特許第6364567号(P6364567)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6364567発電制御装置及びそれを用いた発電制御システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6364567
(24)【登録日】2018年7月6日
(45)【発行日】2018年7月25日
(54)【発明の名称】発電制御装置及びそれを用いた発電制御システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/38 20060101AFI20180712BHJP
   H02J 3/32 20060101ALI20180712BHJP
【FI】
   H02J3/38 130
   H02J3/32
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-42951(P2018-42951)
(22)【出願日】2018年3月9日
【審査請求日】2018年4月16日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 ▲1▼展示日 平成29年9月20日 ▲2▼展示会名、開催場所 第5回[関西]太陽電池展〜[関西]PV EXPO 2017〜インテックス大阪(大阪府大阪市住之江区南港北1−5−102)
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】300023899
【氏名又は名称】株式会社ラプラス・システム
(74)【代理人】
【識別番号】110002295
【氏名又は名称】特許業務法人森脇特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀井 雅行
(72)【発明者】
【氏名】梅景 晃平
【審査官】 小池 堂夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−093127(JP,A)
【文献】 国際公開第2017/109935(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/38
H02J 3/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池の発電電力を制御するパワーコンデショナと、負荷に接続された受変電部と、
前記負荷の消費電力を取得すると共に前記パワーコンデショナの出力を制御する発電制御装置と、を備え、
前記発電制御装置は、前記発電電力の上限値を、前記発電電力の上限値と前記消費電力との差分が前記消費電力の関数となるよう設定して出力指令値を算出し、
前記出力指令値に基づいて前記パワーコンディショナは前記発電電力が前記上限値以下となるよう制御することで逆潮流を回避する
ことを特徴とする発電制御システム。
【請求項2】
前記関数は、一次関数であることを特徴とする
請求項1記載の発電制御システム。
【請求項3】
前記発電制御システムは、
さらに蓄電池を備えることを特徴とする
請求項2記載の発電制御システム。
【請求項4】
前記出力指令値を算出する前記消費電力についての一次関数の0次係数は、
前記蓄電池の蓄電可能量に依存することを特徴とする
請求項3記載の発電制御システム。
【請求項5】
前記出力指令値を算出する前記消費電力についての一次関数の一次係数と0次係数は、
時間に依存することを特徴とする
請求項2乃至4のいずれか1項記載の発電制御システム。
【請求項6】
太陽電池の発電電力及び負荷の消費電力を取得すると共に、
前記発電電力の上限値を、前記発電電力の上限値と前記消費電力との差分が前記消費電力の関数となるよう設定してパワーコンディショナの出力指令値を算出し、
前記パワーコンディショナは前記発電電力が前記上限値以下となるよう制御することで逆潮流を回避する発電制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電制御装置及びそれを用いた太陽光発電の発電制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、太陽光発電システムは、電力会社との売買契約に従って、余剰電力は商用電力線に逆潮流させ電力会社に売電されていた。しかし、太陽光発電のような分散電源が増加するにともない、逆潮流による電力系統の電圧変動という弊害が生じることとなった。そのため、現在では太陽光発電システムから電力会社への逆潮流を回避する必要が生じている。
