(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、特許文献1の空気清浄機では、タンクが空気清浄フィルタよりも空気流れ上流側に配置されている。このため、空気清浄フィルタを通過する前の空気がタンクの外面に触れることで、タンクの外面に空気中の塵埃が付着し、タンクが汚れるおそれがある。
【0004】
そこで、本発明の課題は、タンクの外面が汚れるおそれを防止することができる空気清浄機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1観点に係る空気清浄機は、加湿機能を有する空気清浄機であって、空気清浄フィルタと、ファンと、加湿ユニットと、を備える。空気清浄フィルタは、空気に含まれる塵埃を除去する。ファンは、空気清浄フィルタを通過する空気流れを生成する。加湿ユニットは、水を貯留するタンクと、加湿エレメントと、を有する。加湿エレメントは、タンクから供給された水を吸水する吸水部材を含む。加湿ユニットは、吸水部材に吸水された水を気化させて加湿する。さらに、タンクの外面は、空気清浄フィルタを通過した空気が流れる空気流路を形成するガイド面を含む。
【0006】
本発明の第1観点に係る空気清浄機では、タンクのガイド面が空気清浄フィルタを通過した空気が流れる空気流路を形成している。このため、タンクのガイド面には、空気清浄フィルタを通過した後の空気、すなわち塵埃が除去された空気が接触することになる。したがって、タンクの外面に塵埃が付着するおそれを低減することができる。
【0007】
これによって、タンクの外面が汚れるおそれを防止することができる。
【0008】
本発明の第2観点に係る空気清浄機は、第1観点の空気清浄機において、タンクは、下部の断面積が上部の断面積よりも大きくなるように構成されている。このため、水が貯留された状態のタンクは、その重心が低くなることになる。したがって、この空気清浄機では、水が貯留されたタンクを安定した状態で設置することができる。
【0009】
本発明の第3観点に係る空気清浄機は、第1観点又は第2観点の空気清浄機において、ガイド面は、空気清浄フィルタを通過した空気が上方前に導かれるように傾斜している。この空気清浄機では、空気清浄フィルタを通過した空気を、空気清浄機の上方前に導くことができる。
【0010】
本発明の第4観点に係る空気清浄機は、第3観点の空気清浄機において、ガイド面は、湾曲した湾曲面を含む。このため、この空気清浄機では、空気清浄フィルタを通過した空気を、湾曲面に沿って誘導することができる。
【0011】
本発明の第5観点に係る空気清浄機は、第4観点の空気清浄機において、湾曲面は、タンクの内側に向かって窪んでいる。このため、湾曲面がタンクの外側に向かって突出しているよりも、機内の設置制約に適応させやくすることができる。
【0012】
本発明の第6観点に係る空気清浄機は、第5観点の空気清浄機において、吸水部材は、鉛直面に沿うように配置されている。また、湾曲面は、吸水部材と対向するように配置されている。この空気清浄機では、タンクの内側に窪む湾曲面が吸水部材と対向するように配置されているため、吸水部材とタンクの湾曲面との間の距離を離すことができる。これにより、吸水部材へ空気が流れやすくすることができる。
【0013】
本発明の第7観点に係る空気清浄機は、第5観点の又は第6観点の空気清浄機において、空気清浄フィルタ、ファン及び加湿ユニットを収納可能なケーシングを備える。ケーシングの天面には、吹出口が形成されている。タンクは、加湿エレメントよりも空気流れ下流側に配置されている。湾曲面は、上方に向かうにつれて鉛直方向に近づくように湾曲して延びている。このため、この空気清浄機では、吸水部材を通過した空気を、ケーシングの天面に形成されている吹出口に導くことができる。
【0014】
本発明の第8観点に係る空気清浄機は、第5観点から第7観点のいずれかの空気清浄機において、加湿エレメントは、円盤形状を呈しており、回転軸を中心として回転可能である。また、タンクの左右幅の寸法は、加湿エレメントの直径寸法以上である。このため、この空気清浄機では、タンクの左右幅の寸法が加湿エレメントの直径寸法未満である場合と比較して、タンク容量を大きくすることができる。
【0015】
