(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6364566
(24)【登録日】2018年7月6日
(45)【発行日】2018年7月25日
(54)【発明の名称】水質測定装置及び水質測定方法
(51)【国際特許分類】
G01N 21/03 20060101AFI20180712BHJP
G01N 21/15 20060101ALI20180712BHJP
G01N 21/59 20060101ALI20180712BHJP
【FI】
G01N21/03 Z
G01N21/15
G01N21/59 Z
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2018-39354(P2018-39354)
(22)【出願日】2018年3月6日
【審査請求日】2018年3月6日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】391033816
【氏名又は名称】日本電色工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】特許業務法人 英知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】本村 博文
【審査官】
嶋田 行志
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−155371(JP,A)
【文献】
特開2007−155372(JP,A)
【文献】
特開昭50−031891(JP,A)
【文献】
特開平10−206328(JP,A)
【文献】
特開2002−116146(JP,A)
【文献】
特開2008−064476(JP,A)
【文献】
米国特許第06555062(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00−21/61
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のセル窓を備え、内部にゼロ校正用の浄水又は試料水が充填される測定セルを具備し、前記測定セル内に浄水を充填した状態で前記一対のセル窓と前記測定セル内の浄水を透過する光の受光量と、前記測定セル内に試料水を充填した状態で前記一対のセル窓と前記測定セル内の試料水を透過する光の受光量とを比較して、試料水の濁りや色を計測する水質測定装置であって、
前記測定セルは、試料水を導入する試料水導入口とは別に浄水を導入する浄水導入口を備え、
前記浄水導入口には、前記一対のセル窓の内側に向けて浄水を噴射する噴水ノズルが設けられており、
前記測定セルを空にした状態で前記浄水を前記噴射ノズルに導入する浄水導入・噴射洗浄手段を備えることを特徴とする水質測定装置。
【請求項2】
前記浄水導入口は、前記一対のセル窓の各セル窓までの距離が等しい位置に設けられていることを特徴とする請求項1記載の水質測定装置。
【請求項3】
一対のセル窓を備える測定セル内に浄水を充填させて、前記一対のセル窓と前記測定セル内に充填された浄水を透過する光の受光量を測定するゼロ校正工程と、
前記測定セルから浄水を排出する工程と、
浄水が排出された前記測定セル内に試料水を充填させて、前記一対のセル窓と前記測定セル内に充填された試料水を透過する光の受光量を測定する試料測定工程とを有し、
前記ゼロ校正工程に先立って前記測定セルを空の状態にして、前記測定セル内に導入させる浄水を前記一対のセル窓の内側に噴射することで前記一対のセル窓を洗浄する浄水導入・噴射洗浄工程を有することを特徴とする水質測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料水の濁りや色などを光学的に測定する水質測定装置、この装置に用いられる測定セル、水質測定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光学式の水質測定装置は、石英ガラスが固定された一対のセル窓を有する測定セルを備えている。そして、このような水質測定装置は、一対のセル窓を介して測定セルに光を透過させ、測定セル内を試料水で満たした場合の透過光の受光量と測定セル内を浄水で満たした場合の透過光の受光量を比較して濁度や色度などの測定値を求めるか、或いは、光源から測定セルに向かう光を2分割して、一方を比較光にすると共に、他方を試料水で満たされた測定セル内を透過する透過光とし、比較光の受光量と透過光の受光量を比較して濁度や色度などの測定値を求めることで、水質測定を行っている。
