(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
利用者に装着されて使用され、前記利用者の動きに応じた情報を検出し、該情報に基づいて前記利用者の行動を識別し、識別した行動を蓄積する行動評価装置による行動評価方法であって、
前記利用者の動きに応じて検出された情報に基づいて前記利用者の行動を識別するステップと、
識別された現在行動と蓄積されている過去行動とを比較し、該現在行動が該過去行動に対して推奨行動であるか否かを判定するステップと、
判定結果に基づいて報知するステップと、
を備え、
前記判定するステップは、前記現在行動と該現在行動の直前の過去行動とを比較して、識別可能な複数の行動種別を前記現在行動及び該現在行動の直前の過去行動の各々の事象とするマトリックスであって、該現在行動の事象と該過去行動の事象との交点である要素毎に推奨行動か否かを定めたマトリックスに基づき、該現在行動が該過去行動に対して推奨行動であるか否かを判定する行動評価方法。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0016】
図1は、本発明の実施形態を説明するための行動評価装置の一例の構成を示す。
【0017】
行動評価装置10は、利用者に装着されて使用される。行動評価装置10は、全体を統括制御する制御部1と、検出部2と、通信部3と、操作部4と、記憶部5と、各種情報を表示するための表示部6と、音や光等で利用者への報知を行う報知部7と、を備える。
【0018】
検出部2は、行動評価装置10を装着した利用者の動きに応じた情報を検出するものであり、体動検出部11と、高度検出部12と、を備える。
【0019】
体動検出部11は、加速度センサや角速度センサなどの各種センサを含み、行動評価装置10を装着した利用者の動きを検出する。
【0020】
高度検出部12は、気圧センサを含み、行動評価装置10がある位置の高度を検出する。行動評価装置10がある位置の高度は、行動評価装置10を装着した利用者の動き(例えば、階段昇降)によって変化する。したがって、この高度の情報も、行動評価装置10を装着した利用者の動きに応じた情報となる。
【0021】
通信部3は、他の機器と通信を行うためのインターフェースを含む。このインターフェースとしては、ANTに準拠した通信インターフェース、Bluetooth(登録商標)に準拠した通信インターフェース等の近距離無線通信インターフェースが用いられる。
【0022】
操作部4は、制御部1に各種指示を入力するためのデバイスであり、ボタンや表示部6に搭載されたタッチパネル等により構成される。
【0023】
記憶部5は、フラッシュメモリやROM(Read Only Memory)等の記憶媒体を含んで構成され、検出部2によって検出された検出情報を記憶したり、通信部3を介して受信した情報を記憶したり、行動評価装置10の動作に必要な情報を記憶したりする。
【0024】
制御部1は、記憶部5のROMに記憶された行動評価プログラムを実行するプロセッサを主体に構成される。制御部1は行動識別部及び計時部、並びに判定部としても機能する。
【0025】
図2は、行動評価装置10が実行する処理のフローを示す。
【0026】
行動識別部及び計時部としての制御部1は、検出部2で検出された情報に基づいて利用者の行動を識別する(ステップS1)。また、制御部1は、識別された行動を、その行動がとられた日時や継続時間と関連付けて記憶部5に記憶させる。
【0027】
ここで、本明細書において、「行動」とは、歩いている、走っている、座っている、立ち止まっている、寝ている、階段を昇降している等の人の動作状態のことを言う。
【0028】
例えば、静止している、歩いている、走っている、乗り物にのって移動しているといった行動は、体動検出部11の加速度センサで検出される加速度情報や、その時間積分の速度情報によって識別することが可能である。そして、同じ静止であっても、座っている、立っている、寝ているといった違いは、体動検出部11の角速度センサで検出される角速度情報や、その時間積分である姿勢角情報によって識別することが可能である。
