【実施例】
【0046】
以下に実施例、試験例を示し、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に制限されるものではない。
【0047】
実施例1
(R)−N−(1−(3−(シクロペンチルオキシ)フェニル)エチル)−3−((2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル)メトキシ)プロパン−1−スルホンアミドの合成
特許文献1に開示されている手法に準じて合成した。
1H−NMR (CDCl3):δppm 1.53 (3H,d,J=6.8Hz),1.56−1.98 (10H,m),2.67−2.78 (1H,m),2.80−2.91 (1H,m),3.42−3.60 (2H,m) ,4.51−4.63 (1H,m),4.74−4.89 (2H,m),5.05 (2H,s) ,5.76 (1H,dd,J=7.8Hz,2.2Hz),6.77−6.89 (3H,m),7.20−7.27 (2H,m),8.76 (1H,brs):LRMS(ESI)m/z 452[M+H]
【0048】
実施例2
N−(3−(シクロプロピルメトキシ)ベンジル)−3−((2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル)メトキシ)プロパン−1−スルホンアミドの合成
特許文献1に開示されている手法に準じて合成した。
1H−NMR(CDCl3)δ(ppm):0.30−0.39(2H,m),0.57−0.68(2H,m),1.20−1.31(1H,m),1.96−2.09(2H,m),3.0(2H,t,J=7.2Hz),3.57−3.64(2H,m),3.81(2H,d,J=6.9Hz),4.25(2H,d,J=6.1Hz),4.89(1H,brs),5.09(2H,s),5.75(1H,dd,J=7.9,1.8Hz),6.76−6.90(3H,m),7.20−7.29(2H,m),8.90(1H,brs)
【0049】
実施例3
(R)−N−(1−(3−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)フェニル)エチル)−3−((2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル)メトキシ)プロパン−1−スルホンアミドの合成
特許文献1に開示されている手法に準じて合成した。
1H−NMR(DMSO-D6)δ(ppm):1.37(3H,d,J=6.8Hz),1.69−1.80(2H,m),2.58−2.70(1H,m),2.72−2.88(1H,m),3.31−3.46(2H,m),4.39−4.45(1H,m),4.69−4.79(2H,m),4.99(2H,s),5.60(1H,dd,J=8.1,0.8Hz),6.91−7.08(3H,m),7.26−7.31(1H,m),7.63(1H,dd,J=8.1,0.8Hz),7.73(1H,d,J=8.6Hz),11.3(1H,brs)
【0050】
【表1】
【0051】
試験例1
Pemetrexedに対する毒性軽減効果
50%マトリゲルを含むPBSにヒト肺癌株NCI−H441を懸濁し、8週齢のBALB/cA Jcl−nuマウス(日本クレア(株))右側胸部皮下に5×10
6cells/0.1mL/bodyで移植した。群分け後の平均腫瘍体積が100mm
3を超える時期に、腫瘍の長径及び短径を測定し、各群の腫瘍体積にばらつきのないように群分けを行った(1群当たり6匹)。また、5週齢から試験終了日まで低葉酸飼料飼育下の条件で実施した。
生理食塩水にPemetrexed<LC Laboratories(株)製>を溶解し、群分けの翌日である1日目および1週間後である8日目に尾静脈投与した。また、0.5%ヒドロキシプロピルメチルセルロース水溶液に化合物1を懸濁し、群分けの翌日より1日1回14日間連日経口投与した。Pemetrexed投与量は50mg/kg/dayとし、化合物1投与量は600mg/kg/dayとした。
群分けから週に2回、体重(Body weight,BW)を測定し体重変化率(Body weight change,BWC)を下記の式から算出し、毒性軽減効果の判定を行った。
【0052】
(式1) BWC(%)=[BW−(BW on day0)]/(BW on day0)×100