逆潮流を抑制し、太陽電池が発電する電力(発電電力)を制御する方法として、例えば特許文献1、2が開示されている。
特許文献1には、消費電力に対する発電電力の差分値が閾値以下になると太陽電池の発電電力を制御するシステムが、特許文献2には、消費電力に対する発電電力の不足分である受電電力が閾値以下になると太陽電池の発電電力を制御するシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017−093127号公報
【特許文献2】特開2012−175858号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、いずれのシステムにおいても、消費電力に対する発電電力の差分値と閾値とを比較判定し、太陽電池の発電電力を制御するものであった。このようなシステムでは、過剰に発電電力を抑制する結果、太陽電池の発電可能な電力を十分に活用できない。
本発明は、商用電力線への逆潮流を回避しながら太陽電池の発電効率を向上させることができる自家消費型の発電制御システム、及びそれに使用する発電制御装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る発電制御システムは、
発電電力を制御するパワーコンデショナと、負荷に接続された受変電部と、
前記負荷の消費電力を取得すると共に前記パワーコンデショナの出力を制御する発電制御装置と、を備え、
前記発電制御装置は、発電電力の上限値を消費電力の関数として出力指令値を算出し、 前記出力指令値に基づいて前記パワーコンディショナの出力が制御される
ことを特徴とする。
【0006】
また、本発明に係る発電制御システムは、
前記関数は、一次関数であることを特徴とする。
【0007】
このような発電制御システムとすることにより、逆潮流を回避するために、太陽電池の発電電力を制御しながら、太陽電池の発電効率を向上させることができる。
特にパワーコンデショナによる太陽電池の発電電力を制御するためのパラメータである出力指令値を、消費電力についての関数、特に一次関数により算出することにより、容易に、従来過剰に抑制されていた太陽電池の発電電力を有効に利用することが可能となる。
【0008】
また、本発明に係る発電制御システムは、
さらに蓄電池を備えることを特徴とする。
【0009】
蓄電池を備え、太陽電池により発電された電力の一部を蓄電池に充電することにより、太陽電池の発電効率をさらに向上させることができる。
【0010】
また、本発明に係る発電制御システムは、
前記出力指令値を算出する前記消費電力についての一次関数の0次係数は、
前記蓄電池の蓄電可能量に依存することを特徴とする。
【0011】
出力指令値を算出する消費電力についての一次関数の0次係数に蓄電池の蓄電可能量を反映させることにより、容易に蓄電池による発電効率の向上を実現することができる。
【0012】
また、本発明に係る発電制御システムは、
前記出力指令値を算出する前記消費電力についての一次関数の一次係数と0次係数は、時間に依存することを特徴とする。
【0013】
このように一次関数の各係数を時間に依存する値とすることにより、様々な状況に応じて、柔軟に対応が可能となり、さらに太陽電池の発電効率の向上を実現することができる。
【0014】
また、本発明に係る発電制御装置は、
発電電力及び負荷の消費電力を取得すると共に、
前記発電電力の上限値を前記消費電力の関数としてパワーコンディショナの出力指令値を算出し、前記パワーコンディショナの出力を制御する。
【0015】
このような発電制御装置を用いることにより、太陽電池の発電効率を向上させるとともに逆潮流を回避することができる発電制御システムを得ることができる。
【0016】
なお、本明細書において、一次関数の一次の項の係数を一次係数、0次の項の係数を0次係数と称す。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、逆潮流を回避しながら太陽電池の発電効率を向上させることができる自家消費型の発電制御システム及びそれに使用する発電制御装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明に係る発電制御システムの主要構成図。
図2】消費電力及び発電電力上限値の時間依存性を示すグラフ。
図3】時刻tmにおける発電電力の上限値と総発電可能量との相関を示すグラフ。
図4】発電電力の上限値の時間依存性及び一次係数依存性を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。但し、以下の実施形態は、いずれも本発明の要旨の認定において限定的な解釈を与えるものではない。また、同一又は同種の部材については同じ参照符号を付して、説明を省略することがある。
