半導体チップCP1において、側面SM1と側面SM2とが交差して形成される辺SD1を、符号SD1aを付して辺SD1aと称し、側面SM2と側面SM3とが交差して形成される辺SD1を、符号SD1bを付して辺SD1bと称することとする。また、半導体チップCP1において、側面SM3と側面SM4とが交差して形成される辺SD1を、符号SD1cを付して辺SD1cと称し、側面SM4と側面SM1とが交差して形成される辺SD1を、符号SD1dを付して辺SD1dと称することとする。辺SD1aは、側面SM1と側面SM2との間に存在し、辺SD1bは、側面SM2と側面SM3との間に存在し、辺SD1cは、側面SM3と側面SM4との間に存在し、辺SD1dは、側面SM4と側面SM1との間に存在する。
【0206】
本発明者の検討によれば、半導体チップCP2とダイパッドDPとの間で静電破壊のような絶縁破壊が発生する経路は、接合材BD2中ではなく、主として接合材BD2と封止部MRとの間の界面(境界面)KMであることが分かった。すなわち、
図38において、半導体チップCP2とダイパッドDPとの間のリークパスは、接合材BD2と封止部MRとの間の界面KMであり、半導体チップCP2とダイパッドDPとの間に挟まれた接合材BD2の内部は、リークパスとはなりにくい。このため、半導体チップCP2とダイパッドDPとの間に高電圧が印加されると、接合材BD2と封止部MRとの間の界面KMがリークパスとなって、静電破壊のような絶縁破壊が発生しやすい。
【0207】
また、半導体チップCP2とダイパッドDPとの間に高電圧が印加された際に、半導体チップCP2において電界が集中しやすいのは、半導体チップCP2における尖った部分(角部)であり、具体的には、半導体チップCP2の辺SD2で電界が集中しやすく、特に、半導体チップCP2の辺SD2の下端LEで電界が集中しやすい。ここで、半導体チップCP2の辺SD2の下端LEは、
図36および
図38に示されており、半導体チップCP2において、辺SD2を介して隣り合う2つの側面と裏面とが交差する点(角部)に対応している。すなわち、半導体チップCP2の辺SD2の下端LEは、半導体チップCP2の裏面の四隅角部の先端に対応している。
【0208】
これらの知見から、半導体チップCP2とダイパッドDPとの間の耐圧を高めるためには、半導体チップCP2の辺SD2を、絶縁性の接合材BD2でできるだけ覆うようにすることが有効であることを見出した。すなわち、半導体チップCP2の辺SD2における接合材BD2で覆われた部分の長さL2を大きくすることが、半導体チップCP2とダイパッドDPとの間の耐圧を高めるために有効であることが分かった。以下、その理由について、より詳細に説明する。
【0209】
すなわち、上述のように、半導体チップCP2とダイパッドDPとの間に高電圧が印加された際には、半導体チップCP2の辺SD2の下端LEに特に電界が集中する。また、接合材BD2と封止部MRとの間の界面KMは、リークパスとなりやすい。このため、もしも、電界集中する下端LEが、リークパスになりやすい界面KMに近ければ、半導体チップCP2の辺SD2の下端LEとダイパッドDPとの間で、接合材BD2と封止部MRとの間の界面KMを経由してリークしてしまい、静電破壊のような絶縁破壊が発生しやすくなる。このため、電界が集中しやすい半導体チップCP2の辺SD2の下端LEから、リークパスとなりやすい界面KMを遠ざけることが、半導体チップCP2とダイパッドDPとの間の耐圧を高めるため有効となる。
【0210】
それに対して、半導体チップCP2の辺SD2における接合材BD2で覆われた部分の長さL2を大きくすれば、半導体チップCP2の辺SD2の下端LEから、接合材BD2と封止部MRとの間の界面KMまでの距離を大きくすることができる。これにより、半導体チップCP2とダイパッドDPとの間に高電圧が印加された際に、半導体チップCP2の辺SD2の下端LEとダイパッドDPとの間で、接合材BD2と封止部MRとの間の界面KMを経由して静電破壊のような絶縁破壊が発生するのを、抑制または防止することができる。このため、半導体チップCP2とダイパッドDPとの間の耐圧を向上させることができる。従って、半導体装置PKGの信頼性を向上させることができる。
【0211】
また、上述のように、半導体チップCP2とダイパッドDPとの間に高電圧が印加されると、接合材BD2と封止部MRとの間の界面KMがリークパスとなって、静電破壊のような絶縁破壊が発生しやすい。このため、接合材BD2と封止部MRとの間の界面KMに沿った半導体チップCP2の辺SD2からダイパッドDPまでの距離L3を大きくすることも、接合材BD2と封止部MRとの間の界面KMに沿って絶縁破壊が生じるのを抑制し、半導体チップCP2とダイパッドDPとの間の耐圧を高めるために有効である。
【0212】
それに対して、半導体チップCP2の辺SD2における接合材BD2で覆われた部分の長さL2を大きくすれば、接合材BD2と封止部MRとの間の界面KMに沿った半導体チップCP2の辺SD2からダイパッドDPまでの距離L3を大きくすることができる。すなわち、半導体チップCP2の辺SD2における接合材BD2で覆われた部分の長さL2を変えても、界面KMとダイパッドDPの上面とが成す角度θはあまり変化しない。このため、接合材BD2と封止部MRとの間の界面KMに沿った半導体チップCP2の辺SD2からダイパッドDPまでの距離L3を大きくするには、半導体チップCP2の辺SD2における接合材BD2で覆われた部分の長さL2を大きくする必要がある。つまり、長さL2を大きくすれば、界面KMに沿った半導体チップCP2の辺SD2からダイパッドDPまでの距離L3を大きくすることができるため、半導体チップCP2とダイパッドDPとの間に高電圧が印加された際に、半導体チップCP2とダイパッドDPとの間で、界面KMを経由して静電破壊のような絶縁破壊が発生するのを、抑制または防止することができる。このため、半導体チップCP2とダイパッドDPとの間の耐圧を向上させることができる。従って、半導体装置PKGの信頼性を向上させることができる。