本発明の第9観点に係る空気清浄機は、第8観点の空気清浄機において、タンクの左右端部の少なくともいずれか一方の端部には、加湿エレメントに向かって突出する突出部が設けられている。この空気清浄機では、突出部があることで、突出部がない場合と比較して、タンク容量を大きくすることができる。
【0016】
本発明の第10観点に係る空気清浄機は、第9観点の空気清浄機において、加湿エレメントの回転軸方向視において、突出部は吸水部材と重ならないように設けられている。この空気清浄機では、吸水部材と重ならないように突出部があることで、吸水部材を通らずに吹出口へと向かう空気を減らすことができる。
【0017】
本発明の第11観点に係る空気清浄機は、第9観点又は第10観点の空気清浄機において、突出部は、タンクの左端部に設けられている左側突出部と、タンクの右端部に設けられている右側突出部と、を含む。また、タンクは、左側突出部の底面及び右側突出部の底面を水平面に置いたときに自立するように構成されている。この空気清浄機では、左側突出部及び右側突出部があることで、タンクを自立させることができる。
【0018】
本発明の第12観点に係る空気清浄機は、第1観点から第11観点のいずれかの空気清浄機において、空気清浄フィルタ、ファン、及び加湿ユニットは、下方からファン、空気清浄フィルタ、加湿ユニットの順に配置されている。この空気清浄機では、加湿ユニットが上部に位置しているため、加湿ユニットのメンテナンスが容易になる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の第1観点に係る空気清浄機では、タンクの外面が汚れるおそれを防止することができる。
【0020】
本発明の第2観点に係る空気清浄機では、水が貯留されたタンクを安定した状態で設置することができる。
【0021】
本発明の第3観点に係る空気清浄機では、空気清浄フィルタを通過した空気を、空気清浄機の上方前に導くことができる。
【0022】
本発明の第4観点に係る空気清浄機では、加湿ユニットが上部に位置しているため、加湿ユニットのメンテナンスが容易になる。
【0023】
本発明の第5観点に係る空気清浄機では、機内の設置制約に適応させやくすることができる。
【0024】
本発明の第6観点に係る空気清浄機では、吸水部材へ空気が流れやすくすることができる。
【0025】
本発明の第7観点に係る空気清浄機では、吸水部材を通過した空気を、ケーシングの天面に形成されている吹出口に導くことができる。
【0026】
本発明の第8観点に係る空気清浄機では、タンク容量を大きくすることができる。
【0027】
本発明の第9観点に係る空気清浄機では、タンク容量を大きくすることができる。
【0028】
本発明の第10観点に係る空気清浄機では、吸水部材を通らずに吹出口へと向かう空気を減らすことができる。
【0029】
本発明の第11に係る空気清浄機では、タンクを自立させることができる。
【0030】
本発明の第12観点に係る空気清浄機では、加湿ユニットが上部に位置しているため、加湿ユニットのメンテナンスが容易になる。
【発明を実施するための形態】
【0032】
<第1実施形態>
以下図面を参照しながら、本発明の第1実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明の具体例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0033】
(1)空気清浄機10の全体構成
図1は、空気清浄機10の断面図である。なお、
図1中の二点鎖線は、空気流れ方向を示している。
図1において、空気清浄機10は、四角柱状の本体ケーシング11を備えている。本体ケーシング11の内部には、図示しない吸込口から本体ケーシング11の天面に設けられている吹出口12に至る空気流路が形成されている。空気流路内にはファン28が配置されており、ファン28は吸込口から吸い込まれて吹出口12から吹き出される空気流れを生成する。
【0034】
また、空気清浄機10は加湿機能と空気清浄機能とを有する。そして、ユーザーは、空気清浄機能だけを選択することができるが、加湿機能を選択したときは空気清浄機能が伴う。
【0035】
(2)詳細構成
(2−1)本体ケーシング11
