【文献】
秋山 利,矢崎計器の最新技術・製品事例 「ブルドック」のシステムと効果,エレクトロニクス,日本,株式会社オーム社,1998年10月 1日,第43巻 第10号,p.78-80,ISSN 0421-3513
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
<第1実施形態>
<全体構成>
以下、図面を参照して本実施形態におけるガス供給管理システムについて説明する。
図1は、本実施形態のガス供給管理システム10の構成を模式的に示す概要図であり、
図2(a)は、本実施形態の情報送信手段11の構成を模式的に示す概略図であり、
図2(b)は情報送信手段11の構成を示すブロック図であり、同図(c)は情報送信手段11の機能を示すブロック図である。
【0016】
図1に示すように、ガス供給管理システム10は、液化石油(LP)ガスの複数の供給先施設Uにそれぞれ備えられたLPガスメータ21からの情報を月次より高い頻度(例えば、1ヶ月に1度や1週間に1度などの頻度よりも高い(多い)頻度)で収集することにより、LPガスの検針・保安・配送などの業務を効率的に行うものであり、各LPガスメータ21と接続し、各LPガスメータ21からの情報を取得する情報送信手段(情報送信装置)11と、情報送信装置11とネットワーク(通信回線)NW1を介して通信可能に接続された複数の携帯端末12と、ネットワークNW1に接続する管理手段(管理装置)13と、管理装置13とネットワークNW2を介して接続する事業者用サーバ装置14と、を有する。ここで供給先施設Uは、例えばLPガスの契約者の居住施設(一般家庭の戸建住宅、集合住宅、事務所等)の敷地内またはその近隣に設けられたLPガス設置施設であり、LPガスの設置場所をいう。
【0017】
携帯端末12と情報送信装置11および管理装置13が接続するネットワークNW1は例えば無線の移動体通信網(基地局等を含む)や、WiFi(登録商標)のような無線LAN方式による無線データ通信網、近距離無線通信規格(Bluetooth(登録商標)のような無線PAN方式)による無線データ通信網、WiMAX(登録商標)のような無線MAN方式、無線WAN方式などによる無線データ通信網であり、管理装置13と事業者用サーバ装置14とが接続するネットワークNW2は例えば、LAN、インターネット、または専用通信回線(例えば、CATV(Community Antenna Television)回線)、及びゲートウェイ等により構築される通信回線である。なお、ネットワークNW2は、各装置間で相互に通信可能な回線であればよく、また、通信の形態は有線/無線を問わない。
【0018】
<情報送信手段>
図1および
図2(a)に示すように、情報送信装置11は、複数のLPガスの供給先施設Uに配置されるガス容器(ガスボンベ)20のそれぞれに対応したLPガスメータ21と接続し、LPガスメータ21からの情報(以下、ガスメータ情報という)を取得して携帯端末12に送信する装置である。
【0019】
図2(b)、同図(c)に示すように、情報送信装置11は、例えば、LPガス供給管25に取り付けられ、各LPガスメータ21の外部端子22と有線の接続手段23を介して接続する接続部111と、各LPガスメータ21のガスメータ情報を取得し記憶する取得部112と、携帯端末12との間でネットワークNWを介して無線通信を行うための通信部113と、電池114と、各種構成を制御する制御部115と、メモリ116等を備える。
【0020】
ここで、「ガスメータ情報」とは、個々のLPガスメータ21(ガスボンベ20)を識別可能な固有番号(例えば、製造番号)と、ガスボンベ20ごとの所定期間におけるガス使用量を示す指針値および保安情報(個々のガスボンベ20の圧力を監視し、ガス漏れ等を検知するための情報)と、これらの情報の取得日(検針日)を少なくとも含む情報である。
【0021】
情報送信装置11は、内蔵の電池(LPガスメータとともにあるいは単独で交換可能な充電池(リチウムイオンバッテリーなど))114を電源とし、制御部115によってメモリ116に記憶されている情報送信装置11全体の動作を実現するための各種のソフトウェアプログラム等を実行する処理や、制御信号やデータの転送処理を行う処理などを行う。
【0022】
メモリ116には、情報送信処理などを行うソフトウェアプログラムが格納され、当該プログラムが実行されることにより、情報送信装置11は、情報送信処理を実行する。この情報送信処理により、情報送信装置11は携帯端末12からの情報送信要求を受信する情報送信要求受信手段117および、LPガスメータごとのガスメータ情報を携帯端末12に送信する個別情報送信手段118などとしての機能を実現する(同図(c))。
【0023】
情報送信要求受信手段(情報送信要求受信処理)117は、通信部113を介して、周期的に(例えば、30秒に1回のタイミングで)携帯端末12からの情報送信要求を受信する。すなわち、例えば情報送信装置11は、情報送信要求受信手段117が機能しない待機モードと情報送信要求受信手段11が機能する受信モードとが周期的に自動で切り替わる。つまり、周期的に情報送信要求受信手段11が機能する。また、個別情報送信手段(個別情報送信処理)118は、情報送信要求受信手段117によって情報送信要求を受信した場合に、接続部111を介してLPガスメータ21からガスメータ情報を取得して、または、予め定期的に取得しメモリ116等に記憶してあるガスメータ情報を、ネットワークNWを介して携帯端末12に送信(無線送信)する。
【0024】
<携帯端末>
図3を参照して携帯端末12について説明する。同図(a)は、携帯端末12の構成を示すブロック図であり、同図(b)は、携帯端末12の機能を示すブロック図である。
【0025】
同図(a)に示すように、携帯端末12は、LPガスメータ21の検針員(検針者)、ガスボンベ20の配送者、あるいはLPガスの供給元の担当者が携行する端末装置、またはガスボンベ20の配送車両等に取り付けられた移動体通信が可能な端末装置であり、情報送信装置11から送信されたガスメータ情報を受信・収集して、ネットワークNW1を介して管理装置13に当該ガスメータ情報を送信(アップロード)する。携帯端末12は、例えば従来公知のスマートフォン、タブレット型端末、PDA(Personal Digital Assistant)などが好適であるが、ノートパソコン、移動体通信が可能なハンディターミナル(専用端末)、携帯電話などによっても実現することができる。ここで、LPガスの「供給元」とは例えば、各LPガス事業者、各LPガス事業者の支店、充填所、配送センタ、小売事業者など、LPガスの契約者(消費者)に対して、LPガスを供給する者の総称である。
【0026】
携帯端末12は、CPU(制御手段)120、表示手段(表示部、ディスプレイ)121、入力手段122、メモリ123、通信手段124などを有する。入力手段122は、携帯端末12に文字、画像、音声等の情報を入力する手段の総称であり、例えば、文字を入力するキーボード(タッチパネル)、対象を撮影し画像として入力(記憶)するカメラ、音声を入力(記憶)するマイクなどである。
【0027】
CPU120は、メモリ123に格納されている携帯端末13全体の動作を実現するための各種のソフトウェアプログラム(アプリケーションプログラム)やオペレーティングシステム(OS)等を実行する処理や、、プログラムの実行に必要なデータやファイル等をメモリ123等に記憶する処理などを行う。
【0028】
通信手段124は、情報送信装置11および管理装置13とネットワークNW1を介して通信を行う。
【0029】
メモリ123には、情報収集処理などを行うソフトウェアプログラム(アプリケーションプログラム)が格納され、当該プログラムが実行されることにより、携帯端末12は、情報収集処理を実行する。この情報収集処理には、地理情報表示処理、情報送信要求処理、および情報受付送信処理が含まれ、これにより携帯端末12は、地理情報表示手段127、情報送信要求手段128、および情報受付送信手段129などとしての機能を実現する(同図(b))。
【0030】
地理情報表示手段(地理情報表示処理)127は、電子地図上に少なくともガスボンベ20(およびガス管等)の位置情報を重ねて表示した所謂マッピングシステムを実現するアプリケーションプログラム(これにより実行される処理)である。地理情報表示手段127によって、携帯端末12の位置を中心とした所定範囲(距離)内の電子地図およびそこに存在する同一の供給元(例えば、LPガス事業者(またはその支店や小売事業者等))の保有する(同一ガス事業者と契約している消費者の)ガスボンベ20の位置情報を把握することができる。具体的には、携帯端末12がある情報取得ポイント(検針ポイント)に存在する場合、地理情報表示手段127によって、当該情報取得ポイントから所定範囲(例えば、情報取得ポイントを中心として半径200m〜300m程度の範囲、距離)内の電子地図およびその範囲内に存在する同一の供給元の検針対象となるガスボンベ20(LPガスメータ21)の位置を、携帯端末12の表示手段121に表示させることができる。
【0031】
情報送信要求手段(情報送信要求処理)128は、情報送信装置11に対して任意のタイミングで所定期間(情報送信要求受信手段117の受信周期(この例では30秒)より長い期間(例えば、1分間など))に亘り、情報送信要求を送信し、情報送信装置11から送信されたガスメータ情報を受信して、ガスボンベ20(供給先施設)の位置情報と紐付けて、管理装置13に対して当該ガスメータ情報を送信する。
【0032】
つまり、携帯端末12の情報送信要求手段128がある情報取得ポイントにおいて情報送信装置11に情報送信要求を送信すると、地理情報表示手段127が当該情報取得ポイントから所定範囲内の電子地図およびその範囲内に存在する同一の供給元の検針対象となるガスボンベ20(LPガスメータ21)の位置を、携帯端末12の表示手段121に表示する。そして、表示手段121に表示されている全てのLPガスメータ21と接続する情報送信装置11は、ガスメータ情報を携帯端末12に送信する。そして、携帯端末12は、地理情報表示手段127によって対象となるLPガスメータ21の位置情報と、受信したガスメータ情報とを紐付けて、ネットワークNW1を介して、管理装置13に送信(アップロード)する。なお、携帯端末12から同日に同一のLPガスメータ21のガスメータ情報が送信された場合は、管理装置13の情報は、最新のガスメータ情報で上書き(更新)される。
【0033】
このとき、通信状況の悪化などにより携帯端末12が情報送信要求を送信したにもかかわらず、ガスメータ情報が受信できない場合もある。そこで、地理情報表示手段127は、対象となるLPガスメータ21ごとのガスメータ情報の取得の成否を、表示手段121に表示可能に構成されている。これにより、携帯端末12の携行者は、ガスメータ情報の取得が失敗したLPガスメータ21の位置を把握することができる。
【0034】
ガスメータ情報の取得に失敗したLPガスメータ21が存在する場合、携帯端末12の携行者は必要に応じて情報取得ポイントから移動するなどして再度の情報送信要求を送信し、ガスメータ情報の再取得を試みる。
【0035】
情報送信要求に基づくガスメータ情報の取得が行えない場合、携帯端末12の携行者は、情報受付送信手段(情報受付送信処理)129によって、ガスメータ情報を取得する。情報受付送信手段129は、携帯端末12の携行者(使用者)によるガスメータ情報の入力を受け付け、管理装置13に当該ガスメータ情報を送信するためのアプリケーションプログラムである。
【0036】
情報受付送信手段(情報受付送信処理)129は、例えば、ガスメータ情報の取得が行えなかったLPガスメータ21の位置情報(地図や住所など)を携帯端末12の表示手段121に表示する。携帯端末12の使用者は当該位置情報に基づき、ガスメータ情報の取得が行えなかったLPガスメータ21の所在地に赴き、例えば、携帯端末12のカメラ(入力手段122)によりLPガスメータ21を撮影し、情報受付送信手段129に当該画像データを入力する。情報受付送信手段129は、入力されたLPガスメータ21の画像データから、当該LPガスメータ21の固有番号、ガス使用量を示す指針値、および保安情報などを文字認識し、当該文字情報と地理情報表示手段127から取得した位置情報とを紐付けて、ガスメータ情報の取得日(検針日)とともにガスメータ情報として携帯端末12のメモリ123に記憶する。あるいは、情報受付送信手段129は、携行者の携帯端末12のタッチパネル(入力手段122)の操作による当該LPガスメータ21の固有番号、ガス使用量を示す指針値、および保安情報などの文字情報の入力を受付け、ガスメータ情報として携帯端末12のメモリ123に記憶する。そして、情報受付送信手段129は、ガスメータ情報と地理情報表示手段127から取得したLPガスメータ21の位置情報と紐付けて、ガスメータ情報の取得日(検針日)とともにネットワークNW1(例えば、無線の移動体通信回線や無線LANなど)を介して、管理装置13に送信(アップロード)する。
【0037】
例えば、情報送信装置11の周囲に電波を遮蔽する部材が存在する場合などでは、携帯端末12においてガスメータ情報を取得することができない。なお、この問題はスマートメータにおいても同様に生じる。本実施形態では、携帯端末12が情報送信装置11との無線通信によってガスメータ情報を取得できない場合であっても、補助的な情報受付送信手段129によってガスメータ情報を取得し、管理装置13に当該ガスメータ情報を送信することができる。また、情報受付送信手段129が携帯端末12のカメラにより撮影したLPガスメータ21の画像データからガスメータ情報を取得する構成の場合は、検針実行の証拠を残すこともできる。