【0213】
また、上述のように、半導体チップCP2とダイパッドDPとの間に高電圧が印加された際には、半導体チップCP2の辺SD2で電界が集中しやすい。また、封止部MRを構成する材料の耐圧(単位距離当たりの絶縁耐圧)に比べて、接合材BD2を構成する材料の耐圧(単位距離当たりの絶縁耐圧)の方が高い。なぜなら、封止部MRについては、封止工程(モールド工程)での封止部MRの形成しやすさを考慮して材料選択する必要があり、耐圧を考慮して封止部MRの材料を変更することは難しく、一方、接合材BD2については、封止体ではないため、接合材BD2の材料を工夫しやすく、耐圧が高い材料を選択することが可能だからである。このため、電界集中しやすい半導体チップCP2の辺SD2は、耐圧が低い封止部MRで覆うよりも、耐圧が高い接合材BD2で覆った方が、半導体チップCP2とダイパッドDPとの間に高電圧が印加された際に、半導体チップCP2とダイパッドDPとの間で静電破壊のような絶縁破壊が発生するのを、抑制しやすくなる。
【0214】
それに対して、半導体チップCP2の辺SD2における接合材BD2で覆われた部分の長さL2を大きくすれば、電界集中しやすい半導体チップCP2の辺SD2のうち、耐圧が高い接合材BD2で覆われた部分の比率を大きくすることができる。これにより、半導体チップCP2とダイパッドDPとの間に高電圧が印加された際に、半導体チップCP2とダイパッドDPとの間で静電破壊のような絶縁破壊が発生するのを、抑制または防止することができる。このため、半導体チップCP2とダイパッドDPとの間の耐圧を向上させることができる。従って、半導体装置PKGの信頼性を向上させることができる。
【0215】
このように、半導体チップCP2の辺SD2における接合材BD2で覆われた部分の長さL2を大きくすることが、半導体チップCP2とダイパッドDPとの間の耐圧を高めるために有効である。
【0216】
<半導体チップCP1と接合材BD1について>
一方、半導体チップCP1については、導電性の接合材BD1を介してダイパッドDP上に搭載されているため、半導体チップCP1の裏面電極BEとダイパッドDPとは、導電性の接合材BD1を介して導通しており、半導体チップCP1とダイパッドDPとの間で静電破壊のような絶縁破壊が生じることはない。このため、半導体チップCP1とダイパッドDPとの間の耐圧を気にする必要はない。従って、半導体チップCP1の辺SD1における接合材BD1で覆われた部分の長さL1を大きくする必要はない。
【0217】
また、半導体チップCP1用のダイボンディング材である接合材BD1は、導電性を有している。半導体チップCP1の表面に、導電性のダイボンディング材の一部が付着してしまうと、半導体チップCP1のパッド電極P1同士の短絡などを招く虞がある。これは、半導体装置PKGの信頼性を低下させ、また、半導体装置PKGの製造歩留まりを低減させてしまう。このため、半導体チップCP1の表面に導電性のダイボンディング材が付着することは、できるだけ防止することが必要である。
【0218】
そこで、半導体チップCP1の辺SD1における接合材BD1で覆われた部分の長さL1は、小さくすることが好ましい。なぜなら、半導体チップCP1の辺SD1における接合材BD1で覆われた部分の長さL1が大きくするほど、半導体チップCP1の表面に導電性の接合材BD1の一部が付着してしまう可能性が高くなるからである。このため、半導体チップCP1の辺SD1における接合材BD1で覆われた部分の長さL1を小さくすることにより、半導体チップCP1の表面に導電性の接合材BD1の一部が付着してしまう可能性を低くすることができる。これにより、半導体チップCP1の表面に導電性の接合材BD1の一部が付着してしまうのを抑制または防止することができるため、半導体装置PKGの信頼性を向上させることができる。また、半導体装置PKGの製造歩留まりを向上させることができる。
【0219】
一方、半導体チップCP2については、絶縁性のダイボンディング材を用いている。このため、たとえ半導体チップCP2の表面にダイボンディング材(ここでは接合材BD2)の一部が付着したとしても、そのダイボンディング材は絶縁性のため、パッド電極P2同士の電気的な短絡にはつながらない。このため、半導体チップCP2の表面に絶縁性のダイボンディング材の一部が付着することは、半導体チップCP1の表面に導電性のダイボンディング材の一部が付着することに比べると、問題は生じにくい。
【0220】
<主要な特徴と効果について>
そこで、本実施の形態では、主要な特徴のうちの一つとして、半導体チップCP1の辺SD1における接合材BD1で覆われた部分の長さL1よりも、半導体チップCP2の辺SD2における接合材BD2で覆われた部分の長さL2を大きくしている(すなわちL2>L1)。
【0221】