本体ケーシング11は、送風室11a、空気清浄室11b、加湿室11cを有しており、それらは下方から上方に向かって送風室11a、空気清浄室11b、加湿室11cの順に並んでいる。つまり、本体ケーシング11は縦に延びる形状となるので、設置面積が小さくなる。
【0036】
送風室11aには、ファン28が配置されている。空気清浄室11bには、空気清浄フィルタ22が配置されている。加湿室11cには、加湿ユニット24が配置されている。つまり、メンテナンスを要する加湿エレメント30が上に位置するので、メンテナンス作業が容易になる。なお、加湿ユニット24の有するタンク40は、本体ケーシング11の4側面の1つに設けられた側方扉13から着脱可能となっている。
【0037】
また、送風室11aと空気清浄室11bとの間には第1開口14が設けられている。第1開口14は、送風室11aから空気清浄室11bへ空気を通す。さらに、空気清浄室11bと加湿室11cとの間には第2開口15が設けられている。第2開口15は、空気清浄室11bから加湿室11cへ空気を通す。
【0038】
(2−2)ファン28
ファン28は、風量を変更可能なシロッコファンであって、ファンロータ25、スクロール27、及び図示しないファンモータを含んでいる。ファンロータ25は、
図1に示すように、複数の羽根25aを有する。そして、羽根25aが回転することによって、空気が回転軸方向に沿って吸い込まれ、羽根25aから遠心方向に吹き出される。
【0039】
スクロール27は、羽根25aから吹き出された空気をファンロータ25の上方に位置するファン吹出口27bへ導くための風路を形成している。ファン吹出口27bは送風室11aと空気清浄室11bとの間の第1開口14に嵌合しているので、ファン吹出口27bから吹き出た空気は空気清浄室11bに入る。
【0040】
(2−3)空気清浄フィルタ22
空気清浄フィルタ22は、空気に含まれる塵埃を除去するためのものであって、本実施形態では、プレフィルタ、フィルタ及び脱臭エレメント等を含む複数のフィルタで構成されている。そして、空気清浄室11b内では、空気流れの上流側からプレフィルタ、フィルタ及び脱臭エレメントの順でそれらが保持されている。
【0041】
プレフィルタは、薄くて柔らかい樹脂製のネットであり、空気に含まれる粒子の大きな埃などを除去する。また、フィルタは、プレフィルタでは除去できない微細な埃などを除去する。脱臭エレメントは、空気に含まれる不快な臭いの成分を吸収する。
【0042】
なお、本実施形態では、空気清浄フィルタ22は、本体ケーシング11の4側面の1つに設けられた図示しない開閉扉から取り出すことができる。
【0043】
(2−4)加湿ユニット24
図2は、加湿室11cの縦断面を斜め後方から見た図である。
図1及び
図2に示すように、加湿ユニット24は、主に、加湿エレメント30と、トレイ50と、タンク40と、を備える。加湿ユニット24は、タンク40から供給された水を気化させることで、空気を加湿する。
【0044】
(2−4−1)加湿エレメント30
図1及び
図2に示すように、加湿エレメント30は、トレイ50の上方に配置されている。加湿エレメント30は、環状すなわち無端ベルト状に成形された吸水部材31と、吸水部材31を所定方向に周回させる駆動機構32と、を有する。吸水部材31は、吸水性と通気性とを兼ね備えた材料によって構成されている。駆動機構32は、モータ33と、図示しない駆動ギアと、被駆動ギア34と、原動ローラー35と、従動ローラー36と、を含む。吸水部材31は、上下方向(本実施形態では、鉛直方向)に離れた原動ローラー35と従動ローラー36とによって、所定の張力が作用するように内側から支持されている。
【0045】
従動ローラー36は、原動ローラー35よりも下方に配置されており、吸水部材31の下部とともにトレイ50の水中に浸漬している。被駆動ギア34は、原動ローラー35の回転軸の延長線上に固定されている。被駆動ギア34は、駆動ギアと噛み合っている。駆動ギアは、モータ33の回転軸に固定されている。この位置関係によって、タンク40側からトレイ50を引き出す際に駆動ギアと被駆動ギア34との噛みあいが解消される。また逆に、タンク40側からトレイ50を差し入れた際に駆動ギアと被駆動ギア34との噛みあいが成立する。
【0046】