【0029】
また、昇降は高度検出部12で検出される高度情報によって識別することができ、階段の昇降と、エレベータやエスカレータなど昇降機による昇降とは、高度検出部12で検出される高度情報に体動検出部11の加速度センサで検出される加速度情報や速度情報を加味することによって識別することが可能である。
【0030】
そして、判定部としての制御部1は、識別された現在行動と記憶部5に蓄積されている過去行動とを比較し、現在行動が過去行動に対して推奨行動であるか否かを判定する(ステップS2)。推奨行動であるか否かの判定方法については後述する。
【0031】
そして、制御部1は、上記の判定結果に基づいて報知部7を動作させる(ステップS3)。それにより、現在行動の評価結果が利用者に報知される。なお、図示の例では、現在行動が推奨行動であると判定された場合に報知部7が動作するように構成されているが、現在行動が非推奨行動である場合に報知部7を動作させてもよいし、推奨行動と非推奨行動とで報知の態様を異ならせて推奨行動及び非推奨行動のいずれにおいても報知部7を動作させてもよい。
【0032】
好ましくは、少なくとも現在行動が推奨行動と判定された場合に報知部7が動作するように構成される。これは、現在行動が非推奨行動である場合の注意より、現在行動が推奨行動である場合の賞賛のほうが、一般的に利用者の意欲を高められる傾向にあるからである。
【0033】
また、以上の報知モードを操作部4に対する操作によって設定可能に構成してもよい。
【0034】
以下、制御部1による推奨行動の判定方法について説明する。
【0035】
図3は、制御部1による推奨行動の判定方法の例を示し、
図4は、
図3の判定方法に用いられるマトリックの一例を示す。
【0036】
図3に示す例は、現在行動と現在行動の直前の過去行動とを比較して、現在行動が過去行動に対して推奨行動であるか否かを判定する例である。
【0037】
まず、制御部1は、現在行動を識別すると、記憶部5に蓄積されている直前の過去行動を読み出す(ステップSa1)。
【0038】
そして、制御部1は、現在行動と過去行動とを比較し、
図4のマトリックスに基づいて、現在行動が過去行動に対して推奨行動であるか否かを判定する(ステップSa2)。
【0039】
ここで、
図4に示す行動判定用のマトリックスは、行動識別部としての制御部1で識別可能な複数の行動種別を現在行動及び直前の過去行動の各々の事象とするマトリックスである。現在行動の事象と過去行動の事象との交点であるマトリックスの要素毎に、過去行動に対して現在行動が推奨行動であるか否かが予め設定されている。
【0040】
図示の例では、マトリックスの各要素の設定は、過去行動に対して現在行動が推奨行動である場合に「○」、過去行動に対して現在行動が非推奨行動である場合に「×」、過去行動に対して現在行動が状況によって推奨行動とも非推奨行動ともなり得る場合に「−」で示されている。
【0041】
例えば、直前の過去行動が乗り物での移動であった場合に、現在行動が歩行であると、その現在行動は、直前の過去行動に対して推奨行動と判定される。一方、直前の過去行動が歩行であった場合に、現在行動が乗り物での移動であると、その現在行動は、直前の過去行動に対して非推奨行動と判定される。
【0042】
図4のマトリックスでは、概して、過去行動から現在行動への変化が、単位時間当たりの消費カロリーないし活動量が相対的に多い行動への変化となる場合に、その現在行動は過去行動に対して推奨行動とされている。
【0043】
このように、利用者の現在行動を過去行動との関係で評価することにより、多岐にわたって変化する利用者の行動を適時適切に評価することが可能となり、日常生活の種々の行動に関して、利用者の行動が例えば推奨方向に変化したことをリアルタイムに報知し、利用者の意欲を高めることができる。
【0044】
図5は、制御部1による推奨行動の判定方法の他の例を示す。
【0045】
図5に示す例は、現在行動と前日以前で且つ現在行動と同一時間帯の過去行動とを比較して、現在行動が過去行動に対して推奨行動であるか否かを判定する例である。