すなわち、本実施の形態の半導体装置PKGは、導電性を有するダイパッドDP(チップ搭載部)と、ダイパッドDP上に、絶縁性を有する接合材BD2(第1接合材)を介して搭載された半導体チップCP2(第1半導体チップ)と、ダイパッドDP上に、導電性を有する接合材BD1(第2接合材)を介して搭載された半導体チップCP1(第2半導体チップ)と、を備えている。半導体装置PKGは、更に、半導体チップCP1、半導体チップCP2、およびダイパッドDPの少なくとも一部を封止する封止部MR(封止体)を備えている。半導体チップCP1は、裏面電極BEを有し、半導体チップCP1の裏面電極BEが、接合材BD1を介してダイパッドDPと電気的に接続されている。そして、半導体チップCP2の第1側面と第2側面とが交差して形成される辺SD2(第1の辺)における、接合材BD2で覆われた部分の長さL2(第1の長さ)は、半導体チップCP1の第3側面と第4側面とが交差して形成される辺SD1(第2の辺)における、接合材BD1で覆われた部分の長さL1(第2の長さ)よりも大きい(L2>L1)。
【0222】
本実施の形態では、共通のダイパッドDP上に搭載した半導体チップCP1,CP2のうち、絶縁性の接合材BD2で搭載した半導体チップCP2については、半導体チップCP2とダイパッドDPとの間の耐圧を高めるために、長さL2を長さL1よりも大きくしている。そして、共通のダイパッドDP上に搭載した半導体チップCP1,CP2のうち、導電性の接合材BD1で搭載した半導体チップCP1については、半導体チップCP1の表面に導電性の接合材BD1の一部が付着するのを防止するために、長さL1を長さL2よりも小さくしている。これにより、半導体チップCP2とダイパッドDPとの間の耐圧を向上させることができるため、半導体チップCP2とダイパッドDPとの間で静電破壊のような絶縁破壊が生じるのを抑制または防止することができ、また、半導体チップCP1の表面に導電性の接合材BD1の一部が付着してしまうのを抑制または防止することができる。従って、半導体装置PKGの総合的な信頼性を向上させることができる。
【0223】
つまり、半導体チップCP1,CP2のうち、半導体チップCP2については、絶縁性のダイボンディング材を用いているため、ダイパッドDPとの間の耐圧を向上させることが重要であり、半導体チップCP1については、導電性のダイボンディング材を用いているため、半導体チップCP1の表面に導電性のダイボンディング材が付着しないようにすることが重要である。本実施の形態では、半導体チップCP1の辺SD1における接合材BD1で覆われた部分の長さL1よりも、半導体チップCP2の辺SD2における接合材BD2で覆われた部分の長さL2を大きく(L2>L1)することにより、半導体チップCP1,CP2のそれぞれに対する上述した異なる要求を満足させることができ、半導体装置PKGの総合的な信頼性を向上させることができる。
【0224】
ここで、共通のダイパッドDP上に半導体チップCP1を導電性のダイボンディング材で搭載し、かつ、半導体チップCP2を絶縁性のダイボンディング材で搭載する場合、もしも半導体チップCP2とダイパッドDPとの間の静電破壊の課題に気付かなければ、上述したL2>L1の関係にすべきであるという本実施の形態の技術思想に至ることはできない。なぜなら、半導体チップの表面にダイボンディング材が付着することは、そのダイボンディング材が導電性であろうと絶縁性であろうと、避けるのが一般的な考え方だからである。このため、半導体チップCP2とダイパッドDPとの間の静電破壊の課題に気付かなければ、半導体チップCP2においても、辺SD2における接合材BD2で覆われた部分の長さL2をできるだけ小さくするのが、順当な考え方である。
【0225】
しかしながら、本発明者は、共通のダイパッドDP上に半導体チップCP1を導電性のダイボンディング材で搭載し、かつ、半導体チップCP2を絶縁性のダイボンディング材で搭載する場合、半導体チップCP2とダイパッドDPとの間の静電破壊の課題が発生することに気付き、それに対処するために、上記長さL2を大きくしている。一方、半導体チップCP1とダイパッドDPとの間では静電破壊が発生しないことを考慮し、更に、半導体チップの表面に絶縁性のダイボンディング材が付着することに比べて、半導体チップの表面に導電性のダイボンディング材が付着した場合は、パッド電極P1間の短絡などの大きな問題が生じ得ることを考慮し、上記長さL1を小さくしている。
【0226】
従って、半導体チップCP2を含まずに半導体チップCP1のみを含む半導体パッケージと、半導体チップCP1を含まずに半導体チップCP2のみを含む半導体パッケージとを、別々に用意するような状況からは、本願の課題を認識できないため、本実施の形態の技術思想に至ることはできないものと言える。また、共通のダイパッドDP上に半導体チップCP1を導電性のダイボンディング材で搭載し、かつ、半導体チップCP2を絶縁性のダイボンディング材で搭載する場合においても、半導体チップCP2とダイパッドDPとの間の静電破壊の課題に気付かなければ、本実施の形態の技術思想に至ることはできないものと言える。つまり、共通のダイパッドDP上に、半導体チップCP1を導電性のダイボンディング材で搭載し、かつ、半導体チップCP2を絶縁性のダイボンディング材で搭載する場合について検討し、半導体チップCP2とダイパッドDPとの間の静電破壊の課題に気付いたからこそ、本実施の形態の技術思想に至ることができたと言える。
【0227】
また、半導体チップCP2の辺SD2には、4つの辺SD2a,SD2b,SD2c,SD2dがあり、半導体チップCP1の辺SD1には、4つの辺SD1a,SD1b,SD1c,SD1dがある。
【0228】
半導体チップCP2の4つの辺SD2a,SD2b,SD2c,SD2dにおいて、接合材BD2で覆われた部分の長さL2が小さな辺があると、その辺とダイパッドDPとの間で、耐圧が低くなってしまう。このため、半導体チップCP2の4つの辺SD2a,SD2b,SD2c,SD2dのいずれにおいても、接合材BD2で覆われた部分の長さL2が大きいことが望ましく、これにより、半導体チップCP2とダイパッドDPとの間の耐圧を的確に高めることができるようになる。
【0229】