そして、モータ33が回転することによって、その回転力が駆動ギア、被駆動ギア34、原動ローラー35に順次伝達される。原動ローラー35及び従動ローラー36の外周面には図示しない複数の突起が形成されているため、原動ローラー35及び従動ローラー36が回転することにより吸水部材31が周回する。
【0047】
(2−4−2)トレイ50
図2に示すように、トレイ50は、タンク受け部51と、水受け部52とを有している。タンク受け部51には、支持部51aと押し込みピン151a51bとが設けられている。支持部51aは、後述する給水弁42aを下方にして装着されたタンク40の下部を支持する。押し込みピン151a51bは、タンク40が自重で降下したときに給水弁42aにあたって、給水弁42aを押し開ける。
【0048】
水受け部52には、加湿エレメント30を浸漬させるための水が貯留される。水受け部52とタンク受け部51とは隔壁53で仕切られているが、その隔壁53には図示しない孔が設けられている。このため、タンク40からタンク受け部51に流れ出た水は、孔を通って水受け部52に流れる。そして、水受け部52は所定水位まで水で満たされる。
【0049】
(2−4−3)タンク40
図1に示すように、タンク40は、空気清浄フィルタ22よりも空気流れ下流側に配置されている。タンク40は、水を貯留可能なタンク本体41と、蓋部42とを有している。
【0050】
タンク本体41には注水口41aが設けられており、ユーザーは、注水口41aから水を注ぎ入れることで、タンク本体41の内部に水を貯留することができる。また、タンク本体41は、注水口41a側が広く、注水口41a側から反対側に向かってすぼまるように形成されている。そして、本実施形態では、タンク40は、注水口41a側が下になるように本体ケーシング11の所定位置にセットされる。したがって、本体ケーシング11にセットされたタンク本体41は、下部の水平方向の断面積が上部の水平方向の断面積よりも大きい構成であるといえる。
【0051】
また、タンク本体41の外面の一部であるガイド面41bは、吹出口12から吹き出される空気の流れる空気流路の一部を構成している。より詳しくは、
図2に示すように、タンク本体41の外面に含まれるガイド面41bは、空気流路のうち加湿室11cの空気流路Aの一部を構成しており、空気が上方前に導かれるように傾斜している。なお、本実施形態のタンク40のガイド面41bは、
図1及び
図2に示すように、加湿エレメント30側に向かって突出するように湾曲した湾曲面を含む。本実施形態のタンク本体41は下側が広く上側に向かってすぼまった形状であり、湾曲面はこの形状のタンク本体41の一面を構成している。そして、本実施形態の湾曲面は、上側に向かうにつれて曲率半径が小さくなるように湾曲している。
【0052】
蓋部42は、タンク本体41の注水口41aを開閉可能に構成されている。蓋部42には、給水弁42aが取り付けられる。給水弁42aの構造は、弁体をバネによって弁口に押し付ける一般的な構造であるので、ここでは詳細な説明を省略する。
【0053】
そして、通常の使用状態では、タンク40は蓋部42が下方になるようにトレイ50のタンク受け部51上に載っており、給水弁42aが鉛直下方に向けられた状態でトレイ50の押し込みピン151a51bに押し当てられる。そして、タンク40自身の重みによって押し込みピン151a51bが給水弁42aを開状態にすることで、タンク本体41からタンク受け部51に水が流出する。
【0054】
(3)空気清浄機10の動作
上記のように構成された空気清浄機10について、以下その動作を説明する。
【0055】
(3−1)空気清浄動作
空気清浄機10の電源がオンされることによって、ファン28のファンモータがファンロータ25を回転させる。回転するファンロータ25は空気を遠心方向に吹き出すので回転軸周りの圧力が低下し、空気はファンロータ25の中心に位置するファン吸込口に吸い込まれる。その結果、本体ケーシング11の送風室11aの側面側に設けられた吸込口からファン吸込口に向かう空気の流れが発生する。
【0056】
ファンロータ25から遠心方向に吹き出された空気は、スクロール27に沿って偏向されながらファン吹出口27bに向かう。ファン吹出口27bは第1開口14に嵌合しているので、ファン吹出口27bから吹き出た空気は、空気清浄室11bに入る。