【0020】
図1は、本発明に係る発電制御システム10の一実施形態の主要構成を示す。
発電制御システム10は、太陽電池1、PCS(パワーコンデショナ)2、受変電部3及び発電制御装置(以下単に、制御装置6と称す)を備え、太陽電池1により発電された電力を自家消費するシステムであり、発電制御システム10は、さらに蓄電池7を備えてもよい。
【0021】
太陽電池1は、太陽光を直流電力に変換し、電気的に接続されているPCS(パワーコンデショナ)2に直流電力を出力する。PCS2は太陽電池1から出力された直流電力を交流電力に変換するとともに太陽電池1の発電電力を制御する。すなわち、PCS2は、太陽電池1のI−V特性に従って太陽電池1の発電電力を制御することができ、例えばMPPT法により発電電力が最大となるように制御することができる。
【0022】
PCS2は、電力線によって受変電部3と電気的に接続されており、さらに受変電部3はエアコン等の1つ以上の電気設備である負荷4と電気的に接続されている。
従って、発電された電力は、PCS2及び受変電部3を経由して、負荷4に分配され消費される。
【0023】
また、受変電部3は、電力会社5等からの商用電力線に接続されており、商用電力線から電力供給を受け負荷4に電力を供給することができる。従って、受変電部3は、複数の電力源に電力線により電気的に接続されており、それらの複数の電力源から受電した電力を、電気的に接続されている負荷4へと電力の分配を行い、さらに電力源の供給電圧と負荷4の電気設備の規格電圧に差がある場合、電気設備の規格電圧に応じて変電を行う変圧器の機能を備えてもよい。
【0024】
消費電力が発電電力を上回る場合、電力会社5、及び蓄電池7を備える場合には蓄電池7からの給電により、負荷4で消費する電力の不足分を補う。電力会社5からの給電と蓄電池7の放電による給電との優先順位は、適宜設定することができ、自己消費を優先する場合、蓄電池7からの給電を優先する。
尚、受変電部3は、PCS2と一体化されていてもよい。
【0025】
制御装置6は、太陽電池1の発電電力の上限値を設定するため、負荷4の消費電力、又は受変電部3から負荷4への供給電力を計測する計測部を備える。
なお、受変電部3側に負荷4へ供給電力を計測する機能がある場合、制御装置6は、受変電部3から負荷への供給電力の値を取得する。
また、電力の計測部は、受変電部3内に設けてもよく、制御装置6に内蔵してセンサ部のみを電力線に設置してもよい。計測部は公知の電力計を用いることができる。
【0026】
また、制御装置6は、太陽電池1の発電電力をPCS2から取得し、時々刻々変化する太陽電池1の発電電力を監視することもできる。
【0027】
制御装置6は、さらにマイコン等の演算処理部、記憶装置及び計時部を備える。
制御装置6は、計時部の計時機能を用い、指定された(又は記憶装置に記憶された)頻度で(又は日時に)、消費電力を取得し、演算処理部において、得られた消費電力の値を用い、後述する関数(一次関数)によって太陽電池1の発電電力の上限値を設定する。さらに制御装置6は、発電電力の上限値を太陽電池1の定格電力で除して出力指令値(=(発電電力の上限値)/(定格電力)[%])を算出する。出力指令値は、入出力部を経由してPCS2に出力され、PCS2は出力指令値に従って、太陽電池1の発電電力が上限値以下となるように制御する。
なお、発電電力の上限値そのものを出力指令値としてPCS2に出力してもよい。
【0028】
PCSによる発電電力の制御方法は、種々の方法があり、必ずしも統一されていないが、一般的には、電圧の位相をシフトすることによって生じる電圧差を使って制御する方法か、又は、力率による制御が用いられる。
【0029】
制御装置6は、さらに表示部を備え、消費電力、発電電力、発電電力の上限値を表示することも可能である。
【0030】
さらに発電制御システム10は、蓄電池7を備えることも可能である。蓄電池7はPCS2に電気的に接続され、発電された電力の一部を蓄電池7に充電することも可能である。
また、蓄電池7に蓄電された直流電力は、PCS2を介して受変電部3に出力することが可能である。蓄電池7の充電量(充電可能量)は、PCS2を介して、制御装置6に出力しても、直接制御装置6に直接的に出力されてもよい。
【0031】
以下、発電制御システム10、特に制御装置6による太陽電池1の発電電力の上限値(最大発電許容値)の設定方法について説明する。
【0032】