【0046】
まず、制御部1は、現在行動を識別すると、記憶部5に蓄積されている前日以前で且つ現在行動と同一時間帯の過去行動を読み出す(ステップSb1)。
【0047】
そして、制御部1は、現在行動と過去行動とを比較し、制御部1で識別可能な複数の行動種別を現在行動及び前日以前で且つ現在行動と同一時間帯の過去行動の各々の事象とし、現在行動の事象と過去行動の事象との交点である要素毎に、過去行動に対して現在行動が推奨行動であるか否かを予め設定したマトリックスに基づいて、現在行動が過去行動に対して推奨行動であるか否かを判定する(ステップSb2)。
【0048】
なお、本例の判定方法に用いられるマトリックの各要素の設定は、
図4に示したマトリックスと同じであり、概して、過去行動から現在行動への変化が、単位時間当たりの消費カロリーないし活動量が相対的に多い行動への変化となる場合に、その現在行動が過去行動に対して推奨行動となるように設定することができる。
【0049】
このように、現在行動を前日以前で且つ現在行動と同一時間帯の過去行動と対比するようにすれば、定まった時間帯に習慣的にとられる行動について、利用者の行動が例えば推奨方向に変化したことをリアルタイムに報知し、利用者の意欲を高めることができる。
【0050】
例えば、定まった時間帯に習慣的にとられる行動として通勤を例に、前日の通勤が乗り物での移動であった場合に、現在の通勤が歩行であると、その現在行動は前日の同一時間帯の過去行動に対して推奨行動と判定され、推奨行動である旨が報知される。
【0051】
なお、習慣的にとられる行動の評価という観点では、前日の過去行動に限られるものではなく、例えば現在行動がとられた曜日と同じ曜日の過去行動であってもよい。
【0052】
図6は、制御部1による推奨行動の判定方法の他の例を示す。
【0053】
図6に示す例は、現在行動と現在行動と同種の過去行動とを比較して、現在行動が過去行動に対して推奨行動であるか否かを判定する例であり、主として、
図5に示した例と同様に、習慣的にとられる行動について評価するものである。
【0054】
まず、制御部1は、現在行動を識別すると、記憶部5に蓄積されている同種の過去行動を読み出す(ステップSc1)。読み出される同種の過去行動は、典型的には前日以前の過去行動であるが、現在行動と同日の過去行動であってもよい。
【0055】
そして、制御部1は、現在行動と過去行動とを比較し、各々の行動がとられた時間に基づいて、該現在行動が該過去行動に対して推奨行動であるか否かを判定する(ステップSc2)。各行動に関連する時間指標としては行動の開始時間や継続時間を例示でき、推奨行動であるか否かの判定に用いられる時間指標及び判定基準は行動種別毎に設定されている。
【0056】
例えば、睡眠については開始時間が指標とされており、現在行動が睡眠であって、現在行動の開始時間が、過去行動の開始時間と同一時間帯であるか、又は過去行動の開始時間よりも早い場合に、規則正しい生活リズムが維持されているとして、その現在行動は過去行動に対して推奨行動と判定される。
【0057】
また、走行については継続時間が指標とされており、現在行動が走行であって、現在行動の継続時間が過去行動の継続時間よりも長い場合に、エクササイズ効果が高まるとして、その現在行動は過去行動に対して推奨行動と判定される。
【0058】
このように、現在行動を同種の過去行動と対比するようにすれば、習慣的にとられる行動について、利用者の行動が例えば推奨方向に変化したことをリアルタイムに報知し、利用者の意欲を高めることができる。
【0059】
以上、現在行動と現在行動の直前の過去行動とを比較して判定する例、及び現在行動と前日以前で且つ同一時間帯の過去行動とを比較して判定する例、並びに現在行動と同種の過去行動とを比較して判定する例についてそれぞれ説明したが、これらの判定方法を複数組み合わせ、少なくとも一つの判定方法によって現在行動が推奨行動であると判定された場合に報知するようにしてもよい。
【0060】