【0057】
空気清浄室11bでは、送風室11aから押し寄せる空気によって空気清浄フィルタ22全面に静圧が作用し、空気は空気清浄フィルタ22を通過する。すなわち、ファン28は、空気清浄フィルタ22を通過する空気流れを生成しているといえる。空気清浄フィルタ22を通過する空気は、先ず、上流側のプレフィルタで空気に含まれる比較的粒子の大きな埃などが除去され、次に、下流側のフィルタで粒子の小さい埃が除去される。フィルタを通過した空気は、さらに下流側の脱臭エレメントを通過する際に、その空気に含まれる不快な臭い成分が脱臭エレメントに吸着される。そして、空気清浄フィルタ22を通過した空気は、第2開口15を通過して加湿室11cに入る。
【0058】
加湿室11cに入った空気は、吸水部材31を通過する。吸水部材31を通過した空気は、その一部がタンク40のガイド面41bに沿って流れ、本体ケーシング11の上面前方に設けられた吹出口12から吹き出される。
【0059】
(3−2)加湿動作
空気清浄機10の電源がオンした状態で加湿機能がオンされると、モータ33が駆動することで、吸水部材31が周回する。吸水部材31の下部は水受け部52の水中に浸漬しているので、吸水部材31が周回することによって、吸水部材31全体で効率よく水を吸水できる。
【0060】
そして、空気清浄動作時と同様に、ファン28によって吸込口から吸い込まれて吹出口12から吹き出される空気流れが形成される。このため、空気清浄室11bから加湿室11cに入った空気は、吸水部材31を通過する際に吸水部材31に吸水された水の気化を促進させ、加湿空気となる。この加湿空気が、タンク40のガイド面41bに沿って流れ、本体ケーシング11の上面前方に設けられた吹出口12から吹き出される。
【0061】
(4)特徴
(4−1)
本実施形態では、タンク40が空気清浄フィルタ22よりも空気流れ下流側に配置されており、タンク本体41のガイド面41bが空気流路Aの一部を形成している。このため、タンク本体41のガイド面41bが形成する空気流路Aには、空気清浄フィルタ22を通過した空気が流れることになる。したがって、タンク本体41のガイド面41bに接触する空気は空気清浄フィルタ22によって塵埃が除去された空気であるため、タンク40のガイド面41bに塵埃が付着するおそれを低減することができる。
【0062】
これによって、タンク40の外面が汚れるおそれを防止することができている。
【0063】
また、本実施形態では、タンク本体41のガイド面41bが空気流路Aの一部を形成しているため、空気流路を構成する部材を別途設ける場合と比較して、部品点数を減らすことができている。
【0064】
ところで、冬期等に冷たい水道水が溜められたタンク40が空気清浄機10にセットされて加湿動作が実行されると、加湿動作の実行が開始されてからしばらくの間は水受け部52に供給される水の温度が低いため、吸水部材31が吸水する水の温度も低くなる。そして、本実施形態のように熱源としてヒーターを用いない気化式の加湿ユニット24の場合には、吸水部材31が吸水する水の温度が低いことで加湿量が低下するという問題が顕著になる。本実施形態の加湿動作時には、タンク本体41のガイド面41bに空気が接触することで、タンク本体41内に溜められた水の温度を速やかに室温まで近づけることができる。これにより、加湿量の低下を抑制することができている。また、冷たい水道水がタンク本体41に注がれることでタンク本体41に結露が生じていたとしても、タンク本体41のガイド面41bに空気が接触することで、結露が蒸発しやすくなっている。
【0065】
(4−2)
本実施形態のタンク本体41は、下部の断面積が上部の断面積よりも大きくなるように構成されている。このため、水が貯留された状態のタンク40は、その重心が低くなることになる。したがって、水が貯留されたタンク40を安定した状態で設置しやすくなっている。
【0066】
また、本実施形態のタンク本体41は、注水口41a側が広い形状である。このため、大きな口径の蓋部42を採用することができ、蓋部42の清掃がしやすくなっている。さらに、注水口41aが広いため、タンク本体41内部の清掃もしやすくなっている。
【0067】
(4−3)