【0003】
このような水質測定装置は、運転時間とともに測定セルのセル窓が徐々に汚れたり、セル窓に気泡が付着したりして、測定値に悪影響を及ぼす場合がある。このような事態を避けるためには、定期的に測定セルを洗浄することが必要になり、現状では、測定セルからセル窓に用いられる石英ガラスを取り外して洗浄したり、場合によっては、石英ガラスを部品交換することが行われている。
【0004】
また、従来技術として、測定セルのセル窓を、測定セルを装置に組み付けたままの状態で洗浄することができるものが提案されている。この従来技術は、測定セル内に、ブラシやワイパを備えた洗浄手段を退避させ、非測定時に洗浄手段を上下動或いは回転させてセル窓を測定セルの内側から洗浄するものである(下記特許文献1,2参照)。
【0005】
更に他の従来技術として、測定セルの内部に洗浄用のスプレイノズルを配備し、セル窓に濁質が付着した場合に、スプレイノズルから空気を噴射して、気泡及び気泡に押されてできる水流の勢いにより、セル窓に付着した濁質を剥離させるもの(下記特許文献3参照)、或いは、測定セルのセル窓の接液面周囲を囲むように、リング状チャンバを設け、そのリング状チャンバからセル窓の接液面に向かうノズル孔を複数設けることで、セル窓に他方向から流体を吹き付けてセル窓を洗浄するもの(下記特許文献4参照)、などが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7−243964号公報
【特許文献2】特開平9−72844号公報
【特許文献3】特開平10−206328号公報
【特許文献4】特開2002−116146号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述した従来技術によると、セル窓の洗浄にブラシやワイパといった洗浄具を用いるものでは、セル窓を洗浄具で直接擦ることで、セル窓にキズが付いたり、スジ状の拭き残しが生じたりすることになり、測定精度に悪影響を及ぼす可能性があるといった問題や、擦った洗浄具自体が汚れるので、測定セル内に配備されているブラシやワイパなどの洗浄具を別途洗浄するのに手間が掛かる問題がある。また、測定セル内にブラシやワイパなどとその駆動部の収納箇所を設けるため、測定セルが大型化する問題がある。
【0008】
これに対して、ノズルから噴射する気泡や水流でセルを洗浄するものは、前述した問題点を解決することが可能になるが、測定セル内に試料水が溜まっている状態で気泡や水流を発生させるので、噴射の勢いが試料水の抵抗によって減少することになり、効果的にセル窓を洗浄することができない問題が生じる。また、濁質が存在する試料水をセル窓に吹き付けるので、セル窓を綺麗に洗浄しようとしても、その洗浄効果には限界がある。
【0009】
本発明は、このような問題を解決することを課題とするものである。すなわち、本発明は、ブラシやワイパなどの洗浄具を用いること無く、また、濁質や色度を含んだ試料水をセル窓に吹き付けること無く、光学式の水質測定装置における測定セルのセル窓を定期的且つ効果的に洗浄することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このような課題を解決するために、本発明の水質測定装置は、以下の構成を具備するものである。
一対のセル窓を備え、内部にゼロ校正用の浄水又は試料水が充填される測定セルを具備し、前記測定セル内に浄水を充填した状態で前記一対のセル窓と前記測定セル内の浄水を透過する光の受光量と、前記測定セル内に試料水を充填した状態で前記一対のセル窓と前記測定セル内の試料水を透過する光の受光量とを比較して、試料水の濁りや色を計測する水質測定装置であって、前記測定セルは、試料水を導入する試料水導入口とは別に浄水を導入する浄水導入口を備え、前記浄水導入口には、前記一対のセル窓の内側に向けて浄水を噴射する噴水ノズルが設けられて
おり、前記測定セルを空にした状態で前記浄水を前記噴射ノズルに導入する浄水導入・噴射洗浄手段を備えることを特徴とする水質測定装置。
【発明の効果】
【0011】