また、制御部1が行う各ステップをコンピュータに実行させるためのプログラムとして提供することもできる。このようなプログラムは、当該プログラムをコンピュータが読取可能な一時的でない(non−transitory)記録媒体に記録されて提供可能である。
【0061】
このような「コンピュータ読取可能な記録媒体」は、たとえば、CD−ROM(Compact Disc−ROM)等の光学媒体や、メモリカード等の磁気記録媒体等を含む。また、このようなプログラムを、ネットワークを介したダウンロードによって提供することもできる。
【0062】
上述した実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0063】
以上説明してきたように、本明細書には以下の事項が開示されている。
【0064】
開示された行動評価装置は、利用者に装着されて使用される行動評価装置であって、前記利用者の動きに応じた情報を検出する検出部と、前記検出部で検出される情報に基づいて前記利用者の行動を識別する行動識別部と、前記行動識別部で識別される行動を蓄積する記憶部と、前記行動識別部で識別された現在行動と前記記憶部に蓄積されている過去行動とを比較し、該現在行動が該過去行動に対して推奨行動であるか否かを判定する判定部と、前記判定部での判定結果に基づいて動作する報知部と、を備えるものである。
【0065】
また、開示された行動評価装置は、前記判定部が、前記現在行動と該現在行動の直前の過去行動とを比較して、該現在行動が該過去行動に対して推奨行動であるか否かを判定するものである。
【0066】
また、開示された行動評価装置は、前記判定部が、前記行動識別部で識別可能な複数の行動種別を前記現在行動及び該現在行動の直前の過去行動の各々の事象とするマトリックスであって、該現在行動の事象と該過去行動の事象との交点である要素毎に推奨行動か否かを定めたマトリックスに基づき、該現在行動が該過去行動に対して推奨行動であるか否かを判定するものである。
【0067】
また、開示された行動評価装置は、日時を計時する計時部をさらに備え、前記記憶部は、前記行動識別部で識別される行動を該行動がとられた日時と関連付けて蓄積し、前記判定部は、前記現在行動と前日以前で且つ該現在行動と同一時間帯の過去行動とを比較して、該現在行動が該過去行動に対して推奨行動であるか否かを判定するものである。
【0068】
また、開示された行動評価装置は、前記判定部が、前記行動識別部で識別可能な複数の行動種別を前記現在行動及び前日以前で且つ該現在行動と同一時間帯の過去行動の各々の事象とするマトリックスであって、該現在行動の事象と該過去行動の事象との交点である要素毎に推奨行動か否かを定めたマトリックスに基づき、該現在行動が該過去行動に対して推奨行動であるか否かを判定するものである。
【0069】
また、開示された行動評価装置は、前記判定部が、前記現在行動と該現在行動と同種の過去行動とを比較して、該現在行動が該過去行動に対して推奨行動であるか否かを判定するものである。
【0070】
また、開示された行動評価装置は、日時を計時する計時部をさらに備え、前記記憶部は、前記行動識別部で識別される行動を該行動がとられた日時と関連付けて蓄積し、前記判定部は、前記現在行動及び該現在行動と同種の過去行動の各々の行動がとられた時間に基づいて、該現在行動が該過去行動に対して推奨行動であるか否かを判定するものである。
【0071】
また、開示された行動評価装置は、前記報知部が、少なくとも前記現在行動が推奨行動であると前記判定部で判定された場合に動作するものである。
【0072】
また、開示された行動評価方法は、利用者に装着されて使用され、前記利用者の動きに応じた情報を検出し、該情報に基づいて前記利用者の行動を識別し、識別した行動を蓄積する行動評価装置による行動評価方法であって、前記利用者の動きに応じて検出された情報に基づいて前記利用者の行動を識別するステップと、識別された現在行動と蓄積されている過去行動とを比較し、該現在行動が該過去行動に対して推奨行動であるか否かを判定するステップと、判定結果に基づいて報知するステップと、を備えるものである。
【0073】
開示された行動評価プログラムは、行動評価方法の各ステップをコンピュータに実行させるものである。