本実施形態では、タンク本体41のガイド面41bは、空気が上方前に導かれるように傾斜している。このため、空気清浄フィルタ22を通過した空気を、空気清浄機10の上方前に導くことができている。
【0068】
(4−4)
本実施形態では、タンク本体41のガイド面41bが、加湿エレメント30側に向かって突出するように湾曲した湾曲面を含む。このため、空気清浄フィルタ22を通過した空気を、湾曲面に沿って誘導することができている。
【0069】
(4−5)
本実施形態では、下方からファン28、空気清浄フィルタ22、加湿ユニット24の順に配置されている。加湿ユニット24が上部に位置しているため、タンク40の着脱や吸水部材31の交換など加湿ユニット24のメンテナンスが容易になっている。
【0070】
(5)変形例
(5−1)
上記実施形態では、タンク本体41の外面の一部のガイド面41bが空気流路Aを構成しているが、例えば、タンク本体の外面全体が空気流路を構成していてもよい。
【0071】
(5−2)
上記実施形態では、タンク本体41のガイド面41bが湾曲した湾曲面を含んでいるが、空気が吹出口12に導かれるように傾斜した平面であってもよい。
【0072】
<第2実施形態>
以下図面を参照しながら、本発明の第2実施形態に係る空気清浄機について説明する。なお、空気清浄機の全体構成については、第1実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。また、空気清浄機の詳細構成としての本体ケーシング11、ファン28及び空気清浄フィルタ22の構成についても、第1実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略すると共に、第1実施形態と同様の構成部品については、第1実施形態に係る構成部品と同一の符号を付すものとする。そして、以下には、加湿ユニットの詳細構成について説明する。
【0073】
図3は、加湿エレメント及びトレイ150の斜視図である。
図4は、タンク140の斜視図である。加湿ユニットは、主に、加湿エレメント130と、トレイ150と、タンク140と、を備える。加湿ユニットは、タンク140から供給された水を気化させることで、空気を加湿する。
【0074】
図5は、加湿エレメント130及びタンク140の断面図である。加湿エレメント130は、トレイ150の上方に配置されている。加湿エレメント130は、タンク140から供給された水を吸収する吸水部材131と、吸水部材131の外周を囲んで保持するフレーム132とを含む。本実施形態では、
図5に示すように、2枚の吸水部材131がフレーム132によって保持されているが、吸水部材131の数はこれに限定されず、1枚でもよく、3枚以上の複数枚であってもよい。加湿エレメント130は、円盤形状を呈している。そして、図示しないモータからの回転力が伝達されることで、回転軸133を中心として回転する。
【0075】
また、フレーム132は、その最下点がトレイ150の底面と近接するように配置されている。トレイ150にはタンク140から水が供給され、タンク140内に水がある限り、その水位は底面から所定の高さ位置となるように自動的に調整される。フレーム132は、その最下点から鉛直上方に向かって一定範囲は水中に浸漬しており、浸漬していない部分も、加湿エレメント130が回転することによって、順次、浸漬する。また、フレーム132の側面内側には、複数のカップ状の水汲み(図示せず)が設けられている。水汲みは、加湿エレメント130の回転に伴ってトレイ150の水を汲み上げ、加湿エレメント130の最上点近傍で内部の水が吸水部材131に向かって流れ出るようになっている。
【0076】
トレイ150は、タンク140を本体ケーシング11から取り出した後に、本体ケーシング11の一側面側から加湿エレメント130と共に引き出すことができる。トレイ150は、タンク受け部151と、水受け部152とを有している。タンク受け部151には、タンク140が装着される。タンク受け部151には、押し込みピン151a(
図9参照)が設けられている。押し込みピン151aは、タンク140が自重で降下したときに給水弁142aにあたって、給水弁142aを押し開ける。
【0077】