【0038】
このように、本実施形態では、電池(充電池)114を内蔵し、携帯端末12と無線通信を行う通信部113を備えた情報送信装置11を既存のLPガスメータ21に有線接続することにより、LPガスメータ21のガスメータ情報を携帯端末12に送信し、携帯端末12からリアルタイムで管理装置13に送信することができる。このようにすることで、永続的な通信用の電源を有さない既存のLPガスメータ11を用いて、必要時に自動でガスメータ情報を取得することができる。また、携帯端末12は、任意のタイミングで所定期間(例えば、1分間)に亘り、情報送信要求を送信し、情報送信装置11では携帯端末12からの情報送信要求を受信する情報送信要求処理を周期的(例えば、30秒に1回)に行うようにすることで、情報送信装置11の電源消費を最小に抑えることができる。
【0039】
<管理手段>
図4を参照して管理手段13について説明する。同図(a)は、管理手段13の構成を示すブロック図であり、同図(b)は、管理手段13の機能を示すブロック図であり、同図(c)は管理装置13が管理する情報(ガスメータ管理情報)の一例を示す概要図である。
【0040】
同図(a)に示すように、管理装置13は、携帯端末12と例えば移動体通信回線などのネットワークNW1を介して接続し、事業者用サーバ14と例えばインターネットや専用回線などのネットワークNW2を介して接続する例えばサーバ装置(またはパーソナルコンピュータ(PC))であり、CPU130、ROM131、RAM132、記憶手段(記憶装置)133、入力手段134、表示手段135、通信手段136などを有する。
【0041】
CPU130は、ROM131や記憶装置133等に格納されている管理装置13全体の動作を実現するための各種のソフトウェアプログラム(アプリケーションプログラム)やオペレーティングシステム(OS)等を実行する処理や、プログラムの実行に必要なデータやファイル等をRAM132や記憶装置133等に記憶する処理などを行う。
【0042】
記憶装置133は、アプリケーションプログラム、OS、制御プログラム、関連プログラム等を記憶するものであり、例えば、ハードディスク(HDD)等によって実現することができる。入力手段134は例えば、キーボード、ポインティングデバイス(マウス等)、タッチパネル等によって実現することができる。表示手段135は、例えば入力手段134からの入力に対する応答出力等を表示するものであり、例えば、液晶表示装置、プラズマディスプレイ等によって実現することができる。
【0043】
ROM131などに記憶されたソフトウェアプログラムがRAM132のワークエリアに読み出されてCPU130によって当該ソフトウェアプログラムが実行されることにより、管理装置13はガス供給管理処理を実行する。このガス供給管理処理には、使用量算出処理、配送予測処理および地理情報表示処理等が含まれ、これにより管理装置13は、使用量算出手段137と、配送予測手段138と、地理情報表示手段139の機能を実現する(同図(b))。なお、ソフトウェアプログラムは、DVD−ROMやCD−ROM等のコンピューター読み取り可能な情報記憶媒体に格納されていてもよい。また、記憶装置133内にはデータベースが設けられ、ガスメータ情報とLPガスメータ21の位置情報とが紐付けて記憶される。
【0044】
通信手段136は、携帯端末12とネットワークNW1を介して通信を行うとともに、事業者用サーバ装置14とネットワークNW2を介して通信行う。
【0045】
事業者(供給者)用サーバ装置14は、既知のサーバ装置であり、管理装置13と同様のCPU、ROM、RAM、記憶手段、入力手段、表示手段、通信手段(いずれも不図示)などを有し、その記憶手段には、特定の事業者(の特定の権限を有する者)のみがアクセス可能な情報(例えば、当該LPガスメータ21(LPガス)の契約者(消費者)の個人情報など)が格納されている。
【0046】
つまり、本実施形態では、管理装置13のデータベースにガスメータ管理情報が格納されている。このガスメータ管理情報は一例として、同図(c)に示すように、ガスメータ情報(およびLPガスメータ21の位置情報)を含む一方、当該LPガスメータ21の契約者(消費者)の個人情報は含まれない。LPガスの契約者(消費者)の個人情報は、(例えば、後述する配送予測手段138などによって)必要に応じて事業者用サーバ装置14から取得することで、管理装置13のガスメータ情報と対応付けられる。すなわち、検針者や配送者が携行する携帯端末13においては、LPガスの契約者の個人情報を保持(記憶、表示)することはできないように構成されている。
【0047】
なお、本実施形態では携帯端末13において、LPガスの契約者の個人情報を保持(記憶、表示)することはできないように構成されていればよく、管理装置13において位置情報と紐付けて当該LPガスメータ21の契約者(消費者)の個人情報を保有してもよい。
【0048】
また、携帯端末12がガスメータ情報の取得が行えない状態の場合(携帯端末12の情報受付送信手段129によって、ガスメータ情報を取得する必要がある場合)には、対象のLPガスメータ21のみ、その契約者名等を管理装置13から取得し、あるいは管理装置13を経由して事業者用サーバ装置14から取得して一時的に表示できるようにしてもよい。
【0049】
管理装置13は、ガスメータ管理情報として例えば、単一の供給元(例えば、各LPガス事業者、各LPガス事業者の支店、充填所、配送センタ、小売事業者など)に関する情報のみを管理するものであってもよいし、複数の供給元に関する情報を各供給元ごとに管理するものであってもよい。管理装置13が、複数の供給元に関する情報を各供給元ごとに管理するものである場合、
図1に示した管理装置13は、各供給元ごとに複数設けられるものであってもよいし、1つまたは複数の管理装置13で、複数の供給元に関する情報を各供給元ごとに管理するものであってもよい。また、管理装置13が、複数の供給元に関する情報を各供給元ごとに管理するものである場合、事業者用サーバ装置14は、各事業者(の特定の権限を有する者)がそれぞれの契約者の情報のみにアクセス可能となるように、一つ又は複数設けられる。
【0050】
図4(c)は、1の管理装置13が保有するガスメータ管理情報の一例であり、複数の供給元(例えば、LPガス事業者)に関する情報を各供給元ごとに管理する場合の例を示す概要図である。
【0051】
管理装置13は例えば、同図(c)に示すように、複数の供給元(例えば、LPガス事業者)毎に、それぞれの供給元が保有するLPガスの固有番号を紐付けたガスメータ管理情報(データベース)を保持している(固有番号以外の情報が含まれていてもよい)。各供給元は、供給元識別番号によって識別される。一方、事業者(供給者)用サーバ14(14A、14B、14C・・・)は、例えば、各LPガス事業者(あるいは、支店などその他の供給元)毎に設けられており、各LPガス事業者が契約する契約者のみ(自社の契約者のみ)の個人情報を保有する。
【0052】
管理装置13は、各事業者サーバ14(14A、14B、14C・・・)から要求があった場合、当該事業者の供給元識別番号に紐付けられたLPガスの固有番号をダウンロードさせる。これにより、各LPガス事業者は自社の契約者のみのLPガスの固有番号を取得できる。そして、各LPガス事業者は取得した固有番号に基づき、自社の事業者用サーバ装置14から各固有番号に対応した個人情報を取得する。
【0053】
具体的には、例えば、管理装置13は、LPガス事業者A(供給元識別番号「ID01」)の保有する事業者サーバ14Aから要求があった場合、供給元識別番号「ID01」をキーとして対応する複数のLPガスの固有番号(この例では、「0001」〜「0004」)のダウンロードを事業者用サーバ14Aに対して許可する。LPガス事業者Aは自社の契約者のみのLPガスの固有番号を取得でき、当該固有番号に基づき、自社の事業者用サーバ装置14Aから各固有番号に対応した個人情報を取得する。
【0054】
同様に、LPガス事業者B(供給元識別番号「ID02」)の保有する事業者サーバ14Bから要求があった場合、供給元識別番号「ID02」をキーとして対応する複数のLPガスの固有番号(この例では、「0005」、「0006」・・・)のダウンロードを事業者用サーバ14Bに対して許可し、LPガス事業者C(供給元識別番号「ID03」)の保有する事業者サーバ14Cから要求があった場合、供給元識別番号「ID03」をキーとして対応する複数のLPガスの固有番号(この例では、「00010」、「0011」・・・)のダウンロードを事業者用サーバ14Cに対して許可する。LPガス事業者Bは自社の事業者用サーバ装置14Bから各固有番号に対応した個人情報を取得し、LPガス事業者Cは自社の事業者用サーバ装置14Cから各固有番号に対応した個人情報を取得する。
【0055】
このようにすることで、複数の供給元の情報を管理装置13において一括に管理することができ、また一括に管理した場合であっても、契約者の個人情報については供給元ごとに管理することができる。
【0056】
なお、この例では1つの管理装置13のみを示しているが、同図(c)に示す構成の供給元識別番号と固有番号の情報を複数の管理装置13で管理してもよい。
【0057】
地理情報表示手段(地理情報表示処理)139は、携帯端末12の地理情報表示手段127と同様(共通)のマッピングシステム(これにより実行される処理)である。
【0058】
使用量算出手段(使用量算出処理)137は、携帯端末12から受信したガスメータ情報のガス使用量(指針値)や
図4(c)に示すガスメータ管理情報に基づき、所定期間におけるガスボンベ20ごとのガス使用量(指針値)と、ガスボンベ20内のガス残量を算出し、LPガスメータ21ごとに記憶手段133に記憶する。使用量算出手段(使用量算出処理)137が管理する(生成し又は使用する)データの一例は後述する(
図9参照)。供給元は、当該出力結果(検針結果)を消費者に通知する。
【0059】
具体的には、本実施形態では、各供給先施設(各家庭)を訪問することなくLPガスメータの検針を行うため、消費者にとっては検針の有無が把握しにくい。そこで、供給元では予め消費者のメールアドレスを登録してもらい、検針を実施した場合(情報受付日に携帯端末12からガスメータ情報を受け付けた場合、あるいは、管理装置13の使用量算出手段137から検針結果が出力された場合)には検針の実施をメールにて通知する。また、管理装置13などに消費者ごとのポータルサイトを準備し、当該ポータルサイトにおいて検針結果と使用量分の請求書の提示などを行う。従来では、検針員によって各供給先施設(各家庭)を訪問し、検針結果をポスティングによって通知したり、検針結果を集中管理して検針結果通知と使用量分の請求書を郵送するなどしていたが、消費者ごとのポータルサイトによる検針結果の通知と使用量分の請求書の提示を行うことで、検針結果通知および請求書の発行に伴うコストを大幅に低減することができる。また、ポータルサイトでは、使用者ごとの過去の使用量の変化や過去の使用量に基づく将来の使用量予測などを行うようにしてもよい。なお、希望者に対しては、検針結果通知と使用量分の請求書を郵送するようにしておよい。
【0060】
配送予測手段(配送予測処理)138は、ガスボンベ20の使用量や
図4(c)に示すガスメータ管理情報に基づき、供給元(LPガス事業者、支店、充填所、配送センタ、小売事業者など)ごとにガスボンベ20の配送の予定日と最適な配送経路を予測する。配送予測手段(配送予測処理)138が管理する(生成し又は使用する)データの一例は後述する(
図9参照)。
【0061】
図5は、配送予測手段138による配送予定日の予測方法について説明する概略図である。配送予測手段138は、供給先施設Uごとのガスボンベ20の配送日(実際に配送された日、前回配送日)の入力を受け付けて、当該配送日(前回配送日)を記憶手段(記憶装置)133に記憶する(1)。そして、例えば、各供給先施設Uごとに過去の同月の使用量等に基づいて、ガスボンベ20内のガス残量が所定量(例えば、2本のガスボンベ20の全量で100%とした場合、全体の20%程度のガス残量)になると予測される日(例えば、前回配送日から2ヶ月後の日など)を仮の次回配送日として設定し、記憶手段133に記憶する(2)。その後、前回配送日から仮の次回配送日までの間で複数(例えば2回)の情報受付日を設定する(3)。この情報受付日は、携帯端末12から送信されるガスメータ情報の受付日であって、携帯端末12からは検針後にリアルタイムでガスメータ情報(ガス使用量の指針値を含む)が管理装置13に送信されるため、携帯端末12による検針日である。配送予測手段138は、前回配送日から所定期間(例えば、一週間)経過後の日付を第一の情報受付日として設定し、第一の情報受付日から当該所定期間(例えば、一週間)経過後の日付を第二の情報受付日として設定する。
【0062】
そして、第一の情報受付日に検針を行い、携帯端末12から送信されたガスメータ情報を受け付けた場合には、使用量算出手段137によって対象のガスボンベ20内のガス残量を算出し、前回配送日におけるガス残量(100%)からの減少量に基づき、ガスボンベ20内のガス残量が所定量(全体の20%程度のガス残量)となる予測される日を再度予測し(4)、仮の次回配送日に設定し直して、記憶手段133の仮の次回配送日を更新する(5)。
【0063】
また、第二の情報受付日に検針を行い、携帯端末12から送信されたガスメータ情報を受け付けた場合には、使用量算出手段137によって対象のガスボンベ20内のガス残量を算出し、第一の情報受付日におけるガス残量からの減少量に応じて、ガスボンベ20内のガス残量が所定量(全体の20%程度のガス残量)となる予測される日を再度予測し(6)、次回配送日として決定し、記憶手段133に記憶されている仮の次回配送日を更新する(7)。以下、この