このような特徴を有する本発明は、ブラシやワイパなどの洗浄具を用いること無く、また、試料水をセル窓に吹き付けること無く、水質測定装置における測定セルの内部を空にして、ゼロ校正を行う際に用いる浄水を利用して、セル窓を定期的且つ効果的に洗浄することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態に係る水質測定装置の構成を示した説明図である。
【
図2】測定セルに設ける噴射ノズルを示した断面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る水質測定方法を示した説明図(タイムチャート)である。
【
図4】本発明の実施形態に係る水質測定方法を示した説明図(工程フロー)である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下の説明で、異なる図における同一符号は同一機能の部位を示しており、各図における重複説明は適宜省略する。
【0014】
図1に示すように、光学式の水質測定装置1は、測定セル2、光源(LED光源)10、光学系(コリメータ)11、受光部12などを備えている。測定セル2は、石英ガラスなどの透明板が固定された一対のセル窓2A,2Bを備えている。測定セル2は、中空状(例えば、円筒状)に形成されており、内部は試料水や浄水が溜められる貯留部2Cになっている。
【0015】
測定セル2には、貯留部2Cに試料水を導入する試料水導入口3が設けられており、その試料水導入口3とは別に、貯留部2Cに浄水を導入する浄水導入口4が設けられている。また、測定セル2には、貯留部2C内に溜められている試料水や浄水を測定セル2の外に排水する排水口5が設けられている。
【0016】
試料水導入口3には、試料水電磁弁V1が設けられている試料水導入路20が接続されている。また、試料水導入口3は、水抜き電磁弁V2が設けられている水抜き流路24が、試料水導入流路20から分岐して接続されている。試料水電磁弁V1を開放して、水抜き電磁弁V2を閉じることで、試料水導入口3から測定セル2内(貯留部2C)に試料水が導入される。
【0017】
浄水導入口4には、浄水電磁弁V3と減圧弁13が設けられている浄水導入路21が接続されている。浄水電磁弁V3を開放することで、浄水導入口4から測定セル2内(貯留部2C)に浄水が導入される。浄水は高圧(水道圧)で供給されその圧力を減圧弁13にて適宜調整して浄水導入口4に送る。
【0018】
浄水導入口4には、噴射ノズル6が設けられている。噴射ノズル6が設けられた浄水導入口4は、一対のセル窓2A,2Bの各セル窓までの距離が等しい位置、すなわち、測定セル2の略中央部に設けられている。噴射ノズル6に導入された浄水は、一対のセル窓2A,2Bの内側に向けて噴射される。
【0019】
噴射ノズル6は、
図2に示すように、浄水導入口4に連通する二又の噴射口6A,6Bを備えている。噴射口6A,6Bは、一対のセル窓2A,2Bの全体に浄水が噴射されるように、所定の噴出角度θが設定されている。噴射ノズル6は、浄水導入路21が接続される継手部6Dを備えており、外周に設けたねじ部6Cを測定セル2の筐体に形成されたねじ穴に結合する。
【0020】
排水口5には、排水路22が接続されている。排水路22は、そこから分岐した吸気路23に設けられた吸気電磁弁V4を開放するまでは、大気開放されており、測定セル2に導入された試料水又は浄水は、貯留部2Cがオーバフローすると、排水口5から排水路22を経由して外部に流出される。
【0021】
図3によって、水質測定装置1を用いた測定方法を説明する。先ず、時間T1にて、水抜き電磁弁V2と吸気電磁弁V4を同時に開放して、セル内部の水(試料水)を排出する水抜きを行い、測定セル2内部を空にした状態にする(「水抜き工程」)。
【0022】
その後、時間T2にて、浄水電磁弁V3を開き、水抜き電磁弁V2と吸気電磁弁V4を同時に閉じるまでの時間S1の間、浄水を高圧で導入して、噴射ノズル6から浄水を噴射して、一対のセル窓2A,2Bの内側を噴射洗浄する(「浄水導入・噴射洗浄」工程)。
【0023】
そして、時間T3にて、水抜き電磁弁V2と吸気電磁弁V4を同時に閉じて、浄水電磁弁V3を閉じるまでの時間S2の間、浄水が測定セル2の貯留部2Cに溜められる(「浄水溜め」)。浄水で測定セル2内が満たされた後、時間T4にて、光源10を点灯して、光学系11を経由した測定光Lを測定セル2に向けて出射する。測定光Lは、一対のセル窓2A,2Bと測定セル2内の浄水を透過して、受光部12にて受光され、その受光量が測定される(「ゼロ校正」工程)。