水受け部152には、加湿エレメント130を浸漬させるための水が貯留される。水受け部152とタンク受け部151とは隣接しており、隔壁153で仕切られている。なお、本実施形態では、水受け部152とタンク受け部151とが加湿エレメント130の回転軸方向に隣接して配置されている。そして、タンク受け部151が水受け部152よりもトレイ150の引き出し方向手前側に配置されている。また、隔壁153は、加湿エレメント130をタンク受け部151側から視た
図6に示すように、吸水部材131の下部が露出するように、その一部が切り欠かれている。なお、タンク140からタンク受け部151に流れ出た水は、この切り欠き153aを通って水受け部152に流れ、水受け部152が所定水位まで水で満たされる。
【0078】
タンク140は、空気清浄フィルタ22及び加湿エレメント130よりも空気流れ下流側に配置されている。タンク140は、水を貯留可能なタンク本体141と、蓋部142とを有している。
【0079】
タンク本体141には注水口141aが設けられており、ユーザーは、注水口141aから水を注ぎ入れることで、タンク本体141の内部に水を貯留することができる。
【0080】
また、タンク本体141の外面の一部であるガイド面141bは、吹出口12から吹き出される空気の流れる空気流路の一部を構成している。より詳しくは、タンク本体141のガイド面141bは、空気流路のうち加湿室11cの空気流路の一部を構成しており、空気が上方に導かれるように傾斜している。なお、本実施形態のタンク140のガイド面141bは、
図5に示すように、タンク140の内側に向かって窪む湾曲面を含む。湾曲面は、鉛直面に沿うように配置される吸水部材131と対向するように配置されている。そして、湾曲面は、上方に向かうにつれて鉛直方向に近づくように湾曲して延びている。
【0081】
また、加湿エレメント130とタンク140とを加湿エレメント130側から視た
図7に示すように、タンク140の左右方向の幅寸法t1は、加湿エレメント130の直径寸法t2すなわちフレーム132の直径寸法以上の寸法を有している。そして、タンク140の左右端部の少なくともいずれか一方の端部には、加湿エレメント130に向かって突出する突出部148が設けられている。さらに、突出部148は、加湿エレメント130の回転軸方向視において、吸水部材131と重ならないように設けられている。なお、本実施形態のタンク140では、タンク140の左右両端部すなわち左端部及び右端部にそれぞれ突出部148が設けられている。そこで、以下より説明の便宜上、タンク140の左端部に設けられている突出部148を左側突出部148aといい、タンク140の右端部に設けられている突出部148を右側突出部148bという。右側突出部148b及び左側突出部148aは、タンク本体141の注水口141aが上側になるようにタンク140が水平面に置かれた際に、右側突出部148bの下側にある面(底面)及び左側突出部148aの下側にある面(底面)が水平面に当接することでタンク140が自立するように構成されている。蓋部142は、タンク本体141の注水口141aを開閉可能に構成されている。蓋部142には、給水弁142aが取り付けられる。給水弁142aの構造は、弁体をバネによって弁口に押し付ける一般的な構造であるので、ここでは詳細な説明を省略する。
【0082】
そして、通常の使用状態では、タンク140は蓋部142が下方になるようにトレイ150のタンク受け部151上に載っており、給水弁142aが鉛直下方に向けられた状態でトレイ150の押し込みピン151aに押し当てられる。そして、タンク140自身の重みによって押し込みピン151aが給水弁142aを開状態にすることで、タンク本体141からタンク受け部151に水が流出する。
【0083】
(1)特徴
(1−1)
図8は、加湿室11cの断面図であって、本体ケーシング11にタンク140が収納されていない状態での空気の流れる方向を矢印で示している。
図9は、加湿室11cの断面図であって、本体ケーシング11にタンク140が収納された状態での空気の流れる方向を矢印で示している。
【0084】
図8に示すように、本体ケーシング11内にタンク140がない場合、加湿エレメント130の吸水部材131を通過した空気は、本体ケーシング11の側面方向(横方向)に向かって流れる。