図5(7)の決定された次回配送日を以下、「次回配送日(決定)」と記載する場合がある。次回配送日(決定)は、原則として変更されないが、事情によっては変更(前倒し、繰り上げ)される場合があり(8)、これについては後述する。
【0064】
なお、この例では、前回配送日から仮の次回配送日の間で情報受付日を2回設定する場合を例に説明したが、1回でもよいし2回以上(例えば、2回〜5回など)であってもよい。つまり、情報受付日は任意に設定でき、複数の情報受付日の期間が短い(情報受付日の設定が多い)方が予測の精度が高くなる。また、例えば設定された情報受付日以外でも、携帯端末12によって(予定外に)ガスメータ情報を取得した場合(例えば、他のLPガスメータ21の検針を行ったついでに当該予定外のLPガスメータ21のガスメータ情報も取得できた場合など)は、配送予測手段138は、随時、当該予定外のガスメータ情報の入力を受け付ける。そして、受け付けた最新のガスメータ情報に基づき、随時、仮の次回配送日を更新する。
【0065】
また、情報受付日を複数回設定した場合であっても、1回目の情報受付日に取得したガスメータ情報に基づいて算出したガス残量が既に所定量以下(例えば、全体の20%程度以下)である場合には、例えば1週間後などを次回配送日として決定し、2回目以降の情報受付日の処理は行わない。
【0066】
このようにして各供給先施設Uごとに次回配送日が決定すると、配送予測手段138は、同じ次回配送日が設定されていることを第一の条件(グループ化条件)として、複数の供給先施設をグループ化し、当該グループごとに最適な配送経路を予測する。
【0067】
図6は、配送予測手段138による配送経路の予測の一例を示す概要図である。
【0068】
配送予測手段138は、上述のグループ化条件(同一の次回配送日が設定されていること)に基づき、第一のグループ化処理を行って複数の供給先施設をグループ化する。
【0069】
ここで、次回配送日は例えば、ガスボンベ20内のガス残量が不足することなく、且つ無駄になりすぎないような所定量(例えば、全体の20%)と予測される最終の日(それ以降ではガス残量が不足する恐れがある配送期限日)とする。
【0070】
また、配送予測手段138は、特別な事情を第二の条件(グループ化特別条件)として、あるグループに属する供給先施設Uについて、グループを変更する処理(第二のグループ化処理、グループ変更処理)を行うことができる。グループの変更は、例えば、既に決定している次回配送日(
図5(7)の次回配送日)を変更(更新)する処理などを行い、第一の条件(グループ化条件)に基づいて第一のグループ化処理を行うことで変更することができる。
【0071】
例えば、次回配送日があるグループAの次回配送日よりも遅い日付であるために、同じグループAに属しない供給先施設Uであっても、例えば、配送効率やガス残量など(配送の優先度)の特別な事情(グループ化特別条件)を考慮すると、決定したグループAに含めた方が望ましい場合がある。このような場合は、配送予測手段138は、グループ化特別条件(第二のグループ化条件)に基づき、供給先施設Uについて、
図5(7)で決定した次回配送日をグループAの次回配送日に前倒しして(繰り上げて)次回配送日を変更する(
図5(8))。そして、配送予測手段138は第一のグループ化処理を行って供給先施設UをグループAに含め、そのグループA内で、最も効率的な配送経路を決定する。
【0072】
また、1台の配送車に積載できるガスボンベの数に制限があるため、同日に配送する或るグループ(例えば、グループA)に属する供給先施設Uが多い場合は、1台の配送車で供給元BCとグループA内の供給先施設Uとの間を複数回往復したり、複数台の配送車で1つのグループAに配送することになる。この場合は、グループA内の供給先施設Uについて、1台の配送車で供給元BCとの間で複数回往復する場合の最も効率的な配送経路を決定する。あるいは、グループA内の供給先施設Uについて、複数台の配送車で配送する場合の、配送車ごとの最も効率的な配送経路を決定する。なお、いずれの場合も、第一のグループ化処理でグループ分けされた供給先施設Uが優先して配送される。
【0073】
つまり、グループ化特別条件(第二のグループ化条件)に基づき、例えば、グループAに、次回配送日が前倒しされた供給先施設Udが含まれる場合、配送経路が多少非効率となっても、当初のグループAの供給先施設Ua、Ub・・・を優先して配送し、ガスボンベ20が余った場合に前倒しされた供給施設Udに配送する。なお、配送前に積載できるガスボンベ20に余裕があることが確実な場合には、前倒しされた供給施設Udも含めて最も効率的な配送経路を決定するようにしてもよいし、前倒しされた供給施設Udが存在することによって、複数回(複数台)の配送が非効率になるような場合には、供給施設Udについて次回配送日の前倒しを行わずに最も効率的な配送経路を決定するようにしてもよい。
【0074】
図6(a)を参照して具体的に説明する。この例では、配送予測手段138の第一のグループ化処理によって、次回配送日(
図6では「K」と表記する)が10月1日のグループAに供給先施設Ua、Ub・・・,10月2日のグループBに供給先施設Uc、Ud・・・、10月3日のグループCに供給先施設Ue、Uf・・・、・・・10月10日のグループJに供給先施設Ug、Uh・・・がグループ化されているとする。
【0075】
そして配送予測手段138は、必要に応じて第二の条件に基づき、第二のグループ化処理を行う。すなわち、第二の条件に基づくと、例えばグループBの供給先施設Ud、グループCの供給先施設Ue、グループJの供給先施設UgをグループAに含めたほうが望ましい場合、供給先施設Ud、Ue、Ugの次回配送日(決定)を、グループAの次回配送日(決定)である10月1日に繰り上げる変更を行い(
図5(8))、再度第一のグループ化処理を行う。これにより、供給先施設Ud、Ue、UgはグループAに属することとなり、10月1日にガスボンベ20が配送される。つまり、第二の条件に該当する場合には、例え配送予定日(決定)が10月10日の供給先施設Ugであっても、9日繰り上げて10月1日にガスボンベ20が配送される。
【0076】
この例では、第二のグループ化処理は、第二の条件(グループ化特別条件)に基づき次回配送日(決定)を変更してグループ化(第一のグループ化処理)をし直す処理であるが、第二の条件に基づき、決定したグループが変更できる処理であればこの例に限らない。例えば、データベースなどに各供給先施設ごとのグループの情報を登録しておき、第二の条件に基づき当該情報を都度更新するようにしてもよい。
【0077】
また、本実施形態では、第一の条件(グループ化条件)は、「次回配送日(決定)が同一であること」としているが、第二の条件(グループ化特別条件)は供給元BCごとに任意に設定可能とする。例えば、ある所定の範囲に含まれる供給先施設Uの多少や、近隣の供給先施設U間までの(平均)距離、事業所と一般家庭の混在等、配送の優先度を変更する場合の条件に関しては供給元BCに事情が異なる場合が多い。そこで、第二の条件については、供給元BCごとに任意に設定でき、また事情の変更に伴い適宜変更可能とする。これにより、供給元BCの事情に即した配送予測が可能となる。
【0078】
図6(b)は第二の条件を「配送予定の供給先施設から近距離であること」および「次回配送日の前倒し期間を距離に応じて決定する(最大で3日とする)こと」として、配送予測を行う場合の一例を示す概要図である。
【0079】
具体的には、距離を例えば「近」、「中」、「遠」の3段階に分類し、或るグループに属する供給先施設Uaからの距離が「近」であるが別のグループに属する供給先施設Ubがある場合、当該供給先施設Ubの次回配送日を、最大で3日前まで繰り上げて供給先施設Uaと同日に配送可能とする(
図6(b)では「近/−3」と表記する)。同様に、供給先施設Uaからの距離が「中」である供給先施設Ubがある場合には当該供給先施設Ubの次回配送日を最大で2日前まで繰り上げ(
図6(b)では「中/−2」と表記する)、供給先施設Uaからの距離が「遠」である供給先施設Ubがある場合には当該供給先施設Ubの次回配送日を最大で1日前まで繰り上げ(
図6(b)では「遠/−1」と表記する)て、供給先施設Uaと同日に配送可能とするものである。すなわち、この例では近い場合には前倒しの最大日数も多くなり、配送効率をガス残量よりも優先させてグループ変更を可能とするものである。換言すれば「近/−3」、「中/−2」、「遠/−1」はグループ変更の可能性の強さを示しており、距離が近いほうがグループ変更の可能性が強くなる。
【0080】
同図(b)では説明の便宜上、近隣の複数の供給先施設Uについて1本の実線で結ばれる場合(例えば、供給先施設U1とU2,供給先施設U1とU4など)に「近」、2本の実線で結ばれる場合(例えば、供給先施設U1とU7など)に「中」、3本以上の実線で結ばれる場合(例えば、(例えば、供給先施設U1とU10など)に「遠」であるとする。また、1本の実線で結ばれる場合であっても、「中」または「遠」と同程度に距離が長い場合には破線(例えば、供給先施設U1とU9など)で示し、「中」または「遠」に分類する。なお、距離については、当然ながら、地図上の直線距離ではなく、配送車が通行できる実際の経路上の距離を意味する。
【0081】
同図(b)に示すように或る供給元BCがガスボンベ20の配送を担当する供給先施設U1〜U10があり、供給先施設U1〜U4の次回配送日(決定)が10月1日、供給先施設U9の次回配送日(決定)が10月2日、供給先施設U5、U10の次回配送日(決定)が10月3日、供給先施設U8の次回配送日(決定)が10月4日、供給先施設U6、U7の次回配送日(決定)が10月5日であるとする。
【0082】
この場合、第一のグループ化処理によって、一点差線で示すように、供給先施設U1〜U4はグループA、供給先施設U9はグループB、供給先施設U5、U10はグループC、供給先施設U8はグループD、供給先施設U6、U7はグループEに分類される。
【0083】
ここで、供給先施設U9については、10月2日に1箇所のみの配送であり、供給元BCからも遠いため、他のグループに変更して配送する方が配送の無駄がなくなる。そこで、第二の条件に基づき第二のグループ化処理を行う。この例では第二の条件によって、近隣の供給先施設までの距離が「中」(破線)の場合は、2日前まで次回配送日を前倒しできるため、配送予測手段138によって供給先施設U9について次回配送日(決定)を10月1日に変更し、グループAに設定し直す。
【0084】
また配送予測手段138は、グループAに属する各供給先施設Uの全てを最短で無駄なく配送できる経路(実線(または破線)に沿って無駄なく移動できる経路)を決定する。配送先施設U9は、供給先施設U1またはU4の次に配送するようにルートが変更される。
【0085】
また、供給先施設U8についても、10月4日に1箇所のみの配送であり、供給元BCからも遠いため、他のグループに変更して配送する方が配送の無駄がなくなる。そこで、第二の条件に基づき第二のグループ化処理を行う。この場合、例えば、供給先施設U7を経由して供給先施設U5に至る距離は「中」(実線2本文)であるため、供給先施設U8の次回配送日を1日前倒しし、10月3日に変更して、供給先施設U5と同日に配送するようにしてもよい。あるいは、供給先施設U7から供給先施設U8までの距離は「近」であるが、供給先施設U6から供給先施設U7までの距離が「中」(実線2本分又は破線)であるため、供給先施設U7の次回配送日を1日前倒しし、10月4日に変更して、供給先施設U8と同日に配送するようにしてもよい。
【0086】
また配送予測手段138は、グループCまたはグループEに属する各供給先施設Uの全てを最短で無駄なく配送できる経路(実線(または破線)に沿って無駄なく移動できる経路)を決定する。
【0087】
なお、各グループのガスボンベ20の総数が、1台の配送車に積載できるガスボンベ20の数を超えるため、複数回(複数台)の配送が必要な場合には、既述のとおり、第一のグループ化処理によってグループ分けされた(次回配送日が前倒しされない)供給先施設Uが優先的に(確実に)配送されるようにした上で、最も効率的な配送経路が決定される。
【0088】
このようにすることで、柔軟に効率的な配送経路の予測を立てることができる。また、情報送信装置11の電池114は、ガスボンベ20の配送時に適宜交換が可能である。
【0089】
なお、第二のグループ化処理は必要に応じて行う処理であり、配送の効率上問題がなければ、必ずしもグループの変更を行わなくても良い。また、次回供給日までの間にさらに特別な事情が生じた場合には(必要に応じて条件を変更して)グループ変更の処理(第二のグループ化処理)を複数回行っても良い。
【0090】
また、本実施形態の配送予測手段138は、次回配送日(決定)のみでグループ化しただけでは配送効率が悪くなる供給先施設Uについて、次回配送日(決定)が異なる場合であっても、グループの変更を可能とするものであり、上記の例は、グループの変更を具体的に説明する一例に過ぎない。つまり、配送予測手段138は、次回配送日(第一の条件)によって複数の供給先施設Uをグループ化するとともに、供給元BCごとに任意に設定可能な特別な事情(第二の条件)によってグループの変更が可能な構成であれば、上記の例に限らない。
【0091】
<ガス供給管理システムの流れ(ガス供給管理方法)>
次に、
図7および
図8を参照して、本発明のガス供給管理システム10の流れ(ガス供給管理方法)について説明する。
図7は、ガス供給管理システム10における、情報送信装置11、携帯端末12および管理装置13の処理を示すタイミングチャートであり、