また、半導体チップCP1の4つの辺SD1a,SD1b,SD1c,SD1dにおいて、接合材BD1で覆われた部分の長さL1が大きな辺があると、それに起因して、半導体チップCP1の表面に導電性の接合材BD1の一部が付着してしまう虞がある。このため、半導体チップCP1の4つの辺SD1a,SD1b,SD1c,SD1dのいずれにおいても、接合材BD1で覆われた部分の長さL1が小さいことが望ましく、これにより、半導体チップCP1の表面に導電性の接合材BD1の一部が付着してしまうのを的確に防止することができる。
【0230】
従って、半導体チップCP2の4つの辺SD2a,SD2b,SD2c,SD2dのうちの任意の辺SD2と、半導体チップCP1の4つの辺SD1a,SD1b,SD1c,SD1dのうちの任意の辺SD1とを比べる場合を仮定する。そのとき、いずれの辺SD1,SD2を選択したとしても、その任意の辺SD2における接合材BD2で覆われた部分の長さL2と、任意の辺SD1における接合材BD1で覆われた部分の長さL1とは、L2>L1の関係が必ず成り立つことが好ましい。つまり、L2>L1の関係は、半導体チップCP2の4つの辺SD2a,SD2b,SD2c,SD2dと、半導体チップCP1の4つの辺SD1a,SD1b,SD1c,SD1dとの、いずれの組み合わせでも成り立つことが好ましい。
【0231】
ここで、半導体チップCP2において、辺SD2aにおける接合材BD2で覆われた部分の長さL2と、辺SD2bにおける接合材BD2で覆われた部分の長さL2と、辺SD2cにおける接合材BD2で覆われた部分の長さL2と、辺SD2dにおける接合材BD2で覆われた部分の長さL2とのうち、最も小さな値を、最小値L2minと称することとする。また、半導体チップCP1において、辺SD1aにおける接合材BD1で覆われた部分の長さL1と、辺SD1bにおける接合材BD1で覆われた部分の長さL1と、辺SD1cにおける接合材BD1で覆われた部分の長さL1と、辺SD1dにおける接合材BD1で覆われた部分の長さL1とのうち、最も大きな値を、最大値L1maxと称することとする。このとき、最小値L2minは、最大値L1maxよりも大きいことが好ましい(すなわちL2min>L1max)。つまり、半導体チップCP2の辺SD2a,SD2b,SD2c,SD2dにおける接合材BD2で覆われた部分の長さL2の最小値L2minは、半導体チップCP1の辺SD1a,SD1b,SD1c,SD1dにおける接合材BD1で覆われた部分の長さL1の最大値L1maxよりも大きい(L2min>L1max)ことが好ましい。
【0232】
これにより、半導体チップCP2とダイパッドDPとの間の耐圧を的確に向上させることができるとともに、半導体チップCP1の表面に導電性の接合材BD1の一部が付着してしまうのを的確に抑制または防止することができる。従って、半導体装置PKGの総合的な信頼性を的確に向上させることができる。
【0233】
また、上述のように、半導体チップCP2の辺SD2における接合材BD2で覆われた部分の長さL2を大きくすることで、半導体チップCP2とダイパッドDPとの間の耐圧を向上させることができる。この耐圧向上効果を的確に得るためには、半導体チップCP2の辺SD2における接合材BD2で覆われた部分の長さL2は、半導体チップCP2の厚みT2の1/2以上(すなわちL2≧T2×1/2)であることが好ましい(
図38参照)。また、半導体チップCP2の4つの辺SD2a,SD2b,SD2c,SD2dのいずれにおいても、接合材BD2で覆われた部分の長さL2が、半導体チップCP2の厚みT2の1/2以上(すなわちL2≧T2×1/2)であれば、更に好ましい。つまり、上記最小値L2minが半導体チップCP2の厚みT2の1/2以上(すなわちL2min≧T2×1/2)であれば、更に好ましい。これにより、半導体チップCP2とダイパッドDPとの間の耐圧をより的確に向上させることができるため、半導体チップCP2とダイパッドDPとの間で静電破壊のような絶縁破壊が生じるのをより的確に抑制または防止することができる。従って、半導体装置PKGの信頼性をより的確に向上させることができる。
【0234】
また、上述のように、半導体チップCP1の辺SD1における接合材BD1で覆われた部分の長さL1を小さくすることにより、半導体チップCP1の表面に導電性の接合材BD1の一部が付着してしまう可能性を低くすることができる。このため、半導体チップCP1の辺SD1における接合材BD1で覆われた部分の長さL1は、半導体チップCP1の厚みT1の1/2未満(すなわちL1<T1×1/2)であることが好ましく、半導体チップCP1の厚みT1の1/4以下(すなわちL1≦T1×1/4)であれば更に好ましい(
図39参照)。また、半導体チップCP1の4つの辺SD1a,SD1b,SD1c,SD1dのいずれにおいても、接合材BD1で覆われた部分の長さL1が、半導体チップCP1の厚みT1の1/2未満(すなわちL1<T1×1/2)であれば、より好ましく、半導体チップCP1の厚みT1の1/4以下(すなわちL1≦T1×1/4)であれば、更に好ましい。つまり、上記最大値L1maxが、半導体チップCP1の厚みT1の1/2未満(すなわちL1max<T1×1/2)であれば、より好ましく、半導体チップCP1の厚みT1の1/4以下(すなわちL1max≦T1×1/4)であれば、更に好ましい。これにより、半導体チップCP1の表面に導電性の接合材BD1の一部が付着してしまうのをより的確に抑制または防止することができる。従って、半導体装置PKGの信頼性をより的確に向上させることができる。また、半導体装置PKGの製造歩留まりをより的確に向上させることができる。なお、半導体チップCP1は、裏面電極BEを有しているため、半導体チップCP1の厚みT1は、裏面電極BEの厚みも含んでいる。