図2は、消費電力及び発電電力の上限値の朝6時から18時までの変動例を模式的に示す。横軸は時刻であり、縦軸に消費電力及び発電電力をプロットしている。
図中、曲線Sは消費電力を示し、曲線Aは、発電電力の上限値を消費電力に対して、一定量低い値に設定した場合(条件αと称す)を示し、曲線Bは発電電力の上限値を消費電力に比例した値に設定した場合(条件βと称す)を示す。
【0033】
図2に示される例においては、特許文献1、2に記載されているような条件αでは、消費電力量が少ない時間帯(6時〜10時)において、条件βと比較して太陽光発電量が低くなり、発電を抑制されるため、発電効率が落ちてしまうことが分かる。
一方、消費電力が多い時間帯(12時〜14時)においては、条件βは、条件αと比較して太陽光発電電力が低くなり、発電電力が抑制されるため、発電効率が落ちてしまう。
条件αの場合、消費電力に関わらず発電電力上限が一定であるが、条件βの場合は消費電力に応じて発電量の上限が高くなるためである。
【0034】
本発明に係る発電制御システム10は、発電電力上限値を以下に説明するよう一次関数式により算出し、一次係数a及び0次係数bを実際の消費電力、発電性能にあわせて設定することにより、発電効率を上げることができる。
【0035】
消費電力は時刻により変化するため、時刻tにおける消費電力及び発電電力上限をそれぞれS(t)、P(t)[W]とする。
S(t)=消費電力 [式1]
P(t)=発電電力上限値(最大発電許容値) [式2]
【0036】
P(t)は、S(t)とP(t)との差分が、S(t)の一次式となるように設定する。
S(t)−P(t)=aS(t)+b [式3]
ここで、aは0より大きく1以下の値とする。式3より
P(t)=(1−a)S(t)−b [式4]
となる。

【0037】
以下、式4により発電電力上限を設定する効果及び、一次係数a、0次係数bの設定法の例について具体的に説明する。
【0038】
式4を所定の時間間隔(tからt、例えば、6時から18時、0時から24時)の範囲で時間積分することにより、所定の時間の発電可能な総発電可能量[Wh](総発電量上限値)は
∫P(t)dt=∫(1−a)S(t)dt−∫bdt [式5]
となる。ここで係数a、bを時間に依存しない定数とすると、
∫P(t)dt=(1−a)∫S(t)dt−b∫dt
=(1−a)∫S(t)dt−b(t−t) [式6]
となる。
【0039】
ここで、例えば、時刻tmで消費電力量が最大となるとすると、
P(tm)=max(P(t)) [式7]
となる。
もし、時刻tmを中心とする時間帯において消費電力の絶対値の変動が大きくなる場合、急な消費電力の変動に発電電力の制御が追随できないリスクが高くなる可能性がある。そのため、この時間帯において、消費電力と発電電力との差分に対して、十分なマージン(余裕度)を持たせることを想定する。すなわち、時刻tmでのS(tm)とP(tm)との差分を所定の値Z(余裕度)以上に設定すると、
S(tm)−P(tm)≧Z [式8]
となる。そのため、P(tm)は、
P(tm)≦S(tm)−Z [式9]
となる。
【0040】
そこで、時刻tmにおいて、P(tm)がS(tm)−Z以下の値になるという束縛条件の下で総発電可能量が最大になるようa、bを決定する。
なお、Zは、太陽電池の発電量制御の応答性、PCSのMPPT制御の変動幅や、過去の実績から想定される消費電力の変動量等から決めればよく、Zが小さいと逆潮流のリスクが高くなる。
例えば、PCS2による発電力制御の応答時間が1分程度であり、その間(1分間)の消費電力の変動量が過去の実績から50kWであったとすると、Zの値は50kW以上の値を設定する必要がある。また、応答速度が速く例えば5秒以内程度であれば、その間の消費電力の変動は少なくなると考えられるため、Zの値としてより小さい値を設定できる。
【0041】
図3は、横軸に総発電可能量、縦軸にP(tm)をプロットした相関図であり、図3(a)は、aをゼロとしたときのbの依存性(従来の制御法)を示し、図3(b)は、a及びbの依存性を示し、図3(c)は(a)及び(b)を合成した図である。
【0042】
図3(a)に示すように、bを変化(増大)させると、矢印αに示す方向に、直線LAに沿って総発電可能量及びP(tm)が変化する。
【0043】
図3(b)において、直線LB1は、bをゼロとしaを変化させた時の総発電可能量及びP(tm)を示す。直線LB1において、aを変化(増大)させると、矢印βに示す方向に、直線LB1に沿って総発電可能量及びP(tm)が変化する。
さらに、bを変化(増大)させると、直線LB1が、矢印γで示す方向に、例えば直線LB2、直線LB3へとシフトする。