図8が、携帯端末12の地理情報表示手段127による表示の一例を示す図である。
【0092】
まず、LPガスメータ21の検針者(検針員)は、予め設定された検針日に携帯端末12を携行し、所定の情報取得ポイントに赴く。なお、携帯端末12の携行者はガスボンベ20の配送者、あるいはLPガス事業者などであってもよい。検針日は、管理装置13の配送予測手段138によって設定された情報取得日(上記の例では、第一の情報受付日および第二の情報受付日)である。また、情報取得ポイントは当該情報取得ポイントを中心とした所定範囲内(例えば、半径200m〜300mの範囲内)においてできる限り多くの同一LPガス供給事業者が供給するガスボンベ20(LPガスメータ21)が検針対象として存在するように(ガスメータ情報を取得可能となるように)、予め定められたポイントである。情報取得ポイントの情報は、所定地域ごとに管理装置13の記憶装置133等に記憶されている。
【0093】
検針者は、情報取得ポイントにおいて携帯端末12を操作し、情報送信要求処理を行う。すなわち、情報送信装置11に対して任意のタイミングで所定期間(例えば、1分間)に亘り、情報送信要求を送信する(1)。検針対象のガスボンベ20(LPガスメータ21)に接続されている情報送信装置11は、情報送信処理を行う。情報送信処理では、情報送信要求受信処理を行わない待機モードと情報送信要求受信処理を行う受信モードとが周期的に自動で切り替わる。つまり、情報送信要求受信処理では制御部115のタイマ割り込みによって周期的に(例えば、30秒に1回のタイミングで)、情報送信要求受信処理を実行し、通信手段136によって携帯端末12が送信する情報送信要求を受信する(2)。情報送信装置11は、情報送信要求を受信したか否かを判定し、情報送信要求を受信した場合は個別情報送信処理を行う。個別情報送信処理では、情報送信装置11の取得部112がLPガスメータ21からガスメータ情報を取得して(3)、所定のメモリ116に記憶し、通信部113およびネットワークNWを介して情報送信要求を送信した携帯端末12に対しガスメータ情報を送信(無線送信)する(4)。一方、情報送信要求を受信しなかった場合は、個別情報送信処理を行わず、情報送信処理を終了する。
【0094】
検針者は、情報送信要求処理の実行後に、地理情報表示手段127によって、対象範囲のLPガスメータ21の全てのガスメータ情報の取得に成功したか否かを確認する(5)。既述のとおり、地理情報表示手段127は、対象となるLPガスメータ21ごとのガスメータ情報の取得の成否を、表示手段121に表示可能に構成されている。
【0095】
具体的には例えば、
図8(a)に示すように、表示手段121で表示される電子地図上でLPガスメータ21の位置がそれぞれ四角で表示されている場合、表示された全てのLPガスメータ21がガスメータ情報の取得対象となる。なお、円の中心部の携帯端末12の画像が情報取得ポイントである。そして、携帯端末12から送信された情報送信要求に基づき、情報送信装置11からLPガスメータ21のガスメータ情報が送信され、携帯端末12で当該情報の受信に成功した場合は、例えば同図(b)で示すようにLPガスメータ21から情報取得ポイントに向かう矢印が表示される。一方、携帯端末12で当該情報の受信に失敗した場合は、そのLPガスメータ21から矢印が表示されない。これにより、携帯端末12の携行者は、ガスメータ情報の取得が失敗したLPガスメータ21の位置を把握することができる。
【0096】
再び
図7に戻って、検針者は、ガスメータ情報の取得に成功したガスメータ情報を、LPガスメータ21の位置情報に紐付けて、ネットワークNW(例えば、無線の移動体通信回線)を介して、管理装置13に送信(アップロード)する(6)。一方、ガスメータ情報の取得に失敗しているLガスメータ情報の取得に失敗しているLPガスメータ21が存在する場合、当該LPガスメータ21付近まで移動して再度、情報送信要求処理を行う(7)。その上でさらにガスメータ情報の取得に失敗する場合には、検針者は、携帯端末12の情報受付送信手段129によって、ガスメータ情報を取得する(8)。すなわち、検針者はガスメータ情報の取得に失敗しているLPガスメータ21に赴き、当該LPガスメータ21のガスメータ情報を携帯端末12のカメラで撮影し画像データを記憶する(またはガスメータ情報を携帯端末12の入力手段122から入力する)。情報受付送信手段129は記憶された画像データから、当該LPガスメータ21の固有番号、ガス使用量を示す指針値、および保安情報などを文字認識し、当該文字情報と地理情報表示手段127から取得した位置情報とを紐付けて、ガスメータ情報として携帯端末12の取得部112に記憶する。あるいは、情報受付送信手段129は、携行者の携帯端末12のタッチパネル(入力手段122)の操作による当該LPガスメータ21の固有番号、ガス使用量を示す指針値、および保安情報などの文字情報の入力を受付け、地理情報表示手段127から取得した位置情報と紐付けて、ガスメータ情報として携帯端末12の取得部112に記憶する。そして、情報受付送信手段129は、ガスメータ情報と地理情報表示手段127から取得したLPガスメータ21の位置情報と紐付けて、ネットワークNW(例えば、無線の移動体通信回線)を介して、管理装置13に送信(アップロード)する(9)
【0097】
管理装置13は、携帯端末12から送信されたガスメータ情報とLPガスメータ21の位置情報とを紐付けて、記憶装置(データベース)133に記憶する。ガスメータ情報にはLPガスメータ21を識別可能な固有番号が含まれており、当該固有番号をキーとして管理装置13において、各LPガスメータ21ごとに、使用量算出処理(10)や、配送予測処理(11)などのガス供給に関する各種処理が実行可能となる。
【0098】
使用量算出処理では、携帯端末12から受信したガスメータ情報のガス使用量(指針値)を所定期間(例えば、1ヶ月分、2ヶ月分や、2年分、3年分など)蓄積し、所定期間におけるガスボンベ20ごとのガス使用量と、ガスボンベ20内のガス残量を算出し、LPガスメータ21ごとに記憶手段133に記憶する。
【0099】
管理装置13は、検針を実施した場合(情報受付日に携帯端末12からガスメータ情報を受け付けた場合、あるいは、管理装置13の使用量算出手段137から検針結果が出力された場合)には検針の実施をメールにて通知する。また、消費者ごとのポータルサイトにおいて検針結果と使用量分の請求書の提示などを行う。
【0100】
配送予測処理では、
図5に示すように例えば、供給先施設Uごとのガスボンベ20の配送日(実際に配送された日、前回配送日)の入力を管理装置13が受け付けた場合には、当該配送日(前回配送日)を記憶手段133に記憶する。そして、各供給先施設Uごとに過去の同月の使用量等に基づいて、ガスボンベ20内のガス残量が所定量(例えば、2本のガスボンベ20の全量で100%とした場合、全体の20%程度のガス残量)になると予測される日(例えば、前回配送日から2ヶ月後の日など)を仮の次回配送日として設定し、記憶手段133に記憶する。その後、前回配送日から仮の次回配送日までの間で複数(例えば2回)の情報受付日を設定する。
【0101】
また、配送予測処理では、第一の情報受付日に携帯端末12から送信されたガスメータ情報を管理装置13が受け付けた場合には、使用量算出処理によって対象のガスボンベ20内のガス残量を算出し、前回配送日におけるガス残量(100%)からの減少量に基づき、ガスボンベ20内のガス残量が所定量(全体の20%程度のガス残量)となる予測される日を仮の次回配送日に設定しなおして、記憶手段133の仮の次回配送日を更新する。
【0102】
また、配送予測処理では、例えば、第一の情報受付日に第二の情報受付日に携帯端末12から送信されたガスメータ情報を管理装置13受け付けた場合には、使用量算出処理によって対象のガスボンベ20内のガス残量を算出し、第一の情報受付日におけるガス残量からの減少量に応じて、ガスボンベ20内のガス残量が所定量(全体の20%程度のガス残量)となる予測される日を次回配送日として決定し、記憶手段133に記憶されている仮の次回配送日を更新する。
【0103】
また、配送予測処理では、各供給先施設Uごとに次回配送日が決定すると、第一のグループ化処理(および必要に応じて第二のグループ化処理)を行い、或る範囲(地域)内に点在する同じ次回配送日が設定された複数の供給先施設Uについて、地理情報表示手段139を用いて最短で効率よく配送できる経路を決定する。
【0104】
ガスボンベ20の配送者は、このようにして決定された配送経路に基づき、次回配送日に対象となる供給先施設Uに赴き、ガスボンベ20を交換する。
【0105】
以上説明したように、本発明によればLPガス事業の供給形態にマッチした独自のガス供給管理システムを、安価に提供することができる。
【0106】
現在、電気事業者においてはスマートメータを利用した効率的な管理システムの開発が進んでいる。電気事業におけるスマートメータは電源を有しており、またスマートメータの設置場所が、比較的狭い範囲において密集しているため、無線通信によってスマートメータ間で情報をリレーし、中継基地からネットワークへ情報をアップロードすることができる。あるいは、電力線搬送通信(Power Line Communication:PLC)という既存の送電線インフラを利用し、ネットワークへ情報をアップロードする方式も採用できる。
【0107】
これに対してLPガス事業におけるLPガスメータは電源を有しておらず、またLPガスメータの設置場所が所定範囲に集まらずに点在しているため、電気事業におけるスマートメータと同様なシステムを導入することが困難である。
【0108】
このような状況において、LPガス事業者においても電気事業者のスマートメータ経由でLPPガスメータからの情報を収集し、ネットワークへアップロードしたり、従来から用いられている集中監視システムを利用し、利用者のネットワークインフラを利用してネットワークへアップロードするなどの方法が検討されている。また、LPガスメータにおいても通信機能(Uバス)を保持したメータの開発が行われている。
【0109】
しかしながら、LPガスメータの一括交換には膨大なコストがかかり、各LPガスメータ事業者においてはその投資に消極的である上、検針や保安情報の管理は自動化できたとしても、ガスボンベ20の交換・配送のための物流網は必須である。
【0110】
本発明によれば、LPガス事業の供給形態の実情に合わせ、既存のLPガスメータ21に、電池114と無線通信を行う通信部113を内蔵した情報送信装置11を追加することで、LPガスメータ21のガスメータ情報を携帯端末12に対してガスメータ情報を送信する構成であるため、既存のLPガスメータ21を有効活用でき、工事費用や機器設置・入替費用を抑えることができる。
【0111】
また、情報送信装置11、携帯端末12および管理装置13の通信には移動体通信網を利用するため、例えば電力事業者など、他者の通信インフラに依存しないシステム構築が可能となる。
【0112】
また、原則として情報取得ポイントにおいて、複数の供給先施設UのLPガスメータ21のガスメータ情報を取得できるので、検針員の個別訪問による検針作業が不要となり、人件費を大幅に削減できる。また検針の効率化が図れるため、所定期間における検針回数を増やすことが可能となり、検針回数の増加(例えば、1月に2〜3回、または1月に5〜6回の検針)によってガス残量および次回配送日の予測精度を向上できる。例えば、従来では消費者にガスが供給できなくなる自体を回避するため、1箇所の供給先施設Uにおいてガス残量がガスボンベ20全体の50%程度で配送、交換をしていたところ、本発明によれば、例えば、ガス残量がガスボンベ20全体の20%程度での配送、交換が可能となるため、配送効率を大幅に向上でき、ガスボンベ20の配送のコストを削減できる。
【0113】
このように、本発明によれば、検針、保安、配送などの業務の効率化によって、供給・管理のコスト削減が可能となり、ひいては一般消費者により安価で安全なエネルギー絶え間なく提供することができる。
【0114】
なお、上記の本実施形態では、一台の管理装置13によって、ガス供給管理システム10を構築する場合を例示したが、本発明はこれに限定されず、上述の管理装置13の機能を複数の装置(サーバ装置、PCなど)に分散させて、これらの機能を実現させるようにしても良い。
【0115】
図9は、本実施形態の管理装置13(配送予測手段138と使用量算出手段137が管理するデータの一例である。同図(a)は、使用量算出手段137が管理(使用、生成)するデータの一例であり、同図(b)は、配送予測手段138が管理(使用、生成)するデータの一例である。
【0116】
同図(a)に示すように、使用量算出手段(使用量算出処理)137は例えば、LPガスメータ21の固有番号(メータNo)、LPガスメータ21ごとの使用量(指針値)、LPガスメータ21の位置情報、当該情報の取得日(検針日)、保安情報等を含む使用量データを管理する。
【0117】
また、同図(b)に示すように、配送予測手段(配送予測処理)138は例えば、LPガスメータ21の固有番号(メータNo)、LPガスメータ21ごとの使用量(指針値)、顧客コード、顧客名、ガスボンベ20の情報(設置容器情報)、配送先情報(LPガスメータ21ごとの次回配送日や最適な配送経路(または位置情報)を少なくとも含む情報)を含む配送予測データを管理する。
【0118】
なお、使用量算出手段(使用量算出処理)137と配送予測手段(配送予測処理)138とを独立して機能させ、同図(a)に示す使用量データと同図(b)に示す配送予測データとを独立して管理可能としてもよいし、配送予測手段(配送予測処理)138と使用量算出手段(使用量算出処理)137とを複数の管理装置13に分散して機能させ、配送予測データと使用量データを独立して管理可能としてもよい。