【0235】
なお、半導体チップCP1の辺SD1における接合材BD1で覆われた部分の長さL1は、ゼロ(すなわちL1=0)であってもよい。L1=0の場合は、半導体チップCP1の辺SD1は、接合材BD1で覆われていない。
【0236】
また、本実施の形態は、接合材BD2の耐圧(単位距離当たりの耐圧)が、封止部MRの耐圧(単位距離当たりの耐圧)よりも大きい場合に適用すれば、その効果は極めて大きい。言い換えると、本実施の形態は、封止部MRの耐圧(単位距離当たりの耐圧)が、接合材BD2の耐圧(単位距離当たりの耐圧)よりも小さい場合に適用すれば、その効果は極めて大きい。
【0237】
封止部MRについては、封止工程(モールド工程)での封止部MRの形成しやすさを考慮して材料選択する必要があり、耐圧を考慮して封止部MRの材料を変更することは難しく、一方、接合材BD2については、封止体ではないため、接合材BD2の材料を工夫しやすく、耐圧が高い材料を選択することが可能である。このため、半導体装置PKGの各部材の耐圧に着目すると、封止部MRの耐圧(単位距離当たりの耐圧)は、接合材BD2の耐圧(単位距離当たりの耐圧)よりも小さくなることが想定される。封止部MRの耐圧(単位距離当たりの耐圧)は、例えば10〜30kV/mm程度であり、接合材BD2の耐圧(単位距離当たりの耐圧)は、例えば80〜150kV/mm程度である。
【0238】
封止部MRの耐圧(単位距離当たりの耐圧)が、接合材BD2の耐圧(単位距離当たりの耐圧)よりも小さいと、接合材BD2と封止部MRとの間の界面KMで静電破壊のような絶縁破壊が発生しやすくなる。それに対して、本実施の形態では、上述のように半導体チップCP2の辺SD2における接合材BD2で覆われた部分の長さL2を大きくすることにより、接合材BD2と封止部MRとの間の界面KMがリークパスとなって、静電破壊のような絶縁破壊が発生するのを抑制または防止することができる。このため、たとえ封止部MRの耐圧が、接合材BD2の耐圧よりも小さくとも、半導体チップCP2とダイパッドDPとの間で静電破壊のような絶縁破壊が発生するのを抑制または防止することができ、半導体装置PKGの信頼性を向上させることができる。従って、封止部MRの耐圧(単位距離当たりの耐圧)が、接合材BD2の耐圧(単位距離当たりの耐圧)よりも小さい場合に本実施の形態を適用すれば、その効果は極めて大きい。
【0239】
図40は、本実施の形態の効果の一例を示す表が示されている。
図40に示されるサンプルAとサンプルBは、半導体装置PKGにおいて、接合材BD2の状態を変えた場合に対応している。すなわち、サンプルAとサンプルBは、ともに半導体チップCP2の厚みT2は約400μmである。そして、サンプルAの場合は、半導体チップCP2の辺SD2における接合材BD2で覆われた部分の長さL2が約60μmであり、長さL2が小さいことを反映して、上記距離L3も小さく、上記距離L3は約85μmである。また、サンプルBの場合は、半導体チップCP2の辺SD2における接合材BD2で覆われた部分の長さL2が250μmであり、長さL2が大きいことを反映して上記距離L3も大きく、上記距離L3は約320μmである。
【0240】
サンプルAの場合は、半導体チップCP2とダイパッドDPとの間の絶縁耐圧は約1300Vであったが、サンプルBの場合は、5000Vが印加されても、半導体チップCP2とダイパッドDPとの間で絶縁破壊は発生せず、半導体チップCP2とダイパッドDPとの間の絶縁耐圧は5000V以上であった。
【0241】
サンプルBのように、半導体チップCP2の辺SD2における接合材BD2で覆われた部分の長さL2を大きくすることにより、好ましくは半導体チップCP2の厚みT2の1/2以上(L2≧T2×1/2)にすることにより、半導体チップCP2とダイパッドDPとの間の絶縁耐圧を向上させることができ、半導体装置の信頼性を向上させることができる。
【0242】
また、半導体チップCP2とダイパッドDPとの間の要求耐圧(ESD規格)をV1とし、封止部MRの単位距離当たりの耐圧をV2とし、接合材BD2の単位距離当たりの耐圧をV3とし、半導体チップCP2とダイパッドDPとの間の距離(間隔)をL4としたときには、次の式(1)
V2×L3≧V1 ・・・式(1)
と、次の式(2)
V3×L4≧V1 ・・・式(2)
とが成り立つことが好ましい。なお、半導体チップCP2とダイパッドDPとの間の距離(間隔)L4は、ダイパッドDPと半導体チップCP2との間に介在する部分の接合材BD2の厚みにも対応している。
【0243】
例えば、要求耐圧V1が2000Vで、封止部MRの単位距離当たりの耐圧V2が約14kV/mmの場合は、距離L3を約150μm以上とすることが好ましい。つまり、距離L3が約150μm以上となるまで、上記長さL2を大きくすればよい。これにより、上記式(1)を満足するため、半導体チップCP2とダイパッドDPとの間の界面KMを介した半導体チップCP2とダイパッドDPとの間の耐圧を、要求耐圧V1以上にすることができる。
【0244】
また、例えば、要求耐圧V1が2000Vで、接合材BD2の単位距離当たりの耐圧V3が約90kV/mmの場合は、距離L4を約23μm以上とすることが好ましい。つまり、ダイパッドDPと半導体チップCP2との間に介在する部分の接合材BD2の厚みを、約23μm以上とすることが好ましい。これにより、上記式(2)を満足するため、半導体チップCP2とダイパッドDPとの間の接合材BD2を介した半導体チップCP2とダイパッドDPとの間の耐圧を、要求耐圧V1以上にすることができる。
【0245】