【0085】
本実施形態では、タンク140の外面の一部であるガイド面141bが、吹出口12から吹き出される空気の流れる空気流路の一部を構成している。このため、本体ケーシング11にタンク140がある場合には、
図9に示すように、タンク140のガイド面141bに沿った空気の流れを形成することができる。これにより、吹出口12から吹出される空気の流れる空気流路を別部品で構成する場合と比較して、部品点数を削減することができている。
【0086】
(1−2)
本実施形態では、湾曲面がタンク140の内側に向かって窪んでいる。このため、湾曲面がタンク140の外側に向かって突出しているよりも、本体ケーシング11内の設置制約に適応させやくすることができている。
【0087】
(1−3)
本実施形態では、鉛直面に沿うように配置されている吸水部材131と対向するように湾曲面が配置されている。このため、吸水部材131とタンク140との間の距離を離すことができ、吸水部材131へ空気が流れやすくなる。これにより、吸水部材131に効率よく空気を流すことができている。
【0088】
(1−4)
本実施形態では、タンク140が加湿エレメント130よりも空気流れ下流側に配置されており、湾曲面が上方に向かうにつれて鉛直方向に近づくように湾曲して延びている。このため、吸水部材131を通過した空気を湾曲面に沿わせることで、上方にある吹出口12へと導くことができる。これにより、吸水部材131を通過して斜め横に向かう空気を、真上にある吹出口12から効率よく吹出させることができている。
【0089】
(1−5)
本実施形態では、タンク140の左右幅の寸法t1が加湿エレメント130の直径寸法t2以上となるように設計されている。このため、タンク140の左右幅の寸法が加湿エレメント130の直径寸法未満に設計されている場合と比較して、タンク140容量を大きくすることができている。
【0090】
(1−6)
本実施形態では、タンク140の左右端部に突出部148が設けられている。このため、突出部148が設けられていない場合と比較して、タンク140容量を大きくすることができている。
【0091】
(1−7)
本実施形態では、加湿エレメント130の回転軸方向視において、突出部148と吸水部材131とが重ならないように設けられている。このため、吸水部材131を通らずに吹出口12へと向かう空気、すなわち、吸水部材131をバイパスしてしまう空気を減らすことができ、効率よく加湿することができている。
【0092】
(1−8)
本実施形態では、タンク140は、左側突出部148aの底面及び右側突出部148bの底面を水平面に置いたときに自立できるように構成されている。タンク140の左右両端部に突出部148が設けられていることでタンク140が自立するため、ユーザーがタンク140に水を注ぎ入れる際に入れやすくなっている。
【0093】
(1−9)
ところで、水受け部152とタンク受け部151とが加湿エレメント130の回転軸133の延びる方向に直交する方向に隣接して配置されている場合、水受け部152に水を貯めるためには、水受け部152において加湿エレメント130の回転軸方向に位置する壁の高さをある程度確保する必要がある。そうすると、吸水部材131の下部が該壁によって覆われてしまい、吸水部材131の下部に空気が流れにくくなってしまう。そして、吸水部材131の径(大きさ)が小さくなればなるほど、吸水部材131の回転軸方向視において該壁と吸水部材131との重なる部分が大きくなるため、吸水部材131の下部を効率的に使用できず、加湿能力低下の影響が大きくなる。
【0094】
本実施形態では、吸水部材131の下部が露出するように隔壁153の一部が切り欠かれている。このため、隔壁153の一部が切り欠かれていない場合すなわち隔壁153が吸水部材131の下部を覆うように設けられている場合と比較して、吸水部材131の下部に空気が流れやすくなる。これにより、吸湿部材に効率よく空気を向かわせることができ、加湿能力の低下を抑制することができている。
【0095】
(2)変形例
(2−1)
上記実施形態では、タンク140は加湿エレメント130よりも空気流れ下流側に配置されているが、タンク140が加湿エレメント130よりも空気流れ上流側に配置されていてもよい。