【0119】
また、管理装置13のガスメータ管理情報(
図4(c)に示すデータ)を独立して管理可能としてもよい。
【0120】
さらには、管理装置13で管理(生成、使用)する各種データ(例えば、
図4(c)に示すガスメータ管理情報や、配送予測手段(配送予測処理)138で生成(管理)される配送予測データ、使用量算出手段(使用量算出処理)137で生成(管理)される使用量算出データなど)をガスまたは電気などのスマートメータを用いるシステムにおいて使用するようにしてもよい。
【0121】
<第2実施形態>
次に、
図10〜
図16を参照して、本発明に係るガス供給管理システム10の他の実施形態として、省電力(低電力)かつ広域(遠距離)の無線通信技術を利用して本実施形態に係るガス供給管理システム10を実現する具体例について説明する。「省電力(低電力)かつ広域(遠距離)の無線通信技術」とは、消費電力が低く、WiFi(登録商標)やBluetooth(登録商標)などよりも広い領域を対象にした通信(キロメートル単位の遠距離通信)が可能となる無線通信技術をいう。また、その通信方式(通信規格)の一例としては、LPWA(Low Power Wide Area)や、LPWAN(Low Power Wide Area Network)などが挙げられる。以下では、省電力(低電力)かつ広域(遠距離)の無線通信技術として、LPWAを利用したガス供給管理システム10を例に説明する。
【0122】
LPWAを利用したガス供給管理システム10は、主に、情報送信装置11からの情報(ガスメータ情報)の取得(収集)において(第1実施形態のネットワークNW1の一部または全部として)、例えば、LPWA技術で構成されたネットワーク(通信回線)NW3、すなわち、LPWAネットワークを利用する。
【0123】
以下、第1実施形態と重複する構成については説明を省略し、第1実施形態と異なる部分について主に説明するが、第2実施形態のガス供給管理システム10は、以下で説明する構成・機能に加えて、第1実施形態で説明したガス供給管理システム10と同様の構成・機能を有し、適宜、並列してあるいは切り替えて各種処理を実行可能に構成されていてもよい。
【0124】
図10は、LPWAを利用したガス供給管理システム10を模式的に示す概要図である。
図10に示すように、LPWAを利用したガス供給管理システム10は、LPガスメータ21と、情報送信装置11と、管理装置13と、情報の収集手段31と、格納手段(格納装置)30と、携帯端末12と、これらが接続するネットワークNW1、NW3などを有する。
【0125】
情報送信装置11(およびLPガスメータ21)は、LPWA方式のネットワーク(通信回線)NW3に対応した構成となっている。すなわち、情報送信装置11は、第1実施形態(
図2参照)と同様に各LPガスメータ21と接続し、あるいは各LPガスメータ21に内蔵されて各LPガスメータ21からのガスメータ情報を取得するが、情報送信装置11の例えば通信部113は、ネットワークNW3と接続可能であり、ネットワークNW3上の収集手段31に対してガスメータ情報の送信を行うように構成されている。
【0126】
ここで、ネットワークNW3は、例えば、免許が不要な通信帯域(920MHz帯域)を利用するLPWAネットワークであり、これにより低価格・低消費電力・広域(遠距離)の無線通信が可能となる。なお、ここでは、ネットワーク(通信回線)NW3がLPWAネットワークである場合を例に説明するが、ネットワークNW3は、少なくとも広域(遠距離)の無線通信が可能な通信網(通信回線)であれば、LPWAネットワークに限らない。LPWAを利用することにより、情報送信装置11は低消費電力での駆動が可能であり、情報送信装置11の内蔵の電池114は、例えば乾電池2本で数年間の使用が可能となる。
【0127】
また、本実施形態では、ネットワークNW1は、有線および/または無線の通信回線の総称であり、ネットワーク(LPWAネットワーク)NW3も含むものとする。
【0128】
収集手段(収集装置)31は、ネットワークNW3に接続し、情報送信装置11が送信するガスメータ情報を収集する手段であり、例えばLPWA方式の通信に対応した無線基地局、あるいは、当該無線基地局と有線(又は無線)で接続する固定端末である。また、収集手段31は、LPWA方式の通信および/または移動体通信の無線基地局であってもよいし、当該無線基地局と接続する移動体通信端末であってもよい。
【0129】
情報送信装置11が送信したガスメータ情報は、収集装置31によって収集され、収集装置31が接続するネットワークNW1を介して、格納装置30に送信される。
【0130】
格納装置30は、ネットワークNW1に接続し、ガスメータ情報を含む各種情報やアプリケーションプログラムなどが格納される装置であり、例えばクラウド環境に設けられたサーバ(クラウドサーバ)である。
【0131】
管理装置13は、ネットワークNW1と接続し、ネットワークNW1を介して格納装置30に格納されたガスメータ情報等を取得する。また、この例では、管理装置13の少なくとも一部の機能は、アプリケーションプログラムとして格納装置30に格納され、クラウドコンピューティングシステムによって管理装置13において利用されるように構成されている。
【0132】
さらに、管理装置13は、第1実施形態と同様に事業者用サーバ装置14と接続する。管理装置13と事業者用サーバ装置14は、例えば、
図1に示すネットワークNW2を介して接続する構成であってもよいし、ネットワークNW1(NW3)を介して接続する構成であってもよい。また、LPガスの契約者の個人情報などのデータや事業者用サーバ装置14の機能を格納装置30に格納し、クラウドコンピューティングシステムによって管理装置13において利用されるように構成してもよい。
【0133】
情報送信装置11は、LPガスメータ21に外付け、あるいは内蔵されており、任意のタイミング、あるいは所定のタイミングでLPガスメータ21のガスメータ情報を取得し、ネットワークNW3を介して収集装置31に送信する。収集装置31は取得したガスメータ情報を、ネットワークNW1を介して格納装置30に格納・蓄積する。管理装置13は、任意のタイミング、あるいは所定のタイミングで、ネットワークNW1を介して格納装置30に格納されたガスメータ情報を取得する。
【0134】
このように、本実施形態のLPWAを利用したガス供給管理システム10では、検針員の検針作業(例えば、第1実施形態の携帯端末12によるガスメータ情報の受信・収集処理)によらず、情報送信装置11が送信するガスメータ情報を管理装置13が遠隔で自動取得することができる。これにより、管理装置13はガス消費量を含むガスメータ情報を多頻度で把握することができる。ここで、多頻度とは、月次より多い(高い)頻度であることをいい、例えば、1ヶ月に1度や1週間に1度などの頻度よりも多い頻度で把握することをいう。具体的には、本実施形態では例えば、ガスメータ情報を日次で取得し、ガス使用量等を把握することができる。これにより、管理装置13は取得したガスメータ情報をLPガスの販売事業における月次検針業務に活用するとともに、日次で使用量算出処理および配送予測処理などを行い、LPガスの配送業務の効率化へ活用する。具体的には、ガスボンベ20を配送する上で最適な配送日と効率的な(最適な)配送経路(配送ルート)を予測し、複数の配送車に積載するガスボンベ20の本数を指示するまでのプロセスを自動的に行う。
【0135】
携帯端末12は、第1実施形態と同様(
図3参照)の例えば移動体通信が可能な端末であり、ネットワークNW1(NW3)の無線基地局31を介して管理装置13、格納装置30や情報送信装置11などとガスメータ情報を含む情報の送受信が可能に構成されている。また、表示手段121によって地理情報等を表示可能に構成されている。
【0136】
携帯端末12は、第2実施形態では例えば、ガスボンベ20の配送者が携行したり、ガスボンベ20の配送車両等に取り付けられることができ、少なくとも管理装置13及び/または格納装置30との間で情報の送受信が可能であればよい。すなわち、第2実施形態では、情報送信装置11が取得したガスメータ情報は自動で格納装置30に格納されるため、携帯端末12がガスメータ情報を取得、収集可能に構成されていなくてもよい。しかしながら、第1実施形態と同様に、情報送信装置11が取得したガスメータ情報を適宜、携帯端末12によって取得、収集可能に構成されていてもよい。
【0137】
携帯端末12には、管理装置13が予測した配送に関する情報(配送先(供給先施設U、以下同様)、配送ルート、あるいは配送状況に関する情報等)が送信され、表示手段121に表示可能となっている。また、携帯端末12は、配送者の出勤予定や、配送先、配送ルート、配送状況に関する情報、保安点検情報等の登録(更新)を受付け、管理装置13および/または格納装置30にこれらの情報を送信可能に構成されている。また、文字や画像情報の読み込み、バーコードスキャン、配送伝票の表示(および出力)等が可能である。
【0138】
例えば、ガスボンベ20の配送者は、携帯端末12を介して、管理装置13に自身の出勤予定等を予め登録したり、配送先、配送ルートや配送状況に関する情報の登録・確認・修正(送受信)等を行う。
【0139】
<管理装置>
図11を参照して、第2実施形態に係る管理装置13の一例について説明する。同図(a)は、管理装置13の構成の概略を示すブロック図であり、同図(b)は、管理装置13の機能の概略を示すブロック図である。なお、第1実施形態と同様の構成・機能についてはその詳細な説明を省略するが、既に述べたように第2実施形態の管理装置13は、以下で説明する構成・機能に加えて、第1実施形態で説明した構成・機能を有し、適宜、並列してあるいは切り替えて各種処理を実行可能に構成されていてもよい。
【0140】
同図(a)に示すように、管理装置13は、格納装置(例えば、クラウドサーバ)30と、インターネットなどのネットワークNW1を介して接続し、携帯端末12と例えば移動体通信回線などのネットワークNW1(またはネットワークNW3)を介して接続し、事業者用サーバ装置14と例えばインターネットや専用回線などのネットワークNW2を介して接続する例えばサーバ装置(またはパーソナルコンピュータ(PC))であり、CPU130、ROM131、RAM132、記憶手段(記憶装置)133、入力手段134、表示手段135、通信手段136などを有する。
【0141】
通信手段136は、携帯端末12や格納装置30とネットワークNW1を介して通信を行い、事業者用サーバ装置14と、例えばネットワークNW2を介して通信行う。CPU130、ROM131、RAM132、記憶手段(記憶装置)133、入力手段134、表示手段135の構成は、第1実施形態と同様である。
【0142】
管理装置13は、同図(b)に示すように、基幹処理手段55や配送管理手段50を備え、配送管理手段50は、例えば、使用量算出手段137、配送予測手段138や地理情報表示手段139などを有する。
【0143】
管理装置13は、ROM131などに記憶されたソフトウェアプログラムがRAM132のワークエリアに読み出されてCPU130によって当該ソフトウェアプログラムが実行されることにより、ガス供給管理処理を実行する。このガス供給管理処理には、基幹処理や、配送管理処理として使用量算出処理、配送予測処理および地理情報表示処理等が含まれ、これにより管理装置13は、基幹処理手段55、配送管理手段50(使用量算出手段137、配送予測手段138、地理情報表示手段139)の機能を実現する。
【0144】
この例では、基幹処理手段55や、配送管理手段50(これらの機能を実現するアプリケーションプログラム)は格納装置30に格納され、クラウドコンピューティングシステムによって管理装置13において利用されるように構成されている。しかしこれに限らず、基幹処理手段55や配送管理手段50(これらの機能を実現するアプリケーションプログラム)は、管理装置13の記憶手段(管理装置13と接続する記憶手段)に格納されていても良い。
【0145】
基幹処理手段(基幹処理)55は、主に、ガスメータ情報に基づき、月次で(月ごとに)点検情報を反映した保安管理処理、在庫を反映した配送管理(在庫管理)処理、顧客情報などデータベースの更新処理、その他既知の基幹業務処理などを行うものである。
【0146】
配送管理手段(配送管理処理)50は、高い頻度(例えば、月に1回あるいは週に1回よりも高い頻度)でガスメータ情報を取得し、将来の日付けにおける使用量を予測し、それに基づきガスボンベ20の配送の予定日と最適な配送ルートを予測し、地理情報と併せて配送ルートを管理装置13の表示手段135に表示し、携帯端末12に配送ルートを送信する。
【0147】
使用量算出手段(使用量算出処理)137は、格納装置30から取得したガスメータ情報のガス使用量(指針値)や
図4(c)に示すガスメータ管理情報に基づき、所定期間におけるガスボンベ20ごとの実際のガス使用量(指針値)と、ガスボンベ20内のガス残量を算出し、LPガスメータ21ごとに記憶手段133あるいは格納装置30に記憶・蓄積する。
【0148】
配送予測手段(配送予測処理)138は、格納装置30から取得したガスメータ情報(ガスボンベ20の使用量等)や
図4(c)に示すガスメータ管理情報に基づき、供給元(LPガス事業者、支店、充填所、配送センタ、小売事業者など)ごとにガスボンベ20の配送の予定日と最適な配送ルートを予測する。
【0149】