従って、式(1)と式(2)との両方を満足するように、距離L3と距離L4とを設定すれば、半導体チップCP2とダイパッドDPとの間の耐圧を、要求耐圧V1以上にすることができる。
【0246】
また、本実施の形態では、半導体チップCP1の辺SD1における接合材BD1で覆われた部分の長さL1よりも、半導体チップCP2の辺SD2における接合材BD2で覆われた部分の長さL2を大きく(L2>L1)しているが、これを的確に実現できるように、半導体装置PKGの製造工程を工夫している。これについて、以下に説明する。
【0247】
上記ステップS2aでダイパッドDP上に絶縁性の接合材BD2を供給してから、上記ステップS2bでダイパッドDP上に接合材BD2を介して半導体チップCP2を搭載する。ここで特徴的なのは、このステップS2aでは、ステップS2bでダイパッドDP上に半導体チップCP2を搭載した際に平面視において半導体チップCP2の四隅が重なる位置にも、接合材BD2が供給されることである(
図21および
図29参照)。
【0248】
上記
図21および
図29には、ステップS2aを行った直後の状態が示されており、従ってステップS2bはまだ行われていない。なお、上記
図21の場合は、接合材供給用のノズルからダイパッドDP上に接合材BD2を供給した場合が示され、上記
図29の場合は、印刷法によりダイパッドDP上に接合材BD2を供給した場合が示されている。また、
図21および
図29においては、ステップS2bで半導体チップCP2が搭載される位置を点線で示してある。
【0249】
図21の場合は、ステップS2aにおいて、ノズルから接合材BD2をダイパッドDP上に供給しているため、接合材BD2は、ダイパッドDPの上面上に局所的に配置されることになる。このため、ノズルから接合材BD2を供給する場合は、ダイパッドDPの上面上において、複数箇所に接合材BD2を供給(配置)することが好ましく、
図21の場合は、ダイパッドDPの上面上において、9か所に接合材BD2を供給(配置)している。このとき、ステップS2bで半導体チップCP2が搭載される予定の領域(半導体チップCP2搭載予定領域)から、接合材BD2の一部がはみ出しており、平面視において後で搭載する半導体チップCP2の四隅が重なる位置にも、ステップS2aで接合材BD2が供給(配置)されている。
【0250】
ここで、半導体チップCP2搭載予定領域とは、ステップS2bでダイパッドDP上に半導体チップCP2を搭載した際に平面視において半導体チップCP2に重なる領域に対応しており、
図21および
図29において、点線で囲まれた領域に対応している。
【0251】
図29の場合は、ステップS2aにおいて、印刷法により接合材BD2をダイパッドDP上に供給しているため、接合材BD2は、ダイパッドDPの上面上に局所的に配置されるのではなく、比較的広い面積にわたって配置される。
図29の場合は、平面視において、接合材BD2が供給(配置)されている領域は、ステップS2bで半導体チップCP2が搭載される予定の領域(半導体チップCP2搭載予定領域)を内包している。このため、半導体チップCP2搭載予定領域から、接合材BD2の一部がはみ出しており、平面視において後で搭載する半導体チップCP2の四隅が重なる位置にも、ステップS2aで接合材BD2が供給(配置)されている。
【0252】
図21と
図29とで共通しているのは、平面視において、点線で示される半導体チップCP2搭載予定領域の四隅が、ステップS2aでダイパッドDP上に供給された接合材BD2に重なっていることである。そして、ステップS2bにおいては、
図21および
図29にて、点線で示される位置に半導体チップCP2が搭載される。このため、ステップS2bでは、平面視において半導体チップCP2の四隅と重なる位置に既に接合材BD2が配置されている状態で、半導体チップCP2をダイパッドDP上に搭載することになる。つまり、ステップS2bでダイパッドDP上に半導体チップCP2を搭載した際に平面視において半導体チップCP2の四隅が重なる位置にも、ステップS2aで接合材BD2を予め供給しておくのである。
【0253】
これにより、ステップS2bで半導体チップCP2をダイパッドDP上に搭載すると、半導体チップCP2の4つの辺SD2a,SD2b,SD2c,SD2dの各下端LEがダイパッドDP上に配置されている接合材BD2内に埋まることになる。そして、半導体チップCP2の4つの辺SD2a,SD2b,SD2c,SD2dのそれぞれの下部が、接合材BD2内に埋まって、その接合材BD2で覆われることになるため、半導体チップCP2の辺SD2a,SD2b,SD2c,SD2dのそれぞれにおける接合材BD2で覆われた部分の長さL2を大きくすることができる。従って、半導体チップCP2とダイパッドDPとの間の耐圧を向上させることができ、半導体チップCP2とダイパッドDPとの間で静電破壊のような絶縁破壊が発生するのを抑制または防止することができる。
【0254】
また、上記ステップS2cでダイパッドDP上に導電性の接合材BD1を供給してから、上記ステップS2dでダイパッドDP上に接合材BD1を介して半導体チップCP1を搭載する。ここで特徴的なのは、このステップS2cでは、ステップS2dでダイパッドDP上に半導体チップCP1を搭載した際に平面視において半導体チップCP1の四隅が重なる位置には、接合材BD1が供給されないことである(
図25および
図30参照)。
【0255】
上記
図25および
図30には、ステップS2cを行った直後の状態が示されており、従ってステップS2dはまだ行われていない。なお、上記
図25の場合は、接合材供給用のノズルからダイパッドDP上に接合材BD1を供給した場合が示され、上記