【0024】
その後は、時間T5にて、再び水抜き電磁弁V2と吸気電磁弁V4を同時に開放して、セル内部の水(浄水)を排出する水抜きを行い、測定セル2内部を空にした状態にする(「水抜き工程」)。その後は、時間T6にて、水抜き電磁弁V2と吸気電磁弁V4を閉じて、試料水電磁弁V1を開くことで、測定セル2内に試料水を導入する(「試料水導入」工程)。
【0025】
そして、試料水で貯留部2C内が満たされて、試料水が排水口5からオーバーフローした状態で、時間T7にて、試料水電磁弁V1を閉じて、光源10を点灯し、光学系11を経由した測定光Lを測定セル2に向けて出射する。測定光Lは、一対のセル窓2A,2Bと測定セル2内の試料水を透過して、受光部12にて受光され、その受光量が測定される(「測定」工程)。
【0026】
その後は、時間T1からの動作を繰り返すが、ゼロ校正工程で測定セル2内に浄水を充填した状態での受光量と、測定工程で測定セル2内に試料水を充填した状態での受光量は、逐次メモリに記憶され、その後の演算処理で、ゼロ校正の受光量と測定工程の受光量を比較して、試料水の濁り(濁度)や色(色度)を計測する。
【0027】
本発明の実施形態に係る水質測定装置1は、測定セル2内にブラシやワイパなどの洗浄具を配置しないので、測定セル2の小型化が可能になり、セル窓2A,2Bをブラシやワイパなどで擦ることをしないので、セル窓2A,2Bが傷ついたり、スジ状の拭き残しが発生したりすることもない。よって、セル窓2A,2Bの品質を維持して、精度の高い測定を継続することができる。更には、セル窓2A,2Bを噴射水で洗浄する際に、噴射水に汚れた試料水を用いないので、効果的な洗浄が可能になる。
【0028】
このような水質測定装置1を用いた水質測定方法によると、一つの試料水に対する測定を行う毎のゼロ校正において、測定セル2内を空にした状態で、ゼロ校正に用いる浄水によって一対のセル窓2A,2Bの内面を噴射洗浄するので、試料水の濁質によるセル窓2A,2Bの汚れや気泡の付着を定期的に除去することができる。このように、本発明の実施形態に係る水質測定装置或いは水質測定方法によると、ブラシやワイパなどの洗浄具を用いること無く、また、濁質や色度を含んだ試料水をセル窓に吹き付けること無く、測定セル2のセル窓2A,2Bを、定期的且つ効果的に洗浄することができる。
【0029】
本発明の水質測定装置及び測定方法は、有機物を多く含む原水などの濁度・色度の自動測定に有用である。特に、原水の濁度・色度を測定する場合は、汚れの付着が甚だしく測定セルの維持管理の負担が大きかったが、本発明の水質測定装置によると、小型化が可能で且つ簡単な構造の測定セルを用いることができると共に、今までの煩わしい測定セルのメンテナンスを大幅に軽減することができるので、測定セルの維持管理負担を減らすことができる。
【符号の説明】
【0030】
1:水質測定装置,
2:測定セル,2A,2B:セル窓,2C:貯留部,
3:試料水導入口,4:浄水導入口,5:排水口,
6:噴射ノズル,6A,6B:噴射口,6C:ねじ部,6D:継手部,
10:光源(LED光源),11:光学系(コリメータ),12:受光部,
13:減圧弁,
20:試料水導入路,21:浄水導入路,22:排水路,23:吸気路,
24:水抜き流路,
V1:試料水電磁弁,V2:水抜き電磁弁,V3:浄水電磁弁,
V4:吸気電磁弁,
【要約】
【課題】ブラシやワイパなどの洗浄具を用いること無く、また、濁質や色度を含んだ試料水をセル窓に吹き付けること無く、光学式の水質測定装置における測定セルのセル窓を定期的且つ効果的に洗浄する。
【解決手段】水質測定装置は、一対のセル窓を備え、内部にゼロ校正用の浄水又は試料水が充填される測定セルを具備し、測定セル内に浄水を充填した状態で一対のセル窓と測定セル内の浄水を透過する光の受光量と、測定セル内に試料水を充填した状態で一対のセル窓と測定セル内の試料水を透過する光の受光量とを比較して、試料水の濁りや色を計測する水質測定装置であって、測定セルは、試料水を導入する試料水導入口とは別に浄水を導入する浄水導入口を備え、浄水導入口には、一対のセル窓の内側に向けて浄水を噴射する噴水ノズルが設けられている。
【選択図】
図1