詳細は後述するが、具体的には、配送予測手段(配送予測処理)138は、将来の日付けにおける日別の予測使用量(日別予測使用量)を算出する。この日別予測使用量は、例えば、過去の所定期間における基準ガス使用量に基づいて日毎の単位予測使用変化量を算出することによって、日数の経過に伴って増加又は減少するように算出される。
【0150】
そして、配送予測手段(配送予測処理)138は、算出した日別予測使用量に基づいてガスボンベ20内の将来の日付けにおける日別のガス残量の予測値(ガス残量予測値)を算出し、ガス残量予測値が所定量に減量する日付けを予測して配送の予定日を決定する。
【0151】
さらに、配送予測手段(配送予測処理)138は、決定した配送の予定日に基づき、最適な配送ルートを予測し、当該配送ルートを管理装置13の表示手段135に表示し、またガスボンベ20の配送者が所持する携帯端末12に送信する。
【0152】
次に、
図12を参照して、第2実施形態のガス供給管理システム10(ガス供給管理方法)における、配送管理手段50における処理(配送管理処理)について説明する。同図は、主に管理装置13における配送管理手段50における処理と、携帯端末12における処理の流れの一例を示すブロック図である。
【0153】
配送管理手段(配送管理処理)50では、例えば、使用量・配送予測処理や配送ルート確定処理を行う。使用量・配送予測処理は、例えば、ガスメータ情報取得処理S01、使用量算出処理S02(137)や、配送予測処理S03(138)や、配送情報登録処理S09などを行う。配送予測処理S03では例えば、予測使用量算出処理S04、予測計算処理S05、限界日算出処理S06、配送計画データ作成処理S07、配送対象抽出処理S08などを行う。
【0154】
また、配送ルート確定処理は例えば、カレンダー登録処理S21や、配送情報決定処理S23(日次配車回転数確定処理S25、当日配送対象抽出処理S27、配送車別配送決定処理S29)や、配送ルート表示処理S31などを行う。
【0155】
携帯端末12では、シフト登録処理S11、担当者別配送箇所抽出処理S13、配送登録処理S15、配送完了登録処理S17などを行う。
【0156】
配送管理手段(配送管理処理)50のガスメータ情報取得処理S01は、格納装置30に格納されたガスメータ情報を取得する。本実施形態では、ネットワークNW3(LPWAネットワーク)を利用することで、検針員等による検針作業によることなく、従来よりも多頻度で(例えば、月次(1ヶ月に1度)や週次(1週間に1度)などの頻度よりも多い頻度で)、管理装置13が情報送信装置11からガスメータ情報を自動で取得することができる。具体的には、管理装置13(配送管理手段50)は、2〜3日に1度のペース、より好適には1日に1度のペース、あるいはそれよりも短期間の頻度で、対象となる各ガスボンベ20のガスメータ情報を自動で取得することができる。以下の説明では、一例として、管理装置13(配送管理手段50)が、格納装置30に格納されたガスメータ情報を一日に一度のペースで(日次で)取得する場合について説明する。
【0157】
ガスメータ情報取得処理S01では、日ごとに(日次で)ガスメータ情報を取得する対象となるLPガスの契約者(以下、「日次情報取得対象者」という。)の抽出を行い、例えば、(供給元識別番号及び)LPガスの固有番号(例えば、LPガスメータの製造番号)をキーとして、事業者用サーバ装置14で保持する各日次情報取得対象者の個人情報に紐付けを行う。そして、日次情報取得対象者ごとに、供給元識別番号、LPガスの固有番号、取得したガスメータ情報、日付け及び個人情報等を入力データとして準備する。
【0158】
また、配送ルート確定処理のカレンダー登録処理S21では、LPガスの供給元の担当者(配送管理者)による、配送車の車輌種別毎の稼働台数の登録を受け付ける。配送管理者は、ガスボンベ20の積載量が異なる配送車の車輌種別毎に、日別で稼動が可能な台数を予め登録する。
【0159】
携帯端末12は、ここではガスボンベ20の配送者が所持(携行)する移動体通信が可能な端末装置である。シフト登録処理S11では、携帯端末12が、配送者のシフト登録を受付け、当該情報を管理装置13(の配送管理手段50)に送信する。シフトとは、例えば、配送者の直近7日間の出勤予定や、労働可能時間などを含む情報である。
【0160】
使用量算出処理S02(137)は、LPガスの固有番号(供給元識別番号を含む場合もある。以下同様)をキーとして、日次情報取得対象者ごとに、管理装置13(または格納装置30)に格納されている前回のガスメータ情報を取得し、前回のガスメータ情報に含まれるガス使用量(指針値)と、今回取得したガスメータ情報に含まれるガス使用量(指針値)とによって、前回のガスメータ情報の取得以降のガス使用量、ガス使用量の変化量、ガスボンベ20内のガス残量などを算出する。
【0161】
従来既知のLPガスの配送予測では、月次またはそれに近いサイクルでガスメータ情報(指針値)を取得しており、誤差が大きい問題があったが、本実施形態では、例えば日次サイクルでガスメータ情報の取得ができるため、月中の使用量(変化)ではなく日々の使用量(変化)を把握でき、正確な配送予測が可能となる。
【0162】
配送予測処理S03(138)は、指示回転数や、取得したガスメータ情報に基づき、予測使用量算出処理S04、予測計算処理S05、限界日算出処理S06、配送計画データ作成処理S07を行い、LPガスの契約者ごとの日別予測使用量や、配送(交換)が保留できる限界日、配送計画データなどを出力する。ここで指示回転数は、例えば季節ごとに基準となる1台の配送車による1日当りの配送の回転数である。例えば配送予測手段138には、季節等に応じて所定数(例えば、2回、3回)が予め設定されており、また適宜変更も可能となっている。またガスメータ情報には、管理装置13が日次で格納装置30から自動で取得するガスメータ情報に加え、検針員によって検針時に取得されるガスメータ情報や配送者によって取得される配送時のガスメータ情報も含まれる。
【0163】
予測使用量算出処理S04は、使用量算出処理S02において得られた日次情報取得対象者のごとのガス残量が予測開始閾値(予測開始残ガス率)に達しているか(予測開始閾値を下回っているか否か)を判定する。そして、予測開始閾値を下回る他、所定の条件が成立する日次情報取得対象者について、当該対象者ごとに予測計算処理S05を実行し、将来の日付けにおける日別予測使用量を算出する。日別予測使用量の算出処理(予測計算処理S05)の詳細については、後述する。
【0164】
ここで、
図13を参照して本実施形態の配送予測処理S03で使用する閾値について説明する。配送予測処理S03では、例えば、予測開始閾値(予測開始残ガス率)、ガス残量閾値(残ガス率)、配送限界閾値(限界率)が設定されている。これらの閾値は、例えば、ガスボンベ20の全量に対するガス残量の割合である。
【0165】
予測開始閾値は、予測計算処理S05の開始の判断条件であり、ガスボンベ20内の実際のガス残量が予測開始閾値を下回った場合に予測計算処理S05を開始する。この例では予測開始閾値は、15%である。
【0166】
ガス残量閾値(残ガス率)は、後述する配送計画データの作成に際し、交換対象とするガスボンベ20に優先順位を付すための閾値である。予測計算処理S05により将来の日付の日別予測使用量およびガス残量を予測し、予測したガス残量(ガス残量予測値)がガス残量閾値を下回った場合に最優先の交換対象とする。この例ではガス残量閾値は、10%である。
【0167】
配送限界閾値(限界率)は、後述する配送の限界日を決定するための閾値である。予測計算処理S05により将来の日付の日別予測使用量およびガス残量を予測し、予測したガス残量(ガス残量予測値)が配送限界閾値を下回った場合、その数日前の日付を配送の限界日とする。この例では配送限界閾値は、5%である。
【0168】
これにより、ガス残量予測値が、ガス残量閾値と配送限界閾値の間に有るガスボンベ20が配送(交換)対象のガスボンベ20となる。例えば、配送対象のガスボンベ20の数が多い場合は問題がないが、配送対象のガスボンベ20の数が少ない場合、配送が非効率になる。このような場合は、適宜、ガス残量閾値を増加させ(例えば15%とし)、配送対象となるガスボンベ20の数を増加させる。
【0169】
また、これらの閾値は、日次情報取得対象者であるか否かによらず、各LPガスの契約者の過去の利用状況等に応じてそれぞれの契約者毎に設定(適宜調整)される。
【0170】
再び
図12を参照し、予測使用量算出処理S04では、日次情報取得対象者以外のLPガスの契約者についてのガスメータ情報を別途取得する。例えば、ネットワークNW3(LPWAネットワーク)を利用できない地域のLPガスの契約者などについては、例えば、第1実施形態の携帯端末12を用いた検針や、検針者あるいはガスボンベ20の配送者による検針作業などによって検針時あるいはガスボンベ20の配送時に適宜ガスメータ情報を取得し、(例えば別の管理システムなどを用いて)管理している。予測使用量算出処理S04では、このような日次情報取得対象者以外のLPガスの契約者についても(別の管理システム等から)ガスメータ情報を取得し、前回のガスメータ情報に含まれるガス使用量(指針値)と、今回取得したガスメータ情報に含まれるガス使用量(指針値)とによって、前回のガスメータ情報の取得からのガス使用量、ガス使用量の変化量、ガス残量などを算出する。そして、日次情報取得対象者以外のLPガスの契約者ごとに、予測計算処理S05を実行し、将来の日付けにおける日別予測使用量を算出する。
【0171】
以下、日次情報取得対象者と情報取得対象者以外のLPガスの契約者の区別が不要な場合は、両者を含めて「LPガス契約者」と総称して説明する。
【0172】
限界日算出処理S06は、予測使用量算出処理S04で算出した将来の日付けにおける日別予測使用量に基づき、将来の日付けにおける日別のガス残量の予測値(ガス残量予測値)を算出し、ガス残量予測値が予め定められた配送限界閾値に到達する日付けを予想する。配送限界閾値(限界率)は、例えばガス残量閾値よりも低い(小さい)値であり(
図13参照)、配送を保留する限界を越える(すぐに配送・交換を行わなければならない)限界の値である。そして、配送限界閾値に到達する日付けよりも所定日数(2日〜数日)分前倒しした日付けを配送の限界日として算出する。以下、この前倒しする日数(2日〜数日)を「限界日数」という。
【0173】
なお、限界日算出処理S06の詳細についても後述するが、ガス残量閾値や配送限界閾値、限界日数は、ガスの使用状況等に応じて、各LPガス契約者(供給先施設U、ガスボンベ20)ごとに設定されている。
【0174】
配送計画データ作成処理S07は、指示回転数を満たし、所定期間内(例えば、直近7日間以内)に配送の限界日が到来する供給先施設Uに関する情報(例えば、ガスボンベ20(供給先施設U)の位置情報(地理情報、住所等)を含む情報、配送の限界日等を含む情報、ガスボンベ20の固有番号等)を抽出し、指示回転数、最優先で配送する供給先施設Uの位置情報とその住所、予備の配送先となる供給先施設Uの位置情報とその住所、供給先施設Uごとの配送の優先順位、ガスボンベ20の固有番号等を配送計画データとして出力する。
【0175】
優先順位は、ガス残量閾値および予測開始閾値に基づき判定する。一例として、ガス残量予測値がガス残量閾値を下回った場合、その供給先施設U(ガスボンベ20)を最優先配送先の対象とする。また、ガス残量予測値が予測開始閾値を下回った場合、その供給先施設U(ガスボンベ20)を予備配送先の対象とする。予備配送先は最優先配送先よりも優先順位は低く、後に最適な配送ルートを導き出す際に、効率的な配送のために配送の限界日を前倒しするための予備として準備する配送先である。
【0176】
本実施形態では、日次サイクルでガスの使用量(変化量)を取得でき、日別予測使用量および、日別のガス残量予測値を計算できるので、配送の限界日を実際の配送の限界に極めて近く且つ正確に予測することができる。例えば、配送の限界日は、ガスボンベ20内のガス残量予測値が全体の5%以下になる2日前の日付けとして算出する(2日以内にガスボンベ20内のガス残量予測値が全体の5%以下になる日を取得する)ことが可能となる。これにより、ガス残量が例えば全体の50%になる日を予測して配送(交換)を行っていた従来と比較して、格段に配送効率を高めることができる。
【0177】
配送対象抽出処理S08は、限界日算出処理S06で算出した配送の限界日や、配送計画データ作成処理S07で作成した配送計画データ(これに含まれる優先順位)などに基づき、所定期間内(例えば、直近7日間以内)に、配送の限界日が到来し、且つ、配送作業が完了していないLPガス契約者に対応するガスボンベ20(供給先施設U)を配送対象として抽出し、必要に応じて、例えば、優先順位や、限界日が同日(または近い日付けである)などの所定の条件によって複数の供給先施設Uをグループ化する。そして、グループ化した供給先施設U(供給先施設グループ)の位置情報(配送対象位置情報)や、供給先施設グループに関する情報(例えば、ガスメータ情報や日別予測使用量などを含む情報)を、配送計画データの一部として配送ルート確定処理(配送情報決定処理S23)に送信する。
【0178】
配送情報決定処理S23では、配送計画データや、当日の配送可能回転数などに基づき、日次配車回転数確定処理S25、当日配送対象抽出処理S27、配送車別配送決定処理S29などを行い、配送車毎に最適な配送ルート、最適な積載容量などを決定し、配送指示として出力する。
【0179】