図30の場合は、印刷法によりダイパッドDP上に接合材BD1を供給した場合が示されている。また、
図25および
図30においては、ステップS2dで半導体チップCP1が搭載される位置を点線で示してある。
【0256】
図25の場合は、ステップS2cにおいて、ノズルから接合材BD1をダイパッドDP上に供給しているため、接合材BD1は、ダイパッドDPの上面上に局所的に配置されることになる。このため、ノズルから接合材BD1を供給する場合は、ダイパッドDPの上面上において、複数箇所に接合材BD1を供給(配置)することが好ましく、
図25の場合は、ダイパッドDPの上面上において、5か所に接合材BD1を供給(配置)している。このとき、ステップS2dで半導体チップCP1が搭載される予定の領域(半導体チップCP1搭載予定領域)から、接合材BD1がはみ出さないようにしている。すなわち、平面視において、接合材BD1が供給(配置)されている領域は、半導体チップCP1搭載予定領域に内包されている。言い換えると、ステップS2cにおいて、半導体チップCP1搭載予定領域の内側に接合材BD1が供給(配置)され、半導体チップCP1搭載予定領域の外周部には接合材BD1は供給(配置)されない。このため、
図25の場合は、平面視において後で搭載する半導体チップCP1の四隅が重なる位置には、ステップS2cで接合材BD1が供給(配置)されていない。
【0257】
ここで、半導体チップCP1搭載予定領域とは、ステップS2dでダイパッドDP上に半導体チップCP1を搭載した際に平面視において半導体チップCP1に重なる領域に対応しており、
図25および
図30において、点線で囲まれた領域に対応している。
【0258】
図30の場合は、ステップS2cにおいて、印刷法により接合材BD1をダイパッドDP上に供給しているため、接合材BD1は、ダイパッドDPの上面上に局所的に配置されるのではなく、比較的広い面積にわたって配置される。ステップS2cで接合材BD1をダイパッドDP上に印刷法で供給(配置)する際には、ステップS2dで半導体チップCP1が搭載される予定の領域(半導体チップCP1搭載予定領域)から、接合材BD1がはみ出さないようにしている。すなわち、平面視において、接合材BD1が供給(配置)されている領域は、半導体チップCP1搭載予定領域に内包されている。言い換えると、ステップS2cにおいて、半導体チップCP1搭載予定領域の内側に接合材BD1が供給(配置)され、半導体チップCP1搭載予定領域の外周部には接合材BD1は供給(配置)されない。このため、
図30の場合も、平面視において後で搭載する半導体チップCP1の四隅が重なる位置には、ステップS2cで接合材BD1が供給(配置)されていない。
【0259】
図25と
図30とで共通しているのは、平面視において、点線で示される半導体チップCP1搭載予定領域の四隅が、ステップS2cでダイパッドDP上に供給された接合材BD1に重なっていないことである。そして、ステップS2dにおいては、
図25および
図30で点線で示される位置に半導体チップCP1が搭載される。このため、ステップS2dでは、平面視において半導体チップCP1の四隅と重なる位置には接合材BD1が配置されていない状態で、半導体チップCP1をダイパッドDP上に搭載することになる。つまり、ステップS2dでダイパッドDP上に半導体チップCP1を搭載した際に平面視において半導体チップCP1の四隅が重なる位置には、ステップS2cで接合材BD1を供給しないでおくのである。そして、ステップS2cでダイパッドDP上において接合材BD
1が供給(配置)された領域は、半導体チップCP
1搭載予定領域に内包されるようにしておけば、更に好ましい。
【0260】
これにより、ステップS2dで半導体チップCP1をダイパッドDP上に搭載すると、接合材BD1は、半導体チップCP1の側面SM1,SM2,SM3,SM4や辺SD1a,SD1b,SD1c,SD1dを濡れ上がりにくく、半導体チップCP1の側面SM1,SM2,SM3,SM4や辺SD1a,SD1b,SD1c,SD1dは、接合材BD1で覆われにくくなる。従って、半導体チップCP1の辺SD1a,SD1b,SD1c,SD1dのそれぞれにおける接合材BD1で覆われた部分の長さL1を小さくすることができ、半導体チップCP1の表面に導電性の接合材BD1の一部が付着してしまうのを抑制または防止することができる。
【0261】
このように、本実施の形態では、ステップS2bでダイパッドDP上に半導体チップCP2を搭載した際に平面視において半導体チップCP2の四隅が重なる位置にも、ステップS2aで接合材BD2が供給されるようにしている。これにより、半導体チップCP2の辺SD2a,SD2b,SD2c,SD2dのそれぞれにおける接合材BD2で覆われた部分の長さL2を大きくすることができる。また、ステップS2dでダイパッドDP上に半導体チップCP1を搭載した際に平面視において半導体チップCP1の四隅が重なる位置には、ステップS2cで接合材BD1が供給されないようにしている。ステップS2cでダイパッドDP上において接合材BD
1が供給(配置)された領域は、ステップS2
dでダイパッドDP上に半導体チップCP
1を搭載した際に平面視において半導体チップCP
1に重なる領域(すなわち半導体チップCP
1搭載予定領域)に内包されるようにしておけば、更に好ましい。これにより、半導体チップCP1の辺SD1a,SD1b,SD1c,SD1dのそれぞれにおける接合材BD1で覆われた部分の長さL1を小さくすることができる。従って、半導体チップCP1の辺SD1における接合材BD1で覆われた部分の長さL1よりも、半導体チップCP2の辺SD2における接合材BD2で覆われた部分の長さL2が大きい(L2>L1)構造を、容易かつ的確に実現することができる。