なお、直線LB2、LB3において、aを変化(増大)させると、直線LB1と同様な矢印βの方向に、直線LB2、LB3に沿って総発電可能量及びP(tm)が変化する
【0044】
図3(c)は、図3(a)及び(b)を合成した図であり、視認性のため直線LA、直線LB1及び直線LB3のみをプロットしている。図中、直線Lmは、P(tm)の上限を示す。(式9参照。)
【0045】
図3(c)において、直線Lmと直線LAとが交わる点の総発電可能量が、aをゼロとしたとき(従来の制御法)の最大の総発電可能量(図中、「TA」で示す)となる。
さらに図3(c)に示すように、直線Lm以下であり且つ総発電可能量がTA以上となる領域(図中に示す、ハッチングされた領域「K」)が存在し、S(tm)と総発電可能量との組み合わせを実現できるようにa、bを設定できることが理解できる。
【0046】
領域Kの内部は、従来の発電量の制御方法よりも発電効率がよい領域である。
領域Kの内、最も総発電可能量が大きいのは、点TB1であり、その点を実現するa、bを選択することも可能であるが、領域K内部の領域で、従来よりも発電効率が高く、さらに逆潮流のリスクを低減するように発電電力の低い点、例えば図3(c)中の点TB2を選択して、a、bを決定してもよい。a、bの設定可能範囲が確定するため、利用者がその範囲から発電電力の上限を確定すればよく、太陽電池1を制御する条件の選択の幅が拡大する。
【0047】
このように、従来のような発電電力の上限値を消費電力に依存しない制御方法とくらべ、式4に示すように発電電力の上限値を消費電力の一次関数とすることで、総発電可能量を増大させることができる。
【0048】
なお、図3(c)においては、tmは消費電力が最大となる時刻としたが、他の時刻、例えば消費電力の時間変動が大きい時刻(S(t)の時間微分が最大となる時刻)、日照量が最大となる時刻等をtmとして、図3(c)に相当するグラフを作成し、一次係数a、0次係数bを決定してもよい。
【0049】
なお、図3(c)は、消費電力の時間積分により算出している。そのため、a、bを確定するための時間積分は、過去数日の消費電力の平均値を用いたり、過去数週間の同じ曜日の消費電力を使用してもよい。
また、図3(c)は、従来と比べ発電効率を向上することができることを示すものであり、a、bの設定条件は上記方法によらず、例えば、aを0(ゼロ)としてbを確定し、aの値を変化させて総発電量のデータを取得し蓄積し、総発電量が高い条件となるようにaの値を確定してもよい。また、逆にbを0(ゼロ)としてaを確定し、bの値を変化させて総発電量のデータを取得し蓄積し、総発電量が高い条件となるようにbの値を確定してもよい。
【0050】
また、時間積分する時刻t、tは、適宜変更が可能であり、例えば6時から10時、10時から14時、14時から18時のように複数の時間帯を設け、それぞれの時間帯でa、bを確定し、それぞれの時間帯毎に一次係数a、0次係数bの値を変えてもよい。
【0051】
また、時間積分を行わず特定の時刻t(例えば午前10時等)において、式6の代わりに式4を用いて図3に相当するグラフを作成してもよい。
【0052】
また、一次係数a、0次係数bを決めるためのZの値は、予め過去の実績等から決めておき、a、bの設定可能範囲を算出後、設定可能範囲から利用者等がa、bの値を決定し、発電電力の上限を決めてもよい。例えば、Zの値として十分に余裕を持たせて大きく設定し、使用実績を見ながら小さくしていってもよい。
【0053】
このように、太陽電池1の発電電力を制御するために2つのパラメータ(一次係数a及び0次係数b)を用いることで、太陽電池1の設置箇所、季節、時刻に応じて、様々な条件に対応することができる。
【0054】
また、制御装置6内の記憶装置に過去のデータを記憶して、最適なa、bの値を算出できるように学習機能を備えさせることが可能である。太陽電池1の使用条件に合わせて、発電電力の上限と2つのパラメータ(a、b)との相関関係についてのデータを作成及び保存、蓄積し、蓄積されたデータから、最適な条件を設定することができる。2つのパラメータを用いるため、条件の最適化の自由度が増加し、様々な状況に合わせた制御条件を得ることができる。
【0055】
図4は、本発明の別の効果を示す図であり、P(t)の時間依存性を示し、さらに、簡単のため0次係数(b)をゼロとしたときの、P(t)の一次係数aの依存性を模式的に示す。横軸は時刻であり、縦軸に各一次係数におけるP(t)をプロットしている。