日次配車回転数確定処理S25は必要に応じて実行され、配送者のシフト、配送車の稼働台数や回転数などの入力(修正)を受付け、配送対象抽出処理S08で抽出された配送対象となる供給先施設グループの再グループ化(抽出も含む)を行う。例えば、日次配車回転数確定処理S25は、情報修正処理S26を有しており、配送者の急な休暇や勤務可能時間の変更があった場合、あるいは天候状況に応じて、配送車の稼働台数や配送の回転数(指示回転数)に無理が生じた場合などには、配送者のシフト、稼働台数、および指示回転数の修正値としての配達可能回転数など各種情報の修正(再登録)を受付ける。そして、修正された情報に基づき、配送対象抽出処理S08で抽出された供給先施設グループの再グループ化を行い、配送を行う配送車(稼働台数)および、配送車ごとの配送の回転数を修正(調整)する。
【0180】
当日配送対象抽出処理S27は、シフト登録処理S11で登録されたシフト表や配送計画データに含まれる供給先施設グループに関する情報、日次配車回転数確定処理S25で修正された情報(配達可能回転数等)等に基づき、配送対象抽出処理S08で抽出された配送対象となる供給先施設グループあるいは、日次配車回転数確定処理S25で再グループ化(抽出)された配送対象となる供給先施設グループから、当日の交換(配送)が必須の供給先施設Uを含む複数の供給先施設Uを、当日の配送対象とするグループ(当日配送供給先施設グループ)として抽出する。当日配送供給先施設グループには例えば、配送の限界日が当日である供給先施設Uと、これらを基準として効率よく配送が可能となる複数の供給先施設U(例えば、直近3日以内に配送の限界日が到来する供給先施設Uなど)が含まれる。なお、当日配送供給先施設グループに属する供給先施設Uの数が少なく、それだけでは配送が非効率になってしまう場合などには、当日の交換(配送)が必須の供給先施設Uでなくても、例えば更に数日先まで(例えば直近7日以内)に配送の限界日が到来する供給先施設U(予備配送先に振り分けられた供給先施設U)については、当日供給先施設グループに含めるなどの条件(状況に応じて変更可能な条件)で抽出を行う。
【0181】
配送車別配送決定処理S29は、当日配送供給先施設グループに含まれる供給先施設Uについて、稼動する配送車(トラック)の積載量ごとにさらにグループ化(振り分け)を行い、配送車毎に供給先施設Uや最適な配送ルート、最適な積載容量などを決定し、配送指示として出力する。
【0182】
各配送者は、配送対象となる供給先施設Uへの配送が完了し、その旨を携帯端末12から登録する(後述の配送完了登録処理S17)と、携帯端末12から次回の配送対象となる供給先施設Uに関する情報を取得することができるようになる。各携帯端末12の担当者別配送箇所抽出処理S13では、例えば携帯端末12の表示手段121に例えば配送対象取得ボタンなどが表示される。そして、当該ボタン操作に応じて、当日配送供給先施設グループ(配送車(トラック)の積載量ごとにさらにグループ化されたもの)のうち、さらに配送者ごとに当日配送対象の供給先施設Uが抽出され、当該抽出された当日配送対象の供給先施設Uに関する情報がリストデータとして管理装置13から携帯端末12に送信される。
【0183】
また、担当者別配送箇所抽出処理S13の後であっても日次配車回転数確定処理S25は実行可能である。この場合、何らかの事情で配送者が自身が担当する当日配送対象の供給先施設Uに配送に行けず、担当者別配送箇所抽出処理S13の後に残存している当日配送対象の供給先施設Uが残存している場合、これらの残存している供給先施設Uに関する情報を元に、再度グループ化を行うことができる。
【0184】
ここで、配送情報決定処理S23(日次配車回転数確定処理S25、当日配送対象抽出処理S27、配送車別配送決定処理S29)における最適な配送ルートと最適な積載容量の決定方法について、具体例を挙げて説明する。
【0185】
まず、LPガスの供給元の担当者(配送管理者)が、情報修正処理S26において当日の配送可能回転数を入力(指示回転数の修正)する。例えば、5台の配送車で1日に1台につき3回の配送を条件とした場合、15(=5×3)回転が配送可能回転数となる。また必要に応じて配送者のシフト、稼働台数も修正する。
【0186】
配送情報決定処理S23では、配送計画データに基づき、所定の条件を設定して、積載量別に配送車(車種)と配送ルートの組み合わせの抽出を行う。抽出には例えば、ビジネスルールを実行するための所定のエンジンによって、ビジネスルールを管理・実行するビジネスルールマネジメントシステム(Business Rule Management System)を利用する。この場合、ルール(ビジネスルール)として、例えば、同じ配送回に配送するエリア、直近数日(例えば、3日)以内に配送対象となる供給先施設U(配送者のシフトを考慮し、また、休日が続く場合や冬季などで配送が間に合わないような場合には、前倒しにする。)、同じ配送回に配送するエリア内の優先順位(近い順で配送するなど)、配送時間(最大値)、距離/ガスボンベの容量(積載容量)、供給先施設U毎のガスボンベの設置態様(例えば、ガスボンベ20の容量が異なる2本の組合せ、同容量の3本の組合せ、などの設置態様)などを設定する。また、例えば、直近数日(例えば、3日)以内に配送対象となる(配送の限界日が到来する)供給先施設U(最優先配送先)のみだと効率の悪い配送になってしまう場合には、さらに数日増やして(例えば、直近7日以内などとして)配送の限界日が到来する供給先施設U(予備配送先)も配送対象に含めるなどの条件の調整も行い、最適な積載量別の配送車(最適な積載容量)と最適な配送ルートの組み合わせの抽出を行う。
【0187】
そして、抽出された組合せの配送について、当初設定した配送可能回転数を下回る場合はその下回った回転数で配送を行い、配送可能回転数を上回った場合は、他の状況も考慮して配送可能回転数を再設定し、再度、最適な積載容量(配送車)と最適な配送ルートの抽出を行う。最適な配送ルートは、複数の位置情報を入力することで各位置情報を経由する最適なルートを導き出すことができる、既存の配送計画システム(最適ルート抽出システム)等を使用して抽出する。
【0188】
そして、上記処理にて抽出された最適な積載容量(配送車)と最適な配送ルートを、配送ルート表示処理S31において、各配送者が所持する携帯端末12および/または、配送管理者の所持する携帯端末12に送信し、携帯端末12の表示手段121に表示させる。
【0189】
なお、ガスボンベ20を配送・交換した際に発行する伝票の置き場所は、LPガス契約者(供給先施設U)ごとに異なる場合がある。従って、管理装置13は、当該情報を含むLPガス契約者(供給先施設U)ごとに特有の情報も保持し、配送者の携帯端末12に配送対象の供給先施設Uに関する情報を表示する際、これらのLPガス契約者(供給先施設U)ごとに特有の情報も表示する。
【0190】
また、携帯端末12における最適な配送ルートの表示は、既知のナビゲーションシステムと連係させる。ナビゲーションシステムは、ある供給先施設Uへの配送が完了すると、最適な配送ルートに従って次の供給先施設Uへのナビゲーションを順次行う。
【0191】
配送者は、供給先施設Uに赴き、指示されたガスボンベ20の交換作業を行う。その際、携帯端末12の表示手段121に表示されている内容と、交換場所の供給先施設U(LPガス契約者)の情報との合致を確認し、回収するガスボンベ20と配置するガスボンベ20の全てについて固有のバーコードの読み取りを行い、ガスメータ21の指針値を目視で取得し、携帯端末12に入力する。また、新たにLPガス契約者(供給先施設U)ごとに特有の情報の追加・変更がある場合は、当該追加・変更の情報を入力する。携帯端末12の配送完了登録処理S17では、指針値や、回収されたガスボンベ20に固有の情報、LPガス契約者(供給先施設U)ごとに特有の情報の入力を配送データとして受付け、管理装置13に送信する。また、配送が完了した供給先施設Uに関する情報は、携帯端末12から消去される。配送者は、当日の全ての供給先施設Uについて、上記作業を繰り返して行う。
【0192】
管理装置13の配送情報登録処理S09では、各携帯端末12から送信される配送データを取得し、供給先施設U(LPガス契約者)毎に、管理装置13において保有している情報の更新を行う。
【0193】
また、管理装置13では、例えば、空調の使用状況、バルク貯槽供給であるか否か、供給先施設Uが集合住宅であるか否か、給湯器の使用の有無等に応じて、適宜調整を行う。
【0194】
例えば、空調の使用状況としては、夏季の冷房器具、冬季の暖房器具を使用することで急激に使用量が上がる傾向があるLPガス契約者(供給先施設U)を抽出可能とし、意図したタイミングで配送伝票を発行できるようにする。
【0195】
また、供給先施設Uが中圧供給の場合は、メータの指針と実際の使用量が異なるため、換算率を設定して実際の使用量を計算する。
【0196】
また、バルク貯槽供給の場合、通常の配送車(トラック)で配送できないため、予測計算処理S05は行うが、配送のはバルク車での配送を指示する。
【0197】
また、集合住宅の場合、ガスメータ情報として、全ての部屋で使用した指針値の合計を取得できる場合と、各部屋毎にガスメータが設けられるのみで、各部屋ごとにしか指針値が取得できない場合がある。後者の場合は、紐づく部屋のガスメータの指針値を合算した上で、予測計算処理S05を実行する。
【0198】
また、給湯器が設置されているLPガス契約者(供給先施設U)は抽出可能とし、冬季に使用量が増加した場合の管理を行なう。
【0199】
上記した以外にも、配送管理手段50は、例えば、ガス供給(配送)管理の月次処理、配送実績の管理処理、帳票発行処理、保安点検情報管理処理など、従来既知のガス供給(配送)管理における各種処理を実行する。
【0200】
<日別予測使用量の算出方法>
配送予測処理S03(予測使用量算出処理S04(予測計算処理S05)および限界日算出処理S06)では、指示回転数や、ガスメータ情報に含まれるガス使用量(指針値)などに基づき、日別予測使用量、配送の限界日、配送計画データを抽出可能である。指針値は、管理装置13が自動で格納装置30から取得したデータに限らず、検針者や配送者が実際に供給先施設U、またその付近に赴いて取得した指針値も含まれる。
【0201】
具体的には、配送予測手段138(配送予測処理S03)は、将来の日付けにおける日別予測使用量を算出する。このとき、配送予測手段138は、日数の経過に伴って増加又は減少するように日別予測使用量を算出する。例えば冬期では月初から月末に向かって日ごとに増加するように日別予測使用量を算出し、夏期では月初から月末に向かって日ごとに減少するように日別予測使用量を算出する。このため、配送予測手段138は、過去の所定期間における基準ガス使用量に基づいて日毎に単位予測使用変化量(1日当りの増加量または減少量)を算出し、当該単位予測使用変化量に基づいて日別予測使用量を算出する。この場合の基準ガス使用量は、例えば、予測する期間と同時期の過去の所定期間における使用実績量または、予測する期間と同時期の例年のガス使用量の傾向に基づく設定値である、基準ガス使用量は、LPガス契約者の使用傾向に基づき、個別に設定される。
【0202】
そして、配送予測手段138(配送予測処理S03)は、算出した日別予測使用量に基づいてガスボンベ20内の将来の日付けにおける日別のガス残量(ガス残量予測値)を算出し、ガス残量予測値が所定量に減量する日付けを予測して配送の予定日を決定する。
【0203】
<予測計算処理の具体例>
以下、
図14を参照して、予測計算処理S05の一例について更に説明する。
図14は、予測計算処理で用いる計算式の一例を示す表である。
【0204】
予測計算処理S05は、例えば、前回取得したガスメータ情報のガス使用量(前回指針値)と、今回取得したガスメータ情報のガス使用量(今回指針値)とに差異が発生し、且つ、今回指針値に基づく実際のガス残量が予測開始閾値を下回ったガスボンベ20(供給先施設U)に対して、行う。
(1)基準ガス使用量として、前年同時期のガス使用量(実績量)を用いる場合
(1−1)日次情報取得対象者以外のLPガスの契約者であるか、日次情報取得対象者であって、過去のガスメータ情報(指針値)の蓄積年月が1年2ヶ月未満の場合
【0205】
ガスメータ情報を取得した日(M月D日)の数日後の当月予測日(M月X日)の日別予測使用量は、例えば、以下の方法にて算出する。
【0206】
まず、前年同時期の1ヶ月の使用量(実績量)の差(変化量)から、1日当りの単位予測使用変化量(前日からの増加量または減少量)を算出し、予測日が含まれる月の月初からの日数を積算して予測日の(予測日における)予測使用変化量(式1)を算出する。
【0207】
予測日の予測使用変化量=(前年今月(当月)使用量と前年前月使用量の差)/(当月の1日から末日までの日数の和)×月初から予測日までの日数X (式1)
【0208】
次に、前年当月のベース使用量から、前年当月の1日当りの平均使用量を算出する。前年当月のベース使用量とは、前年前月における総使用量である。前年当月の1日当りの平均使用量(これを「ベース使用予測量(平均)」という。)に、(式1)で求めた予測日の予測使用変化量を合算して前年前月を基準とした当月予測日の使用予測量(式2)を算出する。
【0209】
当月予測日の使用予測量=前年前月使用量(1ヶ月分)/今月の月日数+予測日の予測使用変化量 (式2)
【0210】
更に、前年前月使用量と今年前月使用量の変化量(増加量または減少量)を今月の月日数で除算して前年前月使用量と今年前月使用量の変化量の今月1日当りの平均値(式3)を算出する。
【0211】
前年前月使用量と今年前月使用量の変化量の今月1日当りの平均値(前年→今年変化量(平均))=(前年前月使用量と今年前月使用量の変化量)/今月の月日数 (式3)
【0212】
そして、(式2)で算出された当月予測日の使用予測量と(式3)で算出された前年前月使用量と今年前月使用量の変化量の今月1日当りの平均値(前年→今年変化量(平均)を合算して、当月予測日の日別予測使用量(式4)を算出する。