【0262】
また、本実施の形態は、接合材BD1と接合材BD2との両方にペースト型接合材を用いる場合に、特に効果が大きい。すなわち、導電性の接合材BD1として導電性ペースト型接合材を用い、かつ、絶縁性の接合材BD2として絶縁性ペースト型接合材を用いる場合に、特に効果が大きい。
【0263】
すなわち、接合材BD1,BD2のいずれもがペースト型接合材の場合は、接合材BD1,BD2は、どちらも半導体チップの側面を塗れ上がりやすい性質を有することになる。このため、本実施の形態とは異なり、半導体装置の製造工程に何も工夫しなければ、接合材BD1の塗れ上がり量と接合材BD2の塗れ上がり量とは、同程度になるため、上記長さL1と上記長さL2とは同じ(すなわちL1=L2)になってしまう。本実施の形態とは異なり、L1=L2の場合は、長さL1,L2の両方が小さい状態か、あるいは、長さL1,L2の両方が大きい状態になる。長さL1,L2の両方が小さいと、上述したように、長さL2が小さいことで、半導体チップCP2とダイパッドDPとの間の耐圧が低くなり、半導体チップCP2とダイパッドDPとの間の静電破壊が懸念され、一方、長さL1,L2の両方が大きいと、上述したように、長さL1が大きいことで、半導体チップCP1の表面に導電性の接合材BD1の一部が付着することが懸念される。これらは、半導体装置の総合的な信頼性を低下させる。
【0264】
それに対して、本実施の形態では、接合材BD1,BD2のいずれもがペースト型接合材の場合に、接合材BD1,BD2は、どちらも半導体チップの側面を塗れ上がりやすい性質を有するが、製造工程を工夫することで、絶縁性の接合材BD2については、塗れ上がり量を大きくし、導電性の接合材BD1については、塗れ上がりを抑制して、塗れ上がり量を小さくしている。これにより、上記長さL2を上記長さL1よりも大きく(L2>L1)している。このため、上記長さL2を大きくし、かつ、上記長さL1を小さくすることができる。半導体チップCP2については、好ましくは、上記長さL2を、半導体チップCP2の厚みT2の1/2以上にすることができ、半導体チップCP1については、好ましくは、上記長さL1を半導体チップCP1の厚みT1の1/2未満にすることができ、更に好ましくは、上記長さL1を半導体チップCP1の厚みT1の1/4以下にすることができる。これにより、上述したように、長さL2が大きいことで、半導体チップCP2とダイパッドDPとの間の耐圧が高くなり、半導体チップCP2とダイパッドDPとの間の静電破壊を抑制または防止することができ、一方、長さL1が小さいことで、半導体チップCP1の表面に導電性の接合材BD1の一部が付着することを抑制または防止することができる。従って、半導体装置の総合的な信頼性を向上させることができる。
【0265】
このように、半導体チップの側面を塗れ上がりやすいペースト型接合材を接合材BD1,BD2として用いる場合に、本実施の形態を適用する効果は、極めて大きい。
【0266】
また、導電性の接合材BD1が銀(Ag)ペーストなどの導電性ペースト型接合材の場合は、半導体チップCP1の側面SM1,SM2,SM3,SM4や辺SD1a,SD1b,SD1c,SD1d上を接合材BD1が濡れ上がりやすいため、半導体チップCP1の表面に導電性の接合材BD1の一部が付着してしまう可能性がある。このため、導電性の接合材BD1が、銀(Ag)ペーストなどの導電性ペースト型接合材の場合は、半導体チップCP1の側面SM1,SM2,SM3,SM4や辺SD1a,SD1b,SD1c,SD1d上を接合材BD1が濡れ上がるのを抑制することが特に重要である。従って、接合材BD1が導電性ペースト型接合材の場合は、ステップS2dでダイパッドDP上に半導体チップCP1を搭載した際に、平面視において半導体チップCP1の四隅が重なる位置には、ステップS2cで接合材BD1が供給されないようにすることが極めて重要である。また、ステップS2cでダイパッドDP上に接合材BD1を供給する際に、半導体チップCP1搭載予定領域から接合材BD1がはみ出さないようにし、接合材BD1が供給(配置)された領域が、半導体チップCP1搭載予定領域に内包されるようにすることが好ましい。そうすることにより、接合材BD
1が、半導体チップCP1の側面を濡れ上がりやすい導電性ペースト型接合材であっても、その接合材BD
1が半導体チップCP1の側面SM1,SM2,SM3,SM4や辺SD1a,SD1b,SD1c,SD1d上を濡れ上がるのを抑制することができる。これにより、半導体チップCP1の表面に導電性の接合材BD1の一部が付着してしまうのを的確に抑制または防止することができる。
【0267】
なお、導電性の接合材BD1として、半田材を用いる考え方もある。但し、半田材を用いた場合、半田リフロー後のフラックス洗浄工程を設ける必要性が生じる。このことは、組立工程数(製造工程数)の増加を意味する。また、半導体装置PKGの耐リフロー性を確保するために、実装時のリフロー温度よりも融点が高い鉛リッチの高融点半田を採用する必要性も生じる。このことは、半導体装置PKGの鉛フリー化に対して逆行することを意味する。
【0268】
これらのことを考慮すると、導電性の接合材BD1として、半田材よりも銀(Ag)ペーストなどの導電性ペースト型接合材を用いることが好ましい。銀(Ag)ペーストなどの導電性ペースト型接合材を用いることにより、半田材を用いる場合に比べて、組立工程数(製造工程数)も抑えられ、環境にも優しい半導体装置PKGを実現することができる。
【0269】
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。