[式中、BWCは体重変化率を示し、BWは各測定日の体重、BW on day0は群分け日の体重を示す。]
【0053】
試験結果を
図1に示した。Pemetrexed単剤では体重減少が顕著であるのに対し、本発明化合物を併用することにより体重減少が抑制された。
【0054】
また薬剤投与開始日より15日において、個体毎にマウスの肛門付近を観察することで下痢発現の有無を確認し、各群で下痢の症状が認められた割合を下痢発現率(%)として算出し、消化管毒性軽減効果の判定を行った。
試験結果を
図2に示した。Pemetrexed単剤では60%の頻度で下痢の発現が観察されたのに対し、本発明化合物を併用することにより下痢の発現は認められなかった。
さらに試験中の死亡個体数を表2に示した。Pemetrexed単剤では6例中1例の死亡例が観察されたが、本発明化合物を併用することにより死亡例は確認されなかった。
以上より、本発明化合物は、Pemetrexedの副作用を軽減することが明らかとなった。
【0055】
【表2】
【0056】
試験例2
S−1に対する毒性軽減効果
皮下継代したヒト乳癌株MX−1を2mm角のフラグメントにし、5又は6週齢のBALB/cA Jcl−nuマウス(日本クレア(株))右側胸部皮下に移植した。群分け後の平均腫瘍体積が100mm
3を超える時期に、腫瘍の長径及び短径を測定し、各群の腫瘍体積にばらつきのないように群分けを行った(1群当たり5匹)。
0.5%ヒドロキシプロピルメチルセルロース水溶液にS−1<大鵬薬品工業(株)製>および被検化合物を懸濁し、群分けの翌日より1日1回14日間連日経口投与した。S−1投与量は有効性が期待される用量の8.3mg/kg/dayとした。被検化合物(化合物2,3)投与量は、75、100、150、300又は600mg/kg/dayとし、S−1と同時に投与した。
群分けから週に2回、体重(Body weight,BW)を測定し体重変化率(Body weight change,BWC)を下記の式から算出し、毒性軽減効果の判定を行った。
【0057】
(式1) BWC(%)=[BW−(BW on day0)]/(BW on day0)×100
[式中、BWCは体重変化率を示し、BWは各測定日の体重、BW on day0は群分け日の体重を示す。]
【0058】
試験結果を
図3及び
図4に示した。S−1単剤では体重減少が認められるのに対し、本発明化合物を併用することにより体重減少が抑制された。
【0059】
薬剤投与開始日から15日後、個体毎にマウスの肛門付近を観察することで下痢発現の有無を確認し、各群で下痢の症状が認められた割合を下痢発現率(%)として算出し、消化管毒性軽減効果の判定を行った。
試験結果を
図5に示した。S−1単剤では80%以上の頻度で下痢の発現が観察されたのに対し、本発明化合物を併用することにより用量依存的に下痢の発現が減少した。
【0060】
さらに試験中の死亡個体数を表3に示した。S−1単剤では5例中1例の死亡例が観察されたが、本発明化合物を併用することにより死亡例は確認されなかった。
以上より、本発明化合物は、S−1の副作用を軽減することが明らかとなった。
【0061】
【表3】
【0062】
試験例3
S−1に対する毒性軽減効果
6週齢のBALB/cA Jcl−nuマウス(日本クレア(株))を体重測定した後、群分け後の各群の体重が均一になるように、無作為層別化法により群分けを行った(1群当たり5匹)。
0.5%ヒドロキシプロピルメチルセルロース水溶液にS−1<大鵬薬品工業(株)製>および被検化合物を懸濁し、群分けの翌日より1日1回14日間連日経口投与した。S−1投与量は毒性用量である12mg/kg/dayとした。被検化合物(化合物1)投与量は、300又は600mg/kg/dayとし、S−1と同時に投与した。
群分けから週に2回、体重(Body weight,BW)を測定し体重変化率(Body weight change,BWC)を下記の式から算出し、毒性軽減効果の判定を行った。
【0063】
(式1) BWC(%)=[BW−(BW on day0)]/(BW on day0)×100
[式中、BWCは体重変化率を示し、BWは各測定日の体重、BW on day0は群分け日の体重を示す。]
【0064】
試験結果を
図6に示した。S−1単剤では体重減少が認められた(なお表3に示すように5例中2例は体重減少が著しく10日目前後で死亡したため、12日目以降の体重計測における平均体重は増加している)。本発明化合物を併用することにより用量依存的に体重減少が抑制された。