【0213】
当月予測日の日別予測使用量=当月予測日の使用予測量+前年前月使用量と今年前月使用量の変化量の今月1日当りの平均値 (式4)
(1−2)日次情報取得対象者であって、過去のガスメータ情報(指針値)の蓄積年月が1年2ヶ月以上の場合
【0214】
この場合、日次で(自動的に)管理装置13はガスメータ情報を取得するため、ガスメータ情報を取得した当日を起点として日次で予測計算処理S05が行なわれる。
【0215】
ガスメータ情報を取得した日(Y年M月D日)のX日後の日別予測使用量は、以下の方法にて算出する。
【0216】
まず、この場合、Y年M月D日から起算して30日前〜60日前までの使用量の和を今年前回使用量、Y年M月D日の前年同月日30日前〜60日前までの使用量の和を前年前回使用量、Y年M月D日の前年同月日〜30日前までの使用量の和を前年今回使用量とする。そして、今年前回使用量を今年前月使用量、前年前回使用量を前年前月使用量、前年今回使用量を前年当月(今月)使用量と読み替えて、上記の(式1)から(式4)を用いて算出する。
【0217】
予測日の予測使用変化量=(前年今回使用量と前年前回使用量の差)/(当月の1日から末日までの日数の和)×ガスメータ情報の取得日から予測日までの日数X (式1)
【0218】
当月予測日の使用予測量=前年前回使用量/30日間+予測日の予測使用変化量 (式2)
【0219】
前年前回使用量と今年前回使用量の変化量の1日当りの平均値(前年→今年変化量(平均))=(前年前回使用量と今年前回使用量の変化量)/30日間 (式3)
【0220】
当月予測日の日別予測使用量=当月予測日の使用予測量+前年前回使用量と今年前回使用量の変化量の1日当りの平均値 (式4)
(2)基準ガス使用量として、月ごとに予め登録された例年のガス使用量の傾向を示す係数(使用量または基準月からの使用量変化割合)を用いる場合
【0221】
ガスメータ情報を取得した日(M月D日)の数日後の当月予測日(M月X日)の日別予測使用量は、以下の方法にて算出する。
【0222】
この場合、前年前回使用量を前年前月係数、前年今回使用量を前年今月(当月)係数と読み替えて、上記の(式1)から(式4)を用いて算出する。
【0223】
予測日の予測使用変化量=(前年今月係数と前年前月係数の差)/(当月の1日から末日までの日数の和)×月初から予測日までの日数X (式1)
【0224】
当月予測日の使用予測量=前年前月係数/今月の月日数+予測日の予測使用変化量 (式2)
【0225】
前年前月係数と今年前月使用量の変化量の1日当りの平均値(前年→今年変化量(平均))=(前年前月係数と今年前回使用量の変化量)/30日間 (式3)
【0226】
当月予測日の日別予測使用量=当月予測日の使用予測量+前年前月係数と今年前月使用量の変化量の1日当りの平均値 (式4)
【0227】
予測計算処理S05では、上記(1)を上記(2)よりも優先して行うが、前年前月使用量(前年前回使用量、前年前月係数)および前年今月使用量(前年今回使用量、前年今月係数)が存在しない場合、上記(2)を用いる。
【0229】
次に、限界日算出処理S06について、説明する。
【0230】
限界日算出処理S06では、上記の予測計算処理S05によって,直近でガスメータ情報を取得した日以降の日別予測使用量に基づき、直近でガスメータ情報を取得した日以降の合計予測使用量を算出する。
【0231】
また、ガスメータ情報の指針値に基づき、ガスメータ情報取得時の実際のガスの残量(ガス残量)を算出する。ガス残量は、配送(交換)時のガス容量から配送(交換)時以降の毎月のガス使用量の合計値を減算した値である。そして、実際のガス残量から日毎に合計予測使用量を減算し、直近でガスメータ情報を取得した日以降の各日のガス残量予測値を算出する。
【0232】
そして、ガス残量予測値が、配送限界閾値(限界率)を下回る直近の日付を特定し、その日よりも限界日数(例えば3日)前の日付を配送の限界日として決定する。
【0233】
配送限界閾値および限界日数は、LPガス契約者(供給先施設U)毎の使用状況により個別に予め設定してある値である。
(具体例)
【0234】
図15および
図16を参照して、例えば、2017年11月15日に(ガスメータ情報を取得し)、予測計算処理S05を実行する場合を例により具体的に説明する。以下では、上記(1−1)の日次情報取得対象者以外のLPガスの契約者であるか、日次情報取得対象者であって、過去のガスメータ情報(指針値)の蓄積年月が1年2ヶ月未満の場合について説明するが、上記(1−2)日次情報取得対象者であって、過去のガスメータ情報(指針値)の蓄積年月が1年2ヶ月以上の場合や、上記(2)基準ガス使用量として、月ごとに予め登録された例年のガス使用量の傾向を示す係数(使用量または基準月からの使用量変化割合)を用いる場合、であっても同様である。
【0235】
図15(a)は、前年(2016年)の9月〜11月の実際の使用量(実績値)の一例である。各月のベース使用量は、それらの前月の総使用量である。同図(b)は、(式1)で算出される予測日の予測使用変化量、および日別予測使用量の概念図である。同図(c)は、予測計算処理S05によって算出した、2017年11月の日別予測使用量テーブルである。
図16(a)は、日別予測使用量を概念的に示すグラフである。
図16(b)は、
図15(c)に基づく、限界日算出テーブルである。
【0236】
図15(a)に示すように、前年前月使用量(2016年10月)は20立方m、前年今月使用量(2016年11月)は29立方mである。また、今年前月使用量(2017年10月)は、25立方mであるとする。当月(2017年11月)の1日から末日(30日)までの日数の和は、465日であり、予測日の月初からの日数)Xは、15日である。
【0237】
この場合、予測日の予測使用変化量は、(式1)により0.29立方m(=(29立方m−20立方m)/465日×15日)である。
【0238】
ここで、(式1)においては、同図(b)にドットのハッチングで示す前年今月使用量と前年前月使用量の差(変化量)を、当月の1日から末日までの日数の和で除している。これにより、同図(b)に斜線のハッチングで示すように、当月の1日あたりの単位予測使用変化量が算出される。この単位予測使用変化量を、月初からの日数分(例えば15日分)合算することで、予測日(11月15日)の予測使用変化量が求められる。
【0239】
そして同図(c)の11月15日欄に示すように、この場合の当月予測日の使用予測量は、(式2)より、0.96立方m(=20立方m/30日+0.29立方m)であり、前年前月使用量と今年前月使用量の変化量の今月1日当りの平均値(前年→今年変化量(平均))は、(式3)より、0.17立方m(=(25立方m−20立方m)/30日)である。この結果、当月予測日(2017年11月15日)の日別予測使用量は、(式4)より、1.13立方m(=0.96立方m+0.17立方m)となる。
【0240】
上記(式1)〜(式4)の計算を2017年11月1日〜11月30日についてそれぞれ行う。これにより、同図(c)に示す2017年11月の日別予測使用量テーブルが得られる。
【0241】
なお、上記(1−1)および上記(2)の場合は、同図(c)に示す日別予測使用量テーブルを月毎に1回作成する(例えば、月末に次月分の日別予測使用量テーブルを作成する)。また、上記(1−2)の場合は、日次で(毎日)1ヶ月分の日別予測使用量テーブルを作成(更新)する。
【0242】
図16(a)を参照して、本実施形態によれば、(式2)で算出される当月予測日の使用予測量(前年前月の総使用量を当月の日数で平均した量)に、日ごとに増加または減少するように算出された予測日の予測使用変化量(式1)と、前年前月使用量と今年前月使用量の変化量の今月1日当りの平均値(式3)を加算して、日別予測使用量を算出する。
【0243】
一方、同図(a)の破線は比較例であって、過去の1ヶ月の使用量(実績量)を月日数で除算して変化量の平均値を求め、変化量の平均値を基準となる当月(予測日)のベース使用量に加算する予測方法の結果である。
【0244】
ガスの使用量は、実際には季節の変化に応じて、日ごとに増加あるいは減少するものである。つまり、同図(a)の破線で示すように変化量が平均されてしまうと、例えば配送の予定日が月末に算出されてしまうほど、ガスボンベ20の交換前にガスが欠乏してしまう可能性が高くなる。
【0245】
本実施形態によれば、予測使用変化量が日ごとに増加又は減少(同図(a)では増加)するように算出しているため、例えば配送の予定日が月末に算出されてしまう場合であっても実情に沿いやすくなり、ガスボンベ20の交換前にガスが欠乏するリスクを回避できる。
【0246】
また、予測使用変化量に加えて、前年前回使用量と今年前回使用量の変化量の1日当りの平均変化量(前年→今年変化量(平均))も加算するため、より実情に合わせた使用量予測が可能となる。
【0247】
そして、
図16(b)に示すように、限界日算出処理S06では、予測使用変化量に基づいて限界日算出テーブルを作成する。
【0248】
この例では、2017年11月15日に取得したガスメータ情報に基づき、当日以降(2017年11月16日〜同年11月30日)までの値を求めている。2017年11月15日に取得したガスメータ情報(実績値)の内容は、ガス残量が15立方m、供給先施設Uのガスボンベ20の容量は、合計で100立方m(50kg×2本)とし、配送限界閾値は5%、限界日数は、3日に設定されているとする。
【0249】
同図に示すように、11月16日以降の日別予測使用量に基づき、11月16日以降の合計予測使用量(16日は1.14立方m、17日は2.31(≒1,14+1.16)立方m・・・)を算出し、実際のガス残量(15立方m)から日毎に合計使用量を減算して(16日は13.86(=15−1.14)立方m、17日は12.69(=15−2.31)立方m・・・)、11月16日以降の各日におけるガス残量予測値、およびその供給先施設Uにおけるガスボンベ20の総容量に対するガス残量予測値の割合を算出する。
【0250】
そして、その供給先施設Uにおけるガスボンベ20の総容量に対するガス残量予測値の割合が、配送限界閾値(限界率)を下回る直近の日付(この例では11月24日)を特定し、その日よりも限界日数(3日)前の日付(この例では11月21日)を配送の限界日として決定する。
【0251】
以上、配送予測処理について、具体例を挙げて説明したが、本実施形態の配送予測処理は、上記の例に限らない。すなわち、週に1回よりも多頻度(例えば日次)でガスメータ情報を取得し、日ごとに増加または減少するように日別予測使用量を算出し、LPガス契約者にガスの欠乏などのリスクが生じない範囲で可能な限りガス残量予測値が少なくなる配送の限界日を算出するとともに、配送の担当者(配送者)および配送車毎に最適な配送ルートを予測するものであればよい。
【0252】
以上説明したように、本実施形態のLPWAを利用したガス供給管理システム10では、管理装置13(配送管理手段50)がガスメータ情報を遠隔で、任意のタイミングで自動取得することができる。これにより、管理装置13(配送管理手段50)はガスメータ情報を日次で(随時)把握することができ、これをLPガスの配送業務の効率化に活用することができる。具体的には、ガスボンベ20を配送する上で最適な配送日と効率的な配送ルートを予測し、複数の配送車に積載するガスボンベ20の本数を指示するまでのプロセスを自動的に行う。これにより、従来では検針員の検針作業や、ガスボンベの配送員に依存する要素の強かったLPガスの配送業務において、属人化したノウハウの継承を必要とせず、常に効率の良いLPガス配送業務が可能となる。
【0253】
また、LPWAを用いることにより、安価かつ低消費電力で、広いエリアのユーザ(ガスボンベ20の供給先施設U)をカバーすることができる。
【0254】
なお、ガスメータ情報は、管理装置13(配送管理手段50)による自動取得に加えて、第1実施形態と同様に携帯端末12によって収集するようにしてもよい。例えば、携帯端末12は、情報送信装置11から送信されたガスメータ情報を受信・収集し、ネットワークNW1(またはネットワークNW3)を介して管理装置13に当該ガスメータ情報を送信(アップロード)するようにしてもよい(
図1参照)。これにより、ネットワークNW3(LPWAネットワーク)によってガスメータ情報を取得できない地域などにおいては、第1実施形態で説明したように検針者が携帯端末12を所持して、検針対象の地域に赴き、ガスメータ情報を収集することができる。
【0255】
また、ガス供給管理システム10を構成する各装置(ハードウェア)の一部または全てを、当該装置(ハードウェア)と同等の機能を実現するソフトウェアに置き換えてもよい。
【0256】
また、本発明のガス供給管理システム10等は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【課題】LPガスの検針・保安・配送などの業務を効率的に行うことが可能であるとともに、導入に関するコストや手間を抑えることができる、ガス供給管理システム、ガス供給管理方法および情報送信装置を提供する。
ガス供給管理システム10は情報送信手段11と、収集手段31と、管理手段13とを備え、前記情報送信手段11は、複数の供給先施設Uのガス容器20に設けられたガスメータ21とそれぞれ接続し、該ガスメータ21からの情報を取得して前記収集手段31に送信し、前記収集手段31は前記情報送信手段11から送信された前記情報を収集し、前記管理手段13は、前記情報に基づき、使用量算出手段137によって前記ガス容器20ごとのガス使用量を算出し、配送予測手段138によって前記供給先施設Uごとに前記ガス容器20の配送の予定日を予測する。