図4において、曲線A、B、Cは、この順に一次係数が増大している。図4より明らかなように、一次係数が増大すると、発電電力上限値が低下するとともに、曲線の凹凸(変動幅)が低下する。例えば、極大点tの発電電力上限値と極小点tの発電電力上限値との差が曲線A、B、Cの順に低減することが分かる。即ち、一次係数が増大すると発電電力上限値の変動幅が少なくなる。その結果、PCS2による制御すべき発電電力の応答性が緩和されるという効果もある。
【0056】
このように本発明に係る発電制御システム10においては、従来と比較し、逆潮流を回避しながら総発電量を増大させることが可能な太陽光電池の制御が実現でき、さらに、発電電力を制御する変動幅が緩和される効果もある。
【0057】
さらに発電システム10は、上述のように蓄電池7を備えてもよい。それにより発電された電力の一部を蓄電池7の充電することも可能である。
この場合、式1において0次係数bに、蓄電可能な電力分を考慮した値とすることで、容易に蓄電池7をシステムに組み込んだ発電電力の上限を設定できる。
すなわち、0次係数bを、蓄電可能な電力に相当する分だけ低く設定することで、発電電力上限値P(t)を増大できる。
また、日照量の多い時間帯のみ充電可能とし、すなわち0次係数を充電可能な量に相当する分だけ特定の時間、tからt、例えば10時から14時までの時間帯のみ0次係数を以下のように小さく設定してもよい。
b=b0−c(t) [式10]
ここで、t≦t≦t
この場合、図3(c)の領域Kに相当する領域を算出する場合、式5を用いればよい。
【0058】
なお、蓄電池7が過充電になる場合、充電を停止する必要がある。その場合、蓄電池7の蓄電量をモニタし、充電可能な電力を検出し、過充電となる前に、0次係数bから充電可能量に相当する値を排除しておく必要がある。例えば、制御装置6は、蓄電池7の電圧を測定し、測定した時点での測蓄電池7の充電可能量を、測定した電圧値から算出し、式10のc(t)(時間の関数)の代わりにc(V)(電圧の関数)又はc(t、V)(時間と電圧の関数)とすればよい。
【0059】
このように、本発明に係る制御装置6においては、蓄電池7のような追加的な装置の効果を0次係数に容易に盛り込むことができる。
【0060】
さらに一次係数a、0次係数bは、季節、時刻に依存して変更してもよい。制御装置6の計時部の時計機能を利用し、記憶部に記憶した季節、時刻毎に設定された一次係数a、0次係数bの値を用いてもよい。
例えば、太陽電池1の発電電力は、定格電力に近くなると、発電電力の変動が小さくなる。この場合Zの値を小さく設定し、それに合わせて一次係数a、0次係数bを算出してもよい。すなわち、太陽高度が高く、十分な日射量を得られ、太陽電池の定格電力に近い値が出力されるような季節及び時刻において、Zを小さく設定することも可能である。
一次係数a、0次係数bの値を太陽電池1の特性や負荷の消費電力の動向にあわせて柔軟に設定することにより、さらに太陽電池1の発電効率を向上させることができる。
【0061】
また、制御装置6からPCS2への制御命令は、その頻度を適宜変更できる。頻度に合わせてa、bを設定してもよい。例えば、頻度が少ない場合、消費電力、発電電力の変動を見込んで、発電電力の上限の算出には、想定される変動幅に余裕(マージン)を持たせてZ値を大きく設定し、一次係数a、0次係数bを確定する。頻度が大きい場合、発電電力の変動幅に対する余裕を少なくすることができ、Z値を小さく設定し、一次係数a、0次係数bを確定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明に係る発電制御システムによれば、容易に、逆潮流を回避しながら太陽電池の発電効率を向上させることが可能となり、電気設備を使用する施設に広く利用することができ、産業上の利用可能性は大きい。
【符号の説明】
【0063】
1 太陽電池
2 PCS
3 分電盤
4 負荷
5 電力会社
6 制御装置
7 蓄電池
10 発電制御システム
【要約】
【課題】
商用電力線への逆潮流を回避しながら太陽電池の発電効率を向上させることができる自家消費型の発電制御システム、及びそれに使用する発電制御装置を提供することを課題とする。
【解決手段】
本発明の発電制御システムは、発電電力を制御するパワーコンデショナと、負荷に接続された受変電部と、前記負荷の消費電力を取得すると共に前記パワーコンデショナの出力を制御する発電制御装置と、を備え、前記発電制御装置は、発電電力の上限値を消費電力の関数として出力指令値を算出し、前記出力指令値に基づいて前記パワーコンディショナの出力が制御されることを特徴とする。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4