【0065】
また薬剤投与開始日より14日間連日、個体毎にマウスの肛門付近を観察することで下痢発現の有無を確認し、各群で下痢の症状が認められた割合を下痢発現率(%)として算出し、消化管毒性軽減効果の判定を行った。
試験結果を
図7に示した。S−1単剤では投与期間中、高頻度で下痢が確認され、特に8日目〜10日目では100%の頻度で下痢の発現が観察された。一方、本発明化合物を併用することにより用量依存的に下痢の発現頻度が減少した。
【0066】
さらに試験中の死亡個体数を表4に示した。S−1単剤では5例中2例の死亡例が観察されたが、本発明化合物を併用することにより用量依存的に死亡例が減少した。以上より、本発明化合物は、S−1の副作用を軽減することが明らかとなった。
【0067】
【表4】
【0068】
試験例4
S−1に対する毒性軽減効果
ヒト腫瘍患者に対し、S−1を単独で投与する複数本の臨床試験と、S−1と化合物1を併用して投与する複数本の臨床試験を実施した。
臨床試験を開始してから中止基準(原疾患の悪化、患者の同意撤回)により試験を中止するまでの期間に患者に発現した下痢の重症度を、CTCAEを用いて評価した。
臨床試験では、原則としてS−1は30mg/m
2の用量で食後に投与した。ただし、S−1を単独で投与する臨床試験においてはS−1を30mg/m
2の用量で投与する三つの試験のほかに、36mg/m
2の用量で食後に投与する複数の試験を行い、これらの試験全体の結果として(合計N数が1800)下痢の発生率を求めた。尚、36mg/m
2の用量で投与したものは、30mg/m
2の用量で食後に投与したものと5−FUのAUC
0-12がほぼ同等となる。
化合物1は、S−1と同時に投与した。
S−1単剤及びS−1と化合物1を併用した患者の全グレード(All)及びグレード3(G3)以上の下痢の発現頻度を比較し、その結果を表5に示した。
S−1単剤を投与した患者における全グレード及びグレード3以上の下痢発現率は29.6〜49%及び3.6〜21%であるのに対し、S−1と化合物1を併用して投与した患者のそれらは18.8%と19%及び0%と1.6%であり、本発明化合物を併用することにより下痢の発現頻度は減少した。
以上より、本発明化合物は、S−1の副作用を軽減することが明らかとなった。
【0069】
【表5】
【0070】
試験例5
FCDの毒性軽減効果
S−1の配合成分であるテガフール、ギメラシル、オテラシルのうち、消化管軽減に寄与するオテラシル(Jpn J Clin Oncol 2009:39(1)2−15)を除いたFCD(テガフール・ギメラシル=1:0.4(モル比))を用いた毒性軽減効果を検討した。
6週齢のBALB/cA Jcl−nuマウス(日本クレア(株))を体重測定した後、群分け後の各群の体重が均一になるように、無作為層別化法により群分けを行った(1群当たり5匹)。
0.5%ヒドロキシプロピルメチルセルロース水溶液にFCDを懸濁し、群分けの翌日より1日1回14日間連日経口投与した。FCD投与量はテガフール換算量で10mg/kg/dayとした。化合物1投与量は150,300又は600mg/kg/dayとし、FCDと同時に投与した。
群分けから週に2回、体重(Body weight,BW)を測定し体重変化率(Body weight change,BWC)を下記の式から算出し、毒性軽減効果の判定を行った。
【0071】
(式1) BWC(%)=[BW−(BW on day0)]/(BW on day0)×100
[式中、BWCは体重変化率を示し、BWは各測定日の体重、BW on day0は群分け日の体重を示す。]
試験結果を
図8に示した。FCD単剤では体重減少が認められるのに対し、本発明化合物を併用することにより体重減少が抑制された。
【0072】
また薬剤投与開始日より14日間連日、個体毎にマウスの肛門付近を観察することで下痢発現の有無を確認し、各群で下痢の症状が認められた割合を下痢発現率(%)として算出し、消化管毒性軽減効果の判定を行った。
試験結果を
図9に示した。
FCD単剤では投与期間中、高頻度で下痢が確認され、特に10日目では100%の頻度で下痢の発現が観察された。一方、本発明化合物を併用することにより用量依存的に下痢の発現頻度が減少した。
以上より、本発明化合物は、テガフール・ギメラシルを有効成分として含む薬剤の副作用を軽減することが明らかとなった。